トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心分離ドラム
【発明者】 【氏名】サンドロ エム.オー.エル.シュナイダー

【氏名】ゲールノート ブッシュ

【氏名】ローランド クエンツリ

【要約】 【課題】濾過材を簡単、迅速、確実に取り付け又は取り替え可能な遠心分離ドラムの提案。

【解決手段】ドラム蓋とドラム基部とドラム・ジャケットとを含む、混合物を固形物ケークと液相とに分離する遠心分離装置用遠心分離ドラム。ドラム・ジャケットがドラムの長手方向軸線に沿って延在し、ドラム蓋およびドラム基部は長手方向軸線に直角に配置され互いに対向する。ドラムは、動作状態では駆動部によって長手方向軸線の周りに回転可能であり、濾過材がドラムの内周表面に備えられる。濾過材の固定のため、取付デバイスがドラムの内周表面に少なくとも区分分割式で備えられる。取付デバイスは、長手方向軸線に向う方向に半径方向に突き出た取付ウェブの形を有し、内周表面上で周方向に沿って長手方向軸線の周りに延在する。本発明は更に、本発明による遠心分離ドラムを備えた遠心分離装置にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物を固形物ケークと液相とに分離するための遠心分離装置用の遠心分離ドラムであって、
前記遠心分離ドラムが、前記遠心分離ドラムを形成するドラム蓋(2)と、ドラム基部と、ドラム・ジャケット(3)とを含み、
前記ドラム・ジャケット(3)が、前記遠心分離ドラムの長手方向軸線(4)に沿って延在し、
前記ドラム蓋(2)および前記ドラム基部が、前記長手方向軸線(4)に直角に、互いに対向して前記ドラム・ジャケット(3)に配置され、
前記遠心分離ドラムは、設置された状態では、前記遠心分離装置の前記長手方向軸線(4)の周りに回転可能に配置され、動作状態では駆動部によって前記長手方向軸線(4)の周りに予め決定可能な速度で回転可能であり、
濾過材(6)が前記遠心分離ドラムの内周表面に備えられ、
前記濾過材(6)を固定するために、取付デバイス(7)が前記遠心分離ドラムの内周表面(5)に少なくとも区域分割して備えられた、遠心分離ドラムにおいて、
前記取付デバイス(7)が、前記遠心分離ドラム内で、前記遠心分離ドラムの長手方向軸線(4)に向う方向に半径方向に突き出た取付ウェブ(7、71)の形を有し、前記遠心分離ドラムの周方向(8)に沿って前記長手方向軸線(4)の周りに、前記内周表面(5)上に延在していることを特徴とする遠心分離ドラム。
【請求項2】
前記取付デバイス(7)は、前記周方向(8)に延在する第1取付空間が前記ドラム基部と前記濾過材(6)を固定する前記取付デバイス(7)との間に形成されるように、前記ドラム基部から予め決定可能な距離において前記周方向(8)に沿って延在する請求項1に記載された遠心分離ドラム。
【請求項3】
前記取付デバイス(7)は、前記周方向(8)に延在する第2環状取付空間(9)が前記ドラム蓋(2)と前記濾過材(6)を取り付ける前記取付デバイス(7)との間に形成されるように、前記ドラム蓋(2)から予め決定可能な距離において前記周方向(8)に沿って延在する請求項1又は請求項2に記載された遠心分離ドラム。
【請求項4】
ブロッキング・ピン(71)として形成されることが好ましい複数の取付ウェブ(7、71)が備えられている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された遠心分離ドラム。
【請求項5】
前記取付ウェブ(7、71)が溶接ボルト(71)であって、前記ドラム・ジャケット(3)及び/若しくは前記ドラム基部及び/若しくはドラム蓋(2)に溶接され、並びに/又は、
前記取付ウェブ(7、71)が取付ボルト(71)であって、前記ドラム・ジャケット(3)及び/若しくは前記ドラム基部及び/若しくはドラム蓋(2)にねじ込まれる請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された遠心分離ドラム。
【請求項6】
前記取付ウェブ(7、71)が、中断なく前記周方向(8)に延在するブロッキング・ウェブ(7)である請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された遠心分離ドラム。
【請求項7】
前記濾過材(6)が、濾過布(6)、好ましくは織物濾過布(6)、具体的にはプラスチック製の濾過布(6)、特にポリプロピレン製の濾過布(6)、及び/又は金属製の濾過布(6)、及び/又は複合材料製、とりわけ炭素複合材料製の濾過布(6)、及び/又はその他の適切な材料で作られた濾過布(6)である請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された遠心分離ドラム。
【請求項8】
前記取付デバイス(7)は、前記濾過材(6)が締付リング(10)を使用して取付デバイス(7)によって取付け可能であるように設計されている請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された遠心分離ドラム。
【請求項9】
前記取付デバイス(7)は、一体化取付リング(100)を備えた前記濾過材(6)、とりわけ溶接された取付リング(100)を備えた濾過材(6)、好ましくは矩形断面の一体化された及び/又は溶接された取付リング(100)を備えた濾過材(6)が、取付デバイスによって取付け可能であるように設計されている請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載された遠心分離ドラム。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載された遠心分離ドラム(1)を備えた、遠心分離装置、特に垂直又は水平ジャーナル軸受け式遠心分離装置、連続又は不連続運転式遠心分離装置、特に管式遠心分離装置、ピーラー付遠心分離装置、デカンタ型遠心分離装置、滑り排出遠心分離装置、一段式又は多段式押出し排出型遠心分離装置、ダブル・プッシャ遠心分離装置、又は振動遠心分離装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前提部に記載された遠心分離ドラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
湿った物質又は物質の混合物を乾燥するために広範に使用される様々な形態の遠心分離装置が、非常に様々な分野で使用されている。このように、例えば滑り排出遠心分離装置などの不連続運転式遠心分離装置が使用されることが好ましく、この分離装置では、混合物が固体物ケークと液相とにうまく分離された後に、固体物ケークはドラム壁からかき取りデバイスによってかき取られ、ドラムから外へ適当なデバイスにより、例えばスライドにより搬出される。しかし、その他の不連続式システムでは、とりわけ実験室規模の遠心分離装置では、自動かき取り装置は存在せず、混合物の分離が起った後に遠心分離装置を停止させ、堆積した固体物ケークを手動でドラムから除去する場合がある。
【0003】
大量の固液混合物を連続的に分離する際、連続的に動作する押出し排出型遠心分離装置がとりわけ有利に使用される。この点について、一段又は多段押出し排出型遠心分離装置、更にいわゆるダブル・プッシャ遠心分離装置が必要に応じて使用される。
【0004】
これらのすべての遠心分離装置は、平均的な当業者には長年よく知られており、例えば、シタール(W.Stahl)教授による標準的著作「産業用遠心分離機(Industry Centrifuge)」(DrM PRESS出版)に詳細に記載されている。
【0005】
遠心分離装置自体は大抵、中空の円筒状バスケットとして設計されており、このバスケットはその周囲表面に複数の排液開口を有し、これらの排液開口を通じて遠心分離された液相が遠心分離ドラムから外に排液される。即ち、フィルタ遠心分離装置のドラムは、濾液を、言い換えれば液相を、ドラム・ジャケットを通じて解放するために、規則的なパターンで、例えば数センチメートルの間隔で穴あけされている。
【0006】
この配置では、遠心分離ドラムの内周表面は、しばしば追加の濾過材、例えば濾過布によって裏打ちされており、その上に固体物ケークが遠心分離過程中に堆積する。
【0007】
この配置では、濾過材は、濾過材に向って流れてくる固体物をせき止める効果によって、懸濁液の中にケークを形成しはじめる。これに関して、例えば充てん過程中又はかき取り操作中には接線方向の加速力又は切削力が発生し得るので、濾過材は起り得る周方向変位に対してのみ固定されるだけではないことに特に注意しなければならない。軸線方向変位に対しても固定されるので、濾過布も遠心分離ドラムの回転軸に沿った変位に対しても確実に固定される。
【0008】
これを保証するために、多くの解決策が従来技術で公知になっており、その1つが同様にStahl教授による上記の著作の中に挙げられ記載されている。
【0009】
したがって、例えばピーラー付遠心分離装置では、濾過布は、計量販売される材料として支持ティッシュの上に置かれ、半周毎に重ね合わせを有して2枚敷かれ、入ってくる懸濁液が2つの布半体の間に入ることができないように、換言すれば上に置かれた布が流れ方向から離れる方向に向くようにしている。
【0010】
この解決策の欠点としては、特に、重ね合わせ部において二重の濾過布の抵抗が上昇し、これが重ね合わせ部の各箇所におけるケーク厚を減少させ得ることが分かっている。同様に、これらの箇所で脱水も悪くなる。更に、接合部における不均衡を回避するために、重ね合わせを対称的に実施することが必要である。
【0011】
布を重ねることに関する実質的な改善は、円筒形状のエンドレス濾過布によって行なわれ、これは追加的にある一定の快適さを、即ち特に組立て及び取外しの簡略化をもたらす。更にまた、これらは濾過布の重なりの問題を、とりわけ限界濾過の問題を実質的に軽減する。
【0012】
これまで、このような円筒形状の濾過布のみならず、開いた濾過布も、ドラムの両端部のチャネル即ち溝に固定されている。チャネル即ち溝は、例えばドラムを製造した後にドラム・ジャケットの周方向にフライス加工される。
【0013】
例えば、濾過材、言い換えれば濾過布は、遠心分離ドラムの前側又は後側の近くで、例えば蟻継ぎ状の上記周方向に延在するチャネル即ち溝の中に折り重ねられ、その後、濾過布の使われない余分の長さ分は単に切断される。これを取り付けるために、濾過布を狭いチャネル即ち溝に入れて、例えば中実円形の直径を有する細いクロム・ニッケルを撚った糸又は円形ゴム紐によって締め付ける。
【0014】
この種の取付けは、様々な理由により満足できるものではない。ドラムの前方円形リング・ディスク又は後方フル・ディスクへの遷移点における蟻継ぎ溝は、その強度が極度に不十分である。特に、布の交換は、布を適所に隙間に詰める際に布を損傷しないように経験豊富な要員を必要とし、布を交換する間に必要な休止時間は不合理に長い。
【0015】
膨らませることのできるシールによって、一定の改善がなされている。そのシールは、適所に隙間を詰めるための糸又は紐の代わりに使用され、濾過材の迅速な組立て及び取外しを可能にする。ドラムは、膨らませることのできる封止リングの挿入される両端部に蟻継ぎ形状の窪みを備えている。
【0016】
もう1つの公知の方法は、迅速締付リングによってチャネル即ち溝の中に濾過布を取り付けることである。
【0017】
次にこの取付方法を説明するために図1〜図3dの概略図面を参照するが、これらの図を助けとして、先に述べた従来技術を更に詳しく記載する。従来技術を本発明から区別するために、公知例の構成に関する符号はアポストロフィを付しているが、本発明による実施例の構成の符号はアプストロフィが付いていない。
【0018】
例として、従来技術で知られている遠心分離ドラム1’を図1に概略的に示す。この図では、濾過布6’は、締付リング10’によって溝700’に取り付けられており、この溝700’は遠心分離ドラム1’の周方向8’にフライス加工されている。周知の様式では、遠心分離ドラム1’は、遠心分離ドラム1’を形成するドラム・ジャケット3’と、ドラム蓋2’とを含み、このドラム蓋を通って、例えば開口21’を通じて脱水しようとする懸濁液を入れることができる。更に、この公知の遠心分離ドラム1’は、図1には分かり易くするために図示されていないドラム基部200’によって形成され、ドラム基部200’は、同様に図示されていない回転式駆動部に結合されて、遠心分離ドラム1’を駆動する。ドラム・ジャケット3’は、遠心分離ドラム1’の長手方向軸線4’に沿って円筒状に延材し、ドラム蓋2’及びドラム基部200’は、長手方向軸線4’に直角に、長手方向に対向してドラム・ジャケット3’に配置されており、こうして円筒状遠心分離ドラム1’の2つの端部表面を形成する。
【0019】
この場合は、濾過材6’は織物濾過布6’であるが、遠心分離ドラム1’の内周表面5’に備えられ、内周表面5’は溝700’を有し、この溝700’の中に濾過布6’が締付リング10’によって固定され、締付リング10’は、遠心分離ドラム1’の内周表面5’に織物濾過布6’を固定するために備えられている。
【0020】
更に、軸線方向の長手方向4’に、周囲ヘムステッチ縫い目61’が濾過布6’の両端部に備えられ、遠心分離ドラム1’に濾過布6’を設置する前に、濾過布6’に締付リング10’が差し込まれる。
【0021】
次いで、濾過布6’は遠心分離ドラム1’の内周表面5’に位置付けられ、締付リング10’を伴うヘムステッチ縫い目61’は溝700’の中に置かれ、締付リング10’は迅速締付けデバイス101’によって締め付けられる。こうして濾過布6’は遠心分離ドラム1’に確実に固定される。
【0022】
この種の締付リング10’を図2に示す。この締付リング10’は、動作状態では、図2には図示されていない遠心分離ドラム1’の長手方向軸線4’の軸線方向に同心に置かれる。締付リング10’は、例えば公知のねじ機構により、溝700’内の締付リング10’の周囲部の増加を可能にすることができる締付けデバイス101’を有することが好ましく、これによって締付リング10’を溝700’の中に押し込み、これによって濾過布6’は遠心分離ドラム1’の中で確実に固定される。
【0023】
この点について、各系列の異なる種類の迅速締付けデバイスが知られており、便利な工具として使用できる。
【0024】
締付けデバイス101’は操作が特に簡単であり、これは例えばラチェット1011’を有し、この中では例えば2つの鋸歯状の表面が互いに係合し、締付リング10’のサイズを拡大することができるように、2つの鋸歯状の表面を互いに変位させることができ、より大きな円周と溝700’の中に発生する締付け力又は接触圧が自動的に維持されるように、2つの鋸歯状の表面が互いに引っ掛かる。この種の迅速締付けデバイス101’はまた別の技術分野でもよく知られている。図解として、この種の迅速締付けデバイス101’の特別の実施例を図2aに示す。
【0025】
この点について、従来技術では、周方向8’に延在する溝700’の様々な例、即ち要求に応じて、又は濾過布6’固定の実際の性質に応じて様々に実行される例を区別することもでき、又は遠心分離ドラム1’内の様々な領域に備えることができる。
【0026】
公知の様々な形式の溝700’の選択例を、図3a〜3dに概略的に示す。
【0027】
図3a及び図3bを参照すると、図3aでは、溝700’はドラム蓋2’又はドラム基部200’に備えられ、図3bの例では溝700’はドラム・ジャケット3’の内周表面5にフライス加工されている。図3a及び図3bによる溝構成は、濾過布6’が上述のように糸又は紐によって溝に押圧されるときに使用されることが好ましい。
【0028】
図3c及び図3dに示される溝構成は、例えば、遠心分離ドラム1’において濾過布6’を締付リング10’によって固定するために、例えば上記の締付リング技法の1つが使用されるときに、選択されることが好ましい溝700’を有する。
【0029】
しかし、遠心分離ドラムにおいて濾過材を取り付けるための上述の取付方法及び取付デバイスとは異なっても、これらはすべて、濾過材を、換言すれば例えば濾過布を取り付けるための溝の使用によって発生する問題を共有している。
【0030】
即ち、溝の使用は、特定の用途に応じて多い少ないはあるものの、全種類のドラムにとって重要な欠点に関係している。
【0031】
最も重大な欠点の1つは、ドラムの溶接の後に、例えば言い換えればドラム基部およびドラム蓋をドラム・ジャケットに溶接した後に、濾過布を取り付けるための溝をドラム蓋及び/又はドラム基部及び/又はドラム・ジャケットに組み込まなければならない、言い換えれば例えばこれらに溝をフライス加工しなければならないことに起因する。
【0032】
生産工学学的に、これは非常に複雑であり、即ち込み入っており、したがって、高価となり不経済になるのみならず、更にとりわけ、このような溝のフライス加工及び/又は旋削は当然、ドラム全体の機械的安定性を低下させる。その理由は、ドラムの安定性を保持するためにはもはや利用できない溝であっても、材料がドラム本体から除去され、及び/又はこの結果として最悪の筋書きでは、所定の破壊点が遠心分離ドラムに形成される。遠心分離ドラムは、大きな負荷を受けるいくつかの動作条件の下では亀裂を生じるに至るか、又は遠心分離ドラムを破壊することさえもありうる。即ち、ドラムの材料内の機械的応力が発生するかもしれず、材料のひずみさえも結果的に起ることがあり、こうして、遠心分離ドラムの回転対称性が悪くゆがみ、これは続く平衡動作中にコスト上昇と複雑性を引き起こすからである。
【0033】
更に、遠心分離ドラムの溝の機械切削中に、機械的応力がドラムの材料に生じる可能性があり、又は材料の変形さえも起り得るので、遠心分離ドラムの回転対称性はひどく阻害され、これが動作の不均衡を引き起こすかもしれない。こうして、この種の遠心分離ドラムは溝の導入を通じて役に立たなくなることもあり得る。
【0034】
更なる考慮すべき欠点は、最高レベルの衛生規格を維持しなければならない超高純度の製品を加工処理する場合、例えば超高純度の医薬製品を加工処理する場合であり、この場合、ドラムをしばしば、最悪の場合には投入物を加工処理した後にそれぞれ、清浄化しなければならない。濾過布が固定された溝の正しい清浄化は、この装置では特に問題となる。その理由は、清浄化動作のための溝へのアクセスが困難であり、特定の幾何学的形状によってはしばしば、所望の清浄度まで完全に清浄化することができないからである。
【非特許文献1】シタール(W.Stahl)、「産業用遠心分離機(Industry Centrifuge)」、DrM PRESS出版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
したがって本発明の目的は、濾過材、とりわけ織物濾過布を遠心分離ドラムの中で特に簡単に、迅速に、更に確実に取り付け又は取り替えることができる、改善された遠心分離ドラムであって、できるだけ大きい機械的安定性を有し、同時に最高レベルの衛生規格に従っても簡単に且つ最も効果的に清浄化することができ、したがって従来技術で知られている欠点を大幅に回避することのできる、改善された遠心分離ドラムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
これらの目的を満たす本発明の主題は、独立請求項1の特徴部によって特徴付けられる。
【0037】
各従属請求項は、本発明の特に有利な具体例に関するものである。
【0038】
したがって本発明は、遠心分離ドラムを形成するドラム蓋と、ドラム基部と、ドラム・ジャケットとを含む、混合物を固形物ケークと液相とに分離するための遠心分離装置用遠心分離ドラムであって、ドラム・ジャケットが遠心分離ドラムの長手方向軸線に沿って延在し、ドラム蓋およびドラム基部は長手方向軸線に直角に配置され、ドラム・ジャケットに関して向かい合って直径方向に延在している、遠心分離ドラムに関する。この点について、遠心分離ドラムは、設置された状態では遠心分離装置の長手方向軸線の周りに回転可能に配置され、動作状態では駆動部によって長手方向軸線の周りに予め決定可能な速度で回転可能であり、濾過材が遠心分離ドラムの内周表面に備えられ、取付デバイスが遠心分離ドラムの内周表面に少なくとも区分分割して(section−wise)備えられている。本発明によれば、取付デバイスは、遠心分離ドラムの長手方向軸線に向う方向に遠心分離ドラムの中に半径方向に突き出た取付ウェブの形態を有し、内周表面上で遠心分離ドラムの周方向に沿って長手方向軸線の周りに延在している。
【0039】
本発明による遠心分離ドラムの利点は明白である。
【0040】
濾過材、言い換えれば例えば濾過布をドラム蓋、及び/又はドラム基部、及び/又はドラム・ジャケットに取り付けるための溝の機械切削が省かれることにより、遠心分離ドラムの製造がかなり簡略化される。したがって、この製造は、濾過布を取り付けるためのフライス加工溝を備えた従来技術で知られている遠心分離ドラムの製造よりも経済的になる。更に、本発明による遠心分離ドラムは機械的にはるかに安定している。その理由は、溝の削り出しが省かれ、それにより、遠心分離ドラムから機械切削により材料を除く必要がないからである。機械切削は、既知の遠心分離ドラムの対応する点又は領域において材料の機械的弱化に至ることもある。
【0041】
そのうえ、本発明による遠心分離ドラムははるかに簡単且つ確実に清浄化が可能であり、特に最高レベルの衛生規格が課される高度に敏感な超高純度の製品の加工処理において、(しかし例えば超高純度の医薬製品の加工処理におけるのみではなく)決定的な役割を演じる。
【0042】
本発明による取付ウェブの形態の取付デバイスは更に、遠心分離ドラムのドラム蓋及び/又はドラム基部及び/又はドラム・ジャケットの内周表面の上、或いは内周表面に簡単に取り付けられる。本明細書の序において図1〜図3dによって詳細に説明したような取付溝を有する、既に使用に供されている更に古い遠心分離ドラムにおいても、本発明による遠心分離ドラムに簡単に転換することができる。これは例えば、取付ウェブを遠心分離ドラムに後で溶接するか、又は別の手法で遠心分離ドラムに設置することができる。これは、例えば加工処理しようとする製品について過度に高い衛生又は純度が要求されないために、例えば溝内の汚染がそれほど問題にされない場合に、特に興味ある変形である。
【0043】
したがって、例えば、上記の糸又は紐により濾過布が溝に押し込まれるのに適しているだけの図3a又は図3bによる形式の遠心分離ドラムを、本発明による取付ウェブを遠心分離ドラムに単に遡及的に設置することによって、締付リングを有する濾過布も使用できるように転換することができる。
【0044】
従来技術の既存の遠心分離ドラムを本発明の遠心分離ドラムに転換することは、様々な場合において行うに値するものである。その理由は例えば、本発明による遠心分離ドラムにおける濾過材の取付けははるかに簡単で、はるかに速く、誤りが生じ難いからであり、これによって、特に濾過布の頻繁な交換が必要な場合に、本発明による遠心分離ドラムへの転換はこれらの理由のみで行うに値するものである。
【0045】
本発明の特に重要な利点として、従来技術の遠心分離ドラムの転換を顧客の施設で、その上、本発明による形式への転換のために遠心分離装置の遠心分離ドラムを取り除くことを必要としなくても実施できることを強調すべきである。これは、古い遠心分離ドラムを顧客の施設で遠心分離装置に設置された状態で、快適且つ遡及的に転換できることを意味する。
【0046】
好ましい実施例では、取付デバイスは、ドラム基部から予め決定可能な間隔で周方向に沿って延在し、周方向に延在する第1環状取付空間が、ドラム蓋と濾過材を取り付けるための取付デバイスとの間に形成される。
【0047】
必ずしも必要ではないが、同時に又は代わりとして、取付デバイスが、ドラム蓋から予め決定可能な間隔で周方向に沿って延在できることは好ましく、それにより、周方向に延在する第2環状取付空間がドラム蓋と取付デバイスとの間にも形成されるか、又はドラム蓋と取付デバイスとの間に形成される
【0048】
これは、例えば濾過布を締付リング又は一体化された取付リングによって第1又は第2取付空間に固定できるように、取付ウェブが好ましくは軸方向に関して遠心分離ドラムの両端部に備えられることを意味する。
【0049】
特殊な場合に、好ましくはブロッキング・ピン(blocking pin)として形成されるこの構成に、複数の取付ウェブが備えられる。これは、複数のブロッキング・ピンが固定ウェブとして周方向に備えられることを意味し、これらの固定ウェブは遠心分離ドラムの内部で周方向に、例えばドラム蓋及び/又はドラム基部及び/又はドラム・ジャケットに、好ましくは同じ間隔で配置される。こうして濾過布を、例えば締付リングを用いて、及び/又は一体化取付リングを用いて、第1及び/又は第2取付空間に、例えば締付け又は押込みによって取り付けることができる。
【0050】
実用的使用のための特に重要な具体例では、取付ウェブは、ドラム・ジャケット及び/又はドラム基部及び/又はドラム蓋に溶接された溶接ボルトであり、並びに/或いは、取付ウェブは取付ボルトであって、ドラム・ジャケット及び/又はドラム基部及び/又はドラム蓋にねじ込まれ、並びに/或いは、取付ボルトは、ドラム・ジャケット及び/又はドラム基部及び/又はドラム蓋に固定される。
【0051】
これは、例えば、複数の孔を遠心分離ドラム内の、このような取付ボルトが備えられる各対応個所に設け、次にこれらの孔に取付ボルトを、それ自体知られている方法でねじ込むか、鋲締めするか、又は溶接される。
【0052】
実用的使用のための非常に重要な実施例では、各孔を遠心分離ドラムのこれらの個所に事前に設けることを必要とせずに、溶接ボルトが、ドラム・ジャケット及び/又はドラム基部及び/又はドラム蓋の各対応個所に直接に溶接される。
【0053】
ある特別な場合、個別の取付ボルトの代わりに、取付ウェブを周方向に中断なく延在するブロッキング・ウェブ(blocking web)にすることもでき、これは前述の方法の1つにしたがって、特に遠心分離ドラムの内部表面に直接溶接することによって同様に取り付けることができる。
【0054】
濾過材自体は濾過布であり、例えば好ましくは織物濾過布、具体的にはプラスチック製の濾過布、特にポリプロピレン製の濾過布、及び/又は金属製の濾過布、及び/又は複合材料製、特に炭素複合材料製の濾過布、及び/又はその他の適切な材料で作られた濾過布である。
【0055】
この点について、取付デバイスは、濾過布が締付リングを使用する取付デバイスによって取付けることができるように設計されることが好ましい。濾過布は、特に締付リングを、好ましくは、本明細書の導入部で記載したように従来技術でよく知られているような迅速締付リングを挿入するためのヘムステッチ縫い目を備えることができる。
【0056】
取付デバイスを、以下のように設計することもできる。すなわち、一体化された取付リングを有する濾過布、特に溶接された取付リング有する濾過布、好ましくは矩形断面の一体化された及び/又は溶接された取付リングを有する濾過布を、取付デバイスによって取り付けることができるように設計できる。
【0057】
一般に、それ自体知られているすべての取付方法、及び溝に取り付けるための従来技術から適当であり、且つ本明細書の導入部に既に部分的には詳細に記載された附属の濾過材即ち濾過布を、本発明による遠心分離ドラムにおいて、どのような変更も加えることなく有利に使用することも可能である。
【0058】
この点について、本発明による遠心分離ドラムは、基本的に、あらゆる種類の遠心分離装置に有利に使用できる。このため、本発明は更に、本発明による遠心分離ドラムを備えた、遠心分離装置、特に垂直又は水平ジャーナル軸受け式遠心分離装置、連続又は不連続運転式遠心分離装置、特に管式遠心分離装置、ピーラー付遠心分離装置、デカンタ型遠心分離装置、滑り排出遠心分離装置、一段式又は多段式押出し排出型遠心分離装置、ダブル・プッシャ遠心分離装置、又は振動遠心分離装置に関するものである。
【実施例】
【0059】
本発明を、添付の図面を使用して以下に更に詳しく説明する。
【0060】
既に述べたように、図1から図3dまでは従来技術を図示しており、本明細書の序章部で既に詳細に説明したので、更なる記載はここでは省くことができる。
【0061】
図4は、以下に全体として符号1で示される本発明による遠心分離ドラムの第1実施例の一部を断面図で概略的に示したものである。図4〜図10に使用される各符号には、これらの図が本発明の実施例に関するものであるから、アポストロフィは付いていない。既に述べたように、図1〜図3dの符号のみが、これらが従来技術に関するものであるからアポストロフィを付けている。
【0062】
図4における本発明による遠心分離ドラムでは、濾過布6が、遠心分離ドラム1内で、複数の溶接ボルト71およびドラム蓋2によって周方向8に形成された第2取付空間9に、締付リング10によって取り付けられている。
【0063】
遠心分離装置の蓋2の反対側に、図4には示されていないドラム基部が位置する。ドラム基部も、同様に複数の溶接ボルト71を備える第1取付空間を形成し、円筒状に形成された濾過布6の他の端部も同様に、迅速締付リング10によって固定される。
【0064】
遠心分離ドラム1は、それ自体知られている様式で、複数の排液開口31を有するドラム・ジャケット3と、ドラム蓋2とを含み、排液開口31を通じて、遠心分離された液相を遠心分離ドラム1から排出することができ、ドラム蓋2を通じて、例えば開口21を通じて、脱水しようとする懸濁液を導入することができる。更に、上に述べたように、遠心分離ドラム1は、分かり易くするために図示されていないドラム基部によって形成され、この基部には、遠心分離ドラム1を駆動するための、同様に図示されていない回転式駆動部が結合されている。
【0065】
ドラム・ジャケット3は、遠心分離ドラム1の長手方向軸線4に沿って円筒の形に延在し、ドラム蓋2及びドラム基部は長手方向軸線4に直角に配置され、ドラム・ジャケット3上に直径方向に対向して置かれ、したがって円筒形遠心分離ドラム1の2つの端部表面を形成している。濾過材6は、この場合は織物濾過布6であるが、遠心分離ドラム1の内周表面5に備えられ、締付リング10によって遠心分離ドラム1の両端部に取り付けられている。
【0066】
その上、長手方向に関して分かるように、周辺縁取り継ぎ目61が濾過布6の両端部において周方向に備えられ、遠心分離ドラム1の中に濾過布6を設置する前に、周辺縁取り継ぎ目61に締付リング10を差し込む。
【0067】
次に設置のために、濾過布6を遠心分離ドラム1の内周表面5に配置し、締付リング10を備えた中空継ぎ目61を第1取付空間及び/又は第2取付空間に置き、次に締付リング10を、例えばそれ自体周知で従来技術の記載で既に説明した締付けデバイスによって固定する。
【0068】
したがって、図4は、本発明によって、従来技術から知られている溝の機能が、取付ウェブ7,71の隣接するドラム蓋2及び/又はドラム基部及び/又はドラム・ジャケット3との協働によって置き換えられるので、濾過布6を取り付けるための溝を省くことができることを、みごとに図示している。
【0069】
図5は、図4における細部Dの拡大図である。溶接ボルト71は、図7においても説明されるが、溶接ガンを使用して遠心分離ドラム1のドラム・ジャケット3に溶接される。溶接ボルト71は、例えば、本来は約12mm〜20mmの長さを有し、図5からはっきり分かるように、溶接後に平坦に研削され、このため、濾過布6は損傷を受けることなく溶接ボルト7上に置かれることができ、更に遠心分離装置の動作状態において圧力負荷が上昇しても破損されない。この配置では、溶接ボルト71を、図4及び図5の特別な実施例では約2〜3mmの高さHにまで、研削することができる。
【0070】
図6には、2つの側面に溶接された溶接ボルトが図示されている。このボルトは、ドラム蓋2とドラム・ジャケット3に同時に溶接されており、これによって、溶接ボルト71と遠心分離ドラム1との連結のより高い安定性が、特に動作中の高負荷に対して、達成することができる。なお、図6の実施例では、濾過布6はまだ遠心分離ドラム1に挿入されていない。
【0071】
溶接ボルト71とドラム・ジャケット3との溶接ガン11による溶接を、図7に概略的に示す。溶接ガン11および金属基板上の溶接ボルト71のこの形式の溶接は、それ自体公知であり、取扱いは非常に容易である。溶接ボルト71は例えば溶接ガン11の中に挿入され、又は溶接ガン11は溶接ボルト71を格納するマガジンを有し、その後、溶接ガン11は、ドラム基部、又はドラム蓋2、又はドラム・ジャケット3の所望の個所に取り付けられる。この方法で溶接ボルト71をドラム壁の上に置くと、溶接ガン11を作動させ、溶接ボルト71をドラム壁に溶接して固定する。この点について、溶接手順を実施するために、溶接ガン11を例えばドラム蓋2の開口21を通じて遠心分離ドラム1の中に快適に挿入することができ、こうして、溝を備えた古い遠心分離ドラムを快適に改装して遠心分離装置にし、実際に設置された状態にすることができる。
【0072】
本発明による遠心分離ドラム1の第2実施例を図8に概略的に示す。これは、取付ウェブ7、71が、換言すれば例えば溶接ボルト71が、矩形断面の一体化取付リング100(本実施例では濾過布6に溶接された取付リング100)を遠心分離ドラム1に確実に固定できるように配置されている点のみが、図4の実施例とは本質的に異なる。
【0073】
最後に、図9及び図10は各々、元来は溝700を備えていた改装された遠心分離ドラム1を概略的に示す。
【0074】
この点について、図9及び図10による元来の遠心分離ドラムは、転換前と完全に同じものであった。本発明の図9による遠心分離ドラム1は、迅速締付リング10を備えた濾過布を遠心分離ドラムに取り付けることができるように転換され、図10による遠心分離ドラムは、一体化取付リング100を備えた濾過布6を遠心分離ドラム1に設置できるように変換された。
【0075】
例として先に説明した本発明による遠心分離ドラムの特に好ましい設計変形の特色も、要求に応じて有利な様式で組み合わせることができ、原則としてあらゆる形式の遠心分離装置において使用できることは言うまでもない。特に、本発明による遠心分離ドラムは、垂直又は水平ジャーナル軸受け式遠心分離装置、連続又は不連続運転式遠心分離装置、特に管式遠心分離装置、ピーラー付遠心分離装置、デカンタ型遠心分離装置、滑り排出遠心分離装置、一段式又は多段式押出し排出型遠心分離装置、ダブル・プッシャ遠心分離装置、又は振動遠心分離装置に有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】従来技術による周知の遠心分離装置を示す図。
【図2】周知の締付リングの第1例を示す図。
【図2a】周知の締付リングの第2例を示す図。
【図3a】取付溝を備えた周知の遠心分離ドラムの第1例を示す図。
【図3b】図3a第2例を示す図。
【図3c】図3a第3例を示す図。
【図3d】図3a第4例を示す図。
【図4】本発明による遠心分離ドラムの第1実施例を示す図。
【図5】図4による取付ウェブの詳細図。
【図6】2つの側部で溶接された溶接ボルトを示す図。
【図7】溶接ガンによる溶接ボルトの溶接を示す図。
【図8】本発明による遠心分離ドラムの第2実施例を示す図。
【図9】転換された遠心分離ドラムの第1例を示す図。
【図10】図9による第2例を示す図。
【出願人】 【識別番号】504142086
【氏名又は名称】フェルルム アクチェンゲゼルシャフト
【出願日】 平成19年12月20日(2007.12.20)
【代理人】 【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓

【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇

【識別番号】100123180
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 克則

【識別番号】100087217
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕


【公開番号】 特開2008−155208(P2008−155208A)
【公開日】 平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願番号】 特願2007−328500(P2007−328500)