トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心機
【発明者】 【氏名】清水 隆寛

【氏名】早坂 浩

【要約】 【課題】ドライブユニットの重心位置を回転軸に一致させた遠心機の提供。

【構成】フレーム2と、遠心分離する試料を収容するロータ7と、フレーム2上にダンパ5を介して配置され、ロータ7を支持して一体に回転する回転軸部6Aを有したシャフトユニット6と、フレーム2上にシャフトユニット6と独立して配置されてロータ7を回転駆動するモータ8と、回転軸部6Aとモータ8との間に介在してモータ8の駆動力を回転軸部6Aに伝達するベルト9Aと、ベルト9Aの走行に連動してベルト9Aの張力を一定に保持するアイドラプーリ部10とを備えた遠心機を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
遠心分離する試料を収容する回転体と、
該フレーム上にダンパを介して配置され、該回転体を支持して回転する回転軸部を有したシャフトユニットと、
該フレーム上に該シャフトユニットと独立して配置されて該回転体を回転駆動する駆動装置と、
該回転軸部と該駆動装置との間に介在して該駆動装置の駆動力を該回転軸部に伝達するベルトと、
該ベルトの走行に連動して該ベルトの張力を一定に保持するアイドラプーリとを備えたことを特徴とする遠心機。
【請求項2】
該アイドラプーリは弾性体を介して該フレームに移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遠心機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は遠心機に関し、特に卓上型の遠心機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遠心機の構造の一例として、特許文献1に示されるように、フレームにベースがダンパを介して支持され、ベース上にモータとシャフトユニットとを並べて配置し、ベースの下側にモータの駆動力をシャフトユニットに伝達するベルトを配置する構造がある。
【特許文献1】米国特許第4022375号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の遠心機では、ベース中央付近にシャフトユニット及びそれに取り付けるロータ、片方の端に質量の大きいモータが配置されている。よってベース及びそれに取り付けられる部品全体(ドライブユニットと称す)の合成重心の位置はロータの回転中心から駆動装置側へずれた位置になる。この合成重心の位置ずれにより、ロータ回転時に発生する回転振動が不規則振動となっていた。そのため、ロータの不釣合いによってシャフトに加わる曲げ応力が繰り返し応力となり、シャフトが早期に破断するなどの問題が生じていた。
【0004】
ドライブユニットの重心をロータの回転中心付近に近づける若しくは一致させるためには、回転中心に対しモータの反対側にバラストを取り付ければ良いが、それでは原価高となるだけでなく装置全体の重量が重くなるなど不都合が多い。
【0005】
そこで本発明は、無駄なバラストを取り付けずにドライブユニットの重心位置を回転軸に一致させた遠心機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、フレームと、遠心分離する試料を収容する回転体と、該フレーム上にダンパを介して配置され、該回転体を支持して回転する回転軸部を有したシャフトユニットと、該フレーム上に該シャフトユニットと独立して配置されて該回転体を回転駆動する駆動装置と、該回転軸部と該駆動装置との間に介在して該駆動装置の駆動力を該回転軸部に伝達するベルトと、該ベルトの走行に連動して該ベルトの張力を一定に保持するアイドラプーリとを備えた遠心機を提供する。
【0007】
このような構成によると、フレーム上に設けられたシャフトユニット及びシャフトユニットに設けられる回転体等を含む回転に係る機構の合成重心を回転軸部と略同軸上とすることができる。またベルトにより回転軸部に加えられる回転軸部の軸方向と略直交する方向への力を一定に保つことができ、ベルトによりシャフトユニットに加えられる力の変動を抑制することができる。よって回転運動が不規則振動となることが抑制される。尚、ベルトとプーリは同様の構成を採る駆動機構であればこれに限らず、例えばチェーンとアイドラスプロケットとから構成されていてもよい。
【0008】
上記構成の遠心機において、該アイドラプーリは弾性体を介して該フレームに移動可能に設けられていることが好ましい。
【0009】
このような構成によると、該アイドラプーリはフレーム上を移動することが可能なため、回転体の不釣合いによって発生するシャフトユニットの振動がベルトを介して駆動装置へ伝達されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遠心機によれば、回転に係る機構の重心位置を回転軸に一致させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態による遠心機について図1乃至図3に基づき説明する。図1に示されている遠心機1は、フレーム2と、ボウル3と、ベース4と四本のダンパ5と、シャフトユニット6と、ロータ7と、モータ8と、駆動力伝達機構9とから主に構成されている。フレーム2は、遠心機1の外枠及び底面を構成し、上端に開口部2aが形成された箱型形状を成している。フレーム2上端の開口部2a位置には、蓋11が開閉可能に設けられている。また図2に示されるように、フレーム2の底面を構成する底壁部分には、フレーム2の底面上において、後述の出力軸部8Aと回転軸部6Aとをそれぞれ第一の頂点と第二の頂点とした仮想の三角形であって第三の頂点となる位置に長孔2bに沿って移動可能に設けられているプーリ軸部10Bが形成されている。この長孔2bは、その長手方向が、上述した仮想の三角形の第一の頂点と第二の頂点とを結ぶ仮想の直線と略直交する方向になるように形成されている。
【0012】
図1に示されるように、ボウル3は有底円筒形状をなしており、フレーム2の上端開口部2aに嵌め込まれてフレーム2内に配置され、複数のボウル取付部3Aを介してフレーム2の底壁に固定されている。ボウル3の底部には、シャフトユニット6が挿入されるシャフトユニット挿通孔3aが形成されている。またボウル3は、その筒内にロータ室12を画成している。
【0013】
ベース4は略正方形の平面を有する板材から構成され、その中央部分には後述の回転軸部6Aを挿通させる回転軸挿通孔4aが設けられており、ボウル3の底面とフレーム2の底面との間であって回転軸挿通孔4aの中心が、シャフトユニット挿通孔3aの中心と一致する位置に配置されている。
【0014】
四本のダンパ5は、何れも略同形状に構成されており、フレーム2の底面に設けられてベース4を支持している。より詳しくは、図2に示されるように、ベース4に対して、回転軸部6Aが挿入されている回転軸挿通孔4a(図1)を中心とした同心円位置に均等配置されるように設けられている。よってベース4は、フレーム2の底面と略平行になるように配置され、かつダンパ5によりフレーム2との間で縁切りがなされ、フレーム2とベース4との相互間で振動の伝達が抑制されている。
【0015】
シャフトユニット6はベース4上に設けられ、回転軸部6Aと、一対のベアリング6B、6Bと、保持部6Cとから構成されている。回転軸部6Aは、その軸方向がベース4の平面と略直交する様に配置されている。回転軸部6Aのフレーム2の底面に近接する一端側は、回転軸挿通孔4aの中央を貫通しており、ベース4とフレーム2の底面との間に位置する部分には、後述の第二プーリ9Cが設けられている。回転軸部6Aの他端側は、シャフトユニット挿通孔3aを貫通してロータ室12内に突出している。回転軸部6Aの他端側の最端部には、試料から被分離試料を分離するためのロータ7が固定されている。
【0016】
保持部6Cは、略筒状に構成され、その筒の軸方向の一端でベース4に固定されており、その重心位置がその筒の軸上に位置するように構成されている。保持部6Cの筒内には、一対のベアリング6B、6Bが保持されている。一対のベアリング6B、6Bは、回転軸部6Aの一端と他端との間の中間部分に並設され、回転軸部6Aを回転可能に支承している。故に回転軸部6Aは、ベース4上に保持部6C及び一対のベアリング6B、6Bを介し回転可能に支承されており、回転軸部6Aの他端に設けられているロータ7は、ロータ室12内で回転可能となっている。
【0017】
ロータ7はその重心位置で回転軸部6Aに接続されている。故に回転軸部6Aの回転軸周りの回転によりロータ7が回転する場合、ロータ7の回転軸上に重心位置が来ることになり、スムーズに回転することができる。
【0018】
モータ8は、その出力軸部8Aがフレーム2の底面側を向くように配置され、保持部8Bによりフレーム2の底壁に固定されている。出力軸部8Aの先端には後述の第一プーリ9Bが取り付けられている。
【0019】
駆動力伝達機構9は、ベルト9Aと前述の第一プーリ9B及び第二プーリ9Cとアイドラプーリ部10とから主に構成されている。第一プーリ9B及び第二プーリ9Cは、それぞれ出力軸部8Aと回転軸部6Aの端部に設けられると共に、フレーム2の底面からの距離が略等しくなるように配置されている。
【0020】
アイドラプーリ部10は、図2及び図3に示されるように、アイドラプーリ10Aと、プーリ軸部10Bと、バネ10Cとから構成されている。プーリ軸部10Bは、長孔2b内に一端が挿入されており、フレーム2の底面で長孔2bの長手方向に移動可能に支持されている。アイドラプーリ10Aは、プーリ軸部10Bの他端に設けられており、第一プーリ9B及び第二プーリ9Cとフレーム2の底面からの距離が略等しくなるように配置されている。バネ10Cはその一端がプーリ軸部10Bに接続され、他端がフレーム2の側壁に固定されている。またバネ10Cは、その伸縮方向が長孔2bの長手方向と略平行になるように配置されている。
【0021】
ベルト9Aは、第一プーリ9Bと第二プーリ9Cとアイドラプーリ10Aとに跨って掛けられている。ベルト9Aは、プーリ軸部10Bがバネ10Cによってフレーム2の壁面側へ引っ張られることによって張力が増していき、バネ10Cの力とベルト9Aとの張力が釣り合った位置でプーリ軸部10Bは静止する。すなわち、バネ10Cのバネ定数が大きければベルト9Aの張力は強くなり、バネ定数が小さいと張力は弱くなる。
【0022】
遠心機1を操作する場合には、図示せぬスタートスイッチを押すことによって、モータ8の駆動が開始される。モータ8の駆動により出力軸部8Aが回転し、この回転はベルト9Aを介して回転軸部6Aに伝達される。回転軸部6Aの回転と共にロータ7も回転し、ロータ7内の試料から被分離試料が分離する。また、ロータ7の回転によりシャフトユニット6及びベース4は振動するが、ダンパ5により振動は低減される。
【0023】
ロータ7の回転時においてその重心位置は回転軸部6Aの軸上に位置している。シャフトユニット6の重心も回転軸部6Aの軸上にある。ベース4の重心位置は、その中心である回転軸挿通孔4a中心であるが、この中心は、回転軸部6Aの軸上に位置している。よってベース4上に配置された部品(ドライブユニットと称す)は、全て同じ軸上に重心が位置している。
【0024】
重量物であるモータ8は、ベース4とダンパ5を介して接続されるフレーム2上に配置されているため、ドライブユニットが振動する際にその重心を考慮する必要は無い。故にシャフトユニット6の合成重心と回転体であるロータ7の重心位置とは、同軸上になり、ロータ7の回転振動が不規則振動となるのを防止することが可能となる。回転振動が不規則振動とならないため回転軸部6Aに曲げの繰り返し応力がかからず回転軸部6Aの折損を防止することが可能となる。
【0025】
またドライブユニットの振動に起因して回転軸部6Aに設けられている第二プーリ9Cが振動するのに対し、モータ8により支持されている第一プーリ9Bは振動せずにその場で回転するため、ベルト9Aの張力は遠心機1運転中に常に変動してしまう。よってベルト9Aに滑りが生じてベルト9Aの寿命が著しく低下する等の不具合が発生する可能性がある。しかし、アイドラプーリ10Aがバネ10Cによってフレーム2の壁面側へ引っ張られ、それによりアイドラプーリ10Aに掛けられているベルト9A引っ張られる。これによりベルト9Aはドライブユニットの振動に関係なく常に一定の力で引きつけられ一定の張力を保つことができる。よって図示せぬ試料容器内の試料のバラツキに起因するロータ7の不釣合いにより発生するシャフトユニット6等に発生するの振動が、ベルト9Aを介してモータ8へ伝達することが抑制される。また常に一定の力でベルト9Aを引っ張ることにより、振動によるベルト9Aの緩みに起因するベルト滑りを抑制することが可能となる。
【0026】
尚、本発明の遠心機は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る遠心機の側断面概略図。
【図2】本発明の実施の形態に係る遠心機の平断面概略図。
【図3】本発明の実施の形態に係る遠心機のアイドラプーリを示す部分断面概略図。
【符号の説明】
【0028】
1・・遠心機 2・・フレーム 2a・・開口部 2b・・長孔 3・・ボウル
3A・・ボウル取付部 3a・・シャフトユニット挿通孔 4・・ベース
4a・・回転軸挿通孔 5・・ダンパ 6・・シャフトユニット 6A・・回転軸部
6B・・ベアリング 6C・・保持部 7・・ロータ 8・・モータ 8A・・出力軸部
8B・・保持部 9・・駆動力伝達機構 9A・・ベルト 9B・・第一プーリ
9C・・第二プーリ 10・・アイドラプーリ部 10A・・アイドラプーリ
10B・・プーリ軸部 10C・・バネ 11・・蓋 12・・ロータ室
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年9月5日(2006.9.5)
【代理人】 【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩

【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸

【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子


【公開番号】 特開2008−62124(P2008−62124A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−239788(P2006−239788)