トップ :: B 処理操作 運輸 :: B04 物理的または化学的工程を行なうための遠心装置または機械

【発明の名称】 遠心機
【発明者】 【氏名】楠元 昭二

【氏名】大津 新喜

【要約】 【課題】遠心機において高速回転時に低い周波数の自励振動が発生する場合がある。また、遠心機の振動減衰に使用している防振ゴムは温度特性を持っており温度によって振動が不安定となる場合がある。本発明の目的は振動に対する減衰量を増加させた防振機構を具備する遠心機を提供することにある。

【構成】遠心機100の防振機構部20a、20bは、上下方向に撓む支持部材(梁部)6a、6bと、梁部6a、6bを筐体9に弾性体21a、21bを介して支持する支持部7a、7bと、梁部6a、6bによって駆動装置2のアーム部材4a、4bに押し当てられた摩擦減衰部5a、5bとから構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内に装着された回転軸を有する駆動装置と、前記駆動装置の回転軸に結合された、分離する試料を保持するロータと、前記駆動装置を前記筐体内に装着するためのダンパとから構成される遠心機において、前記筐体に支持される支持部材と、前記支持部材に配設されて前記駆動装置に結合もしくは接触する減衰部とを具備する防振機構部を有し、前記防振機構部は、前記駆動装置から前記防振機構部に受ける振動変位を前記減衰部により減衰させることを特徴とする遠心機。
【請求項2】
前記支持部材は前記駆動装置の前記回転軸方向において上下に撓む薄板より成り、その端部は弾性体で挟持された支持部を介して前記筐体に支持され、前記減衰部の一端は前記支持部材に固定され、前記減衰部の他端は摩擦部材を介して前記駆動装置の一部に接触されていることを特徴とする請求項1に記載された遠心機。
【請求項3】
前記減衰部は前記駆動装置に対しバネ反力を有さないことを特徴とした請求項1または請求項2に記載された遠心機。
【請求項4】
前記減衰部は前記梁部のバネ反力より小さいことを特徴とした請求項1乃至請求項3に記載された遠心機。
【請求項5】
前記減衰部は前記振動変位に対し摩擦により減衰を与えることを特徴とした請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載された遠心機。
【請求項6】
前記減衰部は磁石と摩擦部材とから成り、前記磁石の磁力により前記駆動装置の磁性部に前記摩擦部材を接触させるようにしたことを特徴とした請求項5に記載された遠心機。
【請求項7】
前記減衰部は電磁コイルによって磁化される磁石と摩擦部材とから成り、前記電磁コイルの磁力により前記駆動装置の磁性部と前記摩擦部材が接触するようにしたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載された遠心機。
【請求項8】
前記電磁コイルの電流を制御する制御装置を有し、前記制御装置は前記ロータの回転速度の検出信号に基づいて前記電磁コイルに流す電流を制御することにより前記電磁コイルの電磁力を調整することを特徴とした請求項7に記載された遠心機。
【請求項9】
前記制御装置は、前記ロータの振動の検出信号に基づいて、前記電磁コイルに流す電流を制御することにより前記電磁コイルの電磁力を調整することを特徴とした請求項7に記載された遠心機。
【請求項10】
前記制御装置は、前記駆動装置によって駆動される前記ロータの種類を判別する検出信号に基づいて、前記電磁コイルに流す電流を制御することにより前記電磁コイルの電磁力を調整することを特徴とした請求項7に記載された遠心機。
【請求項11】
前記制御装置は、前記ダンパの温度またはその周囲温度の検出信号に基づいて、前記電磁コイルに流す電流を制御することにより前記電磁コイルの電磁力を調整することを特徴とした請求項7に記載された遠心機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータの振動を低減させた遠心機に関し、特に、ロータの駆動装置をダンパにより筐体に支持した防振構造を改良した防振機構に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心機は、遠心分離する試料をチューブやボトルを介してロータに挿入し、ロータをモータから成る駆動装置の回転軸に結合させて高速回転させることにより試料の分離、精製を行うものである。回転速度は、分離、精製すべき試料の用途によって異なり、用途に合わせて数千rpmの低速回転から、150,000rpm等の高速回転までの種々の製品が一般に提供されている。駆動装置で駆動されるロータの種類も用途によりチューブ穴が固定式のアングルロータや、チューブを装填したバケットを回転させることにより垂直状態から水平状態に揺動させるスイングロータ等があり、これら各種ロータは、ロータを回転させる駆動装置の回転軸を介して着脱、交換が可能となっている。
【0003】
従来の遠心機では、下記特許文献1に開示されているように、駆動装置の振動はダンパと呼ばれる防振ゴムを介して筐体(フレーム)に支持することにより減衰させる構造になっている。さらに、ロータ自体のインバランスや、ロータ内に装填される試料の容量、質量等のインバランスにより発生するロータの振動は、ロータのみならず、回転軸を通して駆動装置にも伝わり、駆動装置を支持している防振ゴム(ダンパ)により減衰される。
【0004】
遠心機に関する振動については、大きく次の2点が問題となる。第1点は自励振動の問題である。下記特許文献2に開示されているように、ロータに挿入する試料のインバランスやロータの回転軸と支持円筒軸のガタツキに基づいて、高速回転時に回転成分とは異なる低い周波数成分の自励振動が発生する場合がある。これは回転する構造体側の減衰量(内部減衰量)が、防振ゴム等の支持側の振動減衰機構における減衰量(外部減衰量)より大きい場合に発生する自励振動と呼ばれるものである。また、第2点の問題は、下記特許文献3に開示されているように、防振ゴムの減衰特性(減衰定数)に温度依存性を有するという問題がある。室温や運転状況など防振ゴムの使用温度範囲(例えば、2℃〜40℃)において、防振ゴムの温度変化に対して振動の減衰量が大きく影響されてしまうことである。
【0005】
これらの振動問題に関し、下記特許文献4および下記特許文献5には、ロータのインバランスに基づく振動を検出する技術が開示されている。また、特許文献1にはインバランス検出センサを設け、その出力信号が所定値以上となった場合は駆動装置を停止させることが開示されている。さらに、特許文献2には自励振動の発生を抑えるための駆動軸へのロータの取付け方法が開示され、特許文献3には防振ゴムの温度依存性を補償するためにペルチェ素子を用いて防振ゴムの環境温度を制御して減衰特性を最適値に保持する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−7093号公報
【特許文献2】特開平9−239293号公報
【特許文献3】特開2004−64945号公報
【特許文献4】特公平7−26669号公報
【特許文献5】特開2005−111402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の遠心機における振動系の減衰は、殆ど防振ゴムの設置に頼っており、減衰量を増やすために防振ゴムの設置数を増やすことが行なわれていたが、防振ゴムの設置数を増やすことは、単に減衰量(減衰定数)を増やすことにはならず、防振ゴムによるバネ反力を増やすことになる。その結果、バネ反力が大きくなると駆動装置から防振ゴム(ダンパ)を介して筐体に伝わる振動が増えて、筐体が振動し易くなって、充分な減衰量を確保することが困難となる。さらに、上述したように、防振ゴムは減衰量に温度依存性を有するので、温度依存性に基づく減衰量の低下を補償する必要があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、振動に対する減衰量を増加させた防振機構を具備する遠心機を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、防振ゴムの振動減衰量の温度依存性を抑制し得る防振機構を具備する遠心機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本願において開示される発明のうち、代表的なものの特徴を説明すれば、次のとおりである。
【0011】
本発明の遠心機における一つの特徴によれば、筐体と、前記筐体内に装着された回転軸を有する駆動装置と、前記駆動装置の回転軸に結合された、分離する試料を保持するロータと、前記駆動装置を前記筐体内に装着するためのダンパとから構成される遠心機において、前記筐体に支持される支持部材と、前記支持部材に配設されて前記駆動装置に結合もしくは接触する減衰部とを具備する防振機構部を有し、前記防振機構部は、前記駆動装置から前記防振機構部に受ける振動変位を前記減衰部により減衰させる。
【0012】
本発明の遠心機における他の特徴によれば、前記支持部材は前記駆動装置の前記回転軸方向において上下に撓む薄板より成り、その端部は弾性体で挟持された支持部を介して前記筐体に支持され、前記減衰部の一端は前記支持部材に固定され、前記減衰部の他端は摩擦部材を介して前記駆動装置の一部に接触されている。
【0013】
本発明の遠心機におけるさらに他の特徴によれば、前記減衰部は前記駆動装置に対しバネ反力を有さない。
【0014】
本発明の遠心機におけるさらに他の特徴によれば、前記減衰部は前記梁部のバネ反力より小さい。
【0015】
本発明の遠心機におけるさらに他の特徴によれば、前記減衰部は前記振動変位に対し摩擦により減衰を与える。
【0016】
本発明の遠心機におけるさらに他の特徴によれば、前記減衰部は磁石と摩擦部材とから成り、前記磁石の磁力により前記駆動装置の磁性部に前記摩擦部材を接触させる。
【0017】
本発明の遠心機におけるさらに他の特徴によれば、前記減衰部は電磁コイルによって磁化される磁石と摩擦部材とから成り、前記電磁コイルの磁力により前記駆動装置の磁性部に前記摩擦部材を接触させる。
【0018】
本発明の遠心機におけるさらに他の特徴によれば、前記電磁コイルの電流を制御する制御装置を有し、前記制御装置は前記ロータの回転速度の検出信号に基づいて前記電磁コイルに流す電流を制御することにより前記電磁コイルの電磁力を調整する。
【0019】
本発明の遠心機におけるさらに他の特徴によれば、前記制御装置は、前記ロータの振動の検出信号に基づいて、前記電磁コイルに流す電流を制御することにより前記電磁コイルの電磁力を調整する。
【0020】
本発明の遠心機におけるさらに他の特徴によれば、前記制御装置は、前記駆動装置によって駆動される前記ロータの種類を判別する検出信号に基づいて、前記電磁コイルに流す電流を制御することにより前記電磁コイルの電磁力を調整する。
【0021】
本発明の遠心機におけるさらに他の特徴によれば、前記制御装置は、前記ダンパの温度またはその周囲温度の検出信号に基づいて、前記電磁コイルに流す電流を制御することにより前記電磁コイルの電磁力を調整する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、駆動装置の回転軸方向(垂直方向)において撓みのある支持部材と、水平方向の振動変位を摩擦によって減衰させる減衰部とを組合せ、バネ反力(バネ定数)を大きくすることなく、大きな減衰力を発生できるので、外部減衰量を大きくすることができる。従って、従来の防振ゴムのみを用いた減衰効果に対して外部減衰を期待することができる。さらに、減衰量を制御することができるので、自励振動を低減し、防振ゴムの減衰特性の温度依存性に対応した有効な防振機構を構成できる。
【0023】
本発明の上記および他の目的、ならびに上記および他の特徴は、以下の本明細書の記述および添付図面よりさらに明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
図1は本発明の実施形態に係る遠心機の構成図、図2は図1のA−A線に沿う遠心機の断面図、図3は図1に示した遠心機の防振機構の支持部を示す構成図、図4は図1に示した遠心機の防振機構の摩擦減衰部を示す断面図、図5および図6は、図1に示した遠心機の振動モードをそれぞれ示す断面図、図7は図1に示した遠心機の防振機構の摩擦減衰部の他の実施形態を示す構成図をそれぞれ示す。
【0026】
本発明の実施形態に係る遠心機の全体の構成について、図1を参照して説明する。
【0027】
遠心機100は、上面から見た断面形状が略四角形を有する、鋼板材料等から成る筐体(フレーム)9(図3参照)を備え、筐体9の内部には、遠心分離するチューブ等の試料容器(図示なし)を保持するためのチタン合金またはアルミニウム合金等から成るロータ1と、ロータ1に回転軸8を介して高速回転の駆動力を与えるためのモータから成る駆動装置2と、筐体9の第1の連結部材9aによって区画された、ロータ1を収納するロータ室10とを具備し、また、筐体9内に形成されたロータ室10の上部開口部(開閉部)には、ドア11が筐体9に対し開閉自在に取付けられている。
【0028】
ロータ1の底面には、ロータ1の種類を表す識別子(判別コード)(図示なし)を判別するために、ロータ2に近接してロータ判別センサ12が配設されている。ロータ判別センサ12は、例えば磁気センサから成り、磁気センサ12によって検出された信号はロータ判別検出部19cによってロータの種類を判別する判別信号として復調され、後述する制御装置16へ送信される。
【0029】
駆動装置2は、モータを収納する駆動装置本体2aに固定される上部アーム部材4aと下部アーム部材4bを有し、また、回転軸8を覆うシャフトケース8aを有する。駆動装置2の底部には駆動装置本体2aの回転速度を検出するための回転速度センサ15が設けられ、駆動装置2の回転軸8には、回転軸8の振動を検出するための変位センサ(振動センサ)14が設けられている。
【0030】
駆動装置2の上部アーム部材4aは、円形平面形状を有し、複数の防振ゴム(ダンパ)3を介して筐体9の第2の連結部材9bに取付けられ、駆動装置2と筐体9との間の外部減衰量を確保している。特に限定されないが、本実施形態の場合、防振ゴム3は、上部アーム部材4aの円周に沿って120度毎に離間して3箇所に設置されている。防振ゴム3の近傍には温度センサ13が設置され、温度センサ13によって防振ゴム3の周囲温度を検知し、温度検出部19dによって温度信号として復調され、後述する制御装置16へ送信される。
【0031】
本発明に従う第1の防振機構部20aは、図1および図2に示すように、支持部材(以下、「梁部」と称する)6aと、複数の第1の摩擦減衰部5aと、支持部7aとの組合せにより構成される。梁部6aは、後述するように支持部7aの弾性体21を介して筐体9に支持され、摩擦減衰部5aをアーム部材4aに押付けるように配設されている。この梁部6aは、梁部6aの平面を横切る上下方向の荷重に対して撓み、水平方向の荷重に対し伸縮変形しない(撓みのない)弾性体によって構成する。この梁部6aは、例えば、薄い鋼板から成る。
【0032】
梁部6aを筐体9に支持する支持部7aは、図2に示されるように梁部6aの円周部の3箇所を支持する。この支持部7aは、図3に示すように、筐体9に固定された第1の台座22aと、第1の台座22aにネジ24aによって固定された第2の台座22bと、第2の台座22bにネジ24bによって取付けられた保持部23によって挟み込まれた上部弾性体21aおよび下部弾性体21bとによって構成される。梁部6aは一対の弾性体21aおよび21bに包囲されて筐体9に支持されている。このとき、梁部6aの末端にはストッパ部25が設けられ、梁部6aの抜け防止の役目をする。ここで梁部6aは上下方向には駆動装置2を拘束しないが、水平方向には伸縮変形しないような弾性体として機能する。
【0033】
摩擦減衰部5aは、図2に示されるように、支持部7aと対応して梁部6aの円周部の3箇所に設けられ、図4に示されるように、梁部6aにネジ44によって固定された円筒形のヨーク42と、ヨーク42に固定された磁石(例えば、永久磁石)41と、アーム部材4aとヨーク42の間に挟持された、円筒形の摩擦部材43とから構成される。この場合、摩擦部材43は例えばプラスチック材料から形成される。磁石41の磁力によりアーム部材4aに押付けられ、摩擦部材43に対する荷重(圧縮応力)は、磁石41の磁力によって調整できる。なお、磁石41を電磁石として、図7に示すように、磁石41で発生する電磁力を電磁コイル41aで発生させることにより電磁コイル41aに流す電流で磁力を可変とすることができる。すなわち減衰力を可変にすることができる。
【0034】
本発明に従う第2の防振機構部20bは、梁部6bと、複数の第2の摩擦減衰部5bと、支持部7bとの組合せにより構成される。梁部6b、複数の第2の摩擦減衰部5bおよび支持部7bは、上述した第1の防振機構部20aにおける梁部6a、複数の第1の摩擦減衰部5aおよび支持部7aと全く同一の機能を有するので、その説明を省略する。
【0035】
制御装置(コントローラ)16は、マイクロコンピュータ17と、モータ駆動部18aと、電磁コイル駆動部18bと、駆動装置2の回転速度センサ15の出力を検出する回転速度検出部19aと、変位センサ14の出力を検出する変位検出部19bと、磁気センサ12によって検出された信号をロータの種類を判別する判別信号として復調するロータ判別検出部19cと、温度センサ13によって検知した周囲温度を温度信号として復調する温度検出部19dとを具備する。この制御装置16は、駆動装置2の回転速度、運転時間(分離時間)、加速勾配、減速勾配等の運転条件を入力し、また制御するために設けられている。さらに、本発明に従って、この制御装置16は、駆動装置2の回転速度、防振ゴム3の周囲温度、または回転軸8の振動変位等のマイクロコンピュータ17への入力信号に基づいて、第1の防振機構部20aに組み込まれた摩擦減衰部5aの電磁コイル41a(図7参照)の励磁電流Iを制御するように構成されている。
【0036】
以上の本発明の構成において、遠心機100のロータ1の高速回転中に発生する振動を次のように減衰させることができる。
【0037】
振動モードが、例えば図5に示すように、駆動装置2がコニカルに振動する場合、摩擦減衰部5(5aおよび5bを含む)はアーム部4(4aおよび4bを含む)に吸着されているので、駆動装置2の振動により、左側領域Dが押し上げられる方向に、また右側領域Eが引き下げられる方向に上下方向に移動させられる。このため支持部材(梁部)6(6aおよび6bを含む)には曲げモーメントがかかる。特に、振動の節が駆動装置2の下部C1にある場合は、第1の防振機構部20aの梁部6aに梁部6bより大きな曲げモーメントがかかる。しかし、本発明に従えば、梁部6は、上述したように、薄い鋼板の弾性材料から形成されているので、上下方向に撓むので、梁部6の曲げ剛性は吸着力のバネ反力にならない。すなわち、駆動装置2の振動系のバネ性に影響を与えることがなく、振動を減衰できる。一方、梁部6は、図3に示したように、弾性体21aおよび弾性体21baで挟み込まれ保持部23によって保持された支持部7(7aおよび7bを含む)で筐体9に支持されるので、梁部6の上下方向の動きを拘束しないようにするとともに、摩擦減衰部5と協働してアーム部材4の水平方向の摺動振動を筐体9に伝えない効果を有する。
【0038】
本発明による防振機構部20(20aおよび20bを含む)によれば、摩擦減衰部5は、結果的に、駆動装置2部の振動により押し上げられ、または引き下げられたりする振動のなかで、アーム部材4の面上を横方向(水平方向)に相対的に移動し、摩擦部材43による摩擦によって減衰力を発生する。ここで、減衰力の大きさは、磁石41の磁力の大きさおよび摩擦部材43とアーム部材4との間の摩擦係数に従って決定される。
【0039】
なお、摩擦減衰部5は、図2に示すように、一つの水平面に3個以上の複数個を設けて梁連結部(支持部材)(61)により連結させてもよい。
【0040】
また、遠心分離機の振動モードには、図6に示すように、駆動装置2の上部C2に振動の節がある場合もあるので、第2の防振機構部20bを設けておけばより完全に振動を減衰させることができる。この場合、図5に示すように下部C1に振動の節があるときは駆動装置2の上部が大きく振れるため、第1の防振機構部20aの摩擦減衰部5aが有効に作用し、逆に、図6に示すように上部C2に振動の節があるときは駆動装置2の下部が大きく振れるため、第2の防振機構部20bの摩擦減衰部5bが有効に作用する。従って、摩擦減衰部5a、5bは、駆動装置2の上下両端部に設置した方が効果的であり、望ましい。
【0041】
さらに、図7に示すように、電磁コイル41aに流す電流Iによって摩擦減衰部5の磁力を可変とする場合は、変位センサ(振動センサ)14によって振動の大きさを変位検出部19bで検出し、マイクロコンピュータ17によって電磁コイル駆動部18bを制御することにより、振動が大きいときには電流Iを増加させて減衰力を大きく与えるようにし、振動の小さいときには電流Iを減少させて減衰力を減らすといった制御が可能となる。予め振動モードが分かっていれば振動モードによって防振機構部20の摩擦減衰部5の減衰力を変えることが可能となる。
【0042】
また、電磁コイル41aに流す電流Iによって摩擦減衰部5の磁力を可変とする場合は、
制御信号としてダンパ3の防振ゴムの温度またはその周囲温度を温度センサ13(図1参照)で検知し、温度検出部19dの検出信号に基づいて、マイクロコンピュータ17によって電磁コイル41aに流す電流Iを制御すれば、防振ゴム3の減衰特性の温度依存性に対応して減衰力を調整することができる。例えば、防振ゴム3の温度が高くなると、減衰力が小さくなるので、電流Iを大きく調整することにより磁気コア41の磁気力を増加させて減衰力を大きくすることができる。同様にして、ロータ判別センサ12によりロータ1の質量等の種類に従った振動モードを検出し、振動モードに対応する減衰力を得るように電磁コイル41aに流す電流Iを制御してもよい。さらに、ロータ1の回転速度を回転速度センサ15によって検出し、ロータ1の回転速度により電磁コイル41aに流す電流Iを制御し、電磁力を可変としてもよい。このように、電磁石41の使用は、永久磁石の使用と異なり磁気力を調整できるので、摩擦部材43の寿命を延ばすことが可能となり、また振動系に不要な減衰力を与えないように構成できる。
【0043】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係る遠心機の構成図。
【図2】図1のA−A線に沿う遠心機の断面図。
【図3】図1に示した遠心機の防振機構の支持部を示す構成図。
【図4】図1に示した遠心機の防振機構の摩擦減衰部を示す断面図。
【図5】図1に示した遠心機の第1の振動モードを示す断面図。
【図6】図1に示した遠心機の第2の振動モードを示す断面図。
【図7】図1に示した摩擦減衰部に関する他の実施形態を示す構成図。
【符号の説明】
【0045】
1:ロータ 2:駆動装置 2a:駆動装置本体 3:防振ゴム
4a、4b:アーム部材 5a、5b:摩擦減衰部
6a、6b:支持部材(梁部) 7a、7b:支持部 8:回転軸
8a:シャフトケース 9:筐体 9a:筐体の第1の連結部材
9b:筐体の第2の連結部材 10:ロータ室 11:ドア
12:ロータ判別センサ 13:温度センサ 14:変位センサ
15:回転速度センサ 16:制御装置 17:マイクロコンピュータ
18a:モータ駆動部 18b:電磁コイル駆動部 19a:回転速度検出部
19b:変位検出部 19c:ロータ判別検出部 19d:温度検出部
20a、20b:防振機構部 21a、21b:弾性体
22a、22b:台座 23:保持部 24a、24b:ネジ
25:ストッパ部 41:磁石(コア) 41a:電磁コイル
42:ヨーク 43:摩擦部材 44:ネジ 100:遠心機
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年9月1日(2006.9.1)
【代理人】 【識別番号】100072394
【弁理士】
【氏名又は名称】井沢 博


【公開番号】 特開2008−55368(P2008−55368A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−237480(P2006−237480)