トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 浮選機及び浮選機の運転方法
【発明者】 【氏名】和田 肇

【氏名】坂本 幸教

【氏名】齋藤 紳一郎

【要約】 【課題】運転調整を容易に行うことができ、常に最適な浮選効率を達成することのできる浮選機及び該浮選機の運転方法を提供する。

【解決手段】分離対象物を含む懸濁液を収容する撹拌槽2と、撹拌槽内の懸濁液を撹拌する撹拌手段3と、撹拌槽内に撹拌手段とは独立して設けられ、懸濁液に気泡を放出する散気孔を有する散気手段4A〜4Dとを備える浮選機1。散気手段は、撹拌槽内の下部に複数並設され、表面に散気孔を備える散気盤とすることができ、複数の散気盤は、互いに異なる径又はスリット幅の散気孔を備えることが好ましい。懸濁液に放出する気泡の量及び気泡径を撹拌手段と独立して制御することができ、浮選機の運転調整をより容易に行うことができる。散気盤を弾性を有する材料で形成することにより、分離対象物にカルシウムが含まれている場合でも、散気孔の目詰まりを防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離対象物を含む懸濁液を収容する撹拌槽と、
該撹拌槽内の懸濁液を撹拌する撹拌手段と、
前記撹拌槽内に前記撹拌手段とは独立して設けられ、前記懸濁液に気泡を放出する散気孔を有する散気手段とを備えることを特徴とする浮選機。
【請求項2】
前記散気手段は、前記撹拌槽内の下部に複数並設され、表面に前記散気孔を備える散気盤であることを特徴とする請求項1に記載の浮選機。
【請求項3】
前記複数の散気盤は、互いに異なる径又はスリット幅の散気孔を備えることを特徴とする請求項2に記載の浮選機。
【請求項4】
前記散気盤は、弾性を有する材料からなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の浮選機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の浮選機の運転方法であって、
フロスの分離状態に応じて、前記散気手段から前記懸濁液に放出する気泡の量を増減することを特徴とする浮選機の運転方法。
【請求項6】
請求項5に記載の浮選機の運転方法であって、
フロスの分離状態に応じて、前記複数の散気盤から前記懸濁液に気泡を放出する散気盤を選択することを特徴とする浮選機の運転方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、浮選機及び浮選機の運転方法に関し、特に、セメントキルンダストから鉛等を除去したり、フライアッシュに含まれる未燃カーボンを除去するためなどに用いられる浮選機及び該浮選機の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属を精錬するにあたって、水中に懸濁した粒子を気泡に付着させた後、浮上させて回収する浮遊選鉱(以下、「浮選」という)技術が用いられている。近年、浮選技術は、金属精錬に用いられるだけでなく、各種廃棄物から低コストで資源を回収する技術として注目されており、浮選機の性能向上が求められている。
【0003】
図2は、従来の浮選機の一例を示し、この浮選機11は、浮選対象物を含む懸濁液を収容する撹拌槽12と、内部を空気が通過する回転軸(送気管)13bを回転させるモータ13aと、回転軸13bに固定され、懸濁液内に起泡を行うため、表面に多数の散気孔を備える撹拌羽根13cとを備える撹拌機13と、回転軸13bを介して撹拌羽根13cに空気を供給するブロア14と、フロス排出口15、シンク排出口16等で構成され、モータ13aによる回転軸13bに固定された撹拌羽根13cの回転による撹拌と、散気孔からの起泡とを同時に行って、気泡に付着して撹拌槽12の上方に浮上するフロスFと、気泡に付着せず撹拌槽12内に残留するシンク(不図示)とに分離し、浮上したフロスFを矢印方向に案内してフロス排出口15から排出し、残留したシンクをシンク排出口16から排出する。尚、図2に示した浮選機11にはブロア14が付設されているが、ブロアを備えない自吸式の浮選機も存在する。
【0004】
また、例えば、特許文献1には、インキ粒子を付着させて浮上する気泡を微細化し、古紙よりの微細なインキ粒子を、従来に比べてさらに効果的に除去するため、供給された未処理古紙パルプ液から気泡を生成するエアレーション部と、気泡へインキ粒子を付着させるミキシング部と、粒子が付着した気泡を浮上除去する分離セル等を備える浮選機が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−186986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図2に示した浮選機11のように、ブロア14を備えるとともに、回転軸13bが送気管の役割も果たす形式のものは、散気孔から放出される気泡の径が回転軸13bの回転速度に依存し、例えば、回転速度が遅いと気泡径が大きくなる。また、ブロアを備えない自吸式のものは、送気量が回転軸13bの回転速度に依存するなど、気泡径と送気量を各々独立して制御できず、回収率と回収物の品位の向上とを両立させることが困難であり、特に、廃棄物等の粒度変動の大きい物質を対象とする場合には、一層困難であった。また、浮選機の運転調整にも経験が必要とされ、より制御が容易な装置の開発が求められていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来の浮選機等における問題点に鑑みてなされたものであって、運転調整を容易に行うことができ、常に最適な浮選効率を達成することのできる浮選機及び該浮選機の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、浮選機であって、分離対象物を含む懸濁液を収容する撹拌槽と、該撹拌槽内の懸濁液を撹拌する撹拌手段と、前記撹拌槽内に前記撹拌手段とは独立して設けられ、前記懸濁液に気泡を放出する散気孔を有する散気手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
そして、本発明によれば、撹拌手段と散気手段を各々独立して配置したため、散気手段によって送気量を撹拌手段と独立して制御することができ、浮選機の運転調整を容易に行うことが可能となる。例えば、フロスの分離状態に応じて、散気手段から懸濁液に放出する気泡の量を増減し、浮選機の最適な運転点を把握し、最適運転を継続することができる。
【0010】
前記浮選機において、前記散気手段を、前記撹拌槽内の下部に複数並設され、表面に前記散気孔を備える散気盤とすることができ、これら複数の散気盤を、互いに異なる径又はスリット幅の散気孔を備えるように構成することができる。この構成により、懸濁液に放出する気泡の量に加えて気泡径をも撹拌手段と独立して制御することが可能となり、浮選機の運転調整をより容易に行うことが可能となる。
【0011】
前記浮選機において、前記散気盤を、弾性を有する材料で構成することができる。これにより、セメントキルンダストから鉛等を除去する場合のように、分離対象物にカルシウムが含まれている場合でも、散気孔の目詰まりを防止して浮選機の安定運転を継続することができる。
【0012】
また、本発明は、上述の各浮選機の運転方法であって、フロスの分離状態に応じて、前記散気手段から前記懸濁液に放出する気泡の量を増減することを特徴とし、浮選機の最適な運転点を把握してその状態を維持することができる。
【0013】
また、本発明は、上述の各浮選機の運転方法であって、フロスの分離状態に応じて、前記複数の散気盤から前記懸濁液に気泡を放出する散気盤を選択することを特徴とし、粒度変動の大きい物質でも効率よく浮選を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明にかかる浮選機及び該浮選機の運転方法によれば、運転調整を容易に行うことができ、常に最適な浮選効率を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明にかかる浮選機の一実施の形態を示し、この浮選機1は、分離対象物を含む懸濁液を収容する撹拌槽2と、撹拌槽2内の懸濁液を撹拌する撹拌機3と、懸濁液に微細気泡を放出する散気盤4A〜4Dと、各散気盤4A〜4Dに空気を供給するブロア5と、フロスFを排出するフロス排出口6と、シンクを排出するシンク排出口7とで構成される。本発明は、撹拌機3と散気盤4A〜4Dを各々独立して配置した構成に特徴がある。
【0016】
撹拌機3は、回転軸3bを回転させるためのモータ3aと、回転軸3bに固定される撹拌羽根3cとを備え、モータ3aによる回転軸3bの回転により、撹拌羽根3cが回転して撹拌槽2内の懸濁液を撹拌する。
【0017】
また、散気盤4(4A〜4D)は、撹拌機3の撹拌羽根3cの下方に並設され、表面に、ブロア5から供給される空気を放出するための複数の散気孔が穿設される。懸濁液中にカルシウム等が含まれている場合には、目詰まりを防止するために、弾性盤を弾性を有する材料で構成する。浮選では、油脂類やアルコールを使用するため、シリコンゴム等を使用することが好ましい。
【0018】
次に、上記構成を有する浮選機1の運転方法について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明においては、浮選機1によってフライアッシュから未燃カーボンを分離する場合を例にとって説明する。
【0019】
撹拌槽2内に収容されたフライアッシュを含む懸濁液を、撹拌機3のモータ3aによる回転軸3bの回転により、撹拌羽根3cを回転させて撹拌する。同時に、ブロア5から散気盤4に空気を供給し、散気盤4から撹拌槽2内に微細気泡を放出する。
【0020】
散気盤4から放出された気泡と、この気泡に付着する未燃カーボン等のフロスFとが、撹拌槽2の上部へ浮上し、矢印方向に移動してフロス排出口6から排出される。また、気泡に付着しない灰分等のシンクが撹拌槽2内に残留し、シンク排出口7から排出される。
【0021】
ここで、撹拌槽2におけるフロスFの分離状態に応じて、散気盤4から懸濁液に放出する気泡の量を増減する。例えば、フロスFの分離状態が十分でない場合には、気泡の量を増加させ、より多くのフロスFが分離されるように制御し、フロスFが十分に分離されている場合には、気泡量をそのまま維持するか、抑えるように制御する。
【0022】
また、撹拌槽2内のシンクの流動状態に応じて、撹拌機3の回転軸3bの回転数を増減する。例えば、シンクの流動状態が十分でない場合には、回転軸3bの回転数を増加させて流動状態を改善し、シンクが十分に流動している場合には、回転軸3bの回転数をそのまま維持するか、減少させるように制御する。
【0023】
さらに、撹拌槽2におけるフロスFの分離状態に応じて、複数の散気盤4A〜4Dから懸濁液に最適な気泡径の気泡を放出することのできる散気盤を選択して運転することもできる。例えば、未燃カーボン含有率の高い(未燃カーボン部分の質量が大きい)フライアッシュを取り扱う場合には、より気泡径の大きい気泡を放出する散気盤を選択し、未燃カーボン含有率の低い(未燃カーボン部分の質量が小さい)フライアッシュを取り扱う場合には、より気泡径の小さい気泡を放出する散気盤を選択して運転する。これによって、未燃カーボン含有率が大きく変動するフライアッシュでも効率よく浮選を行うことができる。
【0024】
尚、上記実施の形態においては、フライアッシュから未燃カーボンを分離する場合を例にとって説明したが、セメントキルンダストから鉛等を除去する場合にも浮選機1を用いることができ、その他種々の技術分野における浮遊選鉱法による物質の分離に適用することができる。
【0025】
また、上記実施の形態においては、4つの散気盤4A〜4Dを用いた場合について説明したが、単一の散気盤を設置することもでき、設置位置も撹拌羽根3cの下方であることが好ましいが、必ずしも撹拌羽根3cの下方に限定されず、撹拌羽根3cの側方等に設置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる浮選機の一実施の形態を示す概略図である。
【図2】従来の浮選機の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0027】
1 浮選機
2 撹拌槽
3 撹拌機
3a モータ
3b 回転軸
3c 撹拌羽根
4A〜4D 散気盤
5 ブロア
6 フロス排出口
7 シンク排出口
11 浮選機
12 撹拌槽
13 撹拌機
13a モータ
13b 回転軸
13c 撹拌羽根
14 ブロア
15 フロス排出口
16 シンク排出口
F フロス
【出願人】 【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
【出願日】 平成19年3月29日(2007.3.29)
【代理人】 【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤


【公開番号】 特開2008−246305(P2008−246305A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−88504(P2007−88504)