トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 粒子回収装置
【発明者】 【氏名】伊藤 泰弥

【要約】 【課題】粒子濃度の低いスラリーから、微粒子を効率良く回収することができる粒子回収装置を提供する。

【解決手段】シュート11は、回転軸Z1の周りに放射状に配置されている。スラリー供給手段3は、磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを、シュート11に供給する。磁力発生手段4は、シュート11に磁力を印加する。回転駆動手段2は、回転軸Z1の周りでシュート11を、溶媒排出位置から粒子排出位置を通して再び溶媒排出位置へと回転させる。溶媒排出位置では、シュート11に磁力発生手段4からの磁力を印加することで、粒子をシュート11の内面に吸着させるとともに、余分な溶媒をシュート11から流し出す。粒子排出位置では、シュート11に印加される磁力を低下させることで、粒子を、溶媒と一緒の状態でシュート11から流し出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周りに放射状に配置された複数のシュートと、
磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを、前記シュートに供給するスラリー供給手段と、
前記シュートに磁力を印加する磁力発生手段と、
前記回転軸の周りで前記シュートを、溶媒排出位置から粒子排出位置を通して再び前記溶媒排出位置へと回転させる回転駆動手段とを備え、
前記溶媒排出位置では、前記シュートに前記磁力発生手段からの磁力を印加することで、前記粒子を前記シュートの内面に吸着させるとともに、余分な前記溶媒を前記シュートから流し出し、
前記粒子排出位置では、前記シュートに印加される磁力を低下させることで、前記粒子を、溶媒と一緒の状態で前記シュートから流し出す、
粒子回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載された粒子回収装置であって、更に、
前記溶媒排出位置に配置され、前記シュートから流し出される前記溶媒を受けるための溶媒受け手段と、
前記粒子排出位置に配置され、前記シュートから流し出される前記粒子を受けるための粒子受け手段とを備える、
粒子回収装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された粒子回収装置であって、
前記回転軸は、水平面に対する前記シュートの傾斜角が前記粒子排出位置で最大となるように、鉛直方向から傾いている、
粒子回収装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載された粒子回収装置であって、
前記回転軸は、水平面に対する前記シュートの傾斜角が、前記スラリー供給手段から前記シュートに前記スラリーが供給される位置で最小となるように、鉛直方向から傾いている、
粒子回収装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子回収装置に関する。本発明に係る粒子回収装置によって得られる粒子は、例えば、積層型チップコンデンサの内部電極を形成するための導電ペーストを作製するのに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
導電ペーストを作製するのに用いられる粒子は、極めて小さい粒径の粒子であることが望ましい。特に、多層化及び薄層化が進む積層型チップコンデンサの分野においては、内部電極の層厚みが極めて薄くなっているので、内部電極用の導電ペーストも、例えば、粒径0.8μm以上の粒子を含まず、かつ、平均粒径が0.3μm以下といった粒径分布の微粒子を用いて作製することが求められる。
【0003】
このような微粒子を製造するには、一般的には、次のような工程をとる。まず、原料の粉体を細かく粉砕する。得られる粉砕粉は、微粒子と粗粒子とが入り混じった状態となっている。次に、粉砕粉を溶媒に混合し、分散させることで第1のスラリーを作製する。そして、第1のスラリーから、目的の微粒子を、溶媒と一緒の状態である第2のスラリーとして取り分ける分級という処理を行う。最後に、第2のスラリーから微粒子を回収する。
【0004】
ところで、分級処理により微粒子を精度良く取り分けるには、予め、第1のスラリー中の溶媒の量を増やし、第1のスラリーの粒子濃度を十分に低くしておかなければならない。例えば、上記粒径分布の微粒子を取り分ける場合、第1のスラリーの粒子濃度を1%まで下げておく必要がある。粒子濃度が高いと、微粒子のみを取り分けることが難しくなり、粗粒子が混入する可能性が高まるからである。
【0005】
ただ、分級処理での精度向上のため第1のスラリーの粒子濃度を下げると、その後、如何にして、粒子濃度が低い第2のスラリーから、微粒子を回収するかという問題が生じる。例えば、遠心分離法を利用して微粒子を回収しようとしても、粒子濃度が低いと、溶媒中に取り残される微粒子がかなりの割合で生じるので、微粒子を効率良く回収することができない。
【0006】
特許文献1は、液体中に混入した磁性のスラッジを回収するための技術として、磁性のスラッジを含んだ液体を磁気ドラムの外周面にかけ流し、磁気ドラムの外周面に付着した磁性のスラッジをガイドでかき取る技術を開示している。しかし、特許文献1の開示技術は、微粒子を回収するのには適していない。
【特許文献1】特開平7−60155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、粒子濃度の低いスラリーから、微粒子を効率良く回収することができる粒子回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、回転軸の周りに放射状に配置された複数のシュートと、磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを、前記シュートに供給するスラリー供給手段と、前記シュートに磁力を印加する磁力発生手段と、前記回転軸の周りで前記シュートを、溶媒排出位置から粒子排出位置を通して再び前記溶媒排出位置へと回転させる回転駆動手段とを備え、前記溶媒排出位置では、前記シュートに前記磁力発生手段からの磁力を印加することで、前記粒子を前記シュートの内面に吸着させるとともに、余分な前記溶媒を前記シュートから流し出し、前記粒子排出位置では、前記シュートに印加される磁力を低下させることで、前記粒子を、溶媒と一緒の状態で前記シュートから流し出す、粒子回収装置を提供する。
【0009】
上述した本発明に係る粒子回収装置は、微粒子と溶媒とを含むスラリーに適用することができる。スラリーが大量の溶媒を含むことで低い粒子濃度となっていても、スラリー供給手段からシュートにスラリーを供給し、溶媒排出位置でシュートに磁力を印加することで、微粒子をシュートの内面に吸着させるとともに、余分な溶媒をシュートから流し出すことができる。微粒子及び溶媒を含むスラリーとして見れば、余分な溶媒を流し出すことで、スラリーの粒子濃度を高く、濃縮した状態にすることができる。よって、微粒子を、濃縮スラリーの状態として得ることができる。
【0010】
次に、シュートを溶媒排出位置から粒子排出位置まで回転させる。粒子排出位置では、シュートに印加される磁力を低下させるので、微粒子をシュートの内面に吸着させた状態から解放することができる。よって、微粒子を溶媒と一緒の状態でシュートから流し出すことで、微粒子を濃縮スラリーの状態として回収することができる。
【0011】
しかも、本発明では、回転軸の周りに放射状に配置された複数のシュートを利用し、回転軸の周りでシュートを回転させることで、次々に、溶媒排出動作及び粒子排出動作を行なうことができる。よって、スラリーからの微粒子の回収処理を効率良く進めることができる。
【0012】
好ましくは、粒子回収装置は、更に、前記溶媒排出位置に配置され、前記シュートから流し出される前記溶媒を受けるための溶媒受け手段と、前記粒子排出位置に配置され、前記シュートから流し出される前記粒子を受けるための粒子受け手段とを備える。
【0013】
適切には、前記回転軸は、水平面に対する前記シュートの傾斜角が前記粒子排出位置で最大となるように、鉛直方向から傾いている。
【0014】
また、前記回転軸は、水平面に対する前記シュートの傾斜角が、前記スラリー供給手段から前記シュートに前記スラリーが供給される位置で最小となるように、鉛直方向から傾いていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、本発明によれば、粒子濃度の低いスラリーから、微粒子を効率良く回収することができる粒子回収装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る粒子回収装置では、磁性材料からなる粒子を回収する。本明細書において、磁性材料とは、磁力発生手段からの磁力に反応して、磁力発生手段に引き寄せられる材料を指す。このような磁性材料の例としては、NiやFe、Co、フェライトなどが挙げられる。
【0017】
本発明に係る粒子回収装置を説明するにあたり、粉砕や分級、回収などを含む粒子製造方法の全体を説明しておく。
【0018】
図1は、粒子製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1に示すように、原料の粉体を細かく粉砕する。原料の粉体は、上述した磁性材料からなる。また、粉体を粉砕する代わりに、固体を粉砕して粉砕粉を得てもよい。
【0019】
粉砕によって得られる粉砕粉は、目的とする粒径の粒子を含む様々な粒径の粒子が混じり合っている。例えば、粉砕粉は、粒径が0.1μmから10μmまでの粒子が存在する幅広い粒径分布となっている。このような粉砕粉から、粒径が0.8μm未満の微粒子を取り分ける分級処理を行う。
【0020】
まず、分級処理のための前処理として、ステップS2に示すように、粉砕粉及び溶媒から第1のスラリーを作製する。具体的には、上述のステップS1で得られた粉砕粉と、溶媒とを混合し、攪拌することで、溶媒に粉砕粉を分散させた第1のスラリーを作製する。溶媒としては、アルコール、アセトン、トルエンまたはこれらの混合溶液を用いることができる。
【0021】
次に、ステップS3に示すように、第1のスラリーから微粒子を、溶媒と一緒の状態である第2のスラリーとして取り分ける分級処理を行う。分級処理の具体的手法としては、スラリーを回転容器に入れ、遠心力によって、スラリー中に含まれる粒子を粒径別に分離する遠心分離法、または、スラリーを静置することで重力により粗粒子を沈殿させ、微粒子をスラリーの上澄み液として取り分ける静置分離法などがある。このような分級処理で得られる第2のスラリーは、溶媒中に微粒子が分散した状態である。
【0022】
最後に、ステップS4に示すように、第2のスラリーから微粒子を回収する。具体的には、微粒子を、微粒子に対する溶媒の量が少なく、粒子濃度が高い濃縮スラリーの状態として回収する。濃縮スラリーの粒子濃度は、例えば、0.5%〜18%程度とする。濃縮スラリーに有機ビヒクル及び有機溶剤を加えて混合することにより導電ペーストを作製することができる。
【0023】
ところで、ステップS3に示した分級処理において微粒子を精度良く取り分けるには、予め、第1のスラリー中の溶媒の量を増やし、第1のスラリーの粒子濃度を十分に低くしておかなければならない。例えば、粒径が0.8μm未満の微粒子を取り分けようとする場合、第1のスラリーの粒子濃度を、0.5%〜8%程度まで下げておく必要がある。
【0024】
ただ、分級処理での精度向上のため第1のスラリーの粒子濃度を低くすると、分級処理で得られる第2のスラリーの粒子濃度も低くなる。例えば、第1のスラリーの粒子濃度を上記範囲まで下げた場合、第2のスラリーの粒子濃度は0.1%〜5%程度となる。このため、ステップS4に示した回収処理では、如何にして、粒子濃度の低い第2のスラリーから、微粒子を、濃縮スラリーの状態として回収するのかという問題が生じる。本発明に係る粒子回収装置は、このような問題に鑑みて考え出されたものである。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係る粒子回収装置を上から見た図、図3は、図2の3−3線に沿った断面を示す図である。図2及び図3に示された粒子回収装置は、シュート集合体1と、回転駆動手段2と、スラリー供給手段3と、磁力発生手段4と、溶媒受け手段5と、粒子受け手段6とを備える。
【0026】
シュート集合体1は、回転軸Z1の周りに回転可能なように設けられ、軸体10と、8つのシュート11とを含んで構成されている。シュート11は、回転軸Z1の周りで互いに一定の角度をおいて放射状となるように、軸体10に取り付けられている。更に、シュート11は、それぞれ、回転軸Z1に対して傾斜している。図示実施形態の場合、シュート11の個数が8つなので、隣り合うシュート間の角度は45度に設定されている。シュートの個数としては、2以上の任意の数を選択することができ、例えば、2つだけでもよい。
【0027】
シュート11は、それぞれ、シュート入口71と、シュート出口72と、シュート入口71からシュート出口72まで延びる底部内面73とを有する。図示の構成では、シュート11は、シュート入口71がシュート集合体1の中央部に位置し、シュート出口72がシュート集合体1の周縁部に位置するように、軸体10に取り付けられている。更に、隣り合うシュートのシュート入口71同士が、仕切り74によって仕切られている。図示の構成と異なり、シュートを、シュート入口がシュート集合体の周縁部に位置し、シュート出口がシュート集合体の中央部に位置するように、軸体に取り付けた構成も可能である。シュート11は、磁気を帯びないような非磁性材料、例えばステンレス材(SUS304)から構成される。
【0028】
シュート11の断面形状の一例を図4(a)に示し、別の例を図4(b)に示す。図4(a)及び(b)には、シュート11を、シュート入口71からシュート出口72に向かう方向に垂直な平面で切断したときの断面が示されている。図4(a)に示されたシュート断面の場合、底部内面73は、相対する2つの側部内面74、75の間で、ほぼ平らに延びた形状となっている。また、図4(b)に示されたシュート断面の場合、底部内面73は、下側に向かってU字状に湾曲した形状となっている。
【0029】
再び、図2及び図3に戻る。回転駆動手段2は、回転軸Z1の周りでシュート集合体1を、必要な回転量だけ回転させる役割を担う。このような回転駆動手段2は、制御された回転量を生じさせる装置、例えば、電気モーターなどの電動機から構成することができる。回転駆動手段2は、固定具21を介してベース91に固定されている。図示では、回転駆動手段2は、回転軸Z1を鉛直方向Z0に対して傾斜角θ1だけ傾斜させる態様でベース91に固定されているが、図示と異なり、回転軸Z1を鉛直方向Z0に一致させる態様でベース91に固定されていてもよい。
【0030】
更に、回転駆動手段2は、回転軸Z1の周りを巡って、シュート11を位置させるための8つの回転位置P1〜P8を与えるように制御される。このような制御は、例えば、マイクロコンピューターなどの制御手段によって行うことができる。
【0031】
スラリー供給手段3は、シュート11に第2のスラリーを供給するための手段である。具体的には、スラリー供給手段3は、第2のスラリーを貯えるためのタンク31と、タンク31からの第2のスラリーをシュート11に流し込むためのノズル32と、タンク31及びノズル32の間に設けられる弁33とを含んで構成されている。図示実施形態の場合、スラリー供給手段3は、第2のスラリーの供給を、回転位置P2〜P8にあるシュート11には行わず、回転位置P1にあるシュート11のみに行う構成となっている。具体的には、ノズル32の先端が、回転位置P1にあるシュート11のシュート入口71からみて、その上方に位置するように固定されている。
【0032】
磁力発生手段4は、シュート11の底部内面73に磁界を印加して、第2のスラリー中の微粒子をシュート11の底部内面73に吸着させるとともに、余分な溶媒をシュート11から流し出す役割を担う。図示実施形態の場合、磁力発生手段4は、回転位置P4〜P8にあるシュート11には磁界を印加せず、回転位置P1〜P3にあるシュート11のみに磁界を印加する構成となっている。具体的には、磁力発生手段4は、フェライト磁石などの永久磁石からなり、シュート集合体1とは別体として設けられている。そして、永久磁石でなる磁力発生手段4は、シュート集合体1の下で回転位置P1から回転位置P3まで延びた態様で、固定具41を介してベース91に固定されている。磁力発生手段4として電磁石を採用してもよい。
【0033】
溶媒受け手段5は、シュート11から流し出される溶媒を受ける役割を担う。図示実施形態の場合、溶媒受け手段5は、開口部51を有する容器から構成されており、固定具52を介してベース91に固定されている。そして、開口部51が、回転位置P1〜P3にあるシュート11のシュート出口72からみてその下方に位置するように形成されている。溶媒受け手段5は、シュート11のシュート出口72から流し出される溶媒を受けるものであればよく、必ずしも、容器でなくてもよい。例えば、溶媒受け手段5として、漏斗を採用してもよい。
【0034】
粒子受け手段6は、シュート11から流し出される微粒子を受ける役割を担う。図示実施形態の場合、粒子受け手段6は、開口部61を有する容器から構成されており、固定具62を介してベース91に固定されている。そして、開口部61が、回転位置P4〜P8にあるシュート11のシュート出口72からみてその下方に位置するように形成されている。先の溶媒受け手段5と同様に、粒子受け手段6として、漏斗を採用してもよい。
【0035】
回転位置P1〜P8の役割について説明すると、まず、回転位置P1が、シュート11に第2のスラリーを供給するスラリー供給位置として用いられる。更に、この回転位置P1に加えて回転位置P2、P3が、シュート11から、第2のスラリーに含まれていた溶媒を排出する溶媒排出位置として用いられる。最後に、残りの回転位置P4〜P8が、シュート11から、第2のスラリーに含まれていた微粒子を排出する粒子排出位置として用いられる。
【0036】
次に、上述した粒子回収装置を用いた微粒子の回収方法について説明する。まず、矢印A1で示されるようにシュート集合体1を一ピッチだけ回転させた後、一定の停止期間をおくという動作を繰り返すように回転駆動手段2を制御する。シュート集合体1を一ピッチだけ回転させるとは、シュート11がそれぞれ現在の回転位置からその隣の回転位置に進むまで、例えば、回転位置P1にあるシュートが回転位置P2に進むまで、シュート集合体1を回転させることを指す。図示実施形態の場合、一ピッチは角度にして45度である。
【0037】
また、それぞれのシュート11が回転位置P1にくるたびごとに、スラリー供給手段3を用いて、そのシュート11に第2のスラリーを供給する。
【0038】
一つのシュート11が回転位置P1に位置した後、回転位置P2〜P7を巡って回転位置P8に戻るまでについて説明する。
【0039】
まず、シュート11を回転位置P1に位置させたとき、シュート11のシュート入口71に第2のスラリーを供給する。シュート11の内部で第2のスラリーは、重力に従い、底部内面73上をシュート出口72に向かって流れていく。
【0040】
更に回転位置P1では、シュート11の底部内面73に磁力発生手段4からの磁力を印加するので、第2のスラリーが底部内面73上を流れていく間に、第2のスラリー中の微粒子が、磁力によって底部内面73に吸着される。一方で、溶媒は、そのまま、底部内面73上を流れてシュート出口72から排出される。よって、余分な溶媒を排出することで、第2のスラリーの粒子濃度を高く、濃縮した状態にすることができる。
【0041】
次に、このシュート11を、順に回転位置P2、P3に進ませる。回転位置P2、P3では、シュート11に磁力を印加する一方で、第2のスラリーを新たに供給しないので、微粒子をシュート11の底部内面73に吸着させた状態で、溶媒を更に排出することができる。よって、第2のスラリーを、より濃縮した状態にすることができる。
【0042】
次に、このシュート11を回転位置P4に進ませる。回転位置P4では、シュート11は、磁力発生手段4から遠ざかった状態となるので、底部内面73に印加されていた磁力は低下する。この結果、微粒子は、底部内面73に吸着されていた状態から解放され、重力に従って底部内面73上を流れていき、シュート出口72から排出される。よって、微粒子を濃縮スラリーの状態として回収することができる。
【0043】
次に、このシュート11を、順に回転位置P5〜P8に進ませる。回転位置P5〜P8でも、回転位置P4と同様、底部内面73に印加されていた磁力は低下したままであるので、シュート11内部に残っていた微粒子を排出することができる。
【0044】
最後に、このシュート11を回転位置P1に戻す。シュート11が回転位置P1に戻されるたびに、上述したスラリー供給動作、溶媒排出動作及び粒子排出動作が繰り返される。
【0045】
更に、シュート11相互間の関係でみると、複数のシュート11が回転軸Z1の周りに放射状に配置されてシュート集合体1を構成しており、このシュート集合体1を回転軸Z1の周りで回転させるので、次々に、スラリー供給動作、溶媒排出動作及び粒子排出動作を行なうことが可能となる。例えば、回転位置P1では、それぞれのシュート11がくるたびごとに第2のスラリーの供給を行うことができ、スラリーの供給動作を止める必要はない。
【0046】
また、一つのシュート11で溶媒排出動作を行なうと同時に、別のシュート11で粒子排出動作を行なうことが可能となる。例えば、回転位置P2にあるシュート11で溶媒排出動作を行なうと同時に、回転位置P4にあるシュート11で粒子排出動作を行うことができる。よって、第2のスラリーからの微粒子の回収処理を効率良く進めることができる。
【0047】
図示の粒子回収装置では、シュート集合体1を回転させるための回転軸Z1が、鉛直方向Z0に対して傾斜しているので、一つのシュート11が順に回転位置P1〜P8を進んでいく間に、そのシュート11の、水平面92に対する傾斜角θ2は変化していく。よって、回転位置P1〜P8で要求される条件に合わせてシュート11の傾斜角θ2を変化させることが可能となる。
【0048】
具体的には、シュート11の傾斜角θ2は、回転位置P1で最小となるように設定されている。回転位置P1は、シュート11に第2のスラリーを供給するスラリー供給位置である。スラリー供給位置である回転位置P1においてシュート11の傾斜角θ2を最小とすることで、シュート11内部で第2のスラリーをゆっくりと流すことができる。これは、第2のスラリーに含まれる微粒子を、そのままシュート出口72から排出させることなく、底部内面73に吸着させるのに役立つ。
【0049】
また、シュート11の傾斜角θ2は、回転位置P5で最大となるように設定されている。回転位置P5は、第2のスラリーに含まれていた微粒子を排出する粒子排出位置である。粒子排出位置において、微粒子は濃縮スラリーの状態となっており、スラリー自体の粘度のせいで、流れが悪くなりがちであるが、シュート11の傾斜角θ2を最大とすることで、微粒子を、シュート11内部で滞らせることなく排出させることができる。回転位置P5でシュート11の傾斜角θ2を最大とする代わりに、別の粒子排出位置である回転位置P4、P6〜P8の何れかでシュート11の傾斜角θ2を最大としてもよい。
【0050】
上述した微粒子の回収方法では、シュート集合体1を一ピッチだけ回転させた後、一定の停止期間をおくという動作を繰り返すように回転駆動手段2を制御しているが、このような制御態様に限定されることはない。例えば、停止期間をおく代わりに、シュート集合体1をゆっくりと連続的に回転させるといった制御態様でも、同様なスラリー供給動作、溶媒排出動作及び粒子排出動作を行なうことができるので、微粒子を効率良く回収することができる。
【0051】
以上、実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】粒子製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態に係る粒子回収装置を上から見た図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面を示す図である。
【図4】シュートの断面形状の例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 シュート集合体
2 回転駆動手段
3 スラリー供給手段
4 磁力発生手段
5 溶媒受け手段
6 粒子受け手段
11 シュート

【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
【出願日】 平成18年12月26日(2006.12.26)
【代理人】 【識別番号】100081606
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 美次郎

【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一


【公開番号】 特開2008−155158(P2008−155158A)
【公開日】 平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願番号】 特願2006−348837(P2006−348837)