トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 粒子回収方法及び粒子回収装置
【発明者】 【氏名】伊藤 泰弥

【氏名】三浦 秀一

【要約】 【課題】大量の溶媒を含むスラリーから、微粒子を効率的に回収することができる粒子回収方法を提供する。

【解決手段】容器1がスラリー投入位置P1にあるとき、磁性材料からなる微粒子を溶媒に分散させたスラリーを容器1に入れるスラリー投入工程と、磁力発生手段3から磁力を及ぼすことで、微粒子82を容器の底部内面12に吸着させる粒子吸着工程と、容器1を、スラリー投入位置P1から、スラリー投入位置P1よりも容器1を傾けた溶媒排出位置P2まで回転させることで、容器1の底部内面12に微粒子82を吸着させたまま容器1から溶媒を流し出す溶媒排出工程とを含むサイクルを繰り返す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸の周りに回転可能に設けられた容器を用意し、
前記容器がスラリー投入位置にあるとき、磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを前記容器に入れるスラリー投入工程と、
磁力発生手段から磁力を及ぼすことで、前記粒子を前記容器の内面に吸着させる粒子吸着工程と、
前記容器を、前記スラリー投入位置から、前記スラリー投入位置よりも容器を傾けた溶媒排出位置まで回転させることで、前記容器の内面に前記粒子を吸着させたまま前記容器から前記溶媒を流し出す溶媒排出工程とを含むサイクルを繰り返し、
その後、前記容器に残った前記粒子を回収する、
粒子回収方法。
【請求項2】
請求項1に記載された粒子回収方法であって、
前記磁力発生手段から前記容器に磁力を印加しながら、前記容器を、前記磁力発生手段に形成された円弧状の凹面に沿って回転させる、
粒子回収方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載された粒子回収方法であって、
前記サイクルを繰り返した後、前記粒子を回収する前に、前記粒子に及ぼされる磁力を低下させる、
粒子回収方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載された粒子回収方法であって、
前記磁力発生手段は、永久磁石からなる、
粒子回収方法。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載された粒子回収方法であって、
前記磁力発生手段は、電磁石からなる、
粒子回収方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載された粒子回収方法であって、
前記容器に残った前記粒子にガス噴流を当てることで、前記粒子を回収する、
粒子回収方法。
【請求項7】
容器と、
前記容器を軸の周りに回転させる容器回転手段と、
磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを前記容器に入れるスラリー投入手段と、
前記容器の内面に磁力を印加する磁力発生手段と、
前記容器がスラリー投入位置にあるとき、前記スラリーを前記容器に入れるべく前記スラリー投入手段を制御するスラリー投入制御、及び、前記スラリー投入制御の後、前記容器を、前記スラリー投入位置から、前記スラリー投入位置よりも容器を傾けた溶媒排出位置まで回転させるべく前記容器回転手段を制御する溶媒排出制御を繰り返す制御部を備える、
粒子回収装置。
【請求項8】
請求項7に記載された粒子回収装置であって、
前記磁力発生手段は、前記容器とは別体として設けられ、前記容器に向かい合う側に円弧状の凹面を有する、
粒子回収装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子回収方法及び粒子回収装置に関する。本発明に係る粒子回収方法または粒子回収装置によって得られる粒子は、例えば、積層型チップコンデンサの内部電極を形成するための導電ペーストを作製するのに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
導電ペーストを作製するのに用いられる粒子は、極めて小さい粒径の粒子であることが望ましい。特に、多層化及び薄層化が進む積層型チップコンデンサの分野においては、内部電極の層厚みが極めて薄くなっているので、内部電極用の導電ペーストも、例えば、粒径0.8μm以上の粒子を含まず、かつ、平均粒径が0.3μm以下といった粒径分布の微粒子を用いて作製することが求められる。
【0003】
このような微粒子を製造するには、一般的には、次のような工程をとる。まず、原料の粉体を細かく粉砕する。得られる粉砕粉は、微粒子と粗粒子とが入り混じった状態となっている。次に、粉砕粉を溶媒に混合し、分散させることで第1のスラリーを作製する。そして、第1のスラリーから、目的の微粒子を、溶媒と一緒の状態である第2のスラリーとして取り分ける分級という処理を行う。最後に、第2のスラリーから微粒子を回収する。
【0004】
ところで、分級処理により微粒子を精度良く取り分けるには、予め、第1のスラリー中の溶媒の量を増やし、第1のスラリーの粒子濃度を十分に低くしておかなければならない。例えば、上記粒径分布の微粒子を取り分ける場合、第1のスラリーの粒子濃度を1%まで下げておく必要がある。粒子濃度が高いと、微粒子のみを取り分けることが難しくなり、粗粒子が混入する可能性が高まるからである。
【0005】
ただ、分級処理での精度向上のため第1のスラリー中の溶媒の量を増やすと、その後、如何にして、大量の溶媒を含む第2のスラリーから、微粒子を回収するかという問題が生じる。例えば、遠心分離法を利用して微粒子を回収しようとしても、溶媒中に取り残される微粒子が生じるので、溶媒が大量だと、微粒子を低い回収率でしか回収することができない。
【0006】
特許文献1は、液体中に混入した磁性のスラッジを回収するための技術として、磁性のスラッジを含んだ液体を磁気ドラムの外周面にかけ流し、磁気ドラムの外周面に付着した磁性のスラッジをガイドでかき取る技術を開示している。しかし、特許文献1の開示技術は、微粒子を回収するのには適していない。
【特許文献1】特開平7−60155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、大量の溶媒を含むスラリーから、微粒子を効率的に回収することができる粒子回収方法及び粒子回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係る粒子回収方法においては、軸の周りに回転可能に設けられた容器を用意する。そして、前記容器がスラリー投入位置にあるとき、磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを前記容器に入れるスラリー投入工程と、磁力発生手段から磁力を及ぼすことで、前記粒子を前記容器の内面に吸着させる粒子吸着工程と、前記容器を、前記スラリー投入位置から、前記スラリー投入位置よりも容器を傾けた溶媒排出位置まで回転させることで、前記容器の内面に前記粒子を吸着させたまま前記容器から前記溶媒を流し出す溶媒排出工程とを含むサイクルを繰り返す。その後、前記容器に残った前記粒子を回収する。
【0009】
上述した本発明に係る粒子回収方法は、微粒子と大量の溶媒とを含むスラリーに適用することができる。スラリーが大量の溶媒を含むことで極めて低い粒子濃度となっていても、スラリー投入工程でスラリーを容器に入れ、粒子吸着工程で磁力発生手段から磁力を及ぼすことにより、スラリー中の微粒子を容器の内面に引き寄せ、吸着させることができる。
【0010】
更に、溶媒排出工程で、容器の内面に微粒子を吸着させたまま容器から溶媒を流し出すことにより、容器内における微粒子の量をほとんど減らすことなく、溶媒の量を大幅に減らすことができる。微粒子及び溶媒を含むスラリーとして見れば、溶媒の量を減らすことで、スラリーの粒子濃度を極めて高く、濃縮した状態にすることができる。よって、容器の内部で、微粒子を濃縮スラリーの状態として得ることができる。
【0011】
しかも、スラリー投入位置と溶媒排出位置との間で容器を繰り返し回転させることで、スラリー投入工程、粒子吸着工程及び溶媒排出工程を含むサイクルを、繰り返し行うことができる。これにより、容器の内部に、濃縮スラリーの状態である微粒子を蓄積していくことができる。そして、微粒子を十分な量まで蓄積した後に回収することで、回収を効率的に行うことができる。
【0012】
本発明の実施態様に係る粒子回収方法において、前記磁力発生手段から前記容器に磁力を印加しながら、前記容器を、前記磁力発生手段に形成された円弧状の凹面に沿って回転させてもよい。
【0013】
また、前記サイクルを繰り返した後、前記粒子を回収する前に、前記粒子に及ぼされる磁力を低下させることが好ましい。
【0014】
前記磁力発生手段は、永久磁石または電磁石から構成することができる。前記磁力発生手段が永久磁石から構成されている場合、前記磁力発生手段と前記容器とを相対的に離すことにより、前記粒子に及ぼされる磁力を低下させればよい。また、前記磁力発生手段が電磁石から構成されている場合、前記電磁石に供給される電流を減らすことにより、前記粒子に及ぼされる磁力を低下させればよい。
【0015】
また、前記容器に残った前記粒子にガス噴流を当てることで、前記粒子を回収してもよい。
【0016】
更に本発明は、容器と、前記容器を軸の周りに回転させる容器回転手段と、磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを前記容器に入れるスラリー投入手段と、前記容器の内面に磁力を印加する磁力発生手段と、前記容器がスラリー投入位置にあるとき、前記スラリーを前記容器に入れるべく前記スラリー投入手段を制御するスラリー投入制御、及び、前記スラリー投入制御の後、前記容器を、前記スラリー投入位置から、前記スラリー投入位置よりも容器を傾けた溶媒排出位置まで回転させるべく前記容器回転手段を制御する溶媒排出制御を繰り返す制御部を備える、粒子回収装置を提供する。
【0017】
本発明に係る粒子回収装置によれば、上述した本発明に係る粒子回収方法と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0018】
本発明の実施態様に係る粒子回収装置において、前記磁力発生手段は、前記容器とは別体として設けられ、前記容器に向かい合う側に円弧状の凹面を有してもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本発明によれば、大量の溶媒を含むスラリーから、微粒子を効率的に回収することができる粒子回収方法及び粒子回収装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る粒子回収方法では、磁性材料からなる粒子を用いる。本明細書において、磁性材料とは、磁力発生手段からの磁力に反応して、磁力発生手段に引き寄せられる材料を指す。このような磁性材料の例としては、NiやFe、Co、フェライトなどが挙げられる。
【0021】
本発明に係る粒子回収方法を説明するにあたり、粉砕や分級、回収などを含む粒子製造方法の全体を説明しておく。
【0022】
図1は、粒子製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1に示すように、原料の粉体を細かく粉砕する。原料の粉体は、上述した磁性材料からなる。また、粉体を粉砕する代わりに、固体を粉砕して粉砕粉を得てもよい。
【0023】
粉砕によって得られる粉砕粉は、目的とする粒径の粒子を含む様々な粒径の粒子が混じり合っている。例えば、粉砕粉は、粒径が0.1μmから10μmまでの粒子が存在する幅広い粒径分布となっている。このような粉砕粉から、粒径が0.8μm未満の微粒子を取り分ける分級処理を行う。
【0024】
まず、分級処理のための前処理として、ステップS2に示すように、粉砕粉及び溶媒から第1のスラリーを作製する。具体的には、上述のステップS1で得られた粉砕粉と、溶媒とを混合し、攪拌することで、溶媒に粉砕粉を分散させた第1のスラリーを作製する。溶媒としては、アルコール、アセトン、トルエンまたはこれらの混合溶液を用いることができる。
【0025】
次に、ステップS3に示すように、第1のスラリーから微粒子を、溶媒と一緒の状態である第2のスラリーとして取り分ける分級処理を行う。分級処理の具体的手法としては、スラリーを回転容器に入れ、遠心力によって、スラリー中に含まれる粒子を粒径別に分離する遠心分離法、または、スラリーを静置することで重力により粗粒子を沈殿させ、微粒子をスラリーの上澄み液として取り分ける静置分離法などがある。このような分級処理で得られる第2のスラリーは、溶媒中に微粒子が分散した状態である。
【0026】
最後に、ステップS4に示すように、第2のスラリーから微粒子を回収する。具体的には、微粒子を、微粒子に対する溶媒の量が少なく、粒子濃度が高い濃縮スラリーの状態として回収する。濃縮スラリーの粒子濃度は、例えば、0.5%〜18%程度とする。濃縮スラリーに有機ビヒクル及び有機溶剤を加えて混合することにより導電ペーストを作製することができる。
【0027】
ところで、ステップS3に示した分級処理において微粒子を精度良く取り分けるには、予め、第1のスラリー中の溶媒の量を増やし、第1のスラリーの粒子濃度を十分に低くしておかなければならない。例えば、粒径が0.8μm未満の微粒子を取り分けようとする場合、第1のスラリーの粒子濃度を、0.5%〜8%程度まで下げておく必要がある。
【0028】
ただ、分級処理での精度向上のため第1のスラリーの粒子濃度を低くすると、分級処理で得られる第2のスラリーの粒子濃度も低くなる。例えば、第1のスラリーの粒子濃度を上記範囲まで下げた場合、第2のスラリーの粒子濃度は0.1%〜5%程度となる。このため、ステップS4に示した回収処理では、如何にして、粒子濃度の低い第2のスラリーから、微粒子を、濃縮スラリーの状態として回収するのかという問題が生じる。本発明に係る粒子回収方法は、このような問題に鑑みて為されたものである。
【0029】
本発明に係る粒子回収方法について、図2〜図7を参照し説明する。図2は本発明に係る粒子回収方法を実施するのに用いられる粒子回収装置の一例を示している。まず、粒子回収装置の構成を説明する。図2に示された粒子回収装置は、容器1、容器回転手段2、磁力発生手段3、スラリー投入手段4、溶媒受け手段5及び制御手段6を備えている。
【0030】
容器1は、開口部11と、底部内面12とを有しており、開口部11と底部内面12との間で、第2のスラリーを入れるための内部空間13を形成している。容器1は、磁気を帯びないような非磁性材料、例えばステンレス材(SUS304)から構成される。容器1は、ほぼ水平方向の軸14の周りに回転可能なように設けられている。図2に示された状態では、容器1は、傾けられることなく鉛直方向に位置している。これを、容器1の基準位置P0とする。
【0031】
容器回転手段2は、軸14の周りで容器1を、必要な回転量だけ回転させる役割を担う。このような容器回転手段2は、制御された回転量を生じさせる装置、例えば、電気モーターなどの電動機から構成することができる。以下の図面では、容器1の図示を明瞭化するため、容器回転手段2の図示を省略することがある。
【0032】
磁力発生手段3は、容器1の底部内面12に磁力を印加する役割を担う。図示の構成の場合、磁力発生手段3は、フェライト磁石などの永久磁石からなり、容器1とは別体として設けられている。そして、磁力発生手段3は、回転運動する容器1に磁力を印加できるように、容器に近接した一定の位置に、位置決め装置32で位置決めされている。磁力発生手段3は、容器1に向かい合う側に、円弧状の凹面31を有している。詳しくは、軸14に垂直な断面で磁力発生手段3の凹面31をみたとき、凹面31の輪郭線が、回転運動する容器1の軌跡に対応して円弧状となっている。
【0033】
スラリー投入手段4は、第2のスラリーを容器1に入れるための手段であり、第2のスラリーを貯えるためのタンク41、タンク41から第2のスラリーを流すための管42、及び、管42に取り付けられる弁43を含んで構成されている。管42の先端は、容器1が後述のスラリー投入位置にあるとき(図3参照)、容器1の開口部11の上方に位置するように配置されている。そして、弁43を開くことにより、タンク41内の第2のスラリーを、管42を通して容器1に流し込むことができる。
【0034】
溶媒受け手段5は、第2のスラリーに含まれていた溶媒を容器1から流し出す際に、溶媒を受けるための手段であり、例としては、漏斗を挙げることができる。溶媒受け手段5は、容器1が後述の溶媒排出位置にあるとき(図5参照)、容器1の開口部11の下方に位置するように配置されている。
【0035】
更に容器1には、ガス噴射装置15が設けられている。図示のガス噴射装置15は、駆動時に、容器1の底部内面12を経由して開口部11へと抜けるガス噴流16を発生するように、容器1の開口部12に配置されている。ガス噴射装置15は、例えば、特定の方向にガスを噴射するノズルから構成することができる。図示と異なり、ガス噴射装置が容器の底部内面に配置されていてもよい。
【0036】
制御手段6は、容器回転手段2、位置決め装置32、スラリー投入手段4の弁43及びガス噴射装置15について、時間的な順序関係を含んだ制御動作を行う。このような制御手段6は、マイクロコンピューターなどから構成することができる。
【0037】
次に、本発明に係る粒子回収方法について説明する。まず、図3に示すように、制御手段6からの指令に従って容器回転手段2を制御することで、容器1をスラリー投入位置P1に位置させる。
【0038】
次に、制御手段6からの指令に従ってスラリー投入手段4の弁43を開くことで、第2のスラリー81を容器1に流し込む。第2のスラリー81を所定量まで流し込んだら弁43を閉じる。
【0039】
スラリー投入位置P1は、容器1に第2のスラリー81を所定量だけ入れても、容器1から第2のスラリー81が流れ出さないような位置であればよく、必ずしも、容器を傾けずに鉛直方向に位置させた位置でなくてもよい。例えば、スラリー投入位置P1は、図示のように、基準位置P0に対して傾斜角θ1をなすような、容器1を傾けた位置であってもよい。
【0040】
更に図示実施形態の場合、容器1がスラリー投入位置P1にあるとき、容器1の底部内面12に磁力発生手段3からの磁力を印加する。
【0041】
このように、容器1に第2のスラリー81を入れ、かつ、容器1の底部内面12に磁力を印加すると、第2のスラリー81中の、磁性材料からなる微粒子が、磁力を受けて容器1の底部内面12に引き寄せられる。この結果、図4に示すように、微粒子82を、磁力で容器1の底部内面12に吸着させることができる。一方で、溶媒83は、容器1の内部で、そのまま留まる。
【0042】
また、容器1に第2のスラリーを入れる動作は、容器1の底部内面12に磁力を印加していない状態で行ってもかまわない。その後に、容器1の底部内面12に磁力を印加すればよい。
【0043】
次に、図5に示すように、制御手段6からの指令に従って容器回転手段2を制御することで、矢印A1で示されるように容器1を、スラリー投入位置P1から溶媒排出位置P2まで回転させる。溶媒排出位置P2は、容器1内に残った溶媒のほぼ全てを、溶媒自体の重さによって容器1から流し出すように、容器1を傾けた位置である。溶媒排出位置P2の傾斜角θ2は、上述したスラリー投入位置P1の傾斜角θ1よりも大きい。図示の溶媒排出位置P2の場合、傾斜角θ2は、ほぼ90度である。
【0044】
更に、容器1が溶媒排出位置P2にあるときでも、容器1の底部内面12に磁力発生手段3からの磁力を印加することで、容器1の底部内面12に微粒子82を吸着させた状態を維持する。
【0045】
このように、容器1の底部内面12に微粒子82を吸着させたまま、容器1から溶媒を流し出すことにより、容器1内における微粒子82の量をほとんど減らすことなく、溶媒の量を大幅に減らすことができる。よって、容器1の内部で、微粒子82を濃縮スラリーの状態として得ることができる。
【0046】
また、容器1から流し出された溶媒は、溶媒受け手段5で受けた後、必要に応じて、再利用してもよい。例えば、図1のステップS2で第1のスラリーを作製するための溶媒として再利用することができる。
【0047】
容器1から溶媒を流し出した後、制御手段6からの指令に従って容器回転手段2を制御することで、矢印A2で示されるように、容器1を溶媒排出位置P2からスラリー投入位置P1まで逆回転させて、容器1をスラリー投入位置P1に戻す。また、逆回転ではなく、矢印A1の方向に容器1を更に回転させることで、スラリー投入位置P1に戻すといった構成も可能である。
【0048】
容器1をスラリー投入位置P1に戻したら、容器1の内部に微粒子を溜めたままで、再び、容器1に第2のスラリーを流し込む。更に、磁力発生手段3からの磁力で容器1の内面に微粒子を吸着させる。その後、容器1をスラリー投入位置P1から溶媒排出位置P2まで回転させて、容器1の内面に微粒子を吸着させたまま容器1から溶媒を流し出す。
【0049】
このようにして、スラリー投入位置P1と溶媒排出位置P2との間で容器1を繰り返し回転させることで、第2のスラリーを容器1に投入するスラリー投入工程、容器1の内面に微粒子を吸着させる粒子吸着工程、及び、容器1から溶媒を排出する溶媒排出工程を含むサイクルを、繰り返し行う。これにより、容器1の内部に、濃縮スラリーの状態である微粒子を蓄積していくことができる。そして、微粒子を十分な量まで蓄積した後に回収することで、回収を効率的に行うことができる。
【0050】
また、容器1の内部で、微粒子を逃すことなく蓄積するためには、容器1を、スラリー投入位置P1から溶媒排出位置P2まで回転させる間、更には、溶媒排出位置P2からスラリー投入位置P1まで逆回転させる間、容器1の底部内面12に磁力を印加し続けることで、容器1の底部内面12に微粒子を吸着させた状態を維持することが好ましい。
【0051】
この点に関し、図示の粒子回収装置では、容器1を、磁力発生手段3に形成された円弧状の凹面31に沿って回転または逆回転させるので、磁力発生手段3からの磁力を容器1に印加しながら、容器1の回転または逆回転をスムーズに行うことができる。よって、図示の粒子回収装置は、容器1の内部で、微粒子を逃すことなく蓄積するのに適している。
【0052】
次に、容器の内部に蓄積した微粒子を回収するための具体的手法について説明する。
【0053】
まず、図6に示すように、制御手段6からの指令に従って容器回転手段2を制御することで、容器1を回転させ、容器1の開口部11を下にした逆さまの状態とする。
【0054】
更に、制御手段6からの指令に従って位置決め手段32を制御することで、矢印A3で示される方向に磁力発生手段3を移動させ、容器1から磁力発生手段3を遠ざける。図示の構成と異なり、容器1を磁力発生手段3から遠ざけるといった構成も可能である。
【0055】
このように磁力発生手段3と容器1とを相対的に離すことで、微粒子82に及ぼさされる磁力を低下させ、微粒子82を、容器1の底部内面12に吸着された状態から解放することができる。この結果、微粒子82は、容器1を逆さまにした状態で、重力に従って容器1の底部内面12から垂れ落ちる。このようにして微粒子82を回収する。
【0056】
ただ、濃縮スラリーの状態である微粒子82は、スラリー自体に粘度があるので、完全には容器1の底部内面12から垂れ落ちず、一部分が容器1の内部に残ってしまうことがある。
【0057】
そこで、図7に示すように、制御手段6からの指令に従ってガス噴射装置15を駆動し、微粒子82にガス噴流16を当てることで、容器1から微粒子82を流し落とす。このようにして容器1内の微粒子82をほとんど残さずに回収することが可能となる。
【0058】
なお、ここでは、容器の内部に蓄積した微粒子を、容器の外部に出すものとしたが、容器の内部に蓄積した微粒子を、容器に入れたままにすることもある。微粒子を容器に入れたままでも、有機ビヒクル及び有機溶剤を加えて混合することにより、導電ペーストを作製することができる。
【0059】
図8は、本発明に係る粒子回収方法を実施するのに用いられる粒子回収装置の別の例を示している。図示において、先の図2に現れた構成部分と同一性ある構成部分には、同一の参照符号を付し、説明を省略することがある。
【0060】
図8に示された粒子回収装置では、磁力発生手段30は、電磁石から構成されている。電磁石でなる磁力発生手段30は、電源33から供給される電流によって励磁され、磁力を発生する。磁力発生手段30は、容器1の底部内面12に磁力を印加するように、容器1に一体的に設けられている。
【0061】
更に、電気回路的にみて磁力発生手段30と電源33との間には、電流制御手段34が挿入されている。電流制御手段34は、電源33から磁力発生手段30に供給される電流を減らすことで、磁力発生手段30の磁力を低下させる役割を担う。典型的には、電流制御手段34は、電気回路の開閉動作を行うスイッチから構成される。
【0062】
制御手段60は、電流制御手段34を制御する点を除いては、図2における粒子回収装置の制御手段6と同様である。
【0063】
図8に示された粒子回収装置の重要な特徴は、磁力発生手段30を、電磁石から構成することで、容器1と一体として設けたことにある。
【0064】
すなわち、微粒子を、容器1の底部内面12に吸着された状態から解放するには、微粒子に及ぼさされる磁力を低下させる必要があることは上述した通りである。この点、図8の粒子回収装置では、磁力発生手段30が電磁石から構成されているので、磁力発生手段30に供給される電流を減らすだけで、微粒子に及ぼさされる磁力を低下させることができる。磁力発生手段を容器から遠ざける、または、容器を磁力発生手段から遠ざけるといった操作を行う必要はない。よって、磁力発生手段30を、容器1と一体として設けることが可能となり、粒子回収装置の構成を簡単化することができる。
【0065】
図8の粒子回収装置を用いた粒子回収方法については、電流制御手段34を制御して磁力発生手段からの磁力を低下させる点を除き、図2〜図7を参照して説明した粒子回収方法と同様であるので、説明を省略する。
【0066】
以上、実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】粒子製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る粒子回収方法を実施するのに用いられる粒子回収装置の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る粒子回収方法を説明するための図である。
【図4】図3に示したステップの後のステップを示す図である。
【図5】図4に示したステップの後のステップを示す図である。
【図6】図5に示したステップの後のステップを示す図である。
【図7】図6に示したステップの後のステップを示す図である。
【図8】本発明に係る粒子回収方法を実施するのに用いられる粒子回収装置の別の例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 容器
2 容器回転手段
3 磁力発生手段
4 スラリー投入手段
5 溶媒受け手段
6 制御手段

【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
【出願日】 平成18年12月22日(2006.12.22)
【代理人】 【識別番号】100081606
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 美次郎

【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一


【公開番号】 特開2008−155107(P2008−155107A)
【公開日】 平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願番号】 特願2006−345696(P2006−345696)