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【発明の名称】 電気集塵器、及び電気集塵器の乾燥制御方法
【発明者】 【氏名】古田 正俊

【氏名】大倉 重信

【要約】 【課題】洗浄液による吸着プレートの洗浄から再稼働までの時間を短縮し、さらに稼働率を向上させることの可能な電気集塵器を提供することを課題とする。

【解決手段】電気集塵器1は、ハウジング12、気流発生部16、複数の吸着プレート5を有する捕集部22、複数の放電電極部3を有する放電部30、放電電圧供給部、洗浄液を噴射する吸着面洗浄部36、及び洗浄後の吸着プレート5等を乾燥させる乾燥制御部とを主に具備して構成されている。乾燥制御部は、洗浄液で濡れた吸着プレート5に対し、予め設定された短い単位時間だけ放電電圧を供給し、その際に発生するスパーク等の熱により、洗浄液を徐々に蒸発させ、最終的に開始基準電圧値を実測電圧値が超えた場合、コロナ放電CDを発生可能な放電電圧を連続的に供給する制御を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子を含む汚染空気を吸込む吸気口及び前記微粒子が除去された清浄空気を排出する排気口を連通する空気通路が内部に形成されたハウジングと、
前記空気通路に気流を発生させ、前記汚染空気の吸気及び前記清浄空気の排気を行う気流発生手段と、
前記空気通路に設けられ、前記気流の流通方向と直交して前記空気通路に架渡された吸着軸、略円板状を呈し、互いの吸着面をそれぞれ対向させた状態で前記吸着軸に取設され、前記吸着面にクーロン力を利用して荷電された前記微粒子を吸着し、捕集する複数の吸着プレート、及び前記吸着軸の一端と接続し、前記吸着プレートを前記吸着軸に従って回転させる吸着プレート回転手段を備える捕集手段と、
前記空気通路に設けられ、前記気流の流通方向と直交して前記空気通路に架渡された放電軸、前記放電軸に支持され、互いに対向する一対の前記吸着プレートの間にそれぞれ挿入されるとともに、前記吸着プレートの前記吸着面に放電面を近接させ、前記吸着プレートに対して電気的に絶縁した状態で配された複数の荷電プレート、及び前記荷電プレートの吸気口対向縁の近傍に配され、先端が尖鋭状に形成された尖鋭端部を有する複数の放電電極部を備え、前記汚染空気に含まれる前記微粒子をコロナ放電によって荷電する放電手段と、
前記放電手段の前記放電軸と電気的に接続し、前記放電電極部から前記コロナ放電を発生可能な放電電圧を供給する放電電圧供給手段と、
前記空気通路に設けられ、前記吸着プレートのそれぞれの前記吸着面に噴射口が向けられた複数の噴射ノズル、及び前記噴射ノズルと接続し、前記吸着面に吸着された前記微粒子を前記噴射ノズルから噴出された洗浄液によって洗浄するために、前記洗浄液を前記空気通路内に圧送し、供給する洗浄液供給手段を備える吸着面洗浄部と、
前記吸着面洗浄部によって洗浄された前記吸着プレートを含む前記捕集手段及び前記洗浄液が飛散した前記放電電極部を含む前記放電手段から前記洗浄液を除去し、前記空気通路内での前記コロナ放電の発生を可能な状態に乾燥させる乾燥制御部と
を具備する電気集塵器において、
前記乾燥制御部は、
前記放電電圧供給手段を制御し、前記コロナ放電を発生可能な前記放電電圧を予め設定した単位時間に限定して前記放電電極部に供給する限定電圧供給手段と、
前記放電電圧の供給される前記放電電極部及び前記吸着プレートの間の前記放電電圧供給時の実測電圧値を測定する実測電圧値測定手段と、
測定された前記実測電圧値が、前記コロナ放電によって前記微粒子の荷電が可能な開始基準電圧値を超えるか否かを判定する実測電圧値判定手段と、
前記実測電圧値が前記開始基準電圧値をオーバーしている場合、前記放電電圧供給手段を制御し、前記コロナ放電を発生可能な前記放電電圧を前記放電電極部に連続的に供給するとともに、前記気流発生手段を制御し、前記吸気口から前記汚染空気の吸気を開始し、クーロン力を利用して前記微粒子の捕集を行う再稼働手段と、
前記実測電圧値が前記開始基準電圧値よりも小さい場合、前記限定電圧供給手段を制御し、再び前記放電電圧を前記単位時間に限定して前記放電電極部に供給する再乾燥手段と
を具備することを特徴とする電気集塵器。
【請求項2】
前記乾燥制御部は、
前記限定電圧供給手段によって前記放電電極部に前記放電電圧が供給される際に、前記洗浄液の残存する前記吸着プレートを前記吸着軸に従って回転させ、遠心力を利用して前記洗浄液を前記吸着プレートから飛散させる飛散除去手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の電気集塵器。
【請求項3】
前記開始基準電圧値は、
8000ボルト以上、12000ボルト以下に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気集塵器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の電気集塵器を利用した電気集塵器の乾燥制御方法において、
放電電圧供給手段を制御し、放電電極部からコロナ放電を発生させるための放電電圧を予め設定された単位時間に限定して供給する限定電圧供給工程と、
前記放電電圧が供給された前記放電電極部及び捕集された微粒子を洗浄し、洗浄液で濡れた状態の吸着プレートの間の実測電圧値を測定する実測電圧値測定工程と、
測定された前記実測電圧値が前記コロナ放電によって前記微粒子の荷電が可能な開始基準電圧値を超えるか否かを判定する実測電圧値判定工程と、
前記実測電圧値が前記開始基準電圧値をオーバーしている場合、前記放電電圧供給手段を制御し、前記コロナ放電を発生可能な前記放電電圧を前記放電電極部に連続的に供給するとともに、前記気流発生手段を制御し、吸気口からの汚染空気の吸気を開始し、クーロン力を利用して前記微粒子の捕集を行う再稼働工程と、
前記実測電圧値が前記開始基準電圧値よりも小さい場合、前記限定電圧供給手段を制御し、再び前記放電電圧を前記単位時間に限定して前記放電電極部に供給する再乾燥工程と
を具備することを特徴とする電気集塵器の乾燥制御方法。
【請求項5】
前記洗浄液で濡れた状態の前記吸着プレートを吸着軸に従って回転させるプレート回転制御工程をさらに具備し、
前記限定電圧供給手段は、
前記吸着プレートが回転した状態で前記放電電圧を供給することを特徴とする請求項4に記載の電気集塵器の乾燥制御方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電気集塵器、及び電気集塵器の乾燥制御方法に関するものであり、特に、コロナ放電によって荷電された微粒子を回転する吸着プレートでクーロン力を利用して捕集するとともに、微粒子が吸着し、捕集された吸着プレートを噴射した洗浄液の液圧によって洗い流し、洗浄後に吸着プレートを速やかに乾燥させ、微粒子の捕集を可能な状態に短時間で復帰させ、再稼働させることの可能な電気集塵器、及び電気集塵器の乾燥制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場のボイラー排気や発電所などから大量に排出される煤煙などのいわゆる「産業廃ガス」を大気中に放出する前に、産業廃ガス中に含まれる種々の粉体物や油分或いは水分等を含むミストやダストなどの大気を汚染する恐れの有る微粒子を取除く空気清浄化処理が行なわれることがある。これらの微粒子を含む産業廃ガスを直接大気中に放出することは、地球環境に甚大な影響を及ぼすため、国や地方自治体などの基準によって回収することが義務づけられていることがある。また、都市部では、車の排気ガスなどによる大気汚染が深刻な状態にあり、一般家庭でも家庭用の空気清浄器を備え、使用するところもある。さらに、焼肉店等の飲食店においても、厨房などから調理時に発生する煙や汚染空気を外部にそのまま放出し、近隣住民からの不満を避けるために、放出前に空気清浄器で汚染空気を清浄化する機器を設置しているところが多い。
【0003】
これらの汚染空気を清浄化する機器(集塵器・空気清浄器)は、種々の原理及びタイプのものが既に開発されている。特に、集塵性能の点から、電気式の集塵器(電気集塵器)が優れていることが知られ、多くの産業分野において広く普及している。ここで、電気集塵器の一般的な捕集原理について説明すると、放電極に高電圧を加えることによって発生させたコロナ放電を利用し、放電極の近傍を通過するように整流された汚染空気中の微粒子に所定の電荷を与え、荷電(帯電)した微粒子を、クーロン力を使用して放電極と電気的に対極の集塵電極に電気的に引寄せて捕集を行うものである。この電気集塵器の特徴は、1)他の集塵器に比べて圧力損失が小さい、2)一度に大量のガス処理が可能、3)集塵率(集塵性能)が高い等、の優れた利点を有している。そのため、工場や発電所などの特に大量に汚染空気を排出する環境、及び焼肉店等の飲食店で近隣に臭いが触れるのを防止するために厨房等の比較的小中規模の汚染空気を処理する環境で利用されていることが多い。
【0004】
なお、本願出願人は、コロナ放電によって荷電された微粒子を、回転させた吸着プレート(集塵電極に相当)で捕集し、長時間にわたる連続稼働の後であっても、著しい集塵効率の低下を抑制し、さらに、吸着面の洗浄等のメンテナンスの頻度を少なくした新規な構成を有する電気集塵器を開発し、既に特許出願を行っている(例えば、特許文献1及び特許文献2等参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−126729号公報
【特許文献2】特開2004−141826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述したように、吸着プレートを回転させて捕集する電気集塵器は、吸着プレートの吸着面の位置が時々刻々変化しているため、荷電された微粒子が吸着される吸着面の位置もバラバラである。そのため、従来の電気集塵器のように、荷電された微粒子が集塵電極の一部に偏って吸着されることがない。その結果、長時間にわたる稼働であっても集塵効率(捕集効率)が短時間ではそれほど低下することがない優れた利点を有していた。しかしながら、吸着プレートに捕集された微粒子が吸着面に蓄積(堆積)することは、吸着プレート及び微粒子を反発させる荷電プレートの間のクーロン力が低下し、微粒子の捕集効率が低下することもあった。これを解消するため、長時間の連続運転後には、集塵効率を元の状態に戻す目的で、吸着プレート(吸着面)を洗浄する作業が必要であった。
【0007】
ここで、吸着プレートからの微粒子の除去には、例えば、自動車のワイパーのような洗浄機構を設け、吸着面に洗浄液(水或いは界面活性剤水等)を噴射し、吸着プレートを回転させながらワイパー部分で微粒子を掻き取るようにして物理的に除去する手法、或いは洗浄液を吸着面に噴射させ、その液圧によって吸着面から微粒子を洗い流す手法などが採用されている。
【0008】
ところで、吸着プレートの吸着面に噴射された洗浄液は、回転する吸着プレートによって遠心力に従って空気通路のあらゆる箇所に飛散する可能性があった。そのため、吸着プレートの吸着面以外にも、例えば、微粒子を荷電するための放電手段等が、洗浄液で濡れた状態となることがあった。この状態で、コロナ放電を発生可能な放電電圧を供給したとしても、本来は電気的に絶縁した状態となっているはずの放電手段と吸着プレート等の捕集手段とが導電性の洗浄液を媒介として電気的に接続された状態、換言すれば、短絡した状態となっているため、コロナ放電を発生させることができなかった。そこで、洗浄液を用いた洗浄後には、放電手段及び捕集手段の双方を自然乾燥や熱風等の強制乾燥によって、完全に乾燥させ、再度絶縁状態にする必要があった。このため、この乾燥のための作業に多くの時間を要することがあり、その結果として電気集塵器を非稼働状態にしておく時間が長くなった。そのため、稼働率の低下を招いたり、全体として電気集塵器による微粒子の捕集が非効率化するおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、洗浄液による吸着プレートの洗浄から再稼働までの時間を短縮し、さらに稼働率を向上させることの可能な電気集塵器、及び電気集塵器の乾燥制御方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかる電気集塵器は、「微粒子を含む汚染空気を吸込む吸気口及び前記微粒子が除去された清浄空気を排出する排気口を連通する空気通路が内部に形成されたハウジングと、前記空気通路に気流を発生させ、前記汚染空気の吸気及び前記清浄空気の排気を行う気流発生手段と、前記空気通路に設けられ、前記気流の流通方向と直交して前記空気通路に架渡された吸着軸、略円板状を呈し、互いの吸着面をそれぞれ対向させた状態で前記吸着軸に取設され、前記吸着面にクーロン力を利用して荷電された前記微粒子を吸着し、捕集する複数の吸着プレート、及び前記吸着軸の一端と接続し、前記吸着プレートを前記吸着軸に従って回転させる吸着プレート回転手段を備える捕集手段と、前記空気通路に設けられ、前記気流の流通方向と直交して前記空気通路に架渡された放電軸、前記放電軸に支持され、互いに対向する一対の前記吸着プレートの間にそれぞれ挿入されるとともに、前記吸着プレートの前記吸着面に放電面を近接させ、前記吸着プレートに対して電気的に絶縁した状態で配された複数の荷電プレート、及び前記荷電プレートの吸気口対向縁の近傍に配され、先端が尖鋭状に形成された尖鋭端部を有する複数の放電電極部を備え、前記汚染空気に含まれる前記微粒子をコロナ放電によって荷電する放電手段と、前記放電手段の前記放電軸と電気的に接続し、前記放電電極部から前記コロナ放電を発生可能な放電電圧を供給する放電電圧供給手段と、前記空気通路に設けられ、前記吸着プレートのそれぞれの前記吸着面に噴射口が向けられた複数の噴射ノズル、及び前記噴射ノズルと接続し、前記吸着面に吸着された前記微粒子を前記噴射ノズルから噴出された洗浄液によって洗浄するために、前記洗浄液を前記空気通路内に圧送し、供給する洗浄液供給手段を備える吸着面洗浄部と、前記吸着面洗浄部によって洗浄された前記吸着プレートを含む前記捕集手段及び前記洗浄液が飛散した前記放電電極部を含む前記放電手段から前記洗浄液を除去し、前記空気通路内での前記コロナ放電の発生を可能な状態に乾燥させる乾燥制御部とを具備する電気集塵器において、前記乾燥制御部は、前記放電電圧供給手段を制御し、前記コロナ放電を発生可能な前記放電電圧を予め設定した単位時間に限定して前記放電電極部に供給する限定電圧供給手段と、前記放電電圧の供給される前記放電電極部及び前記吸着プレートの間の前記放電電圧供給時の実測電圧値を測定する実測電圧値測定手段と、測定された前記実測電圧値が、前記コロナ放電によって前記微粒子の荷電が可能な開始基準電圧値を超えるか否かを判定する実測電圧値判定手段と、前記実測電圧値が前記開始基準電圧値をオーバーしている場合、前記放電電圧供給手段を制御し、前記コロナ放電を発生可能な前記放電電圧を前記放電電極部に連続的に供給するとともに、前記気流発生手段を制御し、前記吸気口から前記汚染空気の吸気を開始し、クーロン力を利用して前記微粒子の捕集を行う再稼働手段と、前記実測電圧値が前記開始基準電圧値よりも小さい場合、前記限定電圧供給手段を制御し、再び前記放電電圧を前記単位時間に限定して前記放電電極部に供給する再乾燥手段と」を具備するものから主に構成されている。
【0011】
ここで、汚染空気に含まれる微粒子とは、工場等の各種施設から排出される産業廃ガスや自動車の排気ガス中に含まれる固体粉体物や、飲食店の厨房等から排出される油分や水分を多量に含むミスト状のものを例示することが可能であり、ガス中に浮遊する所謂「浮遊粒子状物質」が相当する。さらに、気流発生手段とは、空気通路内に空気の流れ(気流)を発生させるものであり、例えば、モータ等の駆動装置に接続されたプロペラ(羽根)を回転させ、該プロペラの回転に伴って気流を生じさせるものである。なお、使用するプロペラのプロペラ径や駆動のためのモータの回転数を適宜変化させることにより、空気通路内を流れる気流の流量や流通速度(流速)等を任意に変更させることができる。
【0012】
一方、捕集手段とは、後述する放電手段によって汚染空気の中の微粒子に電荷が与えられ、荷電された状態で電気的に対極にある吸着プレートの吸着面にクーロン力を利用して吸着させ、捕集するものである。このとき、捕集手段を構成する吸着プレートは、プレート回転手段(回転用のモータ等)によって吸着軸に従って軸回転をしている。そのため、空気通路内を流れる汚染空気に含まれる微粒子と、吸着面との間の位置関係は、時々刻々変化している。そのため、クーロン力によって捕集される微粒子は、吸着プレートの吸着面の特定部位に偏ることなく吸着され、最終的には吸着面全体にわたってほぼ均一に付着することとなる。
【0013】
また、放電手段とは、吸気口から吸気された汚染空気に対して、コロナ放電を発生させ、該汚染空気に含まれる微粒子に電荷を与え、荷電した状態にするものである。係る構成は、放電電圧供給手段と接続した放電軸及び荷電プレート、さらに放電電極部によって主に構成されている。ここで、コロナ放電は、一般に先端の尖った箇所から容易に発生しやすいことが知られている。そのため、本発明においては、先端を尖鋭状に形成した複数の尖鋭端部を備える放電電極部が用いられている。そして、その尖鋭端部は、気流の流れに沿うように、換言すれば、吸気口から先端が離間する方向に配されている。なお、荷電プレートは、空気通路の幅方向に対し、所定の間隔で吸着プレートの間にそれぞれ挿入されており、一方、放電電極部は、荷電プレートの吸気口対向縁に沿って空気通路の高さ方向に複数が配され、上端が鉤状に形成され、放電軸に引っかかるように取付けられている。そのため、吸気口から吸気された汚染空気の大部分は、コロナ放電が発生している放電電極部の近傍を通過することとなる。その結果、汚染空気に含まれる微粒子のほぼ100%がコロナ放電によって荷電されることとなる。ここで、放電電極部を構成する素材は特に限定されないが、コロナ放電時の高温によって尖鋭端部が溶解し、コロナ放電を発生可能な尖鋭状が喪失することを回避し、かつコロナ放電を効率的に発生させるために優れた電気伝導性を有する機能を備える必要ある。そこで、例えば、タングステン或いはタングステン化合物等の比較的硬質の素材を用い、形成するものであっても構わない。なお、放電電圧供給手段は、家庭用電源或いは商用電源と接続し、放電電極部に高電圧を供給可能となっている。
【0014】
さらに、吸着面洗浄部とは、各々の吸着プレートの吸着面に向かってそれぞれ噴射口が設けられた噴射ノズルから、水或いは界面活性剤を含む洗浄液を洗浄供給手段(例えば、エアーポンプ等)を利用して噴射し、洗浄液の水圧(液圧)によって付着した微粒子を洗い流すものである。そのため、ハウジングの外側に設けられた洗浄液を貯留するタンク、及び該タンクと接続し、空気通路内に洗浄液を導く供給ホース、供給ホースから複数の噴射ノズルに枝分かれするように配した分岐管、及び終端に設けられた噴射ノズル等の複数の構成を有している。
【0015】
一方、乾燥制御部は、洗浄した後の濡れた状態の吸着プレート等を速やかに乾燥させ、再び汚染空気から微粒子を除去する処理を可能とする状態にするためのものであり、前述した電気集塵器の各構成の処理タイミングを制御するによって達成されるものである。さらに、具体的に説明すると、本発明の電気集塵器の捕集原理は、クーロン力を利用して、吸着面に微粒子を捕集するものであり、荷電する放電手段と、捕集する捕集手段とが電気的に絶縁した状態となっている必要がある。しかしながら、先の吸着面洗浄部によって、洗浄後の空気通路内は吸気プレートを始めとする各構成が洗浄液で濡れた状態となっている。このとき、洗浄液は導電性成分を含むものであり、吸着プレート等の捕集手段と放電電極部等の放電手段とは電気的に短絡している。そこで、乾燥制御部は、係る短絡した状態を元の状態に復帰させるために機能するものである。なお、乾燥制御部は、上述した放電手段等の構成を電気的に制御し、乾燥可能とするものであり、電気集塵器1を電気的に駆動するための主制御部(制御板、制御回路等)の一機能として作用し、或いはメモリ等の記憶手段に予め乾燥に係る手順がプログラミングされているものであっても構わない。
【0016】
したがって、本発明の電気集塵器によれば、吸着プレートに吸着した微粒子を吸着面洗浄部によって洗浄液の液圧で洗浄した後、再び電気集塵器を稼働し、汚染空気に含まれる微粒子を捕集する処理を行うまでの時間を短縮するものである。さらに、具体的に説明すると、洗浄液が噴射された後、放電電圧供給手段を制御し、予め設定した単位時間(例えば、0.5s)に限定して放電電圧を一時的に供給する。このとき、洗浄液で濡れた状態の吸着プレート及び放電電極部等は、電気的に短絡した状態のために十分にコロナ放電を発生することができない、或いは不完全なコロナ放電に相当するスパークが瞬間的に発生する。このとき、短絡した回路の一部を形成している洗浄液に電流が流れると、抵抗熱が発生し、洗浄液の温度を上昇させる。この放電電圧の供給を繰り返し行うことにより、最終的に洗浄液が蒸発可能な温度まで上昇し、乾燥することとなる。一方、スパークの発生によって、該スパークに近接した洗浄液は、瞬間的に高温となり、蒸発することがある。そのため、単位時間に限定した放電電圧を繰り返し供給することにより、空気通路内、特に、吸着プレートと放電電極または荷電プレートとの間の洗浄液が蒸発し、乾燥することとなる。
【0017】
このとき、限定電圧供給手段による放電電圧の供給開始直後、すなわち、放電電圧を供給する回数が、初回から数回程度の場合、短絡の原因となっている洗浄液の温度を十分に高温にしたり、或いは完全に蒸発させることは困難であり、しかも、完全なコロナ放電を発生するために十分な電圧(開始基準電圧値)まで実測電圧値との間に差があるため、不完全なコロナ放電に相当するスパークも僅かにしか発生しない。そこで、係る放電電圧の単位時間毎に供給を複数回に亘って実行することにより、徐々に洗浄液を蒸発させ、空気通路内を乾燥させる。一方、開始基準電圧値を超えている場合、既に説明したように、気流発生手段を駆動させ、汚染空気の吸気を開始し、電気集塵器を再稼働することが可能となる。
【0018】
ここで、洗浄液によって短絡した状態で、コロナ放電を発生可能な放電電圧を連続的に供給し続けた場合、放電電圧供給手段を構成する各電気機器に多大な負荷を掛けることとなり、また、電気集塵器自体に予め備えられている安全回路によって、係る短絡状態を検知し、放電電圧の供給が遮断されることもある。しかしながら、上記説明において、予め設定した単位時間に限定して放電電圧を供給し、さらに基準開始電圧に到達していない場合には、上記処理を繰返すことにより、安全に、かつ確実に洗浄液を空気通路内から蒸発させることが可能となる。
【0019】
さらに、本発明の電気集塵器は、上記構成に加え、「前記乾燥制御部は、前記限定電圧供給手段によって前記放電電極部に前記放電電圧が供給される際に、前記洗浄液の残存する前記吸着プレートを前記吸着軸に従って回転させ、遠心力を利用して前記洗浄液を前記吸着プレートから飛散させる飛散除去手段を」具備するものであっても構わない。
【0020】
さらに、本発明の電気集塵器によれば、放電電圧を断続的に供給する際に、吸着プレートを回転させることによって、遠心力によって洗浄液を吸着プレートの外側に飛散させることが可能となり、吸着プレートから洗浄液を早期に除去し、乾燥を速やかに行うことができる。なお、コロナ放電(或いはスパーク)が発生する箇所が、吸着プレートの各吸着面において随時変化するため、吸着面全体をに平均的にスパークを当てることができ、均一に乾燥させることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明にかかる電気集塵器は、上記構成に加え、「前記開始基準電圧値は、8000ボルト以上、12000ボルト以下に設定されている」ものであっても構わない。
【0022】
したがって、本発明の電気集塵器によれば、開始基準電圧値が8000ボルト以上、12000ボルト以下に設定されている。ここで、コロナ放電は、一般に10000ボルト程度の放電電圧を利用して発生させることが多い。そこで、該10000ボルトよりも僅かに低い、8000ボルトを開始基準電圧値の下限として設定することにより、十分に乾燥したことを確認した後にコロナ放電を連続的に発生させることが可能となる。なお、開始基準電圧値の下限を12000ボルトにしたのは、これ以上の高電圧では電気集塵器の放電手段及び放電電圧供給手段に多大な負荷が加わるため、機器全体の耐久性が損なわれるため、好ましくない。そこで開始基準電圧値を8000ボルト以上、12000ボルト以下に設定することにより、適度な放電電圧の範囲で、計画を実行することが可能となる。
【0023】
一方、本発明の電気集塵器の乾燥制御方法は、「放電電圧供給手段を制御し、放電電極部からコロナ放電を発生させるための放電電圧を予め設定された単位時間に限定して供給する限定電圧供給工程と、前記放電電圧が供給された前記放電電極部及び捕集された微粒子を洗浄し、洗浄液で濡れた状態の吸着プレートの間の実測電圧値を測定する実測電圧値測定工程と、測定された前記実測電圧値が前記コロナ放電によって前記微粒子の荷電が可能な開始基準電圧値を超えるか否かを判定する実測電圧値判定工程と、前記実測電圧値が前記開始基準電圧値をオーバーしている場合、前記放電電圧供給手段を制御し、前記コロナ放電を発生可能な前記放電電圧を前記放電電極部に連続的に供給するとともに、前記気流発生手段を制御し、吸気口からの汚染空気の吸気を開始し、クーロン力を利用して前記微粒子の捕集を行う再稼働工程と、前記実測電圧値が前記開始基準電圧値よりも小さい場合、前記限定電圧供給手段を制御し、再び前記放電電圧を前記単位時間に限定して前記放電電極部に供給する再乾燥工程と」を具備して主に構成されている。
【0024】
したがって、本発明の電気集塵器の乾燥制御方法によれば、洗浄後に電気集塵器を再稼働する前に、短い単位時間毎に断続的に放電電圧を供給し、流れる電流によって発生する熱やスパークによって、洗浄液を徐々に蒸発させ、空気通路内を乾燥させることができる。これにより、放電電極部等と吸着プレートとの間の絶縁状態が形成され、コロナ放電を安定して発生させることが可能となる。
【0025】
さらに、本発明の電気集塵器の乾燥制御方法は、上記構成に加え、「前記洗浄液で濡れた状態の前記吸着プレートを吸着軸に従って回転させるプレート回転制御工程をさらに具備し、前記限定電圧供給手段は、前記吸着プレートが回転した状態で前記放電電圧を供給する」ものであっても構わない。
【0026】
したがって、本発明の電気集塵器の乾燥制御方法によれば、吸着プレートを回転させた状態で、放電電圧が限定的に供給される。これにより、吸着プレートの回転に伴う遠心力により、洗浄液を空気通路へ飛散させ、乾燥に要する時間を短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の電気集塵器及びその乾燥制御方法によれば、洗浄液で濡れた吸着プレート等の捕集手段及び放電電極部等の放電手段を、放電電圧の供給を断続的に繰り返し行うことにより、吸着プレート等に付着した洗浄液を短時間で蒸発及び乾燥させることができ、電気集塵器の洗浄から再稼働までに要する時間を短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態である電気集塵器1及び該電気集塵器の乾燥制御方法2について、図1乃至図6に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の電気集塵器1の内部の構成を模式的に示す側方から見た説明図であり、図2は電気集塵器1の内部の構成を模式的に示す上方から見た説明図であり、図3は電気集塵器の内部の構成を模式的に示す図1のA−A模式断面図であり、図4は放電電極部3,荷電プレート4、及び吸着プレート5の構成を拡大して示す拡大説明図であり、図5は主制御部37の機能的構成を示すブロック図であり、図6は電気集塵器の乾燥制御方法2の処理の流れを示すフローチャートである。
【0029】
本実施形態の電気集塵器1は、図1乃至図5に主として示すように、微粒子6を含む汚染空気7を吸気する吸気口8及び電気集塵器1を通して浄化された清浄空気9を排出する排気口10を連通する略水平方向に延びた空気通路11を内部に有する略直方体形状のステンレス製の筐体からなるハウジング12と、空気通路の下流側(図1における紙面右方向に相当)の排気口10の下方近傍に設けられ、吸気口8から汚染空気7を吸気し、さらに排気口10から清浄空気9を排気するために、空気通路11の中に空気の流れ(気流13)を発生させる回転ファン14及びハウジング12の外側殻から全体を突出するように形成され、該回転ファン14を駆動させるための駆動用モータ15を備える気流発生部16と、空気通路11の幅方向(図3における紙面左右方向に相当)に亘って横架して回転可能に軸支された略棒状の吸着軸17、互いの吸着面18をそれぞれ対向させ、所定の間隔で円心を吸着軸17が貫通するように取設された円板状を呈する複数の吸着プレート5、及びハウジング12に軸支された吸着軸17の一方の軸端17aとギア等の駆動伝達機構20を介して接続され、全ての吸着プレート5を吸着軸17に従って協働して回転させる回転力を発生するプレート回転用モータ21を備える捕集部22と、捕集部22と電気的に絶縁した状態で、空気通路11の幅方向に亘って架渡され、放電電圧を供給するぞれぞれ一対の放電軸23及び荷電プレート支持軸24によって、放電面25を吸着プレート5の吸着面18に対向するように近接させた状態で支持された略矩形状の複数の荷電プレート4と、荷電プレート4の吸気口対向縁27から気流13の流れる方向に沿って先端部分の尖鋭端部28が突設された複数の放電電極部3を有する放電部30と、放電部30の放電軸23と電気的に接続し、尖鋭状の尖鋭端部28からコロナ放電CDを発生可能な放電電圧を供給する放電電圧供給部31と、空気通路11の内部上方に取設され、吸着プレート5の吸着面18にそれぞれ洗浄液32を噴射可能な噴射口33を向けた噴射ノズル34、該噴射ノズル34に接続され、噴射口33まで洗浄液32を供給する供給ホース35、及びハウジング12の外側に設けられ、供給する洗浄液32を一時的に貯留する貯留タンク(図示しない)、及び貯留された洗浄液を噴射ノズル34まで空気圧を利用して供給するエアーポンプ(図示しない)を有する吸着面洗浄部36と、気流発生部16、捕集部22、及び放電部30等とそれぞれ接続し、各構成を電気的に制御可能な主制御部37とを具備して主に構成されている。
【0030】
ここで、主制御部37は、電気集塵器1の全体の稼働及び停止、吸着面洗浄部36の始動及び停止等の動作を制御する操作制御部26を有するとともに、本発明の主たる構成である乾燥制御部29が内部に機能的に構築されている。さらに具体的に説明すると、乾燥制御部29は、吸着面洗浄部36が行われた後の電気集塵器1を制御し、乾燥及び再稼働の処理を行うことができ、図5に示されるように、その機能的構成として、洗浄液32で濡れた状態の吸着プレート5等に予め設定した短い時間(単位時間:例えば、0.5s等)の間だけ、放電電極部3に対して放電電圧を供給する処理を放電電圧供給部31にさせる限定電圧供給手段38、限定的に放電電圧が供給された際の放電電極部3及び吸着プレート5の間の実測電圧値を測定する実測電圧値測定手段39、予め設定され開始基準電圧値(例えば、8000ボルト)に係る基準電圧データ40aを記憶する記憶手段40、記憶された基準電圧データ40aに相当する開始基準電圧値と測定された実測電圧値とを比較し、その大小を判定する実測電圧値判定手段41、判定の結果、実測電圧値が開始基準電圧値をオーバーしている場合、放電電圧供給部31を制御し、コロナ放電CDを発生させるための放電電圧(例えば、10000ボルト)を放電電極部3に連続的に供給し、さらに気流発生部16を制御し、吸気口8から汚染空気7の吸気を開始し、クーロン力を利用して微粒子6の捕集を行い、稼働状態とする再稼働手段42、及び実測値が開始基準電圧値よりも小さい場合、限定電圧供給手段38を制御し、再び放電電圧を短い単位時間に限定して放電電極部3に供給する再乾燥手段43を有して主に構成されている。さらに、乾燥制御部29には、上述した放電電極部3に放電電圧を供給することによって洗浄液32を乾燥させる手法に加え、吸着プレート5を吸着軸17に従って回転させることにより、遠心力を利用してほとんどの洗浄液32を吸着プレート5から飛散させる飛散除去手段44を併せて有している。
【0031】
なお、実測電圧測定手段39のために、本実施形態の電気集塵器1には、放電電極部3及び吸着プレート5の間の電圧を測定するための電圧測定センサ(図示しない)を備えている。なお、図示しないが、気流発生部16の駆動用モータ15、捕集部22のプレート回転モータ21、放電電圧供給部31、吸気面洗浄部36、及び主制御部37をそれぞれ機能させるための電力(電圧)を供給するために、本実施形態の電気集塵器1は商用電源に接続されている。
【0032】
ここで、気流発生部16が本発明における気流発生手段に相当し、プレート回転用モータ21が本発明におけるプレート回転手段に相当し、捕集部22が本発明における捕集手段に相当し、放電部30が本発明における放電手段に相当し、放電電圧供給部31が本発明における放電電圧供給手段に相当する。
【0033】
さらに、本実施形態の電気集塵器1について、詳細に説明すると、略直方体の筐体形状を呈するハウジング12は、ハウジング上面12aの一端側に開口した吸気口8を有し、該吸気口8と相対するハウジング上面12aの他端側に開口した排気口10を有するように形成されている。さらに、空気通路11は、吸気口8から排気口10に至る間に大別すると三つの区画45a,45b,45cに区画されている。さらに、詳細に説明すると、吸気口8と接続し、該吸気口8から吸気された汚染空気7を放電部30の放電電極部3にまで導く第一区画45aと、第一区画45aよりも下流側に設けられ、放電部30及び捕集部23の収容された第二区画45bと、第二区画45bよりも下流側に設けられ、略中央に気流発生部16の回転ファン14が設置され、第二区画45bの吸着プレート5によって微粒子6が捕集され、清浄化された清浄空気9をハウジング上面12aに開口した排気口10から排出可能な第三区画45cとから構成されている。
【0034】
ここで、各区画45a等の間は、それぞれ区画壁46a,46bが設けられ、さらに各区画45a等の間を汚染空気7或いは清浄空気9を流通させるために、区画壁46a,46bのそれぞれに開口部47a,47bが形成されている。ここで、開口部47a,47bは、互いに隣接する区画同士、例えば、第一区画45a及び第二区画45bの間を安定して流れ、さらに放電電極部3の中央付近に流れ込むように気流13が整流されるようになっている。
【0035】
さらに、本実施形態の電気集塵器1は、その他の構成として、ハウジング12の底面を所定の方向(ここでは、空気通路11の下流側に向けて斜め下方向)に傾斜させた傾斜床面48が形成されている。そのため、後述する吸着面洗浄部36を用いて吸着プレート5の吸着面18に洗浄液32を噴射し、吸着面18から微粒子6を洗い流すと、微粒子6を含んだ洗浄液32はハウジング12の傾斜床面48に最終的に到達する。そして、傾斜床面48の傾斜に沿って最下位置まで導かれる。ここで、当該最下位置には、ドレン49が設けられ、使用済みの洗浄液32の回収を行うことができる。なお、回収された洗浄液32は、微粒子6のみをフィルター等で除去した後、再び再利用することも可能である。
【0036】
なお、本実施形態の電気集塵器1は、その他の構成として、ハウジング上面12aの四隅のそれぞれに、設置及び移動を容易とするための吊下支持用の支持金具(図示しない)が取付けられ、さらにハウジング下面12bには支持脚部51が設けられている。
【0037】
ここで、本実施形態では、放電部30に接続された放電電圧供給部31から約10000Vの放電電圧を供給し、コロナ放電CDを発生する例について示すものとする。そして、この放電電圧が放電軸23、荷電プレート4を介し、放電電極部3まで伝達され、荷電プレート4及び吸着プレート5の間に電位差が生じ、尖鋭端部28からコロナ放電CDを発生させている。なお、コロナ放電CDの発生のために、放電部30以外の構成、特に、捕集部23及びハウジング12等は、絶縁部材等により、放電部30に対して電気的に絶縁した状態で構成され、コロナ放電CDが放電電極部3以外の場所から発生したり、高電圧による漏電が生じることがない対策が施されている。さらに、捕集部23及びハウジング12は、地面に埋設されたアース(図示しない)と接続し、地中に対して電気を逃がすことができるようになっている。そのため、吸着面18に捕集された微粒子6の電荷が吸着プレート5及び捕集部23に常に滞留することはない。
【0038】
上記構成により、放電電圧供給部31に接続した放電部30は、放電電極部3の尖鋭端部28からコロナ放電CDを発生し(図4等参照)、一方、吸着プレート5はアース等によって放電電極部3に対し、電気的に相対する状態となっている。その結果、コロナ放電CDによってプラスの電位となった汚染空気7の微粒子6は、電気的に同位の荷電プレート4とは反発し、放電面25から離れようとする力が作用し、一方、荷電された微粒子6と電気的に相対する吸着プレート5は、該微粒子6を吸着面18に引寄せる、つまり、微粒子6を吸引しようとする力が作用する。その結果、本実施形態の電気集塵器1の稼働を長時間には亘って継続することにより、吸着プレート5の吸着面18には多量の微粒子6が付着することとなる。なお、放電電極部3の尖鋭端部28は、図3及び図4に示されるように放電電極部3の挿込部に対して挿入可能に形成され、コロナ放電CDによって先端が摩耗した場合に交換可能となっている。
【0039】
そして、上記構成により、汚染空気7の清浄化処理を長時間に亘り、連続的に行った場合、吸着プレート5の吸着面18には多量の微粒子6が吸着することとなる。この場合、クーロン力の影響が著しく低下し、その結果、集塵効率も低下する。そこで、本実施形態の電気集塵器1は、捕集された微粒子6を物理的に除去するための吸着面洗浄部36を有している。この吸着面洗浄部36は、既に説明したように、空気通路11の幅方向に架渡されるように設置され、各吸着面18に対してそれぞれ噴射口33が向けられた噴射ノズル34を有している。この噴射ノズル34は、左右の二カ所に噴射口33が形成されている。そのため、貯留タンクから供給ホース35を介して送液された洗浄液32は、噴射ノズル34で二方向に分かれ、互いに対向する一対の吸着プレート5のそれぞれの吸着面18に噴射され、この液圧で微粒子6が洗い流されることになる。なお、この洗浄の家庭では、放電電極部3からのコロナ放電CDの発生は停止され、吸着面18に均一に洗浄液32が噴射されるように、プレート回転用モータ21によって吸着プレート5が吸着軸17に従って回転するような制御が行われる。なお、係る吸着プレート5の回転は、微粒子6をクーロン力を利用して捕集する際と比較し、通常或いは通常よりも高速の回転数で回転される。
【0040】
このとき、吸着プレート5の回転によって、吸着面18に付着した洗浄液32及び微粒子6は遠心力の作用を受け、吸着プレート5の回転方向に向かって移動し、最終的にプレート縁部52から空気通路11に飛散する。このとき、飛散した洗浄液32等は重力に従ってすぐに下方に落下し、ハウジング12の傾斜床面48に到達し、ドレン49から回収されることになる。
【0041】
次に、本実施形態の電気集塵器1における洗浄後の空気通路11内の乾燥について説明する。ここで、上記処理によって既に空気通路11内の吸着プレート5等の捕集部22及び放電電極部3等の放電部30が、それぞれ洗浄液32によって濡れ、捕集部22及び放電部30が電気的に短絡している状態からの乾燥の一例を示すものとする。
【0042】
まず、捕集部22のプレート回転モータ21を稼働させ、空気通路11内の吸着プレート5を回転させる。これにより、前述した洗浄時と同じ作用によって、吸着プレート5に付着している洗浄液32は回転に伴って遠心力を受け、吸着プレート5の中心から徐々にプレート縁部52に到達し、最終的にプレート縁部52から空気通路11に向かって飛散する(ステップS1:プレート回転制御工程)。これにより、大部分の洗浄液32が吸着プレート5から除去されることとなる。
【0043】
そして、放電電圧供給部31から、予め設定された単位時間(ここでは、0.5sに設定)だけコロナ放電CDを発生させるための放電電圧(10000ボルト)を供給する(ステップS2:限定電圧供給工程)。これにより、放電電圧供給部31と接続された放電軸23を介して放電電極部3からコロナ放電CDを発生させる処理が行われる。しかしながら、係る状態では放電部30及び捕集部22は、洗浄液32によって短絡した状態となっているため、このままでは十分なコロナ放電CDを発生させることはできない。この状態では、洗浄液32に電流が流れることとなり、発生する抵抗熱によって該洗浄液32の温度が上昇することになる。或いは、一部が乾燥した放電電極部3から不完全なコロナ放電CDのようなスパークが発生することもある。このような短絡或いはスパークの発生は、主に放電電極部3付近、及び荷電プレート4を軸支している放電軸23と吸着プレート5の近傍に多く発生する。その結果、洗浄液32の温度上昇、またはスパークと接した洗浄液32の蒸発によって、空気通路1が徐々に乾燥する。ここで、放電電圧の供給は予め設定された非常に短い単位時間に限定して行われるため、放電電圧供給部31の電気回路に過大な負荷が掛かることがなく、また電気集塵器1自体に備えられた安全回路が作動することもない。
【0044】
そして、このときの放電電極部及び吸着プレートの間の実測電圧値を測定する(ステップS3:実測電圧測定工程)。すなわち、空気通路11内が乾燥し、完全なコロナ放電CDが発生しているのであれば、測定した実測電圧値の値は、供給したほぼ放電電圧に近似しているはずである。一方、洗浄液32で濡れた短絡状態で放電電圧を供給した場合、実測電圧値は小さくなることが予想される。そこで、実測電圧値を測定し、さらに係る値がコロナ放電CDによって微粒子6を十分に荷電可能な開始基準電圧値を超えているか否かの判定を行う(ステップS4:実測電圧値判定手段)。
【0045】
ここで、測定された実測電圧値が開始基準電圧値を超えている場合(ステップS4においてYES)、再び放電電圧供給部31を制御し、コロナ放電CDを発生させるための放電電圧を放電電極部3から連続的に供給し(ステップS5)、さらに気流発生部16を制御して吸気口8から汚染空気7の吸気を開始し、クーロン力を利用して微粒子6の捕集を行う(ステップS6)。すなわち、実測電圧値が開始基準電圧値を超えていることは、空気通路11内の吸着プレート5等の捕集部22と放電電極部3等の放電部30との間に、再び電気的な絶縁状態が確立したことを示すものであり、これによりコロナ放電CDを完全に発生させることが可能となる。そこで、放電電圧供給部31からの放電電圧の連続供給、及び気流発生部16によって空気通路11内に気流13を発生させることにより、通常の汚染空気7の清浄化処理を行うことができるようになる。すなわち、空気通路11内の乾燥状態の確認に連動して電気集塵器1を再稼働させることができる。ここで、ステップS5及びステップS6が本発明の再稼働工程に相当する。
【0046】
一方、実測電圧値が開始基準電圧値よりも小さいと判定される場合(ステップS4においてNO)、ステップS2の処理に戻り、再び所定の単位時間に限定して放電電圧を供給する。係る処理が本発明の再乾燥工程に相当する。これにより、一度目の限定電圧供給工程では十分に蒸発させることのできなかった洗浄液32を再度、電流及びスパーク等によって加熱し、蒸発させることができる。なお、ステップS2からステップS4までの工程は、実測電圧値が開始基準電圧値を超えるまで所定の間隔で行われる。これにより、電気集塵器1の操作者は、最初に係る乾燥及び再稼働に係る制御を行うスイッチを操作するだけでよく、乾燥完了の確認から再稼働までの処理を電気集塵器1が自動的に行うことができる。
【0047】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0048】
すなわち、本実施形態の電気集塵器1において、略直方体形状を呈し、電気集塵器1の吸着面洗浄部36において、噴射ノズル34をハウジング12の中央近傍に並設したものを示したが、これに限定されるものではなく、噴射ノズル34の位置を変更したものであっても構わない。さらに、使用する洗浄液32は、界面活性剤を含むものではなく、単なる水であってもよい。さらに、本実施形態の電気集塵器1において、略直方体形状の外観形状を有し、略コの字形に空気通路11を形成するものを示したが、設置する環境に応じて空気通路の形状を適宜変更するものであっても構わない。
【0049】
さらに、洗浄液32の液圧のみで微粒子6を吸着面18から洗い流して洗浄するものを示したが、これに限定されるものではなく、吸着面18への吸着が激しい微粒子6等に対応するように、ワイパーのような構成で、洗浄液32とともに物理的に吸着面18から掻き落とすような吸着面洗浄部を備えるものであっても構わない。
【0050】
また、本実施形態の電気集塵器1において、洗浄液32による洗浄後に乾燥制御部29を機能させるものを示したが、これに限定されるものではない。すなわち、電気集塵器1の起動時、つまり、運転開始時に上記乾燥制御部29による制御を行ってもよい。ここで、一日の作業が終わり電気集塵器1の稼働を停止し、再び始動する翌日までの間に空気通路11内に残った湿気が水分となり、上述した短絡状態となることがある。そのため、始動時に乾燥制御部29によるウォームアップ運転を行うことにより、高電圧によって電気回路が短絡する不具合を防ぐことができる。
【0051】
さらに、本実施形態の電気集塵器1は、通常の運転時に高電圧を検出した場合、主制御部37に設けられた自己診断プログラムによって自動的に再始動を行う処理を行うことができる。すなわち、何らかの事情によって、電気集塵器1の稼働中に吸着プレート5と放電電極部3との間に短絡が発生した場合、電気集塵器1の本体の安全回路が作用し、再び再始動を行う。このとき、上述したウォームアップ運転と同様に乾燥制御部29を制御し、乾燥処理を行う。これにより、稼働中のコロナ放電を十分に発生可能な放電電圧が予め設定した開始基準電圧値よりも低下し、さらにその原因が空気通路11内の水分等の影響によるものである場合のトラブルを、電気集塵器1を再び始動することによって解決することができる。
【0052】
さらに、本実施形態の電気集塵器1が、上記に示すような乾燥制御処理を、洗浄後、始動時、及び異常発生時にそれぞれ実施可能に設定することによって、吸着プレート5の洗浄を安全に、かつ迅速に行うことができる。すなわち、従来のカートリッジ式のフィルターを交換するような電気集塵器に比べ、本実施形態の電気集塵器1は、再始動に係る時間を著しく短くすることができる。例えば、焼肉店で発生する煙を集塵するために、本実施形態の電気集塵器1を設けた場合、吸着プレート5の汚れが著しいため、1時間に1度の頻度で洗浄が必要になることがある。すなわち、一日当たり数回から数十回の頻度で洗浄する必要がある場所では、従来のような頻繁にフィルターを交換することができず、営業終了時間の近くになると十分な煙の集塵効率を得ることができなかった。これに対し、本出願の電気集塵器1によれば、洗浄時における吸着プレート5の回転による遠心力に起因する洗浄液32の飛散、非常に短い間隔で高電圧を供給し、洗浄液32を熱またはスパークによって蒸発させることを短時間で行うことができるため、乾燥に係る時間を従来よりも著しく短縮させることができ、高い集塵効率を保った状態で長時間に亘って稼働し続けることができる。その結果、初期の集塵性能を維持しつつ、さらに長期間に亘って劣化することのない電気集塵器1とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態の電気集塵器の内部の構成を模式的に示す側方から見た説明図である。
【図2】電気集塵器の内部の構成を模式的に示す上方から見た説明図である。
【図3】電気集塵器の内部の構成を模式的に示す図1のA−A模式断面図である。
【図4】放電電極部、荷電プレート、及び吸着プレートの要部構成を拡大して示す拡大説明図である。
【図5】主制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】電気集塵器の乾燥制御方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 電気集塵器
2 電気集塵器の乾燥制御方法
3 放電電極部
4 荷電プレート
5 吸着プレート
6 微粒子
7 汚染空気
8 吸気口
9 清浄空気
10 排気口
11 空気通路
12 ハウジング
13 気流
16 気流発生部(気流発生手段)
17 吸着軸
18 吸着面
21 プレート回転モータ
22 捕集部(捕集手段)
23 放電軸
25 放電面
28 尖鋭端部
29 乾燥制御部
30 放電部(放電手段)
31 放電電圧供給部(放電電圧供給手段)
32 洗浄液
33 噴射口
34 噴射ノズル
36 吸着面洗浄部
38 限定電圧供給手段
39 実測電圧値測定手段
41 実測電圧値判定手段
42 再稼働手段
43 再乾燥手段
44 飛散除去手段
CD コロナ放電
【出願人】 【識別番号】305059011
【氏名又は名称】株式会社ゼス
【識別番号】598160498
【氏名又は名称】株式会社ハイデック
【出願日】 平成18年12月13日(2006.12.13)
【代理人】 【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次


【公開番号】 特開2008−142670(P2008−142670A)
【公開日】 平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願番号】 特願2006−335242(P2006−335242)