トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 粒子回収方法及び粒子回収装置
【発明者】 【氏名】伊藤 泰弥

【要約】 【課題】大量の溶媒を含むスラリーから、微粒子を高い回収率で回収することができる粒子回収方法を提供することである。

【解決手段】まず、磁性材料からなる微粒子を溶媒に分散させた第2のスラリーを容器1に入れる。更に、磁力発生手段31から磁力を及ぼすことにより、微粒子83を容器1の側部内面13に吸着させる。次に、容器1の側部内面13に微粒子83を吸着させた状態で、容器1から溶媒を抜き取る。次に、容器1から溶媒を抜き取った後、微粒子83に及ぼされる磁力を低下させる。その後、容器1に残った微粒子83を回収する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを容器に入れ、
磁力発生手段から磁力を及ぼすことにより、前記粒子を前記容器の内面に吸着させ、
前記容器の内面に前記粒子を吸着させた状態で、前記容器から前記溶媒を抜き取り、
前記容器から前記溶媒を抜き取った後、前記粒子に及ぼされる磁力を低下させ、
前記容器に残った前記粒子を回収する
粒子回収方法。
【請求項2】
請求項1に記載された粒子回収方法であって、
前記磁力発生手段は、永久磁石からなり、
前記磁力発生手段と前記容器とを相対的に離すことにより、前記粒子に対する磁力を低下させる
粒子回収方法。
【請求項3】
請求項1に記載された粒子回収方法であって、
前記磁力発生手段は、電磁石からなり、
前記電磁石に供給される電流を減らすことにより、前記粒子に対する磁力を低下させる
粒子回収方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載された粒子回収方法であって、
前記容器に残った前記粒子を、ポンプにより吸い出すことで回収する
粒子回収方法。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載された粒子回収方法であって、
前記容器の内圧を高めることにより、前記容器に残った前記粒子を、前記容器の外部に押し出して回収する
粒子回収方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載された粒子回収方法であって、
磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを容器に入れ、磁力発生手段から磁力を及ぼすことにより粒子を容器の内面に吸着させ、容器の内面に粒子を吸着させた状態で容器から溶媒を抜き取ることを、繰り返す
粒子回収方法。
【請求項7】
容器と、
磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを前記容器に入れるスラリー投入手段と、
前記容器から前記溶媒を抜き取る溶媒抜き取り手段と、
前記容器に残った前記粒子を回収する粒子回収手段と、
前記容器の内面に磁力を印加する磁力発生手段と、
前記容器の内面に印加される磁力を低下させる磁力低下手段とを備える、
粒子回収装置。
【請求項8】
請求項7に記載された粒子回収装置であって、更に制御部を含んでおり、
前記制御部は、
前記容器の内面に磁力を印加した状態で、前記容器から前記溶媒を抜き取るべく前記溶媒抜き取り手段を制御し、
前記容器から前記溶媒を抜き取った後、前記容器の内面に印加される磁力を低下させるべく前記磁力低下手段を制御する、
粒子回収装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子回収方法及び粒子回収装置に関する。本発明に係る粒子回収方法または粒子回収装置によって得られる粒子は、例えば、積層型チップコンデンサの内部電極を形成するための導電ペーストを作製するのに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
導電ペーストを作製するのに用いられる粒子は、極めて小さい粒径の粒子であることが望ましい。特に、多層化及び薄層化が進む積層型チップコンデンサの分野においては、内部電極の層厚みが極めて薄くなっているので、内部電極用の導電ペーストも、例えば、粒径0.8μm以上の粒子を含まず、かつ、平均粒径が0.3μm以下といった粒径分布の微粒子を用いて作製することが求められる。
【0003】
このような微粒子を製造するには、一般的には、次のような工程をとる。まず、原料の粉体を細かく粉砕する。得られる粉砕粉は、微粒子と粗粒子とが入り混じった状態となっている。次に、粉砕粉を溶媒に混合し、分散させることで第1のスラリーを作製する。そして、第1のスラリーから、目的の微粒子を、溶媒と一緒の状態である第2のスラリーとして取り分ける分級という処理を行う。最後に、第2のスラリーから微粒子を回収する。
【0004】
ところで、分級処理により微粒子を精度良く取り分けるには、予め、第1のスラリー中の溶媒の量を増やし、第1のスラリーの粒子濃度を十分に低くしておかなければならない。例えば、上記粒径分布の微粒子を取り分ける場合、第1のスラリーの粒子濃度を1%まで下げておく必要がある。粒子濃度が高いと、微粒子のみを取り分けることが難しくなり、粗粒子が混入する可能性が高まるからである。
【0005】
ただ、分級処理での精度向上のため第1のスラリー中の溶媒の量を増やすと、その後、如何にして、大量の溶媒を含む第2のスラリーから、微粒子を回収するかという問題が生じる。例えば、遠心分離法を利用して微粒子を回収しようとしても、溶媒中に取り残される微粒子が生じるので、溶媒が大量だと、微粒子を低い回収率でしか回収することができない。
【0006】
特許文献1は、液体中に混入した磁性のスラッジを回収するための技術として、磁性のスラッジを含んだ液体を磁気ドラムの外周面にかけ流し、磁気ドラムの外周面に付着した磁性のスラッジをガイドでかき取る技術を開示している。しかし、特許文献1の開示技術は、微粒子を回収するのには適していない。
【特許文献1】特開平7−60155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、大量の溶媒を含むスラリーから、微粒子を高い回収率で回収することができる粒子回収方法及び粒子回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを容器に入れ、磁力発生手段から磁力を及ぼすことにより、前記粒子を前記容器の内面に吸着させ、前記容器の内面に前記粒子を吸着させた状態で、前記容器から前記溶媒を抜き取り、前記容器から前記溶媒を抜き取った後、前記粒子に及ぼされる磁力を低下させ、前記容器に残った前記粒子を回収する粒子回収方法を提供する。
【0009】
上述した本発明に係る粒子回収方法は、微粒子と大量の溶媒とを含むスラリーに適用することができる。まず、スラリーが大量の溶媒を含むことで極めて低い粒子濃度となっていても、スラリーを容器に入れ、磁力発生手段から磁力を及ぼすことにより、スラリー中の微粒子を容器の内面に引き寄せ、吸着させることができる。
【0010】
次に、容器の内面に微粒子を吸着させた状態で、容器から溶媒を抜き取る。よって、容器内における微粒子の量をほとんど減らすことなく、溶媒の量を大幅に減らすことができる。微粒子及び溶媒を含むスラリーとして見れば、溶媒の量を減らすことで、スラリーの粒子濃度を極めて高く、濃縮した状態にすることができる。
【0011】
しかも、容器から溶媒を抜き取った後、微粒子に及ぼされる磁力を低下させる。よって、微粒子を、容器の内面に吸着された状態から解放した上で、濃縮スラリーの状態として回収することができるので、微粒子の回収率を向上させることができる。
【0012】
一つの実施態様では、磁力発生手段は、永久磁石からなる。この場合、磁力発生手段と容器とを相対的に離すことにより、粒子に対する磁力を低下させればよい。
【0013】
また、別の実施態様として、磁力発生手段は、電磁石からなってもよい。この場合、電磁石に供給される電流を減らすことにより、粒子に対する磁力を低下させればよい。
【0014】
適切には、容器に残った粒子を、ポンプにより吸い上げることで回収する。また、容器の内圧を高めることにより、容器に残った粒子を、容器の外部に押し出して回収してもよい。
【0015】
好ましくは、磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを容器に入れ、磁力発生手段から磁力を及ぼすことにより粒子を容器の内面に吸着させ、容器の内面に粒子を吸着させた状態で容器から溶媒を抜き取ることを、繰り返す。
【0016】
更に本発明は、容器と、磁性材料からなる粒子を溶媒に分散させたスラリーを前記容器に入れるスラリー投入手段と、前記容器から前記溶媒を抜き取る溶媒抜き取り手段と、前記容器に残った前記粒子を回収する粒子回収手段と、前記容器の内面に磁力を印加するように前記容器と関連付けられる磁力発生手段と、前記容器の内面に印加される磁力を低下させるべく前記磁力発生手段と関連付けられる磁力低下手段とを備える、粒子回収装置を提供する。
【0017】
本発明に係る粒子回収装置によれば、上述した本発明に係る粒子回収方法と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0018】
好ましくは、粒子回収装置は、制御部を含んでいる。制御部は、容器の内面に磁力を印加した状態で、容器から溶媒を抜き取るべく溶媒抜き取り手段を制御する。更に制御部は、容器から溶媒を抜き取った後、容器の内面に印加される磁力を低下させるべく磁力低下手段を制御する。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本発明によれば、大量の溶媒を含むスラリーから、微粒子を高い回収率で回収することができる粒子回収方法及び粒子回収装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る粒子回収方法では、磁性材料からなる粒子を用いる。本明細書において、磁性材料とは、磁力発生手段からの磁力に反応して、磁力発生手段に引き寄せられる材料を指す。このような磁性材料の例としては、NiやFe、Co、フェライトなどが挙げられる。
【0021】
本発明に係る粒子回収方法を説明するにあたり、粉砕や分級、回収などを含む粒子製造方法の全体を説明しておく。
【0022】
図1は、粒子製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1に示すように、原料の粉体を細かく粉砕する。原料の粉体は、上述した磁性材料からなる。また、粉体を粉砕する代わりに、固体を粉砕して粉砕粉を得てもよい。
【0023】
粉砕によって得られる粉砕粉は、目的とする粒径の粒子を含む様々な粒径の粒子が混じり合っている。例えば、粉砕粉は、粒径が0.1μmから10μmまでの粒子が存在する幅広い粒径分布となっている。このような粉砕粉から、粒径が0.8μm未満の微粒子を取り分ける分級処理を行う。
【0024】
まず、分級処理のための前処理として、ステップS2に示すように、粉砕粉及び溶媒から第1のスラリーを作製する。具体的には、上述のステップS1で得られた粉砕粉と、溶媒とを混合し、攪拌することで、溶媒に粉砕粉を分散させた第1のスラリーを作製する。溶媒としては、アルコール、アセトン、トルエンまたはこれらの混合溶液を用いることができる。
【0025】
次に、ステップS3に示すように、第1のスラリーから微粒子を、溶媒と一緒の状態である第2のスラリーとして取り分ける分級処理を行う。分級処理の具体的手法としては、スラリーを回転容器に入れ、遠心力によって、スラリー中に含まれる粒子を粒径別に分離する遠心分離法、または、スラリーを静置することで重力により粗粒子を沈殿させ、微粒子をスラリーの上澄み液として取り分ける静置分離法などがある。このような分級処理で得られる第2のスラリーは、溶媒中に微粒子が分散した状態である。
【0026】
最後に、ステップS4に示すように、第2のスラリーから微粒子を回収する。具体的には、微粒子を、微粒子に対する溶媒の量が少なく、粒子濃度が高い濃縮スラリーの状態として回収する。濃縮スラリーの粒子濃度は、例えば、0.5%〜18%程度とする。濃縮スラリーに有機ビヒクル及び有機溶剤を加えて混合することにより導電ペーストを作製することができる。
【0027】
ところで、ステップS3に示した分級処理において微粒子を精度良く取り分けるには、予め、第1のスラリー中の溶媒の量を増やし、第1のスラリーの粒子濃度を十分に低くしておかなければならない。例えば、粒径が0.8μm未満の微粒子を取り分けようとする場合、第1のスラリーの粒子濃度を、0.5%〜8%程度まで下げておく必要がある。
【0028】
ただ、分級処理での精度向上のため第1のスラリーの粒子濃度を低くすると、分級処理で得られる第2のスラリーの粒子濃度も低くなる。例えば、第1のスラリーの粒子濃度を上記範囲まで下げた場合、第2のスラリーの粒子濃度は0.1%〜5%程度となる。このため、ステップS4に示した回収処理では、如何にして、粒子濃度の低い第2のスラリーから、微粒子を、濃縮スラリーの状態として回収するのかという問題が生じる。本発明に係る粒子回収方法は、このような問題に鑑みて為されたものである。
【0029】
本発明に係る粒子回収方法について、図2〜図6を参照し説明する。図2は本発明に係る粒子回収方法を実施するのに用いられる粒子回収装置の一例を示している。まず、粒子回収装置の構成を説明する。図2に示された粒子回収装置は、容器1、スラリー投入手段2、溶媒抜き取り手段4、粒子回収手段6、磁力発生手段31、磁力低下手段51及び制御手段71とを備えている。
【0030】
まず、容器1は、磁気を帯びないような非磁性材料、例えばステンレス材(SUS304)から構成されており、底部内面11と、側部内面13とを有している。側部内面13は、底部内面11を取り囲む周面となっており、容器1の上部から下部に向かって落ち込み、底部内面11と接続する態様で形成されている。底部内面11及び側部内面13は、第2のスラリーを入れるための内部空間を構成する。内部空間は、第2のスラリーに含まれる微粒子の酸化を防ぐため、窒素などの不活性ガスで満たしておくことが好ましい。
【0031】
次に、スラリー投入手段2は、第2のスラリーを容器1に入れるための手段である。図示のスラリー投入手段2は、管21、及び、管21に取り付けられる弁23を含んで構成されている。弁23を開くことにより、管21を通して第2のスラリーを容器1に流し込むことができる。
【0032】
次に、溶媒抜き取り手段4は、第2のスラリーに含まれる溶媒を容器1から抜き取るための手段である。図示の溶媒抜き取り手段4は、ノズル41、及び、ノズル41と接続されるポンプ43を含んで構成されている。ノズル41の先端は、底部内面11の付近であって、側部内面13から離れた位置に配置されている。ポンプ43を駆動することにより、ノズル41を通して容器1から溶媒を吸い出すことができる。
【0033】
次に、粒子回収手段6は、第2のスラリーに含まれる微粒子を回収するための手段である。図示の粒子回収手段6は、ノズル61、及び、ノズル61と接続されるポンプ63を含んで構成されている。ノズル61の先端は、底部内面11の付近であって、側部内面13に近接した位置に配置されている。ポンプ63を駆動することにより、ノズル61を通して微粒子を吸い出すことができる。
【0034】
次に、磁力発生手段31は、容器1の側部内面13に磁力を印加する。具体的には、磁力発生手段31は、フェライト磁石などの永久磁石からなる。そして、容器1を、容器1の側部内面13が磁力発生手段31からの磁力を受ける位置にまで磁力発生手段31に近付ける構成となっている。詳しくは、ベース91上に間隔を隔てて2本の支柱93が立てられており、支柱93の間には、容器1が腕95を介して吊り下げられている。磁力発生手段31は、ベース91上に容器1を降ろしたとき、容器1の側部内面13を取り囲むように配置されている。そして、磁力発生手段31は、ベース91上に容器1を降ろした状態で、容器1の側部内面13に磁力を印加することができる。容器1を磁力発生手段31に近付ける代わりに、磁力発生手段31を容器1に近付ける構成でもよい。
【0035】
次に、磁力低下手段51は、容器1の側部内面13に印加される磁力を低下させる。具体的には、磁力低下手段51は、変位を生じさせる装置、例えば、油圧によって動作するピストン及びシリンダの組み合わせから構成されている。そして、磁力低下手段51を駆動することにより、ベース91上に降ろされた容器1を、腕95を介して持ち上げることができる。これにより、磁力低下手段51は、容器1の側部内面13に印加される磁力が低下する位置にまで、容器1を磁力発生手段31から遠ざける。容器1を磁力発生手段31から遠ざける代わりに、磁力発生手段31を容器1から遠ざける構成でもよい。
【0036】
最後に、制御手段71は、スラリー投入手段2の弁23と、溶媒抜き取り手段4のポンプ43と、粒子回収手段6のポンプ63と、磁力低下手段51とについて、時間的な順序関係を含んだ制御動作を行う。このような制御手段71は、マイクロコンピューターなどから構成することができる。
【0037】
次に、本発明に係る粒子回収方法について説明する。まず、図3に示すように、制御手段71からの指令に従って磁力低下手段51を非駆動状態とすることで、容器1をベース91上に降ろす。これにより、容器1の側部内面13に磁気発生手段31からの磁力を印加した状態とする。
【0038】
次に、制御手段71からの指令に従ってスラリー投入手段2の弁23を開くことで、第2のスラリー21を容器1に入れる。
【0039】
このように、容器1に第2のスラリー81を入れ、かつ、容器1の側部内面13に磁力を印加すると、第2のスラリー81中の、磁性材料からなる微粒子が、磁力を受けて容器1の側部内面13に引き寄せられる。この結果、図4に示すように、微粒子83を、磁力で容器1の側部内面13に吸着させることができる。一方で、溶媒85は、容器1の内部で、そのまま留まる。
【0040】
好ましくは、容器1に第2のスラリーを入れ、かつ、容器1の側部内面13に磁力を印加した状態で、第2のスラリーを所定時間放置する。より好ましくは、第2のスラリーを、流れのない静止した状態で放置する。これは、容器1の側部内面13に、より多くの量の微粒子83を吸着させるために有益である。
【0041】
また、容器1に第2のスラリー21を入れる動作は、容器1の側部内面13に磁力を印加していない状態で行ってもかまわない。その後に、容器1の側部内面13に磁力を印加すればよい。
【0042】
次に、図5に示すように、制御手段71からの指令に従って溶媒抜き取り手段4のポンプ43を駆動することで、容器1から溶媒を抜き取る。溶媒の抜き取り動作は、容器1の側部内面13に微粒子83を吸着させた状態で行うので、容器1内における微粒子の量をほとんど減らすことなく、溶媒の量を大幅に減らすことができる。よって、容器1の内部で微粒子83を、粒子濃度が極めて高い濃縮スラリーの状態として留めることができる。
【0043】
最後に、図6に示すように、制御手段71からの指令に従って磁力低下手段51を駆動することで、容器1をベース91から持ち上げる。これにより、容器1を磁力発生手段31から遠ざけ、微粒子83に及ぼされる磁力を低下させることができる。この結果、微粒子83は、容器1の側部内面13に吸着された状態から解放され、重力に従って容器1の側部内面13から流れ落ち、底部内面11に溜まる。よって、微粒子83を、濃縮スラリーの状態として回収することができるので、微粒子の回収率を向上させることができる。
【0044】
回収の具体的手法としては、制御手段71からの指令に従って溶媒抜き取り手段4のポンプ63を駆動することで、ノズル61を通して、底部内面11に溜まった微粒子83を吸い出せばよい。
【0045】
なお、微粒子83に及ぼされる磁力を低下させる程度については、微粒子83を、容器1の側部内面13に吸着された状態から解放することができるか否かの観点から決定すればよい。必ずしも、磁力をゼロまで低下させる必要はない。
【0046】
上述した粒子回収方法では、容器に第2のスラリーを入れ(図3参照)、容器の内面に微粒子を吸着させ(図4参照)、容器の内面に微粒子を吸着させた状態で容器から溶媒を抜き取る(図5参照)という一連の動作を一回だけ行った後、容器から微粒子を回収しているが(図6参照)、本発明は、これに限定されることはない。容器に第2のスラリーを入れ、容器の内面に微粒子を吸着させ、容器の内面に微粒子を吸着させた状態で容器から溶媒を抜き取るという一連の動作を繰り返すことで、容器の内部で微粒子を蓄積することもできる。そして、微粒子を蓄積した後に回収することで、回収の効率を向上させることができる。このことは、第2のスラリーの粒子濃度が極めて低く、上記一連の動作を一回行っただけでは、十分な量の微粒子が得られない場合に有効である。
【0047】
また、上記一連の動作を繰り返している間は、磁力により容器の内面に微粒子を吸着させた状態のままとしておくことが好ましい。そして、微粒子を十分に蓄積した後に、磁力を低下させることで、微粒子を、容器の内面に吸着させた状態から解放すればよい。
【0048】
また、容器から微粒子を回収するための別の手法として、容器の内圧を高めることにより、底部内面に溜まった微粒子を、容器の外部に押し出して回収することもできる。この手法を採用するのに適した粒子回収装置の別の例を、図7に示す。図示において、先の図2に現れた構成部分と同一性ある構成部分には、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0049】
図7に示された粒子回収装置では、粒子回収手段64が、容器1の底部内面11から下方に延びる管65、及び、管65に取り付けられる弁67を含んで構成されている。弁67は、制御手段71からの指令に従って制御される。容器1の底部内面11に溜まった微粒子を回収するには、容器1の内圧を高め、かつ、弁67を開けばよい。これにより、底部内面11に溜まった微粒子を、管65を通して容器1の外部に押し出すことができる。
【0050】
図8は、本発明に係る粒子回収方法を実施するのに用いられる粒子回収装置の更に別の例を示している。図示において、先の図2に現れた構成部分と同一性ある構成部分には、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0051】
図8に示された粒子回収装置の重要な特徴は、磁力発生手段33が電磁石から構成されていることである。電磁石でなる磁力発生手段33は、電源35から供給される電流によって励磁され、磁力を発生する。
【0052】
磁力低下手段53は、電気回路的にみて、磁力発生手段33と電源35との間に挿入されている。磁力低下手段53は、電源35から磁力発生手段33に供給される電流を減らすことで、磁力発生手段33の磁力を低下させる機能を有する。典型的には、磁力低下手段53は、電気回路の開閉動作を行うスイッチから構成される。
【0053】
図8に示された粒子回収装置では、磁力発生手段33が電磁石から構成されているので、容器1または磁力発生手段33を物理的に移動させることなく、スラリー中の微粒子に及ぼされる磁力を低下させることができる。
【0054】
図8に示された粒子回収装置を用いた粒子回収方法については、容器1または磁力発生手段33を物理的に移動させずに磁力を低下させる点を除き、図3〜図6を参照して説明した粒子回収方法と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
以上、実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】粒子製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る粒子回収方法を実施するのに用いられる粒子回収装置の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る粒子回収方法を説明するための図である。
【図4】図3に示したステップの後のステップを示す図である。
【図5】図4に示したステップの後のステップを示す図である。
【図6】図5に示したステップの後のステップを示す図である。
【図7】本発明に係る粒子回収方法を実施するのに用いられる粒子回収装置の別の例を示す図である。
【図8】本発明に係る粒子回収方法を実施するのに用いられる粒子回収装置の更に別の例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 容器
2 スラリー投入手段
4 溶媒抜き取り手段
6 粒子回収手段
31 磁力発生手段
51 磁力低下手段
71 制御手段

【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
【出願日】 平成18年11月29日(2006.11.29)
【代理人】 【識別番号】100081606
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 美次郎

【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一


【公開番号】 特開2008−132454(P2008−132454A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2006−321439(P2006−321439)