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【発明の名称】 粉体中の強磁性金属不純物の除去装置と樹脂粉体の製造方法
【発明者】 【氏名】松村 浩二

【要約】 【課題】装置内での閉塞を防ぎ、効率よく粉体中の強磁性金属不純物のみを除去できる除去装置及び樹脂粉体の製造方法を提供する。

【解決手段】粉体定量供給手段20と該粉体定量供給手段20から供給された粉体中の強磁性金属不純物を捕捉する捕捉手段30を粉体供給経路10に備え、前記捕捉手段30は、棒状磁石31aが単数または粉体の供給方向に対して同じ位置に複数配置された金属捕捉ユニット31から構成され、前記棒状磁石31aが、粉体の供給方向に対して30〜150°の角度で粉体供給経路10の内側に突出しており、且つ、棒状磁石31aの表面磁力が5000ガウス以上である、粉体中の強磁性金属不純物の除去装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体定量供給手段と該粉体定量供給手段から供給された粉体中の強磁性金属不純物を捕捉する捕捉手段を粉体供給経路に備え、
前記捕捉手段は、棒状磁石が単数または粉体の供給方向に対して同じ位置に複数配置された金属捕捉ユニットから構成され、
前記棒状磁石が、粉体の供給方向に対して30〜150°の角度で粉体供給経路の内側に突出しており、且つ、棒状磁石の表面磁力が5000ガウス以上である、粉体中の強磁性金属不純物の除去装置。
【請求項2】
前記捕捉手段は、棒状磁石を挿入した鞘管が単数または粉体の供給方向に対して同じ位置に複数配置された金属捕捉ユニットから構成され、
前記鞘管が、粉体の供給方向に対して30〜150°の角度で粉体供給経路の内側に突出しており、且つ、棒状磁石を挿入した際の表面磁力が5000ガウス以上である、請求項1に記載の粉体中の強磁性金属不純物の除去装置。
【請求項3】
前記捕捉手段が、2段以上の金属捕捉ユニットから構成される、請求項1または2に記載の粉体中の強磁性金属不純物の除去装置。
【請求項4】
樹脂粉体を定量的に粉体供給経路に供給する工程と、該供給された樹脂粉体中の強磁性金属不純物を捕捉する工程とを有し、
前記樹脂粉体中の強磁性金属不純物を捕捉する工程では、粉体の供給方向に対して30〜150°の角度で粉体供給経路の内側に突出し、且つ、表面磁力が5000ガウス以上である棒状磁石が、単数または粉体の供給方向に対して同じ位置に複数配置された金属捕捉ユニットから構成される捕捉手段により、強磁性金属不純物を捕捉する、樹脂粉体の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂粉体中の強磁性金属不純物を捕捉する工程では、棒状磁石を挿入し、粉体の供給方向に対して30〜150°の角度で粉体供給経路の内側に突出し、且つ、棒状磁石を挿入した際の表面磁力が5000ガウス以上である鞘管が、単数または粉体の供給方向に対して同じ位置に複数配置された金属捕捉ユニットから構成される捕捉手段により、強磁性金属不純物を捕捉する、請求項4に記載の樹脂粉体の製造方法。
【請求項6】
前記捕捉手段が、2段以上の金属捕捉ユニットから構成される、請求項4または5に記載の樹脂粉体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体封止用樹脂強化剤などに用いられる樹脂粉体中の強磁性金属不純物の除去装置と、強磁性金属不純物を除去した樹脂粉体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイオード、トランジスタ、集積回路等の電子部品等の封止材料として、フェノール系、ウレタン系、エポキシ系樹脂等が広く用いられている。このような封止材料においては、近年、機械的特性及び絶縁性等、従来求められてきた特性に加えて、成形時、高温時、高湿時等の環境での、電子部品に与える応力が低いものが求められており、樹脂の強化剤としてMBS樹脂(メタクリレート/ブタジエン/スチレン)等を添加する方法が報告されている。このため、強化剤にも電子部品内の回路の保護のため、絶縁性が必要とされている。
しかし、一般的な樹脂の製造過程においては強磁性金属等の不純物が混入することがあり、従来はフィルター等を用いた不純物の除去が行なわれていた。ところが、この方法では粒子径500μm程度の粒子を分離するのが限界であり、粒子径のより小さい強磁性金属不純物を除去するのは困難であった。
【0003】
そこで、強磁性金属不純物の除去手段として永久磁石を用い、該永久磁石を配管内に設置し、配管内に樹脂を供給して強磁性金属不純物を除去する方法及び装置が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、永久磁石の代わりに、回転するマグネット(ドラム型)システムを用いて、樹脂中の強磁性金属不純物を除去する方法及び装置も検討されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平4−363156号公報
【特許文献2】特表2000−510764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、樹脂は流動性の低下、ブロッキングの発生を起こしやすく、配管内を通過する際に問題を起こしやすい。特に、特許文献1に記載の、配管内に永久磁石を設置しただけの装置は、配管内で閉塞が起こりやすく、強磁性金属不純物の除去の効率が低下してしまう。
また、特許文献2に記載の、回転するマグネットシステムを備えた装置では、ドラム型の形状のため、強磁性金属不純物以外に、樹脂等も一緒に除去されることがあり、処理能力が低下してしまう。
【0005】
本発明の目的は、装置内での粉体の閉塞を防ぎ、効率よく粉体中の強磁性金属不純物のみを除去できる除去装置及び樹脂粉体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の粉体中の強磁性金属不純物の除去装置は、粉体定量供給手段と該粉体定量供給手段から供給された粉体中の強磁性金属不純物を捕捉する捕捉手段を粉体供給経路に備え、前記捕捉手段は、棒状磁石が単数または粉体の供給方向に対して同じ位置に複数配置された金属捕捉ユニットから構成され、前記棒状磁石が、粉体の供給方向に対して30〜150°の角度で粉体供給経路の内側に突出しており、且つ、棒状磁石の表面磁力が5000ガウス以上である。
ここで、前記棒状磁石は、棒状磁石を挿入した鞘管に置き換えることができる。
また、前記捕捉手段は、2段以上の金属捕捉ユニットから構成されることができる。
【0007】
本発明の樹脂粉体の製造方法は、樹脂粉体を定量的に粉体供給経路に供給する工程と、該供給された樹脂粉体中の強磁性金属不純物を捕捉する工程とを有し、前記樹脂粉体中の強磁性金属不純物を捕捉する工程では、粉体の供給方向に対して30〜150°の角度で粉体供給経路の内側に突出し、且つ、表面磁力が5000ガウス以上である棒状磁石が、単数または粉体の供給方向に対して同じ位置に複数配置された金属捕捉ユニットから構成される捕捉手段により、強磁性金属不純物を捕捉する。
ここで、前記棒状磁石は、棒状磁石を挿入した鞘管に置き換えることができる。
また、前記捕捉手段は、2段以上の金属捕捉ユニットから構成されることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置内での粉体の閉塞を防ぎ、効率よく粉体中の強磁性金属不純物のみを除去できる除去装置及び樹脂粉体の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の粉体中の強磁性金属不純物の除去装置(以下、「金属除去装置」と称することがある。)は、粉体供給経路内に粉体定量供給手段と該粉体定量供給手段から供給された粉体中の強磁性金属不純物を捕捉する捕捉手段を備えている。
【0010】
<金属除去装置>
図1は本発明の金属除去装置の一実施形態を示す、概略断面図である。
本実施形態の金属除去装置は、粉体供給経路10を主体として構成されている。該粉体供給経路10内を、後述する樹脂粉体等の粉体が、上方10aから下方10bへ通過する。
なお、本発明において粉体供給経路10とは、配管に粉体定量供給手段20と、金属捕捉ユニット31から構成される捕捉手段30とが具備されるものである。
【0011】
粉体供給経路10には、粉体定量供給手段20が設置されている。粉体定量供給手段20としては、ロータリーバルブ、スクリューフィーダー、テーブルフィーダー、ベルトフィーダー等を用いるのが好ましく、ロータリーバルブがより好ましい。粉体定量供給手段20の代わりに開閉バルブ、開閉ダンパーを用いると、粉体の供給速度が不均一となる。供給速度が速いと充分に強磁性金属不純物を除去することができず、遅いと生産性が低下する。
粉体定量供給手段20を設置することにより、粉体を一定速度で粉体供給経路10内に供給することができ、除去効率や生産性を向上させる。また、粉体供給経路10に、後述する捕捉手段30を構成する金属捕捉ユニット31が設置されていても、一定速度で粉体が通過することにより、該金属捕捉ユニット31は粉体の通過の妨げとなりにくく、粉体の閉塞を防ぎ、効率よく粉体中の強磁性金属不純物を除去することができる。
なお、粉体定量供給手段20が具備されている配管の形状は特に限定されないが、円形が好ましい。
【0012】
前記粉体定量供給手段20の下流には、捕捉手段30を構成する金属捕捉ユニット31が設置されている。金属捕捉ユニット31とは、棒状磁石31aが単数または、粉体供給経路10の、粉体の供給方向に対して同じ位置に複数配置された部分を指し、これを金属捕捉ユニット31の1段として扱う。図1は金属捕捉ユニット31が2段の状態を示している。なお、同じ位置とは、図1でいうところの実質的に同じ高さを意味する。
棒状磁石31aは、粉体の供給方向(上方10aから下方10bの方向)に対して角度αを有して粉体供給経路10の内側に突出している。角度αは30〜150°であり、30〜90°が好ましく、45〜75°がより好ましい。棒状磁石31aが粉体の供給方向に対して上記の角度を有することにより、粉体と磁石の接触確率を高め、効率的に強磁性金属不純物を除去することができる。
【0013】
棒状磁石31aは、粉体供給経路10の内径Dの1/3以上突出することが好ましい。突出の程度が上記範囲より小さいと、粉体が効率よく棒状磁石31aに接触しないので、強磁性金属不純物の除去効率が低下する。また、棒状磁石31aは、粉体供給経路10の内径Dの1/2以上突出してもよい。
【0014】
棒状磁石31aは、金属捕捉ユニット31に単数または、粉体の供給方向に対して同じ位置に複数配置されており、金属捕捉ユニット31の1段(即ち、粉体供給経路10の、粉体の供給方向に対して同じ位置に)に、好ましくは2本以上配置される。棒状磁石31aの配置本数は金属捕捉ユニット31の配管断面積に応じて決められるものであり、配置本数の上限については特に限定されるものではない。棒状磁石31aが複数配置されることにより、効率的に強磁性金属不純物を除去することができる。
また、棒状磁石31aが金属捕捉ユニット31に複数配置される場合、各々の棒状磁石31aは対向するような形で、粉体供給経路10の内側に突出するのが好ましく、互いに交差してもよい。
なお、本発明において、金属捕捉ユニット31の配管断面積とは、粉体の供給方向に対して垂直方向に切断した面の面積のことであり、配管の形状は特に限定されないが、円形や多角形が好ましく、特に四角形が好ましい。
【0015】
本発明で用いる捕捉手段30は、金属捕捉ユニット31から構成される。捕捉手段30を構成する金属捕捉ユニット31の数(段数)は、1段でもよいし、2段以上であってもよい。効率的に強磁性金属不純物を除去できることから、金属捕捉ユニット31は2段以上設けることが好ましく、3〜10段の範囲で設けることがより好ましい。
金属捕捉ユニット31を2段以上設置する場合、粉体供給経路10に対して金属捕捉ユニット31を連続して設けてもよいし、間隔をあけて設けてもよい。
【0016】
棒状磁石31aは、表面磁力が5000ガウス以上であり、7000ガウス以上が好ましい。さらに9000〜13000ガウスであることが好ましい。棒状磁石31aが上記範囲の表面磁力を有することにより、一度に多量の強磁性金属不純物を吸いつけ、一度捕捉した強磁性金属不純物が磁石表面から離れることがなくなるので、効果的に強磁性金属不純物を除去することができる。
【0017】
また、棒状磁石31aは、棒状磁石31aを挿入した鞘管31bに置き換えることができる。棒状磁石31aを挿入した鞘管31bの表面磁力は、5000ガウス以上であり、7000ガウス以上が好ましく、さらに9000〜13000ガウスであることが好ましい。
【0018】
本発明の金属除去装置に予め給水口を設けることにより、水等の洗浄液を流し入れて装置内を洗浄することができ、棒状磁石31aの表面に付着した強磁性金属不純物を洗い流すことができる。
また、棒状磁石31aを鞘管31bから引き抜き、金属除去装置から取り外すことにより、鞘管31bの表面に付着した強磁性金属不純物を容易に金属捕捉ユニット31から取り除くことができる。
【0019】
<樹脂粉体の製造方法>
本発明では、粉体定量供給手段20により、樹脂粉体を定量的に粉体供給経路10に供給する工程1と、捕捉手段30により、供給された樹脂粉体中の強磁性金属不純物を捕捉する工程2より、充分に強磁性金属不純物が除去され、純度の高い樹脂粉体を製造することができる。
前記捕捉手段30は、棒状磁石31aが単数または樹脂粉体の供給方向(上方10aから下方10bの方向)に対して同じ位置に複数配置され、前記棒状磁石31aが、樹脂粉体の供給方向に対して30〜150°の角度で粉体供給経路10の内側に突出しており、且つ、棒状磁石31aの表面磁力が5000ガウス以上である金属捕捉ユニット31から構成される。
前記棒状磁石31aは、棒状磁石31aを挿入した鞘管31bに置き換えることができる。
【0020】
捕捉手段30に供給される樹脂粉体の速度(m/秒)は、粉体供給速度(kg/秒)と嵩比重(g/cm)と金属捕捉ユニット31の配管断面積(m)とで表される下記の式より求められ、強磁性金属不純物を効率よく除去するためには0.002〜0.2m/秒が好ましく、0.01〜0.1m/秒がより好ましい。樹脂粉体の速度が0.2m/秒より大きいと、充分に強磁性金属不純物を捕捉することができなくなるとともに、閉塞の原因となる。樹脂粉体の速度が0.002m/秒より小さいと、生産性が低下してしまう。
樹脂粉体の速度=(粉体供給速度/嵩比重)/配管断面積
【0021】
金属不純物の除去効果を高めるため、捕捉手段30は、2段以上の金属捕捉ユニット31から構成されることが好ましく、3〜10段の範囲で構成されることがより好ましい。
上記の工程を経て製造される樹脂粉体は、該樹脂粉体1kg中に含まれる粒子径25μm以上の強磁性金属不純物の個数が、10個以下になることが好ましく、5個以下がより好ましく、2個以下がさらに好ましい。
【0022】
<樹脂粉体>
本発明で使用する樹脂粉体としては、電気電子部品等の封止材用樹脂の強化剤である、ゴム強化樹脂が好ましい。
前記ゴム強化樹脂としては、例えば、ゴム成分をコアとするグラフト共重合体が挙げられる。このようなものであれば特に制限されないが、ゴム状重合体の含有量は30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
【0023】
ゴム成分としては、例えば、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、これらの複合ゴム等が挙げられる。
グラフト共重合体は、前記ゴム成分にビニル単量体をグラフト重合させたものであり、例えば、前記ゴム成分のラテックスの存在下でビニル単量体を重合する方法によって得ることができる。
【0024】
ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体等が挙げられる。これらのビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
ゴム強化樹脂の粉体化の方法としては、例えば凝固法、噴霧乾燥法等の処理を施すことができる。
凝固法は、乳化重合で得られたグラフト共重合体のラテックスに、硫酸等の酸や塩化カルシウム等の塩を凝析剤として使用し、ラテックスを固化させた後に、脱水、洗浄を経て乾燥することにより、樹脂粉体として回収することができる。
噴霧乾燥法は、グラフト共重合体のラテックスを微小液滴状に噴霧し、これに熱風を当てて乾燥することにより、樹脂粉体として回収することができる。
【0026】
樹脂粉体の質量平均粒子径は30〜800μmが好ましく、50〜500μmがより好ましく、70〜400μmがさらに好ましい。また、樹脂粉体の嵩比重は0.2〜0.6g/cmが好ましく、0.3〜0.6g/cmがより好ましく、0.35〜0.55g/cmがさらに好ましい。
樹脂粉体の質量平均粒子径と嵩比重を上記範囲とすることにより、粉体供給経路10内で粉体の閉塞等が起こりにくく、より効率的に強磁性金属不純物を除去できるようになる。樹脂粉体の質量平均粒子径と嵩比重が上記範囲外になると、粉体供給経路10内で樹脂粉体の閉塞等が生じ、強磁性金属不純物の除去の効率が低下する。
【0027】
本発明の金属除去装置は、一定の速度で粉体を定量的に粉体供給経路10内に供給することができるので、閉塞を防ぎ、効率よく粉体中の強磁性金属不純物のみを除去することができる。また、本発明の樹脂粉体の製造方法によって、強磁性金属不純物の残存数が非常に少ない、純度の高い樹脂粉体が得られる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の「部」は、「質量部」を表す。
【0029】
<質量平均粒子径>
JIS−Z−8801によって規定される試験用ふるいを用いて、樹脂粉体の質量平均粒子径を測定した。
【0030】
<嵩比重>
JIS−K−6720に記載されている嵩比重測定器を用いて、樹脂粉体の嵩比重を測定した。
【0031】
<樹脂粉体の製造例>
(ブタジエン系グラフト共重合体(A)粉体)
ブタジエン系ゴム(G)ラテックスの製造:
攪拌機、単量体添加口、窒素導入管、温度計を備えたオートクレーブに、表1に示す第1単量体混合物を入れ、攪拌しながらオートクレーブの内温を50℃に昇温した。50℃で8時間反応させて、ブタジエン系ゴム(G)ラテックスを得た。
【0032】
【表1】


【0033】
ブタジエン系グラフト共重合体(A)粉体の製造:
攪拌機、還流冷却器、単量体添加口、窒素導入管、温度計を備えたセパラブルフラスコに、表2に示すラテックス混合物を入れた。フラスコ内を窒素置換しつつ、30分間攪拌した。
【0034】
【表2】


【0035】
次いで、フラスコの内温を70℃に保持し、表3に示す第2単量体混合物を30分かけて滴下し、その後70℃で2時間保持した。
【0036】
【表3】


【0037】
次いで、表4に示す第3単量体混合物を30分かけて滴下し、その後70℃で2時間保持した。
【0038】
【表4】


【0039】
さらに、表5に示す第4単量体混合物を30分かけて滴下し、その後70℃で2時間保持した。
【0040】
【表5】


【0041】
以上の重合の完了により、ブタジエン系グラフト共重合体(A)ラテックスを得た。得られたブタジエン系グラフト共重合体(A)ラテックスを、塩化カルシウム1.5%を含有する熱水1000部中に投入して凝析した。凝析物を分離、洗浄した後、65℃で24時間乾燥し、ブタジエン系グラフト共重合体(A)粉体を得た。ブタジエン系グラフト共重合体(A)粉体の質量平均粒子径は250μm、嵩比重は0.4g/cmであった。
【0042】
<金属除去装置の構造>
(粉体定量供給手段20)
ロータリーバルブ(アイシン産業製)
配管断面:円形
配管内径:0.15m
【0043】
(捕捉手段30)
構成:5段の金属捕捉ユニット31により構成。
間隔:粉体供給経路10に対して、金属捕捉ユニット30を中心間隔0.06mで5段設置
【0044】
(金属捕捉ユニット31)
配管断面:正方形
配管内寸:0.2m×0.2m(断面積:0.04m
12000ガウスの永久磁石である棒状磁石31a(ダイカ(株)製)を挿入した鞘管31bが、粉体の供給方向に対して60°の角度で粉体供給経路10の内側に突出。なお、棒状磁石31aを挿入した際の鞘管31bの表面は10000ガウスの磁力を帯びていた。
鞘管の配置:粉体供給経路10の一方の壁面に4本、対向する壁面に3本を、交互に配置。
【0045】
(鞘管31b)
形状:円柱状
太さ:直径0.025m
突出長さ:0.1m
鞘管31bの配置本数は、金属捕捉ユニット31の1段につき7本であり、5段の合計で35本を配置。
棒状磁石31aは鞘管31bから取外し可能であり、金属捕捉ユニット31の1段毎に棒状磁石31aを取外すことによって、1台の金属除去装置で金属捕捉ユニット31の0〜5段を試験することができる。
【0046】
(樹脂粉体及び供給条件)
粉体の種類:製造例で得たブタジエン系グラフト共重合体(A)粉体
嵩比重:0.4g/cm
粉体速:0.04m/秒
供給速:0.64kg/秒
【0047】
<実施例1>
樹脂粉体としてブタジエン系グラフト共重合体(A)粉体を用い、上述した金属除去装置に供給して、強磁性金属不純物除去の検討を実施した。
【0048】
(強磁性金属不純物の除去方法)
金属除去装置の棒状磁石31aを、金属捕捉ユニット31の1段分(7本)のみ取付けた。ここに樹脂粉体77kgを2分間かけて供給した(供給速度:0.64kg/秒)。金属除去装置を通過した樹脂粉体を回収し、金属捕捉ユニット31の1段での強磁性金属不純物除去試料とした。
【0049】
(強磁性金属不純物の個数測定法)
回収した強磁性金属不純物除去試料について、以下の測定を行なった。
強磁性金属不純物除去試料0.5kgを、THF(テトラヒドロフラン)20Lと混合して、樹脂を溶解及び膨潤させ、目開き25μmのナイロン網で濾過した。
網の上に残った強磁性金属不純物及び膨潤樹脂を、THF100mlで洗い流して回収し、強磁性金属不純物分散液(以下、「分散液」と称することがある。)を得た。
【0050】
図2に示す、強磁性金属不純物の回収器具を用いて、分散液中の強磁性金属不純物を回収した。ここで、図2の強磁性金属不純物の回収器具とは、濾過器40のことであり、該濾過器40は表面磁力が10000ガウスの鞘管付き棒状磁石(ダイカ(株)製)41を備えている。具体的な操作方法は以下の通りである。
濾過器40に上記分散液を流し入れ、鞘管付き棒状磁石41と分散液を接触させ、鞘管付き棒状磁石41の表面に強磁性金属不純物のみを付着させた。濾液を回収し、該濾液を再び濾過器40に流し入れる操作を2回繰り返して、分散液中の強磁性金属不純物を全て鞘管付き棒状磁石41に付着させ回収した。
【0051】
回収した強磁性金属不純物の全量をマイクロスコープ(VHX−100:キーエンス(株)製)にて観察、画像解析し、強磁性金属不純物の粒子径(μm)と個数(樹脂粉体1kg中の個数に換算)を測定した。
結果を図3に示す。
【0052】
<実施例2〜5>
金属除去装置に棒状磁石31aを、金属捕捉ユニット31の2段(14本)〜5段(35本)へ1段毎に取付けた。新たな樹脂粉体を用いて、実施例1と同様にして強磁性金属不純物除去試料を回収した。
これらについて、実施例1と同様の測定を行なった。結果を図3に示す。
【0053】
<比較例>
金属除去装置の棒状磁石31aを全て取外し、金属捕捉ユニット31が0段の状態とした。新たな樹脂粉体を用いて、実施例1と同様にして強磁性金属不純物除去試料を回収し、実施例1と同様の測定を行なった。結果を図3に示す。
【0054】
図3から明らかなように、金属捕捉ユニット31が0段の状態で回収された樹脂粉体は、1kg中に、粒子径25〜50μmの強磁性金属不純物を18個、粒子径50μm〜100μm及び、100μm以上の強磁性金属不純物を各々3個含有していた(比較例)。
一方、金属捕捉ユニット31が1段の状態で回収された粉体は、粒子径25〜50μmのもので10個以下となった。また、粒子径50μm〜100μm及び、100μm以上のものはほとんど除去されていた(実施例1)。さらに、金属捕捉ユニット31を2段〜5段とすることにより、粒子径25〜50μmの強磁性金属不純物もほとんど除去することができた(実施例2〜5)。よって、実施例の樹脂粉体を用いた、半導体封止剤用樹脂強化剤は高い絶縁性を示すことが示唆された。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に関わる実施形態の、粉体中の強磁性金属不純物の除去装置の全体構造を示す概略断面図である。
【図2】粉体中の強磁性金属不純物の回収器具を示す概略断面図である。
【図3】実施例及び比較例の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
10:粉体供給経路、20:粉体定量供給手段、30:捕捉手段、31:金属捕捉ユニット、31a棒状磁石、31b:鞘管、40:濾過器、41:鞘管付き棒状磁石
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【出願日】 平成18年10月30日(2006.10.30)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦


【公開番号】 特開2008−110285(P2008−110285A)
【公開日】 平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願番号】 特願2006−293729(P2006−293729)