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【発明の名称】 電気集塵機の高電圧電極部構造
【発明者】 【氏名】田村 敦

【氏名】清水 敦子

【氏名】河津 浩司

【要約】 【課題】電気集塵機の絶縁板に取り付けられている筐体側高電圧電極や高電圧電線の結露水や導電性物質の付着堆積に起因する絶縁劣化を防止すると共に十分な空間距離及び沿面距離を確保しかつ小型化を可能とする電気集塵機の高電圧電極部構造を提供する。

【構成】電気集塵機の金属筐体1に固定される絶縁板13と、絶縁板13に取り付けられ金属筐体1に収容される集塵ユニットのユニット側高電圧電極に接触して電気的に接続される筐体側高電圧電極25と、筐体側高電圧電極25に接続される高電圧電線16からなり、絶縁板13に取り付けられる筐体側高電圧電極25の集塵ユニットのユニット側高電圧電極に接触する接触部25cを露出させ、残部及び高電圧電線16との接続部27aを絶縁部材21で覆った構成としたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気集塵機の金属筐体に固定される絶縁板と、該絶縁板に取り付けられ前記金属筐体に収容される集塵ユニットのユニット側高電圧電極に接触して電気的に接続され筐体側高電圧電極と、該筐体側高電圧電極に接続される高電圧電線からなる電気集塵機の高電圧電極部構造において、
前記絶縁板に取り付けられる筐体側高電圧電極の前記集塵ユニットのユニット側高電圧電極と接触する接触部を露出させ、残部及び前記高電圧電線との接続部を絶縁部材で覆ったことを特徴とする電気集塵機の高電圧電極部構造。
【請求項2】
電気集塵機の金属筐体に固定される絶縁板と、該絶縁板に取り付けられ前記金属筐体に収容される集塵ユニットのユニット側高電圧電極に接触して電気的に接続される筐体側高電圧電極と、該筐体側高電圧電極に接続される高電圧電線からなる電気集塵機の高電圧電極部構造において、
前記高電圧電線の前記絶縁板と対向する位置に前記絶縁板に固定された筐体側高電圧電極との接続部までの沿面距離を延ばすように絶縁部材で形成された絶縁体スリーブを外嵌装着したことを特徴とする電気集塵機の高電圧電極部構造。
【請求項3】
前記絶縁体スリーブは前記高電圧電線の被覆部に外嵌密着される円筒部と、該円筒部の外周面に同心的にかつ円筒部よりも大径に形成された少なくとも1つの山部からなることを特徴とする、請求項2に記載の電気集塵機の高電圧電極部構造。
【請求項4】
前記絶縁体スリーブの山部は円筒部の長手方向に沿って所定の間隔を存して複数形成されかつ高さが不均一であることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の電気集塵機の高電圧電極部構造。
【請求項5】
電気集塵機の金属筐体に固定される絶縁板と、該絶縁板に取り付けられ前記金属筐体に収容される集塵ユニットのユニット側高電圧電極に接触して電気的に接続される筐体側高電圧電極と、該筐体側高電圧電極に接続される高電圧電線からなる電気集塵機の高電圧電極部構造において、
前記金属筐体と絶縁板との少なくとも何れか一方に絶縁空間部を設けたことを特徴とする電気集塵機の高電圧電極部構造。
【請求項6】
前記絶縁部材は耐オゾン性を有する樹脂部材であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電気集塵機の高電圧電極部構造。
【請求項7】
前記絶縁板及び絶縁部材は表面に撥水性コーティングが施されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の電気集塵機の高電圧電極部構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電気集塵機の金属筐体に取り付けられこの金属筐体に収容される集塵ユニットのユニット側高電圧電極と接触して電気的に接続する電気集塵機の高電圧電極部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
空中に浮遊する塵、オイルミスト等の霧状の液体は、沈降速度が遅いのでこれを速やかに清浄したり回収するのに電気集塵機が使用されている。周知のように電気集塵機は、2枚の平行板電極又は中空円筒を陽極とし、中央に細い針金を置き陰極として数千ボルトの直流高電圧を印加する。極板間に塵その他の微粒子を含む空気を通すと、針金の表面付近の電界は極めて強いから分子の衝突イオン化が盛んで電離した陽イオンは陰極に直ぐ吸い取られて中和し、電子は陽極に向かって進む。このため電界内は負電荷で充満するから塵その他の微粒子は負に帯電して陽極に吸引され電荷を失って一つの集塵となり自重で落ちる。このようにして空気を清浄にしている。
【0003】
電気集塵機として、集塵ユニット筐体内に放電電極、対向電極、集塵フィルタを設け、放電電極と対向電極には集塵ユニット外に設けられた直流電源によって電圧が印加され、集塵ユニットの側面部に超音波発生手段を設けてコロナ放電領域に音波を照射して塵埃捕集効率を高めるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図14乃至図16は、本発明に係る電気集塵機の高電圧電極部構造に関連する電気集塵機の高電圧電極部構造の一例を示す。図14及び図15に示すように筐体側高電圧電極部2は、図示しない電気集塵機の金属製の筐体(以下「金属筐体」という)の取付部1に固定される。絶縁板3は、長方形状をなし略中央に絶縁用のスリット3cが形成されており、上面3aのスリット3cの左右両側に筐体側高電圧電極としての帯電用電極(イオン化電極(DC8kV))4、集塵用電極(コレクタ電極(DC4kV))5が取り付けられ、これらの帯電用電極4、集塵用電極5の接続部4b,5bに高電圧電線6,6’,7,7’が圧着端子8を介して接続されている。絶縁板3は、四隅に形成された取付穴3dを介してねじやリベットなどで取付部1に固定される。
【0005】
これらの帯電用電極4、集塵用電極5は、図16に示すように接触部4a,5aが絶縁板3の下面3bに形成された図示しない孔から突出し、更に取付部1に形成された図示しない孔から突出して前記金属筐体に収容される図示しない集塵ユニットの対応する帯電用電極(イオン化電極)、集塵用電極(コレクタ電極)にそれぞればね性を有して接触して電気的に接続される。尚、金属筐体は、絶縁板3が固定される部位、即ち絶縁板3の取付部1のみを図示してある。
【0006】
高電圧電線6’,7’は、前記金属筐体に並設して収容されるもう1基の集塵ユニットの帯電用電極、集塵用電極に給電するために前記金属筐体に固定されているもう一つの筐体側高電圧電極部の絶縁板に取り付けられている帯電用電極、集塵用電極に接続される渡り用高電圧電線である。従って、前記金属筐体に収容される集塵ユニットが1基の場合には渡り用の高電圧電線6’,7’は不要である。
【特許文献1】特開2005−28205号公報(2頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記図14乃至図16に示す高電圧電極部の構造において帯電用電極4、集塵用電極5と金属筐体の取付部1との絶縁は、絶縁板3を使用することで確保しているために高電圧放電や漏電を引き起こしやすい構造であった。即ち、長期間の使用により絶縁板3の表面や高電圧電線6,7,6’,7’の被覆の表面にたばこ成分(ヤニ、タール成分等)やオイルミスト(油分)等の導電性物質が堆積したり、多湿等の悪環境での絶縁板3の表面や高電圧電線6,7,6’,7’の被覆の表面に結露等に起因する絶縁劣化が発生していた。
【0008】
また、絶縁劣化が発生した場合、絶縁板3や高電圧電線6,7,6’,7’の表面を伝わって電流が流れ、高電圧電線の被覆が損傷して金属筐体との間で放電の不具合を起こして光や音が発生すおそれがあった。更に、結露水、オイルミスト等の空気中の導電性物質が高電圧電線や電極に付着すると絶縁破壊が起こり易くなり、高電圧による放電や漏電等のトラブルを発生するおそれがあった。
【0009】
このようなトラブルを防止するために使用環境面で湿度上限、オイルミスト環境制限等が発生すると共に定期的な清掃作業が必要であり維持費が嵩む。また、結露水、塵埃、及びオイルミストやたばこ成分等の導電性物質が高電圧電線の表面や筐体側高電圧電極に付着しても絶縁破壊を起こさないためには十分な空間距離及び沿面距離を必要とし、小型化が困難である。更に、集塵ユニット自身が発生するオゾン等の影響で電極や高電圧電線との接続部をモールド樹脂部材で覆うことが困難である。
【0010】
本発明の目的は、電気集塵機の絶縁板に取り付けられている筐体側高電圧電極や高電圧電線の結露水や導電性物質の付着堆積に起因する絶縁劣化を防止すると共に十分な空間距離及び沿面距離を確保しかつ小型化を可能とする電気集塵機の高電圧電極部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明に係る電気集塵機の高電圧電極部構造は、電気集塵機の金属筐体に固定される絶縁板と、該絶縁板に取り付けられ前記金属筐体に収容される集塵ユニットのユニット側高電圧電極に接触して電気的に接続される筐体側高電圧電極と、該筐体側高電圧電極に接続される高電圧電線からなる電気集塵機の高電圧電極部構造において、
前記絶縁板に取り付けられる筐体側高電圧電極の前記集塵ユニットのユニット側高電圧電極と接触する接触部を露出させ、残部及び前記高電圧電線との接続部を絶縁部材で覆ったことを特徴としている。
【0012】
電気集塵機の集塵ユニットを収容する金属筐体に固定される絶縁板に取り付けられる筐体側高電圧電極の集塵ユニットのユニット側高電圧電極と接触する接触部を露出させ、他の部位及び高電圧電線との接続部を絶縁部材で覆うことにより、絶縁板表面の汚れ、オイルミスト、結露水等が付着した場合でも絶縁体表面抵抗の劣化、絶縁破壊を防止して電極部と金属筐体間の絶縁が保持できる。これにより、高オイルミスト、高湿度等の悪環境下での使用が可能となる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の電気集塵機の高電圧電極部構造は、電気集塵機の金属筐体に固定される絶縁板と、該絶縁板に取り付けられ前記金属筐体に収容される集塵ユニットのユニット側高電圧電極に接触して電気的に接続される筐体側高電圧電極と、該筐体側高電圧電極に接続される高電圧電線からなる電気集塵機の高電圧電極部構造において、
前記高電圧電線の前記絶縁板と対向する位置に前記絶縁板に固定された筐体側高電圧電極との接続部までの沿面距離を延ばすように絶縁部材で形成された絶縁体スリーブを外嵌装着したことを特徴としている。
【0014】
筐体側高電圧電極に接続される高電圧電線の絶縁板と対向する部位に沿面距離を延ばすように絶縁体スリーブを外嵌装着することにより高電圧電線の被覆表面の汚れ、オイルミスト、結露水が付着した場合でも、電極部との絶縁が保持でき、悪環境下での使用が可能となる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の電気集塵機の高電圧電極部構造は、請求項2に記載の電気集塵機の高電圧電極部構造において、
前記絶縁体スリーブは前記高電圧電線の被覆部に外嵌密着される円筒部と、該円筒部の外周面に同心的にかつ円筒部よりも大径に形成された少なくとも1つの山部からなることを特徴としている。
【0016】
絶縁体スリーブを高電圧電線の被覆表面に外嵌密着する円筒部と、円筒部の外周面に同心的にかつ大径の少なくとも1つの山部とにより形成することで、円筒部の両端間の沿面距離を三次元的に延ばすことができる。また、高電圧電線の被覆表面のオイルミスト、結露水等の付着による絶縁劣化を防止することが可能となる。これにより、悪環境下での使用が可能となる。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載の電気集塵機の高電圧電極部構造は、請求項2又は請求項3に記載の電気集塵機の高電圧電極部構造において、前記絶縁体スリーブの山部は円筒部の長手方向に沿って所定の間隔を存して複数形成されかつ高さが不均一であることを特徴としている。
【0018】
絶縁体スリーブの山部を円筒部の長手方向に沿って間隔を存して複数形成しかつその高さを不均一にすることで、同じ沿面距離でも絶縁体スリーブの長さを短くすることができ、絶縁体スリーブを小型化することが可能となる。また、山部の間隔を広くすることが可能であり、オイルミストや結露水の表面張力による溜まりを防止することができ、絶縁効果を高めることができる。
【0019】
また、本発明の請求項5に記載の電気集塵機の高電圧電極部構造は、電気集塵機の金属筐体に固定される絶縁板と、該絶縁板に取り付けられ前記金属筐体に収容される集塵ユニットのユニット側高電圧電極に接触して電気的に接続される筐体側高電圧電極と、該筐体側高電圧電極に接続される高電圧電線からなる電気集塵機の高電圧電極部構造において、
前記金属筐体と絶縁板との少なくとも何れか一方に絶縁空間部を設けたことを特徴としている。
【0020】
金属筐体と絶縁板との少なくとも何れか一方に絶縁空間部を形成することで、絶縁板上のオイルミスト、結露水等の付着による絶縁劣化を防止することができる。
【0021】
また、本発明の請求項6に記載の電気集塵機の高電圧電極部構造は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電気集塵機の高電圧電極部構造において、前記絶縁部材は耐オゾン性を有する樹脂部材であることを特徴としている。
【0022】
高電圧電極部を覆う絶縁部材、筐体側高電圧電極に接続される高電圧電線の被覆に外嵌装着して沿面距離を三次元的に延ばす絶縁体スリーブ等を耐オゾン性を有する樹脂部材で形成することにより、集塵ユニット自身から発生されるオゾンによる絶縁劣化を防止することができ、耐久性の向上が図られる。
【0023】
また、本発明の請求項7に記載の電気集塵機の高電圧電極部構造は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の電気集塵機の高電圧電極部構造において、前記絶縁板及び絶縁部材は表面に撥水性コーティングが施されていることを特徴としている。
【0024】
筐体側高電圧電極を取り付ける絶縁板及び高電圧電極を覆う絶縁部材、筐体側高電圧電極に接続される高電圧電線の被覆に外嵌装着して沿面距離を延ばす絶縁体スリーブ等の表面に撥水性コーティングを施すことにより結露水の付着を有効に防止することができ、結露水による絶縁劣化を防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、集塵ユニットのユニット側高電圧電極と接触する筐体側高電圧電極の接触部を露出させ、かつ残部及び高電圧電線との接続部を絶縁部材で覆うことで、悪環境下における結露水やオイルミスト、たばこ成分等の導電性物質の付着に起因する絶縁低下や絶縁破壊を防止することができる。また、通常環境下の使用においても汚れの付着、堆積、結露の耐性が向上し電極の清掃・交換期間が長くなり、長寿命化が図られる。また、電極部の小型化及び小スペース化が図られる。
【0026】
また、筐体側高電圧電線の絶縁板と対向する位置に電極との接続部までの沿面距離を延ばすべく絶縁部材で形成した絶縁スリーブを装着することで、筐体側高電圧電線の被覆表面の結露付着、導電性物質の付着による絶縁劣化を防止することが可能となり、筐体側高電圧電線を離隔することによる沿面距離の削減ができ電極部の小スペース化が図られる。
【0027】
また、金属筐体と絶縁板との間に絶縁空間部を設けることで、絶縁板上のオイルミスト、結露水の付着による絶縁劣化した場合でも、高電圧放電や漏電を防止することが可能となる。
【0028】
また、絶縁部材に耐オゾン性樹脂部材を使用することで、集塵ユニット自体が発生するオゾンによる絶縁劣化を防止することができる。また、絶縁部材の表面に撥水性コーティングを施すことにより耐湿度性を持たせることができ、結露水付着による絶縁破壊を有効に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態に係る電気集塵機の高電圧電極部構造について図面に基づいて説明する。図1乃至図3において筐体側高電圧電極部12は、絶縁板13と、この絶縁板13に取り付けられた高電圧電極としての帯電用電極部(イオン化電極(DC8kV))14、集塵用電極部(コレクタ電極(DC4kV))15、及びこれらの帯電用電極部14、集塵用電極部15に接続された高電圧電線16,17、渡り用の高電圧電線16’,17’により構成されている。尚、帯電用電極部14と集塵用電極部15は、同一構造とされており、以下帯電用電極部14について説明する。また、図中必要に応じて帯電用電極部14と同一部材には同一符号に「’」を付けてある。
【0030】
絶縁板13は、長方形状をなし略中央に絶縁用のスリット13cが形成されており、上面13aのスリット13cの左右両側に帯電用電極部14と集塵用電極部15が並設されている。また、絶縁板13は、四隅に設けられた取付穴13dにより図示しないボルトで取付部1に固定される。尚、取付部1には例えば絶縁板13よりも一回り小さい図示しない角孔が形成されており、図3に示すように帯電用電極部14、集塵用電極部15の各接触部25c,25c’が突出して集塵ユニットの対応する高電圧電極に接触可能とされている。この絶縁板13は、耐オゾン性を有する絶縁部材、例えばポリエステル積層板により形成されている。
【0031】
帯電用電極部14は、図5及び図6に示すように筐体21、筐体21内に収容された筐体側高電圧電極(以下単に「電極」という)25、電極25を集塵ユニットの高電圧電極部に圧接させるためのばね26、電極25と高電圧電線16とを電気的に接続する接触片27、及び筐体21と高電圧電線16との間に介在されて結露水の浸入を封止する配線シール部材としての防水スリーブ28、ガスケット29等により構成されている。
【0032】
図5に示すように筐体21は、略立方体状の箱体をなし、上方に開口する本体22と蓋体23からなり、本体22には上面22aの開口端側(上方)から同心的にかつ順次段差をなして縮径する孔22b,22c,22dが形成され、孔22dが下面22eに形成されたボス22fの下面に開口している。
【0033】
図6に示すように蓋体23は、下面(内側面)23aに本体22の孔22bに嵌合する環状の凸部23bと、凸部23bの外側に同心的に形成されて本体22との間を密封するガスケット29を収納する環状溝23cが形成され、対向する両側部の下面に環状の凸部23b、環状溝23cを横切って防水スリーブ28の上半分と液密に嵌合して収容する嵌合凹部23dが形成されている。また、四隅には本体22に固定するための取付穴23eが設けられている。
【0034】
尚、図5には図示していないが本体22の上面22aにも蓋体23の嵌合凹部23dと対向して防水スリーブ28の下半分を収容するための嵌合凹部が形成されている。この筐体21は、耐オゾン、高電圧、耐湿度に優れた樹脂部材、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)により形成されている。
【0035】
図5に示すように電極25は、底部が円錐形をなす有底円筒形状をなし、上部開口端周縁部が外側に同心状に張り出してフランジ25aとされて本体22の孔22cと22dとの段差部に係止され、円筒部25bが孔22dに収容され、円錐形状の底部25cがボス22fから突出されている。電極25は、孔22d内を軸方向に摺動可能とされている。そして、電極25の円錐形状をなす底部25cは、集塵ユニットのユニット側高電圧電極と接触する接触部とされる(以下「接触部25c」という)。
【0036】
ばね26は、電極25の円筒部25bに収容され、一端が円錐形状の接触部25cとの連設部に圧接し、他端が接触片27の下面に圧接される。図6に示すように接触片27は、略長方形状をなし長手方向の両端部が円弧状に形成されて本体22の孔22b内に収容可能とされ、長手方向の両側部中央に接続部27aが側方に張り出して形成されている。
【0037】
図6に示すように防水スリーブ28は、円筒部28aの外周面に同心的にかつ軸方向に間隔を存して複数例えば2個の山部28bが形成された形状をなしており、円筒部28aが高電圧電線16の被覆の端末に液密に外嵌され、上半分が蓋体23の嵌合凹部23dに、下半分が本体22の嵌合凹部に液密に嵌合可能とされている。この防水スリーブ28及びガスケット29は、耐オゾン、高電圧、耐湿度に優れた例えばCR(クロロプレンラバー)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)により形成されている。
【0038】
以下に上記構成の筐体側高電圧電極部12の組み付けについて説明する。図5に示すように筐体21の本体22の孔22dに電極25を収容し、フランジ25aを孔22cと22dとの段差部に係止し、電極25内にばね26を収容する。また、図6に示すように高電圧電線16、渡り用高電圧電線16’の被覆の端末に夫々防水スリーブ28を外嵌装着し、各芯線に接続された圧着接続端子30を接触片27の接続部27aに接続する。
【0039】
そして、図6に示すように接触片27の両端部を蓋体23の凸部23bの下面に当接し、高電圧電線16,16’の各防水スリーブ28の上半分を嵌合凹部23dに嵌合する。また、蓋体23の環状溝23cにガスケット29を嵌合する。尚、この場合、環状溝23cは、両側部の嵌合凹部23dがそれぞれ横切っていることで2つに分断されており、これに伴いガスケット29も2つに分割された形状をなしている。
【0040】
次に、図5に示すように本体22の孔22bに蓋体23の環状の凸部23b及び接触片27を嵌合すると共に高電圧電線16、渡り用高電圧電線16’の各防水スリーブ28の下半分を図示しない嵌合凹部に嵌合して蓋体23を装着する。そして、蓋体23の取付穴23eに図示しないタッピングスクリューを通して本体22に蓋体23を固定する。
【0041】
この状態においてばね26の一端が電極25の円筒部25bと円錐状の接触部25cとの連設部に圧接し、他端が接触片27の両端部下面に圧接している。これにより、電極25と高電圧電線16,16’が電気的に接続される。また、電極25は、ばね26のばね力により接触部25cが本体22の下面22eのボス22fから突出している。このようにして帯電用電極部14が形成されている。集塵用電極部15も同様に形成されている。
【0042】
そして、図5に示すように帯電用電極部14は、絶縁板13の所定位置に載置され、ボス22fが絶縁板13に形成された孔13eに嵌合され、下面22eが絶縁板13の上面13aに接着剤により固定される。この状態において電極25の接触部25cが絶縁板13の下面13bから突出している。そして、電極25は、接触部25cがばね力に抗して押圧されると孔22d内に入り込む。即ち電極25は、ばね力により集塵ユニットのユニット側高電圧電極に圧接して接触可能とされる。このようにして、絶縁板13に帯電用電極部14が取り付けられる。同様にして図1乃至図3に示すように集塵用電極部15も絶縁板13に取り付けられ接触部25c’が突出する。
【0043】
このように帯電用電極部14の電極25及び高電圧電線16,16’との接続部27a,27aを絶縁部材で形成された筐体21に収容し、集塵ユニットの電極部と接触する接触部25cのみを露出させることにより、悪環境下における結露水やオイルミスト、たばこ成分等の導電性物質の付着に起因する絶縁低下を防止することができる。また、通常環境下の使用においても汚れの付着、堆積、結露の耐性が向上し電極の清掃・交換期間が長くなり、長寿命化が図られる。また電極部の小スペース化が図られる。
【0044】
図7乃至図9は、本発明に係る電気集塵機の高電圧電極部構造の第2の実施形態を示す。尚、図14乃至図16に示す部材と同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。図7乃至図9において筐体側高電圧電極部32は、金属筐体の取付部1に固定され、絶縁板3に帯電用電極4、集塵用電極5が取り付けられ、高電圧電線6,7、渡り用の高電圧電線6’,7’が接続されている。これらの帯電用電極4、集塵用電極5は、接触部4a,5aが図示しない集塵ユニットの対応する帯電用電極、集塵用電極に接触して電気的に接続される。
【0045】
金属筐体の取付部1には絶縁板3よりも一回り大きい角孔1aが形成されかつその四隅が絶縁板3の四隅の取付穴3dと対応して内側に張り出して取付部1bとされており、絶縁板3が取り付けられている。そして、金属筐体の取付部1と絶縁板3の周縁部との間に四隅の取付部1bを残して外側に絶縁空間部33が形成されている。このように金属筐体の取付部1と絶縁板3との間に絶縁空間部33を設けることで、絶縁板3上のオイルミスト、結露水付着等による絶縁劣化を有効に防止することが可能となる。
【0046】
尚、絶縁空間部を形成として金属筐体の取付部1側に絶縁板3よりも一回り大きい角孔1aを形成する構造の他、例えば図7及び図8の絶縁板3の周縁部近傍に2点鎖線で示すようにスリット3eを形成することも考えられる。勿論、前述したように取付部1側に絶縁板3よりも一回り大きい角孔1aを形成し、更に絶縁板3に上記スリット3eを形成するようにしても良い。
【0047】
高電圧電線6,7、渡り用の高電圧電線6’,7’の絶縁板3と対向する位置にゴム等の絶縁部材で形成された絶縁体スリーブ(ゴムスリーブ)35が外嵌装着されている。絶縁体スリーブ35は、波形の形状をなし図10及び図11に示すように高電圧電線6の被覆に密着して外嵌する円筒部35aと、円筒部35aの外周面に同心的かつ円筒部35aよりも大径に形成された複数例えば、3個の山部35c,35d,35eからなり、中央の山部35dの外径は、両端部の山部35c,35eの外径よりも大径とされている。即ち、中央の山部35dは、両端部の山部35c,35eよりも高く形成されて不均一とされている。
【0048】
また、図11に示すように山部35c〜35eの各外周縁部35f、及びこれらの山部35c〜35eと円筒部35aとの各連設部35gはCカット又はRを付けて面取されている。また、円筒部35aの孔35bの開口端35hはCカットされて面取されテーパ状に拡径している。この絶縁体スリーブ35は、例えばシリコーンゴム具体的にはFVMQ(フロロシリコーンゴム)、VMQ(ビニルメチルシリコーンゴム)等により形成されている。
【0049】
このように円筒部35aの外周面に山部35c〜35eを形成し、更に円筒部35aの孔35bの開口端をCカットして面取することにより図11に点線で示すように円筒部35aの両端部間の沿面距離Lを三次元的に長くする(延ばす)ことが可能となる。また、山部35c〜35eと円筒部35aとの各連設部35gをCカット又はRを付けて面取することで塵埃等を溜まり難くすることが可能である。
【0050】
この絶縁体スリーブ35は、図7乃至図9に示すように高電圧電線6,6’,7,7’の絶縁板3と対向する適宜の位置に被覆に密着して外嵌される。これにより、絶縁体スリーブ35の両端間の沿面距離を三次元的に延ばすことができ絶縁性の向上が図られる。また、絶縁体スリーブ35の円筒部35aの孔35bに電線を挿入する際に開口端35hが面取されて拡径していることで電線の挿通が容易となり作業性の向上及び組み付け時間の短縮が図られる。
【0051】
また、山部35c〜35eの高さを不均一にすることで同じ沿面距離でも絶縁体スリーブの形状を小型化することが可能となると共に山部35c〜35e間の間隔(隙間)を広くすることでオイルミスト、結露水の表面張力による溜まりを有効に防止することができ絶縁効果を高めることが可能となる。また、何らかの理由で中央の高い山部35dと両側の低い山部35c,35eとの間に大量の結露水が溜まった場合でも中央の山部35dの上部が結露水の表面よりも突出するためにこの突出する部分においてある程度の絶縁性を確保することが可能である。
【0052】
また、図9に示すように高電圧電線6,6’及び各絶縁体スリーブ35は、絶縁板3の上面3aから離隔しているが、絶縁板3を水平に配置した場合にはこれらの高電圧電線6,6’が自重により撓み易なる。このように高電圧電線6,6’が撓んだ場合でも絶縁体スリーブ35の山部35dが絶縁板3の上面3aに当接することにより絶縁板3とこれらの高電圧電線6,6’との間隔(絶縁距離)を確保することができ、これら両者間の絶縁性の向上が確保される。
【0053】
図12は、図10に示す絶縁体スリーブの変形例を示す。絶縁体スリーブ38は、高電圧電線の被覆に密着して外嵌される円筒部38aの外周面に軸方向に沿って間隔を存して複数例えば4つの山部38c〜38fの外径(高さ)を同じに形成したものである。これにより、点線で示すように円筒部38aの両端間の縁面距離Lを三次元的に延ばすことが可能となる。
【0054】
また、絶縁板3、筐体側高電圧電極25を覆う筐体21、高電圧電極25に接続される高電圧電線16の被覆に外嵌装着して沿面距離を三次元的に延ばす絶縁体スリーブ28,35等の表面に撥水性コーティングを施すことにより結露水の付着を有効に防止することができ、結露水による絶縁劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る電気集塵機の高電圧電極部構造の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した高電圧電極部構造の上面図である。
【図3】図1に示した高電圧電極部構造の正面図である。
【図4】図1に示した高電圧電極部構造の側面図である。
【図5】図4に示した帯電用電極部の矢線V−Vに沿う断面図である。
【図6】図5に示した帯電用電極部の筐体の蓋体の下面図である。
【図7】本発明に係る電気集塵機の高電圧電極部構造の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図8】図7に示した高電圧電極部構造の上面図である。
【図9】図7に示した高電圧電極部構造の正面図である。
【図10】図7に示した高電圧電線に外嵌装着した絶縁体スリーブの斜視図である。
【図11】図11に示した絶縁体スリーブの断面図である。
【図12】図11に示した絶縁体スリーブの変形例を示す斜視図である。
【図13】図12に示した絶縁体スリーブの断面図である。
【図14】本発明に係る高電圧電極部構造に関連する高電圧電極部構造の斜視図である。
【図15】図14に示した高電圧電極部構造の上面図である。
【図16】図14に示した高電圧電極部構造の正面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 金属筐体の絶縁板の取付部
1a 角穴
1b 取付部
2 電気集塵機の筐体側高電圧電極部
3 絶縁板
3a 上面
3b 下面
3c スリット
3d 取付穴
3e スリット
4 筐体側帯電用電極(高電圧電極)
4a 接触部
4b 接続部
5 筐体側集塵用電極部(高電圧電極)
5a 接触部
5b 接続部
6,7 高電圧電線
6’,7’ 渡り用の高電圧電線
8 圧着端子
12 電気集塵機の筐体側高電圧電極部
13 絶縁板
13a 上面
13b 下面
13c スリット
13d 取付穴
14 筐体側帯電用電極部
15 筐体側集塵用電極部
16,17 高電圧電線
16’,17’ 渡り用の高電圧電線
21 筐体
22 本体
22a 上面
22b,22c,22d 孔
22e 下面
22f ボス
23 蓋体
23a 下面
23b 環状の凸部
23c 環状溝
23d 嵌合凹部
23e 取付穴
25 電極(高電圧電極)
25a フランジ
25b 円筒部
25c,25c’ 接触部(底部)
26 ばね
27 接触片
27a 接続部
28,28’ 防水スリーブ
28a 円筒部
28b 山部
29 ガスケット
30 圧着端子
32 電気集塵機の筐体側高電圧電極部
33 絶縁空間部
35 絶縁体スリーブ(ゴムスリーブ)
35a 円筒部
35b 孔
35c,35d,35e 山部
35f 山部の外周縁部
35g 山部と円筒部との連設部
35h 開口端
38 絶縁体スリーブ
38a 円筒部
38b 孔
38c,38d,38e,38f 山部
38g 山部の外周縁部
38h 山部と円筒部との連設部
38i 円筒部の両端部外周縁部
L 沿面距離
【出願人】 【識別番号】000006666
【氏名又は名称】株式会社山武
【出願日】 平成18年9月8日(2006.9.8)
【代理人】 【識別番号】100106378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 宏一


【公開番号】 特開2008−62195(P2008−62195A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−243964(P2006−243964)