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集塵装置および空調装置 - 特開2008−62173 | j-tokkyo
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【発明の名称】 集塵装置および空調装置
【発明者】 【氏名】加藤 亮

【要約】 【課題】放電線電極に電圧を印加し対向電極との間にコロナ放電を起こして粉塵を帯電させ、集塵部電極を一定の間隔を開けて積層し、一枚おきに異なる電位を持たせる集塵部を荷電部の下流側に設けて集塵部で帯電した粉塵を捕集する電気集塵装置は従来において、放電線電極が切断して粉塵が帯電できなくなる、または、集塵部とは別に構造が複雑な荷電部を別途設ける必要があるため高コストで作成が困難であるという課題を有する。

【構成】電極基板2の片面に集塵部電極4を設けた集塵部電極基板10を積層し、集塵部電極基板10の積層間に任意の周期で規則的にイオン発生電極基板1および電場形成電極基板8を交互に挿入することを特徴とする集塵装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状誘電体を挟むように面状誘電体の裏表それぞれの面に面状電極と放電電極とを設けたイオン発生電極と、イオン発生電極の放電電極が設けられた面と対向するように一定の間隔を開けて面状電極と同電位である電場形成電極を設け、面状電極および電場形成電極と放電電極との間に直交流重畳電圧を印加する荷電部を備え、集塵部電極を一定の間隔を開けながら積層して集塵部電極に積層した順番に交互に異なる電圧が印加された集塵部を荷電部の下流側に備えることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
面状電極を被覆するようにイオン発生電極を電極基板の両面に設け、電極基板と電場形成電極とを一定の間隔で交互に積層した荷電部を備えることを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
面状誘電体が10の12〜16乗Ω・cmの体積抵抗率を有することを特徴とする請求項1または2記載の集塵装置。
【請求項4】
面状誘電体が厚さ0.2mm以下の樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の集塵装置。
【請求項5】
放電電極をアースに接続し、面状電極および電場形成電極に直交流重畳電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の集塵装置。
【請求項6】
電極基板の両面上流側に面状電極、面状誘電体、放電電極とを備えたイオン発生電極を、また、同じ電極基板の片面下流側に集塵部電極を設けたイオン発生電極基板と、電極基板の両面上流側に電場形成電極を、また、同じ電極基板の片面下流側に集塵部電極を設けた電場形成電極基板とを一定の間隔を開けながら交互に積層することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置。
【請求項7】
電極基板の片面に集塵部電極を設けた集塵部電極基板を積層し、集塵部電極基板の積層間に任意の周期で規則的にイオン発生電極基板および電場形成電極基板を交互に挿入することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置。
【請求項8】
面状電極、放電電極、電場形成電極および集塵部電極が導電性インクを印刷することによって設けられることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の集塵装置。
【請求項9】
電極基板の表面抵抗率が10の12〜16乗Ω/□であることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の集塵装置。
【請求項10】
表面抵抗率が10の12〜16乗Ω/□の膜を全体に設けることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置。
【請求項11】
集塵部電極を被覆するように体積抵抗率が10の12〜16乗Ω・cmの樹脂フィルムを電極基板の上に設けることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載の集塵装置。
【請求項12】
電極基板の片面に設けた集塵部電極どうしの間で沿面を伝わって電流が流れる導電路がほぼないことを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の集塵装置。
【請求項13】
電極基板の積層間の通気方向から見て左右両端にあたる部分に端部スペーサーを設け、通気方向から見て左右両端を除いた部分に設ける中間スペーサーの数が電極基板の通気方向と直交する方向の寸法100mmあたりに対して電極基板1枚につき2個以下であることを特徴とする請求項12記載の集塵装置。
【請求項14】
電極基板の厚さが0.5mm以上であることを特徴とする請求項1乃至13いずれかに記載の集塵装置。
【請求項15】
電極基板の通気方向から見た左右両端のどちらかに面状電極、放電電極、電場形成電極、集塵部電極のそれぞれがない空白部を設けると同時に、電極基板の通気方向から見た左右両端に端部スペーサーを設け、集塵部電極と隣接しかつ通気方向から見て左右両端のどちらかに設けられた空白部が左右に交互に位置するようにイオン発生電極基板、電場形成電極基板、または集塵部電極基板を積層して形成された集塵装置の、通気方向から見た左右両側面にスリットを設け、スリットに導電塗料を流し込んだ後に電圧供給端子をスリットに差し込んで乾燥することを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項16】
端部スペーサーに隣接する空間への通気を遮る通気防止部を設けることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載の集塵部を備えた集塵装置。
【請求項17】
集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項18】
抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナに銀成分を固定化したものであることを特徴とする請求項17記載の集塵装置。
【請求項19】
集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項20】
集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項21】
抗ウイルス剤がフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とする請求項20記載の集塵装置。
【請求項22】
集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項23】
抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項22記載の集塵装置。
【請求項24】
抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項25】
請求項1乃至24いずれかに記載の集塵装置を備えた空調装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄の分野において空気中の粒子状浮遊物質を除去することができる集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に存在する粒子状浮遊物質、すなわち粉塵は喘息などの疾病の原因として知られており従来から除去の対象となる物質であったが、近年の研究において粒子径2.5マイクロメートル以下の粉塵(いわゆるPM2.5)が肺ガンなどの疾病を誘起する可能性があるとの報告があり、捕集技術の更なる向上が求められている。その中で電気集塵技術を用いた集塵装置は粒子径がマイクロメートル以下の小粒径の粉塵を捕集することに優れており、また低圧損な特性を持つことから注目を集め、更なる性能向上が求められている。
【0003】
従来、この種の集塵装置として、放電によって粉塵を帯電する荷電部を前段に設け、その後段に、電極を積層し、交互に異なる電圧を印加して電場を形成して帯電した粉塵を捕集する集塵部を設けたものが知られている。この構成を応用した例として、特許文献1には電極基板の板面のうち、中央部に沿って導電層を形成し、その両側部分に絶縁面を設けてなる電極板において、少なくとも絶縁面に半導電層を形成した電極板を用いた集塵装置が示されている。以下、その集塵装置について図26、図27、図28および図29を参照しながら説明する。図26は電極板101の全体図となっており、図27は図26のA−B線における断面図となっている。電極板101は図26および図27に示すとおり絶縁性を有する電極基板102表面の片側中央部に導電層103を形成し、その上から半導電層104を設けている。また、導電層103が設けられていない電極基板102の両側部分には電極基板102を窪ませるようにスペーサー突起105が設けられている。このスペーサー突起105は電極基板102の片側の面方向のみに突起するよう設けられており、両側それぞれ1列ずつ、かつ電極板101を積層する時に窪みにスペーサー突起105がはまらないようにするために、電極板101を左右に反転すると半個ずれるような配置でスペーサー突起105が設けられている。このようにして設けられた電極板101を図28のように一つおきに向きを変えて積層して集塵部106を形成し、1枚おきに電極板101に、高圧電源107によって交互に異なる電圧を印加することによって電極板101のそれぞれの間に設けられた空間に電場が設けられる。そして図29に示すように集塵部106の風上に設けられ、放電線電極108と対向電極109で構成された荷電部110の起こすコロナ放電によって帯電した粉塵は電極板101の積層によって設けられた電場の空間に導入され、電極板101上に付着し捕集される。また、導電層103は絶縁性を有する電極基板102の片側中央のみに設けられているため、導電層103どうしの空間や端部でスパークを伴う異常放電を起こさない構造となっている。
【0004】
また、特許文献2には図30に示すように高純度アルミナ磁器で作られた面状誘電体111の内部に埋設した面状電極112に直流および交流電源を複合化した高圧電源107によって直交流重畳高電圧を印加し、面状誘電体111の一側面に設けた放電電極113に前期直交流重畳電圧の直流成分のみを印加し、放電電極113と対向する位置に接地した対向電極109を設けてなる荷電部110が示されている。面状誘電体111を挟んで面状電極112と放電電極113の間に交流電圧を印加することによって放電電極113の近傍に放電を起こすための電界が形成され、放電電極113からイオンが発生する。面状電極112に直流成分と交流成分が合成された直交流重畳電圧を印加することで直流成分の極性を有するイオンのみを発生させ、また、放電電極113に直交流重畳電圧の直流成分のみを印加することで発生したイオンを放電電極113と接地された対向電極109との間に設けられた荷電空間に向けて加速させ、放出させる。荷電空間に放出されたイオンは荷電空間に存在する粉塵と結合し、粉塵が帯電され、帯電された粉塵は図には記載していないが下流側に設けられた集塵部106によって電場の力を受けて捕集される。また、面状誘電体111として電気的、化学的、熱的に安定な高純度アルミナ磁器を用いることを特徴としており、電界によって引き起こされる放電電極113付近における面状誘電体111の部分破壊を抑えた破損の極めて少ない荷電部110を得ることが可能となっている。
【特許文献1】特許第2662553号公報
【特許文献2】特公平7−63032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される集塵装置は粉塵を帯電する荷電部の放電電極としてタングステン線などのを用いた放電線電極を用いているが、導電性の粉塵が付着すると対向電極との間でアークを伴う異常放電を起こして切断し集塵機能を損なうという課題があり、放電電極が切断などの破損を起こさないことが要求されている。
【0006】
また、特許文献1もしくは2に記載される集塵装置は集塵部と荷電部を別々に作成する必要があり、特に荷電部においては放電線電極が電気的に宙に浮いた構造とする必要があるため構造的に複雑となり、作成が困難であるという課題があり、粉塵を帯電する機能と帯電した粉塵を捕集する機能を一体的に簡単な構造で得ることが要求されている。
【0007】
また、特許文献1に記載される集塵装置の集塵部では、薄くて撓みやすい電極板どうしの積層間に平行な空間を設けるために無数のスペーサー突起を必要とするが、スペーサー突起が多ければ多いほど電極板どうしが接触する箇所が増えて沿面を伝わる導電路の数が大きくなるため、集塵部が汚れた状態や湿度が高い状態において異なる電圧が印加される電極板どうしの絶縁が保てなくなって電圧が印加できなくなるという課題があり、高い集塵性能を得るためにどのような状態においても電極板どうしの絶縁を確保できる構造とすることが要求されている。
【0008】
また、特許文献1に記載される集塵装置の集塵部においては、スペーサー突起によって電極板どうしが接触する箇所を多数有するが、電極板どうしが接触する箇所が増えるほど電極板どうしの距離が電気的に小さくなって電極板に蓄積される電荷が増えることになり、高圧電源の出力容量を超えるほどに静電容量が大きくなって電圧が印加できなくなるという課題があり、集塵部の静電容量を小さくすることが要求されている。
【0009】
また、特許文献2に記載される集塵装置の荷電部においては、具体的にはアルミナ粉末を有機バインダーで結合した後、水素ガスなどの還元雰囲気中で1000℃以上に焼結することで面上誘電体を得ているため水素ガスや1000℃以上の熱が必要となり作成が困難であるという課題があり、作成方法が容易であることが要求されている。また、アルミナの焼結体であるために硬度は高いが衝撃に弱く脆いという課題があり、弾性を有し衝撃に強い集塵装置とすることが要求されている。
【0010】
また、集塵効率を高めるためには粉塵を均一に高い度合いで帯電させる必要があり、そのためにはイオンと粉塵の衝突効率を高める必要がある。すなわちイオンを荷電空間全体に円滑に拡散移動させるためのイオンの加速度および加速方向が重要となるが、特許文献2に記載されている集塵装置の荷電部は構造および電圧の印加方法が最適化されていないため集塵性能が低く、高い集塵効率を得るために構造および電圧の印加方法を最適化することが要求されている。
【0011】
また、空気中に浮遊する物質の中には菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病などの悪影響を及ぼすものがあり、人体に疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ不活化させることが要求されている。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、荷電部の放電電極および面状誘電体の破損がなく、また、荷電部の構造を簡単にすることができ、また、荷電部の電場を最適化して効率よく粉塵を帯電することができ、また、荷電部と集塵部とを一体化した構造を簡単に構築することができ、また、電極板どうしの絶縁を確保して常に電圧を印加することができ、また、集塵部の静電容量が小さく、また、人体に疾病を誘引する物質を集塵部で捕集しかつ不活化させることができる集塵装置およびその集塵装置を搭載した空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の集塵装置は上記目的を達成するために、面状誘電体を挟むように面状誘電体の裏表それぞれの面に面状電極と放電電極とを設けたイオン発生電極と、イオン発生電極の放電電極が設けられた面と対向するように一定の間隔を開けて面状電極と同電位である電場形成電極を設け、面状電極および電場形成電極と放電電極との間に直交流重畳電圧を印加する荷電部を備え、集塵部電極を一定の間隔を開けながら積層して集塵部電極に積層した順番に交互に異なる電圧が印加された集塵部を荷電部の下流側に備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項1記載の集塵装置において、面状電極を被覆するようにイオン発生電極を電極基板の両面に設け、電極基板と電場形成電極とを一定の間隔で交互に積層した荷電部を備えることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項1または2記載の集塵装置において、面状誘電体が10の12〜16乗Ω・cmの体積抵抗率を有することを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項1乃至3いずれかに記載の集塵装置において、面状誘電体が厚さ0.2mm以下の樹脂フィルムであることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項1乃至4いずれかに記載の集塵装置において、放電電極をアースに接続し、面状電極および電場形成電極に直交流重畳電圧を印加することを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の両面上流側に面状電極、面状誘電体、放電電極とを備えたイオン発生電極を、また、同じ電極基板の片面下流側に集塵部電極を設けたイオン発生電極基板と、電極基板の両面上流側に電場形成電極を、また、同じ電極基板の片面下流側に集塵部電極を設けた電場形成電極基板とを一定の間隔を開けながら交互に積層することを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の片面に集塵部電極を設けた集塵部電極基板を積層し、集塵部電極基板の積層間に任意の周期で規則的にイオン発生電極基板および電場形成電極基板を交互に挿入することを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項1乃至7いずれかに記載の集塵装置において、面状電極、放電電極、電場形成電極および集塵部電極が導電性インクを印刷することによって設けられることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項1乃至8いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の表面抵抗率が10の12〜16乗Ω/□であることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置において、表面抵抗率が10の12〜16乗Ω/□の膜を全体に設けることを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項1乃至10いずれかに記載の集塵装置において、集塵部電極を被覆するように体積抵抗率が10の12〜16乗Ω・cmの樹脂フィルムを電極基板の上に設けることを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項1乃至11いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の片面に設けた集塵部電極どうしの間で沿面を伝わって電流が流れる導電路がほぼないことを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項12記載の集塵装置において、電極基板の積層間の通気方向から見て左右両端にあたる部分に端部スペーサーを設け、通気方向から見て左右両端を除いた部分に設ける中間スペーサーの数が電極基板の通気方向と直交する方向の寸法100mmあたりに対して電極基板1枚につき2個以下であることを特徴とするものである。
【0026】
また、請求項1乃至13いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の厚さが0.5mm以上であることを特徴とするものである。
【0027】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の通気方向から見た左右両端のどちらかに面状電極、放電電極、電場形成電極、集塵部電極のそれぞれがない空白部を設けると同時に、電極基板の通気方向から見た左右両端に端部スペーサーを設け、集塵部電極と隣接しかつ通気方向から見て左右両端のどちらかに設けられた空白部が左右に交互に位置するようにイオン発生電極基板、電場形成電極基板、または集塵部電極基板を積層して形成された集塵装置の、通気方向から見た左右両側面にスリットを設け、スリットに導電塗料を流し込んだ後に電圧供給端子をスリットに差し込んで乾燥することを特徴とするものである。
【0028】
また、請求項1乃至15いずれかに記載の集塵部を備えた集塵装置において、端部スペーサーに隣接する空間への通気を遮る通気防止部を設けることを特徴とするものである。
【0029】
また、請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とするものである。
【0030】
また、請求項17記載の集塵装置において、抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナに銀成分を固定化したものであることを特徴とするものである。
【0031】
また、請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とするものである。
【0032】
また、請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置において、集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とするものである。
【0033】
また、請求項20記載の集塵装置において、抗ウイルス剤がフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とするものである。
【0034】
また、請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置において、集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とするものである。
【0035】
また、請求項22記載の集塵装置において、抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とするものである。
【0036】
また、請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置において、抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とするものである。
【0037】
また、本発明の空調装置は請求項25に記載したとおり、請求項1乃至24いずれかに記載の集塵装置を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、荷電部の放電電極および面状誘電体の破損がないため常に安定した動作を行うことができ、また、荷電部の構造が簡単なため荷電部の作成コストを低減することができ、また、荷電部の電場を最適化して効率よく粉塵を帯電するため高い集塵性能を有し、また、荷電部と集塵部とを簡単な構造で一体化しているため集塵装置全体の作成コストを低減することができ、また、電極板どうしの絶縁を確保して常に電圧を印加し高い集塵性能を維持することができ、また、集塵部の静電容量が小さいため電圧の上げ下げを短時間で行うことができ、また、人体に疾病を誘引する物質を集塵部で捕集しかつ不活化させることができる集塵装置およびその集塵装置を搭載した空調装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の集塵装置は上記目的を達成するために、面状誘電体を挟むように面状誘電体の裏表それぞれの面に面状電極と放電電極とを設けたイオン発生電極と、イオン発生電極の放電電極が設けられた面と対向するように一定の間隔を開けて面状電極と同電位である電場形成電極を設け、面状電極および電場形成電極と放電電極との間に直交流重畳電圧を印加する荷電部を備え、集塵部電極を一定の間隔を開けながら積層して集塵部電極に積層した順番に交互に異なる電圧が印加された集塵部を荷電部の下流側に備えることを特徴とするものである。従来の荷電部は放電線電極を対向電極の間に3次元的に宙に浮かした構造であるため、放電線電極は全体で放電することができ、断面における360度全ての周囲に向けてイオンを放出することができる。そのため粉塵を帯電する性能が高いという特徴があるが、反面放電線電極が切断して破損し、粉塵を帯電できなくなるということがその構造上起こりうる。それに対して、特許文献2に記載されているような面状誘電体の表面に放電電極を設けた荷電部は、放電電極が面状誘電体の面で支えられているため放電線電極のように切断を起こすことがないが、放電電極が面状誘電体と接しているため放電を起こしにくく、また、放電イオンを放出することができるのは放電電極の表面側180度の領域に限られている。このような理由から放電電極に直流電圧を印加しても粉塵を帯電することがほとんどできない。そこで特許文献2に記載されている荷電部は直流電圧と交流電圧をかけ合わせた直交流重畳電圧を応用することで粉塵を帯電する工夫がなされているが、放電によって発生したイオンが荷電空間全体に円滑に拡散移動する構造および電圧の印加方法となっていない。その結果粉塵を帯電する性能が低く、現実的に集塵装置の荷電部として広く応用するまでにいたっていない。本発明の集塵装置における荷電部は面状誘電体の表面に放電電極を設けることで放電電極の破損のない構造とすると同時に、構造および電圧の印加方法を最適化することで粉塵を帯電する性能を向上させ高い集塵性能を得ることができる。イオン発生電極において、放電電極は面上誘電体の片側の表面上に設けられており、その形状は例えば線状、梯子状もしくは棘状など放電を起こして空間にイオンを発生させるものとなっている。また、面状電極は面状誘電体のもう一方の面上に設けられており、その形状は放電電極が放電を起こしてイオンを発生できるのであればその形状を限定するものではない。そしてイオン発生電極の放電電極が設けられた面と対向する位置に、一定の間隔を開けて電場形成電極を設ける。ここでこの間隔は放電電極と電場形成電極がアーク放電を起こさないだけの大きさ以上とし、イオン発生電極と電場形成電極との間に設けられた空間は通過する粉塵を帯電させるための荷電空間となる。また、電場形成電極は粉塵を帯電させることができるのであればその形状を限定するものではない。イオン発生電極に設けられた放電電極と面状電極との間に直流電圧と交流電圧とをかけ合わせた直交流重畳電圧を印加することで両電極の間、すなわち面状誘電体の表面もしくは内部で振動するように電荷の上下移動が起こる。そして面状誘電体の放電電極と接触する部分に存在する電荷が放電電極と連続的に衝突し、その衝撃によって電子が放電電極近傍の空間に放出される。放出された電子は高いエネルギー、すなわち速度を有しているため、放電電極近傍の空間中に存在する空気分子と衝突し、空気分子をプラスイオンと電子に電離させる。電離した電子は他の空気分子と結合してマイナスイオンとなるが、放電電極と電場形成電極との間に設けられた電場の向きに応じてプラスイオンもしくはマイナスイオンのどちらか一方が放電電極に吸収され、他方のイオンが荷電空間に向けて加速されて拡散移動する。ここで放電電極の周りにイオンが数多く存在するとイオン同士が移動を妨げ、イオンの荷電空間への円滑な拡散移動を阻害する要因となるが、放電電極と電場形成電極との間に直交流重畳電圧を印加することで時間軸によって波のように加速度が変化する電場を荷電空間に設ける。波のように振幅を持って変化する加速度を設けることによって常に荷電空間へ向けた移動力をイオンに与え、イオンの荷電空間への拡散を円滑に行うことができる。このようにイオンが荷電空間へ向けて円滑に加速されて荷電空間の全体に拡散移動するため、荷電空間を通過する粉塵はイオンと接触して漏れなく帯電されることになる。荷電部の下流側には、集塵部電極を一定の間隔を開けながら積層して集塵部電極に積層した順番に交互に異なる電圧が印加された集塵部が設けられており、帯電した粉塵は集塵部の電場によって集塵部に捕集される。このように放電電極は面状誘電体の上に2次元的に設けられており、線状の放電電極を宙に浮かすように3次元的に設ける必要がないため線切れなどによる破損を起こさない。また、放電電極は面状誘電体と接触しているため放電を起こしにくい構造となっているが、上記のように荷電部の構造および印加する電圧を工夫し最適化することによって粉塵をもらさず帯電させ、高い集塵性能を得ることが可能となっている。
【0040】
また、請求項1記載の集塵装置において、面状電極を被覆するようにイオン発生電極を電極基板の両面に設け、電極基板と電場形成電極とを一定の間隔で交互に積層した荷電部を備えることを特徴とするものである。電極基板の材質は樹脂やセラミックなどの絶縁性と強度を有するものが望ましい。電極基板の両面に、面状電極が設けられた面と貼り合わせるようにイオン発生電極を設けることで面状電極を電極基板と面状誘電体とによって被覆する構造となり、面状誘電体の沿面を伝わって起こりうる放電電極と面状電極との異常放電を防ぐことが可能となる。このような構造とするために、面状電極の寸法は面状誘電体や電極基板よりも一回り小さいことが望ましい。また、両面にイオン発生電極を設けた電極基板と電場形成電極とを一定の間隔を開けて交互に積層することで、イオンを円滑に拡散移動させて粉塵をもらさず帯電させる荷電空間を、集塵装置の寸法に合わせて任意に無駄無く作り出すことが可能となる。
【0041】
また、請求項1または2記載の集塵装置において、面状誘電体が10の12〜16乗Ω・cmの体積抵抗率を有することを特徴とするものである。面状誘電体の体積抵抗率が10の11乗Ω・cm以下となると放電電極と面状電極との間に印加する直交流重畳電圧によって流れる電流が一般的な高圧電源の電源容量を超えるほどに大きくなってしまい、安定的な集塵装置の運転が困難となる。また、面状誘電体の体積抵抗率が10の16乗Ω・cmを超えると放電電極と面状電極との間に印加する直交流重畳電圧によって面状誘電体の内部もしくは表面を移動する電荷の量が小さくなり、粉塵を帯電させるためのイオンの発生量が小さくなる。面状誘電体の体積抵抗率を10の12〜16乗Ω・cmの範囲とすることで絶縁性能と集塵性能とを両立することが可能となり、安定した動作を有する集塵装置を簡単に得ることが可能となる。また、この範囲の体積抵抗率を有するものとしては、樹脂であれば例としてポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン6、ナイロン12もしくはポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。
【0042】
また、請求項1乃至3いずれかに記載の集塵装置において、面状誘電体が厚さ0.2mm以下の樹脂フィルムであることを特徴とするものである。面状誘電体の厚さは薄ければ薄いほどイオンを作り出すための放電を起こす電圧を下げることができ、高圧電源のコストや高電圧に伴う煩雑性を省くことにつながる。面状誘電体の厚さを0.2mm以下とすることで、放電を起こすために必要な電圧をある一定以下の値に抑えることができる。また、面状誘電体に樹脂フィルムを用いることによって0.2mm以下の薄さを容易に実現でき、また可撓性を有するため変形による破損がないという特徴が得られる。
【0043】
また、請求項1乃至4いずれかに記載の集塵装置において、放電電極をアースに接続し、面状電極および電場形成電極に直交流重畳電圧を印加することを特徴とするものである。放電電極と面状電極および電場形成電極とのどちらをアースに接続しても、もしくはどちらに直交流重畳電圧を印加しても高い集塵性能を得ることが可能であるが、放電電極をアースに接続し、面状電極および電場形成電極に直交流重畳電圧を印加することでより高い集塵性能を得ることができる。これは基本的に線状であり幅の狭い放電電極に直交流重畳電圧を印加するよりも、より幅の広い面状電極および電場形成電極に直交流重畳電圧を印加したほうがイオンを荷電空間に加速させるための電場を荷電空間の通気方向における前後において幅広く形成することができるためである。
【0044】
また、請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の両面上流側に面状電極、面状誘電体、放電電極とを備えたイオン発生電極を、また、同じ電極基板の片面下流側に集塵部電極を設けたイオン発生電極基板と、電極基板の両面上流側に電場形成電極を、また、同じ電極基板の片面下流側に集塵部電極を設けた電場形成電極基板とを一定の間隔を開けながら交互に積層することを特徴とするものである。荷電部を形成するイオン発生電極と電場形成電極は自動的に対向する位置となり、イオン発生電極と電場形成電極の間に荷電空間が形成され、荷電空間を通過する粉塵を漏れなく帯電させる。荷電部の下流側には一定の間隔を開けて集塵部電極が積層されて設けられた集塵空間を備える集塵部が自動的に設けられることになり、集塵部電極に交互に異なる電圧を印加することによって集塵空間には電場が設けられ、荷電部で帯電した粉塵は集塵空間に導入されて集塵空間の電場の力を受けて集塵部電極もしくは集塵部電極が設けられた電極基板の上に捕集される。このように荷電部を構成するイオン発生電極と集塵部電極とが一体化したイオン発生電極基板および電場形成電極と集塵部電極とが一体化した電場形成電極基板とを一定の間隔を開けて交互に積層するだけで、放電電極の破損がなくかつ漏れなく粉塵を帯電することが可能な荷電部と、帯電した粉塵を捕集する集塵部とを一体化することができるため、高性能な集塵装置を簡単に得ることができる。ここで放電電極と電場形成電極とがアーク放電を起こさないために、イオン発生電極基板と電場形成電極基板との間隔を一定以上開けるか、もしくは放電電極もしくは電場形成電極の表面に絶縁を確保するための絶縁皮膜を設ける必要がある。
【0045】
また、請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の片面に集塵部電極を設けた集塵部電極基板を積層し、集塵部電極基板の積層間に任意の周期で規則的にイオン発生電極基板および電場形成電極基板を交互に挿入することを特徴とするものである。集塵部電極基板は上流側に荷電部を形成するためのイオン発生電極もしくは電場形成電極が設けられていないため、イオン発生電極基板および電場形成電極基板と比べて通気方向の寸法が荷電部の分だけ小さくなっている。集塵部電極基板を一定の間隔を開けて積層し、集塵部電極基板を積層する過程においてある一定の積層周期でイオン発生電極基板および電場形成電極を集塵部電極基板の代わりに交互に挿入する。このように積層することで集塵部電極の積層間隔を小さく保ったまま放電電極と電場形成電極とでアーク放電を起こさないだけの大きさを有する荷電空間を確保し、かつ荷電部および集塵部が一体化した構造を得ることができるため、高い集塵性能を有した集塵装置を容易に得ることができる。
【0046】
また、請求項1乃至7いずれかに記載の集塵装置において、面状電極、放電電極、電場形成電極および集塵部電極が導電性インクを印刷することによって設けられることを特徴とするものである。導電性インクをスクリーン印刷などで電極基板上に印刷することで、高い寸法精度を有しながら各電極を電極基板上に簡単に設けることができる。また、ある程度大きい電極基板に一括して印刷を行い、その後電極基板をカットすることでイオン発生電極基板や電場形成電極基板、集塵部電極基板を一度に大量に得ることができる。
【0047】
また、請求項1乃至8いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の表面抵抗率が10の12〜16乗Ω/□であることを特徴とするものである。集塵部電極が設けられた電極基板の特に裏側の表面が帯電すると、集塵部電極に印加した電圧に相当する量の電荷が現れずに集塵性能を低下させるという課題があるが、電極基板の表面抵抗率を10の12乗Ω・cm以上16乗Ω・cm以下とすることで放電電極と集塵部電極、電場形成電極と集塵部電極、もしくは集塵部電極どうしの絶縁を確保しながら電極基板の表面に電荷を僅かに通す性質を持たせることが可能となる。このようにすることで集塵部電極に印加した電圧に相当する量の電荷を集塵部電極が設けられた部分の電極基板の表面全体に与え、集塵部電極に印加した電圧に相当する電場を形成することが可能となり、電極基板の帯電による集塵性能の低下を解消して高い集塵性能を得ることが可能となる。具体的な方法は10の12〜16乗Ω・cmの体積抵抗率を有する材質のものを電極基板に用いることであり、例として塩化ビニルや塩化ビニリデン、ナイロンもしくはポリフッ化ビニリデンなどを電極基板として用いる、もしくは塩化ビニルや塩化ビニリデン、ナイロン、もしくはポリフッ化ビニリデンなどといった半導電性を有する樹脂とポリプロピレンやポリエステル、ポリスチレン、ABSなどの絶縁性樹脂とをブレンドして共重合させたコポリマー樹脂を電極基板として用いることが挙げられる。また別の例としては、ゼオライトなどのシラノール基を有する無機成分や酸化亜鉛などの金属酸化物といった半導電性を有する材料を前述した絶縁性樹脂に混ぜて成型したものを電極基板として用いることが挙げられる。また、10の12〜16乗Ω/□の表面抵抗率を有する皮膜を電極基板の表面全体に設けることも具体的な方法であり、例としてポリビニルアルコールやポリアクリル酸ナトリウム、アミロースといった吸水性ポリマーやフタル酸エステルなどのイオン導電性樹脂、もしくは酸化亜鉛などの金属酸化物といった半導電性を有する成分を含有する半導電性塗料を電極基板の表面全体に塗布して乾燥することで、10の12〜16乗Ω/□の表面抵抗率を有する半導電性膜を得る方法が挙げられる。
【0048】
また、請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置において、表面抵抗率が10の12〜16乗Ω/□の膜を全体に設けることを特徴とするものである。電極基板に電極を設けて積層した後、前述したような半導電性塗料をスプレーで集塵装置全体に吹き付ける、もしくは半導電性塗料に集塵装置全体を浸漬した後に乾燥することで集塵装置全体に表面抵抗率が10の12〜16乗Ω/□の膜を簡単に設けることができるため、前述したような電極基板の帯電による集塵効率の低下を防止することが可能な集塵装置を簡単に得ることができる。
【0049】
また、請求項1乃至10いずれかに記載の集塵装置において、集塵部電極を被覆するように体積抵抗率が10の12〜16乗Ω・cmの樹脂フィルムを電極基板の上に設けることを特徴とするものである。通過する空気が高い湿度を有する場合や集塵装置がひどく汚れた場合、電極基板の表面抵抗率が大幅に低下し、電荷が沿面を伝わることで放電電極と集塵部電極、または電場形成電極と集塵部電極、または集塵部電極どうしが絶縁不良を起こし、電圧が印加できなくなることが起こりうる。集塵部電極を被覆するように体積抵抗率が10の12〜16乗Ω・cmの樹脂フィルムを電極基板の上に設けることによって沿面を伝わる導電路を遮断し絶縁不良を防止することができるため、いかなる状況においても電極どうしの絶縁を確保し、同時に電極基板の帯電による集塵効率の低下を防止することができる。
【0050】
また、請求項1乃至11いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の片面に設けた集塵部電極どうしの間で沿面を伝わって電流が流れる導電路がほぼないことを特徴とするものである。具体的な一例としては請求項13に記載したように、電極基板の積層間の通気方向から見て左右両端にあたる部分に端部スペーサーを設け、通気方向から見て左右両端を除いた部分に設ける中間スペーサーの数が電極基板の通気方向と直交する方向の寸法100mmあたりに対して電極基板1枚につき2個以下とするものが挙げられる。ここで電極基板の下流側の縁部分および集塵部電極の上流側の縁と接する部分の電極基板に電極のない空白部を設け、この空白部分の上に中間スペーサーを設けることが望ましい。そして中間スペーサーの数を電極基板の通気方向と直交する方向の寸法100mmあたりに対して電極基板1枚につき2個以下、望ましくは0個とすることでとすることで放電電極と集塵部電極、電場形成電極と集塵部電極、もしくは集塵部電極どうしの間の導電路をほぼなくすことができる。導電路がほぼないため電極基板の表面を伝わって流れるリーク電流を極小にすることができ、集塵部が汚れたり湿度が高くなったりして電極基板や中間スペーサーの表面の抵抗率が低下しても放電電極や電場形成電極、集塵電極に安定して電圧を印加することができる。また、中間スペーサーの数が多くなると集塵部電極から中間スペーサーを介して、積層する上または下に位置する別の電極基板の表面全体に集塵部の電場を弱める電荷が伝わり、集塵性能を低下させる要因となる。中間スペーサーを最小限の数とすることによって電場を弱める電荷が電極基板の表面に伝わる領域を最小限に限定することを可能とし、高い集塵性能を確保することができる。また、電極基板の表面に集塵部の電場を弱める電荷が存在する領域が大きくなると、電荷を蓄積する面積が大きくなるため集塵部の静電容量が増大する。集塵部の静電容量が増大すると集塵部電極に所定の電圧を印加する際に余分な電荷を充電することになり、高圧電源の出力容量を超えて電圧が印加できなくなるという課題があるが、中間スペーサーの数を最小限にすることで電極基板の表面に集塵部の電場を弱める電荷が伝わる領域を最小限に限定することを可能とし、静電容量が増大することを防ぐことができる。
【0051】
また、請求項1乃至13いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の厚さが0.5mm以上であることを特徴とするものである。中間スペーサーの数を減らすためには電極基板の撓みを小さくすることが必要であり、電極基板の厚みを0.5mm以上にすることで撓みを小さくするための強度が確保できる。
【0052】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、電極基板の通気方向から見た左右両端のどちらかに面状電極、放電電極、電場形成電極、集塵部電極のそれぞれがない空白部を設けると同時に、電極基板の通気方向から見た左右両端に端部スペーサーを設け、集塵部電極と隣接しかつ通気方向から見て左右両端のどちらかに設けられた空白部が左右に交互に位置するようにイオン発生電極基板、電場形成電極基板、または集塵部電極基板を積層して形成された集塵装置の、通気方向から見た左右両側面にスリットを設け、スリットに導電塗料を流し込んだ後に電圧供給端子をスリットに差し込んで乾燥することを特徴とするものである。集塵装置の通気方向から見た左右側面にスリットを設けて導電塗料を流し込んだ後に電圧供給端子をスリットに差し込んで乾燥することで、複数枚積層された電極基板の上に設けられた複数個の電極を電極の種類ごとに一括して導通させ、電圧供給端子に高圧電源を接続することで電極の種類ごとに同じ電圧を印加することができる。また、印加する電圧が同じ電極どうしを導通させるように電極基板上に電極を設けることによって、スリットおよび電圧供給端子を印加したい電圧の種類だけにすることが可能であり、例えば面状電極、電場形成電極および1枚おきの集塵部電極に直交流重畳電圧を、放電電極および残った1枚おきの集塵部電極に0kVを印加する場合は、電極基板上で各印加電圧に対応する電極どうしが導通するように設けられているという条件ではスリットおよび電圧供給端子はそれぞれ2個ずつでよい。別の例として面状電極および電場形成電極に直交流重畳電圧を、放電電極および集塵部の1枚おきに0kVを、集塵部の残った一枚おきに直流電圧を印加する場合、電極基板上で各印加電圧に対応する電極どうしが導通するように設けられているという条件においてスリットおよび電圧供給端子はそれぞれ3個ずつ設けられる。
【0053】
また、請求項1乃至15いずれかに記載の集塵部を備えた集塵装置において、端部スペーサーに隣接する空間への通気を遮る通気防止部を設けることを特徴とするものである。端部スペーサーに導電成分を含む粉塵が付着すると、端部スペーサーが導電路となり、異なる電圧が印加された電極どうしの絶縁を損なう可能性がある。積層した電極基板の間に設けられた空間の端部スペーサーに隣接する部分への通気を遮るために、端部スペーサーの上流側および下流側に通気防止部を設けることにより、端部スペーサーへの粉塵の付着を防止し、端部スペーサーが導電路となることを防ぐことができる。
【0054】
また、請求項1乃至16何れかに記載の集塵装置において、集塵部に、抗菌作用を有する抗菌剤、抗黴作用を有する抗黴剤、ウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤、もしくはアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤をそれぞれ添着もしくは全て一括して添着して固定化することを特徴とするものである。抗菌剤として例えばチタニアもしくはシリカアルミナの微細粒子に銀成分を固定化したものを用いることで、抗菌作用を有する銀成分を均一に抗菌剤の中で分散することができ、集塵部に均一に添着することができるという作用を有する。また例えばチアベンダゾールを主成分とした抗黴剤を用いることで、真菌に分類される黴類の繁殖を抑制することができる。また例えばエピカテキンガレートのようにフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類を抗ウイルス剤として用いることで、ウイルスの外皮であるエンベローブやエンベローブ表面に存在するスパイクを包み込んで細胞への感染作用を抑制することで増殖を防ぐことができる。また例えばフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物などを抗アレルゲン剤として用いることで、フェノール性水酸基がアレルゲンを包み込み、アレルゲンの持つ特異結合部を無効化してアレルギーを引き起こす要因となる抗体生成体との特異結合を抑制することができる。これらの薬剤を集塵部1に添着して固定化することにより、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ集塵部において不活化させることができる。
【0055】
また、本発明の空調装置は請求項25に記載したとおり、請求項1乃至24いずれかに記載の集塵装置を備えることを特徴とするものである。例えば空調装置の熱交換器の前に請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置を設けることによって、空調装置に放電電極が破損して機能が停止することが無く、簡単に安定して高い空気清浄機能を持たせることができる。
【0056】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0057】
(実施の形態1)
イオン発生電極基板1の上面図を図1に、上面図に対する裏面図を図2に、図1の右側面図を図3に、図1のC−D断面線における断面図を図4に示す。電極基板2の片面上流側表面に面状電極3を、片面下流側表面に集塵部電極4を設け、面状電極3および集塵部電極4を被覆するように10の12〜16乗Ω・cmの体積抵抗率を有する樹脂フィルム5を設けており、樹脂フィルムの面状電極3を被覆する部位を面状誘電体6として用いている。面状誘電体6の上には2次元的に直線状の放電電極7が設けられている。図2に示すように電極基板2の裏面上流側にも面状電極3、面状誘電体6、放電電極7が設けられており、その結果裏表どちらの面からもイオンを発生できる構造となっている。ここで放電電極7は放電してイオンを空間に放出することができればどのような形状でもよく、別形態のイオン発生電極基板1の上面図である図5に示すような梯子状または図6に示すような棘を有する形状であっても同様の効果を得ることができる。また、別形態のイオン発生電極基板1の上面図である図7に示すように、中央部をなくした面状電極3を設けて面状誘電体6の上の面状電極3中央部分にあたる部分に放電電極7を設けるというように面状電極3と放電電極7が直近で位置しない工夫をすれば、直交流重畳電圧を印加した時の放電電流を抑制し、高圧電源に投入するエネルギーを少なくすることができる。
【0058】
また、電場形成電極基板8の上面図を図8に、上面図に対する裏面図を図9に、図8の右側面図を図10に、図8のE−F断面線における断面図を図11に示す。電極基板2の片面下流側表面に集塵部電極4を設け、集塵部電極4を被覆するように樹脂フィルム5を設ける。そして樹脂フィルムの上流側表面上に電場形成電極9が設けられている。図9に示すように電極基板2の裏面上流側にも電場形成電極9が設けられており、上流側の両面ともイオン発生電極基板1の放電電極7から発生したイオンを加速させ、粉塵を帯電させる機能を有している。
【0059】
また、集塵部電極基板10の上面図を図12および図13に、上面図に対する裏面図を図14に、図12の右側面図を図15に、そして図12のG−H断面図を図16に示す。集塵部電極基板10はイオン発生電極基板1および電場形成電極基板8の集塵部電極4が設けられた部分と同じ構造であり、電極基板2の片面に集塵部電極4を設け、集塵部電極4を被覆するようにその上に樹脂フィルム5を設けた構造となっている。図13は図12に示す集塵部電極基板10の向きを上下に180度変えたものであり、図12および図13に示した集塵部電極基板10は交互に積層される。これはそれぞれが有する集塵部電極4に異なる電圧を印加することができるよう、積層する時に集塵部電極4の位置を異なるものにするためである。
【0060】
また、面状電極3、放電電極7、電場形成電極9、集塵部電極4といった各電極は、電極基板2や面状誘電体6もしくは樹脂フィルム5にアルミ箔等導電体の薄い板を貼り付けたり、カーボンや金属粒子を含んだ導電インキをスクリーン印刷などで印刷するといった方法で実装することができる。また、面状誘電体6もしくは樹脂フィルム5は電極基板2および各電極と密着して設けることが望ましい。具体的には各電極を実装した電極基板2に接着剤を塗布してその上に面状誘電体6もしくは樹脂フィルム5を隙間無く貼り付けたり、面状誘電体6もしくは樹脂フィルム5の表面を溶かして電極基板2に貼り付けるといった方法が挙げられる。面状誘電体6もしくは樹脂フィルム5は10の12〜16乗Ω・cmの体積抵抗率を有する樹脂製のフィルムであり、例としてポリ塩化ビニル、ナイロン6、ナイロン12、ポリエステルといった樹脂が挙げられる。
【0061】
また、イオン発生電極基板1、電場形成電極基板8および集塵部電極基板10の裏面には図2、図9、図14に示すとおり端部スペーサー11と中間スペーサー12がそれぞれ設けられている。端部スペーサー11は図2、図9、図14において電極基板2の上下の端部に設けられているが、積層するときに端部で電極基板2を支えて空間を設けるための強度を得るために電極基板2の厚みを0.5mm以上とすることが望ましい。また、端部スペーサー11の空間隣接部13に導電成分を含む粉塵が付着して導通路とならないようにするために通気防止部14が設けられている。中間スペーサー12の数は0個であることが望ましいが、端部スペーサー11のみで空間を設けるように電極基板2を支えることが難しい場合、図2、図9、図14に示す電極基板2の上下において通気方向15の前後の位置合わせて100mmあたり合計2個以下とすることで導通路を極力なくす構造とすることができる。
【0062】
また、イオン発生電極基板1、電場形成電極基板8および集塵部電極基板10を示すこれらの図には電圧供給端子16を差し込むためにスリット17が記載されているが、あらかじめ設けていなくとも積層して固定した後に集塵装置の左右から一括してスリットを設けるといった順番でもよい。
【0063】
各電極基板を任意に積層する一例を図17に示す。図17では1枚の電場形成電極基板8の上に集塵部電極基板10を2枚積層し、その上にイオン発生電極基板1を1枚積層、そしてその上に集塵部電極基板10を2枚積層し、これを繰り返すという順番で任意に積層している。この時各電極基板に設けられた集塵部電極4には積層する一枚おきに交互に異なる電圧が印加されるよう、通気方向から見た左右において1枚おきに向きが異なるように配置されている。そして図18に示すようにイオン発生電極基板1、電場形成電極基板8および集塵部電極基板10を端部スペーサー11および中間スペーサー12で空間を設けながら積層し、スリット17に導電塗料を流し込んで電圧供給端子16を差込んだ後乾燥させることで面状電極3どうし、放電電極7どうし、電場形成電極9どうし、集塵部電極4の1枚おきどうしを一括して導通させることができ、また、電圧供給端子16に高圧電源を接続することで各電極に所定の電圧を印加することができる。
【0064】
ここで本発明の集塵装置の集塵性能を確認するために以下ような試験を行った。図24に示すような開口寸法縦50mm×横100mmの試験ダクト18を作成し、集塵装置を試験ダクト18の中央に設置した。試験ダクト18の上流側には送風機19が設けられており、集塵装置に通風することが可能となっている。試験ダクト内の集塵装置上流側および下流側にサンプリングチューブを設置し、パーティクルカウンターに接続して集塵部上流側と下流側における空気中の粉塵個数濃度を測定した。そして以下の算出式で集塵効率を求めた。
【0065】
η=(1―Cout/Cin)×100%
ここでηは集塵効率、Cinは集塵装置上流側の粉塵個数濃度、Coutは集塵装置下流側の粉塵個数濃度である。粉塵の粒径は0.1μm以上のものを計測した。ここで実験に用いた各集塵装置は以下のとおりである。実施例として用いた集塵装置は通気方向においてイオン発生電極基板1を4枚、電場形成電極基板8を5枚、集塵部電極基板10を16枚の合計25枚を積層して作成した。電場形成電極基板8の上に集塵部電極基板10を2枚積層し、その上にイオン発生電極基板1を1枚積層、その上に集塵部電極基板10を2枚積層するという順番である。電極基板2および各電極基板の裏面に設けられた電極基板2、端部スペーサー11および中間スペーサー12の厚さは全て1mmである。イオン発生電極基板1の放電電極7と電場形成電極基板8の電場形成電極9は互いに対向する位置に設けられており、両者の間には5mmの間隔を有する荷電空間が設けられている。集塵装置の集塵部にあたる区域においては電極基板2の積層間隔は端部スペーサー11および中間スペーサー12の厚みに相当するため1mmであり、これが集塵部空間の積層方向の大きさとなっている。電極基板2は材質として全てABS樹脂を用い、イオン発生電極基板1および電場形成電極基板8に用いた電極基板2の寸法は通気方向に対して左右99mm、前後40mmとなっており、前後寸法40mmのうち、上流側10mmの区間を荷電部として、下流側30mmの区間を集塵部に割当てている。イオン発生電極基板1の面状電極3の寸法は通気方向に対して左右88mm、前後5mmとなっており、通気方向15に対する前後の位置として荷電部区間10mmの中央に設けられている。下流側30mmの区間に設けられた集塵部電極4の寸法は通気方向15に対して左右88mm、前後20mmとなっており、通気方向15に対する前後の位置として集塵部区間30mmの中央に設けられている。面状電極3および集塵部電極4を設けた電極基板2の全面に面状誘電体6として0.1mm厚のポリ塩化ビニル製の樹脂フィルム5を設け、面状電極3の中央に沿った位置にあたる面状誘電体6の表面上に放電電極7を設けている。電場形成電極基板8の下流側30mmの区間に設けられた集塵部電極4の寸法はイオン発生電極基板1と同様に通気方向15に対して左右88mm、前後20mmとなっており、通気方向15に対する前後の位置として集塵部区間30mmの中央に設けられている。集塵部電極4を設けた後にポリ塩化ビニル製の樹脂フィルム5を電極基板2の全面に設け、樹脂フィルム5の上の、通気方向15に対する前後の位置として荷電部区間10mmの中央の位置に電場形成電極9を設けている。電場形成電極9の寸法は通気方向に対して左右88mm、前後5mmとなっている。集塵部電極基板10の集塵部電極4に用いた電極基板2の寸法は通気方向15に対して左右99mm、前後30mmとなっており、前後寸法30mm全てを集塵部の区域として用いている。集塵部電極4の寸法は通気方向15に対して左右88mm、前後20mmとなっており、通気方向15に対する前後の位置として電極基板2の有する寸法30mmの中央に設けられている。そして集塵部電極4を設けた電極基板2の全面に10の12〜16乗Ω・cmの体積抵抗率を有する樹脂フィルム5として0.1mm厚のポリ塩化ビニル製の樹脂フィルム5を設けている。実施例に用いた集塵装置は、カーボンインキを電極基板2および面状誘電体6もしくは樹脂フィルム5の上にスクリーン印刷し乾燥することで各電極を実装し、その上にホットメルト接着インキをスクリーン印刷によって塗布乾燥させ、ホットメルト接着インキを熱で溶かしながら面状誘電体6もしくは樹脂フィルム5を電極基板2の上に貼り付けるといった方法で作成している。また、端部スペーサー11および中間スペーサー12もしくは各電極基板の表面に更にホットメルト接着インキが印刷されており、積層した各電極基板どうしの接着も実現している。具体的には端部スペーサー11および中間スペーサー12が設けられた各電極基板を積層して固定ジグなどで固定した後、積層面に設けられたホットメルト接着インキが溶け出す温度雰囲気に静置する。その後常温に戻すことで端部スペーサー11および中間スペーサー12と電極基板2との積層面をホットメルト接着剤で接着している。したがって各電極基板どうしは接着によって固定されており、実施例として作成した集塵装置は高い強度を有した構造となっている。また、実施例に用いた集塵装置には電極基板2の帯電による集塵効率の低下を防ぐために全体を吸水性ポリマーのアルコール溶液でスプレーコーティングした後に乾燥させており、集塵装置全体に図には示していないが半導電性となる吸水性ポリマーの膜を設けることで電極基板2の帯電による集塵効率への悪影響をなくしている。試験においては集塵部電極4には直流3kVと0kVを1枚おきに印加した。荷電部にあたる区域の各電極には以下の2パターンの電圧印加方法を取った。1つは面状電極3、電場形成電極9に0kVを、放電電極7に直流3kV+交流4kVの直交流重畳電圧を、もう1つは面状電極3、電場形成電極9に前述の直交流重畳電圧を、放電電極7に0kVを印加する電圧印加方法である。前者を実施例1、後者を実施例2とした。ここで比較例として、図25に示すような放電線電極20と対向電極21を用いて両者にコロナ放電を起こすだけの直流電圧を印加した従来型の荷電部を用いた試験も行った。集塵部としては実施例の集塵装置の集塵部区域をそのまま用い、試験時には面状電極3、放電電極7、電場形成電極9に電圧を印加しなかった。この集塵部の上流側に前述した従来型の荷電部を設けた。これを比較例1とする。また、従来技術として記述した特許文献(特公平7−63032号公報)に記載された荷電部を再現するために、実施例の集塵装置に印加する電圧として、面状電極3に直流3kV+交流4kVの直交流重畳電圧を、放電電極7に直流3kVを、そして電場形成電極9に0kVを印加し、集塵部電極4に直流3kVと0kVを1枚おきに印加した場合も試験を行った。これを比較例2とする。各風速における集塵効率の測定結果を表1に示す。
【0066】
【表1】


【0067】
表1に示すとおり、比較例1の集塵装置においては風速1.5m/sにおいて集塵効率98.58と非常に高い値を示した。それに対して実施例1の集塵装置では74.01%と比較例1に及ばないとしてもある程度高い集塵効率が得られた。そして実施例2の集塵装置においては99.78%と比較例1を上回る集塵効率を得ることができた。実施例1および実施例2で集塵効率に差が出たのは、実施例1の集塵装置のように線状であり、通気方向における前後寸法の小さい放電電極7に直交流重畳電圧を印加するよりも、実施例2の集塵装置のように通気方向における前後寸法の大きい面状電極3および電場形成電極9に直交流重畳電圧印加するほうが荷電空間の電場の形成される領域が広くなり、粉塵を帯電しやすくなるためである。また、比較例2の集塵装置で得た集塵効率は19.17%であることから、粉塵を帯電させるための電場が最適に形成されていないことがわかる。実施例1、2、特に実施例2の集塵装置において粉塵を帯電させるための電場が最適に形成されているため高い集塵効率を得ることができた。今回の試験では特許文献2に記述されている高純度アルミナ磁器を面状誘電体6の材質として用いていないため材料による違いを評価できなかったが、高純度アルミナ磁器は製造に高温が必要で更に樹脂に比べて脆いため適用できるケースが限定される。本発明のように入手しやすく、かつ変形しても破損しない樹脂フィルムを面状誘電体6として用いた場合では集塵装置の構造を実施例1、2のとおりとすることで高い集塵効率を得ることが可能となることがわかった。
【0068】
実施例および比較例の集塵装置をまとめると以下のとおりとなる。比較例1の集塵装置の荷電部では放電線電極20が切断などによって破損する可能性があり、また、放電線電極20を宙に浮かすように対向電極21どうしの間に設けるといった複雑な構造を有する荷電部を集塵部とは別に設ける必要があるため、作成が困難でコストが増加するという課題を有する。実施例1および2の集塵装置は放電電極7が2次元的に面状誘電体6の上に設けられており、切断などによる破損の可能性がほとんどない。また、印刷などで電極基板2の上に各電極を簡単に実装することができ、そして各電極が設けられた電極基板2を積層するだけで荷電部と集塵部を一体的に設けることができるため、従来型と同等以上の集塵効率を有する集塵装置を低コストで簡単に作成することができるという特徴を有する。
【0069】
なお、本実施の形態における集塵装置には集塵部電極4を被覆するように塩化ビニル製の樹脂フィルム5を設けているが、10の12〜16乗Ω・cmの体積抵抗率を有するものであればその他の材質のものでも効果に差を生じることはなく、また、電極どうしの距離を離すなど異なる電圧が印加される電極どうしの絶縁が確保されているのであれば樹脂フィルム5は必ずしも必要ではなく、樹脂フィルム5が無い場合でも同様の効果が得られる。
【0070】
また、電極基板2の材質にABS樹脂を用いたが、強度と絶縁性を確保できるのであればその他の材質を用いても同様の効果が得られる。
【0071】
また、スプレーコーティングにより半導電性となる吸水性ポリマーの膜を集塵装置全体に設けているが、電極基板2の帯電による集塵効率の低下を防げるのであれば、他の方法や材料で表面抵抗率が10の12〜16乗Ω/cmの膜を設けても効果に差を生じない。
【0072】
本発明の実施の形態1の集塵装置をエアコン、空気調和機などの空調装置に備えることにより、空調装置に放電電極が破損して機能が停止することが無く、簡単に安定して高い空気清浄機能を持たせることができることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の集塵装置は高い集塵性能を得ることができ、また、放電電極が2次元形状であり切断などの破損を起こさないために常に安定して動作することができ、また、電極が実装された電極基板を積層するだけで荷電部と集塵部を一体化した構造が得られるため低コストかつ作成が容易であり、また、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集しかつ不活化させることができ、また水洗いなどの洗浄を行うことにより何度でも繰り返し使用することが可能であるという効果を有するため、室内ばかりでなく屋外での空気環境を向上させる用途としても有用である。
【0074】
また、本発明の集塵装置を備えた空調装置は、高い集塵性能を得ることができ、また、放電電極が2次元形状であり切断などの破損を起こさないために常に安定して動作することができ、また、電極が実装された電極基板を積層するだけで荷電部と集塵部を一体化した構造が得られるため低コストかつ作成が容易であり、また、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集しかつ不活化させることができ、また水洗いなどの洗浄を行うことにより何度でも繰り返し使用することが可能であるという効果を有する集塵装置を備えているため、室内の冷暖房および湿度制御といった空調を行いながら清浄化された室内空間を提供する用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態1に記載のイオン発生電極基板の上面を示す構成図
【図2】同イオン発生電極基板の裏面を示す構成図
【図3】同イオン発生電極基板の右側面を示す構成図
【図4】同イオン発生電極基板のA−A断面線による断面を示す構成図
【図5】同梯子形状の放電電極を用いたイオン発生電極基板の上面を示す構成図
【図6】同棘形状の放電電極を用いたイオン発生電極基板の上面を示す構成図
【図7】同中央部のない面状電極を用いたイオン発生電極基板の上面を示す構成図
【図8】同電場形成電極の上面を示す構成図
【図9】同電場形成電極の裏面を示す構成図
【図10】同電場形成電極の右側面を示す構成図
【図11】同電場形成電極のB−B断面線による断面を示す構成図
【図12】同集塵部電極基板の上面を示す構成図
【図13】同集塵部電極基板の上面を示す構成図
【図14】同集塵部電極基板の裏面を示す構成図
【図15】同集塵部電極基板の右側面を示す構成図
【図16】同集塵部電極基板のC−C断面線による断面を示す構成図
【図17】同各電極基板の積層方法の一例を示す図
【図18】同集塵装置の俯瞰を示す構成図
【図19】同集塵装置の下斜めからの視点による構成図
【図20】同集塵装置の正面を示す構成図
【図21】同集塵装置の右側面を示す構成図
【図22】同集塵装置の左側面を示す構成図
【図23】同集塵装置の中心線による断面を示す構成図
【図24】同試験装置を示す構成図
【図25】同試験に用いた従来型荷電部の構成図
【図26】特許文献1記載の従来の電気集塵式集塵装置の電極板を示す構成図
【図27】同電極板のA−B線における断面を示す構成図
【図28】同従来の電気集塵式集塵装置の集塵部を示す構成図
【図29】特許文献1記載の従来の電気集塵式集塵装置を示す構成図
【図30】特許文献2記載の従来の電気集塵式集塵装置の荷電部の分解図
【符号の説明】
【0076】
1 イオン発生電極基板
2 電極基板
3 面状電極
4 集塵部電極
5 樹脂フィルム
6 面状誘電体
7 放電電極
8 電場形成電極基板
9 電場形成電極
10 集塵部電極基板
11 端部スペーサー
12 中間スペーサー
13 空間隣接部
14 通気防止部
15 通気方向
16 電圧供給端子
17 スリット
18 試験ダクト
19 送風機
20 放電線電極
21 対向電極
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年9月7日(2006.9.7)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−62173(P2008−62173A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−242454(P2006−242454)