トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 高電圧制御回路及び集塵装置
【発明者】 【氏名】藤本 訓

【要約】 【課題】集塵極板1に印加する印加電圧する電圧を制御器で調整することでスパーク頻度を少なくする方法において、スパークの頻度を減らすことはできるが、完全にはスパークを防止することが難しい、という課題があった。

【構成】集塵極板1に流れる電流を電流検出抵抗3で検出する際に、コイル4で電流の変化を緩和させ、緩和した電流の変化率の比較、検出により、スパークの発生する兆候を捉え、スパークの発生する前に印加電圧を調整することで、スパークの発生を未然に防ぐことができる高電圧制御回路が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉塵を捕集する粉塵捕集手段と、前記粉塵捕集手段に印加する高電圧を生成する高電圧生成手段と、前記粉塵捕集手段へ流れる電流を検出する電流検出手段と、前記粉塵捕集手段に流れる電流の変化を緩やかにする電流変化緩和手段と、検出した電流の変化率を算出する電流変化率算出手段を備え、前記電流変化率算出手段により電流の急激な変化の兆候を捉え、電流が急激に変化する前に高電圧を制御することを特徴とする高電圧制御回路。
【請求項2】
電流変化緩和手段としてはインダクタンス(L)成分特性を持つことを特徴とする請求項1記載の高電圧制御回路。
【請求項3】
電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側に配置することを特徴とする請求項1または〜2に記載の高電圧制御回路。
【請求項4】
電流変化緩和手段を高電圧生成手段の出力側に配置することを特徴とする請求項1または2に記載の高電圧制御回路。
【請求項5】
電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側と出力側の両方に配置することを特徴とする請求項1または2に記載の高電圧制御回路。
【請求項6】
電流変化率算出手段としては一定時間内における電流変化の微分値を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高電圧制御回路。
【請求項7】
高電圧生成手段に入力する電圧を調整する入力電圧調整手段を備え、電流変化率がある閾値を超えた場合、入力調整手段により高電圧生成手段への入力電圧を調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高電圧制御回路。
【請求項8】
電流変化率の上昇により高電圧生成手段への入力電圧を下げた後、電流変化率が変化する直前まで徐々に出力電圧を上昇させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高電圧制御回路。
【請求項9】
入力電圧調整手段としては半導体素子を使用したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の高電圧制御回路。
【請求項10】
電流変化率と比較する閾値としては、粉塵捕集手段でスパークが発生するパターンに沿った値を設定することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の高電圧制御回路。
【請求項11】
入力電圧調整手段により入力電圧を上昇させる際は、高電圧生成手段の出力電圧が一定値に至るまでは電流変化率との比較を行なわないことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の高電圧制御回路。
【請求項12】
電圧生成手段による出力電圧がある一定範囲の間にあるときに限り、電流変化率との比較を行なうことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の高電圧制御回路。
【請求項13】
電流変化率との比較においてスパークが発生してしまった場合、電流変化率の設定閾値を下げることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の高電圧制御回路。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の高電圧制御回路を搭載した集塵装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、空調及び産業分野で大気塵、室内の粉塵、ほこりなどを集塵する電気集塵機負荷に印加する高電圧を制御する高電圧制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉塵を捕集する電気集塵機負荷は2枚の金属極板が並列に配置された状態で構成されており、片方の極板に正の電圧または負の電圧を印加し、残りの極板を接地する。この状態で極板間に高電圧を印加すると、両極板間にコロナ電界が形成されコロナ電流が流れる。そのコロナ電界内を粉塵が通過すると、コロナ電界内を移動する電子と粉塵が衝突することで粉塵が電荷を帯びる。電荷を帯びた粉塵は極板間の電界の力を受け極板に吸い寄せられ付着し、粉塵は除去される。
【0003】
極板間に高電圧が印加されている状態では、極板間内の絶縁が破壊されると火花放電(以下スパーク)が発生する。極板間内で絶縁破壊が起こる理由としては、極板間中を導体性粉塵が通過する際、極板間と導体性粉塵間の絶縁距離が確保できなくなる、集塵極板間に粉塵が体積して極板間同士の絶縁距離が短くなる、集塵極板間を洗浄することで極板間の絶縁性能が低下する、といったことが挙げられる。
【0004】
スパークが発生する瞬間は、スパーク発生部分において短絡状態となり大電流が流れるため、この瞬間は集塵極板間に印加される電圧は0Vとなる。印加電圧が0Vとなるため集塵機能は作用せず、集塵効率は0%となる。よってスパークが頻発すると集塵されていない時間が多くなり、集塵効率は著しく低下する結果となる。さらにスパークが発生する際、集塵極板自体がスパークの衝撃で振動する。その時の振動により、電界の力で捕集した粉塵が集塵極板から飛散してしまう再飛散、という現象が発生する。スパークが発生すると再飛散により粉塵が再度外に出てしまうことで集塵効率はさらに低下することになる。
【0005】
従来、このようなスパークに関する制御としては、図2と図3に示すような制御方法がある。
【0006】
制御回路はパルス電源101、スパーク検出回路102、直流ベース電源103、制御器104、集塵負荷105で構成されている。スパーク検出回路102にて検出したスパークの発生回数を制御器104にてカウントする。スパーク発生回数が一定時間において設定回数以下ならば、集塵効率への影響は無いと判断し、集塵負荷への印加電圧は直流ベース電源を制御することで最適な電圧に制御する。スパークの発生回数が設定値以上になるとスパーク頻発時制御に切替え、パルス電源101から供給されるパルス電圧を下限設定値に設定し、かつ直流ベース電源の出力電圧を調整して荷電を再開する。パルス電圧下限設定値はパルス電圧が加えられたとき放電極表面で均一にコロナ放電が発生する電圧の最小値とする。直流ベース電圧とパルス電圧を重畳したパルス荷電制御により、スパークを起こしやすい高電気抵抗率ダストに対しても、放電極表面で均一なコロナ放電を確保しながらスパークの発生を抑制して著しい集塵率の低下を防ぐ方法や(特許文献1参照)、集塵負荷の集塵部110において、電極のいずれか一方を、ポリエステル、ポリアセタール、ポリプロピレン、アクリルなどの何れかの高分子樹脂に、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体、ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体などの何れかの親水性ポリマーを適正量だけ添加して成る半絶縁性樹脂により形成することでスパークの発生を防ぐ方法が取られていた(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−253837号公報
【特許文献2】特開2000−218193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来のスパークに関する制御では、特許文献1の方法においては、スパークの発生を抑制はするが完全にスパークの発生防止を目標としていないため、低い頻度ではあるがスパークは発生してしまい、その結果集塵効率が低下することは免れない。また特許文献2の方法においては、半絶縁性樹脂を集塵極板に適用することで集塵極板間にコロナ電界が発生しなくなるため集塵極板間においてスパークは発生しなくなるが、半絶縁性の絶縁作用で集塵部間の電界強度が弱くなり、電界の強さに依存する荷電粉塵の捕集能力が低下し、集塵効率を維持することが難しくなる、という課題がある。
【0008】
そこでスパークの発生を防止するために、スパークが発生する時には出力電流が短時間に急激に上昇することに着目し、電流の急激な変化を緩やかにした上で、電流の絶対値ではなく電流の変化率で電流変化の状態を判断することで、スパークの発生する兆候をできる限り早く捉え、その兆候を捉えると同時に高電圧の出力を制御することによりスパークの発生を未然に防ぐことができ、集塵効率を維持することができる高電圧制御回路が要求されている。
【0009】
また、電流の急激な変化が起こる前に短い時間で的確に検出するためには電流の変化を緩和させる必要があるが、そのために電流変化緩和手段としてはL成分を特性として持つことが要求されている。
【0010】
また、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側に設置することで、耐電圧が低く、汎用性が高い安価な電流変化緩和手段を採用できることが要求されている。
【0011】
また、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の出力側に設置することで、直接高電圧電流を緩和することで電流変化の緩和効果をより高めることが要求されている。
【0012】
また、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側と出力側に設置することで、電流変化の緩和効果をさらに高めることが要求されている。
【0013】
また、電流変化検出手段としては、電流の絶対値ではなく、電流値の変化率として微分値を適用することで、電流変化の早い段階で出力電圧を制御することが要求されている。
【0014】
また、電流値変化率がある閾値を超えると、スパークが発生すると判断し、高電圧生成手段への入力電圧を調整することで出力電圧を下げ、スパークの発生を防げることが要求されている。
【0015】
また、電流変化率の比較により出力電圧を一旦下げた後には、再度電流変化率が変化する電圧より低い電圧まで出力電圧を上昇させることで、集塵効率を維持する要求されている。
【0016】
また、入力電圧調整手段として、出力電圧を高速度で制御するための半導体素子の使用が要求されている。
【0017】
また、電流変化率を比較する閾値としては、その集塵装置において予めスパークが発生するパターンに沿った値とすることで、スパークが発生することがない高電圧制御が要求されている。
【0018】
また、入力電圧調整手段により高電圧生成手段からの出力電圧を上昇させる際、一定値に至るまでは電流変化率との比較を行なわないことにより、スムーズに出力電圧を上昇できることが要求されている。
【0019】
また、出力電圧がある一定の範囲にある間だけ電流変化率との比較を行なうことで、出力電圧のアップダウンをスムーズに行なえることが要求されている。
【0020】
また、スパークが発生してしまった場合、電流変化率と比較する閾値を下げることにより、スパーク防止率の向上を図ることができることが要求されている。
【0021】
また、本高電圧制御回路を搭載した集塵装置が要求されている。
【0022】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、スパークが発生する時には出力電流が短時間の間に急激に上昇することに着目し、電流の急激な変化を緩やかにした上で、電流の絶対値ではなく電流の変化率で電流変化の状態を判断することで、スパークの発生する兆候をできる限り早く捉え、その兆候を捉えると同時に高電圧の出力を制御することによりスパークの発生を未然に防ぐことができ、集塵効率を維持することができる高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0023】
また、電流の急激な変化が起こる短い時間において的確に電流の変化を検出するために、電流の変化を緩和させることができる高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0024】
また、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側に設置することで、耐電圧が低く、汎用性が高い安価な電流変化緩和手段を採用した高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0025】
また、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の出力側に設置することで、直接高電圧電流を緩和することにより、電流変化の緩和をより確実に作用させることができる高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0026】
また、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側と出力側に設置することで、電流変化の緩和効果をさらに高めた高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0027】
また、電流変化検出手段としては、電流の絶対値ではなく、電流値の変化率として微分値を適用することで、電流変化の早い段階で出力電圧を制御することができる高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0028】
また、電流値変化率がある閾値を超えるとスパークが発生すると判断し、高電圧生成手段への入力電圧を調整することで出力電圧を下げ、スパークの発生を防ぐ高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0029】
また、電流変化率の比較により出力電圧を一旦下げた後には、再度電流変化率が変化する値より低い値まで出力電圧を上昇させることで、集塵効率を維持できる高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0030】
また、入力電圧調整手段として、出力電圧を高速度で制御するために半導体素子を使用した高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0031】
また、電流変化率を比較する閾値としては、その集塵装置において予めスパークが発生するパターンに沿った値とすることで、スパークが発生しない高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0032】
また、入力電圧調整手段により高電圧生成手段から出力電圧を上昇させる際、一定値に至るまでは電流変化率の比較を行なわないことにより、短時間で出力電圧を上昇させることができる高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0033】
また、出力電圧がある一定の範囲にある間だけ電流変化率との比較を行なうことで、出力電圧のアップダウンを短時間で行なえる高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0034】
また、スパークが発生してしまった場合、電流変化率と比較する閾値を下げることにより、スパーク防止率の向上を図ることができる高電圧制御回路を提供することを目的としている。
【0035】
また、本高電圧制御回路を搭載した集塵装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明の高電圧制御回路は上記目的を達成するために、粉塵を捕集する粉塵捕集手段と、前記粉塵捕集手段に印加する高電圧を生成する高電圧生成手段と、前記粉塵捕集手段へ流れる電流を検出する電流検出手段と、前記粉塵捕集手段に流れる電流の変化を緩やかにする電流変化緩和手段と、検出した電流の変化率を算出する電流変化率算出手段を備え、前記電流変化率算出手段により電流の急激な変化の兆候を捉え、電流が急激に変化する前に高電圧を制御することを特徴とする。
【0037】
そして本発明によれば、電流の急激な変化を緩やかにした上で、電流の絶対値ではなく電流の変化率で電流変化の状態を判断することで、スパークの発生する兆候をできる限り早く捉え、その兆候を捉えると同時に高電圧の出力を制御することでスパークの発生を未然に防ぐことができ、集塵効率を維持することができる高電圧制御回路が得られる。
【0038】
また、電流変化緩和手段としてはインダクタンス(L)成分特性を持つことを特徴とするものである。
【0039】
また、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側に配置することを特徴とする。そして本発明によれば、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側に設置することで、耐電圧が低く、汎用性が高い安価な電流変化緩和手段を採用した高電圧制御回路が得られる。
【0040】
また、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の出力側に配置することを特徴とする。そして本発明によれば、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の出力側に設置することで、直接高電圧電流を緩和することにより電流変化の緩和をより確実に作用させることができる高電圧制御回路が得られる。
【0041】
また、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側と出力側の両方に配置することを特徴とする。そして本発明によれば、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側と出力側に設置することで、電流変化の緩和効果をさらに高めた高電圧制御回路が得られる。
【0042】
また、電流変化率算出手段としては一定時間内における電流変化の微分値を算出することを特徴とする。そして本発明によれば、電流変化検出手段として電流の絶対値ではなく、電流値の変化率として微分値を適用することで、電流変化の初期段階において変化を捉え、出力電圧を制御することができる高電圧制御回路が得られる。
【0043】
また、高電圧生成手段に入力する電圧を調整する入力電圧調整手段を備え、電流変化率がある閾値を超えた場合、入力調整手段により高電圧生成手段への入力電圧を調整することを特徴とする。そして本発明によれば、電流値変化率による電流変化率がある閾値を超えるとスパークが発生すると判断し、高電圧生成手段への入力電圧を調整することで出力電圧を下げ、スパークの発生を防げる高電圧制御回路が得られる。
【0044】
また、電流変化率の上昇により高電圧生成手段への入力電圧を下げた後、電流変化率が変化する直前まで徐々に出力電圧を上昇させることを特徴とする。そして本発明によれば、電流変化率の比較により出力電圧を一旦下げた後には、再度電流変化率が設定閾値に至る直前まで出力電圧を上昇させることで、集塵効率を維持できる高電圧制御回路が得られる。
【0045】
また、入力電圧調整手段としては半導体素子を使用したことを特徴とする。そして本発明によれば、入力電圧調整手段として、出力電圧を高速度で制御できる高電圧制御回路が得られる。
【0046】
また、電流変化率と比較する閾値としては、粉塵捕集手段でスパークが発生しない値を設定することを特徴とする。そして本発明によれば、電流変化率を比較する閾値としては、その集塵装置においてスパークが発生するパターンに沿った値とすることで、スパークが発生しない高電圧制御回路が得られる。
【0047】
また、入力電圧調整手段により入力電圧を上昇させる際は、高電圧生成手段の出力電圧が一定値に至るまでは電流変化率との比較を行なわないことを特徴とする。そして本発明によれば、入力電圧調整手段により高電圧生成手段からの出力電圧を上昇させる際、一定値に至るまでは電流変化率との比較を行なわないことにより、短時間で出力電圧を上昇させることができる高電圧制御回路が得られる。
【0048】
また、高電圧生成手段による出力電圧がある一定範囲の間にあるときに限り、電流変化率との比較を行なうことを特徴とする。そして本発明によれば、出力電圧がある一定の範囲にある間だけ電流変化率との比較を行なうことで、出力電圧のアップダウンを短時間で行なえる高電圧制御回路が得られる。
【0049】
また、電流変化率との比較においてスパークが発生してしまった場合、電流変化率の設定閾値を下げることを特徴とする。そして本発明によれば、スパークが発生してしまった場合、電流変化率と比較する設定閾値を下げることにより、スパーク防止率の向上を図ることができる高電圧制御回路が得られる。
【0050】
また、本発明の集塵装置は請求項14に記載したとおり、請求項1〜13いずれかに記載の高電圧制御回路を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、電流の急激な変化を緩やかにした上で、電流の絶対値ではなく電流の変化率で電流変化の状態を判断することで、スパークの発生する兆候を初期段階で捉え、その兆候を捉えると同時に高電圧の出力を制御することでスパークの発生を未然に防ぎ、集塵効率を維持することができる高電圧制御回路を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本発明の請求項1記載の発明は、上記目的を達成するために、粉塵を捕集する粉塵捕集手段と、前記粉塵捕集手段に印加する高電圧を生成する高電圧生成手段と、前記粉塵捕集手段へ流れる電流を検出する電流検出手段と、前記粉塵捕集手段に流れる電流の変化を緩やかにする電流変化緩和手段と、検出した電流の変化率を算出する電流変化率算出手段を備え、前記電流変化率算出手段により電流の急激な変化の兆候を捉え、電流が急激に変化する前に高電圧を制御することを特徴としたものであり、電流の急激な変化を緩やかにした上で、電流の絶対値ではなく電流の変化率で電流変化の状態を判断することで、スパークの発生する兆候をできる限り早く捉え、その兆候を捉えると同時に高電圧の出力を制御することでスパークの発生を未然に防ぐことができ、集塵効率を維持することができるという作用を有する。
【0053】
本発明の請求項2記載の発明は、上記目的を達成するために、電流変化緩和手段としてはインダクタンス(L)成分特性を持つことを特徴としたものであり、急激な電流変化を緩和することで電流の変化を確実に検出できるという作用を有する。
【0054】
本発明の請求項3記載の発明は、上記目的を達成するために、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側に配置することを特徴としたものであり、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側に設置することで、耐電圧が低く、汎用性が高い安価な電流変化緩和手段を採用できるという作用を有する。
【0055】
本発明の請求項4記載の発明は、上記目的を達成するために、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の出力側に配置することを特徴としたものであり、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の出力側に設置することで、直接高電圧電流を緩和することにより電流変化の緩和をより確実に作用させることができるという作用を有する。
【0056】
本発明の請求項5記載の発明は、上記目的を達成するために、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側と出力側の両方に配置することを特徴としたものであり、電流変化緩和手段を高電圧生成手段の入力側と出力側に設置することで、電流変化の緩和効果をよりさらに高めることができるという作用を有する。
【0057】
本発明の請求項6記載の発明は、上記目的を達成するために、電流変化率算出手段としては一定時間内における電流変化の微分値を算出することを特徴としたものであり、電流変化検出手段として電流の絶対値ではなく、電流値の変化率として微分値を適用することで、電流変化の初期段階において変化を捉え、出力電圧を制御することができるという作用を有する。
【0058】
本発明の請求項7記載の発明は、上記目的を達成するために、高電圧生成手段に入力する電圧を調整する入力電圧調整手段を備え、電流変化率がある閾値を超えた場合、入力調整手段により高電圧生成手段への入力電圧を調整することを特徴としたものであり、電流値変化率による電流変化率がある閾値を超えるとスパークが発生すると判断し、高電圧生成手段への入力電圧を調整することで出力電圧を下げ、スパークの発生を防ぐことができるという作用を有する。
【0059】
本発明の請求項8記載の発明は、上記目的を達成するために、電流変化率の上昇により高電圧生成手段への入力電圧を下げた後、電流変化率が変化する直前まで徐々に出力電圧を上昇させることを特徴としたものであり、再度電流変化率が設定閾値に至る直前まで出力電圧を上昇させることで、スパークを発生させずに集塵効率を維持することができるという作用を有する。
【0060】
本発明の請求項9記載の発明は、上記目的を達成するために、入力電圧調整手段としては半導体素子を使用したことを特徴としたものであり、入力電圧調整手段として半導体素子を使用することで、出力電圧を高速度制御できるという作用を有する。
【0061】
本発明の請求項10記載の発明は、上記目的を達成するために、電流変化率と比較する閾値としては、粉塵捕集手段でスパークが発生しない値を設定することを特徴としたものであり、電流変化率を比較する閾値として予めスパークが発生するパターンに沿った値とすることで、スパークの発生を防げるという作用を有する。
【0062】
本発明の請求項11記載の発明は、上記目的を達成するために、入力電圧調整手段により入力電圧を上昇させる際は、高電圧生成手段の出力電圧が一定値に至るまでは電流変化率との比較を行なわないことを特徴としたものであり、入力電圧調整手段により高電圧生成手段からの出力電圧を上昇させる際、一定値に至るまでは電流変化率との比較を行なわないことにより、短時間で出力電圧を上昇させることができるという作用を有する。
【0063】
本発明の請求項12記載の発明は、上記目的を達成するために、高電圧生成手段による出力電圧がある一定範囲の間にあるときに限り、電流変化率との比較を行なうことを特徴としたものであり、出力電圧がある一定の範囲にある間だけ電流変化率との比較を行なうことで、出力電圧のアップダウンを短時間で行なうことができるという作用を有する。
【0064】
本発明の請求項13記載の発明は、上記目的を達成するために、電流変化率との比較においてスパークが発生してしまった場合、電流変化率の設定閾値を下げることを特徴としたものであり、スパークが発生してしまった場合、電流変化率と比較する設定閾値を下げることにより、スパーク防止率の向上を図ることができるという作用を有する。
【0065】
また、本発明の集塵装置は請求項14に記載したとおり、請求項1〜13いずれかに記載の高電圧制御回路を備えることを特徴としたものであり、例えば集塵装置に本発明の高電圧制御回路を適用することでスパークを防止し、集塵効率を維持できる集塵装置が得られるという作用を有する。
【0066】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0067】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による高電圧制御回路の構成を示している。図1に示すように粉塵を捕集する粉塵捕集手段としての集塵極板1、集塵極板1に印加する高電圧を生成する高電圧生成手段としての高圧電源2、集塵極板1に流れる電流を検出する電流検出手段としての電流検出抵抗3、電流検出抵抗3に流れる電流の変化を緩和する電流変化緩和手段としてのコイル4、電流検出抵抗3により検出した電流の変化率を算出する電流変化率算出手段としての制御器5、高圧電源2への入力電圧を調整する入力電圧調整手段としての半導体素子6により構成されている。集塵極板1は2枚の金属板より構成されており、片側に高圧電源2で生成された高電圧が印加され、残りの極板は接地される。高圧電源2のプラス出力とマイナス出力は、集塵極板1で発生させる放電の特性に応じて、プラス出力が接地される場合もあればマイナス出力が接地される場合もある。集塵極板1に流れる電流値を測定する電流検出抵抗3に関しては、接地されていないラインに配置すると電流検出抵抗3と大地間との電位差が高くなり、電流検出抵抗3と制御器5を接続することが難しくなるため、接地するラインに配置する。よって電流検出抵抗3は接地ラインにおける高圧電源2の出力と集塵極板1との間に挿入する。合わせてコイル4も電流検出抵抗3と直列に挿入する。
【0068】
この時コイル4は高圧電源2と電流検出抵抗3との間、または電流検出抵抗3と集塵極板1の間のいずれかに挿入するが、接地されていない高圧電源2の出力側に挿入してもその効果に差異は生じない。またコイル4は高圧電源2の低圧側に挿入することもでき、この場合はコイル4自体の耐電圧が低電圧ですむため、安価で汎用性のあるコイルを選定することができる。高圧電源2は高圧トランスと整流回路の組み合わせることで交流高電圧を直流高電圧にする方法が一般的である。制御器5は汎用コントローラ、マイコン等、ソフトウェアで演算機能を持つものであればどのようなものでもかまわない。半導体素子としてはサイリスタ、トライアック等、交流電源電圧の位相角を制御できるものであればどのような素子でもかまわない。
【0069】
集塵極板1において放電現象またはスパークが発生する場合、非常に短い時間ではあるが定格の数倍以上の電流が集塵極板1に流れる。通常のスパーク制御としては、この非常に短い時間の間に流れる大電流の絶対値を検出した時点で一旦集塵極板1への高電圧印加を停止する。一定時間に関しては1秒間程度に設定するのが一般的であり、その時間が経過したのちに、出力電圧を0Vから一定の割合、例えば定格出力電圧の10%を一定時間、例えば1秒間というスパンで上昇させ、出力電圧を設定電圧まで上昇させる。出力電圧を設定電圧まで上昇させた時に、スパークが発生する条件、例えば集塵極板1の極板間における導体性粉塵の付着、水濡れ等による極板間の絶縁性能の低下、といった条件が揃っていると、出力電圧が上昇した時点で再度スパークが発生し、スパーク検出後出力電圧を停止、再度出力電圧上昇、といったことを繰り返すこともある。このような場合はスパークの発生する要因が取り除かれるまで一定周期でスパークが繰り返されるため、集塵効率は著しく低下することになる。
【0070】
スパークは発生している時間が非常に短く(数nsec程度)、この短い時間の間に定格の数倍から数十倍以上の電流が流れる。本発明の目的はスパークの発生する変化の兆候を捉え、スパークの発生する前に出力電圧を制御することでスパークを防ぐことにある。しかしこのスパークの発生する非常に短い時間においては、スパーク発生による電流変化の初期に変化の兆候を捉えられたとしても、電流が変化してからスパークが終了してしまうまでの時間が非常に短いために、捉えた瞬間にほぼスパークが発生してしまう状況となる。そこでインダクタンス(L)成分を持つコイルを電流の流れるラインに挿入することで、急峻な電流変化を緩やかにする。電流の変化を緩やかにすることで、電流変化の兆候を捉えてからスパークが発生するまでの間に時間的な猶予ができる。次に電流変化を緩和したことにより得られた時間的な猶予を最大限に活かすため、電流変化をできるかぎり変化の初期段階に捉えることを考える。これまでのスパーク制御ではスパークの有無を全て電流の瞬時絶対値で判断していた。電流の瞬時絶対値でスパークの発生する兆候を捉えようとすると、従来スパーク発生、と判断していた閾値よりもさらに低い閾値を設定する必要があるが、閾値を低くすると負荷の状態変化等による電流の変化と区別が難しくなり、誤検出する可能性が残る。また閾値を低くしてもスパーク発生から終了までの時間そのものが短いため、その時間内では出力電圧制御が追従できない可能性もある。そこで電流変化の初期段階を捉えるために変化率=微分値を適用する。スパークが発生する際の電流変化はスパークの状況にもよるが、時系列的にほぼ同じ推移となる。そこでスパークの推移より微分値の閾値を決めることで、スパークの発生する初期段階で電流変化の兆候を検出することができる。
【0071】
電流変化の緩和に関しては、使用するコイル4のインダクタンス成分の値にもよるが、電流値の変化を検出できかつ出力電圧の調整が有効になる間まで電流変化の時間を延ばす必要がある。しかしあまりにインダクタンス成分を大きく取りすぎると、出力電圧を制御しようとしてもコイルに蓄えられたエネルギーにより出力電圧自体を下げようとしても下がらない状況となる可能性がある。この場合は出力電圧が下がらないためスパークが発生する可能性があるのでコイル4の選定には配慮が必要となる。電流の瞬時絶対値による判断ではなく、電流の変化率で判断することにより、電流変化の初期段階で電流の変化をいち早く捉え、直後に出力電圧を半導体素子により高速に制御することで、スパークの発生を未然に防ぐ高電圧制御を実現することができる。
【0072】
電流変化緩和手段であるコイル4を高圧電源2の入力側または出力側、あるいは入力側と出力側同時に挿入することに関しては、その時の高電圧制御に求められるコスト、信頼性により判断する必要がある。入力側にコイル4を挿入する場合は、コイル4については電圧が低いが故に低価格の汎用性が高い物を選定することができる。高圧電源2の出力側に挿入する場合は、高電圧部に流れる電流を直接緩和できるため高い電流変化の緩和効果が期待できる。しかし高電圧部品になるため、汎用性が低く、コストは高くなる。高圧電源2の入力側と出力側に挿入する場合はより高く確実な電流変化の緩和効果を期待できる。
【0073】
スパークの推移により決定した閾値でスパークを防げなかった場合、制御器5により設定閾値を少し、例えば3〜5%程度下げることで、次回スパークの発生を防ぐことができる。
【0074】
電流変化率が閾値を超えた場合、半導体素子6により出力電圧を低下させスパークの発生を防ぐが、この電圧の低下幅については5〜10%で十分である。一度下げた出力電圧を再度上昇させる必要があるが、徐々に、例えば1秒間に1%程度の割合で設定値まで上昇させていく。この時電流の変化率を監視しているため、電流を上昇させる過程で予め設定していた電流編戒律の閾値を超えてしまう場合がある。この場合の対処として、出力電圧が一定値、例えば設定値の95%までは電流変化率と閾値を比較しないようにする、または出力電圧が一定範囲内、例えば98%以上にある場合のみ電流変化率と閾値の比較を実施することで、スムーズに出力電圧を上昇させることができる。
【0075】
本発明の実施の形態1による高電圧制御回路を集塵装置に搭載すると、スパークを防止し、集塵効率を維持できる集塵装置が得られることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、特にスパークによる集塵効率低下を防がなければならない集塵装置、またスパークに対して安全面で注意を払わなければならない、例えばオイルミストを収集する集塵装置に搭載する高電圧制御回路に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例による高電圧制御回路の構成図
【図2】従来例のスパークを防ぐ制御回路を示す図
【図3】他の従来例のスパーク発生を防止する方法を示す図
【符号の説明】
【0078】
1 集塵極板
2 高圧電源
3 電流検出抵抗
4 コイル
5 制御器
6 半導体素子
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年9月6日(2006.9.6)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−62149(P2008−62149A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−241010(P2006−241010)