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【発明の名称】 粒子帯電装置
【発明者】 【氏名】岡田 芳樹

【氏名】田中 秀樹

【要約】 【課題】50nm以下のナノ粒子に対しても高い帯電効率で帯電させることのできる粒子帯電装置を提供する。

【構成】この発明に係る粒子帯電装置は、アース電極3と、コロナ放電によりイオンを生成する放電電極4と、該放電電極と前記アース電極との間にこれら両電極と離間して配置された多孔状の引き出し電極5と、該引き出し電極と前記アース電極との間の空間領域に粒子を供給する粒子供給手段6とを備えていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アース電極と、
コロナ放電によりイオンを生成する放電電極と、
該放電電極と前記アース電極との間にこれら両電極と離間して配置された多孔状の引き出し電極と、
該引き出し電極と前記アース電極との間の空間に粒子を供給する粒子供給手段とを備えていることを特徴とする粒子帯電装置。
【請求項2】
筒状容器と、
該筒状容器内における径方向の中心部に配置されたアース電極と、
前記筒状容器内における前記アース電極より径方向外方の位置に配置された、コロナ放電によりイオンを生成する放電電極と、
前記筒状容器内における前記放電電極と前記アース電極との間にこれら両電極と離間して配置された多孔状の引き出し電極と、
該引き出し電極と前記アース電極との間の空間に粒子を供給する粒子供給手段とを備えていることを特徴とする粒子帯電装置。
【請求項3】
前記放電電極が複数個設けられ、これら複数の放電電極は、前記筒状容器内における周方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている請求項2に記載の粒子帯電装置。
【請求項4】
前記放電電極が少なくとも4個設けられ、これら放電電極は、前記筒状容器内における周方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている請求項2に記載の粒子帯電装置。
【請求項5】
前記放電電極と前記筒状容器との間に、断面形状が略コの字状の干渉防止用カバーが配置され、前記放電電極は、前記干渉防止用カバーの中空部内に配置されている請求項3または4に記載の粒子帯電装置。
【請求項6】
前記干渉防止用カバーは断面形状が略コの字状の長尺体からなり、該カバーの長さ方向と前記筒状容器の軸線方向が略平行状になるように配置され、前記干渉防止用カバーにその長さ方向に沿って離間して複数個のガス導入孔が形成されている請求項5に記載の粒子帯電装置。
【請求項7】
前記粒子供給手段によって前記筒状容器の軸線方向の一端側から粒子が供給されるものとなされる一方、帯電された粒子は前記筒状容器の軸線方向の他端側から排出されるものとなされている請求項2〜6のいずれか1項に記載の粒子帯電装置。
【請求項8】
前記多孔状の引き出し電極として、導電性多孔状シートからなる筒状体が用いられている請求項2〜7のいずれか1項に記載の粒子帯電装置。
【請求項9】
前記放電電極としてワイヤ電極が用いられている請求項1〜8のいずれか1項に記載の粒子帯電装置。
【請求項10】
前記アース電極としてワイヤ電極が用いられている請求項1〜9のいずれか1項に記載の粒子帯電装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の粒子帯電装置を備えていることを特徴とする微分型電気移動度分析装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、ナノ粒子等の粒子を高い帯電効率で帯電させることのできる粒子帯電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車排出ガス規制が強化されたことを受けて、エンジンの新燃焼技術の開発、燃料の改良、触媒技術の進歩が進み、自動車から排出される粒子状物質の重量濃度は低減されてきている。
【0003】
しかし、その一方で、自動車排出ガス中に含まれる50nm以下のナノ粒子は、低減対策がなされておらず、逆にその個数濃度と表面積濃度は増加する傾向にある。特に、ディーゼル車から排出される約20nmを粒径の中心としたナノ粒子群(nucleiモード)は、粒子個数では排出粒子全体の90%以上を占めている。また、このようなナノ粒子は、0.1μm以上の粒子とは異なり、人間の肺の肺胞の奥深くまで到達して血液中に直接に入ると言われており、これにより深刻な健康被害をもたらすことが指摘されており、重大な問題となっている。このような背景から、自動車排出ガス中に含まれるナノ粒子の個数濃度基準での粒径分布を計測する必要性が高まってきている。しかし、ナノ粒子は、その粒径が非常に小さいので、現状の排出ガス中粒子状物質測定法のように粒子を集塵フィルターで捕集してその重量を測定する手法を用いても、測定誤差が大き過ぎて正確な測定は到底できなかった。
【0004】
現在、小さい粒径の微粒子でも精度良くその粒径分布を測定できる装置としては、微分型電気移動度分析装置(Differential Mobility Analyzer;略語「DMA」)が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−261911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記微分型電気移動度分析装置では、測定に際し、測定対象の粒子を帯電(荷電)させることが必要である。従来は、粒子を帯電させるために、半減期数十年と言われているAm(アメリシウム)から発せられるα線が用いられていたのであるが(特許文献1参照)、この手法では粒子の粒径が小さくなるのに伴って帯電効率が顕著に低下する傾向があり、特に50nm以下のナノ粒子への適用においては帯電効率は非常に低かった。
【0006】
また、Am(アメリシウム)から発せられるα線は放射線であるので、健康面から、その使用は回避されることが望ましいことは言うまでもない。
【0007】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、50nm以下のナノ粒子に対しても高い帯電効率で帯電させることのできる粒子帯電装置及び50nm以下のナノ粒子についても精度良くその粒径分布を測定することのできる微分型電気移動度分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]アース電極と、
コロナ放電によりイオンを生成する放電電極と、
該放電電極と前記アース電極との間にこれら両電極と離間して配置された多孔状の引き出し電極と、
該引き出し電極と前記アース電極との間の空間に粒子を供給する粒子供給手段とを備えていることを特徴とする粒子帯電装置。
【0010】
[2]筒状容器と、
該筒状容器内における径方向の中心部に配置されたアース電極と、
前記筒状容器内における前記アース電極より径方向外方の位置に配置された、コロナ放電によりイオンを生成する放電電極と、
前記筒状容器内における前記放電電極と前記アース電極との間にこれら両電極と離間して配置された多孔状の引き出し電極と、
該引き出し電極と前記アース電極との間の空間に粒子を供給する粒子供給手段とを備えていることを特徴とする粒子帯電装置。
【0011】
[3]前記放電電極が複数個設けられ、これら複数の放電電極は、前記筒状容器内における周方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている前項2に記載の粒子帯電装置。
【0012】
[4]前記放電電極が少なくとも4個設けられ、これら放電電極は、前記筒状容器内における周方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている前項2に記載の粒子帯電装置。
【0013】
[5]前記放電電極と前記筒状容器との間に、断面形状が略コの字状の干渉防止用カバーが配置され、前記放電電極は、前記干渉防止用カバーの中空部内に配置されている前項3または4に記載の粒子帯電装置。
【0014】
[6]前記干渉防止用カバーは断面形状が略コの字状の長尺体からなり、該カバーの長さ方向と前記筒状容器の軸線方向が略平行状になるように配置され、前記干渉防止用カバーにその長さ方向に沿って離間して複数個のガス導入孔が形成されている前項5に記載の粒子帯電装置。
【0015】
[7]前記粒子供給手段によって前記筒状容器の軸線方向の一端側から粒子が供給されるものとなされる一方、帯電された粒子は前記筒状容器の軸線方向の他端側から排出されるものとなされている前項2〜6のいずれか1項に記載の粒子帯電装置。
【0016】
[8]前記多孔状の引き出し電極として、導電性多孔状シートからなる筒状体が用いられている前項2〜7のいずれか1項に記載の粒子帯電装置。
【0017】
[9]前記放電電極としてワイヤ電極が用いられている前項1〜8のいずれか1項に記載の粒子帯電装置。
【0018】
[10]前記アース電極としてワイヤ電極が用いられている前項1〜9のいずれか1項に記載の粒子帯電装置。
【0019】
[11]前項1〜10のいずれか1項に記載の粒子帯電装置を備えていることを特徴とする微分型電気移動度分析装置。
【発明の効果】
【0020】
[1]の発明では、コロナ放電により放電電極近傍にプラスイオン及びマイナスイオンが生成し、生成したマイナスイオンの多くはプラス電位の放電電極の近くに留まる一方、生成したマイナスイオンの一部及び生成したプラスイオンは、多孔状の引き出し電極に向かうのであるが、この時、マイナスイオンは、プラス電位の引き出し電極によって通過が阻止されるのに対し、プラスイオンは、多孔状の引き出し電極を通過してアース電極に向かうものとなるので、引き出し電極とアース電極との間の空間領域にプラスイオンを高密度に存在させることができる。しかして、粒子供給手段によって引き出し電極とアース電極との間の空間領域に粒子(例えば50nm以下のナノ粒子等)を供給することで、粒子(例えば50nm以下のナノ粒子等)を高い帯電効率で帯電させることができる。
【0021】
[2]の発明では、コロナ放電により放電電極近傍にプラスイオン及びマイナスイオンが生成し、生成したマイナスイオンの多くはプラス電位の放電電極の近くに留まる一方、生成したマイナスイオンの一部及び生成したプラスイオンは、多孔状の引き出し電極に向かうのであるが、この時、マイナスイオンは、プラス電位の引き出し電極によって通過が阻止されるのに対し、プラスイオンは、多孔状の引き出し電極を通過してアース電極に向かうものとなるので、引き出し電極とアース電極との間の空間領域にプラスイオンを高密度に存在させることができる。しかして、粒子供給手段によって引き出し電極とアース電極との間の空間領域に粒子(例えば50nm以下のナノ粒子等)を供給することで、粒子(例えば50nm以下のナノ粒子等)を高い帯電効率で帯電させることができる。更に、アース電極、放電電極及び引き出し電極を収容する容器が筒状であるので、収容容器内において容器軸線方向に沿って安定した粒子の供給流れを実現することができ、ひいては粒子(例えば50nm以下のナノ粒子等)をより高い帯電効率で帯電させることが可能となる。
【0022】
[3]の発明では、複数の放電電極が、筒状容器内における周方向に沿って互いに間隔をあけて配置されており、これら複数の放電電極からのプラスイオンを多孔状の引き出し電極を介してアース電極に集中させることができるので、即ち引き出し電極とアース電極との間の空間領域にプラスイオンをより高密度に存在させることができるので、粒子(例えば50nm以下のナノ粒子等)をより高い帯電効率で帯電させることができる。
【0023】
[4]の発明では、少なくとも4個の放電電極が、筒状容器内における周方向に沿って互いに間隔をあけて配置されており、これら4個以上の放電電極からのプラスイオンを多孔状の引き出し電極を介してアース電極に集中させることができるので、即ち引き出し電極とアース電極との間の空間領域にプラスイオンをより一層高密度に存在させることができるので、粒子(例えば50nm以下のナノ粒子等)をより一層高い帯電効率で帯電させることができる。
【0024】
[5]の発明では、各放電電極は、断面形状が略コの字状の干渉防止用カバーの中空部内に配置されているから、放電電極同士の相互干渉を防止できると共に、放電電極から容器等の他の部位への不要な放電も防止することができる。
【0025】
[6]の発明では、干渉防止用カバーは断面形状が略コの字状の長尺体からなり、該カバーの長さ方向と筒状容器の軸線方向が略平行状になるように配置され、干渉防止用カバーにその長さ方向に沿って離間して複数個のガス導入孔が形成されているから、放電電極を取り囲む干渉防止用カバーの中空部内におけるガス濃度(例えば窒素ガス濃度)を増大させることができ、これによりコロナ放電効率を向上させることができ、ひいては粒子の帯電効率をさらに向上させることができる。
【0026】
[7]の発明では、粒子供給手段によって筒状容器の軸線方向の一端側から粒子が供給されるものとなされる一方、帯電された粒子は筒状容器の軸線方向の他端側から排出されるものとなされているから、筒状容器内において容器軸線方向に沿った十分に安定した粒子の供給流れを実現することができ、ひいては粒子の帯電効率をさらに高めることが可能となる。
【0027】
[8]の発明では、多孔状の引き出し電極として導電性多孔状シートからなる筒状体が用いられているから、プラスイオンの通過を十分に許容しつつ、マイナスイオンの通過を十分に阻止することができる。
【0028】
[9]の発明では、放電電極としてワイヤ電極が用いられており、例えば針電極を用いる場合と比べて放電効率を向上させることができるので、粒子の帯電効率をさらに高めることができる。
【0029】
[10]の発明では、アース電極としてワイヤ電極が用いられているので、安定した粒子の供給流れを阻害することがなく、粒子の帯電を安定状態に実現することができる。
【0030】
[11]の発明に係る微分型電気移動度分析装置(DMA)は、本発明の粒子帯電装置を備えているから、50nm以下のナノ粒子であっても高い帯電効率で帯電させることができ、これにより50nm以下のナノ粒子についても精度高くその粒径分布を測定することができる。即ち、高感度なナノ粒子個数濃度計測が可能になる。
【0031】
なお、上記[1]〜[11]の各発明の説明においては、放電電極及び引き出し電極にプラス電位を印加することによって、プラスイオンをアース電極に向かわせて粒子をプラスに帯電させる場合を例に説明したが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば本発明の粒子帯電装置を用いて粒子をマイナスに帯電させる場合には、放電電極及び引き出し電極にマイナス電位を印加すれば良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1に、この発明に係る粒子帯電装置(1)の一実施形態を示す。図2は、この粒子帯電装置(1)の主要部を示す模式的切断端面図(容器の軸線方向を含む面で切断した切断端面図)であり、図3は、この粒子帯電装置(1)の主要部を示す模式的切断端面図(容器の軸線方向に直交する面で切断した切断端面図)である。
【0033】
前記粒子帯電装置(1)は、図2、3に示すように、円筒形状の筒状容器(2)と、該筒状容器(2)内に配置されたアース電極(3)と、前記筒状容器(2)内に配置された放電電極(4)と、前記筒状容器(2)内に配置された多孔状の引き出し電極(5)と、該引き出し電極(5)と前記アース電極(3)との間の空間領域に粒子(P)を供給する粒子供給手段(6)とを備えてなる。
【0034】
前記アース電極(3)は、前記筒状容器(2)内における径方向の中心部に配置されている。本実施形態では、前記アース電極(3)としてワイヤ電極が用いられているが、特にこのような構成に限定されるものではない。このワイヤ電極からなるアース電極(3)が、前記筒状容器(2)内における径方向の中心部に且つ容器(2)の軸線方向に沿って配置されている(図2、3参照)。このアース電極(3)は、通常、0又は0に近い電位に設定される。前記アース電極(3)を構成するワイヤ電極としては、特に限定されるものではないが、例えばステンレスワイヤなどが挙げられる。
【0035】
前記放電電極(4)は、コロナ放電によりイオンを生成する電極であり、この放電電極(4)は、前記筒状容器(2)内における前記アース電極(3)より径方向外方の位置に配置されている(図3参照)。本実施形態では、4個の放電電極(4)が用いられ、これら放電電極(4)は、前記筒状容器(2)内における周方向に沿って互いに略均等間隔で配置されている(図3参照)。また、本実施形態では、前記放電電極(4)としてワイヤ電極が用いられているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば針電極でも良い。このワイヤ電極からなる放電電極(4)は、前記筒状容器(2)の軸線方向に沿って配置されている(図2参照)。前記放電電極(4)を構成するワイヤ電極としては、特に限定されるものではないが、例えばステンレスワイヤ等が挙げられる。
【0036】
前記多孔状引き出し電極(5)は、図2、3に示すように、前記筒状容器(2)内における前記放電電極(4)と前記アース電極(2)との間にこれら両電極(4)(2)と離間して配置されている。本実施形態では、前記引き出し電極(5)として導電性メッシュシートからなる筒状体(図5参照)が用いられているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば導電性パンチングシートからなる筒状体を用いても良い。前記導電性メッシュシートとしては、特に限定されるものではないが、例えばステンレスメッシュシート等の金属メッシュシートなどが挙げられる。このように、前記引き出し電極(5)としては、導電性多孔状シートからなる筒状体を用いるのが好ましいが、特にこのような筒状形状に限定されるものではない。
【0037】
前記粒子供給手段(6)は、前記引き出し電極(5)と前記アース電極(3)との間の空間領域に粒子(P)を供給する装置であり、例えば粒子(P)を送流するためのファンを備えた構成のもの等を例示できる。
【0038】
更に、本実施形態では、次のような構成も備えている。即ち、図3に示すように、前記放電電極(4)と前記筒状容器(2)の壁面との間に、断面形状がコの字状の長尺体からなる干渉防止用カバー(7)が配置されている。このカバー(7)の長さ方向と前記筒状容器(2)の軸線方向とが略平行になるように配置されている。また、この干渉防止用カバー(7)の中空部内に前記放電電極(4)が位置するように配置されている(図3参照)。また、前記断面コの字状の干渉防止用カバー(7)の開口部が前記アース電極(2)に臨むように配置されている(図3参照)。また、前記干渉防止用カバー(7)には、図4に示すように、その長さ方向に沿って互いに離間して複数個のガス導入孔(8)が形成されている。
【0039】
前記カバー(7)のガス導入孔(8)には、図1に示すように、ガス供給管(13)が接続されている。このガス供給管(13)から前記ガス導入孔(8)を介して前記カバー(7)の中空部内にガス(例えば窒素ガス)が供給されるものとなされている。
【0040】
なお、図1において、(21)は、引き出し電極(5)に電圧を印加するための電源であり、(22)は、放電電極(4)に電圧を印加するための電源である。また、図1において、(11)は、粒子導入管であり、(12)は粒子排出管である。前記粒子導入管(11)の他端は、前記粒子供給手段(6)に接続されている。
【0041】
しかして、上記粒子帯電装置(1)の放電電極(4)に例えば約9kV程度の電圧を印加すると共に前記引き出し電極(5)に例えば約500V程度の電圧を印加し、前記粒子供給手段(6)によって前記粒子導入管(11)を介して前記筒状容器(2)内に粒子(例えば50nm以下のナノ粒子等)(P)を容器(2)の軸線方向の一端側から他端側に向けて送流すると、前記放電電極(4)のコロナ放電により該放電電極(4)の近傍にプラスイオン及びマイナスイオンが生成する。この時、生成したマイナスイオンの多くはプラス電位の放電電極(4)の近くに留まる一方、生成したマイナスイオンの一部及び生成したプラスイオンは、引き出し電極(5)に向かうのであるが、マイナスイオンは、プラス電位の引き出し電極(5)によって通過が阻止されるのに対し、プラスイオンは、多孔状の引き出し電極(5)を通過してアース電極(3)に向かうものとなるので、引き出し電極(5)とアース電極(3)との間の空間領域にプラスイオンを高密度に存在させることができる(図2、3参照)。ここで、前記粒子供給手段(6)によって引き出し電極(5)とアース電極(3)との間の空間領域に粒子(例えば50nm以下のナノ粒子等)(P)が送流されているので、この高密度のプラスイオンによって該粒子(P)を高い帯電効率で帯電させることができる。
【0042】
また、4個の放電電極(4)が、筒状容器(2)内における周方向に沿って互いに間隔をあけて配置されているので、これら複数の放電電極(4)からプラスイオンを多孔状の引き出し電極(5)を介して中心部のアース電極(3)に集中させることができ、即ち引き出し電極(5)とアース電極(3)との間の空間領域にプラスイオンをより一層高密度に存在させることができ、これにより粒子(例えば50nm以下のナノ粒子等)(P)をより一層高い帯電効率で帯電させることができる。
【0043】
更に、各放電電極(4)は、干渉防止用カバー(7)の中空部内に配置されているから、放電電極(4)同士の相互干渉を防止できると共に、放電電極(4)から容器(2)等の他の部位への不要な放電も防止することができる。
【0044】
加えて、前記干渉防止用カバー(7)にその長さ方向に沿って離間して複数個のガス導入孔(8)が形成されており、前記ガス供給管(13)、前記ガス導入孔(8)を介してコロナ放電用のガス(窒素ガス等)が前記干渉防止用カバー(7)の中空部内に供給されるので、放電電極(4)を取り囲んでいる干渉防止用カバー(7)の中空部内におけるガス濃度(例えば窒素ガス濃度)を増大させることができ、これによりイオン発生効率を向上させることができ、ひいては粒子(P)の帯電効率をさらに向上させることができる。なお、コロナ放電用のガスが窒素ガスである場合には、前記プラスイオンは窒素正イオンであり、前記マイナスイオンは電子である。また、コロナ放電用のガスとしては、窒素ガスが好適であるが、特にこれに限定されるものではない。
【0045】
この発明において、前記放電電極(4)と前記引き出し電極(5)の間隔(d)は、特に限定されるものではないが、3〜10mmに設定されるのが好ましい。また、前記引き出し電極(5)と前記アース電極(3)の間隔(t)は、特に限定されるものではないが、5〜15mmに設定されるのが好ましい。
【0046】
また、前記粒子供給手段(6)によって筒状容器(2)内に供給される粒子(帯電対象の粒子)としては、特に限定されるものではないが、例えば自動車排出ガス、大気中の空気(浮遊粒子を含む空気)等が挙げられる。
【0047】
また、上記実施形態では、干渉防止用カバー(7)としては、断面形状がコの字状のものが用いられていたが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば図6(a)に示すように断面形状が略半円弧状であっても良いし、図6(b)に示すように断面形状が一部に開口を有する多角形状であっても良いし、或いは図6(c)に示すように断面形状が略半楕円状であっても良い。本願の特許請求の範囲及び明細書において「略コの字状」の語は、このような図6(a)(b)(c)に示した構成をも包含する意味で用いているものである。
【実施例】
【0048】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0049】
<実施例1>
図1〜3に示す粒子帯電装置(1)における4本の放電電極(ワイヤ電極)のうち1本のみに種々の放電電圧(0kV、2kV、4kV、6kV、8kV、9.3kV)を印加し、引き出し電極(5)に0Vの電圧を印加すると共に、粒子供給手段(6)によって自動車排出ガスを筒状容器(2)の一端側から他端側に送流し、この時の引き出し電極とアース電極との間の空間における発生イオン電流(nA)を測定した。これらのデータをプロットしたものを図7に示す。
【0050】
<実施例2>
図1〜3に示す粒子帯電装置(1)における4本の放電電極(ワイヤ電極)のうち対向する2本の放電電極に種々の放電電圧(0kV、2kV、4kV、6kV、8kV、9.3kV)を印加し、引き出し電極(5)に0Vの電圧を印加すると共に、粒子供給手段(6)によって自動車排出ガスを筒状容器(2)の一端側から他端側に送流し、この時の引き出し電極とアース電極との間の空間における発生イオン電流(nA)を測定した。これらのデータをプロットしたものを図7に示す。
【0051】
図7から、放電電圧が大きくなるほど発生イオン電流値が増大していることがわかる。放電電圧が9.3kVであるときに最も高いイオン電流値を示した。9.3kVを超えた放電電圧にすると異常放電が起こりやすくなり、4kVより小さい放電電圧ではコロナ放電が生じ難くなるので、放電電圧は4〜9.3kVの範囲に設定するのが好ましい。また、図7における実施例1と実施例2のデータの対比から明らかなように、対向する2本の放電電極を用いた実施例2の方が、1本の放電電極を用いた実施例1よりも格段に高いイオン電流値が得られた。
【0052】
<実施例3>
図1〜3に示す粒子帯電装置(1)における4本の放電電極(ワイヤ電極)のうち対向する2本の放電電極に9.3kVの放電電圧を印加し、引き出し電極(5)に種々の電圧(0V、50V、100V、150V、200V、250V、300V、350V、400V、450V、500V、550V、600V、650V)を印加すると共に、粒子供給手段(6)によって自動車排出ガスを筒状容器(2)の一端側から他端側に送流し、この時の引き出し電極とアース電極との間の空間における発生イオン電流(nA)を測定した。これらのデータをプロットしたものを図8に示す。
【0053】
図8から、引き出し電圧が大きくなるほど発生イオン電流値が増大していることがわかる。引き出し電圧が550Vのときに発生イオン電流値の極大ピークが現れた。これは引き出し電圧を高くし過ぎると、放電電極がイオンを反発してしまうためと考えられる。
【0054】
<実施例4>
図1〜3に示す粒子帯電装置(1)における4本の放電電極(ワイヤ電極)のうち1本のみに9.3kVの放電電圧を印加し、引き出し電極(5)に200Vの電圧を印加すると共に、干渉防止用カバー(7)のガス導入孔(8)から窒素ガスを種々の流量(0、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0L/分)で該カバー内に送流し、粒子供給手段(6)によって自動車排出ガスを筒状容器(2)の一端側から他端側に送流し、この時の引き出し電極とアース電極との間の空間における発生イオン電流(nA)を測定した。これらのデータをプロットしたものを図9に示す。
【0055】
<実施例5>
図1〜3に示す粒子帯電装置(1)における4本の放電電極(ワイヤ電極)のうち対向する2本の放電電極に9.3kVの放電電圧を印加し、引き出し電極(5)に200Vの電圧を印加すると共に、干渉防止用カバー(7)のガス導入孔(8)から窒素ガスを種々の流量(0、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0L/分)で該カバー内に送流し、粒子供給手段(6)によって自動車排出ガスを筒状容器(2)の一端側から他端側に送流し、この時の引き出し電極とアース電極との間の空間における発生イオン電流(nA)を測定した。これらのデータをプロットしたものを図9に示す。
【0056】
図9から、窒素ガス流量が大きくなるほど発生イオン電流値が増大していることがわかる。また、図9における実施例4と実施例5のデータの対比から明らかなように、対向する2本の放電電極を用いた実施例5の方が、1本の放電電極を用いた実施例4よりも格段に高いイオン電流値が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0057】
この発明の粒子帯電装置は、微分型電気移動度分析装置用の粒子帯電装置として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。また、この発明の粒子帯電装置を用いれば、50nm以下のナノ粒子も含めて粒子を高い帯電効率で帯電させることができるので、該帯電粒子を静電的に捕捉することにより、例えば環境中の浮遊粒子を効率良く浄化することも可能になる。即ち、環境浄化にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明に係る粒子帯電装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の粒子帯電装置の主要部を示す模式的切断端面図(容器の軸線方向を含む面で切断した切断端面図)である。
【図3】図1の粒子帯電装置の主要部を示す模式的切断端面図(容器の軸線方向に直交する面で切断した切断端面図)である。
【図4】干渉防止用カバーの一例を示す斜視図である。
【図5】引き出し電極の一例を示す斜視図である。
【図6】(a)(b)(c)いずれも干渉防止用カバーの断面形状の変形例を示す断面図である。
【図7】実施例1及び実施例2で得られたデータをプロットしたグラフである。
【図8】実施例3で得られたデータをプロットしたグラフである。
【図9】実施例4及び実施例5で得られたデータをプロットしたグラフである。
【符号の説明】
【0059】
1…粒子帯電装置
2…筒状容器
3…アース電極
4…放電電極
5…引き出し電極
6…粒子供給手段
7…干渉防止用カバー
8…ガス導入孔
P…粒子
【出願人】 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
【出願日】 平成18年9月4日(2006.9.4)
【代理人】 【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義

【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁


【公開番号】 特開2008−55382(P2008−55382A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−238418(P2006−238418)