トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 電気集塵機
【発明者】 【氏名】吉村 隆貫

【要約】 【課題】ダストの再飛散を防いでダストを効率よく除去できるとともに、安価に製造することが可能な電気集塵機を提供する。

【構成】電気集塵機1aは、ガス導入口3及びガス排出口4を有するとともにガス排出口4の下方に略すり鉢状のホッパ部10が形成された略円筒形状の集塵機本体2と、この集塵機本体2の内部に設置される放電極8と、その外側に非接触で順次設置される円筒状の集電極6及び円筒網目状の補助電極7と、ガス導入口3に接続されるとともに送風機14を内蔵するガス導入管9と、補助電極7及び放電極8に配線13aを介して接続される直流電源12aと、集電極6及び補助電極7に配線13bを介して接続される直流電源12bとを備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部と上部にそれぞれガス導入口及びガス排出口を有する中空形状の本体と、前記ガス排出口に上部開放端が内挿されるように前記本体内部に立設される筒型網目状の補助電極と、この補助電極に対して非接触の状態で外周に配置される筒型の集電極と、前記補助電極に対して非接触の状態でその内側に配置される放電極と、前記ガス導入口からガスを前記本体内に送り込む送風手段とを備え、前記補助電極は、前記放電極よりも高電位かつ集電極よりも低電位に印加され、前記送風手段によって前記本体内に送り込まれた前記ガスは、前記補助電極の下部開放端からその内部に導入されることを特徴とする電気集塵機。
【請求項2】
前記補助電極と前記集電極間の電位勾配は、前記放電極と前記補助電極間の電位勾配よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の電気集塵機。
【請求項3】
前記放電極を陰極とするとともに前記補助電極を陽極とする第1の直流電圧を印加する第1の電源と、前記補助電極を陰極とするとともに前記集電極を陽極とする第2の直流電圧を印加する第2の電源とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気集塵機。
【請求項4】
前記補助電極の前記上部開放端と前記ガス排出口との間に前記上部開放端から排出される前記ガスの一部を分岐するガイド部材を設置し、このガイド部材によって分岐された前記ガスの一部は前記集電極と前記補助電極との間に形成される空間にその上部から送り込まれることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電気集塵機。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、工場等において発生する排ガスなどの気体中に含まれる粒子を帯電させて捕集する電気集塵機に係り、特に粒子を効率よく捕集することが可能な電気集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や処理施設等において発生するガスに含まれる微細な粒子(以下、ダストという。)を除去する装置の一つに電気集塵機がある。電気集塵機は、ガス中に浮遊するダストを負に帯電させて集電極で捕捉するというように構成が簡単である上、操作も容易であるなど、非常に便利な装置として知られている。しかしながら、従来の電気集塵機においては、一旦集電極で捕捉されたダストが再びガス中に飛散し易く、処理能力が低下するおそれがあった。そこで、このような課題を解決するべく、従来、研究や開発が重ねられており、既にそれらに関するいくつかの発明や考案が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「電気集塵装置」という名称で、集電極及び放電極と別に設けられた円筒型集電極及び円筒型放電極によって、再飛散ダストを効果的に捕集することができる電気集塵装置に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、第一の集電極及び第一の放電極に加え、出口ダクト近くに円筒型の第二の集電極及び第二の放電極を設けるとともに、第二の集電極に先端を近接させてエアブローノズルを設置した構造であり、第二の集電極は円筒軸を中心として回転可能となっている。
このような構造の「電気集塵装置」においては、第一の集電極に捕集されずに再飛散したダストが第二の集電極で捕集される。そして、第二の集電極を円筒軸を中心として回転させるとともに、エアブローノズルによってその表面に加圧エアーを吹き付けることで、捕集されたダストを第二の集電極の表面から強制的に取り除くことができる。
【0004】
次に、特許文献2には、「電気集塵装置」という名称で、ダストの再飛散と逆電離を防いで集塵率を高めることが可能な電気集塵装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、1列に配列された複数の回転可能な集電極と、この集電極の間に配設される複数の放電極と、各集電極間に配設される掻落し部材及び防風板とを備えるものである。
このような構造の「電気集塵装置」によれば、集電極に付着したダストが防風板によって形成される無風空間において掻落し部材によって掻き落とされる。従って、集電極から掻き落とされたダストは再び空中に飛散するおそれがない。また、集電極の表面のダストを掻落し部材によって随時除去すれば、集電極の表面にはダスト層が形成されない。これにより、逆電離現象の発生が防止される。
【0005】
さらに、特許文献3には、「乾式立型電気集塵装置」という名称で、排ガスの流速を制限することなく、装置を連続運転しながら、集塵板に付着したダストを再飛散させずに確実に剥離させることができる立型の乾式電気集塵装置に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、直径が異なる複数の円筒状の集塵板と、この集塵板間に位置する放電極と、集塵板を回転駆動する駆動手段と、集塵板に摺接する摺接部材と、摺接部材の両側面に設けられて集塵板表面との摺接部分を他の集塵空間から仕切る仕切り部材とを備えるものである。
このような構造の「乾式立型電気集塵装置」においては、集塵板を回転させることにより摺接部材が集塵板に対して相対的に摺動動作を行う。その結果、集塵板表面に付着していたダストが剥離する。このとき、仕切り部材は周囲の排ガスの流れを遮断して、集塵板から剥離したダストの再飛散を防ぐように作用する。従って、装置を連続運転しながら、集塵板からダストを確実に剥離することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−46907号公報
【特許文献2】特開平11−290719号公報
【特許文献3】特開平9−122533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明は、第一の集電極及び第一の放電極以外に第二の集電極及び第二の放電極を設けなければならない上に、第二の集電極を回転させる必要があることから、装置が大型で複雑な構造となり、製造コストが高くなるという課題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示された発明は、集電極を回転可能な構造とし、さらに集電極を回転させる駆動装置を必要とする。従って、装置の構造が複雑になるため、安価に製造できないという課題があった。また、集電極を常時回転させなければならず、運転時に多くの電力を消費するという課題があった。
【0009】
特許文献3に開示された発明は、集塵板を回転させる必要があるため、構造が複雑になり、安価に製造することができないという課題があった。また、集塵板と放電極との間にコロナ放電を発生させるための電力以外に集塵板を回転させる電力を必要とするため、運転コストが高くなるという課題があった。
【0010】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、ダストの再飛散を防いでダストを効率よく除去できるとともに、安価に製造することが可能な電気集塵機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である電気集塵機は、下部と上部にそれぞれガス導入口及びガス排出口を有する中空形状の本体と、ガス排出口に上部開放端が内挿されるように本体内部に立設される筒型網目状の補助電極と、この補助電極に対して非接触の状態で外周に配置される筒型の集電極と、補助電極に対して非接触の状態でその内側に配置される放電極と、ガス導入口からガスを本体内に送り込む送風手段とを備え、補助電極は、放電極よりも高電位かつ集電極よりも低電位に印加され、送風手段によって本体内に送り込まれたガスは、補助電極の下部開放端からその内部に導入されることを特徴とするものである。
このような構造の電気集塵機においては、集電極と補助電極の間及び補助電極と放電極の間にコロナ放電が発生し、補助電極内のガスに含まれるダストが負に帯電する。そして、負に帯電したダストは放電極よりも高電位の補助電極側に移動し、その一部は補助電極の表面で電荷を失い、付着する。さらに、集電極と補助電極の間に発生するコロナ放電は、補助電極の表面で電荷を失ったダストの一部を再び負に帯電させる。このようにして再び負に帯電したダストは、補助電極の表面に付着せずにガス中を浮遊する他のダストとともに、補助電極の網目を通過して集電極側に移動する。一方、補助電極は、補助電極内を流れるガスの影響を防いで、補助電極と集電極との間に形成される空間のガスに上向きの流れを発生させないように作用する。これにより、集電極と補助電極によって形成される空間に集められたダストは自重によって下降し易くなる。すなわち、補助電極の内部にその下部開放端から送り込まれたガスは集電極及び補助電極の作用によってダストを除去されつつ上昇し、排出口を通って電気集塵機の本体外部へと排出されるとともに、このガスから除去されたダストは本体の下方に集められるのである。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の電気集塵機において、補助電極と集電極間の電位勾配は、放電極と補助電極間の電位勾配よりも大きいことを特徴とするものである。
このような構造の電気集塵機においては、補助電極と放電極の間に発生するコロナ放電よりも強力なコロナ放電が集電極と補助電極の間に発生する。従って、補助電極の表面に付着して電荷を失ったダストに対して、集電極と補助電極の間に発生するコロナ放電が請求項1記載の発明よりも強く作用するため、それらのダストは再び負に帯電する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電気集塵機において、放電極を陰極とするとともに補助電極を陽極とする第1の直流電圧を印加する第1の電源と、補助電極を陰極とするとともに集電極を陽極とする第2の直流電圧を印加する第2の電源とを備えることを特徴とするものである。
このような構造の電気集塵機においては、補助電極と放電極の間及び集電極と補助電極の間にそれぞれ別個独立に直流電圧が印加されるので、不要な電力の浪費が抑えられる。また、例えば、補助電極と放電極の間に電圧を印加した状態で、集電極と補助電極の間の電圧の印加を停止することによれば、補助電極内のガスからダストを除去する作用を維持したまま、集電極に付着したダストに対してその分離を容易にするという作用を有する。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電気集塵機において、補助電極の上部開放端とガス排出口との間に上部開放端から排出されるガスの一部を分岐するガイド部材を設置し、このガイド部材によって分岐されたガスの一部は集電極と補助電極との間に形成される空間にその上部から送り込まれることを特徴とするものである。
このような構造の電気集塵機においては、集電極と補助電極との間に形成される空間のガスに下向きの流れが発生する。そして、この下向きのガスの流れは集電極の表面に付着したダストに対してその分離を容易にするとともに、ガス中を浮遊するダストに対してはその下降を促進させるという作用を有する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の請求項1記載の電気集塵機においては、集電極及び補助電極に対するダストの付着量を少なくすることができる。これにより、集電極及び補助電極の清掃作業が容易となり、保守費用が削減される。また、本体内を上昇するガスから分離されたダストは、そのガスの流れの影響を受けない箇所に集められるため、再度飛散するおそれがない。従って、ダストの除去効率を高めることができる。
【0016】
本発明の請求項2記載の電気集塵機においては、補助電極に対するダストの付着量を請求項1記載の発明よりも少なくして保守費用をより削減するとともに、ダストの除去効率をさらに高めることが可能である。
【0017】
本発明の請求項3記載の電気集塵機においては、補助電極内を流れるガスからダストを除去する作用を弱めることなく、集電極に付着したダストの分離を容易にしたり、集電極近傍のガス中を浮遊するダストの下降を促進したりすることができる。従って、運転時に過度の電力を消費しないように調節しながら、ダストの除去及び捕集を効率良く行うことが可能である。
【0018】
本発明の請求項4記載の電気集塵機においては、簡単な構造によって集電極へのダストの付着量を少なくするとともに、ダストの除去効率を高めることができる。これにより、処理能力が高く、保守費用の安い電気集塵機を安価に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の最良の実施の形態に係る電気集塵機の実施例1について説明する(特に、請求項1乃至請求項3に対応)。
【実施例1】
【0020】
図1(a)は本発明の実施の形態に係る電気集塵機の実施例1の構成を示す縦断面図であり、(b)は図1(a)のX−X線矢視断面図である。なお、図1(a)が縦断面図である関係上、図1(b)は電気集塵機を縦に切断した場合の片側部分のみを示している。
図1(a)及び(b)に示すように、本実施例の電気集塵機1aは、略円筒形状の集塵機本体2の側面下部と上面にそれぞれガス導入口3及びガス排出口4が設けられ、その内部に円筒形状の集電極6と補助電極7が立設され、補助電極7の内側に放電極8が設置された構造となっている。補助電極7は、網目状の導電性部材からなり、その開放端7aはガス排出口4に内挿されている。補助電極7の外周には互いの円筒軸が略一致するように金属製の集電極6が設置されており、補助電極7の内部には、丸線や角線などの金属製の線状部材からなる放電極8がその円筒軸と略一致するように設置されている。
なお、集電極6と補助電極7と放電極8は絶縁性固定具(図示せず)によって互いに接触することなく集塵機本体2に固定されている。また、ガス導入管9の内部には、集塵機本体2の内部にガスを送り込むための送風手段として送風機14が設置されており、ガス導入管9の先端部9bは吐出口9aが補助電極7の開放端7bの直下に位置するようにガス導入口3を通って集塵機本体2内へ挿入配置されている。従って、送風機14によって吐出口9aから送出されるガス導入管9内のガスは、図1(a)に矢印Aで示すように開放端7bから補助電極7内に導入され、補助電極7の内部を上昇してガス排出口4を通って集塵機本体2の外部に排出される。このとき、ガスに含まれるダストは集電極6や補助電極7に付着する。
【0021】
集塵機本体2の下部には先端部にダスト排出口5が設けられた略すり鉢状のホッパ部10が形成されている。従って、補助電極7内とは異なり矢印Aで示す上向きのガスの流れがない空間6aにおいては、集電極6や補助電極7に付着せずにガス中を浮遊しているダストは自重によってゆっくりと下方に移動し、やがてホッパ部10内に溜積する。ダスト排出口5は蓋11が取付けられて開閉自在となっており、ホッパ部10内のダストは蓋11を開放することによってダスト排出口5から集塵機本体2の外部へと適宜排出される。
【0022】
また、補助電極7及び放電極8は配線13aを介して直流電源12aに接続され、集電極6及び補助電極7は配線13bを介して直流電源12bに接続されている。これにより、補助電極7は放電極8よりも高電位になるように印加され、集電極6は補助電極7よりも高電位になるように印加されている。なお、集電極6と補助電極7との間の電位勾配は、補助電極7と放電極8との間の電位勾配よりも大きくなるように設定されている。
【0023】
次に、電気集塵機1aにおいて、ガスからダストを除去する原理について図2を用いて説明する。
図2(a)及び(b)は実施例1の電気集塵機においてダストが捕集される様子を示す概念図である。なお、図1に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、図2は集電極6、補助電極7及び放電極8を補助電極7の円筒軸を含む平面によって切断し、その切断面の片側について模式的に示したものである。従って、以下に説明する現象は、実際には放電極8から補助電極7及び集電極6へ向かうあらゆる方向について発生するものである。
図2(a)に示すように、直流電源12aによって補助電極7と放電極8の間に高圧の直流電圧を印加するとともに、ダスト15を含んだガスを補助電極7の内部に矢印Aの向きに流す。これにより、補助電極7と放電極8の間にコロナ放電が発生して、無数のガス分子が負にイオン化する。さらに、このガス分子は電位の低い放電極8から電位の高い補助電極7へと移動し、このガス分子が衝突したダスト15は負に帯電する。負に帯電したダスト15は高電位の補助電極7に引き寄せられ、補助電極7に接触したダスト15は負の電荷を失ってその表面に付着する。
集電極6と補助電極7との間には直流電源12bによって高圧の直流電圧が印加されている。これにより、集電極6と補助電極7間には補助電極7と放電極8間と同様にコロナ放電が発生し、ガス分子をイオン化する。このガス分子が衝突したダスト15は、負の電荷を失って補助電極7の表面に付着したものも含めて、負に帯電する。このようにして負に帯電したダスト15は、図2(b)に示すように補助電極7の網目7cを通り抜けて高電位の集電極6に向かって移動する。ここで、集電極6と補助電極7間の電位勾配は補助電極7と放電極8間の電位勾配よりも大きいため、補助電極7に一旦付着したダスト15であっても再び負に帯電させて集電極6側に容易に移動させることができる。なお、補助電極7と放電極8との間及び集電極6と補助電極7との間の電圧は必ずしも同時に印加する必要はない。すなわち、補助電極7と放電極8間に直流の高電圧を印加して、ガス内のダスト15を補助電極7に引き寄せた後、集電極6と補助電極7間に直流の高電圧を印加することもできる。このとき、補助電極7と放電極8との間の電圧はそのままの状態でも良いが、集電極6と補助電極7との間に電圧を印加すると同時に補助電極7と放電極8との間の電圧を下げても良いし、切っても良い。この場合、集電極6と補助電極7との間の電圧が補助電極7と放電極8との間の電圧に比べて相対的に高くなる。従って、消費電力を節約しつつ、集電極6と補助電極7との間の電位勾配が補助電極7と放電極8との間の電位勾配よりも大きいことに基づく上述の効果と同様の効果を得ることができる。
集電極6に引き寄せられたダスト15は、集電極6に接触して負の電荷を失い、その表面に付着する。集電極6表面へのダスト15の付着が進むと、一部のダスト15は集電極6の表面に付着することなく、空間6a内のガス中を浮遊する。なお、空間6a内のガスは、補助電極7内を上昇するガスと隔てられているため、上向きの流れが生じない。従って、ガス中を浮遊するダスト15は再度飛散することなく自重によって下降し、最終的にホッパ部10内に溜積する。このとき、集電極6と補助電極7との間の電圧の印加を停止すれば、ガス中を浮遊するダスト15だけでなく、補助電極7の表面に付着したダスト15も容易に下降し、ホッパ部10内に溜積する。なお、補助電極7と放電極8との間の電圧と、集電極6と補助電極7との間の電圧とは、それぞれ異なる直流電源12a,12bによって印加されているため、補助電極7と放電極8との間に電圧を印加した状態のままで、集電極6と補助電極7との間の電圧の印加を開始したり、停止したりすることができる。すなわち、補助電極7内のガスからダスト15を除去する作用を弱めることなく、ダスト15の下降を促進することが可能である。すなわち、補助電極7内を流れるガスからダスト15を除去する効率を低下させずに、ホッパ部10内にダスト15を溜積させる効率を高めることができるのである。
【0024】
以上説明したように、本実施例の電気集塵機1aは、ガス中に含まれるダスト15を上向きのガスの流れが生じていない空間6aに移動させて、自重によってホッパ部10内へ下降させるものである。従って、集電極6や補助電極7へのダスト15の付着量を少なくすることができる。これにより、集電極6及び補助電極7の清掃作業の回数を大幅に削減することが可能となる。この場合、保守に要する労力や時間が節約され、保守費用が安くなる。また、集電極6及び補助電極7からダスト15を除去する装置を別個に取付ける必要もない。従って、製造コストを安くすることができる。なお、一般に、抵抗値が10Ohm/cm以上のいわゆる高抵抗ダストが集塵用電極に付着すると電荷が蓄積されて剥がれ難くなる。そして、厚いダスト層を形成して、ついには内部で絶縁破壊を引き起こして正のイオンを放出する、いわゆる逆電離現象が起こる。この場合、コロナ放電によるガス分子の負イオン化が妨げられるため、集塵効率が著しく低下する。しかしながら、電気集塵機1aにおいては、上述のとおり、集電極6にダスト15が付着し難いため、このような逆電離現象が発生するおそれはない。さらに、本実施例の電気集塵機1aにおいては、放電極8から補助電極7側へダスト15を引き寄せる際に補助電極7と放電極8との間にのみ電圧を印加し、補助電極7から集電極6側へダスト15を引き寄せる際には集電極6と補助電極7との間に電圧を印加し、空間6a内のダスト15の下降を促すために集電極6と補助電極7との間の電圧の印加を停止するというように、補助電極7及び放電極8の間に印加する電圧と、集電極6及び補助電極7の間に印加する電圧を互いに独立して操作することで、消費電力を節約しつつ補助電極7内を流れるガスからダスト15を効率良く除去することが可能である。
【0025】
本実施例では、送風機14をガス導入管9の内部のみに設置しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ガス排出口4とガス導入管9の内部のいずれか、若しくは両方に設置しても良い。また、送風機14の代わりにコンプレッサを送風手段として設置することもできる。さらに、ホッパ部10はダスト排出口5に近づくにつれて内径が小さくなっていくような形状、例えば椀形状であっても良く、必ずしも略すり鉢状である必要はない。加えて、集塵機本体2、集電極6及び補助電極7は円筒状に限らず、例えば、角筒状であっても良い。また、補助電極7と放電極8との間の電圧と、集電極6と補助電極7との間の電圧とが連動して印加される構成とすることもできる。この場合、電圧を印加する回路が単純化されるため、製造コストが安くなる。さらに、補助電極7は網目状の導電性部材の代わりに、打抜加工によって多数の孔が形成された金属板等で構成されるものであっても良い。そして、打抜孔の大きさや個数及び網目7cの粗さは適宜変更可能である。ただし、打抜孔が大き過ぎる場合やその個数が多過ぎる場合あるいは網目7cが粗過ぎる場合には、補助電極7内のダスト15の集電極6側への移動は容易になるが、補助電極7内を上昇するガスの流れが空間6a内のガスに上向きの流れを生じさせるおそれがある。この場合、ダスト15の除去効率が低下するため、注意が必要である。また、打抜孔が小さ過ぎる場合やその個数が少な過ぎる場合あるいは網目7cが細か過ぎる場合には、補助電極7内のガスの流れによって空間6a内のガスが受ける影響は小さくなるが、補助電極7内のダスト15が集電極6側に移動し難くなり、ダスト15の除去効率が低下する可能性がある。従って、この場合も注意が必要である。
【実施例2】
【0026】
実施例2について図3及び図4を用いて説明する(特に、請求項4に対応)。
図3(a)は本発明の実施の形態に係る電気集塵機の実施例2の構成を示す縦断面図であり、(b)はガイド部材の平面図である。また、図4は実施例2の電気集塵機内のガスの流れを示す概念図である。なお、図1又は図2に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3(a)に示すように、本実施例の電気集塵機1bは実施例1の電気集塵機1aにおいて、開放端7aをガス排出口4から離して補助電極7を設置するとともに、補助電極7とガス排出口4との間に図3(b)に示すガイド部材16を設置したことを特徴とする。ガイド部材16は中央に開口部16aが設けられた絶縁性を有する円環状部材であり、ガイド面16bは中心軸16cを含む平面による縦断面を見た場合に略半円状をなしている。そして、ガイド部材16はガイド面16bが上に凸となり、かつ、中心軸16cが補助電極7の円筒軸に略一致するように絶縁性の固定治具(図示せず)を用いて集塵機本体2に固定されている。
【0027】
図4に示すように、上記構成の電気集塵機1bにおいて、直流電源12a,12bを用いて補助電極7と放電極8との間及び集電極6と補助電極7との間に直流の高電圧を印加するとともに、ガス導入管9によってダスト15を含むガスを開放端7bから補助電極7内に送り込んだ場合、このガスは矢印Aで示す向きに上昇しながら、集電極6、補助電極7及び放電極8の作用によってダスト15を除去される。さらに、開放端7aの近傍において、このガスの一部は矢印Cで示すようにガイド部材16の開口部16aを通ってガス排出口4へ向かい、残りのガスは矢印Dで示すようにガイド部材16のガイド面16bに沿って反転する。ガイド面16bに沿って反転したガスは、空間6aに上方から流れ込み、矢印Eで示すように空間6a内を下降する。このとき、矢印Eで示されるガスの流れは、前述の空間6aにおけるダスト15の下降を促進するように作用する。
流体では流速の自乗に比例する動圧と、静圧との和が一定(エネルギー保存の法則)となるため、吐出口9aから補助電極7の開放端7bに流入するガスにおいても流速が大きい分だけ静圧が補助電極7の開放端7b近傍に比べて減少する。その結果、吐出口9aから送出されるガスは周囲のガスに比べて負圧となり、矢印Bで示すように開放端7b近傍に存在する空間6a内のガスの一部を巻き込んで開放端7bへ流入する。これに伴い、空間6aの下部では下向きのガスの流れが発生する。すなわち、空間6a内を下降するガスの流れは集電極6の下端に近づくに従い、徐々に弱くなるものの、開放端7bの近傍において再び強くなる。このようにして、ホッパ部10に達したダスト15は自重により矢印Fで示す方向に下降し、順次溜積する。
なお、ガイド部材16の形状は本実施例に示す場合に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、ガイド部材16を半円筒部材として、この半円筒部材を補助電極7の上部端縁を跨ぐように複数設置した構造としても良い。この場合、ガイド部材16が単純な形状となるため、製造が容易となる。また、ガイド部材16の開口部16aの大きさも適宜変更可能である。例えば、開口部16aを狭く形成すると、矢印Dで示す流れが増加するため、空間6a内のダスト15に対してその下降を促進する作用を強めることができる。ただし、開口部16aが狭すぎる場合には、矢印Cで示すようなガス排出口4を通って集塵機本体2の外部に排出されるガスの量が減少して、電気集塵機1bの処理能力が低下するおそれがあるため、注意が必要である。
【0028】
以上説明したように、本実施例の電気集塵機1bは、補助電極7から送出されるガスの一部を集電極6と補助電極7によって形成される空間6aに上部から流入させることで、空間6a内に存在するダスト15の下降を促進させるという作用を有する。従って、自重の作用のみによる場合よりもダスト15の下降スピードを速めることができる。すなわち、ダスト15をホッパ部10に短時間で溜積させることができるため、ガスに含まれるダスト15を短時間で除去することが可能となる。また、集電極6や補助電極7にダスト15が実施例1の電気集塵機1aの場合よりもさらに付着し難くなるため、集電極6や補助電極7の清掃作業等の保守に要する費用をより一層削減することが可能である。そして、高抵抗ダストによる逆電離現象の発生をより確実に防止することができる。
【実施例3】
【0029】
実施例3について図5を用いて説明する。
図5(a)は本発明の実施の形態に係る電気集塵機の実施例3の構成を示す縦断面図であり、(b)は実施例3の電気集塵機においてダストが捕集される様子を示す概念図である。なお、図1乃至図4に示した構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の電気集塵機1cは実施例1の電気集塵機1aにおいて、集電極6と補助電極7との間及び補助電極7と放電極8との間に直流高電圧を印加する代わりに、集電極6と放電極8との間に直流高電圧を印加することを特徴とするものである。
図5(a)に示すように、集電極6及び放電極8には配線13cを介して直流電源12cの陽極及び陰極がそれぞれ接続され、この直流電源12cによって集電極6と放電極8の間には高圧の直流電圧が印加されている。これにより、集電極6と放電極8間にはコロナ放電が発生し、補助電極7内のガス分子が負にイオン化される。
図5(b)に示すように、イオン化したガス分子に衝突したダスト15は負に帯電するとともに、補助電極7の網目7cを通り抜けて高電位の集電極6に向かって移動する。集電極6に達したダスト15は負の電荷を失ってその表面に付着する。そして、集電極6に付着せずに空間6a内のガス中を浮遊するダスト15は、やがて自重によってゆっくりと下降し、最終的にホッパ部10に溜積する。
このように本実施例の電気集塵機1cは、集電極6と放電極8間にのみ電圧を印加しており、実施例1及び実施例2の場合よりも簡単な構成でありながら、補助電極7内のガスに含まれるダスト15を集電極6と補助電極7によって形成される空間6aに移動させるという実施例1及び実施例2と同様の作用を有している。従って、電圧を印加する回路構成が簡単なものとなるため、安価に製造することができる。また、装置の操作が容易であり、安全性が高い。さらに、補助電極7にはダスト15が付着しないため、補助電極7を清掃する必要がなく、保守に要する費用を削減することができる。加えて、補助電極7は導電性部材でなくとも良いため、例えば、安価な絶縁性部材を使用することができる。この場合、装置の製造コストをさらに安くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
請求項1乃至請求項4に記載された発明は、焼却炉や加熱炉などから排出されるガスに含まれるダストを除去する装置に対して適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る電気集塵機の実施例1の構成を示す縦断面図であり、(b)は図1(a)のX−X線矢視断面図である。
【図2】(a)及び(b)は実施例1の電気集塵機においてダストが捕集される様子を示す概念図である。
【図3】(a)は本発明の実施の形態に係る電気集塵機の実施例2の構成を示す縦断面図であり、(b)はガイド部材の平面図である。
【図4】実施例2の電気集塵機内のガスの流れを示す概念図である。
【図5】(a)は本発明の実施の形態に係る電気集塵機の実施例3の構成を示す縦断面図であり、(b)は実施例3の電気集塵機においてダストが捕集される様子を示す概念図である。
【符号の説明】
【0032】
1a〜1c…電気集塵機 2…集塵機本体 3…ガス導入口 4…ガス排出口 5…ダスト排出口 6…集電極 6a…空間 7…補助電極 7a,7b…開放端 7c…網目 8…放電極 9…ガス導入管 9a…吐出口 9b…先端部 10…ホッパ部 11…蓋 12a〜12c…直流電源 13a〜13c…配線 14…送風機 15…ダスト 16…ガイド部材 16a…開口部 16b…ガイド面 16c…中心軸 A〜F…矢印

【出願人】 【識別番号】506252680
【氏名又は名称】吉村 隆貫
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩


【公開番号】 特開2008−23490(P2008−23490A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201345(P2006−201345)