トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 浮遊粒子の吸着除去方法およびこの吸着除去方法に用いる吸着除去装置
【発明者】 【氏名】田中 勝也

【要約】 【課題】被処理液中に含まれる浮遊粒子を効率よく分離除去できるとともに、浮遊粒子の分離除去に利用した磁性粒子を浮遊粒子とは別に容易に分離回収することのできる浮遊粒子の吸着除去方法およびこの方法に用いる浮遊粒子の吸着除去装置を提供することを目的としている。

【構成】浮遊粒子を含む液体に、磁性粒子と凝集剤とを投入し、浮遊粒子と磁性粒子とを巻き込んでなるフロックを形成するフロック形成工程と、着磁された回転ドラムをこのフロック形成工程で得られたフロック混合液中に一部を浸漬させた状態で回転させながら、前記フロックを磁力によって回転ドラムに吸着させる吸着工程と、回転ドラムの最高点より回転方向後方の喫水面より上方位置で、回転ドラム上に吸着したフロックを回転ドラムから取り除くフロック除去工程とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊粒子を含む液体に、磁性粒子と凝集剤とを投入し、浮遊粒子と磁性粒子とを巻き込んでなるフロックを形成するフロック形成工程と、
着磁された回転ドラムをこのフロック形成工程で得られたフロック混合液中に一部を浸漬させた状態で回転させながら、前記フロックを磁力によって回転ドラムに吸着させる吸着工程と、
回転ドラムの最高点より回転方向後方の喫水面より上方位置で、回転ドラム上に吸着したフロックを回転ドラムから取り除くフロック除去工程とを備えていることを特徴とする浮遊粒子の吸着除去方法。
【請求項2】
フロック除去工程が、フロックに含まれる磁性粒子以外の部分を回転ドラムに押し当てた絞りローラによって絞り取る工程と、回転ドラム表面に残った磁性粒子を回転ドラム表面から取り除く工程とを備える請求項1に記載の浮遊粒子の吸着除去方法。
【請求項3】
回転ドラムから除去回収した磁性粒子を、フロック形成工程に再利用する請求項1または請求項2に記載の浮遊粒子の吸着除去方法。
【請求項4】
浮遊粒子が、土壌粒子である請求項1から請求項3のいずれかに記載の浮遊粒子の吸着除去方法。
【請求項5】
浮遊粒子と磁性粒子とを巻き込んでなるフロックを含むフロック混合液を収容するための処理タンクと、
処理タンクの上方に、回転軸を水平方向にして、回転ドラムの表面の一部がフロック混合液中に浸漬するように配置される回転ドラムと、
回転ドラムの最高点より回転方向後方、かつ、回転ドラムの喫水面より上方位置で回転ドラムの表面に当接する絞りローラとを備えるとともに、
回転ドラムの表面のうち、前記絞りローラより回転方向後方、かつ、回転ドラムの喫水面より上方位置を除く部分が、少なくとも前記フロックを磁力によって吸着可能に着磁されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の浮遊粒子の吸着除去方法に用いる浮遊粒子の吸着除去装置。
【請求項6】
回転ドラムの表面のうち、前記絞りローラより回転方向後方、かつ、回転ドラムの喫水面より上方位置を除く部分が、磁性粒子を非吸着な弱着磁状態あるいは非着磁状態になっているとともに、この弱着磁状態あるいは非着磁状態の回転ドラムの表面に回転ドラムの表面の吸着物を除去する除去ブレードの先端が当接している請求項5に記載の浮遊粒子の吸着除去装置。
【請求項7】
絞りローラの最高点が、回転ドラムの最高点より低い位置に配置されている請求項5または請求項6に記載の浮遊粒子の吸着除去装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、赤土等の難沈降性粒子等の浮遊粒子を含む被処理液中から浮遊粒子を効率よく除去できる浮遊粒子の吸着除去方法およびこの吸着除去方法に用いる吸着除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、沖縄本島における赤土のような微細粒径土壌の場合、降雨による侵食を受け、多くの場合2000ppm以上の濃度で沈砂池に流入するが、粒径20μm以下の成分が50%以上を占める様な微細粒径であるため、自然沈降では数時間でも充分に沈降せず、河川・海洋への流出を食い止められない。
また、沖縄本島北部に多い国頭マージと呼ばれる赤土の場合、強酸性であるため、この赤土が海水に入ると海水のpHを低下させ、海が酸性に傾きアルミニウムイオンの溶出が起こり、これによってサンゴをはじめとする海の生物は持続的な被害を受ける虞がある。
【0003】
一方、難沈降性微粒子を含む懸濁水を早期に浄化する方法として凝集剤を用いて、難沈降性微粒子を凝集沈殿させる方法がある。
しかし、凝集剤として一般的に用いられるPAC(ポリ塩化アルミニウム)を用いた場合、PACの凝集力が小さいためPACの多量の投入が必要であったり、pHの細やかな調整も必要であったりする等、煩雑で非効率的である。
【0004】
そこで、本発明の発明者は、凝集剤とともに、磁性粒子を投入して、この磁性粒子を難沈降性微粒子等の浮遊粒子とともに凝集させ、形成された浮遊粒子と磁性粒子とを含むフロックを被処理液中から磁石によって吸着除去するようにすれば、少量の凝集剤の使用で効率よく懸濁水を浄化できるのではないかと考えた。
【0005】
ところで、磁性粒子を被処理液中から吸着除去する装置としては、磁性粒子を含む被処理液が収容された処理タンク内に、永久磁石を内蔵した回転ドラムを配置し、回転ドラムの表面の一部を被処理液に浸漬させながら回転させ、回転ドラムの表面に磁性粒子を含む汚泥を吸着させた後、この汚泥を回転ドラムの表面に当接する絞りローラによって押圧脱水し、脱水後に回転ドラムの表面に吸着した状態で残存している磁性粒子を含む脱水された汚泥を回転ドラムの表面に当接するスラッジ剥離板によって掻き取ることにより、被処理液から磁性粒子を分離除去するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、被処理液を収容する処理タンクと、処理タンク内に先端部が配置され、処理タンクに対して傾斜して設けられる筒体と、この筒体の内部を往復移動する磁石とを備え、ゼオライト粒子と磁性粒子とを含有する造粒物粒子に、被処理液中の有害物質を吸着させて捕集させた後、有害物質を捕集した造粒物粒子を磁石に吸着させることにより、被処理液から有害物質を分離除去するものが開示されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、前者の吸着除去装置は、絞りローラが、回転ドラムの表面の最も高い位置よりも回転ドラムの回転方向手前側に配置されているため、絞りローラによる脱水処理によって生じた排水が、再度、処理タンク内に戻されてしまう。したがって、磁性粒子の分離除去には適しているものの、磁性粒子以外の浮遊粒子を被処理液から分離除去することができない。
【0008】
また、後者の装置は、有害物質を捕集した造粒物粒子を磁石に吸着させて処理タンク外に移動させた後、有害物質を捕集した造粒物粒子を分離除去するため、有害物質だけでなく磁性粒子も一緒に分離除去されてしまう。したがって、有害物質の分離除去には適しているものの、磁性粒子の分離回収が困難で、磁性粒子を再利用しづらいという欠点がある。
【特許文献1】特開平10−24249号公報
【特許文献2】特開2005−177709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、被処理液中に含まれる浮遊粒子を効率よく分離除去できるとともに、浮遊粒子の分離除去に利用した磁性粒子を浮遊粒子とは別に容易に分離回収することのできる浮遊粒子の吸着除去方法およびこの方法に用いる浮遊粒子の吸着除去装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の浮遊粒子の吸着除去方法(以下、「請求項1の吸着除去方法」と記す)は、浮遊粒子を含む液体に、磁性粒子と凝集剤とを投入し、浮遊粒子と磁性粒子とを巻き込んでなるフロックを形成するフロック形成工程と、着磁された回転ドラムをこのフロック形成工程で得られたフロック混合液中に一部を浸漬させた状態で回転させながら、前記フロックを磁力によって回転ドラムに吸着させる吸着工程と、回転ドラムの最高点より回転方向後方の喫水面より上方位置で、回転ドラム上に吸着したフロックを回転ドラムから取り除くフロック除去工程とを備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明の請求項2記載の浮遊粒子の吸着除去方法(以下、「請求項2の吸着除去方法」と記す)は、フロック除去工程が、フロックに含まれる磁性粒子以外の部分を回転ドラムに押し当てた絞りローラによって絞り取る工程と、回転ドラム表面に残った磁性粒子を回転ドラム表面から取り除く工程とを備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項3記載の浮遊粒子の吸着除去方法(以下、「請求項3の吸着除去方法」と記す)は、回転ドラムから除去回収した磁性粒子を、フロック形成工程に再利用することを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項4記載の浮遊粒子の吸着除去方法(以下、「請求項4の吸着除去方法」と記す)は、浮遊粒子が、土壌粒子であることを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項5記載の浮遊粒子の吸着除去装置(以下、「請求項5の吸着除去装置」と記す)は、請求項1から請求項4のいずれかの吸着除去方法に用いる装置であって、浮遊粒子と磁性粒子とを巻き込んでなるフロックを含むフロック混合液を収容するための処理タンクと、処理タンクの上方に、回転軸を水平方向にして、回転ドラムの表面の一部が被処理液中に浸漬するように配置される回転ドラムと、回転ドラムの最高点より回転方向後方、かつ、回転ドラムの喫水面より上方位置で回転ドラムの表面に当接する絞りローラとを備えるとともに、回転ドラムの表面のうち、前記絞りローラより回転方向後方、かつ、回転ドラムの喫水面より上方位置を除く部分が、少なくとも前記フロックを磁力によって吸着可能に着磁されていることを特徴としている。
【0015】
本発明の請求項6記載の浮遊粒子の吸着除去装置(以下、「請求項6の吸着除去装置」と記す)は、請求項5の吸着除去装置において、回転ドラムの表面のうち、前記絞りローラより回転方向後方、かつ、回転ドラムの喫水面より上方位置を除く部分が、磁性粒子を非吸着な弱着磁状態あるいは非着磁状態になっているとともに、この弱着磁状態あるいは非着磁状態の回転ドラムの表面に回転ドラムの表面の吸着物を除去する除去ブレードの先端が当接していることを特徴としている。
【0016】
本発明の請求項7記載の浮遊粒子の吸着除去装置(以下、「請求項7の吸着除去装置」と記す)は、請求項5または6の吸着除去装置において、絞りローラの最高点が、回転ドラムの最高点より低い位置に配置されていることを特徴としている。
【0017】
本発明において、磁性体粒子としては、特に限定されないが、例えば、Fe、Co、Ni等の粒子が挙げられる。磁性体粒子の粒径としては、特に限定されないが、0.2〜0.6μm程度が好ましい。
【0018】
また、凝集剤としては、特に限定されないが、例えば、無機系凝集剤、有機系高分子凝集剤が挙げられる。有機系高分子凝集剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系のいずれでも構わない。ただし、凝集力が強すぎると凝集剤と磁性体粒子・土壌粒子が後で分離できないので、柔らかいフロックになるものが好ましい。
【0019】
また、回転ドラムの最高点とは、回転ドラムの表面において、地面から最も高い位置となる点をいうものとする。絞りローラの最高点も同様に、絞りローラの表面において、地面から最も高い位置となる点をいうものとする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の吸着除去方法によれば、浮遊粒子を含む液体に、磁性粒子と凝集剤とを投入し、浮遊粒子と磁性粒子とを巻き込んでなるフロックを形成するフロック形成工程と、着磁された回転ドラムをこのフロック形成工程で得られたフロック混合液中に一部を浸漬させた状態で回転させながら、前記フロックを磁力によって回転ドラムに吸着させる吸着工程と、回転ドラムの最高点より回転方向後方の喫水面より上方位置で、回転ドラム上に吸着したフロックを回転ドラムから取り除くフロック除去工程とを備えているので、フロック混合液中のフロックが吸着した回転ドラムからフロック混合液側にもどることなく効率よく取り除くことができる。
【0021】
請求項2の吸着除去方法によれば、フロック除去工程が、フロックに含まれる磁性粒子以外の部分を回転ドラムに押し当てた絞りローラによって絞り取る工程と、回転ドラムの表面に残った磁性粒子を回転ドラムの表面から取り除く工程とを備えているので、フロック混合液からフロックを取り除くときに、フロックに含まれる磁性粒子以外の部分と磁性粒子とを個別に除去することができる。つまり、浮遊粒子と磁性粒子とを個別に除去することができる。
【0022】
請求項3の吸着除去方法によれば、回転ドラムから除去回収した磁性粒子を、フロック形成工程に再利用するので、フロック形成工程において、磁性粒子を繰り返し半永久的に利用することができる。したがって、限りある資源を有効活用できる上、ランニングコストを削減することができる。
【0023】
請求項4の吸着除去方法によれば、浮遊粒子が土壌粒子であるので、土壌粒子の懸濁水から土壌粒子を分離除去することができる。したがって、例えば、自然沈降しにくい微細粒径土壌が、大雨などにより河川や海洋に流れ出す前に、これらの土壌粒子を本発明の吸着除去方法によって吸着除去することにより、海洋汚染などの被害が発生するのを効果的に防止できる。また、貯水施設に貯水された雨水に含まれる土壌粒子を吸着除去することにより、雨水を浄水化して、工業用水などの中水として利用することもできる。
【0024】
請求項5の吸着除去装置によれば、浮遊粒子と磁性粒子とを巻き込んでなるフロックを含むフロック混合液を収容するための処理タンクと、処理タンクの上方に、回転軸を水平方向にして、回転ドラムの表面の一部がフロック混合液中に浸漬するように配置される回転ドラムと、回転ドラムの最高点より回転方向後方、かつ、回転ドラムの喫水面より上方位置で回転ドラムの表面に当接する絞りローラとを備えるとともに、回転ドラムの表面のうち、前記絞りローラより回転方向後方、かつ、回転ドラムの喫水面より上方位置を除く部分が、少なくとも前記フロックを磁力によって吸着可能に着磁されているので、フロック混合液に含まれるフロックを、回転ドラムの表面に吸着させた状態で、回転ドラムの最高点よりも回転ドラムの回転方向後方に設けた絞りローラとの当接部まで運搬した後、フロックに含まれる磁性粒子以外の部分を絞りローラによって絞り取ることができるとともに、磁性粒子を回転ドラムの表面に吸着した状態で、回転ドラムと絞りローラとの当接部を通過させることができる。したがって、フロック混合液中からフロックを確実に除去できる上、フロックに含まれる浮遊粒子と磁性粒子とを個別に分離除去することができる。
【0025】
請求項6の吸着除去装置によれば、回転ドラムの表面のうち、前記絞りローラより回転方向後方、かつ、回転ドラムの喫水面より上方位置を除く部分が、磁性粒子を非吸着な弱着磁状態あるいは非着磁状態になっているとともに、この弱着磁状態あるいは非着磁状態の回転ドラムの表面に回転ドラムの表面の吸着物を除去する除去ブレードの先端が当接しているので、絞りローラより回転方向後方に運搬された後、回転ドラムに対して非吸着状態となった磁性粒子を、回転ドラムの表面に沿わせた除去ブレードの刃先で容易にかつ確実に掻き取ることができる。
【0026】
また、絞りローラの最高点が、回転ドラムの最高点より低い位置に配置されているものでは、フロックに含まれる磁性粒子以外の部分が、ある程度回転ドラムと絞りローラとの当接部に堆積すると、自然に絞りローラの最高点を乗り越えるので、受け皿などで受けるようにすれば、特別な除去手段を用いることなく、フロックに含まれる磁性粒子以外の部分、すなわち、浮遊粒子を回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明にかかる浮遊粒子の吸着除去方法の一実施形態について、図面を用いながら詳細に説明する。
【0028】
本実施形態の吸着除去方法は、図1に示すように、まず、山等から流れ出た赤土等の微細粒径土壌を含む懸濁水100を沈砂池101に貯めて、懸濁水100中の易沈降性の粗い砂や砕石等の大粒の異物102を沈砂池101内で沈降させ、上澄みとして残った浮遊粒子としての微細粒径土壌のみを含む懸濁水103を前処理槽104に移す。
沈砂池としては、特に限定されないが、例えば、特開2005−179919号公報に開示されている多数の合成樹脂製の傾斜板を多段に組み合わせて形成することができる積水化学工業社製商品名レインステーションを用いて形成することが好ましい。
そして、前処理槽104に移した懸濁水103に、磁性粒子Mと凝集剤N1とを投入し、一旦攪拌した後、必要に応じてpH調整剤Rを投入した後、さらに凝集剤N2を投入し、攪拌して、微細粒径土壌と磁性粒子とを巻き込んでなるフロックFを形成する。
【0029】
次に、フロック形成工程で得られたフロック混合液Wを吸着除去装置1に投入し、着磁された回転ドラム3をフロック混合液W中に一部を浸漬させた状態で回転させながら、前記フロックFを磁力によって回転ドラム3に吸着させる。その後、回転ドラム3に押し当てて配置されている絞りローラ4によって、フロックFに含まれる磁性粒子M以外の部分、つまり、水分を含んだ微細粒径土壌からなる堆積物Tを分離するとともに、回転ドラム表面に残った磁性粒子Mを回転ドラム3の表面から取り除く。回収された磁性粒子Mは、必要に応じて、フロック形成工程において再利用する。
なお、吸着除去装置1の具体的な実施形態およびその作用効果については、後述する。
【0030】
水分を含んだ微細粒径土壌からなる堆積物Tの廃棄処理方法としては、例えば、図1に示すように、真空吸引装置Vによって吸引回収し、脱水機やサイクロン式分離装置によって脱水した後、プレス等によりさらに脱水ケーキCを成形し、埋立地などの廃棄処分場に運搬輸送し、廃棄処分する。
【0031】
次に、本発明の吸着除去方法に用いる吸着除去装置1の具体的な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態の吸着除去装置1aは、図2に示すように、フロック混合液Wを収容するための処理タンク2と、処理タンク2の上方に、図示しない回転軸を水平方向にして配置される回転ドラム3と、回転ドラム3の表面に当接する絞りローラ4aと、絞りローラ4aよりも回転ドラム3の回転方向後方に配置される除去ブレード5とを備えている。
【0032】
処理タンク2は、フロック混合液Wを収容するための混合液収容部21と、フロック混合液Wに含まれるフロックFを回転ドラム3に吸着させた後の排水を一時的に貯留する排水収容部22と、排水収容部22に収容された排水を適宜排水するための排水口23とを備えている。混合液収容部21と排水収容部22とは、処理タンク2の底面に対して垂直に設置された仕切り板24によって仕切られている。仕切り板24の上端部には、湾曲板25が設けられている。湾曲板25は、回転ドラム3と同心かつ同一の曲率半径で湾曲しており、図2に示すように、混合液収容部21側に配設されている。
【0033】
回転ドラム3は、図2に示すように、処理タンク2の湾曲板25の上方に、湾曲板25との間に流路が形成されるように所定間隔をあけて設けられている。
回転ドラム3は、処理タンク2に対して固定された磁石6を内蔵しており、図示しない駆動装置によって、磁石6の周囲を矢印X方向に回転可能となっている。
磁石6は、断面視略C字形で、回転ドラム3の回転方向において、ドラムの回転方向後方の喫水面Aから絞りローラ4aとの当接部Bまでの間に配置されており、回転ドラムの表面のうち、前記絞りローラ4aより回転方向後方、かつ、回転ドラム3の喫水面Aより上方位置を除く部分が、フロックFを磁力によって吸着可能に着磁されている
【0034】
絞りローラ4は、表面がゴムなどの弾性材料で形成されており、回転ドラム3の表面の最高点Pよりも回転ドラム3の回転方向後方で、かつ、回転ドラム3の喫水面Aよりも上方に、回転ドラム3の表面に圧接した状態で配置されている。
【0035】
除去ブレード5は、非磁性材料で形成されており、刃先51を回転ドラム3の表面に沿わせた状態で、刃先51側が高く、根元側が低くなるように、傾斜して設けられている。
【0036】
フロック混合液Wは、予め、赤土等の微細粒径土壌などの土壌粒子Lを含む液体に、磁性粒子Mと凝集剤N1,N2とを投入することにより形成された、土壌粒子Lと磁性粒子Mとを巻き込んでなるフロックFを含有しており、処理タンク2内に、回転ドラム3の表面の一部がフロック混合液W中に浸漬する水位まで投入されている。
【0037】
次に、本実施形態の装置を用いて、フロック混合液Wから土壌粒子Lと磁性粒子Mとを取り除く手順について説明する。
まず、回転ドラム3を図2に示す回転方向に連続的に回転させ、フロック混合液Wに含まれるフロックFを回転ドラム3の表面のフロック混合液Wに浸漬している部分に吸着させる。
回転ドラム3の表面に吸着したフロックFは、回転ドラム3の回転に伴って、回転ドラム3に吸着した状態で運搬され、回転ドラム3の最高点Pを越えた後、回転ドラム3に圧接しながら回転する絞りローラ4aによって、フロックFに含まれる磁性粒子M以外の部分、つまり、水分と土壌粒子Lとを含む堆積物Tが絞り取られる。
一方、フロックFに含まれる磁性粒子Mは、回転ドラム3の表面に残り、絞りローラ4aとの当接部Bを通過した後、除去ブレード5により回転ドラム3の表面から掻き取られて回収される。
なお、回収された磁性粒子Mは、フロックFを形成する工程で再利用される。また、回転ドラム3と絞りローラ4aとの当接部Bの手前で絞り取られた堆積物Tは、例えば真空吸引装置Vや図示しない刷毛などによって取り除かれて回収される。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態にかかる装置1aによれば、フロック混合液W中のフロックFから、土壌粒子Lと磁性粒子Mとを容易かつ確実に分離除去できる。
また、断面視略C字形の磁石6を、回転ドラム3の回転方向において、ドラムの回転方向後方の喫水面Aから絞りローラ4aとの当接部Bまでの間に配置したことにより、絞りローラ4aより回転方向後方、かつ、回転ドラム3の喫水面Aより上方位置を除く部分が、磁性粒子Mを非吸着な弱着磁状態あるいは非着磁状態となるため、磁性粒子Mを除去ブレード5によって容易かつ確実に掻き取ることができる。
また、除去ブレード5が、刃先51が高く根元部が低くなるように傾斜させて配置されているので、除去ブレード5の刃先51の上に堆積した磁性粒子Mを自重によりブレード上を滑らせて容易に回収することができる。
【0039】
次に、本発明の吸着除去方法に用いる吸着除去装置1の第2の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態の浮遊粒子の吸着除去装置1bは、基本的には、第1の実施形態の装置1aと同じ構成であるため、同じ部分については、第1の実施形態と同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0040】
本実施形態の装置1bは、図3に示すように、絞りローラ4bの最高点Qが、回転ドラム3の最高点Pよりも低い位置に配置されるように設けられている。
また、絞りローラ4bの後方には、回転ドラム3と絞りローラ4bとの当接部Bの手前に堆積した堆積物Tを回収する回収ブレード7が、刃先71を絞りローラ4bの表面に沿わせた状態で設けられている。
回収ブレード7は、非磁性材料で形成されており、刃先71を回転ドラム3の表面に沿わせた状態で、刃先71側が高く、根元側が低くなるように、傾斜して設けられている。
【0041】
したがって、本実施形態の装置1bによれば、本発明の効果に加えて、回転ドラム3と絞りローラ4bとの当接部Bの手前に堆積した堆積物Tを、絞りローラ4bの最高点を乗り越えさせて、回収ブレード7の刃先71側に誘導することができる。したがって、特別な除去手段を用いることなく、フロックFに含まれる磁性粒子M以外の部分、すなわち、浮遊粒子Fを含む堆積物Tを回収することができるのである。
また、回収ブレード7の刃先71上に堆積した堆積物Tをその自重によりブレード上を滑らせて容易に回収することができる。
【0042】
なお、上記実施形態では、浮遊粒子として、赤土などの微細粒径の土壌粒子Lを例としたが、これは浮遊粒子の一例であって、これに限定されるものではない。したがって、例えば、雨水を回収した時に含まれる微細粒子等であってもよい。
【0043】
また、使用される磁石6は、フェライト系(Ba系、Sr系)、希土類ネオジム系(Ne−Fe−B)、希土類サマリウム・コバルト系(Sm−Co)等の永久磁石でもよいし、電磁石でも構わない。
【0044】
また、第2の実施形態において、回収ブレード7は必ずしも必要ではない。回転ドラム3と絞りローラ4bとの当接部Bの手前に堆積した堆積物Tが、所定量を超えて、絞りローラ4bの最高点を乗り越えたときに、乗り越えて落下する堆積物Tを受け止めて回収できるようになっていればよい。
【0045】
次に、本発明の具体的な実施例を説明する。
【0046】
(実施例)
フロック混合液Wは、以下の手順により得た。
1)土壌粒子の混濁液10リットル(土壌粒子200mg含/リットル)に対して、磁 性粒子としてマグネタイト(三井金属鉱業社製 製品名:鉄黒顔料 SL)20 gを添加して攪拌した。
2)凝集剤として、ポリ硫酸第二鉄(多木化学株式会社製 製品名:ダンパワー)10 0ミリリットルを添加して攪拌した。
3)8モルの水酸化カリウム溶液を100ミリリットル程度添加して、溶液のpHを7 付近に調整した。
4)凝集補助剤として、カチオン系高分子凝集剤(三洋化成工業株式会社製 製品名: サンフロック)0.1%溶液100ミリリットルを添加して攪拌した。
5)攪拌後の液体を数分間放置して、土壌粒子Lと磁性粒子Mとを巻き込んでなるフロ ックFが形成されたフロック混合液Wを得た。
そして、本発明の第1の実施形態である吸着除去装置1aに、上記手順により得られたフロック混合液Wを投入した。回転ドラム3は、外径102mm、幅315mmで、フロック混合液Wに25mm深さで浸漬させた状態で、回転速度6回/分で動作させ、フロック混合液Wから土壌粒子Lと磁性粒子Mとを分離回収した。
排水管23からの排水の含有固形分重量を測定したところ、30mg/リットルであった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明にかかる浮遊粒子の吸着除去方法の一例を模式的に説明する模式図である。
【図2】本発明にかかる第1の実施形態である浮遊粒子の吸着除去装置1aを模式的に説明する模式図である。
【図3】本発明にかかる第2の実施形態である浮遊粒子の吸着除去装置1bの要部を拡大して模式的に説明する模式図である。
【符号の説明】
【0048】
1(1a,1b) 浮遊粒子の吸着除去装置
2 処理タンク
3 回転ドラム
4(4a,4b) 絞りローラ
5 除去ブレード
7 回収ブレード
W フロック混合液
L 土壌粒子(浮遊粒子)
M 磁性粒子
F フロック
A 喫水面
B 回転ドラムと絞りローラとの当接部
P 回転ドラムの最高点
Q 絞りローラの最高点
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成18年7月12日(2006.7.12)
【代理人】 【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳


【公開番号】 特開2008−18319(P2008−18319A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−191357(P2006−191357)