トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 スラグと金属の分離選別方法および分離選別装置
【発明者】 【氏名】佐藤 弘孝

【氏名】大和田 輝夫

【氏名】高柳 光一

【氏名】川村 光郎

【氏名】根本 仁視

【氏名】佐田 弘

【要約】 【課題】スラグと金属との比重差を利用して、スラグ粒と金属粒とを容易かつ高い分離効率のもとに分離選別できる分離選別方法および分離選別装置を提供する

【解決手段】比重の異なるスラグ粒と金属粒との混合物および分散液を中心軸が略鉛直な筒型容器内に装入し、該分散液を略鉛直な軸の周りに旋回させ、該筒型容器内に該分散液を補給することにより、該スラグ粒を分散液とともに該筒型容器の上部からオーバーフローさせることを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法および分離選別装置である。前記の方法および装置において、筒型容器内に補給する分散液により、前記分散液を旋回させ、容器底部の中心部に設けられた金属粒回収パイプを通して金属粒を排出することが好ましく、また、前記分散液をスラグ粒および/または金属粒と分離後、再度、筒型容器内に循環補給することがさらに好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
比重の異なるスラグ粒と金属粒との混合物および分散液を中心軸が略鉛直な筒型容器内に装入し、該分散液を略鉛直な軸の周りに旋回させ、該筒型容器内に該分散液を補給することにより、該スラグ粒を分散液とともに該筒型容器の上部からオーバーフローさせることを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法。
【請求項2】
請求項1に記載の分離選別方法において、前記筒型容器に補給する分散液により前記分散液を旋回させることを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の分離選別方法において、前記筒型容器の底部に沈降した金属粒を、該筒型容器の底部に該容器の中心軸に沿って設置された金属粒回収パイプを通して排出しながらスラグ粒と金属粒とを分離選別することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法。
【請求項4】
請求項3に記載の分離選別方法において、前記金属粒回収パイプの上方に、前記筒型容器の中心軸に沿ってその下端が前記筒型容器の底よりも高い位置となるように金属粒回収補助パイプを設置し、金属粒を該金属粒回収パイプと金属粒回収補助パイプとの間隙を通して該金属粒回収パイプ内に導入し排出することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の分離選別方法において、前記スラグ粒とともに前記筒型容器の上部からオーバーフローした前記分散液および/または金属回収パイプから金属粒とともに排出した分散液を、該スラグ粒および/または金属粒と分離した後に、再度、該筒型容器内に循環補給することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の分離選別方法により分離回収された金属粒に含まれる鉄と鉄以外の金属類とを磁力選別により分離選別することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の分離選別方法において、前記スラグ粒が水砕スラグ粒であり、前記金属粒が水砕金属粒であることを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法。
【請求項8】
比重の異なるスラグ粒と金属粒との分離選別装置であって、スラグ粒と金属粒との混合物および分散液を収容する中心軸が略鉛直な筒型容器と、該分散液を略鉛直な軸の周りに旋回させるための分散液旋回手段と、該スラグ粒を該分散液とともに該筒型容器の上部からオーバーフローさせる量に相当する量の分散液を該筒型容器内に補給する補給手段とを有することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置。
【請求項9】
請求項8に記載の分離選別装置において、前記分散液旋回手段として、分散液により前記分散液を旋回させるための液体噴出ノズルを有することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の分離選別装置において、さらに、前記筒型容器の底部に該筒型容器の中心軸に沿って、前記筒型容器の底部に沈降した金属粒を該筒型容器から排出するための金属粒回収パイプを有することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置。
【請求項11】
請求項10に記載の分離選別装置において、さらに、前記金属粒回収パイプの上方でかつ前記筒型容器の中心軸に沿って、その下端が前記筒型容器の底よりも高い位置に位置し、金属粒を該金属粒回収パイプとの間隙を通して該金属粒回収パイプ内に導入し排出するための金属粒回収補助パイプを有することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれかに記載の分離選別装置において、さらに、前記スラグ粒とともに前記筒型容器の上部からオーバーフローした前記分散液を該スラグ粒と分離する分散液分離装置および/または金属回収パイプを通して金属粒とともに排出した前記分散液を該金属粒と分離する分散液分離装置と、該スラグ粒および/または金属粒と分離された後の該分散液を再度該筒型容器内に循環補給する循環補給装置とを有することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれかに記載の分離選別装置において、さらに、該分離選別装置により分離回収された金属粒に含まれる鉄と鉄以外の金属類とを磁力選別により分離選別するための磁力選別装置を備えたことを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれかに記載の分離選別装置において、前記スラグ粒が水砕スラグ粒であり、前記金属粒が水砕金属粒であることを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物に含まれる有機物を燃焼して、これら廃棄物中に含まれる灰分および有価金属を溶融スラグおよび溶融金属としてそれぞれ回収する廃棄物ガス化溶融炉法などにより回収されたスラグおよび金属の分離選別方法、および分離選別装置に関する。さらに、詳細には、例えば、ガス化溶融炉外に排出され、水砕水槽に導入されて得られた水砕固化物、すなわち水砕スラグおよび水砕金属の混合物を、資源として有効利用可能なスラグと金属とに確実に分離選別できる方法、および分離選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生活ごみなどの一般廃棄物や産業廃棄物などの一部は、従来はその殆ど全てが焼却処理されていた。しかし、これらの廃棄物を焼却処理する際には、200〜600℃の範囲、特に300℃程度の温度域においてダイオキシン類が発生する。また、焼却灰の最終処分場の確保が難しくなっているとともに、資源の有効活用の観点から、廃棄物の有効リサイクルに関する要請も強い。このため、従来の焼却による廃棄物の処理のみでは、これらに十分に対応することができなくなっている。
【0003】
そこで、本発明者らは、先に特許文献1にて、炉軸にそって下方に向けて支燃性ガスを炉内に吹き込む昇降可能な炉中心ランス、支燃性ガスを吹き込む角度を炉軸方向からずらせて配置した1段以上の上部羽口、支燃性ガスまたは支燃性ガスおよび燃料を炉軸に向かって吹き付ける方向に、かつ炉内に突き出して配置した1段以上の下部羽口を有するガス化溶融炉を使用することにより、廃棄物中に含まれる有機物を燃焼させて、これら廃棄物に含まれる灰分および有価金属(以下単に「金属」とも記す)を溶融スラグおよび溶融金属としてそれぞれ回収する廃棄物のガス化溶融炉、およびガス化溶融方法に係る発明を提案した。この発明によれば,付加価値の高いスラグおよび金属類ならびにエネルギーガスを安定して回収し、有効利用することができる。
【0004】
実操業においては、ガス化溶融炉内で生成した溶融スラグおよび溶融金属の混合物は、水砕水槽に導入されて水砕スラグ(以下、単に「スラグ」と記すこともある)および水砕金属(以下、単に「金属」と記すこともある)となり、磁力選別により分離選別後、回収されている。従来、水砕スラグは路盤材などとして使用することが可能であるが、その場合には、錆発生の原因となる金属を確実に分離除去することが必要となる。一方、水砕金属も有価な金属資源としてリサイクルすることが可能である。スラグ粒と金属粒との分離が不十分な場合には、これらの有効利用が著しく制約される。そのため、スラグ粒と金属粒とを確実に分離することが重要である。
【0005】
スラグ粒と金属粒とを分離する主な方法として、磁力選別があげられる。磁力選別は、回転する磁石ドラムにスラグ粒と金属粒との混合物を落下させて、金属粒を磁着させ、スラグ粒をドラムの回転に伴う遠心力によって分離する方法である。しかしながら,水砕水槽から回収されるスラグ粒および金属粒は濡れた状態であるため、磁選機のドラム表面に水膜を形成する。この水の表面張力によりドラム表面にスラグ粒が付着するため、ドラム表面の磁束密度が低下するという問題が発生する。そのため、金属粒が磁選機に付着せずにスラグ粒中に混入し、スラグ回収ヤードに付随搬送される。逆に、ドラム表面に付着したスラグ粒は、金属回収ヤードに混入搬送される。すなわち、現状の磁力選別法では、十分なスラグとメタルとの分離が行われていない。
【0006】
また、ガス化溶融炉から排出される金属中には、金、銀、銅などといった高価な非鉄金属類も含まれている。これらの金属類は回収し、有価物として売却することが可能である。しかし、スラグが多く混入していると、その利用価値は低下する。このような非鉄金属類は磁力選別することが困難である。
【0007】
特許文献2および特許文献3には、比重差を利用して、スラグと金属の混合物である分離対象物を分離する装置に係る発明が開示されている。廃棄物溶融スラグには、銅やステンレス鋼などのように磁力選別が困難なものが含まれており、これらの成分が廃棄物溶融スラグの破砕物を土木建築用骨材や窯業原料として資源化する際の品質低下要因となっている。このような課題を解決するために特許文献2および特許文献3においては、水平に対して所定角度だけ傾斜し、回転軸心回りに回転する回転胴内で、スラグと金属とを比重分離する方法が開示されている。
【0008】
上記回転胴は、下端側に位置する円錐部の頂部に形成した比重の大きな物質、すなわち金属を排出するための排出部と、比重の小さなスラグを排出するために上端部に設置された大径開口部から構成されている。分離対象物投入部の先端開口と、回転胴下部の円錐部の小径開口との間には水流調整手段として、分離対象物投入部の先端開口に向けて、通水性を有するケーシングを配置するとともに、ケーシングの内部に所定比重、所定形状の複数の流動性を有する抵抗体を保持している。回転胴は円板状をなして、外周縁と回転胴の内面との間に所定間隔を設けて配置された複数の堰板を軸心方向に沿って適当間隔に配置されている。
【0009】
分離対象物は、回転胴の大径開口部から下方に向けて設置された分離対象物投入管から投入され、分離対象投入管のシュート部において、スラグと金属とに分離される。すなわち、シュート部における搬送水の流速は、シュート部の内面に近いほど摩擦抵抗により遅くなり、中心部および流路断面積の大きい上部側ほど速くなるといった速度勾配を有するので、比重の小さい物質ほど水流による付勢力を受けて上方に流れ、比重の大きい物質ほど下方に沈降した状態で流れる。
【0010】
下部円錐部のケーシングに流入した分離対象物は、抵抗体およびケーシングに受け止められて、シュート部の軸心方向の速度がなくなり、下部円錐部の小径開口から上端の大径開口に向かって流れる分離作用水の付勢力を受けて全体が上方に持ち上げられる。この時、バルブの制御や抵抗体の存在によって、分離作用水が所定流速に調整される。調整された分離作用水の水流によって、比重の小さい物質は上方に持ち上げられ、比重の大きい物質は沈降して分離される。分離された比重の大きい物質は、網状のケーシングを通って回転胴の内周面に沈降し、回転胴の回転に伴って螺旋溝が回転軸心周りに旋回することにより小径開口に向けて搬送され、排出される。
【0011】
分離作用水は、下部円錐部の小径開口から大径開口に向けて流れ、比重の小さい物質ほど上方を流れ、比重の大きい物質ほど、早期に沈降して所定高さの堰板に阻止されて沈降する。沈降した比重の大きい金属は、ケーシングの網目を通って回転胴の内周面に沈降し、回転胴の回転に伴って螺旋溝が回転軸心周りに旋回することにより小径開口に向けて排出される。小径開口を通過した金属は、金属排出部へ流入し、設置されたバルブを開閉することにより回収される。大径開口へ達する前に沈降した比重の小さいスラグは、回転胴の回転に伴って上方へ持ち上げられ、再び分離作用水の流れに乗って大径開口部に向けて移動する。比重の大きな金属成分は、回転に伴って上方へ持ち上げられても早期に沈降するため、分離作用水が大径開口部に移動する途中に設置された堰を越えることはない。
【0012】
しかし、特許文献2および特許文献3に開示された技術には、下記の問題がある。
【0013】
第1の問題は、設備コスト、運転コストおよびメンテナンスコストが大きいことである。回転胴の回転速度については特に記載はないが、スラグと金属との分離効率を向上させるためには、回転胴の回転速度をある程度速くする必要があると考えられる。そのための駆動装置が必要であり、設備コスト、運転コストおよびメンテナンスコストが大きい。
【0014】
第2の問題は、運転操作には経験に基づく制御やコンピュータ制御などの高度の制御が必要なことである。すなわち、下部円錐部のケーシングに流入した分離対象物は、抵抗体およびケーシングに、一旦受け止められる。分離作用水は下部円錐部に配置した抵抗体により水流調整が行われているが、分離対象物を受け止めた際に、抵抗体内に処理対象物が混入し、分離作用水の水流調整に影響を及ぼすおそれがある。その場合、状況に応じた水流調整を行う必要が生じ、運転操作には経験に基づく制御も必要となる。また、網目状のケーシングに分離対象物が詰まるおそれがある。
【0015】
さらに、これらの発明に係る比重分離装置における下部円錐部の排出部に接続される分離排出手段は、分離物を貯留する貯留部の入り口側に第1バルブを、また、排出口側に第2バルブを、そして貯留部に第3バルブを有し、これらを介して水補給手段が接続されている。通常時には第1バルブを開栓し、第2バルブおよび第3バルブを閉栓した状態において、回転胴から排出部に流下する分離物が分離物排出手段の貯留部に滞留する。分離物の排出時には、給水手段から排出部に供給する分離作用水の流量を増して回転胴から排出部へ分離物が流入する状態で第1バルブを閉栓し、第2バルブを開栓して貯留部に滞留する分離物を排出する。その後に第2バルブを閉栓し、第3バルブを開栓して水補給手段から貯留部に水を充満させる。そして,第3バルブを閉栓して、第1バルブを開栓し、給水手段から排出部に供給する分離作用水の流量を通常状態に戻す。このように、状況に応じて異なるバルブ操作および分離作用水の流量調整が必要であり、したがって、それを操作するためのコンピュータ制御、または専任のオペレーターが必要となる。このような理由からも、特許文献2および特許文献3に開示された装置分離および分離方法は、装置構造および操作が複雑となりコスト高になる可能性が高い。
【0016】
第3の問題は、設備調整の複雑さである。特許文献2および特許文献3に記載の技術は、回転胴を斜めに設置することを特徴としているが、設置角度は処理対象物の比重、粒径などの性状に応じて適正値が異なると考えられる。したがって、設備の設置角度の調整も必要である。また、設置角度の変更にともない、駆動装置などの周辺設備についても位置調整など必要となる。
【0017】
第4の問題は、スラグと金属の分離性能が低下するおそれがあることである。両文献には、「大径開口へ達する前に沈降した比重の小さいスラグは上方に持ち上げられ、再び分離作用水の流れに乗って大径開口部に向かって移動する。比重の大きな金属成分は、上方に持ち上げられても早期に沈降するため、分離作用水が大径開口部に移動する途中に設置された堰を越えることはない」と記述されている。しかしながら、回転の際に上方に持ち上げられた比重の大きい金属が、降下する際に比重の小さいスラグの上に落下し、その状態のまま、ケーシングの網目を通過して比重の小さいスラグが金属とともに下部排出口より排出されるおそれもある。つまり、スラグと金属との分離性能が低下するおそれがある。同様に、分離対象投入管のシュート部において、分離されるべきスラグも、その上方に蓄積されている金属により押さえられ、金属とともにケーシングの網目を通過して下部排出口より排出されてしまう可能性がある。
【0018】
【特許文献1】特許第3558039号公報(特許請求の範囲および6頁24行〜7頁14行)
【特許文献2】特開2003−211019号公報(特許請求の範囲および段落[0006]〜[0014])
【特許文献3】特開2003−211141号公報(特許請求の範囲および段落[0007]〜[0010])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前述のとおり、スラグ粒と金属粒との混合物からスラグ粒と金属粒とを分離選別する従来技術は、下記の問題を有していた。すなわち、(1)設備コスト、運転コストおよび設備のメンテナンスコストが大きい、(2)設備の運転操作には高度の経験やコンピュータ制御などが必要である、(3)スラグ粒と金属粒との分離性能を確保するためには煩雑な設備調整が必要である、などである。本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題の第1は、スラグと金属との比重の差を利用して、スラグ粒と金属粒とを容易かつ高い分離性能のもとに分離選別することのできる分離選別方法を提供することにある。また、課題の第2は、上記の分離選別方法を実施するための、設備コストが安価でメンテナンスも容易な最適の分離選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、スラグ粒と金属粒とを確実に分離選別することのできるスラグ粒と金属粒との分離選別方法、およびその実施に最適な分離選別装置について研究開発を進め、下記の(a)〜(e)の知見を得て、本発明を完成させた。
【0021】
(a)スラグ粒と金属粒との混合物、および混合物の少なくとも全てが浸漬する量の分散液を筒型容器内に装入し、分散液を略鉛直な軸の周りに旋回させることにより比重の小さいスラグ粒のみを浮揚選別することができる。さらに、容器内に分散液を補給して、スラグ粒を分散液とともに筒型容器の上部からオーバーフローさせることにより、スラグ粒と金属粒とを分離選別することができる。
【0022】
(b)前記(a)の旋回流を発生させるには、分散液を噴射する液体噴出ノズルを有することが有効であり、また、筒型容器の底部に沈降した金属粒は、容器の底部にその中心軸に沿って設置した金属粒回収パイプを通して排出することが有効である。
【0023】
(c)前記(b)に金属粒回収パイプの上方に、筒型容器の中心軸に沿ってその下端が筒型容器の底よりも高い位置となるように金属粒回収補助パイプを設置することにより、金属粒を筒型容器の底面と金属粒回収補助パイプの下端との間隙を通して金属粒回収パイプ内に容易に導入することができる。
【0024】
(d)スラグ粒とともに筒型容器の上部からオーバーフローした分散液を、スラグ粒と分離した後に、再度、筒型容器内に循環補給する方法が経済的である。また、分離選別後の金属粒に含まれる鉄と鉄以外の金属類とを磁力選別により分離選別することにより、さらに分離選別の性能を向上させることができる。
【0025】
(e)上記(a)〜(d)の分離選別方式は、水砕スラグと水砕金属との分離選別に好適である。
【0026】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(7)に示されるスラグ粒と金属粒との分離選別方法および(8)〜(14)に示される分離選別装置にある。
【0027】
(1)比重の異なるスラグ粒と金属粒との混合物および分散液を中心軸が略鉛直な筒型容器内に装入し、該分散液を略鉛直な軸の周りに旋回させ、該筒型容器内に該分散液を補給することにより、該スラグ粒を分散液とともに該筒型容器の上部からオーバーフローさせることを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法(以下、「第1発明」とも記す)。
【0028】
(2)前記(1)に記載の分離選別方法において、前記筒型容器に補給する分散液により前記分散液を旋回させることを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法(以下、「第2発明」とも記す)。
【0029】
(3)前記(1)または(2)に記載の分離選別方法において、前記筒型容器の底部に沈降した金属粒を、該筒型容器の底部に該容器の中心軸に沿って設置された金属粒回収パイプを通して排出しながらスラグ粒と金属粒とを分離選別することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法(以下、「第3発明」とも記す)。
【0030】
(4)前記(3)に記載の分離選別方法において、前記金属粒回収パイプの上方に、前記筒型容器の中心軸に沿ってその下端が前記筒型容器の底よりも高い位置となるように金属粒回収補助パイプを設置し、金属粒を該金属粒回収パイプと金属粒回収補助パイプとの間隙を通して該金属粒回収パイプ内に導入し排出することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法(以下、「第4発明」とも記す)。
【0031】
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の分離選別方法において、前記スラグ粒とともに前記筒型容器の上部からオーバーフローした前記分散液および/または金属回収パイプから金属粒とともに排出した分散液を、該スラグ粒および/または金属粒と分離した後に、再度、該筒型容器内に循環補給することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法(以下、「第5発明」とも記す)。
【0032】
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の分離選別方法により分離回収された金属粒に含まれる鉄と鉄以外の金属類とを磁力選別により分離選別することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法(以下、「第6発明」とも記す)。
【0033】
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の分離選別方法において、前記スラグ粒が水砕スラグ粒であり、前記金属粒が水砕金属粒であることを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別方法(以下、「第7発明」とも記す)。
【0034】
(8)比重の異なるスラグ粒と金属粒との分離選別装置であって、スラグ粒と金属粒との混合物および分散液を収容する中心軸が略鉛直な筒型容器と、該分散液を略鉛直な軸の周りに旋回させるための分散液旋回手段と、該スラグ粒を該分散液とともに該筒型容器の上部からオーバーフローさせる量に相当する量の分散液を該筒型容器内に補給する補給手段とを有することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置(以下、「第8発明」とも記す)。
【0035】
(9)前記(8)に記載の分離選別装置において、前記分散液旋回手段として、分散液により前記分散液を旋回させるための液体噴出ノズルを有することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置(以下、「第9発明」とも記す)。
【0036】
(10)前記(8)または(9)に記載の分離選別装置において、さらに、前記筒型容器の底部に該筒型容器の中心軸に沿って、前記筒型容器の底部に沈降した金属粒を該筒型容器から排出するための金属粒回収パイプを有することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置(以下、「第10発明」とも記す)。
【0037】
(11)前記(10)に記載の分離選別装置において、さらに、前記金属粒回収パイプの上方でかつ前記筒型容器の中心軸に沿って、その下端が前記筒型容器の底よりも高い位置に位置し、金属粒を該金属粒回収パイプとの間隙を通して該金属粒回収パイプ内に導入し排出するための金属粒回収補助パイプを有することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置(以下、「第11発明」とも記す)。
【0038】
(12)前記(8)〜(11)のいずれかに記載の分離選別装置において、さらに、前記スラグ粒とともに前記筒型容器の上部からオーバーフローした前記分散液を該スラグ粒と分離する分散液分離装置および/または金属回収パイプを通して金属粒とともに排出した前記分散液を該金属粒と分離する分散液分離装置と、該スラグ粒および/または金属粒と分離された後の該分散液を再度該筒型容器内に循環補給する循環補給装置とを有することを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置(以下、「第12発明」とも記す)。
【0039】
(13)前記(8)〜(12)のいずれかに記載の分離選別装置において、さらに、該分離選別装置により分離回収された金属粒に含まれる鉄と鉄以外の金属類とを磁力選別により分離選別するための磁力選別装置を備えたことを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置(以下、「第13発明」とも記す)。
【0040】
(14)前記(8)〜(13)のいずれかに記載の分離選別装置において、前記スラグ粒が水砕スラグ粒であり、前記金属粒が水砕金属粒であることを特徴とするスラグ粒と金属粒との分離選別装置(以下、「第14発明」とも記す)。
【0041】
本発明において、「スラグ粒」とは、スラグの粒子を意味し、「金属粒」とは、金属の粒子を意味する。スラグ粒としては、例えば、廃棄物をガス化溶融炉により溶融スラグとして回収した後、水砕法により処理した水砕スラグの粒子などが該当し、また、金属粒としては、同様に上記ガス化溶融炉により溶融金属として回収した後、水砕法により処理した水砕金属の粒子などが該当する。
【0042】
「中心軸が略鉛直」とは、中心軸が鉛直、または鉛直線に対して45°以内の傾斜を有することを意味する。
【0043】
「分散液」とは、スラグ粒と金属粒との混合物を浸漬し、液体を旋回させることにより、スラグ粒に浮揚力を生じさせて、スラグ粒と金属粒とを分離する作用を有する液体を意味する。例えば、水などが該当する。
【0044】
「筒型容器」とは、その横断面が円形、楕円形、正多角形などの形状を有する分離選別用の筒型の容器を意味する。
【発明の効果】
【0045】
本発明のスラグ粒と金属粒との分離選別方法によれば、スラグ粒と金属粒との比重の差を利用して、簡便な方法により、スラグ粒と金属粒とを容易に、かつ高い分離性能のもとに分離選別することができる。また、本発明の分離選別装置は、上記の分離選別方法を実施するための、設備操作およびメンテナンスが容易で、かつ設備コストの安価な最適な分離選別装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
1.発明の基本構成
図1に、本発明のスラグ粒と金属粒の分離選別方法の原理および基本構成を示す。水などの分散液21を入れた円筒形の筒型容器からなる分離容器1の中に、水砕水槽から回収されたスラグ粒と金属粒との混合物を装入する。分散液21を攪拌して筒型容器の中心軸の周りに矢印Xにより示す方向に旋回させることにより、スラグ粒31のみが浮揚し、分散液21とともに筒型容器内を旋回する。これに対して、比重の大きい金属粒41は容器底部に沈降する。
【0047】
さらに、筒型容器1に分散液21を連続的に補給していくことによって、浮遊したスラグ粒31のうちの一部のスラグ粒は、分散液21とともにオーバーフローして容器外に排出される。一方、容器底部に沈降した金属粒41は容器底部に残留する(第1発明および第8発明)。
【0048】
筒型容器1内の分散液21を旋回させる方法として、インペラーなどの機械的攪拌装置を用いる方式があるが、攪拌装置を用いることなく、容器内の分散液を旋回させることも可能である。例えば、容器底部に複数の液体噴出ノズルを設置して補給用の分散液21を筒型容器の円周方向、かつ、斜め上方向に向けて連続的に噴出することによっても、筒型容器内の分散液21を攪拌し旋回させることができる。そして、その結果、分散液21とともにスラグ粒31も旋回させ浮揚させることができる(第2発明および第9発明)。
【0049】
さらに、分散液21を容器底部から連続的に補給することにより、分散液の液面レベルは上昇し、分散液21とともにスラグ粒31がオーバーフローして、容器外に排出される。オーバーフローしたスラグ粒31と分散液21とは、濾過装置を通過させることによって分離することができる。このように、機械的攪拌装置を用いることなく、補給する分散液21自身によって、容器内の分散液21の攪拌および旋回が行われるので、この方式を採用することにより、設備の製造コストを大幅に削減することができるとともに、設備のメンテナンスも容易となる。
【0050】
2.実用機を対象とした発明の実施形態
本発明の実用機を対象とした実施形態の一例を図2に示す。同図(a)は分離選別装置の正面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面をそれぞれ表す。
【0051】
原料供給装置を通して、分離容器1の内部にスラグ粒31と金属粒41との混合物を装入するとともに、水などの分散液21を供給する。そして、分離容器1の底部に設けられた液体噴出ノズル13を通して分離容器1内に水などの分散液21を供給することにより、分離容器1内において分散液21を攪拌するとともに、矢印Xにて示した方向に旋回させる。もちろん、分離容器1内の分散液21を旋回させる方法として、インペラーなどの機械攪拌装置を用いる方法も可能であるが、上記のとおり、攪拌装置を用いることなく、分離容器1内の分散液21を旋回させる方式が経済的である。
【0052】
すなわち、分離容器1の底部に設置した複数の液体噴射ノズル13から補給用の分散液21を、分離容器1の中心軸の周りの円周方向、かつ、斜め上方向に向けて連続的に噴出させることによって、分離容器1内の分散液21を攪拌および旋回させる。この操作により、分散液21とともにスラグ粒31も旋回し浮揚する。さらに分散液21を分離容器1の底部から連続的に補給することにより、分散液21の液面レベルは上昇し、分散液21とともにスラグ粒31が分離容器1の上部からオーバーフローし、分離容器1の外部に排出される。
【0053】
オーバーフローしたスラグ粒31と分散液21とは、濾過装置17を通過させることにより分離することができる。濾過装置17を通過した分散液21は、分離容器1への補給用の分散液21として、再度、分離容器1内に供給することが可能である(第5発明および第12発明)。もちろん、分離容器1内の分散液21を旋回させる方法として、インペラーなどの機械攪拌装置を用いることも可能である。さらに、機械攪拌と前記分離容器底部の液体噴出ノズル13からの分散液21の噴出とを併用することもできる。
【0054】
一方、金属粒41は分離容器1底部に沈降するが、底部に金属粒41が残留し蓄積すると、分離容器1内での分散液21の攪拌および旋回強度が低下し、スラグ粒31と金属粒41との分離精度が悪化する。そのため、分離操作を行いながら、金属粒41を適宜、分離容器1から抜き出して回収する必要がある。そこで、分離容器1の底部中心部から金属粒41を連続的に抜き出すための金属粒回収パイプ11を設置する(第3発明および第10発明)。このように、分離容器1の底部の中心部に金属回収パイプ11を設置する理由は、分散液21を旋回させた場合、金属粒41は分離容器1の底部の中心部に集積し、山状に堆積することが確認されたからである。
【0055】
さらに、金属回収パイプ11に金属粒41が容易に導入されるように、金属回収補助パイプ12を設置することが有効である(第4発明および第11発明)。金属回収パイプ11および金属回収補助パイプ12の内径は、分離するスラグ粒31と金属粒41との混合物の装入速度およびそれらの粒径に応じて、適宜、調整する。また、金属回収パイプ11の分離容器1の底面からの突き出し長さ、および金属回収補助パイプ12の下端と分離容器1の底面との距離も、処理速度および処理物の粒径に応じて、適宜、調整すればよい。金属回収パイプ11の上端位置を分離容器1の底面よりも高くする理由は、金属粒41とともに一部のスラグ粒31が金属類回収パイプ11から排出されることを防止するためである。但し、スラグ粒の粒度が小さく、スラグ粒が分散液21中を浮揚しやすく、金属粒と分離されやすい状況の場合には、突き出し長さを零(0)としても差し支えはない。
【0056】
また、金属回収パイプ11を通して回収された金属粒41は鉄分を主成分とする場合が多いが、処理する廃棄物の種類によっては、鉄分以外に、銅や貴金属類などの非鉄金属類が含まれていることもある。そこで、上記方法によりスラグ粒31と分離された金属粒41を、さらに磁力選別機に通すことによって、鉄とその他の金属類とを粗分離することもできる(第6発明および第13発明)。
【0057】
3.好ましい実施態様
本発明の好ましい実施態様について下記に説明を加える。分離容器のサイズや操作条件などは処理対象物の供給速度などにより相違するが、以下では、スラグ粒と金属粒との混合物の供給速度が1トン(t)/h以下の場合を対象として説明する。
【0058】
3−1.分離容器のサイズ
分離容器1の内径(直径)は50mmφ以上1000mmφ以下とすることが好ましい。分離容器が処理物の供給速度に対して小さすぎ、50mmφ未満の場合には、分離のためのスペースが十分に確保できない。そのため、処理対象物はスラグ粒31と金属粒41とが混合したまま分離容器1の底部に蓄積されることとなる。蓄積物は分離容器内における分散液21の旋回を阻害し、分離効率の低下をもたらす。
【0059】
逆に、分離容器1の内径が1000mmφを超えて大きすぎると、分離容器内の広い範囲に分散液21の旋回流を形成させる必要が生じる。容器の内径が大きすぎ、分散液21による旋回の弱い領域が形成されると、その領域に処理対象物が滞留してデッドゾーンを形成し、分離効率が悪化するおそれがある。これを回避するためには、補給する分散液の供給量を増加する必要が生じ、処理効率が低下する。
【0060】
さらに、分離容器1の高さは50mm以上1000mm以下とすることが好ましい。分離容器1の高さが50mm未満の場合には、スラグ粒31とともに金属粒41がオーバーフローしやすくなるので、回収スラグ中への金属粒41の混入率が高くなり、分離効率が低下する。一方、分離容器1の高さが1000mmを超えて高すぎると、スラグ粒31の容器外へのオーバーフローが困難となり、回収金属中にスラグ粒31が混入しやすくなり、分離効率が低下する。旋回させる分散液の補給量を増加することにより、スラグ粒のオーバーフローを促進させることは可能であるが、処理効率は低下する。
【0061】
3−2.分散液の補給
分離容器1の底部からの分散液21の供給量も、処理速度および処理対象物の比重や粒径などの性状に合わせて適宜変更することが好ましい。処理対象物の供給速度に対して分散液21の補給量が多すぎると、分散液21の旋回が強くなりすぎ、スラグ粒31とともに金属粒41が容器上部からオーバーフローすることとなる。
【0062】
一方、分散液21の補給量が不足すると、分散液21の旋回が弱くなり、オーバーフローせずに分離容器1内に残留するスラグ量が増加する。この残留スラグは分離容器1の底部に蓄積され、分散液21の旋回を阻害する。さらに、金属回収孔(金属回収パイプ)11から回収される金属へのスラグの混入率が増加する。供給する分散液21の種類としては、主として水を用いるが、分離対象物のサイズや性状によっては水以外の液体を用いることもできる。その場合は、スラグ粒および金属粒との反応性が小さく、かつ、安価な液体が好ましい。このような観点から、特に問題がない限り水を使用することが好ましい。
【0063】
また、液体噴出ノズル13から噴出される分散液21の噴出方向は、前述のとおり、分散液21の旋回流の接線方向(つまり、分離容器1の円周方向)、かつ斜め上方向とするのが好ましい。したがって、図2(b)の例のように、液体噴出ノズル13の長手方向軸を分離容器1の半径方向と一致するように配置し、ノズル側面に設けられた孔から液体を噴出させる場合には、液体噴出ノズルの長手方向軸と液体の噴出方向とのなす角度αは90°とするのが好ましい。
【0064】
3−3.金属回収パイプの設置
本発明では、分離容器1底部の中心部から金属粒41を連続的に抜き出すための金属回収パイプ11を設置することが好ましいが、この金属回収パイプ11の上端の高さ位置は、分離容器1の底面から200mm以下の高さとすることがより好ましい。金属回収パイプ11の上端位置を分離容器1の底面よりも高くする理由は、金属粒41とともに一部のスラグ粒31が金属回収パイプ11から排出されることを防止するためである。但し、スラグ粒31の粒径が小さく、スラグ粒31が分散液21中を浮揚しやすく、金属粒41と分離されやすい状況の場合には、分離容器1の底面からの金属回収パイプ11の突き出し長さを零(0)としても差し支えはない。
【0065】
逆に、金属回収パイプ11の上端高さ位置が200mmを超えて高すぎる場合には、分離容器底部の中心部に山型に堆積した金属粒41は、金属回収パイプ11を通過して排出される以前に、上記山型に堆積した金属粒の堆積斜面を分離容器1の周辺部に向かって転がり落ちることとなる。その結果、金属粒41の回収効率が低下するとともに、転がり落ちて蓄積された金属粒41により分散液21の旋回が阻害されるおそれがある。
【0066】
3−4.金属回収補助パイプ
金属回収パイプ11に金属粒41が容易に入り込むように、金属回収補助パイプ12を設置することが有効である。金属回収補助パイプ12の下端高さ位置は、分離容器1の底面から300mm以下の高さとすることが好ましい。分離容器1の底部に沈降した金属粒41は、金属回収補助パイプ12の下端の下を通って金属回収パイプ11へと到達し分離容器外にされる。分離容器1の底面と金属回収補助パイプ12の下端とのクリアランスが3mm未満と小さすぎると、金属粒41の通過が阻害され、金属粒41は金属回収パイプ11に到達しにくくなる。
【0067】
逆に、金属回収補助パイプ12の下端位置が300mmを超えて高すぎる場合には、分離容器1底部の中心部に山型に堆積された金属粒41が金属回収パイプ11を通って排出される以前に、分離容器1の周辺部に向かって堆積斜面を転がり落ちてしまう。その結果、金属粒41の回収効率が低下するとともに、転がり落ちて蓄積された金属粒41により分散液21の旋回が阻害されるおそれがある。
【0068】
3−5.邪魔板の設置
分離容器1の底部から補給する液体の供給量は、経済性の観点から、極力少なくすることが好ましい。そのための手段として、分離容器1の側壁および分離容器1の底部に邪魔板を設置することが好ましい。
【0069】
図3は、本発明における分離性能を向上させるために、分離容器側壁に邪魔板を設置した例の概略図であり、同図(a)はその側面図を、同図(b)は平面図をそれぞれ表す。分離容器1の側壁14に邪魔板15を設置することにより、補給用分散液21の供給量を増加しなくても、スラグ粒31のオーバーフローが促進される。すなわち、分散液21の旋回が弱い場合においても、スラグ粒と金属粒との分離が進行しやすくなる。邪魔板15の長さ、設置数、設置角度、設置位置などは適宜調整すればよい。
【0070】
さらに、図4には、分離容器底部への邪魔板の設置例の概略を示す。同図(a)はその側面図を、同図(b)は平面図をそれぞれ表す。分離容器1の底部に沈降した金属粒41が分離容器1底部の中心部へ移動しやすくなるように邪魔板16を設置することにより、金属粒の回収が促進される。邪魔板16の長さ、設置数、設置角度、設置位置などは適宜調整すればよい。
【0071】
3−6.装入高さ
処理対象のスラグ粒および金属粒の混合物の装入高さ位置も、分離効率を向上させる上で重要な要素である。分離容器1の底部と上端部との間の高さ位置から装入することが好ましい。装入する高さ位置が高い場合には、装入されたスラグ粒のオーバーフローが促進される。しかし、比重の小さい金属粒や粒径の小さい金属粒もオーバーフローし、回収スラグ中に混入してしまうおそれがある。また、装入する高さ位置が低い場合には、比重の大きいスラグ粒はオーバーフローしにくくなり、回収金属粒中に混入してしまうおそれがある。したがって、装入高さ位置は、上記の状況を考慮した上で、分離容器1の底部と上端部との間で、さらに好ましい高さ位置に調整することが望ましい。
【実施例】
【0072】
本発明のスラグと金属の分離選別方法および分離選別装置の効果を確認するため、下記に示す実施例1および実施例2の試験を行い、その結果を評価した。
【0073】
(実施例1)
比重分離によるスラグ粒と金属粒の分離の可能性を確認するために、前記図1に示す装置を用いて試験を行った。分離容器のサイズは、内径が110mm、高さが120mmのものを使用した。
【0074】
分離容器1内において攪拌し旋回させる分散液21としては水を用い、原料サンプルとしては、実機によるガス化溶融炉操業で排出された粒径が7mm以下の水砕スラグ粒および水砕金属粒の混合物を用いた。また、インペラー5を使用して、分散液21の水を攪拌し旋回させた。補給水を供給しながら分離容器内の水を旋回させることにより、スラグ粒31は浮揚し、さらに水とともにオーバーフローして分離容器外へと排出された。一方、金属粒41は分離容器の底部に残留した。このとき、インペラーの回転速度は1000rpmとし、補給水の供給速度は0.5リットル/分とした。また、分離選別の操作時間は5分である。
【0075】
図5に、分離選別試験の前後における物質バランスを示した。原料サンプル中に含まれるスラグ粒のうち、約98%がオーバーフロー物として回収された。一方、金属粒も供給量の約98%が分離容器底部における沈降物として回収された。容器底部に残留した金属粒は、容器底部の中心部に沈降し、山型に堆積することが目視観察された。
【0076】
(実施例2)
次に、図2に示される本発明の実用機を対象とした実施態様において、分離選別試験を行った。同図(a)は分離選別装置の正面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面をそれぞれ表す。
【0077】
分離容器1内において攪拌および旋回する分散液21としては、水を使用した。本試験では、機械的攪拌機を使用せずに、分離容器1の底部に設置した液体噴出ノズル13から補給用分散液21として水を分離容器1の円周方向、かつ、斜め上方向に向けて噴出させることによって、分離容器1内の水を旋回させた。
【0078】
分離容器1としては、内径が200mm、高さが380mmの円筒型容器を用いた。分離容器1の底部の4方位に液体噴出ノズル13を設置し、補給水21を円周方向、かつ、斜め上方向に向けて噴出させた。金属回収パイプ11の上端位置は、分離容器1の底面から20mm上方に突き出した高さとした。また、金属回収補助パイプ12の下端は、分離容器1の底面から15mm上方の高さに調整した。ここで、金属回収パイプ11の外径は21mmφとし、内径は15mmφとした。金属回収補助パイプ12の外径は41mmφとし、内径は37mmφとした。原料サンプルとしては、粒径7mm以下のスラグ粒と金属粒との混合物を用いた。
【0079】
図6に、分離選別試験の前後における物質バランスを示した。原料サンプルとしては、実機によるガス化溶融炉操業で排出された粒径が7mm以下の水砕スラグ粒および水砕金属粒の混合物を用いた。分離容器1内へのスラグ粒と金属粒との混合物の供給速度は16kg/hとした。また、補給水の供給速度は83リットル/分であった。
【0080】
同図の結果から、原料サンプル中に含まれていたスラグ粒の約98%はオーバーフロー物として回収されることが確認された。なお、目視では、分離容器1の底部において水砕金属への水砕スラグの混合はほとんど認められなかった。また、金属粒41の一部はスラグ粒31とともに分離容器1の上部からオーバーフローしたが、装入した水砕金属粒の50%以上は分離容器1底部の金属回収パイプ11を通して回収されることが確認された。残りの金属粒は分離容器1の内部に残留していたが、これらは、この後も分離回収操作を継続していれば排出されるものであり、分離性能上は問題とならない。その理由は、分離選別操作が定常状態に達した後は、分離容器1の底部には、一定量の金属が常時蓄積された状態になり、その量が、ある程度以上になると、沈降した金属粒41の排出および回収が進行し、分離効率の上で問題とはならないからである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のスラグ粒と金属粒との分離選別方法によれば、スラグ粒と金属粒との比重の差を利用して、簡便な方法により、スラグ粒と金属粒とを容易に、かつ高い分離効率のもとに分離選別することができる。また、本発明の分離選別装置は、上記の分離選別方法を実施するに当たり、設備操作およびメンテナンスが容易であり、かつ設備の製造コストも安価な最適の分離選別装置である。したがって、本発明の方法および装置は、例えば、廃棄物のガス化溶融法などにより回収されたスラグおよび金属の分離選別工程に広く適用できる実用価値の高い技術である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明のスラグ粒とメタル粒の分離選別方法の原理および基本構成を示す図である。
【図2】本発明の実用機における実施形態の一例を示す図であり、同図(a)は分離選別装置の正面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面をそれぞれ表す。
【図3】分離容器側壁への邪魔板の設置例を示す概略図であり、同図(a)はその側面図を、同図(b)は平面図をそれぞれ表す。
【図4】分離容器底部への邪魔板の設置例を示す概略図であり、同図(a)はその側面図を、同図(b)は平面図をそれぞれ表す。
【図5】図1に示す分離選別装置を用いて行った分離選別試験の結果を示す図である。
【図6】図2に示す分離選別装置を用いて行った分離選別試験の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1:分離容器(筒型容器)、 11:金属回収パイプ、 12:金属回収補助パイプ、 13:液体噴出ノズル、 14:分離容器側壁、 15:側壁部邪魔板、 16:底部邪魔板、17:濾過装置、 21:分散液、 31:スラグ粒、 41:金属粒、 5:インペラー
【出願人】 【識別番号】000002118
【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
【出願日】 平成19年6月18日(2007.6.18)
【代理人】 【識別番号】100103481
【弁理士】
【氏名又は名称】森 道雄


【公開番号】 特開2008−307507(P2008−307507A)
【公開日】 平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願番号】 特願2007−160351(P2007−160351)