【発明の名称】 |
比重選別機 |
【発明者】 |
【氏名】坂田 博志
【氏名】林 宗洋
【氏名】森 慎吾
|
【要約】 |
【課題】土壌と鉛弾を確実に分離して排出させる比重選別機を提供する。
【解決手段】一方の側壁1a側の上部に鉛弾を含む土壌11の投入口2が形成され、内部に土壌11が載置される網状部材3が当該内部を上下方向に仕切るように設けられるとともに、下部に開口部が形成され、かつ他方の側壁1bに一方の側壁1a側から網状部材3に沿って移送される土壌11の排出口9が形成された箱状の本体部1と、この本体部1の下部に上下方向に変位可能に設けられ、開口部を通じて本体部1内と連通する液体槽5と、この液体槽5を上下方向に振動させる駆動装置6とを備えた比重選別機において、網状部材3の上面に、移送方向と交差する方向に延在する仕切板12を立設し、この仕切板12の一方の側壁1a側に、当該仕切板12によって排出口9側への移動が阻止された鉛弾を本体部1の外へ排出する第1の排出装置13aを配設した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方の側壁側の上部に塊状の重量物を含む土壌を投入するための投入口が形成され、内部に上記土壌が載置される網状部材が当該内部を上下方向に仕切るように設けられるとともに、下部に開口部が形成され、かつ他方の側壁に上記一方の側壁側から上記網状部材に沿って移送される上記土壌を排出する排出口が形成された箱状の本体部と、 この本体部の下部に伸縮部材を介して上下方向に変位可能に設けられ、内部に液体が充填されるとともに、上記開口部を通じて上記本体内と連通する液体槽と、 この液体槽を上下方向に振動させる駆動装置とを備えた比重選別機において、 上記投入口と上記排出口との間に位置する上記網状部材の上面に、上記移送方向と交差する方向に延在する仕切板を立設し、この仕切板の上記一方の側壁側に、当該仕切板によって上記排出口側への移動が阻止された上記塊状の重量物を上記本体部の外へ排出する第1の排出装置を配設したことを特徴とする比重選別機。 【請求項2】 上記第1の排出装置の上記一方の側壁側付近に、選別された重量物層のレベルを比重によって検知し、上記第1の排出装置を駆動制御するための検知器が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の比重選別機。 【請求項3】 上記第1の排出装置の上記本体部の外部に位置する終端部に、上記第一の排出装置によって送られて来る上記重量物を斜め上方に搬送するための第2の排出装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の比重選別機。 【請求項4】 上記第1の排出装置は、上記移送方向と交差する方向に対向する上記本体部内の両側壁全幅に亘って、上記仕切板と平行に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の比重選別機。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、射撃場等の土壌から鉛弾等の重量物を選別回収するために用いて好適な比重選別機に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、射撃場等の土壌から鉛弾等の重量物を選別回収するための比重選別機として、図4に示されるものがある。 【0003】 この比重選別機は、一方の側壁1a側の上部に鉛弾(重量物)を含む土壌11を投入するための投入口2が形成され、下部に開口部が形成された箱状の本体部1と、この本体部1の下部に設けられた上下方向に変位可能なエキスパンション(伸縮部材)4と、このエキスパンション4の下部に設けられ、内部に水が充填されるとともに、上記開口部を通じて上記本体部1内と連通する水槽(液体槽)5と、この水槽5を上下方向に振動させる振動モータ(駆動装置)6と、この水槽5を支持し、上記振動モータ6による振動を吸収するためのスプリング(弾性材)7とを備えたものである。 【0004】 ここで、上記本体部1の内部には、上記土壌11が載置される網(網状部材)3が当該内部を上下方向に仕切るように設けられるとともに、上記網3の上方に上記土壌11から分離された軽量物を排出する軽量物排出口8が配置されている。 また、他方の側壁1bであってこの軽量物排出口8の下方に、上記一方の側壁1a側から上記網3に沿って移送される上記土壌11を排出し、他方の側壁1bから斜め上方に突出した排出口9と、この突出した排出口9の上部に上記土壌11を掻き出すための掻き出し羽根10が設けられている。 【0005】 そして、上記網3は、上記投入口2から上記排出口9に向かって下るように斜めに設けられている。 【0006】 この比重選別機においては、射撃場等の鉛弾を含む土壌11を投入口2から投入して電源を入れると、振動モータ6が上下方向に振動し、振動モータ6が上昇した場合には、水槽5が押し上げられ、内部に充填された水が網3を通過するため、投入口2から投入されて網3上に載置された土壌11も水と同時に押し上がる。 また、水槽5が下降した場合には、水と土壌11も下降するため、比重の重い鉛弾は、比重の軽い軽量物よりも先に降下する。 したがって、以上の動作が繰り返されることにより、徐々に軽量物層11aと鉛弾(重量物)層11bとに選別することが可能となっている。 【0007】 次に、軽量物層11aと鉛弾層11bとに選別された土壌11は、移送方向に向かって斜めに設けられた網3と昇降する水によって排出口9側へと搬送され、蓄積された軽量物層11aの軽量物は、水の上昇とともに軽量物排出口8から排出され、蓄積された鉛弾層11bの鉛弾は、タイマーによって定期的に掻き出し羽根10を駆動することにより、排出口9から排出されて行く。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 しかしながら、上記従来の比重選別機においては、土壌11中の鉛弾の含有率が、重量比で5%以下であるために、鉛弾層11bが軽量物排出口8の下まで蓄積するには、相当長い時間が必要となり、この間に軽量物層11aが軽量物排出口8の下へ潜り込んで、鉛弾層11bへ混入してしまう。 【0009】 そのため、タイマーによって定期的に掻き出し羽根10を駆動させると、土砂等が鉛弾に混入して排出されてしまい、鉛弾の選別効率が悪かった。 【0010】 本発明は、上記事情に鑑みて成されたもので、軽量物と鉛弾を確実に分離して排出させる比重選別機を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0011】 すなわち、請求項1に記載の本発明は、一方の側壁側の上部に塊状の重量物を含む土壌を投入するための投入口が形成され、内部に上記土壌が載置される網状部材が当該内部を上下方向に仕切るように設けられるとともに、下部に開口部が形成され、かつ他方の側壁に上記一方の側壁側から上記網状部材に沿って移送される上記土壌を排出する排出口が形成された箱状の本体部と、この本体部の下部に伸縮部材を介して上下方向に変位可能に設けられ、内部に液体が充填されるとともに、上記開口部を通じて上記本体内と連通する液体槽と、この液体槽を上下方向に振動させる駆動装置とを備えた比重選別機において、上記投入口と上記排出口との間に位置する上記網状部材の上面に、上記移送方向と交差する方向に延在する仕切板を立設し、この仕切板の上記一方の側壁側に、当該仕切板によって上記排出口側への移動が阻止された上記塊状の重量物を上記本体部の外へ排出する第1の排出装置を配設したことを特徴としている。 【0012】 請求項2に記載の本発明は、上記第1の排出装置の上記一方の側壁側付近に、選別された重量物層のレベルを比重によって検知し、上記第1の排出装置を駆動制御するための検知器が設けられていることを特徴としている。 【0013】 請求項3に記載の本発明は、上記第1の排出装置の上記本体部の外部に位置する終端部に、上記第一の排出装置によって送られて来る上記重量物を斜め上方に搬送するための第2の排出装置が設けられていることを特徴としている。 【0014】 請求項4に記載の本発明は、上記第1の排出装置は、上記移送方向と交差する方向に対向する上記本体部内の両側壁全幅に亘って、上記仕切板と平行に配設されていることを特徴としている。 【発明の効果】 【0015】 請求項1に記載の発明によれば、軽量物排出口の手前付近に、仕切板と第1の排出装置(スクリューコンベヤ)を設けているので、鉛弾(重量物)は仕切板によって塞き止められ、投入口と仕切板の間に蓄積した鉛弾を、第1のスクリューコンベヤによって、鉛弾(重量物)排出口から排出しているため、軽量物と鉛弾を確実に分離排出させることができる。 【0016】 請求項2に記載の発明によれば、比重を利用した検知器を設けているので、鉛弾層のレベルを検知し、第1のスクリューコンベヤを駆動制御し、鉛弾を自動で排出させることができる。 【0017】 請求項3に記載の発明によれば、第2の排出装置(スクリューコンベヤ)を本体部の外部に位置する第1のスクリューコンベヤの終端部から斜め上方に設け、比重選別機の水位より高い位置で鉛弾を排出しているので、鉛弾に付着している水を第2のスクリューコンベヤの下部に落下させて除去しながら排出することができる。 【0018】 請求項4に記載の発明によれば、第1のスクリューコンベヤを移送方向と交差する本体部内の両側壁全幅に亘って仕切板と平行に配設しているので、第1のスクリューコンベヤを駆動した際の排出流れが均一となり、排出時に仕切板によって蓄積された鉛弾層内へ軽量物が混入しないため、定量的かつ確実に鉛弾を排出させることでき、よって鉛弾の選別効率を向上させること可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 図1ないし図3は、本発明に係る比重選別機を射撃場等の土壌から鉛弾等の重量物を選別回収するために用いた実施形態を示すもので、図4に示したものと同一構成部分については、同一符号を用いてその説明を簡略化する。 【0020】 本実施形態による比重選別機は、図1および図2に示すように、一方の側壁1a側の上部に鉛弾(重量物)を含む土壌11を投入するための投入口2が形成され、下部に開口部が形成された箱状の本体部1と、この本体部1の下部に設けられた上下方向に変位可能なエキスパンション(伸縮部材)4と、このエキスパンション4の下部に設けられ、内部に水が充填されるとともに、上記開口部を通じて上記本体部1内と連通する水槽(液体槽)5と、この水槽5を上下方向に振動させる振動モータ(駆動装置)6と、この水槽5を支持し、上記振動モータ6による振動を吸収するためのスプリング(弾性材)7とを備えたものである。 【0021】 ここで、上記本体部1の内部には、上記土壌11が載置される網(網状部材)3が当該内部を上下方向に仕切るように設けられるとともに、上記網3の上方に、上記土壌11から分離された軽量物を排出する軽量物排出口8が配置されている。 また、他方の側壁1bであってこの軽量物排出口8の下方には、上記一方の側壁1a側から上記網3に沿って移送される上記土壌11を排出し、他方の側壁1bから斜め上方に突出した排出口9と、この突出した排出口9の上部に上記土壌11を掻き出すための掻き出し羽根10が設けられている。 【0022】 そして、上記網3は、上記投入口2から上記排出口9に向かって下るように斜めに設けられ、上記投入口2と上記排出口9との間に位置する上記網3の上面に、上記移送方向と交差する方向に上記本体部1内の両側壁全幅に亘って仕切板12が立設されている。 また、この仕切板12の上記一方の側壁1a側には、当該仕切板12によって上記排出口9側への移動が阻止された上記鉛弾を、上記本体部1の外へ排出するための第1の排出装置(スクリューコンベヤ)13aが上記仕切板12と平行に、本体の外部まで延出されて配設されている。 【0023】 さらに、この第1のスクリューコンベヤ13aの終端部には、上記重量物を搬送するための第2の排出装置(スクリューコンベヤ)13bが斜め上方に設けられ、この第2のスクリューコンベヤ13bの終端部には、鉛弾(重量物)排出口14が設けられている。 【0024】 また、上記本体部1の上部には、筒状の検知器ガイド15bが設けられ、この検知器ガイド15bの内部には、選別された重量物層のレベルを比重によって検知し、上記第1のスクリューコンベヤ13aと第2のスクリューコンベヤ13bを駆動制御するための検知器15aが、上下方向に移動自在に垂設されている。 そして、上記本体部1の上方外部には、上記検知器15aの先端上部の位置を読み取るための位置検知センサ15cが設けられている。 【0025】 ここで、この検知器15aは、鉛弾より比重が軽く、かつ土砂等の軽量物よりも比重が重い材質で形成されており、この検知器15aの先端下部は、選別物からの抵抗を減らすために、球状に形成されている。 【0026】 以上の構成からなる比重選別機において、射撃場等の土壌から鉛弾等の重量物を選別回収するために用いた場合には、先ず鉛弾を含む土壌11を投入口2から投入して電源を入れると、振動モータ6が上下方向に振動し、振動モータ6が上昇した場合には、水槽5が押し上げられ、エキスパンション4が縮むことにより内部に充填された水が網3を通過するため、投入口2から投入されて網3上に載置された土壌11も水と同時に押し上がる。 また、水槽5が下降した場合には、水と土壌11も下降するため、比重の重い鉛弾は、軽量物よりも先に降下する。 したがって、以上の動作が繰り返されることにより、徐々に軽量物層11aと鉛弾(重量物)層11bとが選別されてゆく。 【0027】 次に、軽量物層11aと鉛弾層11bとに選別された土壌11は、移送方向に向かって斜めに設けられた網3と昇降する水によって排出口9側へと送られて行く。 すると、鉛弾層11bは仕切板12によって塞き止められ、第1のスクリューコンベヤ13aの側付近に上下方向に移動自在に垂設された検知器15aが、鉛弾層11bのレベル上昇によって押し上げられ、仕切板12と同じ高さの上限レベルBに達したことを、上記検知器15aの先端上部に設けた位置検知センサ15cによって上限レベルB’として検知し、第1のスクリューコンベヤ13aと第2のスクリューコンベヤ13bを起動して、鉛弾を鉛弾排出口14から排出を開始する。 そして、投入口2と仕切板12の間に蓄積した鉛弾が、第1のスクリューコンベヤ13aと第2のスクリューコンベヤ13bによって、鉛弾排出口14から排出されてゆく。 この際に、第2のスクリューコンベヤ13bは、斜め上方に傾けられているため、鉛弾を鉛弾排出口14から排出する際に、鉛弾に付着している水を第2のスクリューコンベヤ13bの下部に落下させて除去しながら排出することができる。 【0028】 そして、鉛弾を鉛弾排出口14から排出するにしたがって、鉛弾層11bのレベルが下降し、第1のスクリューコンベヤ13aのスクリュー上部と同じ高さの下限レベルAに達したことを、位置検知センサ15cによって下限レベルA’として検知すると、第1のスクリューコンベヤ13aと第2のスクリューコンベヤ13bの運転が停止される。 【0029】 一方、軽量物層11aの軽量物の中で、水より比重の軽い物は、水流によって軽量物排出口8から排出され、軽量物層11aの軽量物の中で、水より比重の重い土砂等は、掻き出し羽根10によって掻き出され、排出口9から排出されて行く。 【0030】 したがって、上記構成の比重選別機によれば、軽量物排出口8の手前付近に、仕切板12と排出装置13aを設け、第1のスクリューコンベヤ13aを移送方向と交差する本体部1内の両側壁全幅に亘って仕切板12と平行に配設しているので、鉛弾は仕切板12によって塞き止められ、投入口2と仕切板12の間に蓄積した鉛弾を、第1のスクリューコンベヤと第2のスクリューコンベヤによって、鉛弾排出口14から排出している。 そのため、射撃場等の鉛弾が含まれた土壌11を軽量物層11aと鉛弾層11bに選別し、軽量物と鉛弾を確実に分離して排出することが可能となり、選別効率が良くなる。 【0031】 また、第2のスクリューコンベヤ13bを斜め上方に設け、比重選別機の水位より高い位置で鉛弾を排出しているので、鉛弾を鉛弾排出口14から排出する際に、鉛弾に付着している水を第2のスクリューコンベヤ13bの下部に落下させて除去しながら排出することが可能となる。 【0032】 そして、比重を利用した検知器15aによって鉛弾層11bのレベルを検知し、第1のスクリューコンベヤ13aと第2のスクリューコンベヤ13bを駆動制御しているので、鉛弾の排出を自動化することが可能となり、比重選別機の維持費を低減することができる。 【0033】 尚、この比重選別機は、射撃場等の土壌から鉛弾等の重量物を選別回収する場合を示したが、他の鉄、銅、アルミ、ステンレス、真鍮等の軽量物と比重差がある物の選別にも、同様に用いることができる。 【図面の簡単な説明】 【0034】 【図1】本発明の実施形態の比重選別機の縦断面図である。 【図2】図1の比重選別機の側面図である。 【図3】図1の比重選別機の要部を示す拡大縦断面図である。 【図4】従来の比重選別機の縦断面図である。 【符号の説明】 【0035】 1 本体部 1a 一方の側壁 1b 他方の側壁 2 投入口 3 網状部材(網) 4 伸縮部材(エキスパンション) 5 液体槽(水槽) 6 駆動装置(振動モータ) 9 排出口 11 土壌 12 仕切板 13a 第1の排出装置(スクリューコンベヤ)
|
【出願人】 |
【識別番号】000115500 【氏名又は名称】ラサ工業株式会社
|
【出願日】 |
平成19年6月4日(2007.6.4) |
【代理人】 |
【識別番号】100096862 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 千春
|
【公開番号】 |
特開2008−296199(P2008−296199A) |
【公開日】 |
平成20年12月11日(2008.12.11) |
【出願番号】 |
特願2007−148291(P2007−148291) |
|