トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 焼却灰粒子選別方法
【発明者】 【氏名】引田 浩之

【要約】 【課題】焼却灰を比重差によって選別することで、比重の重い側の焼却灰に対して、比重の軽い側の焼却灰の鉛含有量を低くすることができる焼却灰粒子選別方法を提供することにある。

【解決手段】焼却灰粒子選別方法は、焼却灰を構成する粒子を選別する焼却灰粒子選別方法であって、焼却灰の比重差を利用して焼却灰粒子を選別する比重選別工程を有することを特徴とする。また、前記焼却灰の粒径差を利用して焼却灰粒子を選別する粒径選別工程を、さらに有し、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却灰を構成する粒子を選別する焼却灰粒子選別方法であって、
前記焼却灰の比重差を利用して焼却灰粒子を選別する比重選別工程を有することを特徴とする焼却灰粒子選別方法。
【請求項2】
前記焼却灰の粒径差を利用して焼却灰粒子を選別する粒径選別工程を、さらに有し、
前記粒径選別工程の後に、粒径が小さい側の焼却灰に対して前記比重選別工程を行なうことを特徴とする請求項1に記載の焼却灰粒子選別方法。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却灰粒子を選別して、焼却灰中に含有する有害物質を効率よく選別できる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
都市ごみ焼却灰は、そのほとんどが埋め立て処理されているのが現状である。しかし、埋立処分地の問題および循環型社会構築の観点から、焼却灰の有効利用が検討、促進されている。その一つの利用方法として、土木資材等に利用するための検討が行なわれている。
【0003】
しかしながら、焼却灰には、有害物質、特に鉛が多く存在するため、土木資材等に利用するためには、鉛の分離除去が必要である。焼却灰中に含有する有害物質の測定方法として、土壌汚染対策法に規定されている環境省告示18号(溶出量)、環境省告示19号(含有量)が適用され、これにより測定されるPb量に関して基準を遵守する必要がある。
【0004】
現在、焼却灰中の鉛を低減する方法としては、溶融スラグ化、焼成セメント化等による焼却灰処理が知られている。また、焼却灰の焼成による無害化は、ダイオキシン類の無害化や重金属類の除去、安定化を目的としており、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」に規定されているように、1000℃以上の温度で処理する必要がある。例えば、焼却灰や飛灰に珪砂、コークスを添加し、1000〜1300℃で焼成し、無害化する技術が知られている(特許文献1)。
【0005】
しかし、これらの処理方法は、1000℃〜1600℃以上の高温度処理が必要であり、膨大なエネルギーが必要となる。そして、温暖化ガスとされる二酸化炭素を多く排出する場合があり、その装置運転に高い技術を必要とするため、エネルギー消費が少なく簡便な焼却灰の処理技術が熱望されている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−67547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、焼却灰を比重差によって選別することで、比重の重い側の焼却灰に対して、比重の軽い側の焼却灰の有害物質含有量を低くすることができる焼却灰粒子選別方法を提供することにある。なお、特に鉛について述べるが、カドミウム等の比重の大きい物質に本発明は適用できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明の焼却灰粒子選別方法は、焼却灰を構成する粒子を選別する焼却灰粒子選別方法であって、
前記焼却灰の比重差を利用して焼却灰粒子を選別する比重選別工程を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、焼却灰を比重差によって選別することで、比重の重い側の焼却灰に対して、比重の軽い側の焼却灰の鉛含有量が低くなる。この比重の軽い側の焼却灰はその鉛含有量が低いので、溶融スラグ処理や焼成処理を施すことなく、これを土木資材等に利用することが可能になる。また、比重の重い側の焼却灰はその鉛含有量が高いため、溶融スラグ処理や焼成処理を行う必要があるが、従来に比べ、焼却灰全量について処理する必要がなくなったため、エネルギー量や二酸化炭素ガス排出量が低くなる。
【0010】
また、本発明の好適な実施形態の一例として、焼却灰の粒径差を利用して焼却灰粒子を選別する粒径選別工程を、さらに有し、粒径選別工程の後に、粒径が小さい側の焼却灰に対して比重選別工程を行なうことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、粒径選別工程の後に、比重選別工程を行うことができ、粒子選別において、予め選別された粒度(小さい側の粒度)の焼却灰について比重選別を行なえばよく、比重選別処理能力を必要以上に高く設定する必要がない。粒度選別処理は比重選別処理に比較して簡単な設備、短時間で行なえるからである。また、焼却灰中において、粒度の大きい粒子は、ケイ素質(例えば、ガラス等)のものであり、それには鉛が含有されていない場合がほとんどか、あるいは含有されていてもその量は少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下において、まず、本発明の技術思想を着想するに至った経緯を説明する。まず、焼却灰を篩で分級し、各分画の含有鉛について、塩酸抽出量を測定した研究がある(”焼成処理における都市ごみ焼却灰中重金属の挙動、I.粒径別キャラクタリゼーションと焼成効果“、第15回廃棄物学会研究発表会講演論文集、751−753頁、2004)。これによれば、粒径が小さい程、鉛の塩酸抽出量が多いことが報告されている。
【0013】
また、篩による分級後に各分画の金属元素含有量(王水により灰を完全に溶解して定量)等を測定し、それらの分配挙動についての研究がある(“都市ごみ焼却灰の粒径別溶出試験”第12回廃棄物学会研究発表会講演論文集、860−862頁、2001)。これによれば、焼却灰の粒径とそれに含まれる鉛の含有量とは規則性がないと報告されている。
【0014】
以上の研究結果からすれば、焼却灰の粒度差を利用して選別する場合、焼却灰に含有する鉛を分離できる場合もあるが、できない場合もあると考えられ、土木資材に利用する焼却灰中の鉛含有量を少なくするための選別としては、粒度選別のみでは困難であると考えられる。
【0015】
以上の考察を踏まえ、本発明者は本発明を着想するに至り、その本質とするところは、鉛含有量が少ない焼却灰を選別するべく、焼却灰の物理的性質の違いを利用し、つまり、第1の方法としては、比重差を利用して鉛含有量の少ない焼却灰を選別する方法であり、第2の方法としては、焼却灰を粒度に応じて分級し、細粒分の(または粒径の小さい)焼却灰に対して比重差による選別を行なう方法である。
【0016】
(粒径選別)
焼却灰を粒径に応じて分級する工程である。粒径の範囲は、焼却灰の性状に応じて適宜設定できる。粒径選別手段としては、公知の分級手段があり、例えば、振動篩機、風力式篩機、乾式遠心分離機、湿式遠心分離機等を用いることができる。
【0017】
(比重選別)
焼却灰を比重分離する工程である。比重選別の方法としては、湿式の比重分離方法、乾式の比重分離方法がある。湿式の比重分離方法および装置としては、例えば、水中に焼却灰を投入し、上層部と下層部に分割する装置(浮沈分離機)、湿式サイクロン等が例示される。また乾式の比重分離装置としては、風力式分離機、サイクロン等を用いることができる。なお、湿式の比重分離方法の場合、後工程の要求によっては、乾燥処理が適宜必要になる場合もある。
【0018】
(実施形態1)
図1に示す粒度分布の焼却灰を篩で選別した。2.00〜3.35mmの分画の焼却灰を採取し、湿式の比重分離を行なった。比重分離操作は、円筒に水を張り、円筒上部から焼却灰を投入し、底部に堆積した焼却灰を上層部と下層部に二分割することで行なった。
【0019】
この上層部と下層部の焼却灰について、環境省告示19号に規定される試験を行い、鉛含有量を測定した。
【0020】
その結果、下層部の鉛含有量は、470mg/kgであったのに対し、上層部は170mg/kgであった。このことから、比重分離を行なうことで、鉛含有量の高い灰(下層部)と低い灰(上層部)を分離できることが確認された。
【0021】
また、4.75〜6.73mmの分画の焼却灰を採取し、環境省告示19号に規定される試験を行い、鉛含有量を測定したところ、70mg/kgであり、土壌汚染対策法に規定された環境基準値150mg/kg以下であった。
【0022】
従来の研究から粒度選別のみでは、鉛の分離操作が不十分であると考えられたが、本結果から粒度選別と比重選別を組み合わせることにより、鉛含有量の高い灰と低い灰を確実に分離できることが確かめられた。
【0023】
(実施形態2)
以下において、焼却灰粒子選別方法の他の実施形態について説明する。
【0024】
図2に示すように、焼却炉から焼却灰が排出される(#1)。排出された焼却灰は、次の工程において、磁選機、アルミ選別機にかけられて、磁性物等が除去される(#2)。次いで、粒径選別工程において、焼却灰は、5〜150mmの目開きの振動篩機で分級される(#3)。ここで篩パスの焼却灰には、鉛塩酸抽出量が多い焼却灰が多く含まれている。一方篩上の(パスしない)焼却灰中には、鉛塩酸抽出量の少ないものが多いため、そのまま土木資材(下層路盤用骨材、アスファルト混合用骨材等)に利用可能である。篩上の焼却灰量は、前工程後の焼却灰を100重量%として例えば、0〜40重量%である(これは、焼却灰の性状、出発原料に依存する)。なお、鉛塩酸抽出量は、環境省告示19号に示される測定方法で測定された鉛含有量である。
【0025】
一方、篩下(パスした)焼却灰は、比重選別機で比重選別される(#4)。ここでの比重選別によって、軽い比重の焼却灰は、鉛塩酸抽出量の少ないものが多いため、そのまま土木資材(下層路盤用骨材、アスファルト混合用骨材等)に利用可能である。軽い比重の焼却灰量は、比重選別された全焼却灰量を100重量%として例えば、10〜40重量%である。
【0026】
一方、比重選別で選別された重い比重の焼却灰は、鉛塩酸抽出量が多い焼却灰が多く含まれているため、溶融炉または焼成炉に送られ、それぞれ、溶融処理または焼成処理がなされ、鉛塩酸抽出量が低減される(#5)。
【0027】
図3は、図2の構成において、粒径選別工程を2段階行なっている。第1段階目の粒径選別は図2と同様であるが、その後工程に、第2段階目として、2〜10mmの目開きの振動篩機で分級処理がなされる(#31)。篩上の(パスしない)焼却灰は、比重選別機で比重選別される(#32)。選別された軽い比重の焼却灰は、鉛塩酸抽出量の少ないものが多いため、そのまま土木資材(下層路盤用骨材、アスファルト混合用骨材等)に利用可能である。軽い比重の焼却灰量は、比重選別された全焼却灰量を100重量%として例えば、10〜40重量%である。
【0028】
一方、篩下(パスした)焼却灰は、鉛塩酸抽出量が多い焼却灰が多く含まれているため、溶融炉または焼成炉に送られ、それぞれ、溶融処理または焼成処理がなされ、鉛塩酸抽出量が低減される(#5)。
【0029】
図4は、図3の構成において、さらに第3段階目の粒径選別工程を設けている。第3段階目として、1〜5mmの目開きの振動篩機で分級処理がなされる(#41)。篩上の(パスしない)焼却灰は、比重選別機で比重選別される(#42)。選別された軽い比重の焼却灰は、鉛塩酸抽出量の少ないものが多いため、そのまま土木資材(下層路盤用骨材、アスファルト混合用骨材等)に利用可能である。軽い比重の焼却灰量は、比重選別された全焼却灰量を100重量%として例えば、5〜40重量%である。
【0030】
一方、篩下(パスした)焼却灰は、鉛塩酸抽出量が多い焼却灰が多く含まれているため、そのまま土木資材に利用できないため、溶融炉または焼成炉に送られ、それぞれ、溶融処理または焼成処理がなされ、鉛塩酸抽出量が小さくなるように構成される(#5)。
【0031】
図2、3,4の構成は、粒径選別工程と比重選別工程を他段階に設けることができることを例示している。そして、このように多段階に各工程を設けることは、焼却灰の粒度分布、性状に応じて適宜選択できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】焼却灰の粒度分布を示す図
【図2】実施形態の一例を示す図
【図3】実施形態の一例を示す図
【図4】実施形態の一例を示す図
【出願人】 【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
【出願日】 平成19年4月19日(2007.4.19)
【代理人】 【識別番号】100105717
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 雄三

【識別番号】100104422
【弁理士】
【氏名又は名称】梶崎 弘一

【識別番号】100104101
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 俊彦


【公開番号】 特開2008−264667(P2008−264667A)
【公開日】 平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願番号】 特願2007−110413(P2007−110413)