トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 プラスチック選別方法
【発明者】 【氏名】西嶋 渉

【氏名】奥田 哲士

【氏名】山口 剛史

【氏名】黒瀬 啓介

【氏名】岡田 光正

【要約】 【課題】特別な加熱装置やオゾン等の発生装置を必要とせず、種々のプラスチックが混合された廃プラスチック等から塩素含有プラスチックを除いたプラスチックを簡単な構成で効率よく選別収集することができるプラスチック処理方法を提供する。

【解決手段】本発明に係るプラスチック選別方法は、プラスチックの混合物から塩素含有プラスチックを分離するプラスチック選別方法であって、先ず比重分離を行い分離された高比重プラスチックを選別収集し、次に選別収集された高比重プラスチックを乾燥し、さらに乾燥された高比重プラスチックの湿式比重分離を行って、沈降側のプラスチックを選別収集することにより実施される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックの混合物から塩素含有プラスチックを分離するプラスチック選別方法であって、先ず比重分離を行い分離された高比重プラスチックを選別収集し、次に選別収集された高比重プラスチックを乾燥し、さらに乾燥された高比重プラスチックの湿式比重分離を行って、沈降側のプラスチックを選別収集するプラスチック選別方法。
【請求項2】
塩素含有プラスチックは、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデンであることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック選別方法。
【請求項3】
比重分離により分離された低比重プラスチックを選別収集するとともに、湿式比重分離された沈降側のプラスチックを選別収集することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチック選別方法。
【請求項4】
フィルム状の塩素含有プラスチックを含むプラスチック混合物を乾燥し、該乾燥されたプラスチック混合物の湿式比重分離を行って沈降側のプラスチックを選別収集するプラスチック選別方法。
【請求項5】
乾燥は、プラスチックの混合物を先ず攪拌し、次に乾燥させる工程を複数回行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチック選別方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチック等のプラスチック混合物に含まれる塩素含有プラスチックを除去し、その他のプラスチックを回収し再利用に供するプラスチック選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保全、資源の有効活用の観点から、廃棄物を分別収集し、再利用を図る活動が、企業や家庭を含め広く行われている。この分別収集される廃棄物のなかで、廃プラスチックは主要なものの一つであり、しかも年々増加の傾向にある。このような廃棄物の中から廃プラスチックを効率よく収集しその再利用を図ることが求められるところである。しかるに、その廃プラスチックの中に塩素含有プラスチックが含まれる場合は、その塩素成分のために環境汚染を生ずるおそれがあり、また、処理装置を損傷させるために特別の処理が求められ、廃プラスチックの収集、処理効率を阻害している。
【0003】
この問題に対し、廃プラスチックスから塩素含有プラスチックを除去する方法が提案されており、プラスチックの比重差を利用して塩素含有プラスチックと他のプラスチックを選別する方法は有力な選別方法の一つである。しかし、塩素含有プラスチックとポリエチレンテレフタレート等は比重差がほとんどなく、比重差による選別が困難であることから、例えば、特許文献1に、ポリ塩化ビニルなどの塩素系樹脂が140〜180℃の温度に加熱すると脆化し破壊されやすくなる特性を利用した、廃プラスチックを加熱しつつ攪拌し、塩素系樹脂を平均粒径が0.1〜2.5mmの細粒にすることにより廃プラスチックから塩素系樹脂を選別する廃プラスチック処理装置が提案されている。
【0004】
特許文献2に、プラスチックの比重差による分離方法と加熱による脆化現象を利用した分離方法を組み合わせた廃プラスチックの処理方法が提案されている。すなわち、塩素含有プラスチックを含む廃プラスチックから非塩素含有プラスチックを分離回収する廃プラスチックの処理方法であって、前記廃プラスチックを比重差により高比重プラスチックと低比重プラスチックとに分離し、前記低比重プラスチックを所定の温度に加熱することで塩素含有プラスチックを微細化し、該微細化された塩素含有プラスチックを分離除去して非塩素含有プラスチックを回収する廃プラスチックの処理方法が提案されている。
【0005】
特許文献3には、浮遊選別法による塩素含有プラスチックの選別を行うに当たって、酸化処理等を行うとその表面に気泡が付着しにくくなることを利用したプラスチック混合物から塩素含有プラスチックを分離する方法が提案されている。すなわち、プラスチック混合物から塩素含有プラスチックを分離する方法であって、前記プラスチック混合物を酸化処理する酸化処理工程;および前記酸化処理工程後のプラスチック混合物を含む液体へ気体を導入する気体導入工程;を含むことを特徴とする方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005-246715号公報
【特許文献2】特開2006-272561号公報
【特許文献3】特開2006-305784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1又は2の提案に係る廃プラスチックの処理には、廃プラスチックを140〜180℃の高温にする装置を要するという問題がある。また、このような高温で廃プラスチックを処理するのは、安全、環境等にとっても好ましくない。特許文献3の提案に係るプラスチックの処理方法には、オゾン等の発生装置を要するという問題がある。
【0008】
本発明は、係る従来の問題点に鑑み、特別な加熱装置やオゾン等の発生装置を必要とせず、種々のプラスチックが混合された廃プラスチック等から塩素含有プラスチックを除いたプラスチックを簡単な構成で効率よく選別収集することができるプラスチック選別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプラスチック選別方法は、プラスチックの混合物から塩素含有プラスチックを分離するプラスチック選別方法であって、先ず比重分離を行い分離された高比重プラスチックを選別収集し、次に選別収集された高比重プラスチックを乾燥し、さらに乾燥された高比重プラスチックの湿式比重分離を行って、沈降側のプラスチックを選別収集することにより実施される。
【0010】
上記発明において、塩素含有プラスチックは、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデンとすることができる。そして、比重分離により分離された低比重プラスチックを選別収集するとともに、湿式比重分離された沈降側のプラスチックを選別収集することにより、効率よくプラスチック混合物から塩素含有プラスチックを除いたプラスチックを選別収集することができる。
【0011】
また、本発明に係るプラスチック選別方法は、フィルム状の塩素含有プラスチックを含むプラスチック混合物を乾燥し、該乾燥されたプラスチック混合物の湿式比重分離を行って沈降側のプラスチックを選別収集することにより実施される。
【0012】
上記発明において、乾燥は、プラスチックの混合物を先ず攪拌し、次に乾燥させる工程を複数回繰り返して行うのがよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプラスチック選別方法によれば、種々のプラスチックが混在する廃プラスチック等から塩素含有プラスチックを除いたプラスチックを簡単な構成で効率よく選別収集することができる。特にフィルム状の塩素含有プラスチックを含む廃プラスチック等について効率よく選別収集することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るプラスチック選別方法の発明の実施の形態について説明する。本発明に係るプラスチック選別方法は、プラスチックの混合物から塩素含有プラスチックを分離するプラスチック選別方法であり、先ず比重分離を行い分離される高比重プラスチックを選別収集する。プラスチックの混合物とは、種々のプラスチックが混在する混合物をいい、例えば廃プラスチックをいう。
【0015】
比重分離とは、湿式又は乾式方法を問わず、プラスチックの比重によってプラスチックの選別を行う方法をいう。この比重分離により高比重プラスチックを選別収集する。すなわち、この比重分離により、比重の軽いポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等と、比重の重いポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)又はポリエチレンテレフタレート(PET)等とを分別し、高比重プラスチックであるPVC、PVDC、PET等を選別収集する。
【0016】
次にこの選別収集された高比重プラスチックを乾燥する。乾燥とは、熱風乾燥、加熱乾燥、攪拌乾燥等を使用することができる。廃プラスチックの場合、通常、収集された廃プラスチックに付着した食物残渣等を除去するため洗浄が行われ、その後に脱水が行われる。このような脱水操作により行われる攪拌乾燥であってもよい。このような攪拌乾燥は、加熱のために特別の装置を要せず、廃プラスチックの平均温度を40〜70℃にすることができ、また、後述する塩素含有プラスチックの変形形態に好ましい結果を与えるのでよい。なお、攪拌乾燥による廃プラスチックの局部的な温度は、100℃を越え130℃程度までにすることができる。
【0017】
本発明は、この乾燥を行った高比重プラスチックの混合物をさらに湿式比重分離を行って、沈降側のプラスチックを選別収集する。湿式比重分離とは、水又は所定の比重水を用いて比重分離を行う方法をいう。この湿式比重分離により、比重がほとんど同等の塩素含有プラスチック(PVC、PVDC)とPETとが分離される。例えば、フィルム状のPVC、PVDCが含まれる混合物を攪拌乾燥すると、フィルム状のPVC、PVDCは皺を生じ、丸まりその変形状態がもとに戻らない状態になる。そのように変形されたPVC、PVDCを含む混合物について湿式比重分離を行うと、PVC、PVDCは上記変形形態を有し空気をかみ込んでいるために浮くのに対し、PET等は沈降する。すなわち、本発明は、PVC、PVDCが変形してその内部に空気をかみ込むような乾燥処理を行った後、湿式比重分離によりPVC、PVDC等の塩素含有プラスチックを浮上させ、塩素含有プラスチックが除かれた沈降する側のプラスチックを選別収集することによって塩素含有プラスチックが除去された混合プラスチックを得るプラスチック選別方法である。
【0018】
なお、フィルム状の塩素含有プラスチックとして、PVCからなるポリ袋、成形シート、PTP(Press Through Package)シート、PTPフィルム、薬などの包装材、あるいはPVDCからなるフィルム状のラップが含まれる。
【実施例1】
【0019】
塩素含有プラスチックとして、PVDCからなる数cm四方のフィルム状のラップを含む廃プラスチックを攪拌混合した後、湿式比重分離を行い塩素含有プラスチックが除去された混合プラスチックを得るプラスチック選別試験を行った。攪拌乾燥は、洗浄を行った廃プラスチックを公知のスクリュープレス式脱水装置を使用して脱水、攪拌乾燥させることにより行った。攪拌後、攪拌装置の攪拌槽内の平均温度は40〜50℃であった。湿式比重分離は、250mL水を満たした分離漕を用いて、60rpmの回転数で、60分間攪拌することによって行った。湿式比重分離に用いた攪拌装置はアズワン株式会社製SMT104を用いた。攪拌乾燥後の廃プラスチックは木屑や数mm以下の小さなプラスチック等を取り除き、試験試料7.5kgを得た。試験試料中の各種プラスチックの割合(質量%)は表1に示す通りであった。
【0020】
【表1】


【0021】
湿式比重分離の結果を表2に示す。表2に示すように、沈降側のプラスチックにはPVDCの割合が3.0%になっており、沈降側のプラスチックを選別収集すれば塩素含有プラスチックの含有率を低下させたプラスチックを収集することができることが分かる。
【0022】
【表2】


【実施例2】
【0023】
比重分離を行い分離された高比重プラスチックを選別収集した後、その選別収集された高比重プラスチックに対して行う乾燥処理、または、湿式比重分離を行う前の予備処理として行う乾燥処理について、プラスチック混合物を先ず攪拌し、次に乾燥する繰り返し操作(処理回数)の効果を調べる試験を行った。試験に用いたプラスチック混合物は、実施例1で得た試験試料を用いた。攪拌装置は実施例1の場合と同じ脱水装置を使用した。乾燥は、ヤマト科学株式会社製DG-81を用いて行った。乾燥は攪拌後脱水装置から取り出して行い、乾燥後直ちに該脱水装置に乾燥させた試験試料を挿入して攪拌を行った。湿式比重分離は、実施例1と同様に行った。
【0024】
表3に、乾燥処理の内容を示す。図1及び2に試験結果を示す。図1において、横軸は処理回数、縦軸は湿式比重分離を行ったときの沈降側のプラスチック(沈降分)の割合を示す。図2において、横軸は処理回数、縦軸は湿式比重分離を行ったときの沈降分に含まれるPVDCの試験試料に対する割合(PVDC含有率)を示す。
【0025】
【表3】


【0026】
図1によると、沈降分の割合は、処理回数によって低下する傾向にあるが、処理回数が2回を超えるとほぼ一定になる。一方、沈降分に含まれるPVDCの割合は、図2に示すように、1回目に3%であったものが1から5回の処理回数まで急速に減少し、5回を越えるとほぼ一定の0.6%になることが分かる。すなわち、乾燥処理においては、攪拌、乾燥の条件が重要であり、乾燥処理はプラスチック混合物に対して適切な条件を選択する必要があることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】湿式比重分離を行った場合の試験試料に対する沈降分の割合と乾燥処理回数との関係を示すグラフである。
【図2】湿式比重分離を行った場合のPVDC含有率と乾燥処理回数との関係を示すグラフである。
【出願人】 【識別番号】506212916
【氏名又は名称】特定非営利活動法人広島循環型社会推進機構
【出願日】 平成19年3月26日(2007.3.26)
【代理人】 【識別番号】100121795
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴亀 國康


【公開番号】 特開2008−237982(P2008−237982A)
【公開日】 平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願番号】 特願2007−78837(P2007−78837)