トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 半導体ナノ粒子の製造方法および半導体ナノ粒子
【発明者】 【氏名】午菴 一賀

【氏名】古澤 直子

【氏名】塚田 和也

【要約】 【課題】本発明の上記構成により、単分散性が高い、半導体ナノ粒子が提供できる。

【解決手段】半導体ナノ粒子を分級する分級工程を有する半導体ナノ粒子の製造方法であって、該分級工程が、複数の分級工程からなり、当該複数の分級工程が少なくとも、半導体ナノ粒子に第1分散剤を吸着させ、第1分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する第1分級工程および第1分級工程における分散剤とは異なる第2分散剤を半導体ナノ粒子に吸着させ、第2分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する第2分級工程を有することを特徴とする半導体ナノ粒子の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ナノ粒子を分級する分級工程を有する半導体ナノ粒子の製造方法であって、該分級工程が、複数の分級工程からなり、当該複数の分級工程が少なくとも、半導体ナノ粒子に第1分散剤を吸着させ、第1分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する第1分級工程および第1分級工程における分散剤とは異なる第2分散剤を半導体ナノ粒子に吸着させ、第2分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する第2分級工程を有することを特徴とする半導体ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記第1分散剤および第2分散剤が各々鎖状炭化水素基を有する分散剤であり、第2分散剤の鎖状炭化水素基の炭素数が第1分散剤の鎖状炭化水素基の炭素数より大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記第2分級工程は、前記第1分級工程の後の工程であることを特徴とする請求項2に記載の半導体ナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記第2分級工程の後に、前記第2分散剤の鎖状炭化水素基の炭素数より大きな炭素数を有する鎖状炭化水素基を有する分散剤を半導体ナノ粒子に吸着させ、分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する分級工程を有することを特徴とする請求項3に記載の半導体ナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記分級工程の前の半導体ナノ粒子の平均粒径が1nm〜50nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体ナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体ナノ粒子の製造方法によって得られることを特徴とする半導体ナノ粒子。
【請求項7】
前記半導体ナノ粒子がSiまたはGeを含むことを特徴とする請求項6に記載の半導体ナノ粒子。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主に発光材料に用いられる半導体ナノ粒子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SiやGe等に代表される半導体超微粒子、ポーラスシリコン等のII−VI族半導体においてそのナノ構造結晶が特異的な光学的特性を示すことが注目されている。ここで、ナノ構造結晶とは、1〜100nm程度のナノメートルオーダーの粒径の結晶粒のことをいい、一般的に、「ナノ粒子」、「ナノクリスタル」等の略称で呼ばれている。
【0003】
II−VI族半導体において、上述したようなナノ構造結晶を有する場合と、バルク状の結晶を有する場合とを比較すると、ナノ構造結晶を有する場合には、良好な光吸収特性及び発光特性を示すことになる。これは、ナノ構造結晶を有するII−VI族半導体では、量子サイズ効果が発現するため、バルク状の結晶構造の場合よりも大きなバンドギャップを有するためと考えられる。すなわち、ナノ構造結晶を有するII−VI族半導体においては、量子サイズ効果の発現により、粒径の減少に伴って半導体ナノ粒子のエネルギーギャップが増大するのではないかと考えられている。
【0004】
ところで、半導体ナノ粒子の製造方法は、固相法、液相法、気相法に大別され、粒径分布が狭い無機ナノ粒子の製造方法としては、ビルドアッププロセスである液相法および気相法が有力である。中でも液相法は、構成元素が2種類以上の場合に化学的に組成を均一にできることから優れた製造方法である。液相法は、共沈法、逆ミセル法、ホットソープ法に細分化される(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、前記方法により得られた半導体ナノ粒子は、広い粒径分布を示すため、半導体ナノ粒子の特性を十分に活かすことができない。このため、調製直後の広い粒径分布を有する半導体ナノ粒子から、化学的手法を用いて粒径分離を精密に行い、特定の粒子サイズの半導体ナノ粒子のみを分離・抽出することで単分散化することが試みられている。これまでに、ナノ粒子の有する表面電荷が粒径によって変化することを利用した電気泳動分離法、粒径による保持時間の差を利用した排除クロマトグラフィー、粒子サイズの違いによる有機溶媒中への分散性の差を利用したサイズ選択沈殿法、金属カルコゲナイド半導体が溶存酸素下で光照射により酸化溶解することを利用し粒径の単分散化を行うサイズ選択光エッチング法などが報告されている。
【0006】
以上の製造方法に関しては、広い粒径分布をもつ半導体ナノ粒子を調製した後に粒径の制御、選別等を行う方法であるが、あらかじめ単分散化したナノ粒子を調製する方法として、両親媒性分子を利用した逆ミセル法が挙げられる。この方法は、非極性溶媒中に逆ミセルを形成させ、逆ミセル中を反応場とみなし、反応場の大きさを制御することにより、粒径のそろったナノ粒子を調製する方法である。この方法は、現在まで最も一般的に行われてきた方法であり、最も容易な粒径調製方法である。逆ミセル法による単分散を行った場合、その粒径分布は10数%程度となる。半導体ナノ粒子は励起光を当てることにより蛍光を発するが、この蛍光は、粒径により波長が決定される。すなわち、粒径分布が広ければ、半値全幅(FWHM)の狭い蛍光スペクトルを得ることができない。したがって、比較的単色蛍光を発する半導体ナノ粒子を調製するためには、さらに粒径分布を小さくする必要があった。
【0007】
一方、金属カルコゲナイド半導体が溶存酸素下で光照射により酸化溶解することを利用し粒径の単分散化を行うサイズ選択光エッチング法においては、現在まで、広い粒径分布を持つ半導体ナノ粒子を単分散化させる方法として用いられてきた(例えば特許文献2〜7参照)。
【0008】
しかしながら、上記のいずれの方法も十分な単分散化が達成できておらず、また、特に分子イメージング用途や、環境への飛散防止を考慮した場合、最終的に溶媒中にナノ粒子を分散する必要があるが、上記の方法においては、サイズ分級による単分散化と溶媒への分散が十分に両立していないことが問題であった。
【特許文献1】特開2005−325419号公報
【特許文献2】特開2004−8982号公報
【特許文献3】特開2004−90155号公報
【特許文献4】特開2004−195339号公報
【特許文献5】特開2003−300716号公報
【特許文献6】特開2006−56776号公報
【特許文献7】特開2000−279893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、単分散性が高い、半導体ナノ粒子を提供することにある。単分散性とは粒子の粒度分布の狭さをいい、単分散性が高いとは、粒子の粒度分布の巾が狭いことをいう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.半導体ナノ粒子を分級する分級工程を有する半導体ナノ粒子の製造方法であって、該分級工程が、複数の分級工程からなり、当該複数の分級工程が少なくとも、半導体ナノ粒子に第1分散剤を吸着させ、第1分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する第1分級工程および第1分級工程における分散剤とは異なる第2分散剤を半導体ナノ粒子に吸着させ、第2分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する第2分級工程を有することを特徴とする半導体ナノ粒子の製造方法。
2.前記第1分散剤および第2分散剤が各々鎖状炭化水素基を有する分散剤であり、第2分散剤の鎖状炭化水素基の炭素数が第1分散剤の鎖状炭化水素基の炭素数より大きいことを特徴とする1に記載の半導体ナノ粒子の製造方法。
3.前記第2分級工程は、前記第1分級工程の後の工程であることを特徴とする2に記載の半導体ナノ粒子の製造方法。
4.前記第2分級工程の後に、前記第2分散剤の鎖状炭化水素基の炭素数より大きな炭素数を有する鎖状炭化水素基を有する分散剤を半導体ナノ粒子に吸着させ、分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する分級工程を有することを特徴とする3に記載の半導体ナノ粒子の製造方法。
5.前記分級工程の前の半導体ナノ粒子の平均粒径が1nm〜50nmであることを特徴とする1〜4のいずれか1項に記載の半導体ナノ粒子の製造方法。
6.1〜5のいずれか1項に記載の半導体ナノ粒子の製造方法によって得られることを特徴とする半導体ナノ粒子。
7.前記半導体ナノ粒子がSiまたはGeを含むことを特徴とする6に記載の半導体ナノ粒子。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記構成により、単分散性が高い、半導体ナノ粒子が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、半導体ナノ粒子を分級する分級工程を有する半導体ナノ粒子の製造方法であって、該分級工程が、複数の分級工程からなり、当該複数の分級工程が少なくとも、半導体ナノ粒子に第1分散剤を吸着させ、第1分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する第1分級工程および第1分級工程における分散剤とは異なる第2分散剤を半導体ナノ粒子に吸着させ、第2分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する第2分級工程を有することを特徴とする。
【0013】
(半導体ナノ粒子の形成材料)
本発明において、半導体ナノ粒子とは、半導体を含む粒子であって、その粒径が100nm以下の粒子をいう。
【0014】
本発明においては、その平均粒径が1nm〜50nmである半導体ナノ粒子に対して特に有効である。
【0015】
なお、粒径は、レーザー散乱法により測定される値であり、「平均粒径」とは、レーザー散乱法により測定される累積50%体積粒径をいう。
【0016】
本発明に係る半導体ナノ粒子は、半導体の性質を有する粒子であり、種々の半導体材料を用いて形成することができる。
【0017】
本発明に係る半導体体ナノ粒子を形成する工程に用いられる、半導体材料としては以下のようなものが挙げられる。
【0018】
例えば、元素の周期表のIV族、II−VI族、及びIII−V族の半導体化合物を用いることができる。
【0019】
II−VI族の半導体の中では、特に、MgS、MgSe、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、HgS、HgSe及びHgTeを挙げることができる。
【0020】
III−V族の半導体の中では、GaAs、GaN、GaPGaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb及びAlSが好ましい。
【0021】
VI族の半導体の中では、Ge、Pb及びSiは特に適している。
【0022】
本発明においては、半導体ナノ粒子は、コア/シェル構造を有する粒子であることが好ましい。この場合、半導体ナノ粒子は半導体粒子からなるコア粒子と該コア粒子を被覆するシェル層とで構成されるコア/シエル構造を有する半導体ナノ粒子であって、該コア粒子とシェル層の化学組成が相異するものであることが好ましい。
【0023】
以下、コア粒子とシェル層について説明する。
【0024】
〈コア粒子〉
コア粒子に用いられる半導体材料としては、種々の半導体材料を用いることができる。具体例としては、例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、GaAs、GaP、GaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb、AlS、PbS、PbSe、Ge、Si、又はこれらの混合物等が挙げられる。本発明において、特に好ましい半導体材料は、Siである。
【0025】
なお、必要があればGaなどのドープ材料を極微量含んでもよい。
【0026】
上記コア粒子の平均粒径に関しては、1〜10nmであることが好ましい。
【0027】
〈シェル層〉
シェルに用いられる半導体材料としては、種々の半導体材料を用いることができる。具体例としては、例えば、SiO2、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaS、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0028】
特に好ましい半導体材料は、SiO2、ZnSである。
【0029】
なお、シェル層は、コア粒子が部分的に露出して弊害を生じない限り、コア粒子の全表面を完全に被覆するものでなくてもよい。
【0030】
〈半導体ナノ粒子の製造方法〉
本発明の半導体ナノ粒子の製造については、従来公知の種々の方法を用いることができ、液相法、気相法などが挙げられる。
【0031】
液相法の製造方法としては、沈殿法である、共沈法、ゾル−ゲル法、均一沈殿法、還元法などがある。そのほかに、逆ミセル法、超臨界水熱合成法、などもナノ粒子を作製する上で優れた方法である(例えば、特開2002−322468号、特開2005−239775号、特開平10−310770号、特開2000−104058号公報等を参照。)。
【0032】
気相法の製造方法としては、(1)対向する原料半導体を電極間で発生させた第一の高温プラズマによって蒸発させ、減圧雰囲気中において無電極放電で発生させた第二の高温プラズマ中に通過させる方法(例えば特開平6−279015号公報参照。)、(2)電気化学的エッチングによって、原料半導体からなる陽極からナノ粒子を分離・除去する方法(例えば特表2003−515459号公報参照。)、レーザーアブレーション法(例えば特開2004−356163号参照。)などが用いられる。また、原料ガスを低圧状態で気相反応させて、粒子を含む粉末を合成する方法も、好ましく用いられる。
【0033】
本発明の半導体微粒子の製造方法としては、特に液相法による製造方法が好ましい。
【0034】
(分級工程)
本発明の半導体ナノ粒子の製造方法は、半導体ナノ粒子形成後に、分散剤を吸着させ、分散剤を吸着させた粒子を分離する工程を2以上有する。
【0035】
即ち、本発明に係る分級工程は、複数の分級工程からなり、当該複数の分級工程が少なくとも、半導体ナノ粒子に第1分散剤を吸着させ、第1分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する第1分級工程および第1分級工程における分散剤とは異なる第2分散剤を半導体ナノ粒子に吸着させ、第2分散剤を吸着させた半導体ナノ粒子を分離する第2分級工程を有する。
【0036】
本発明に係る分散剤は、半導体ナノ粒子に吸着しうる化合物であり、分散剤としては、種々の保護コロイドや界面活性剤などを用いることができる。
【0037】
保護コロイドは、天然、人工を問わず各種高分子化合物を用いることができるが、中でもタンパク質を好ましく使用することができる。
【0038】
タンパク質としては、例えば、ゼラチン、水溶性タンパク質、水溶性糖タンパク質が挙げられる。具体的には、アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質、遺伝子工学的に合成されたタンパク質等を挙げることができる。
【0039】
また、ゼラチンとしては、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンを挙げることができ、これらを併用してもよい。さらに、これらのゼラチンの加水分解物、これらのゼラチンの酵素分解物を用いてもよい。
【0040】
保護コロイドは、単一の組成である必要はなく、各種バインダーを混合してもよい。具体的には、例えば、上記ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマーを用いることができる。
【0041】
なお、保護コロイドの平均分子量は10,000以上が好ましく、10,000〜300,000がより好ましく、10,000〜30,000が特に好ましい。
【0042】
また、保護コロイドは、原料溶液の一つ以上に添加することができ、原料溶液の全てに添加してもよく、保護コロイドを添加する量や、反応液の添加速度により、前駆体の粒径を制御することができる。
【0043】
界面活性剤としては、オレイルアルコール、オレイン酸、および多価アルコールとで形成されるそのエステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ソーヤレシチンなどが挙げられる。
【0044】
本発明においては、分散剤として鎖状炭化水素基を有する化合物が好ましく用いられる。
【0045】
鎖状炭化水素基としては、置換、未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基が含まれるが、特にアルケニル基が好ましく用いられる。即ち分散剤としては、特にアルケンが好ましく用いられる。アルケンとしては、エテン、プロペン、ブテン、ヘプテン、オクテン等が挙げられる。
【0046】
本発明に係る第1分散剤と第2分散剤は、異なる分散剤であるが、第1分散剤、第2分散剤共に、鎖状炭化水素基を有し、各々の炭化水素基の炭素数が異なる分散剤であることが好ましい。この場合、第2分散剤のアルキル基の炭素数が第1分散剤の炭化水素基の炭素数よりも大きく、第2分級工程は、第1分級工程の後ろである態様が特に好ましい。
【0047】
また、さらにこの第2分級工程の後ろに、第2分級工程の第2分散剤の鎖状炭化水素基の炭素数より大きな炭素数を有する鎖状炭化水素基を有する分散剤を吸着させ分離する工程があることが好ましい。
【0048】
尚、分散剤の鎖状炭化水素基の炭素数とは、分散剤が有する鎖状炭化水素基のうち炭素数が最大である鎖状炭化水素基の炭素数をいう。
【0049】
本発明においては、上記のように鎖状炭化水素の炭素数が小さい分散剤を用いる分級工程から順により大きな鎖状炭化水素基の炭素数を有する分散剤を用いる分級工程を段階的に有する工程が特に好ましい態様である。
【0050】
段階的に半導体ナノ粒子に分散剤を吸着させる例としては、例えば第1分散剤としてエテンを用いた第1分級工程、第2分散剤としてプロペンを用いた第2分級工程、分散剤としてブテンを用いた第3分級工程、分散剤としてオクテンを用いた第4分級工程をこの順に行う態様が挙げられる。
【0051】
分散剤を半導体ナノ粒子に吸着させるには、半導体ナノ粒子を溶媒に含有させ、この溶媒中に分散剤を添加することにより吸着させることができる。分散剤の添加および添加後、溶媒を攪拌することが好ましい。分散剤により最適な条件は異なるが、50℃以上150℃以下で30分以上2時間以下の時間をかけて攪拌することがより好ましい。
【0052】
分散剤が吸着した半導体ナノ粒子の分離は、遠心分離処理、濾過処理により行うことができる。濾別された固体部を、溶媒に含有させ他の分散剤を添加して、同様の処理を行うことにより分級が行われる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
(Siナノ粒子の調製)
ジオクチルエーテル50mlにオレイン酸1mlとオレイルアミン1mlを添加し、よく攪拌した後、脱気しながら100℃まで加熱する。3時間攪拌後、反応容器をアルゴンで満たしながら200℃まで加熱する。1時間攪拌後、30秒間でSiCl4を1ml滴下して、その後、30分間攪拌する。100℃まで冷却して5時間攪拌後、さらに室温まで冷却する。この溶液中に平均粒径3nmのシリコンナノ粒子が含まれる。
【0055】
得られた溶液を真空乾燥すると、ゲル状の有機物とナノ粒子の混合物が得られる。これをメタノールで数回洗浄すると、茶褐色の粉体が得られた。これを酸素プラズマ処理することで、粒子表面に付着した有機物を除去した。
【0056】
得られた粉体1は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によれば、1nm〜16nmのナノ粒子が含まれており、オージェ電子分光法およびFT−IR分析の結果、シリコン核と酸化シリコンの表面層を有する粒子であった。
【0057】
(比較例1)
得られたシリコン粉体1をジオクチルエーテルに添加し、よく攪拌しながら100℃に加熱する。1時間以上攪拌した後に、添加したシリコン粉体に対して50倍モルのドデセンを添加して、さらに1時間攪拌して分散液1を得た。
【0058】
(比較例2)
分散液1を5000rpmで1時間遠心分離する。沈殿した粉体を回収した後、遠心分離を繰り返す。粉体の沈殿がなくなったら、得られた粉体を、それぞれジオクチルエーテルに添加し、超音波をかけて再分散する。3分割されたので、最初に沈殿したものから順番に分散液2−1、2−2、2−3とする。
【0059】
(比較例3)
分散液1にメタノールを添加する。よく攪拌後、静置すると粉体が沈殿する。この粉体を回収した後、さらにメタノールの添加を繰り返す。粉体の沈殿がなくなったら、得られた粉体を、それぞれジオクチルエーテルに添加し、超音波をかけて再分散する。4分割されたので、最初に沈殿したものから順番に分散液3−1、3−2、3−3、3−4とする。
【0060】
(実施例1)
得られたシリコン粉体1をジオクチルエーテルに添加し、よく攪拌しながら100℃に加熱する。1時間以上攪拌した後に、添加したシリコン粉体に対して50倍モルのオクテンを添加して、さらに1時間攪拌した。一部粉体が液中に分散された分散液が得られた。
【0061】
分散液を遠心分離後、濾過により濾液である分散液4−1とシリコン粉末とに分離した。濾過で分離されたシリコン粉末を、再度ジオクチルエーテルに添加し、攪拌しながら100℃に加熱する。1時間以上攪拌した後に、ブテンを添加して、さらに1時間攪拌する。一部粉体が液中に分散された分散液が得られた。分散液を遠心分離後、濾過により濾液である分散液4−2とシリコン粉末とに分離した。
【0062】
この操作を、添加するアルケンをプロペン、エテンと変えて、繰り返した。オクテンを添加して分散した分散液を4−1とし、順番に分散液4−2、4−3、4−4とした。
【0063】
(実施例2)
実施例1で添加するアルケンの順番を逆にして同様の操作をおこなった。エテンで分散した分散液を5−1とし、順番に5−2、5−3、5−4とした。
【0064】
(粒径分布測定)
それぞれの分散液に含まれる粒子について、粒子径測定装置(シスメックス社製、ゼータサイザーナノZS)を用いて、粒径分布を測定した。粒径分布を図1〜3に示す。
【0065】
比較例2、3で得られた分散液2−1〜3−4と比べて、本発明である分散液4−1〜5−4は狭い粒度分布を示す。図3から炭素数の少ない鎖状炭化水素基を有する分散剤から順に分級工程を経たものがより粒度分布が狭くなっていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】分散液1の粒径分布を示す。
【図2】分散液2−1〜3−4の粒径分布を示す。
【図3】分散液4−1〜5−4の粒径分布を示す。
【出願人】 【識別番号】303000420
【氏名又は名称】コニカミノルタエムジー株式会社
【出願日】 平成19年3月8日(2007.3.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−221034(P2008−221034A)
【公開日】 平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願番号】 特願2007−58486(P2007−58486)