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【発明の名称】 破砕産業廃棄物の選別方法及び装置
【発明者】 【氏名】三橋 真人

【氏名】仙波 範明

【要約】 【課題】シュレッダーで破砕された廃車両等の破砕産業廃棄物の比重選別効果を向上させることにより、塩化ビニル等の塩素含有物を精度良く選別でき、これによって該産業廃棄物を燃料として再利用可能とする。

【解決手段】金属及びガラス類を除去した後の破砕産業廃棄物を比重選別により選別して有価物を回収する破砕産業廃棄物の選別方法において、比重選別工程7の前段階で破砕産業廃棄物を風力選別することにより、軽量物5と重量物6とに分離する風力選別工程4と、該風力選別工程で分離された軽量物5と重量物6とをそれぞれ別個に選別液に浸漬して比重選別することにより、軽量物又は該重量物から塩素含有物10を選別除去する比重選別工程7とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属類及びガラス類を除去した後の破砕産業廃棄物を比重選別により選別して有価物を回収する破砕産業廃棄物の選別方法において、
前記比重選別工程の前段階で前記破砕産業廃棄物を破砕せずに風力選別することにより、軽量物と重量物とに分離する風力選別工程と、
該風力選別工程で分離された重量物と軽量物とをそれぞれ別個に選別液に浸漬して比重選別することにより、該軽量物又は重量物から塩素含有物を選別除去する比重選別工程と、からなることを特徴とする破砕産業廃棄物の選別方法。
【請求項2】
前記比重選別工程において、該比重選別処理と破砕処理とを組合せ実施して前記軽量物又は重量物から塩素含有物を選別除去することを特徴とする請求項1に記載の破砕産業廃棄物の選別方法。
【請求項3】
前記風力選別工程で前記破砕産業廃棄物から軽量物を分離除去した後、
該軽量物を除去した残りの破砕産業廃棄物を脆化温度以下に冷却して破砕した後、該破砕産業廃棄物を大径物と小径物とに篩選別し、
その後該小径物を選別液に浸漬して比重選別することを特徴とする請求項1又は2に記載の破砕産業廃棄物の選別方法。
【請求項4】
前記風力選別工程で筒形の周壁が篩目で構成されたトロンメル形選別装置を用いて風力選別を行うことによって、破砕産業廃棄物を軽量物と大径物と小径物とに分別し、
その後該小径物を比重選別することを特徴とする請求項1又は2に記載の破砕産業廃棄物の選別方法。
【請求項5】
前記破砕産業廃棄物が、再利用可能な部品が除去された廃車両をカーシュレッダーで破砕した後金属類を除去した破砕物であることを特徴とする請求項1に記載の破砕産業廃棄物の選別方法。
【請求項6】
金属類及びガラス類を除去した後の破砕産業廃棄物を比重選別により選別して有価物を回収する破砕産業廃棄物の選別装置において、
前記破砕産業廃棄物を風力選別して重量物と軽量物とを分離する風力選別装置と、
該風力選別装置で分離された重量物と軽量物をそれぞれ選別液を用いて比重選別する比重選別装置と、を備え、
該破砕産業廃棄物を破砕せずに重量物と軽量物とに風力選別し、該重量物と軽量物をそれぞれ別個に比重選別し該重量物及び該軽量物から塩素含有物を選別除去するように構成したことを特徴とする破砕産業廃棄物の選別装置。
【請求項7】
前記比重選別装置で分離された重量物又は軽量物をそれぞれ別個に破砕する破砕装置を備えたことを特徴とする請求項6に記載の破砕産業廃棄物の選別装置。
【請求項8】
前記風力選別装置が、
一方の側の上部に破砕産業廃棄物の投入口が設けられるとともに、該投入口側から他方側に向う一方向の空気流を形成する選別空間と、該投入口に破砕産業廃棄物を投入するコンベアと、該空気流を形成する手段と、を備え、
該投入口から投入された破砕産業廃棄物に該空気流を付与し該投入口からの飛距離によって該破砕産業廃棄物を分別するように構成したことを特徴とする請求項6に記載の破砕産業廃棄物の選別装置。
【請求項9】
前記風力選別装置が、
内部にコンベアが配設されるとともに、該コンベアの搬送方向と逆方向の空気流が形成された選別空間と、該選別空間で該空気流を形成する手段と、該選別空間の上部に設けられた破砕産業廃棄物の投入口と、を備え、
該空気流により該投入口から該選別空間に投入された破砕産業廃棄物のうち重量物を該コンベアの搬送面に落とし、軽量物を該コンベア外に飛散させるように構成したことを特徴とする請求項6に記載の破砕産業廃棄物の選別装置。
【請求項10】
前記風力選別装置が、
一方に傾斜して配置された平板状の分別板と、該分別板に振動を付加する加振装置と、該分別板の上部に破砕産業廃棄物を落下させるコンベアと、該分別板に向けて該分別板の向きと交差する方向から空気流を送る送風手段と、を備え、
該分別板上を落下する破砕産業廃棄物を該破砕産業廃棄物と該分別板との摩擦力及び該空気流により選別するように構成したことを特徴とする請求項6に記載の破砕産業廃棄物の選別装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、廃車両等の固体産業廃棄物をシュレッダー等で破砕した後の破砕産業廃棄物を選別して有価物を回収する方法及び装置に関し、詳しくは該破砕産業廃棄物から塩化ビニル等の塩素含有物を除去することによって燃料として利用可能にした選別方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体産業廃棄物のうち、例えば廃車両は、有価物及びガラス類を除去された後、カーシュレッダーで破砕される。その後、金属類を除去されて残った破砕屑は、カーシュレッダーダストと呼ばれ、主としてプラスチック類を多く含んでいるため、ボイラ燃料等の燃料として再利用される。しかし、破砕屑に塩素成分を含むとボイラの腐食を招くため、塩素含有物を除去する必要がある。該破砕屑に含まれる塩素成分は塩化ビニルが主体である。塩化ビニルの比重は1.34で水より重く、これに対し破砕屑に含まれる他のプラスチック類及び天然ゴム等は、1.0前後であるので、塩化ビニルを他のプラスチック類等から分別する方法として水を選別液とした比重選別方法が用いられている。
【0003】
例えば特許文献1(特許第3711472号公報)には、磁気性金属を除去した廃車両等の固体破砕産業廃棄物を水選別するに際し、流水分級と沈降速度を利用した選別方法が開示されている。
また特許文献2(特許第2962409号公報)には、自動車用モール屑をシュレッダーで破砕して金属片を除去し、残りの廃棄物を粉砕機で粉砕し、その後振動ふるい機や比重選別機の水流・浮上選別機で、塩化ビニル、ゴム、及び鉄粉を選別し回収している。
【0004】
【特許文献1】特許第3711472号公報
【特許文献2】特許第2962409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体産業廃棄物をシュレッダー等で破砕した後の破砕屑を比重選別する場合、選別精度を上げるため、通常前工程として破砕処理し、粒度調整を行なう必要がある。特許文献1及び2に開示された選別方法でも、シュレッダーで破砕された廃棄物をさらに破砕して粒度調整を行なった後、液中で比重選別を行なっている。しかし、かかる方法では、前工程の破砕処理で微細な破砕屑が発生し、該破砕屑によって比重選別のための選別液が汚泥化して、比重選別の選別作用を発揮できなくなるという問題がある。
【0006】
一方、廃車両の破砕屑は、フィルム状物質や繊維状物質、及び発泡ウレタン類等の軽量物が破砕されずに大径のまま残っており、粒度調整のための前記破砕処理で生じた微細な破砕屑が該軽量大径物の目に詰まったり、あるいは該軽量大径物と絡み合ったりするため、該破砕屑と該軽量大径物とを液中で比重選別することが困難になる。このため破砕産業廃棄物から塩化ビニルを分別できなくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、廃車両等の固体産業廃棄物をシュレッダーで破砕された破砕屑の比重選別処理による選別効果を向上させることにより、該破砕屑から塩化ビニル等の塩素含有物を精度良く選別でき、これによって該破砕屑を燃料として再利用可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の破砕産業廃棄物の選別方法は、
金属類及びガラス類を除去した後の破砕産業廃棄物を比重選別により選別して有価物を回収する破砕産業廃棄物の選別方法において、
前記比重選別工程の前段階で破砕産業廃棄物を破砕せずに風力選別することにより、軽量物と重量物とに分離する風力選別工程と、
該風力選別工程で分離された軽量物と重量物とをそれぞれ別個に選別液に浸漬して比重選別することにより、該軽量物又は該重量物から塩素含有物を選別除去する比重選別工程とからなるものである。
【0009】
また本発明の破砕産業廃棄物の選別装置は、
金属類及びガラス類を除去した後の破砕産業廃棄物を比重選別により選別して有価物を回収する破砕産業廃棄物の選別装置において、
前記破砕産業廃棄物を風力選別して重量物と軽量物とを分離する風力選別装置と、
該風力選別装置で分離された重量物と軽量物をそれぞれ選別液を用いて比重選別する比重選別装置と、を備え、
該破砕産業廃棄物を破砕せずに重量物と軽量物とに風力選別し、該重量物と軽量物をそれぞれ別個に比重選別し該重量物及び該軽量物から塩素含有物を選別除去するように構成したものである。
【0010】
本発明方法及び装置では、固体産業廃棄物をシュレッダー等で破砕し金属類及びガラス類を除去した後の破砕産業廃棄物を、破砕処理することなく、先ず風力選別を行って軽量物と重量物とに分離する。これによって微細な破砕屑の発生をなくし、後工程の比重選別で該破砕屑が選別液を汚泥化して選別作用を阻害することを防止できる。また該破砕屑がフィルム状物質や発泡ウレタン類等の大径物の目に入り込んだり、両者で絡み合ったりすることがなくなるため、選別効果が低下しない。また比重選別の前に軽量物と重量物とに分離し、それぞれ別個に比重選別することにより、比重選別時の負荷を軽減し、選別効果を高めることができる。
【0011】
カーシュレッダーダストでは、軽量物は主に発泡ウレタン類、フィルム状の軟質プラスチック類、又は繊維類等であり、重量物は主に硬質プラスチック類やワイヤハーネス類等である。本発明では前処理として破砕処理をしないため、発泡ウレタン類等が粉々にならず、微細な破砕屑が発生しない。従って微細な破砕屑が比重選別工程で汚泥化したり、発泡ウレタン類等の軽量大径物と絡み合うことにより、選別効果を阻害することはない。発泡ウレタン類は塩素成分が少ないため、風力選別した後そのまま燃料として利用できる。
【0012】
このように塩素成分が少ないものは比重選別をすることなくそのまま燃料として使用できるので、選別工程を簡素化できる。このように本発明はカーシュレッダーダストの選別処理に好適である。塩素成分の含有量が不明な場合は、比重選別処理を行なう。例えばフィルム状の軟質プラスチック類の中には塩化ビニルを含むものがあるので、比重選別処理を行って塩素含有物を除去する必要がある。
【0013】
本発明方法において、比重選別工程において、必要に応じて該比重選別処理と破砕処理とを組合せ実施するようにすれば、軽量物又は重量物から塩素含有物を選別除去するのが容易になるとともに、塩素含有物の選別精度を向上できる。
【0014】
また本発明方法において、風力選別工程で破砕産業廃棄物から軽量物を分離除去し、その後該軽量物を分離除去した残りの破砕産業廃棄物を脆化温度以下に冷却して破砕した後、大径物と小径物とに篩選別し、その後該小径物を選別液に浸漬して比重選別するようにしてもよい。この方法では、比較的分離しやすい発泡ウレタン類等の軽量物を初期の段階で風力選別で分離することにより、後の比重選別工程で発泡ウレタン類等の軽量大径物と微細な破砕屑との絡み合いがなくなるので、選別が容易になる。分離した発泡ウレタン類は塩素成分を含有しないので、そのまま燃料として再利用できる。
【0015】
残りの破砕産業廃棄物に含まれるプラスチック類は冷却破砕工程で脆化し破砕しやすくなり、小さい破砕動力で破砕できる。
一方、繊維類、ワイヤハーネス類等の大径物は脆化しないので、これら大径物と破砕されたプラスチック類等の小径物との篩選別が容易になる。このように比重選別に至る前に発泡ウレタン類等の軽量物と繊維状物質、ワイヤハーネス類等の大径物が分離されるので、残りのプラスチック類等の小径物の比重選別が容易になり、比重選別装置の負荷が軽減されるとともに、該小径物から塩素含有物を分離する分離効率が向上する。
なお該大径物に塩素成分が含まれている場合は、該大径物に対し必要に応じて比重選別や破砕処理を行って塩素成分を除去する。また該小径物も塩素成分を分離するために必要に応じて破砕処理を行う。
【0016】
また本発明方法において、風力選別工程で筒形の側面が篩目で構成されたトロンメル型選別装置を用いて風力選別を行うことによって、破砕産業廃棄物を発泡ウレタン類等の軽量物と、繊維類、ワイヤハーネス類等の大径物と、プラスチック類等の小径物とに分別し、その後該小径物を比重選別するようにしてもよい。この方法では、風力選別工程でトロンメル型選別装置を用いることにより、破砕産業廃棄物を一度に軽量物と大径物と小径物とに選別できるので、選別工程を簡素化できる。
【0017】
また本発明装置において、比重選別装置で分離された軽量物又は重量物をそれぞれ別個に破砕する破砕装置を備え、必要に応じて該比重選別処理と破砕処理とを組合せ実施するようにすれば、軽量物又は重量物から塩素含有物を選別除去するのが容易になる。
【0018】
また本発明装置において、風力選別装置が、一方の側の上部に破砕産業廃棄物の投入口が設けられるとともに、該投入口側から他方側に向う一方向の空気流を形成する選別空間と、該投入口に破砕産業廃棄物を投入するコンベアと、該空気流を形成する手段と、を備え、該投入口から投入された破砕産業廃棄物に該空気流を付与し該投入口からの飛距離によって該破砕産業廃棄物を分別するように構成してもよい。かかる構成の風力選別装置を用いれば、発泡ウレタン類等の軽量物と、硬質プラスチック類等の重量物と、微細な破砕屑とを簡単な装置を用いて分別することが可能になる。
【0019】
また本発明装置において、風力選別装置が、内部にコンベアが配設されるとともに、該コンベアの搬送方向と逆方向の空気流が形成された選別空間と、該空気流の形成手段と、該選別空間の上部に設けられた破砕産業廃棄物の投入口と、を備え、該空気流により該投入口から投入された破砕産業廃棄物のうち重量物を該コンベアの搬送面に落下させ、軽量物を該コンベア外に飛散させるように構成してもよい。この構成は、主に発泡ウレタン類等の軽量物を選別するのに好適である。
【0020】
該空気流の流量を調整することにより、発泡ウレタン類等の軽量物をコンベアの上流側へ移動させ、その他の廃棄物はコンベア上に落下させ、コンベア上に載せて下流側へ移動させることができる。装置の小型化も可能である。選別された発泡ウレタン類は、塩素成分を含んでいないので、そのまま燃料として再利用できる。
【0021】
また本発明装置において、風力選別装置が、一方に傾斜して配置された平板状の分別板と、該分別板に振動を付加する加振装置と、該分別板の上部に破砕産業廃棄物を落下させるコンベアと、該分別板に向けて該分別板の向きと交差する方向から空気流を送る送風手段と、を備え、該分別板上を落下する破砕産業廃棄物を該破砕産業廃棄物と該分別板との摩擦力及び該空気流により選別するように構成してもよい。かかる構成では、該空気流により廃棄物を飛ばし、かつ分別板に衝突するときの摩擦と分別板を沿う流れ(風力)により廃棄物を分別する。
【0022】
また分別板を振動させることにより、廃棄物と分別板との摩擦力を調節可能である。このように空気流の流量と該摩擦力とを調整することにより、廃棄物の種類によって選別精度を最適に調整することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、比重選別の前段階で破砕産業廃棄物を破砕処理することなく風力選別することにより、軽量物と重量物とに分離し、該風力選別で分離された軽量物と重量物とをそれぞれ別個に選別液に浸漬して比重選別することにより、微細な破砕屑の発生を減少させ、廃却する残渣量を減らすことが可能になる。その結果、燃料としての回収率を向上することができる。また微細な破砕屑の発生を減少させることにより、比重選別工程での選別液を汚泥化しないので、選別効果を低下させることがない。
【0024】
また比重選別工程の前に軽量物と重量物とに分離し、個別に比重選別を行なうことにより、比重選別装置の負荷を低減でき、これによって比重選別の選別性能を向上することができる。予め風力選別工程で選別した軽量物又は重量物の塩素含有量が少ないことがわかっていれば、塩素含有量の少ない物質は比重選別を行なうことなく燃料として再利用が可能である。このような場合選別工程の簡略化が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0026】
(実施形態1)
本発明をカーシュレッダーダストの選別処理に適用した第1実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。なお、図1は軽量物及び重量物がともに塩素含有物が多い場合の選別処理のフローチャート、図2は軽量物の塩素含有物が少ない場合の選別処理のフローチャート、図3は本実施形態で選別処理対象となる破砕物に含まれる樹脂類の物性値を示す図表である。
【0027】
廃車両の解体は、まずタイヤやボンネット等が取り外され、次に燃料やオイル類が抜き取られる。さらにバッテリやシートが取り外され、フロアマットやメルシート、オーディオ機器等が取り外される。次にエンジン、ラジエータやガラス類が取り外される。さらにヒータコア、バンパ、ランプ類、電子機器類が取り外された後、カーシュレッダーで破砕される。そして、その後金属類が除去される。
【0028】
図1において、前述のように再利用可能な部品を取り外されカーシュレッダーで破砕された後金属類が除去されたカーシュレッダーダスト1(以下「ダスト1」という。)は、ワイヤハーネス類、木屑、硬質プラスチック類、軟質プラスチック類、発泡ウレタン類、繊維類等が混在している。ワイヤハーネス類は、被覆層に塩化ビニルが含まれる場合があり、硬質プラスチック類は、車両のバンパや内装パネル、ドアノブ等に用いられ、バンパ等が塩化ビニルを含む場合がある。
【0029】
また軟質プラスチック類は主にフィルム状をして座席シートのビニール等に用いられ、該シートに塩化ビニルが含まれる場合がある。発泡ウレタン類は主に座席シートのクッションに用いられ、塩化ビニルは含まれていない。繊維類は、座席シートの表皮に使用される布や、ドアや天井に内張りした吸音材、あるいはフロアマットとして用いられる。
【0030】
ダスト1を、まず篩選別工程2で破砕屑、砂等の残渣3を分離する。このように本発明では後工程の比重選別工程7で汚泥化の原因となる微細物を極力除去しておく。次に風力選別工程4で軽量物5と重量物6とに選別する。ここで軽量物と重量物とを完全に分別することはできないが、軽量物5は、主に発泡ウレタン類、フィルム状の軟質プラスチック類又は布等の繊維類等を含み、大径物が多い。重量物6は、主に硬質プラスチック類やワイヤハーネス類等を含む。軽量物5又は重量物6は、それぞれ別々に選別液(本実施形態では水を使用する)中に浸漬して比重選別工程7を施される。これによって比重の大きい塩素含有物10が分離除去され、該塩素含有物10は廃却され、例えば埋め立て処理される。
【0031】
比重選別工程7で塩素含有物10が除去された後の軽量物5又は重量物6は、燃料9として再利用される。軽量物5又は重量物6は、塩素含有物を分離するために必要とあれば破砕工程8で破砕処理される。このように比重選別工程7と破砕工程8とを適宜組み合わせることにより、塩素含有物を高精度に分離できる。図2は、軽量物5の塩素含有物が少ない場合の処理フローであり、この場合、軽量物5は比重選別や破砕処理を行わずにそのまま燃料9として再利用される。
【0032】
図3はダスト1に含まれる各樹脂類の物性値を示す。図3において、ダスト1に含まれるプラスチック類等の樹脂類の比重は、塩化ビニルが1.34で水より重く、その他の物質は1.0前後である。従って選別液として水を使用した比重選別により塩化ビニルとその他の樹脂類とを選別することは容易である。なお比重選別装置として、例えば特許第3711471号公報に開示された比重選別装置を用いることができる。この装置は、気室を有する選別槽にフロートが上下動する脈動検知手段を吊設し、該選別槽内には上下に仕切るスクリーン部を設け、該気室に空気入排気量を調節する空気バルブ部を設け、該選別槽内の液体の脈動振幅及び脈動周期を該脈動検知手段からの情報によって、該気室の空気量を該空気バルブ部で制御するようにした流水と沈降速度を利用した比重選別装置である。
【0033】
このように本実施形態によれば、ダスト1を篩選別工程2で破砕屑等の微細な残渣3を除去するとともに、前処理としての破砕工程をなくしたため、微細な破砕屑の発生が少なく、従って廃却する残渣量を少なくすることができる。その結果燃料としての回収率を向上することができる。また微細な破砕屑が少ないため、後工程の比重選別工程7で選別液を汚泥化することがなく、選別効果を阻害しない。
【0034】
また比重選別工程7の前で軽量物5と重量物6とに分離し、軽量物5と重量物6とをそれぞれ別々に比重選別するため、比重選別装置の負荷を低減でき、選別性能を向上することができる。また風力選別工程4で選別した軽量物5又は重量物6中の塩素含有物が少ないことがわかっている場合には、塩素含有物の少ない物質は比重選別することなく、燃料として再利用できるので、選別工程の簡略化が可能である。
(実施形態2)
【0035】
次に本発明の第2実施形態を図4に基づいて説明する。図4は、本発明に用いられる落下型風力選別装置の構成図である。図4において、ダスト1がコンベア11で運ばれて選別室12の上方に設けられた投入口12aから選別室12内に落下される。選別室12内の床面にはa〜iの符号が付された収納ボックスが並設されている。コンベア11の下方には空気流発生装置13が設けられる。空気流発生装置13は、ダクト14の吸入口15付近に送気ファン16が設けられ、送気ファン16の稼動により吸入口15から空気が取入れられ、選別室12に開口する噴出口17から選別室12内に空気流jが供給される。
【0036】
コンベア11の出口から選別室12内に落下されるダスト1は、空気流jにより飛ばされて、重量物は手前に、軽量物は遠くに落下して、下方の収納ボックスa〜iのいずれかに入る。なおダクト14の噴出口17はその開口位置を上下に変更可能に構成されている。空気流jの流速を変えることによって、又は噴出口17の上下方向位置を変えることによって、ダスト1の飛行距離を変えることができる。本装置は、主として重量物としての硬質プラスチック類と軽量物としての発泡ウレタン類とを選別することを狙ったものである。即ち、硬質プラスチック類は重いため、手前の収納ボックスb内に落ち、発泡ウレタン類は収納ボックスc又はdに落ちる。また微細な破砕屑は収納ボックスe〜iに落ちる。
【0037】
本装置では、飛行距離を長く取ることで、カーシュレッダーダスト1の細かい分別が可能になる。このように本実施形態によれば、簡素な構成でダスト1の分別が可能になる。
なお、収納ボックスa〜iの代わりに該収納ボックスの設置位置にそれぞれ別個にコンベアを設ければ、該コンベアの搬送面に落下したダスト1をそのまま選別処理ラインの次工程へ搬送することができる。ダスト1に含まれる残渣(微細な破砕屑や砂等)は、最も飛行距離が長いため、有用物(軽量物、重量物)とは別に分別することができる。
(実施形態3)
【0038】
次に本発明の第3実施形態を図5に基づいて説明する。図5は、図4とは別な構成の風洞型風力選別装置を示す構成図である。図5において、選別室22には内部にコンベア21が設けられて選別空間を形成する。コンベア21の搬送面は矢印k方向に移動する。空気流発生装置23は、吸入口25付近に送気ファン26が設けられ、送気ファン26の稼動によって吸入口25から空気が吸引され、選別室22に開口する噴出口27から選別室22内に空気流lが供給される。空気流lはコンベア21の搬送方向kと逆方向に向けられる。
【0039】
ダスト1は選別室22の上部に設けられた投入口28から選別室22内に投入される。投入されたダスト1のうち、軽量物は空気流lによってコンベア21の搬送方向kとは逆方向の矢印m方向に飛ばされ、重量物のみがコンベア21の搬送面に落下して矢印k方向に運ばれる。このようにしてダスト1の軽量物と重量物とが選別される、軽量物は、主として発泡ウレタン類やフィルム状の軟質プラスチック類等であり。重量物は、主として硬質プラスチック類やワイヤハーネス類等である。
【0040】
本装置では、空気流lの流量を調節することにより、発泡ウレタン類を軽量物として選択的に選別することができる。選別された発泡ウレタン類は、塩素含有物が少ないため、そのまま燃料として再利用される。この場合繊維類は、硬質プラスチック類等の重量物とともにコンベア21の搬送面に落下して矢印k方向に運ばれる。コンベア21の搬送面に落下して矢印k方向に運ばれた重量物は、さらに矢印n方向に移送されて本装置の下流側に設置される図示しない比重選別装置で分別される。なお空気流lによって矢印m方向に飛ばされた軽量物を受けるコンベアを設けるようにすれば、軽量物をそのまま次工程へ搬送することができる。
(実施形態4)
【0041】
次に本発明の第4実施形態を図6に基づいて説明する。図6は、本発明の選別処理に適用可能な更に別の構成の衝突型風力選別装置を示し、(a)はその斜視図、(b)は立面視説明図、(c)は平面視説明図である。図6において、平板状の分別板31が水平な基盤32に対して斜めに設置されている。分別板31は基盤32に対して支柱33で支持され、支柱33には加振装置34が介設され、分別板31に対して垂直方向の振動を加えることができる。分別板31と基盤32とのなす角度αは、例えば30〜60°に調節される。角度αを変えることにより、分別板31上を落下するダスト1の落下速度及びダスト1と分別板31との間に働く摩擦力を変えることができる。
【0042】
分別板31の側方にはコンベア37が設けられ、該コンベア37でダスト1を搬送し、分別板31の上部に位置する落下・衝突点Pに落とす。コンベア37の下方には送風機38が設けられ、分別板31に向かって空気流qを送る。図6(c)に示すように、送風機38により供給される空気流qと分別板31の上辺31aとは平行ではなく、ある角度βをなして交差している。空気流qと分別板31とが平行に配置されると、空気流qは分別板31上に落下したダスト1に対して分別力を付加することができない。従って空気流qと分別板31とを角度βをもって交差させる必要がある。角度βは、分別板31に付加する風力に応じて例えば10〜50°に設置される。
【0043】
分別板31上にはダスト1の落下方向に向けて複数の仕切板35a及び35bが突設されている。本装置では、分別板31上に落下するダスト1に対して、空気流qを付加して空気流qの風力によってダスト1を飛ばすため、ダスト1の重量、大きさ又は形状等によって飛行距離が異なり、分別板31上に到達する位置が異なる。破砕屑のような微小物1dや、発泡ウレタン類のような軽量物1cは飛行時間が長い。一方、重量物1aや布のように変形する物質は飛行時間が短い。
【0044】
本装置では、分別板31上に落ちるまでのダスト1の飛行距離でダスト1を分別する。またダスト1が分別板31の上面に落下した後では、ダスト1が分別板31に衝突するときの分別板31とダスト1との摩擦と、分別板31の上面に沿う空気流(風力)とにより、ダスト1を分別する。さらに分別板31を加振装置34で振動させることにより、分別板31とダスト1との見かけ上の静止摩擦力を調整することができる。
【0045】
飛行したダスト1は、分別板31上に衝突し、分別板31との摩擦力と横方向に流れる空気流qの風力によって、飛行距離によって分別された物質をさらに細かく分別される。例えば飛行距離の短い硬質プラスチック類等の重量物と布とは、分別板31上をすべり落ちる間に、分別板31との摩擦力との違い及び空気流qの風力によって、硬質プラスチック類等の重量物1aは仕切板35aの手前に滑り落ち、布は仕切板35aと仕切板35bの間に中量物1bとして滑り落ちる。分別板31の上面近くの空気流は遅く、該上面から離れるほど空気流は速くなるため、発泡ウレタン類のようにかさ密度が低い物質も良好に分別できる。
【0046】
このように本装置によればダスト1の重量、形状又は大きさ等に応じて空気流qの流量とダスト1と分別板31との該摩擦力を調整することにより、分別精度を向上させることができる。なお加振装置34の振幅及び振動数は、ダスト1の重量、大きさ、形状、及び摩擦係数等によって最適値を適宜調整する。
(実施形態5)
【0047】
次に本発明の第5実施形態を図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態の選別工程を示すフローチャートである。図7において、ダスト1は、空気流rを用いる風力選別機41で主として発泡ウレタン類sからなる軽量物とそれ以外の破砕物tに分別される。破砕物tは、次工程で冷媒uを用いる冷凍破砕機42により図3に示す各樹脂の脆化温度以下に冷凍された状態で冷凍破砕される。これによって破砕物tに混入しているプラスチック類は脆化して低動力で容易に破砕される。
【0048】
次に破砕物tは、篩選別機43で篩選別され、繊維類、ワイヤハーネス類等の大径物vと前工程で冷凍破砕されたプラスチック類等の小径物wとに分別される。大径物vと分離された小径物wは、次に選別液として水を用いた比重選別機44で比重の小さいプラスチック類xと比重の大きな金属類等yに選別される。プラスチック類xは、その後適宜破砕処理と比重選別とを行うことにより、塩素含有物を分離し、塩素含有物を分離したプラスチック類は燃料として再利用することができる。
【0049】
本実施形態によれば、風力選別機41で破砕処理前に比較的分離しやすい発泡ウレタン類sを分離し、さらに篩選別機43で繊維類等の大径物vを分離することにより、比重選別機44の負荷が減り、比重選別機44での選別効率が向上する。また塩素含有物が少ない発泡ウレタン類sをそのまま燃料として再利用できるため、処理工程を簡略化できる。
またプラスチック類を冷凍破砕により脆化温度以下に冷却した上で破砕するので、破砕動力を低減できるとともに、繊維類、ワイヤハーネス類等の大径物vは破砕されないので、次工程の篩選別でプラスチック類等の小径物wと繊維類、ワイヤハーネス類等の大径物vとの篩選別が容易になる。
(実施形態6)
【0050】
次に本発明の第6実施形態を図8に基づいて説明する。図8の(a)は本実施形態の説明工程を示すフローチャート、(b)は(a)で用いたトロンメル型選別機の変形例を示す説明図である。図8において、ダスト1は、空気流rを用いるトロンメル型選別機51で発泡ウレタン類sと、繊維類、ワイヤハーネス類等の大径物vと、それ以外の小径物wとに分別される。トロンメル型選別機51は、円筒形をなす周壁51aを備え、該周壁が篩目をもつ。
【0051】
トロンメル型選別機51の出口側開口51cから空気流rを供給することにより、軽い発泡ウレタン類sは入口側開口51bから外部に飛ばされ、繊維類、ワイヤハーネス類等の大径物vが出口側開口51cから排出され、その他の小径物wは円周壁の篩目から取り出される。なおトロンメル形選別機51において、繊維類やワイヤハーネス類等の大径物vが引っかかるため、円周壁51aの内面に羽根や突起物を設けない。また図8(b)に示すように、内径を入口側から出口側に向けて徐々に小さくすれば、空気流rの風速を変化させることができる。
【0052】
トロンメル型選別機51を出た小径物wは、選別液として水を用いた比重選別装置52で比重の小さいプラスチック類xと比重の大きい金属類等yとを選別する。プラスチック類xはその後適宜破砕処理と比重選別とを行うことにより、塩素含有物を分離し、塩素含有物を分離したプラスチック類を燃料として再利用することができる。
【0053】
本実施形態によれば、トロンメル型選別機51を用いることにより、ダスト1を発泡ウレタン類sと、繊維類、ワイヤハーネス類等の大径物vと、その他の小径物wとに一度に分別できるので、選別工程を短縮できて、装置を簡素化できる。また比重選別機52に小径物wのみを投入するので、比重選別機52の負荷を減少できるとともに、小径物wの分別効率を向上できる。
【0054】
また図8(b)に示すように、トロンメル型選別機51’を円錐台形をなす周壁51a’で構成し、入口側開口51b’の内径を大きくし、出口側開口51c’の内径を入口側開口51b’と比べて小さくすれば、内径の大きい入口側では比較的大きな発泡ウレタン類sが他の破砕屑と比べて空気流rを受けやすくなる。従って発泡ウレタン類sは入口側開口51b’に向かって飛ばされやすくなるので、発泡ウレタン類sを分離しやすくなる。また内径の小さな出口側では、プラスチック類等の小径物wが出にくくなるため、繊維類、ワイヤハーネス類等の大径物vとの分別効率が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、カーシュレッダーダスト等の破砕産業廃棄物を比重選別するに際し、前工程としての破砕処理を止め、代わりに風力選別を行なうことによって、比重選別効果を向上させ、これによって、塩化ビニル等の塩素含有物を精度良く除去できるため、該産業廃棄物を燃料として再利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を廃車両の選別処理に適用した第1実施形態のフローチャートである。
【図2】前記第1実施形態の変形例のフローチャートである。
【図3】廃車両をカーシュレッダーで破砕した破砕物に含まれる樹脂類の物性値を示す図表である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る落下型風力選別装置の構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る風洞型風力選別装置の構成図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る衝突型風力選別装置を示し、(a)は斜視図、(b)は立面視説明図、(c)は平面視説明図である。
【図7】本発明の第5実施形態の選別工程を示すフローチャートである。
【図8】(a)は本発明の第6実施形態の選別工程を示すフローチャート、(b)はトロンメル型選別機の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 カーシュレッダーダスト
2 篩選別工程
4 風力選別工程
5 軽量物
6 重量物
7 比重選別工程
8 破砕工程
11、21、37 コンベア
12、22 選別室(選別空間)
13、23 空気流発生装置(空気流発生手段)
12a、28 投入口
31 分別板
34 加振装置
38 送風機(送風手段)
41 風力選別機
42 冷凍破砕機
43 篩選別機
44、52 比重選別機
51 トロンメル型選別機
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成19年1月26日(2007.1.26)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久

【識別番号】100137257
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 廣


【公開番号】 特開2008−178846(P2008−178846A)
【公開日】 平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願番号】 特願2007−16164(P2007−16164)