トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 湿式遠心分級方法およびその湿式遠心分級方法で得られた金属微粒子スラリー
【発明者】 【氏名】向野 隆

【氏名】佐伯 勝彦

【氏名】佐々木 卓也

【要約】 【課題】金属粒子スラリーの分級性能を高めることができる湿式遠心分級方法およびその湿式遠心分級方法で得られた金属微粒子スラリーを提供する。

【解決手段】湿式遠心分級方法の排出工程では、分級された金属微粒子スラリー11と金属粗粒子スラリー12が、流入水圧を利用して遠心管2の上端から排出される。ここで、金属微粒子スラリー11の排出領域11aと金属粗粒子スラリー12の排出領域12aは、環状部材5によって別々になっている。したがって、金属微粒子スラリー11および金属粗粒子スラリー12は、分級された状態が維持されて遠心管2から排出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒型の遠心管の下端の開口部から内部に金属粒子スラリーを流入する供給工程と、
前記遠心管の内部に流入された前記金属粒子スラリーを攪拌して金属微粒子スラリーと金属粗粒子スラリーとに分級する攪拌工程と、
分級された前記金属微粒子スラリーおよび前記金属粗粒子スラリーを、前記遠心管の内部にかかる流入水圧を利用して前記遠心管の上端の開口部から排出する排出工程とを備えた湿式遠心分級方法において、
前記排出工程では、前記金属微粒子スラリーおよび前記金属粗粒子スラリーを、分級された状態を維持して前記遠心管から排出するようにしたことを特徴とする湿式遠心分級方法。
【請求項2】
前記排出工程では、前記金属微粒子スラリーおよび前記金属粗粒子スラリーを前記遠心管から別々の方向に排出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の湿式遠心分級方法。
【請求項3】
金属粒子スラリーから請求項1または請求項2に記載の湿式遠心分級方法を用いて得られたことを特徴とする金属微粒子スラリー。
【請求項4】
前記金属微粒子スラリー中の金属微粒子は、銅微粒子、ニッケル微粒子、銀微粒子、スズ微粒子のいずれかの金属微粒子、もしくはこれらの金属微粒子を別の金属または金属酸化物でコートした金属微粒子であることを特徴とする請求項3に記載の金属微粒子スラリー。
【請求項5】
前記金属微粒子スラリー中の金属微粒子は、平均一次粒径が、5nm〜2000nmであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の金属微粒子スラリー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本件発明は、遠心力を利用して金属粒子スラリーを分級する湿式遠心分級方法およびその湿式遠心分級方法で得られた金属微粒子スラリーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種用途に利用される各種金属粒子については、粒度の均一化の要求が高まっている。このような要求に応えるために、種々の分級方法が使用されている。特に、ナノサイズレベルの金属粒子を分級する場合には、風力を利用した分級方法が使用できないことから湿式遠心分級方法が使用されている(特許文献1参照)。この湿式遠心分級方法は、遠心力を利用して金属粒子スラリーを分級するものである。
【0003】
また、湿式遠心分級方法の中には、金属粒子スラリーを円筒型の遠心管の下側から上側へ送りながら分級するものが提案されている。この湿式遠心分級方法は、供給工程と、攪拌工程と、排出工程とを備えている。供給工程では、遠心管の下端の開口部から内部に金属粒子スラリーを流入させる。攪拌工程では、遠心管の内部に流入された金属粒子スラリーを攪拌して金属微粒子スラリーと金属粗粒子スラリーとに分級する。そして、排出工程では、分級された金属微粒子スラリーおよび金属粗粒子スラリーを、遠心管の下端側から内部にかかる流入水圧を利用して、遠心管の上端の開口部から排出している。
【0004】
したがって、遠心管の上端の開口部の中央部には、金属微粒子スラリーの排出領域が形成されている。また、前記遠心管の上端の開口部の外側には、金属粗粒子スラリーの排出領域が形成されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−334865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の湿式遠心分級方法でも、風力分級に比べれば、金属微粒子スラリーと金属粗粒子スラリーとの分離は改善されてきた。ところが、nmオーダーの粒子の使用範囲が拡大するにつれて、その粉体特性にも、より高度の要求が行われてきた。特に、粒度分布の優れたナノ粒子が求められてきた。
【0007】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、金属粒子スラリーの分級性能を高めることができる湿式遠心分級方法およびその湿式遠心分級方法で得られた金属微粒子スラリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、前記課題を解決するために以下のような湿式遠心分級方法および金属微粒子スラリーを提案する。
【0009】
本件発明の湿式遠心分級方法では、円筒型の遠心管の下端の開口部から内部に金属粒子スラリーを流入する供給工程と、前記遠心管の内部に流入された前記金属粒子スラリーを攪拌して金属微粒子スラリーと金属粗粒子スラリーとに分級する攪拌工程と、分級された前記金属微粒子スラリーおよび前記金属粗粒子スラリーを、前記遠心管の内部にかかる流入水圧を利用して前記遠心管の上端の開口部から排出する排出工程とを備えた湿式遠心分級方法において、前記排出工程では、前記金属微粒子スラリーおよび前記金属粗粒子スラリーを、分級された状態を維持して前記遠心管から排出するようにしたことを特徴としている。
【0010】
かかる構成においては、金属微粒子スラリーと金属粗粒子スラリーが遠心管から排出される時に、双方のスラリーが混ざり合うのが防止される。
【0011】
また、本件発明の湿式遠心分級方法では、前記排出工程では、前記金属微粒子スラリーおよび前記金属粗粒子スラリーを前記遠心管から別々の方向に排出するようにしたことを特徴としている。
【0012】
かかる構成において、金属微粒子スラリーと金属粗粒子スラリーは、遠心管から排出された後でも混ざり合うのが防止される。
【0013】
また、本件発明の金属微粒子スラリーは、金属粒子スラリーから本件発明の湿式遠心分級方法を用いて得られたことを特徴としている。
【0014】
かかる構成においては、スラリー中の金属微粒子の粒度の均一性を高めることができる。
【0015】
また、本件発明の金属微粒子スラリーは、スラリー中の金属微粒子が、銅微粒子、ニッケル微粒子、銀微粒子、スズ微粒子のいずれかの金属微粒子、もしくはこれらの金属微粒子を別の金属または金属酸化物でコートした金属微粒子であることを特徴としている。
【0016】
また、本件発明の金属微粒子スラリーは、スラリー中の金属微粒子の平均一次粒径が、5nm〜2000nmであることが好ましい。
【0017】
このような粒度を有する金属微粒子を含む金属微粒子スラリーであれば、過度な微細粒子による凝集やハンドリング不良を回避でき、微細回路形成に支障をきたすことがなく、導電ペースト製造用原材料として好適である。
【発明の効果】
【0018】
本件発明の湿式遠心分級方法は、遠心管から排出される金属微粒子スラリーと金属粗粒子スラリーとが混ざり合うのを防止したことにより、金属粒子スラリーの分級性能を高めることができる。さらに、本件発明の湿式遠心分級方法は、双方のスラリーが遠心管から排出された後でも混ざり合うのを防止したので、金属粒子スラリーの分級性能をさらに高めることができる。また、本件発明の金属微粒子スラリーは、本件発明の湿式遠心分級方法を用いて得られたことから、スラリー中の金属微粒子の粒度の均一性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。図1は、本件発明の一実施の形態を示す湿式遠心分級装置1の模式縦断面図である。本実施の形態の湿式遠心分級装置1は、円筒型の外筒2と、攪拌機構3と、モーター4と、環状部材5と、キャップ6と、円筒型の遠心管7とを備えている。
【0020】
外筒2は、下端の開口部21から内部22に金属粒子スラリー10が流入されるように構成されている。また、外筒2の下端側には、供給管100の一端側が接続されている。この供給管100の他端側には、ポンプ(図示せず)を介して、スラリータンク(図示せず)が接続されている。このスラリータンクには、金属粒子スラリー10が貯留されている。また、供給管100およびポンプは、外筒2の内部22に金属粒子スラリー10を流入させるものである。
【0021】
また、遠心管7は、外筒2の内部22に近接して設けられている。この遠心管7は、外筒2の上端側から下端側に延びるように形成されている。さらに、遠心管7は、下端の開口部701から内部71に流入された金属粒子スラリー10を、上端の開口部702から外筒2の上端の開口部23に送るように構成されている。
【0022】
一方、攪拌機構3は、外筒2の内部22に流入された金属粒子スラリー10を攪拌しつつ、金属粒子スラリー10に遠心力を与えるものである。この攪拌機構3は、複数枚の攪拌羽根31から構成されている。なお、本実施の形態においては、四枚の攪拌羽根31を有する事例を示す。
【0023】
四枚の攪拌羽根31は、遠心管7の内部71に設けられている。また、各攪拌羽根31は、それぞれ、遠心管7の上端側から下端側に延びるように形成されている。そして、四枚の攪拌羽根31は、上方から視て十字になるように結合されている。さらに、結合された四枚の攪拌羽根31は、側端311が遠心管7の内側の周壁7aに固定されて設置されている。
【0024】
一方、環状部材5は、攪拌機構3の上端に設けられている。具体的に説明すると、環状部材5は、図2に示すように、その底面5a側に、四つの溝51が設けられている。各溝51の設置位置は、攪拌機構3の各攪拌羽根31に対応している。そして、各溝51は、各攪拌羽根31の上端312に嵌合されている。このように、各溝51が、それぞれ各攪拌羽根31の上端312に嵌合されていることにより、環状部材5は、攪拌機構3の上端に位置することとなる。
【0025】
また、図2に示すように、環状部材5の中央部には、穴52が設けられている。この穴52は、環状部材5が攪拌機構3の上端に設けられた状態で、その中心52aが、四枚の攪拌羽根31の結合部31a(図1参照)の中心と一致するように形成されている。さらに、この穴52は、モーター4の駆動軸41を挿通させるように形成されている。
【0026】
また、図3に示すように、環状部材5は、攪拌機構3の上端に設けられた状態で、金属微粒子スラリー11の排出領域11aと、金属粗粒子スラリー12の排出領域12aとを区分するように、その大きさが設定されている。なお、金属微粒子スラリー11の排出領域11aは、外筒2の上端の開口部23の中央部(遠心管7の上端の中央開口部)に形成される領域である。また、金属粗粒子スラリー12の排出領域12aは、開口部23の中央部の外側(遠心管7の上端の外周側開口部)に形成される領域である。なお、図3では、モーター4を省略している。
【0027】
一方、キャップ6は、キャップ本体61と、挿通部62とを備えている。キャップ本体61は、環状部材5が攪拌機構3の上端に設けられた状態で、外筒2の上端の開口部23(遠心管7の上端の開口部702)を塞ぐように設けられている。具体的には、キャップ本体61の下面61aが、外筒2の上端の開口部23を塞いでいる。そして、この下面61a側の中央部には、凹部611が設けられている。この凹部611は、環状部材5の穴52と重なるように形成されている。さらに、凹部611は、図1に示すように、モーター4の駆動軸41を挿通させるように形成されている。
【0028】
また、図3に示すようにキャップ本体61の内部には、二つの排出路612、613が設けられている。金属微粒子スラリー用排出路612は、キャップ本体61の凹部611から、キャップ本体61の側面61bの外側へ抜けるように形成されている。また、金属粗粒子スラリー用排出路613は、キャップ本体61の下面61aの外側から、キャップ本体61の上面61cの外側に抜けるように形成されている。
【0029】
また、挿通部62は、キャップ本体61の上面61cの中央部に設けられている。また、挿通部62とキャップ本体61とには、図1に示すように、上面62aから凹部611にかけて挿通路63が設けられている。この挿通路63は、モーター4の駆動軸41を挿通させるように形成されている。
【0030】
一方、モーター4は、攪拌機構3を駆動するものである。このモーター4は、駆動軸41が、キャップ6の挿通路63と、凹部611と、環状部材5の穴52とに挿通して、四枚の攪拌羽根31の結合部31aの上端31bに結合している。これにより、モーター4は、駆動軸41が回転することにより、遠心管7と四枚の攪拌羽根31とを一緒に回転させるように構成されている。
【0031】
かかる構成において、本実施の形態の湿式遠心分級装置1を用いた金属粒子スラリー10の湿式遠心分級方法を説明する。
【0032】
流入工程:ポンプが駆動すると、金属粒子スラリー10が、スラリータンクから供給管100を通って、外筒2の下端の開口部21から内部22に流入される。内部22に流入された金属粒子スラリー10は、遠心管7の内部71を通って、上端の開口部23に送られる。
【0033】
攪拌工程:モーター4がオンにされると、攪拌機構3が駆動する。これにより、攪拌羽根31は、遠心管7の内部71に流入された金属粒子スラリー10を攪拌する。すると、金属粒子スラリー10中に遠心力が発生する。この遠心力により、図3に示すように、金属粒子スラリー10は、金属微粒子スラリー11と金属粗粒子スラリー12とに分級される。金属微粒子スラリー11は、外筒2(遠心管7)の横断面の中央部2aに移動する。そして、金属粗粒子スラリー12は、外筒2(遠心管7)の横断面の中央部2aの外周部2bに移動する。
【0034】
排出工程:図3に示すように、分級された金属微粒子スラリー11と金属粗粒子スラリー12は、外筒2の下端側から内部22にかかる流入水圧10a(図1参照)を利用して、上端の開口部23から排出される。このとき、上端の開口部23は、環状部材5によって、金属微粒子スラリー11の排出領域11aと金属粗粒子スラリー12の排出領域12aとが別々になっている。このため、金属微粒子スラリー11と金属粗粒子スラリー12が外筒2から排出される時に、双方のスラリー11、12が混ざり合うのが防止される。よって、本実施の形態の湿式遠心分級方法は、金属粒子スラリー10の分級性能を高めることができる。
【0035】
そして、金属微粒子スラリー11は、外筒2から排出された後、金属微粒子スラリー用排出路612を通ってキャップ6の側方側に排出される。また、金属粗粒子スラリー12は、外筒2から排出された後、金属粗粒子スラリー用排出路613を通って、キャップ6の上方側に排出される。
【0036】
このように、金属微粒子スラリー11と金属粗粒子スラリー12は、キャップ6によって、外筒2から別々の方向に排出される。したがって、金属微粒子スラリー11と金属粗粒子スラリー12が外筒2から排出された後でも、双方のスラリー11、12が混ざり合うことがない。よって、本実施の形態の湿式遠心分級方法は、金属粒子スラリー10の分級性能をさらに高めることができる。
【0037】
以上のとおり金属微粒子スラリー11は、分級性能が高い本実施の形態の湿式遠心分級方法を用いて得られたものである。よって、この金属微粒子スラリー11に含まれる金属微粒子の粒度の均一性は従来法によるものより高い。したがって、作業者は、この金属微粒子スラリー11から粒度の均一性が高い金属微粒子を得ることができる。
【0038】
また、本実施の形態で説明した湿式遠心分級方法においては、湿式遠心分級装置1に金属粒子スラリー10を供給する前に、金属粒子スラリー10の予備分散や凝集粒子の解粒を行うことにより、金属粒子スラリー10の分級効率をより高めることができる。この予備分散や凝集粒子の解粒に使用する装置としては、高速混合攪拌機やホモジナイザー、湿式ジェットミル等の強せん断作用を有するもの、メディアミルのような解粒作用を持つものが効果的である。そして、これらの装置を使用することにより、金属粒子スラリー10の沈降が抑制されるとともに、この金属粒子スラリー10は2次凝集がほとんどない理想的な状態で湿式遠心分級装置1へ供給される。このため、湿式遠心分級装置1においては、金属粒子スラリー10から真の粗大金属粒子のみを取り除くことが可能になる。
【0039】
また、本実施の形態で説明した湿式遠心分級方法においては、金属粒子スラリー10の分散状態を維持するために分散剤を添加することも、金属粒子スラリー10の分級効率を高めるために有効である。この分散剤としては、金属粒子スラリー10の粘度を高めるようなポリマー系のものは好ましくなく、水系であればイオン系、ノニオン系の界面活性剤、非水系であれば低分子アミン、カルボン酸系物質が好ましい。
【0040】
以下、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。なお、本件発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
実施例1では、実施の形態で説明した湿式遠心分級装置1を使用して銅粒子スラリー10の分級を行った。銅粒子スラリー10に使用される溶媒には水を使用した。また、銅粒子スラリー10は、銅粒子の含有量が1.0wt%に調整されたものを使用した。図4に、銅粒子スラリー10の粒度分布を示す。そして、表1に、銅粒子スラリー10のレーザー回析散乱式粒度分布測定法による体積累積平均粒径を示す。また、走査型電子顕微鏡(SEM)観察による銅粒子スラリー10中の銅粒子の平均一次粒径は50nmであった。
【0042】
【表1】


【0043】
湿式遠心分級装置1において、外筒2に流入される銅粒子スラリー10の流量を0.4L/minに設定した。また、外筒2から排出される銅微粒子スラリー11の排出領域11a側の流量を0.1L/minに設定した。また、外筒2から排出される銅粗粒子スラリー12の排出領域12a側の流量を0.3L/minに設定した。また、モーター4の回転速度を12000rpmに設定した。
【0044】
そして、この条件下で銅粒子スラリー10の分級を行い、分級された銅微粒子スラリー11を捕集した。そして、捕集した銅微粒子スラリー11の粒度分布を測定した。この測定結果を図5に示す。また、下記の表2に、捕集した銅微粒子スラリー11のレーザー回析散乱式粒度分布測定法による体積累積平均粒径を示す。
【0045】
【表2】


【実施例2】
【0046】
実施例2では、銅粒子スラリー10の予備分散を行った。この予備分散は、プライミクス株式会社製のフィルミックスを用いて、周速50m/s、流量200mL/minの条件下で1passさせて行った。また、予備分散が終了した銅粒子スラリー10に対して、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によるスラリー10中の銅粒子の平均一次粒径は50nmであった。
【0047】
そして、予備分散が終了した銅粒子スラリー10を、そのまま湿式遠心分級装置1に供給して実施例1と同じ条件で銅粒子スラリー10の分級を行い、分級された銅微粒子スラリー11を捕集した。そして、捕集した銅微粒子スラリー11の粒度分布を測定した。この測定結果を図6に示す。また、下記の表3に、捕集した銅微粒子スラリー11のレーザー回析散乱式粒度分布測定法による体積累積平均粒径を示す。
【0048】
【表3】


【比較例】
【0049】
比較例では、実施の形態で説明した湿式遠心分級装置1から環状部材5を外したものを使用した。その他の条件は、実施例1で説明した条件と同じである。そして、この条件で銅粒子スラリー10の分級を行い、分級された銅微粒子スラリー11を捕集した。そして、捕集した銅微粒子スラリー11の粒度分布を測定した。この粒度分布を図7に示す。また、下記の表4に、捕集した銅微粒子スラリー11のレーザー回析散乱式粒度分布測定法による体積累積平均粒径を示す。
【0050】
【表4】


【0051】
<実施例1と比較例の比較>
図4を基準にして図5と図7とを比較する。また、表1を基準にして表2と表4とを比較する。すると、比較例から得られた銅微粒子(図7、表4)よりも実施例1から得られた銅微粒子(図5、表2)の方が、粒径の小さい側に分布している。このことから、環状部材5を取り付けた方が、銅粒子スラリー10の分級性能が高いことがわかる。
【0052】
<実施例2と比較例の比較>
図4を基準にして図6と図7とを比較する。また、表1を基準にして表3と表4とを比較する。すると、比較例から得られた銅微粒子(図7、表4)よりも実施例2から得られた銅微粒子(図6、表3)の方が、粒径の小さい側に分布している。このことから、環状部材5を取り付けた方が、銅粒子スラリー10の分級性能が高いことがわかる。
【0053】
<実施例1と実施例2の比較>
図4を基準にして図5と図6とを比較する。また、表1を基準にして表2と表3とを比較する。すると、実施例1から得られた銅微粒子(図5、表2)よりも、実施例2から得られた銅微粒子(図6、表3)の方が、粒径の小さい側に分布している。このことから、効果的に予備分散を行った方が、銅粒子スラリー10の分級性能が高いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本件発明の湿式遠心分級方法は、金属粒子スラリーの分級性能を高めることができる。また、本件発明の湿式遠心分級方法で得られた金属微粒子スラリーは、金属微粒子の粒度の均一性を高めることができる。したがって、金属粒子スラリーの技術分野では、本件発明の湿式遠心分級方法や金属微粒子スラリーを十分に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本件発明の一実施の形態を示す湿式遠心分級装置の模式縦断面図である。
【図2】同実施の形態における環状部材を裏側から見た斜視図である。
【図3】同実施の形態の湿式遠心分級装置の駆動時の金属粒子スラリーの流れを示す図である。
【図4】実施例と比較例で使用された銅粒子スラリーの粒度分布図である。
【図5】実施例1で得られた銅微粒子スラリーの粒度分布図である。
【図6】実施例2で得られた銅微粒子スラリーの粒度分布図である。
【図7】比較例で得られた銅微粒子スラリーの粒度分布図である。
【符号の説明】
【0056】
1 湿式遠心分級装置
3 攪拌機構
4 モーター
5 環状部材
7 遠心管
10 金属粒子スラリー
11 金属微粒子スラリー
12 金属粗粒子スラリー
71 内部
612 金属微粒子スラリー用排出路
613 金属粗粒子スラリー用排出路
701 下端の開口部
702 上端の開口部
【出願人】 【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
【出願日】 平成18年12月13日(2006.12.13)
【代理人】 【識別番号】100124327
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 勝博


【公開番号】 特開2008−142681(P2008−142681A)
【公開日】 平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願番号】 特願2006−335880(P2006−335880)