トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 網下気室型湿式比重選別機
【発明者】 【氏名】阿部 中

【氏名】恒川 昌美

【要約】 【課題】水の脈動時に排出口から水が流出するおそれを減少させることができる網下気室型湿式比重選別機を提供する。

【解決手段】被選別物質が投入される選別室(12)と、選別室の下方に位置する脈動室(14)と、選別室と脈動室との間に位置する網目(16)と、選別室に設けられ、被回収物質が排出される排出口(12b)と、排出口に隣接して配置され、被回収物質を排出させるためのエジェクタ(18a)とを備えた網下気室型湿式比重選別機(10)であって、選別媒体の下降時に排出口を少なくとも部分的に閉鎖するダンパ(22)を備え、ダンパが、被回収物質の比重と実質的に同一か又はそれよりも小さい比重をもつ材料で形成され、上縁において回動可能に選別室に取り付けられた本体(22a)を有することを特徴とする比重選別機が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物質が投入される選別室と、前記選別室の下方に位置する脈動室と、前記選別室と前記脈動室との間に位置する網目と、前記選別室に設けられ、被回収物質が排出される排出口と、前記排出口に隣接して配置され、被回収物質を排出させるためのエジェクタとを備えた網下気室型湿式比重選別機であって、
選別媒体の下降時に前記排出口を少なくとも部分的に閉鎖するダンパを備え、前記ダンパが、被回収物質の比重と実質的に同一か又はそれよりも小さい比重をもつ材料で形成され、上縁において回動可能に前記選別室に取り付けられた本体を有していることを特徴とする比重選別機。
【請求項2】
前記本体が、板状体又は前記選別室の内部に向かって凸状になった湾曲体であることを特徴とする請求項1に記載の比重選別機。
【請求項3】
前記排出口から送り出された被回収物質の逆流を防止するための逆流防止ダンパを更に備え、前記逆流防止ダンパが、前記エジェクタの前記排出口が位置する側と反対側に位置する第2本体と、上縁を中心として回動できるように前記第2本体を取り付けるためのヒンジ部とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の比重選別機。
【請求項4】
被選別物質が投入される選別室と、前記選別室の下方に位置する脈動室と、前記選別室と前記脈動室との間に位置する網目と、前記選別室に設けられ、被回収物質が排出される排出口と、前記排出口に隣接して配置され、被回収物質を排出させるためのエジェクタとを備えた網下気室型湿式比重選別機であって、
前記排出口に沿って昇降し、前記排出口を開閉するように構成されたダンパを備えていることを特徴とする比重選別機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、網下気室型湿式比重選別機に関する。より詳細には、本発明は、網下気室型湿式比重選別機の排出口の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは自動車や家電、種々の機器類、容器等の多種多様な分野で使用されており、現代社会においてはプラスチックなしでは成り立たなくなっている。プラスチックの使用量は、年々増え続けており、これに伴い発生する混合プラスチック粒子量も膨大なものになっている。このような状況下において、循環型社会を形成していくうえで、混合プラスチック粒子の活用が重要な課題となっている。混合プラスチック粒子の資源化を進めるためには、素材別に選別して資源として再利用する技術を確立しなければならず、素材が異なる混合プラスチック粒子を選別する必要性が増大している。プラスチックの材質は多岐にわたっており、低比重で相互の比重差が小さいという特性を有している。
【0003】
一方、主として原炭から良質の石炭を選択的に回収する機械として、網下気室型湿式比重選別機が知られている。図9を参照して、網下気室型湿式比重選別機の動作原理について簡単に説明する。網下気室型湿式比重選別機は、選別しようとする物質(以下「被選別物質」という)が入れられる選別室が上方に、水が充填される脈動室が下方に位置し、選別室と脈動室との間に網目が配置されている。脈動室内には、空気を入/出させる空気室が配置されており、空気室内の水位を空気の入/出によって昇降させることにより、選別室内の水位を昇降させることができるようになっている。そして、選別室に入れた物質に適切な水の脈動を与えることによって、選別室内に比重別の物質の層が形成されることとなる。
【0004】
網下気室型湿式比重選別機においては通常、成層化された物質のうち最下層の物質が回収しようとする物質(以下「被回収物質」という)になるが、被回収物質は、選別室の下部に設けた排出口から排出路を介して外部に回収されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の網下気室型湿式比重選別機では、水の脈動時に選別室内の水位が降下すると、水が網目を通して脈動室内に戻るのではなく、排出口から排出路に流出する事態が発生することが多く、被回収物資の的確な回収にも悪影響が及ぼされるという課題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて案出されたものであって、水の脈動時に排出口から水が流出するおそれを減少させることができる網下気室型湿式比重選別機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の網下気室型湿式比重選別機は、選別媒体の下降時に排出口を少なくとも部分的に閉鎖するダンパを備え、ダンパが、被回収物質の比重と実質的に同一か又はそれよりも小さい比重をもつ材料で形成され、上縁において回動可能に選別室に取り付けられた本体を有していることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項2に記載の網下気室型湿式比重選別機は、前記請求項1の比重選別機において、前記本体が、板状体又は前記選別室の内部に向かって凸状になった湾曲体であることを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項3に記載の網下気室型湿式比重選別機は、前記請求項1又は2の比重選別機において、前記排出口から送り出された被回収物質の逆流を防止するための逆流防止ダンパを更に備え、前記逆流防止ダンパが、前記エジェクタの前記排出口が位置する側と反対側に位置する第2本体と、上縁を中心として回動できるように前記第2本体を取り付けるためのヒンジ部とを有していることを特徴とするものである。
【0010】
本願請求項4に記載の網下気室型湿式比重選別機は、排出口に沿って昇降し、排出口を開閉するように構成されたダンパを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の網下気室型湿式比重選別機によれば、選別媒体の下降時に排出口から選別媒体が流出するおそれを減少させることができ、これにより被回収物質の的確な回収が可能となる。また、本発明の網下気室型湿式比重選別機において逆流防止ダンパを備えることにより、被回収物質の選別室内への逆流が防止され、効率的な選別が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る網下気室型湿式比重選別機について詳細に説明する。図1において全体として参照符号10で示される本発明の好ましい実施の形態に係る網下気室型湿式比重選別機は、被選別物質が投入される選別室12と、選別媒体(例えば水)が充填される脈動室14と、選別室12と脈動室14との間に配置される網目16とを備えている。
【0013】
選別室12の一方の側の上部には、被選別物質が投入される投入口12aが設けられ、選別室12の他方の側の下部には、被回収物質が排出される排出口12bが設けられている。そして、排出口12bに隣接して、被回収物質が外部に排出される際の経路となる排出路18が配置され、排出路18内に、被回収物質を排出させるためのエジェクタ18aが配置されている。
【0014】
エジェクタ18aは、図2(b)に示されるように、シャフト18a1に複数枚(図1および図2では4枚)のブレード18a2が取り付けられた形態を有しており、シャフト18a1に連結されたモータ20を回転駆動させることによってブレード18a2を回転させ、これにより排出口12b付近に位置する被回収物質を排出路18を介して排出させるようになっている。なお、エジェクタ18自体は公知の装置である。
【0015】
網下気室型湿式比重選別機10は又、選別媒体の下降時に排出口12bを少なくとも部分的に閉鎖するダンパ22を備えている。ダンパ22は、排出口12bの寸法とほぼ同じ大きさに形作られた板状の本体22aと、排出口12bの上縁と本体22aの上縁とを回動可能に連結するためのヒンジ部22bとを有している(図3(a)参照)。ダンパ22の本体22aは、被回収物質の比重と実質的に同一か或いはそれよりも小さい比重をもつ材料で形成されており、これにより、ダンパ22は、成層化した被回収物質の層中で開放状態を維持することができるようになっている。
【0016】
なお、本体22aは、図1、図2(a)及び図3(a)では平板状のものとして図示されているが、図3(b)に示されるように、選別室12の内部に向かって凸状に湾曲した形状に形作ってもよい。また、排出口12bの幅が広い場合には、図5に示されるように、複数の本体22aを準備し、これらの本体22aをヒンジ部22bで排出口12bの上縁に回動可能に連結してもよい。
【0017】
選別室12内には、成層化した被選別物質の境界面を検知するためのセンサ24が配置されている。センサ24は、ケーブル28を介して演算制御器26に接続されており、演算制御器26は、ケーブル30を介してモータ20に接続されている。演算制御器26では、センサ24から送られた信号が、既存の演算方式(例えば、移動平均、偏差値など)に基づいて制御信号に変換され、この制御信号をモータ20に送ってモータ20を回転駆動させるようになっている。なお、センサ24および演算制御器26は、一般に用いられているものを使用してよい。
【0018】
次に、図6を参照して、以上のように構成された網下気室型湿式比重選別機の作動について説明する。物質A(比重γA 、図6で「○」で図示)と物質B(比重γB <γA 、図6で「△」で図示)とから構成される物質Xから物質Aを選択的に回収する場合を例にとる。
【0019】
図6には、選別室内に投入された物質Xが特に排出口付近において物質Aの下層と物質Bの上層に成層化されている状態が示されている。ダンパ22の本体は、比重γA と実質的に同一の比重をもつ材料で形成されているものとする。
【0020】
ダンパ22の本体の比重が物質Aの比重と実質的に同一であるため、選別媒体の上昇時には本体はほぼ水平状態にあり、排出口は開放している(図6(a)参照)。このときにエジェクタを作動させることより、物質Aが排出路を経由して外部に排出される。一方、選別媒体の下降時には水圧により、本体が少なくとも部分的に閉鎖された状態となるため、選別媒体は、排出路に流れるのが阻止され、網目を通して脈動室に流れることとなる(図6(b)参照)。
【0021】
また、エジェクタ18aの回転駆動によって排出口12bから排出路18に送り出された被回収物質が逆流しないように、排出路18内のエジェクタ18aに隣接して、逆流防止ダンパ32を配置してもよい(図4参照)。すなわち、逆流防止ダンパ32は、エジェクタ18aの排出口12bが位置する側と反対側に位置する第2本体32aと、上縁を中心として回動できるように第2本体32aを取り付けるためのヒンジ部32bとを有している。逆流防止ダンパ32を設けたことにより、排出路18に送り出された被回収物質が逆流すると、第2本体32aの外面32a1に当たってエジェクタ18aの少なくとも一部を塞いで、選別室内に侵入するのを防止するようになっている。なお、第2本体32aは、エジェクタ18aの回転駆動外縁(図4において破線で図示)に合致するように、湾曲形状に形作るのが好ましい。
【0022】
上述の実施の形態では、ダンパ22の本体22aを被回収物質と実質的に同一か又はそれよりも小さい比重をもつ材料で形成することによって、排出口の開閉を調整しているが、図7に示されるように、ダンパを上下方向に摺動可能に構成することにより、排出口の開閉を調整できるようにしてもよい。すなわち、図7に示されるダンパ22′は、排出口12bの両端に設けられたレール22′bに沿って上下方向に摺動可能に配置された本体22′aと、本体22′aをシャフト22′cを介して昇降させるピストンシリンダ22′dとを有しており、ピストンシリンダ22′dをケーブルを介して演算制御器(いずれも図示せず)に接続し、センサ24から演算制御器に送られる信号により、エジェクタ18a及びピストンシリンダ22′dに制御信号を送ってピストンシリンダ22′dを駆動させるように構成してもよい。なお、ダンパ22′を昇降させる機構として、ピストンシリンダ22′d以外の公知の任意の機構を用いてもよい。
【0023】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0024】
例えば、前記実施の形態では、単一の選別室をもつ比重選別機について説明されているが、図8に示されるように、複数(図8では3基)の選別室が直列に連結された比重制御機にダンパを配置してもよい。このような比重制御機では、複数種の被回収物質を連続的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る網下気室型湿式比重選別機を模式的に示した斜視図である。
【図2】図2(a)は図1の網下気室型湿式比重選別機の断面図、図2(b)はエジェクタの斜視図である。
【図3】図3(a)はダンパの一例を示した拡大断面図、図3(b)はダンパの別の例を示した拡大断面図である。
【図4】逆流防止ダンパを示した排出口付近の拡大断面図である。
【図5】網下気室型湿式比重選別機の別の例を模式的に示した断面図である。
【図6】図1の網下気室型湿式比重選別機の作動を説明するための図である。
【図7】網下気室型湿式比重選別機の更に別の例を模式的に示した断面図である。
【図8】複数の選別室が直列に連結された比重制御機に適用される例を示した図である。
【図9】網下気室型湿式比重選別機の動作原理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0026】
10 網下気室型湿式比重選別機
12 選別室
14 脈動室
16 網目
18 エジェクタ
20 モータ
22、22′ ダンパ
24 センサ
26 演算制御器
28 ケーブル
30 ケーブル
32 逆流防止ダンパ
【出願人】 【識別番号】306031010
【氏名又は名称】ジグ・エンジニアリング株式会社
【識別番号】505406464
【氏名又は名称】株式会社アールアンドイー
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人 北海道大学
【出願日】 平成18年12月11日(2006.12.11)
【代理人】 【識別番号】100104330
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 誠二


【公開番号】 特開2008−142623(P2008−142623A)
【公開日】 平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願番号】 特願2006−332965(P2006−332965)