トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離

【発明の名称】 圧力センサを利用した網下気室型湿式比重選別機用回収制御装置
【発明者】 【氏名】阿部 中

【氏名】恒川 昌美

【氏名】堀 邦紘

【要約】 【課題】被回収物質の種類にかかわらず、良好な精度で選別することができる網下気室型湿式比重選別機における回収制御技術を提供することである。

【解決手段】被選別物質が投入される選別室(12)と、選別室の下方に位置する脈動室(14)と、選別室と脈動室との間に位置する網目とを備えた網下気室型湿式比重選別機(10)に配置される回収制御装置であって、選別室内の所定箇所に配置された1基の圧力センサ、又は、前記選別室内の垂直方向に間隔を隔てた所定箇所にそれぞれ配置された複数基の圧力センサ(22a、22b)を備え、被選別物質の複数の層厚について選別媒体の脈動を与えた時に発生する圧力について予め取得したデータに基づき、被選別物質の回収を制御するように構成されていることを特徴とする装置が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物質が投入される選別室と、前記選別室の下方に位置する脈動室と、前記選別室と前記脈動室との間に位置する網目とを備えた網下気室型湿式比重選別機に配置される回収制御装置であって、
前記選別室内の所定箇所に配置された1基の圧力センサ、又は、前記選別室内の垂直方向に間隔を隔てた所定箇所にそれぞれ配置された複数基の圧力センサを備え、
被選別物質の複数の層厚について選別媒体の脈動を与えた時に発生する圧力について予め取得したデータに基づき、被選別物質の回収を制御するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記圧力センサが、前記選別室に設けられた被回収物質が排出される排出口の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、網下気室型湿式比重選別機における回収制御技術に関する。より詳細には、本発明は、網下気室型湿式比重選別機に用いられる回収制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは自動車や家電、種々の機器類、容器等の多種多様な分野で使用されており、現代社会においてはプラスチックなしでは成り立たなくなっている。プラスチックの使用量は、年々増え続けており、これに伴い発生する混合プラスチック粒子量も膨大なものになっている。このような状況下において、循環型社会を形成していくうえで、混合プラスチック粒子の活用が重要な課題となっている。混合プラスチック粒子の資源化を進めるためには、素材別に選別して資源として再利用する技術を確立しなければならず、素材が異なる混合プラスチック粒子を選別する必要性が増大している。プラスチックの材質は多岐にわたっており、低比重で相互の比重差が小さいという特性を有している。
【0003】
一方、主として原炭から良質の石炭を選択的に回収する機械として、網下気室型湿式比重選別機が知られている。図7を参照して、網下気室型湿式比重選別機の動作原理について簡単に説明する。網下気室型湿式比重選別機は、選別しようとする物質が入れられる選別室が上方に、水が充填される脈動室が下方に位置し、選別室と脈動室との間に網目が配置されている。脈動室内には、空気を入/出させる空気室が配置されており、空気室内の水位を空気の入/出によって昇降させることにより、選別室内の水位を昇降させることができるようになっている。そして、選別室に入れた物質に適切な水の脈動を与えることによって、選別室内に比重別の物質の層が形成されることとなる。
【0004】
網下気室型湿式比重選別機を使用して、所望の物質を回収する種々の技術が提案されている(特許文献1〜特許文献5)。例えば、回収物質の比重と近似したフロートを作成し、該フロートの上方にシャフトを取り付け、上下に揺動するシャフトの高さを測定することによって、回収物質の層厚を検知し制御する手法(シャフト揺動型フロートセンサ)や、回収物質を観察することによって、回収装置に人的に制御を加える手法などが知られている。
【0005】
【特許文献1】特開昭64−43355号公報
【特許文献2】特開2000−185241号公報
【特許文献3】特開2001−220192号公報
【特許文献4】特開2004−034674号公報
【特許文献5】特開2004−143575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のシャフト揺動型フロートセンサによる手法では、以下のような課題を有している。
(1)シャフト重量を含めた浮力が必要であり、プラスチック等の比重の軽い物質の選別に使用しようとする場合には、フロート形状が大きくなりすぎ、フロートを選別室内に収容することができない事態が生じ得る。
(2)フロートの重量が重くなり、慣性力が大きくなるため、その反作用として、感度が鈍くなりがちである。
(3)フロートの形状が大きくなるため、小さな脈動を捉えることが極めて困難である。
(4)フロートの形状が大きくなり、投影面積も大きくなるため、フロートの周囲に大きな乱流域が発生し、被回収物質の種類によっては、選別精度に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、上述の回収物質の観察に依存する手法では、制御の精度が保証されないという課題がある。
このように、従来の網下気室型湿式比重選別機における回収制御技術に満足すべきものが見当たらないというのが実情である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて案出されたものであって、被回収物質の種類にかかわらず、良好な精度で選別することができる網下気室型湿式比重選別機における回収制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に記載の網下気室型湿式比重選別機用回収制御装置は、選別室内の所定箇所に配置された1基の圧力センサ、又は、選別室内の垂直方向に間隔を隔てた所定箇所にそれぞれ配置された複数基の圧力センサを備え、被選別物質の複数の層厚について選別媒体の脈動を与えた時に発生する圧力について予め取得したデータに基づき、被選別物質の回収を制御するように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項2に記載の網下気室型湿式比重選別機用回収制御装置は、前記請求項1の装置において、前記圧力センサが、前記選別室に設けられた被回収物質が排出される排出口の近傍に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の回収制御装置によれば、良好な精度で被選別物質から選択的に所望の被回収物質を回収することができる。また、本発明の回収制御装置は、比較的簡単な構造であるので、製造コストが廉価であり、維持管理も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る網下気室型湿式比重選別機用回収制御装置について詳細に説明する。図1は、網下気室型湿式比重選別機10に用いられる、本発明の好ましい実施の形態に係る回収制御装置を模式的に示した斜視図である。図1において、12は選別しようとする物質(以下「被選別物質」という)が投入される選別室、12aは被選別物質の投入口、14は選別媒体(例えば水)が充填される脈動室、16は選別室12と脈動室14との間に配置される網目、18は回収しようとする物質(以下「被回収物質」という)を排出させるためのエジェクタ、20はエジェクタを駆動させるためのモータをそれぞれ示している。
【0012】
網下気室型湿式比重選別機10の断面を示した図2(a)に示されるように、選別室12の下端に隣接した箇所には、被回収物質が排出される排出口12bが設けられており、排出口12bに隣接して、エジェクタ18が配置されている。エジェクタ18は、図2(b)に示されるように、シャフト18aに複数枚(図1および図2では4枚)のブレード18bが取り付けられた形態を有しており、シャフト18aに連結されたモータ20を回転駆動させることによってブレード18bを回転させ、これにより排出口12b付近に位置する被回収物質を排出させるようになっている。なお、エジェクタ18自体は公知の装置である。
【0013】
回収制御装置は、図1および図2(a)に示されるように、選別室12内の垂直方向に間隔を隔てた箇所に配置された2基の圧力センサ22a、22bを備えている。なお、圧力センサ22a、22bは、一般に用いられているものを使用してよい。
【0014】
選別媒体(例えば水)の脈動時に選別室に物質が存在すれば物質が存在しない場合と比較してより大きな圧力が生ずるが、本発明の好ましい実施の形態に係る回収制御装置は、この現象を利用して、選別室内に配置された圧力センサによって検知される圧力の大きさに基づいて選別室内の被選別物質の層厚を推測し、これにより被選別物質の回収を制御しようとするものである。より詳細に説明すると、被選別物質(比重γ)の複数の層厚について選別媒体の脈動をそれぞれ与え、その際に発生する圧力について予めデータを取得しておき、その圧力に基づいて回収制御作業を実施しようとするものである。
【0015】
図3および図4を参照して、上述のデータの作成例について説明する。データの作成においては、圧力センサとしてキーエンス社のAP−123(最大検知圧力100kPa)、アンプとしてキーエンス社のAP−V80、レコーダとして東亜電機株式会社のPRR−5031を使用した(図3(a)参照)。そして、上述の圧力センサを、網下気室型湿式比重選別機の選別室内に2基(PS1、PS2)設置した(設置箇所は、図3(b)に示されるように、排出口から選別室内部に70mm入った箇所であって、PS1は網目の高さ、PS2は網目から上方に50mmの高さである)。選別室内には、被選別物質として、アルミナ球(直径6mm、比重2.9)を投入した(ケース1は層厚120mm、ケース2は層厚140mm、ケース3は層厚160mm、ケース4は層厚180mm、ケース5は層厚200mmとする)。この状態で各ケースにおいて同じ規模の脈動(周波数22Hz、波高30mm)をそれぞれ与え、各圧力センサにおける換算圧力値を測定した。
【0016】
その結果は図4に示したとおりである。すなわち、ケース1〜ケース5におけるPS1、PS2の換算圧力値は、図4(b)に示されるような値であり、これらの値をグラフに示すと、換算圧力値は、層厚の増大につれてほぼ直線的に増加しているのが分かる(図4(c)参照)。
【0017】
なお、被回収物質の境界面を的確に把握するため、圧力センサ22a、22bは、例えば図2(a)に示されるように、エジェクタ18の近傍に設置するのが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0018】
回収制御装置は又、演算制御器24を備えている。演算制御器24は、ケーブル26を介して圧力センサ22a、22bに接続され、ケーブル28を介してモータ20に接続されている。演算制御器24において、圧力センサ22a、22bから送られた信号が、既存の演算方式(例えば、移動平均、偏差値など)に基づいて制御信号に変換され、この制御信号をモータ20に送ってモータ20を回転駆動させるようになっている。演算制御器24は、一般に用いられているものを使用してよい。
【0019】
次に、以上のように構成された網下気室型湿式比重選別機回収制御装置による回収制御について説明する。物質A(比重γA 、図5で「○」で図示)と物質B(比重γB <γA、図5で「△」で図示)とから構成される物質Xから物質Aを選択的に回収する場合を例にとる。
【0020】
そして、物質Aおよび物質Bの複数の層厚について選別媒体の脈動を与えた時に発生する圧力について、それぞれ予めデータを取得しておく。
【0021】
まず、投入口12aを介して選別室12内に物質Xを投入する(図5(a)参照)。次いで、空気室内の水位を空気の入/出によって昇降させて選別室内の物質Xに水の脈動を与えることによって、選別室12内に物質Aの層と物質Bの層が徐々に形成される(図5(b)参照)。次いで、成層化した物質Aの層と物質Bの層における脈動時の圧力を圧力センサ22a、22bによって検知する(図5(c)参照)。そして、圧力センサ22a、22bからケーブル26を介して演算制御器24に信号が送られ、予め取得された物質A及び物質Bのデータに基づいて物質Aの層厚を推測し、好適な時間に演算制御器24からケーブル28を介してモータ20に作動信号が送られる。これにより、モータ20が作動してエジェクタ18を回転させ、排出口22bから物質Aが排出される(図5(d)参照)。
【0022】
物質Xは、当初は(選別室12内に投入された直後は)物質Aと物質Bが混在している状態であるが、水の脈動を与えられ、排出口12bに接近するにつれて、物質Aと物質Bが比重差により徐々に分離し成層化されてくる。上述の例では、圧力センサ22a、22bがエジェクタ18の近傍に設置されているため、排出口12b付近での物質Aの層厚(物質Aと物質Bの境界面)を的確に検知することができる。しかし、物理的な理由等により圧力センサ22a、22bをエジェクタ18の近傍に設置することができない場合(例えば、図5(e)に示されるようにフロートを選別室の中央に設置せざるを得ない場合)には、上述のデータに適当な補正を施すことにより、物質Aと物質Bの境界面を的確に検知することが可能である。
【0023】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0024】
例えば、前記実施の形態では、選別室内に2基の圧力センサが配置されているが、圧力センサの配置基数を1基にしてもよく、或いは、垂直方向に間隔を隔てた箇所に3基以上を配置してもよい。
【0025】
また、前記実施の形態では、単一の選別室をもつ比重選別機に適用される回収制御装置について説明されているが、図6に示されるように、複数(図6では3基)の選別室が直列に連結された比重制御機に適用してもよい。このような比重制御機では、複数種の被回収物質を連続的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】網下気室型湿式比重選別機に用いられる、本発明の好ましい実施の形態に係る回収制御装置を模式的に示した斜視図である。
【図2】図2(a)は図1の網下気室型湿式比重選別機の断面図、図2(b)はエジェクタの斜視図である。
【図3】被選別物質の複数の層厚について選別媒体の脈動を与えた際に発生する圧力に関するデータ例を作成するのに使用した装置を示した図である。
【図4】図3の装置によって測定したデータの結果を示した図である。
【図5】本発明の回収制御装置を用いて行われる回収作業の一連の工程を説明するための図である。
【図6】複数の選別室が直列に連結された比重制御機に適用される例を示した図である。
【図7】網下気室型湿式比重選別機の動作原理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0027】
10 網下気室型湿式比重選別機
12 選別室
14 脈動室
16 網目
18 エジェクタ
20 モータ
22a、22b 圧力センサ
24 演算制御器
26 ケーブル
28 ケーブル
【出願人】 【識別番号】306031010
【氏名又は名称】ジグ・エンジニアリング株式会社
【識別番号】505406464
【氏名又は名称】株式会社アールアンドイー
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人 北海道大学
【出願日】 平成19年10月30日(2007.10.30)
【代理人】 【識別番号】100104330
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 誠二


【公開番号】 特開2008−132485(P2008−132485A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2007−281071(P2007−281071)