トップ :: B 処理操作 運輸 :: B02 破砕,または粉砕;製粉のための穀粒の前処理

【発明の名称】 バイオマス粉砕装置およびその制御方法
【発明者】 【氏名】松本 慎治

【氏名】山本 次男

【氏名】吉田 博久

【氏名】植松 良茂

【氏名】谷口 雅彦

【氏名】堂本 和宏

【要約】 【課題】従来の縦型粉砕機を用いて、バイオマスの粉砕を効率よく行なうことができるバイオマスの粉砕装置およびその制御方法を提供することを課題とする。

【構成】バイオマス粉砕機14に供給されるバイオマスが載置される粉砕テーブル52と、テーブル52を回転駆動するモータ54と、テーブル52の回転と連動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕する粉砕ローラ58と、テーブル52の外周下方から上方に空気を噴出せしめる排ガス循環ブロワー24と、ローラ58とテーブル52との距離を検出するローラリフトセンサ64と、該センサ64からの信号に基づき前記ローラ58とテーブル52との距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定範囲内になるように前記ローラの押圧力、排ガス循環ブロワー24、またはモータ54の回転速度を制御するローラリフト量制御手段66とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型粉砕機に供給されるバイオマスが載置される粉砕テーブルと、該テーブルを回転駆動するモータと、前記テーブルの回転と連動して作動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕するローラと、前記粉砕テーブルの外周下方から上方に空気を噴出せしめる送風手段と、前記ローラとテーブルとの距離を検出するローラリフト量検出手段と、該検出手段の信号に基づき前記ローラとテーブルとの距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるように前記ローラの押圧力を制御するローラリフト量制御手段とを備えたことを特徴とするバイオマス粉砕装置。
【請求項2】
縦型粉砕機に供給されるバイオマスが載置される粉砕テーブルと、該テーブルを回転駆動するモータと、前記テーブルの回転と連動して作動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕するローラと、前記粉砕テーブルの外周下方から上方に空気を噴出せしめる送風手段と、前記ローラとテーブルとの距離を検出するローラリフト量検出手段と、該検出手段の信号に基づき前記ローラとテーブルとの距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるように前記送風手段の送風量を制御するローラリフト制御手段とを備えたことを特徴とするバイオマス粉砕装置。
【請求項3】
縦型粉砕機に供給されるバイオマスが載置される粉砕テーブルと、該テーブルを回転駆動するモータと、前記テーブルの回転と連動して作動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕するローラと、前記粉砕テーブルの外周下方から上方に空気を噴出せしめる送風手段と、前記ローラとテーブルとの距離を検出するローラリフト量検出手段と、該検出手段の信号に基づき前記ローラとテーブルとの距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるように前記モータの回転速度を制御してテーブルの周速度を制御するローラリフト制御手段とを備えたことを特徴とするバイオマス粉砕装置。
【請求項4】
縦型粉砕機に供給されるバイオマスが載置される粉砕テーブルと、該テーブルを回転駆動するモータと、前記テーブルの回転と連動して作動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕するローラと、前記粉砕テーブルの外周下方から上方に空気を噴出せしめる送風手段と、前記ローラとテーブルとの距離を検出するローラリフト量検出手段と、該検出手段の信号に基づき前記ローラとテーブルとの距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるように前記ローラの押圧力と前記テーブルの周速度と前記送風手段の送風量と組み合わせて制御するローラリフト量制御手段とを備えたことを特徴とするバイオマス粉砕装置。
【請求項5】
縦型粉砕機の粉砕テーブルにバイオマスを供給し、前記テーブルと該テーブルの回転と連動して作動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕するローラとの距離を検出し、該検出距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定範囲内になるように、前記ローラの押圧力、前記テーブルの周速度、または前記粉砕テーブルの外周下方から上方に噴出される空気量のうち少なくとも1つを制御することを特徴とするバイオマス粉砕装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭の粉砕機として一般使用される縦型粉砕機を用いて木屑等のバイオマスを粉砕可能にするバイオマスの粉砕装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、発電燃料としてコスト的に石炭火力が見直されつつあり、さらに電気事業者に新エネルギー等から発電される電気を一定割合以上利用することを義務づける法規制(RPS法)への対応のために、新エネルギー等(バイオマス(動植物に由来する有機物)発電等)の普及が図られている。
また、CO発生量の抑制から、ひいてはCO排出権取引に利用可能であることから、バイオマスの利用促進が図られている。
【0003】
バイオマス発電システムには、石炭とバイオマスとを混合して燃焼させるバイオマス混焼技術があり、このバイオマス混焼技術には、石炭とバイオマスとを混合してから粉砕する混合粉砕方式と、石炭とバイオマスとをそれぞれを単独で粉砕する単独粉砕方式とが知られている。
【0004】
混合粉砕方式しては、図8に示すように、石炭210を粉砕する粉砕ミル212と、石炭210を前記粉砕ミル212に供給する石炭供給管214及び石炭バンカ216を備えた石炭供給装置218と、前記石炭210を供給する供給管214にバイオマス220を定量的に供給するバイオマス定量供給手段222とを備えて、バイオマス定量供給手段222からのバイオマスの供給を調整して粉砕ミル212の運転状態を安定化するものが知られている。バイオマス220と石炭210とは粉砕ミル212で混合状態で粉砕されて、微粉状になったバイオマス220と石炭210とはボイラ224へ供給されて炉内で燃焼される(特許文献1)。
【0005】
また、単独粉砕方式としては、特許文献2で示されている技術が知られており、図9に示すように、供給管310より粉砕テーブル312上に木質原料を供給し、粉砕ローラ314で粉砕し、被粉砕物は粉砕テーブル312の外周に排出し、テーブル312外周下方から噴出される空気流316によって上方に搬送されて、被粉砕物を微粉と粗粉に分級されるものが知られている(特許文献2)。
さらに、この特許文献2には、空気流316の流量Aと粉砕テーブル312との直径Dの最適な関係や、ダムリング318の高さHと粉砕テーブル312の直径Dとの最適な関係について示されている。
【特許文献1】特開平2004−347241号公報
【特許文献2】特開平2005−113125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される粉砕技術においては、粉砕ミル212は石炭のような鉱物系を粉砕するものであるため、石炭のような脆い、脆性材料を粉砕するには適しているが、木屑のような弾性、塑性変形に富むバイオマスをこのようなローラミルの粉砕機で粉砕する場合には、粉砕機の動力が大きく必要になり、ミルトリップ(動力上限)に至る虞があるため、既設縦型粉砕ミルをそのまま運転することが困難である。従って、特許文献1では、バイオマス定量供給手段222からバイオマスの供給を調整してバイオマスが偏って供給されないようにして粉砕ミル212の安定運転を提供するものである。しかし、粉砕ミル212自体が鉱物系の材料を粉砕するものであり、バイオマスの粉砕用に特別な運転制御を設定している記載もないため、バイオマスを5%以上の高い割合で混合した場合には依然としてミルトリップ(動力上限)に至る虞を有している。
【0007】
一般的に、石炭・バイオマス混合粉砕方式においては、既設の粉砕機の動力余裕度により混合粉砕率(ボイラ混焼率)に上限が生じてしまう。また、ベース運用している石炭の性状によりベースの石炭粉砕機の負担が異なるため、バイオマス混合率を上げるためには、粉砕機の負荷が上がらないような粉砕性の高い石炭を使用する等の制約をうける問題を有している。
【0008】
一方、前記のような石炭・バイオマス混合粉砕方式における問題点を解消するため、バイオマスを単独で粉砕する粉砕機を専用で設ければよいが、コスト的にも問題があり、その問題を解消するために、特許文献2に示される縦型粉砕機をバイオマス粉砕専用に用いる技術が知られている。
【0009】
この特許文献2に示されている技術は特許文献1で説明したような鉱物系の材料を粉砕する粉砕ミルを用いて、粉砕テーブルの外周に設けられたダムリング318の高さHと粉砕テーブル312の直径Dとの関係等の範囲をバイオマスの粉砕に適した範囲について設定している。
しかし、一定粒度の木材チップをもとに試験した結果からダムリング318の高さHと粉砕テーブル312の直径Dとの関係等を設定しているものであるため、粒度にばらつきがある種々の大きさの木屑等が供給されるような粉砕装置においては、効果が得られるかが問題であり、従来からある縦型粉砕機を用いて、率良くバイオマスを微粉砕できる装置、運転条件についての改善が望まれている。
【0010】
バイオマス単独粉砕機については、ハンマークラッシャなどの衝撃型粉砕機が知られているが、大容量には適さず、大型石炭焚きボイラで高混焼率でバイオマスを供給する場合には、複数系列の設備を準備しなければならず、新たな設備を設置しなければならずコスト的にも問題があり、率良く大容量のバイオマスを粉砕できる装置が必要とされている。
【0011】
そこで、本願発明は、前記問題点に鑑み、従来の縦型粉砕機を用いて、バイオマスの粉砕を効率よく行なうことができるバイオマスの粉砕装置およびその制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明は従来の縦型粉砕機で粉砕される石炭等の鉱物系材料と、バイオマスとの粉砕原理を予測し、それを基に本発明を完成するに至ったものである。
【0013】
まず、粉砕材料を粉砕する際の粉砕力の種類には、図6で示すように、(A)の押すことによる圧縮力、(B)の叩くことによる衝撃力、(C)の切断することによる切断力、(D)の摺ることによる外部せん断力、(E)の粉砕材料(バイオマスチップ)250同士の相互摩砕による内部せん断力Yがある。
【0014】
図7の白矢印Pで示すように、粉砕材料(石炭、木材チップ等)は、圧縮力や衝撃力を受けて既存クラックAに沿って粗粉砕が行なわれて粗粉砕片Bを生じ、次いで石炭等の鉱物系は脆く脆性を有するため、さらに圧縮力や衝撃力を受けて新生クラックCを生じ、その後せん断力によって新生クラックに沿って微粉化され、その微粉化された微粉材料D同士が相互摩砕によって摩砕粉Eとなると予測される。
【0015】
一方、図7の黒矢印Qで示すように、木材チップ等のバイオマスにおいては、粗粉砕後の粗粉砕片Bは、石炭等の鉱物系とは異なり脆性ではなく、弾性、塑性に富むため、さらに圧縮力や衝撃力を受けても石炭のように新生クラックCが生じなく、粗粉砕後の粗粉砕片Bの材料同士が相互摩砕によって摩砕粉Eとなると予測される。
【0016】
以上のように木材チップ等のバイオマスにおいては、材料同士が相互摩砕によって摩砕粉となると予測されるため、バイオマスの粉砕においては、この材料同士の相互摩砕を積極的に発生させるような条件、すなわち粉砕装置のテーブル上に粉砕材料が積層され相互摩砕を促進せしめるような一定の厚みに積層されていることが必要であり、このような一定の厚みを維持する条件が必要とされる。
【0017】
そこで、本願発明の請求項1に係るバイオマス粉砕装置の発明は、縦型粉砕機に供給されるバイオマスが載置される粉砕テーブルと、該テーブルを回転駆動するモータと、前記テーブルの回転と連動して作動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕するローラと、前記粉砕テーブルの外周下方から上方に空気を噴出せしめる送風手段と、前記ローラとテーブルとの距離を検出するローラリフト量検出手段と、該検出手段の信号に基づき前記ローラとテーブルとの距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるように前記ローラの押圧力を制御するローラリフト量制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項1に係る発明によれば、ローラの押圧力を制御して、ローラリフト量が、供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるようにしているため、材料同士の相互摩砕を有効に発生させることが可能となり、粒子間内部せん断摩砕による微粉化が促進される。その結果効率よくバイオマスの粉砕を行うことができる。
【0019】
さらに、ローラの押圧力を制御して粉砕材料の厚みを制御するため、厚みの制御に直接的に作用するので応答性がよく、しかも粉砕材料の温度、乾燥性にも影響を与えずに制御することができるので、応答性のよい安定した制御を得ることができる。
【0020】
請求項2に係るバイオマス粉砕装置の発明は、縦型粉砕機に供給されるバイオマスが載置される粉砕テーブルと、該テーブルを回転駆動するモータと、前記テーブルの回転と連動して作動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕するローラと、前記粉砕テーブルの外周下方から上方に空気を噴出せしめる送風手段と、前記ローラとテーブルとの距離を検出するローラリフト量検出手段と、該検出手段の信号に基づき前記ローラとテーブルとの距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるように前記送風手段の送風量を制御するローラリフト制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、送風手段からの送風量を制御して、ローラリフト量が、供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるようにしているため、材料同士の相互摩砕を有効に発生させることが可能となり、粒子間内部せん断摩砕による微粉化が促進される。その結果効率よくバイオマスの粉砕を行うことができる。
さらに、送風手段の送風量を制御して粉砕材料の厚みを制御するため、すなわち、粉砕された粉体を粉砕材料間や粉砕テーブル上から、送風手段によって噴出された空気流とともに排出することで粉砕材料の厚みを制御するので、厚みの制御が迅速になされて応答性がよい。また、粉砕材料に荷重を直接作用させないため製品粒径については影響を与えずに制御することができ。
【0022】
請求項3に係るバイオマス粉砕装置の発明は、縦型粉砕機に供給されるバイオマスが載置される粉砕テーブルと、該テーブルを回転駆動するモータと、前記テーブルの回転と連動して作動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕するローラと、前記粉砕テーブルの外周下方から上方に空気を噴出せしめる送風手段と、前記ローラとテーブルとの距離を検出するローラリフト量検出手段と、該検出手段の信号に基づき前記ローラとテーブルとの距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるように前記モータの回転速度を制御してテーブルの周速度を制御するローラリフト制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、テーブルの周速を制御して、ローラリフト量が、供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるようにしているため、材料同士の相互摩砕を有効に発生させることが可能となり、粒子間内部せん断摩砕による微粉化が促進される。その結果効率よくバイオマスの粉砕を行うことができる。
さらに、テーブルの周速度を制御して粉砕材料の厚みを制御するため、すなわち、粉砕テーブルを回転駆動するモータの回転速度を制御することでテーブルの周速度を制御して、遠心力による粉体の排出量を調整することで粉砕材料の厚みを制御するので、厚みの制御が迅速になされて応答性がよい。また、粉砕材料に荷重を直接作用させないため製品粒径については影響を与えずに制御することができる。さらに、モータの回転速度制御であるため制御が簡単に構成できる。
【0024】
請求項4に係るバイオマス粉砕装置の発明は、縦型粉砕機に供給されるバイオマスが載置される粉砕テーブルと、該テーブルを回転駆動するモータと、前記テーブルの回転と連動して作動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕するローラと、前記粉砕テーブルの外周下方から上方に空気を噴出せしめる送風手段と、前記ローラとテーブルとの距離を検出するローラリフト量検出手段と、該検出手段の信号に基づき前記ローラとテーブルとの距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるように前記ローラの押圧力と前記テーブルの周速度と前記送風手段の送風量と組み合わせて制御するローラリフト量制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、ローラの押圧力とテーブルの周速度と送風手段の送風量とを組み合わせて制御して、ローラリフト量が、供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるようにしているため、材料同士の相互摩砕を有効に発生させることが可能となり、粒子間内部せん断摩砕による微粉化が促進される。その結果効率よくバイオマスの粉砕を行うことができる。
さらに、ローラの押圧力とテーブルの周速度と送風手段の送風量との制御を組み合わせて粉砕材料の厚みを制御するため、粉砕材料の厚みの制御がきめ細かく且つ応答性よく制御できる。
【0026】
請求項5に係る発明は、バイオマス粉砕装置の制御方法に関する発明であり、縦型粉砕機の粉砕テーブルにバイオマスを供給し、前記テーブルと該テーブルの回転と連動して作動し前記バイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕するローラとの距離を検出し、該検出距離が前記供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定範囲内になるように、前記ローラの押圧力、前記テーブルの周速度、または前記粉砕テーブルの外周下方から上方に噴出される空気量のうち少なくとも1つを制御することを特徴とする。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、ローラの押圧力、テーブルの周速度、または粉砕テーブルの外周下方から上方に噴出される空気量のうち少なくとも1つを制御して、ローラリフト量が、供給されたバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定リフト範囲内になるようにしているため、材料同士の相互摩砕を有効に発生させることが可能となり、粒子間内部せん断摩砕による微粉化が促進される。その結果効率よくバイオマスの粉砕を行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のバイオマス粉砕装置およびその制御方法によれば、ローラリフト量が、供給されたバイオマスチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定範囲内になるようにしているため、材料同士の相互摩砕を有効に発生させることが可能となり、粒子間内部せん断摩砕による微粉化が促進される。その結果、従来の縦型粉砕機を用いて効率よくバイオマスの粉砕を行うことができる。
さらに、縦型粉砕機を用いて効率よくバイオマスの粉砕を単独で行うことができるようになることで、石炭焚きボイラでのバイオマス混焼に関して、混合粉砕における石炭の性状の制約や、粉砕機の動力余裕度等の制約を受けずにバイオマスを高混合率でボイラに供給することができるとともに、既存の縦型粉砕機を用いて大量供給ができるようになり、新たな設備の設置が不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0030】
参照する図面において、図1は、本発明に係るバイオマス粉砕装置を含む石炭とバイオマスとを混合して燃焼させるバイオマス混焼システムの全体構成図である。図2はバイオマス粉砕装置の概略構成図である。図3は制御フローチャートである。図4はバイオマスの供給量に対する初期設定値を示す特性図であり(A)は供給量に対するローラの初期荷重量を示し、(B)は供給量に対する初期風量を示す。図5はバイオマスの厚み特性を示し、(B)はローラの押し荷重との関係、(B)は送風手段による風量との関係、(C)は粉砕テーブルの周速との関係を示す。図6、図7は粉砕の原理を説明する説明図である。
【0031】
図1に示すように、木屑等のバイオマスは乾燥、一次粉砕(粗粉砕)して、ある程度大きさを揃えバイオマスチップ2として貯蔵設備10に貯蔵し、その後、バイオマスホッパ12に供給する。バイオマスホッパ12からはバイオマス供給管13を介してバイオマスが、バイオマスだけを専用に粉砕するバイオマス粉砕機14に供給される。
また、バイオマスホッパ12およびバイオマス粉砕機14とは別に、石炭ホッパー16と石炭粉砕機18とが設けられている。そして、粉砕後のバイオマス粉体および石炭粉体がそれぞれ別々にボイラ火炉20に供給され、そのボイラ火炉20内で混合燃焼する。
なお、バイオマス供給管13には、供給量を検出する供給量検出部15が設けられ、供給量が監視されている。
【0032】
燃焼後の排ガスの一部21は、排ガス再循環路22を通って排ガス循環ブロワー(送風手段)24によってバイオマス粉砕機14に循環している。これは、乾燥と分級を行う縦型のバイオマス粉砕機14では、高温ガスを用いる必要があるが、バイオマス燃料は一般的に高温雰囲気下では自然発火性が高く、粉砕機内の発火、燻焼の発生を抑制するために、空気を酸素濃度を下げる(12%以下に下げる)必要があり、そのために酸素量の低い燃焼後の排ガスを一部取り込んで循環している。
また、石炭粉砕機18には、排気熱を利用したエアヒーター26によって外気23を加熱したフレッシュエアーが供給され、粉砕された石炭粉体をボイラ火炉20に排出している。
【0033】
次に、バイオマス粉砕機14の構成について図2を参照して説明する。
円筒型をしたハウジング50の下部には、略円形台状の粉砕テーブル52が備えられ、その粉砕テーブル52は、ハウジング50の下部に設置されたモータ54によって駆動され減速機を介して低速で回転するように構成されている。粉砕テーブル52の外周縁部にはバイオマスが粉砕テーブル52上で所定の厚さの堆積層を形成できるようにダムリング56が立設されている。さらに、粉砕テーブル52の外周部の上面に円周方向に等間隔で位置する部位に、油圧あるいはスプリング等で荷重を付加して、粉砕テーブル52の回転と連動して回転しながらバイオマスに押圧力を作用せしめてバイオマスを粉砕する粉砕ローラ(ローラ)58が設けられている。
粉砕ローラ58は、ローラアーム60の端部を中心に回動可能に支持され、前記油圧あるいはスプリング等の荷重を調整することで、バイオマスを押付ける押圧力を制御している。
【0034】
バイオマスホッパ12から、バイオマス供給管13を介して粉砕テーブル52の中央部に供給されたバイオマスは、粉砕テーブル52上において遠心力によって外周方向に移動して、粉砕レース62と粉砕ローラ58との間にかみこまれるように構成されている。
この粉砕レース62と粉砕ローラ58との間の距離hは、ローラリフト量hとしてローラリフトセンサ(ローラリフト量検出手段)64によって検出され、ローラリフト量制御手段66に入力される。ローラリフト量は、粉砕ローラ58が粉砕レース62に接触した位置をゼロとし、そこからの距離を表しローラアーム60の揺動角度を検出することで求められる。
【0035】
ハウジング50の下部には、燃焼後の排ガスの一部21が、排ガス循環ブロワー24によって排ガス再循環路22を通って導かれている。また、粉砕テーブル52とハウジング50との間には、空気流の絞り部が形成され、その部分にスロートベーン68が設けられている。そして、このスロートベーン68を通して循環された排ガスの一部21が吹き上げられるように構成されている。粉砕後の粉体は、スロートベーン68を通って吹き上げられる熱風によってハウジング50内を上昇しながら乾燥される。ハウジング50の上部に搬送された粉体のうち粗いものは重力で粉砕テーブル52上に落下して再度粉砕される。
【0036】
ハウジング50の上部には、固定式分級機(サイクロンセパレータ)あるいは回転式分級機(ローターセパレータ)70が設けられ(図2には回転式を示す)、再度分級される。所定の粒径より小さい微粉は吹き上げ気流によって搬出され、ボイラ火炉20に搬送される。分級機70を貫通しなかった所定粒径より大きい粗粉は、粉砕テーブル52上に落下して再度粉砕される。
【0037】
次に、以上のように構成されたバイオマス粉砕装置において、その作動制御について図3を参照して説明する。
バイオマス供給管13に設けられた、供給量検出部15からの信号を基に、ローラリフト量制御手段66で、粉砕ローラ58の初期荷重および排ガス循環ブロワー24の初期風量を設定し、それを基に運転を開始する(S1)。次にローラリフトセンサ64によってリフト量を検出して読み込み(S2)、そのリフト量LRが所定の範囲内(LR=X〜Y)にあるかどうかを判定し(S3)、範囲内であればそのままの条件で運転を継続し(S4)、範囲外であればXより小さいかを判定し(S5)、小さい場合には、粉砕ローラ58の荷重、排ガス循環ブロワー24の風量、または粉砕テーブル52の周速を低減するように制御して(S6)、リフト量LRが所定の範囲(LR=X〜Y)に入るまで繰り返し(S7)、範囲内に入ったらその条件で運転を継続する(S8)。
【0038】
同様に、範囲外であればYより大きいかを判定し(S9)、大きい場合には、粉砕ローラ58の荷重、排ガス循環ブロワー24の風量、または粉砕テーブル52の周速を増加するように制御して(S10)、リフト量LRが所定の範囲(LR=X〜Y)に入るまで繰り返し(S11)、範囲内に入ったらその条件で運転を継続する(S8)。
【0039】
粉砕材料であるバイオマスが一定範囲の厚みに積層された状態に維持されて押圧力が作用すると、バイオマスのチップ同士の相互摩砕を有効に発生させることができ、粒子間内部せん断摩砕による微粉化を促進させることができるため、リフト量LRの所定の範囲(LR=X〜Y)とは、その粒子間内部せん断摩砕を有効に発揮させることができる厚みであり、通常の石炭等の鉱物粉砕の場合に比べて2〜3倍程度の厚く維持し、例えば20〜30mmの範囲内に設定されることが好ましい。
【0040】
また、粉砕ローラ58の荷重、排ガス循環ブロワー24の風量、または粉砕テーブル52の周速の増減については、図4に示すようなバイオマスの厚みとの関係を示す特性が予め、ローラリフト量制御手段66の内部に記憶されており、すなわち、荷重が大きくなれば厚みは小さくなり、風量が増大すれば厚みが小さくなり、周速が速くなれば厚みが小さくなるという関係に基づいて、リフト量LRが所定の範囲内に入るように粉砕ローラ58の荷重、排ガス循環ブロワー24の風量、または粉砕テーブル52の周速が制御される。
なお、粉砕ローラ58の荷重、排ガス循環ブロワー24の風量、または粉砕テーブル52の周速の制御については、いずれかを単独で制御してもよく、また組み合わせて制御してもよい。
【0041】
この組み合わせの制御の場合には、バイオマスの厚みの制御に直接的に作用するため応答性がよく、しかも粉砕材料の温度、乾燥性にも影響を与えずに安定した制御ができることから、まず、粉砕ローラ58の荷重の制御を第1に行い、次に風量の制御、そして周速の制御に行なうようにしてもよい。
【0042】
なお、粉砕ローラ58の荷重の制御は、粉砕ローラ58にバイオマスへの押圧力を付与するための油圧あるいはスプリングの荷重を調整することで行い、排ガス循環ブロワー24の風量の制御は、ブロワー24を作動するブロワモータの回転数を制御することで行い、粉砕テーブル52の周速の制御は、テーブル駆動のモータ54の回転数を制御することで行なう。
風量制御も、周速制御もいずれもモータの回転速度を制御すればよいため、制御を簡単に構成することができる。
【0043】
以上、実施の形態によれば、粉砕ローラ58の荷重、排ガス循環ブロワー24の風量、または粉砕テーブル52の周速を制御して、ローラリフト量LRをX〜Yの一定範囲内に維持することで、粉砕材料であるバイオマスのチップ同士が粒子間内部せん断摩砕を生じやすい状態に維持されて、その上で粉砕ローラ58によって押圧力が作用するので、バイオマスのチップ同士の相互摩砕を有効に発生させることができ、粒子間内部せん断摩砕による微粉化が促進される。その結果、縦型粉砕機によって効率よくバイオマスの粉砕を行うことができる。
【0044】
さらに、縦型粉砕機を用いて効率よくバイオマスの粉砕を単独で行うことができるようになることで、石炭焚きボイラでのバイオマス混焼に関して、混合粉砕における石炭の性状の制約や、粉砕機の動力余裕度等の制約を受けずにバイオマスを高混合率でボイラに供給できるとともに、既存の縦型粉砕機を用いて大量供給ができるようになり、新たな設備の設置が不要になる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のバイオマス粉砕装置およびその制御方法によれば、ローラリフト量が、供給されたバイオマスチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定範囲内になるようにしているため、材料同士の相互摩砕を有効に発生させることが可能となり、粒子間内部せん断摩砕による微粉化が促進される。その結果、従来の縦型粉砕機を用いて効率よくバイオマスの粉砕を行うことができるので、バイオマス粉砕装置への適用に際して有益である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係るバイオマス粉砕装置を含む石炭とバイオマスとを混合して燃焼させる全体構成図である。
【図2】バイオマス粉砕装置の概略構成図である。
【図3】制御フローチャートである。
【図4】バイオマスの供給量に対する初期設定値を示す特性図であり(A)は供給量に対するローラの初期荷重量を示し、(B)は供給量に対する初期風量を示す。
【図5】バイオマスの厚み特性を示し、(B)はローラの押し荷重との関係、(B)は送風手段による風量との関係、(C)は粉砕テーブルの周速との関係を示す。
【図6】粉砕の原理を説明する説明図である。
【図7】粉砕の原理を説明する説明図である。
【図8】従来例を示す構成図である。
【図9】従来例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0047】
2 バイオマスチップ
12 バイオマスホッパ
14 バイオマス粉砕機
24 排ガス循環ブロワー(送風手段)
52 粉砕テーブル
54 モータ
58 粉砕ローラ(ローラ)
64 ローラリフトセンサ(ローラリフト量検出手段)
66 ローラリフト量制御手段
102 外気循環ブロワー(送風手段)
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成18年8月21日(2006.8.21)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久

【識別番号】100137257
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 廣


【公開番号】 特開2008−43926(P2008−43926A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−224551(P2006−224551)