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【発明の名称】 竪型粉砕機の運転方法
【発明者】 【氏名】池田 充

【氏名】繁本 康弘

【要約】 【課題】製紙の際に填料として用いる炭酸カルシウムを製造するために、石灰スラッジをロータリキルンにより焼成する場合において、オイルコークスを燃料として使用してもロータリキルンから取り出す焼成物の中にオイルコークスの未燃焼分が残留しない方法。

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石灰スラッジを焼成するキルン型の焼成炉に、オイルコークスを粉砕することにより燃料として送給する竪型粉砕機の運転方法おいて、前記竪型粉砕機内に備えた回転テーブル上面外周部の回転速度を2.7〜1.8(m/s)の範囲として、該焼成炉内に導入するオイルコークスの粒径を、DP100≦130μmとする竪型粉砕機の運転方法。
【請求項2】
前記焼成炉から取り出した焼成物を、製紙用の填料の原材料として使用する請求項1記載の竪型粉砕機の運転方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙工場等の苛性化工程等において副産物として発生する石灰スラッジを焼成し、填料用炭酸カルシウムの原料を製造するキルン型の焼成炉に、オイルコークスを燃料として供給するに好適な竪型粉砕機の運転方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
一般的に製紙工場等のクラフト蒸解における苛性化工程等においては、副産物として石灰スラッジ等が発生する。
従来から、この石灰スラッジをロータリキルンへ送って焼成して生石灰を生成するとともに、該生石灰に水と炭酸ナトリウムを加えて、石灰石と苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)に分離生成することにより、石灰スラッジを、製紙用の填料や前記苛性化工程に用いる苛性ソーダとして、再使用する方法が知られている。このような従来技術の一例を、特許文献1に示す。
【0003】
【特許文献1】特開2001−98482号公報
【0004】
特許文献1に開示の技術は、クラフト蒸解パルプの製造に際し、苛性化工程で副次的に発生する石灰スラッジを使用して、抄紙用填料として有効利用できる炭酸カルシウムの製造方法を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述したロータリキルンによる石灰スラッジの焼成工程では、主として重油等の液体物を燃料と使用しており、オイルコークス等の固体物を燃料として使用するケースは少ない。というのは、オイルコークス等といった固体物を、ロータリキルンの焼成用燃料として用いると、オイルコークスの未燃焼分が石灰スラッジの焼成物(生石灰)中に残留する可能性が高いためである。
【0006】
特にオイルコークスは石炭等に比較して含有する揮発分が少ないため固体物の中でも燃焼性が悪く、また、その未燃焼分は黒色である。そのため、キルン型の焼成炉を使用する際において、オイルコークスを焼成用燃料として用いると、焼成物の中に未燃焼物が残留しやすし。そして、未燃焼物が残留した焼成物から、製紙用填料として炭酸カルシウムを製造すると、前述の未燃焼分が黒点となって填料としての白色度に影響を与えるために大きな問題となる。
【0007】
重油等の液体燃料とオイルコークスとで、単位熱量あたりに要するコストを比較した場合には、オイルコークスの方が、燃料費を安くすることができるという理由から、キルン型の焼成炉を用いて前述の焼成をおこなう場合には、できるかぎりオイルコークスを用いた方がコスト的に有利である。しかし、前述した石灰スラッジの焼成設備においては、白色度の問題によって、オイルコークスの使用が控えられているのが実情である。
これらの理由によって、オイルコークスを、ロータリキルン等のキルン型焼成炉の燃料として用いた場合であっても、焼成炉から取り出す焼成物の中にオイルコークスの未燃焼分が残留しないような焼成工程の実現が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による竪型粉砕機の運転方法は
(1) 石灰スラッジを焼成するキルン型の焼成炉に、オイルコークスを粉砕することにより燃料として送給する竪型粉砕機の運転方法おいて、前記竪型粉砕機内に備えた回転テーブル上面外周部の回転速度を2.7〜1.8(m/s)の範囲として、該焼成炉内に導入するオイルコークスの粒径を、DP100≦130μmとする。
【0009】
(2) (1)に記載の竪型粉砕機の運転方法において、前記焼成炉から取り出した焼成物を、製紙用の填料の原材料として使用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロータリキルン等のキルン型焼成炉に、石灰スラッジ焼成用の燃料として投入するオイルコークスの粒径を、竪型粉砕機により、DP100≦130μmとすることによって、焼成後の焼成物に含まれるオイルコークスの未燃焼分を減らすことができる。
【0011】
また、オイルコークスを、竪型粉砕機によりDP100≦130μmになるまで粉砕する場合においては、竪型粉砕機が振動を起こして運転不能になる可能性があるが、竪型粉砕機の回転テーブル上面外周部の回転速度を2.7〜1.8(m/s)の範囲とすることによって、該振動を抑えて安定運転することが可能である。
【0012】
そして、オイルコークスの未燃焼分を減らした焼成物は、填料として用いる炭酸カルシウムの原材料として用いるのに好適であり、該オイルコークスの未燃焼分を減らした焼成物から、白色度の良い填料を製造することが可能である。
【0013】
また、重油等の中にオイルコークスを混ぜて混焼させるような場合においては、燃料の中に含ませるオイルコークスの割合を多くしても、炭酸カルシウムの白色度を良好に維持することができるので、その結果として、燃料費を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明による実施形態の好ましい1例を説明する。
図1は本発明の実施形態に係る石灰スラッジの粉砕焼成設備を説明する図であり、図2は本実施形態に係る粉砕設備に使用した竪型粉砕機の構造を概念的に説明する要部断面図である。図3は石炭とオイルコークスについて燃焼時間とその粒径の関係、また、図4は回転テーブル回転速度と動摩擦係数の関係を示す参考図である。
【0015】
図1に示す粉砕焼成設備は、粉砕システム10と燃焼システム80とからなり、図1における粉砕システム10は、燃料用の粉砕機として、竪型粉砕機1を備えており、後述する燃焼システム80に燃料として供給するために、オイルコークス(以下、PCと略して称することもある)を原料に粉砕する。
【0016】
また、図1に示す実施形態においては、竪型粉砕機1に被粉砕物としてのオイルコークスを供給するPC用原料ホッパ21、竪型粉砕機の上部に形成した上部取出口39から細粉となったオイルコークスを取り出すためのエキゾーストファン45、上部取出口39から取り出したオイルコークスを捕集するバグフィルタ46、バグフィルタ46で捕集したオイルコークスを一時的に蓄えるタンク50等を備えている。
【0017】
なお、図1に示す実施形態においては、竪型粉砕機1に投入したオイルコークスの中で、竪型粉砕機1の下部取出口34より取り出された粒径が大きなオイルコークスを、PC用原料ホッパ20から新たに供給されるオイルコークスと一緒にして、PC用原料ホッパ21に供給し、再度、竪型粉砕機1に投入して粉砕する構成となっている。
【0018】
そして、図1に示す燃焼システム80は、タンク50から供給された粉砕後のオイルコークスを、ロータリキルン81に燃料として投入して燃焼させるとともに、製品原料用ホッパ82から供給した石灰スラッジをロータリキルン81で焼成する。
【0019】
以下、図2を用いて本実施形態に用いた竪型粉砕機の構造を説明する。
本実施形態に用いた竪型粉砕機1は、図2に示すように竪型粉砕機1の外郭を形成するケーシングと、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2Bを介して電動機2Mにより駆動される回転テーブル2と、回転テーブル2の上面(回転テーブル上面2Aと称することもある)の上方に配設した複数個のコニカル型の粉砕ローラ3とを備えている。
【0020】
粉砕ローラ3は、軸7により下部ケーシングに回動自在に軸着した上部アーム6と、該上部アーム6と一体に形成した下部アーム6Aとを介して油圧シリンダ8のピストンロッド9に連結されており、該油圧シリンダ8の作動によって回転テーブル上面2Aの方向に押圧されて、回転テーブル上面2Aに原料を介して従動することによって回転する。
【0021】
前記ケーシングの回転テーブル上面2Aの中央上部には原料投入口35が設けられており、原料投入シュート13を介して原料投入口35から回転テーブル上面2Aに原料を投入することができるよう構成されている。
【0022】
原料投入シュート13から投入した原料は、回転テーブル上面2Aを渦巻き状の軌跡を描きながら回転テーブル上面2Aの外周部に移動して、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。
そして、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料の一部は、回転テーブル上面2Aの外周部に周設したダムリング15を乗り越え、ダムリング15とケーシングとの隙間である環状通路30(環状空間部30と称することもある)へと向かう。
【0023】
ここで、回転テーブル2の下方には、ガスを導入するためのガス導入口33を設けており、さらに回転テーブル2上方には、該ガスを排出するため上部取出口39を設けている。また、図2に示す竪型粉砕機1においては、粉砕機内部上方に回転式分級機であるセパレータ14を配しており、該セパレータ14の有する分級羽根14Aが粉砕機内で回転することにより、上部取出口39から取り出す粉砕後のオイルコークス粒径を調整する。
【0024】
図2に示す竪型粉砕機1の運転中は、該ガス導入口33よりガス(本実施形態においては空気)を導入することによって、上部取出口39へと流れるガスの気流を生じさせており、環状通路30から吹き上げているガスの流れに乗って上昇したオイルコークスを、上部に配したセパレータ14で分級し、所望の粒径になるまで細かく粉砕されたオイルコークスを選択的に外部に取り出す構成としている。
ここで、前述の環状通路30から吹きだしたガスにより搬送されない粒径の大きな原料は、環状通路30を落下させて下部取出口34から、一旦、取り出し、再度、竪型粉砕機1の原料投入シュート13から回転テーブル2A上に投入して繰り返し粉砕する。
【0025】
以上のように構成された粉砕システム10の運転状況について、以下に説明する。PC用原料ホッパ21から、原料投入シュート13を介して、竪型粉砕機1に投入されたオイルコークスは、回転テーブル上面2Aを渦巻き状の軌跡を描きながら回転テーブル上面2Aの外周部に移動しながら、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。
【0026】
そして、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕されたオイルコークスは、回転テーブル上面2Aに周設されたダムリング15を乗り越え、環状通路30に向い、環状通路30から吹き上げるガスによって分級され、径の小さいものが粉砕機内上部へと吹き上げられるとともに、一部の径の大きなオイルコークスが、環状通路30を落下して下部取出口34から取り出される。
【0027】
環状通路30から吹き上げるガスによって粉砕機内上部へと吹き上げられたオイルコークスは、回転しているセパレ−タ14により発生するガスの旋回流等によって分級され、粒径の小さくなったオイルコークスのみが上部取出口39より粉砕機外部へと取り出される。なお、竪型粉砕機1の内部に配したセパレータ14の回転数、また導入ガスの量などにより、上部取出口39より取り出すオイルコークスの粒径を所望の粒径に調整できる。
【0028】
ここで、燃焼性を評価する方法として、燃焼時間を1秒(1sec)とした場合に、どの程度までの粒径大きさまで燃焼し終えるか考えると、例えば、石炭の場合は、揮発分が25〜45%程度あるために粒子径が多少大きくても燃焼を完了するが、オイルコークスの場合は、揮発分が10%前後しかなく燃焼しがたい。この状況を説明するための参考図を図3に示す。
【0029】
本願発明者らは、焼成物の中に未燃焼分を残さないためには、セパレータ14の回転数を、従来に比較して速くし、上部取出口39から取り出すオイルコークスの粒径を小さくした方が、未燃焼分が少なくなると考えた。参考図を図3に示す。そして、検討の結果、オイルコークスの場合には、竪型粉砕機1によって、オイルコークスの粒径をDP100≦160μmにするまで粉砕することにより、好ましくはDP100≦130μmとするまで粉砕することによって、焼成物の中に含まれるオイルコークスの未燃焼分を抑制できることがわかった。
【0030】
しかし、ここで問題になるのは、実際の運転においては、上部取出口39より取り出すオイルコークスの粒径を小さくしすぎると、竪型粉砕機1に振動が発生して運転ができなくなる点にあった。
例えば、竪型粉砕機1でオイルコークスを粉砕する場合に、その粉砕条件を一般的な竪型粉砕機1の運転条件とした場合に、概ねDP100≦230μm程度で振動が生じて、それ以下の細粉を製造しようとした場合には、運転不能に陥る。
なお、Dp100はロジン・ラムラー線図(Rosin−Rammler−Sperling)上に粒径分布を図示した場合にR=100%となる点の粒径をμm(ミクロンメータ)で表わしたものである。
【0031】
そのため、従来の運転方法においては、未燃焼分を抑制できる前述の粒度、即ち、オイルコークスの粒径をDP100≦160μm、好ましくはDP100≦130μmとするまで粉砕できなかったのである。
【0032】
この問題を解決するため、本願発明者らは、粉砕が進んで、オイルコークスの粒径が小さくなると竪型粉砕機1内で粉砕部の動摩擦係数が著しく低下して振動が発生することに着目して、回転テーブル2の回転数を制御することにより、竪型粉砕機1を安定的に運転する方策を発案するに至った。
【0033】
つまり、回転テーブルの回転速度(テーブル上面2A外周部の回転速度)と動摩擦係数の関係を考えた場合には図4に参考図を示すような関係が成立する。
言い換えれば、従来よりテーブル回転速度を遅くすることにより、動摩擦係数の減少を抑えて、安定して運転できる領域を調整するのである。
図4からもわかるように、オイルコークスをDP100≦130μm以下に粉砕する場合には、竪型粉砕機の回転テーブル上面外周部の回転速度を2.7〜1.8(m/s)の範囲とすることによって安定した運転が可能になる。
なお、オイルコークスを粉砕する場合における従来の運転条件は、粉砕効率、即ち、電力消費をミニマムにするような運転条件が設定されていたのであり、回転テーブルの速度もそれを基準にして設定されていた。従って、本願発明とテーブルの回転速度選定基準が異なっていたのである。
【0034】
竪型粉砕機1によって、オイルコークスの粒径をDP100≦160μmにするまで粉砕することにより、好ましくはDP100≦130μmとするまで粉砕することによって、オイルコークスの未燃焼分を抑制し、さらに、竪型粉砕機の回転テーブル上面外周部の回転速度を、2.7〜1.8(m/s)の範囲とすることにより振動を抑える。
【0035】
以上、説明した運転方法により、オイルコークスの未燃焼分を抑制でき、かつ、竪型粉砕機1の安定した運転が可能であり、オイルコークスの未燃焼分を減らした焼成物は、填料として用いる炭酸カルシウムの原材料として用いるのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態による石灰スラッジの粉砕焼成設備を説明する図である。
【図2】本実施形態に使用した竪型粉砕機の構造を説明する要部断面図である。
【図3】石炭とオイルコークスの燃焼時間と粒径の関係を示す参考図である。
【図4】テーブル回転速度と動摩擦係数及び振動の関係を示す参考図である。
【符号の説明】
【0037】
1 竪型粉砕機
2 粉砕テーブル
3 回転ローラ
10 粉砕システム
13 原料投入シュート
14 セパレータ
14A 分級羽根
15 ダムリング
20 PC用原料ホッパ
21 PC用原料ホッパ
2A 回転テーブル上面
30 環状通路
33 ガス導入口
34 下部取出口
35 原料投入口
39 上部取出口
80 燃焼システム
82 製品原料用ホッパ

【出願人】 【識別番号】300041192
【氏名又は名称】宇部興産機械株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−12399(P2008−12399A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184203(P2006−184203)