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【発明の名称】 ドラフトチャンバー昇降扉
【発明者】 【氏名】前島 宏行

【要約】 【課題】ドラフトチャンバーの開口部に設けられた昇降扉で、この昇降扉の開閉を行なうために扉に設けられた取手で、その形状を作業室内から外部へのガスの逆流が生じないようにする。

【解決手段】ドラフトチャンバーの開口部に設けられた昇降扉で、その下端部分に設けられた取っ手が、下方に向かうにしたがって、厚さが次第に小になる形状で、また取手上部に取手より水平方向に伸びる持ち手を有する形状であって、持ち手の長さと取手の長さが1:3であるか又は取手の長さをそれ以上の長さにしたもので、これにより、作業室内よりの逆流が生じないようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラフトチャンバーの前面開口部に設けられた上下動可能な扉で、前記扉の下端に設けられた扉開閉用の取手が先端に向かうにしたがって、厚さが小になる形状で、前記取手が水平方向に伸びる持ち手を有し、前記持ち手の長さをt1、取手の長さをt2とした時にt1とt2が次の関係を満足することを特徴とするドラフトチャンバー昇降扉。
2/t1≧3
【請求項2】
前記取手がそのドラフトチャンバー側の面とドラフトチャンバー他の面とが共に先端に向かうにしたがって互いに近接する方向に傾斜した面である請求項1のドラフトチャンバー昇降扉。
【請求項3】
ドラフトチャンバー側の面と他の面との傾斜角度を夫々θ1、θ2とした時、θ1、θ2が次の値である請求項2のドラフトチャンバー昇降扉。
θ1≧10°
θ2≧10°
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はドラフトチャンバー昇降扉に関するもので、特に昇降扉の取手形状に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドラフトチャンバーは、周知のように化学薬品等を使用しての実験の際にガスや粒子等の危険物質が発生し、これによる作業者(実験者)等への悪影響を除くために、これら危険物質を囲い込んで排気する装置である。
【0003】
このドラフトチャンバーは図6に示すようにドラフトチャンバー本体1が作業室2と収納室3とを有し、作業室2には作業台4が設けられ、作業室2内の作業台4の上で化学実験等の作業が行なわれる。
【0004】
又、作業室2の前面開口部分には、この開口部分の開閉を行なう昇降扉9が設けられている。一方、作業室2の背面には、排気路5を形成する背面仕切板が形成され、本体上部には排気口6が形成され、作業室内のガスが排気路5を通って排気口6より排出されるようにしている。これにより、前述の通りの作業の際に発生するガス等の危険物質を排出して空気の入れ換えが行なわれるようにしている。
【0005】
以上述べたドラフトチャンバーは、作業者が実験を行なう際に内部のエアーの流れを所定の状態に維持するために昇降扉9が設けられており、作業室内のエアーの流れが良好に保たれるように閉じられる。又、作業者の作業にあたっては、扉が開かれた状態にする必要がある。そのために、作業者にとって作業が行ない得る状態で、しかもできる限りドラフトチャンバー内のエアーの流れ等が望ましい状態を維持するように扉の開く程度、扉と空間の間の位置を設定して作業を行なうことが好ましい。
【0006】
以上述べたドラフトチャンバーにおいて、昇降扉を開いて作業を行なっている際に、作業室内の気流が外部の実験室に流れ出すことがある。前述のように作業室内の空気が外に流れ出すと、実験中等に発生する有害な物質が流れ出すため好ましくない。
【0007】
そのため、ドラフトチャンバー昇降扉の取手は、ドラフトチャンバー作業室内の空気が外部つまり実験室に洩れ出ない形状になっていることが望ましい。
【0008】
しかし、従来の昇降扉の取手は、作業室内の空気の洩れ防止が十分とはいえない。つまり、従来の昇降扉は、取手の部分にての乱流、気流の巻き込み、逆流等によって作業室内の空気の洩れが生ずると考えられる。そのため取手の形状により、前記の空気の洩れが異なるものと考えられる。
【0009】
そのため、本発明の発明者は、形状の異なる各種の取手を設けた昇降扉についての空気流の実験を行なった。
【0010】
図3は、一般的な取手の形状を示す。
【0011】
この形状の取手は扉(サッシ)20の下端より伸びる取手21の上部に図示するような持ち手22を有するものである。
【0012】
尚、図3において、境界線Aの右側23がドラフトチャンバーの作業室側、左側24が実験室側である。
【0013】
図4は、図3に示すドラフトチャンバー昇降扉の取手21近傍の気流を示す。
【0014】
この従来例では、取手21の先端(下端)部分21aより外面に沿って持ち手22の部分に流れる逆流10Bが生じ、実験室24より作業室23への空気流10Aとの間の閉じた空間内にて乱流となり、結果として作業室23内の空気が一部実験室24に洩れることになる。
【0015】
又、他の形状である図5に示す取手25を有する昇降扉の場合、取手25の下端25aの曲面に沿って、作業室23内よりの気流10Cが生じ、これによって、作業室23内の空気が実験室24の側へ洩れ出し好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、ドラフトチャンバーの作業室内よりの空気の逆流の少ない、又は逆流がほとんど生じない取手を有するドラフトチャンバー昇降扉を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のドラフトチャンバー昇降扉は、その下端に設けられた取手が先端に向かうにしたがって、厚さが小になり、その上部に作業者側に向けて伸びる持ち手を有する形状であって、持ち手の長さと持ち手から取手の下端までの長さを1:3又は後者の長さをそれ以上にしたことを特徴とする。
【0018】
即ち、持ち手の長さをt1、持ち手の部分から先端までの長さをt2とした時にt2/t1≧3であることを特徴とする。
【0019】
本発明のドラフトチャンバーの昇降扉は、前記のような形状の取手を有することにより、取手の先端と実験室からドラフトチャンバーの作業室内に流れ込む気流との間に逆流が生ずることなく、また、乱流等が生ずることなく、特に作業室から実験室への空気の洩れがほとんどない。
【0020】
又、本発明のドラフトチャンバー昇降扉は、その取手が前記のように下端に向けて厚さが小になる形状であるが、その実験室側の面およびドラフトチャンバー作業室側の面が先端に向けて互いに近接するように傾斜して厚みが小になる形状であって、いずれもその傾斜角θ1、θ2が少なくとも10°つまりθ1、θ2≧10°であることを特徴とする。
【0021】
本発明の発明者は、ドラフトチャンバー昇降扉の取手を各種形状として実験した結果、前述のように、その長さが比較的長くその厚さが先端に向かうにしたがって少になる形状で、取手上部に実験室側に伸びるもので、この持ち手の長さが取手の上下方向の長さに比べて小である形状が好ましいことをたしかめた。
【0022】
更に、取手の持ち手から先端までの長さが持ち手の長さの少なくとも3倍であることが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明のドラフトチャンバー昇降扉は、取手が前記の通りの形状で、これによりドラフトチャンバー作業室より実験室への空気の洩れがほとんどないという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態を図示する実施例1をもとに説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例1のドラフトチャンバー昇降扉は、その先端(下端)の取手の部分が図1に示す形状である。
【0026】
図1に示すように、本発明のドラフトチャンバー昇降扉は、その取手26がその先端(下端)26aに向け次第に厚さが小になるように、その作業室側の面26bおよび実験室側の面26cがいずれも傾斜面になっている。
【0027】
又、取手26より伸びる持ち手27の長さであるt1および取手の長さ(持ち手から取手先端26までの長さ)t2がt1<t2であり、しかもt2/t1≧3であることを特徴とする。
【0028】
ここで、持ち手の長さは、取手の端面より持ち手先端までの長さ、取手の長さとは、取手より伸びる持ち手の下方の端(その水平線と取手の先端を通る垂直な線との交わる点)より取手の先端までの長さである。
【0029】
これにより、図2に示すように実験室より作業室内へ流れ込む気流は10Aのようになり、又作業室内の気体は作業室外に流れることなく、10Dのように流れる。
【0030】
したがって、ドラフトチャンバー作業室より外に流れ出る気流はほとんどなく、気流10Aにより作業室側へ押しもどされ、空気の洩れは生じない。
【0031】
また、この実施例1のドラフトチャンバー昇降扉において、その取手26を、図1に示す面26bおよび面26cの傾斜角θ1、θ2を夫々10°以上つまりθ1≧10°、θ2≧10°にすることにより、逆流防止効果が一層大になり望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のドラフトチャンバー昇降扉は、その先端の取手の形状を特定することにより、化学実験等により発生するガス等の危険物質が作業室外に洩れ出ることのないようにし、安全に作業を行ない得るようにした。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例の取手の形状を示す図
【図2】前記実施例の取手の近傍の気体の流れを示す図
【図3】従来の取手の一例を示す図
【図4】図3に示す取手の近傍の気体の流れを示す図
【図5】他の従来の取手の形状と気体の流れを示す図
【図6】ドラフトチャンバーの概略図と気体の流れを示す図
【符号の説明】
【0034】
26 取手
27 持ち手
【出願人】 【識別番号】000133467
【氏名又は名称】株式会社ダルトン
【出願日】 平成19年5月30日(2007.5.30)
【代理人】 【識別番号】100075867
【弁理士】
【氏名又は名称】向 寛二


【公開番号】 特開2008−296101(P2008−296101A)
【公開日】 平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願番号】 特願2007−142934(P2007−142934)