トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般

【発明の名称】 雰囲気制御型加熱装置
【発明者】 【氏名】阿部 英樹

【氏名】今井 基晴

【要約】 【課題】チャンバー内に配置した高温部を、チャンバー外に配置した加熱部からの赤外線輻射により加熱する雰囲気制御型加熱装置において、電気配線の導入等も可能でありながら、高温部の目視が可能な雰囲気制御型加熱装置を提供する。

【解決手段】チャンバーCが可視光透過性であると共に、加熱部Hからの赤外線に曝されるチャンバー面には、高温部へ照射される赤外線以外を遮蔽する壁が設けてあることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に配置した高温部を、チャンバー外に配置した加熱部からの赤外線輻射により加熱する雰囲気制御型加熱装置であって、前記チャンバーが可視光透過性であると共に、前記加熱部からの赤外線に曝されるチャンバー面には、前記高温部へ照射される赤外線以外を遮蔽する壁が設けてあることを特徴とする雰囲気制御型加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の雰囲気制御型加熱装置において、前記加熱部は、回転楕円形のミラーの焦点に発光ランプを配置してなり、前記ミラーによる反射光の焦点に前記高温部が位置するように配置してあることを特徴とする。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の雰囲気制御型加熱装置において、前記赤外線以外を遮蔽する壁は耐火煉瓦よりなり、その壁を貫通して前記高温部が設けてあり、その高温部の外側露出部分に赤外線を照射するように加熱部を配置してあることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバー内に配置した高温部を、チャンバー外に配置した加熱部からの赤外線輻射により加熱する雰囲気制御型加熱装置に関するものである。より詳しくは、酸素、ハロゲン化水素、ハロゲンガスなどの高反応性ガス雰囲気、あるいは、アルゴン、窒素などの特殊なガス雰囲気において、高温領域での多様な実験作業を行うことを可能にする、高温下での電気化学実験、高温下での物理測定等、複雑な電気的・機械的な装置をガス雰囲気中で駆動する必要のある実験に対して有効な、雰囲気制御型加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線加熱式の雰囲気制御型加熱装置として、類似の装置が市販されているが、それらはステンレス製チャンバーを用いた加熱システムと、ガラスチューブ炉心管を備えた管状電気炉の二つのタイプに限られる。前者はチャンバーがステンレス製のため、含水ハロゲン化水素系の反応性ガス雰囲気下での実験に利用できず、また、高温部の目視はステンレスチャンバーに備えられたビューポートからの視野に制限されている。後者は、通常、ガラスチューブを取り巻いて赤外線ランプが配置されるため、これも高温部の目視が難しい上、電気配線など導入することは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、電気配線の導入等も可能でありながら、高温部の目視が可能な雰囲気制御型加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明1の雰囲気制御型加熱装置は、チャンバーが可視光透過性であると共に、前記加熱部からの赤外線に曝されるチャンバー面には、前記高温部へ照射される赤外線以外を遮蔽する壁が設けてあることを特徴とする。
【0005】
発明2は、発明1の雰囲気制御型加熱装置において、前記加熱部は、回転楕円形のミラーの焦点に発光ランプを配置してなり、前記ミラーによる反射光の焦点に前記高温部が位置するように配置してあることを特徴とする。
【0006】
発明3は、発明1又は2の雰囲気制御型加熱装置において、前記赤外線以外を遮蔽する壁は耐火煉瓦よりなり、その壁を貫通して前記高温部が設けてあり、その高温部の外側露出部分に赤外線を照射するように加熱部を配置してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、加熱部を加熱する為の赤外線は、高温部以外にはチャンバー内に透過しないので、高温部以外のものが赤外線の直接照射により加熱される恐れがなくなった。その結果、チャンバー内に電気配線などを行っても、赤外線による影響を受けることなく、チャンバーを可視光透過性にすることができ、高温部などのチャンバー内の目視も可能になった。
また、発熱体と高温部とがチャンバーの内外で完全に分離されているため、チャンバー内部が高反応性ガスに満たされている場合においても、発熱体へのダメージを考慮せずに安定した温度制御が可能である。
【0008】
また、縦置き型、ガラス製のチャンバーを用いた場合は、下部より赤外線加熱する方式を採用しているため、チャンバー全周より容易に高温部を目視することができる。
【0009】
さらに、高温部は集光赤外線により局所加熱されるため、高温部上方に広く常温空間が空いている。これにより高温部へのアクセスが容易となり、複雑な電気配線や、機械操作の導入を自由に行うことができる。
【0010】
以上から、本発明は、従来の欠点を解消し、高温部の目視が容易である上、電気配線などの導入が簡単であるので現場での使用上非常に使い勝手がよい雰囲気制御型加熱装置を提供することができる。
【0011】
本発明の雰囲気制御型加熱装置を実験装置に適用した場合においても、小型、軽量、低消費電力であり、設置も容易であり、構造が簡単なため、実用化・量産が可能であり、高温下、反応性ガス雰囲気下での実験、特に、電気化学的実験を行うユーザーに実用機器として広く安価に提供できる。
【0012】
一例として、近年、環境・エネルギー問題の解決策の一つとして脚光を浴びている、燃料電池の特性評価に対して有力な実験装置を提供する。本装置の活用が新たな燃料電池の開発につながる可能性は大きく、社会的、経済的に広いインパクトを与えることが可能である。
【0013】
また、本発明の実験装置は、高温下、反応性ガス雰囲気下での実験に際し、従来の装置にない柔軟性と操作性を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を、さらに詳細に説明する。
本発明の雰囲気制御型加熱装置において、構成部品の材質について、ガラス管の材質として、パイレックス(登録商標)ガラスを採用することができ、上蓋の材質はFRPを採用することができ、上部並びに下部環状フランジの材質は、FRPガラスエポキシ樹脂とすることができる。
【0015】
また、るつぼ(8)の材質はグラファイト製とすることができ、ハーメチックフィールドスルー(12)の材質はテフロン(登録商標)(登録商標)製とすることができる。
【0016】
ハロゲンランプ(23)の必要とする高出力は加熱装置の仕様に応じて決められる。
【0017】
以下にその実施の形態について説明する。
【実施例】
【0018】
雰囲気制御型多目的高温実験装置はチャンバー(C)と加熱部(H)とから構成される。
【0019】
チャンバー(C)において、内径200mm,長さ400mmのパイレックス(登録商標)ガラス製のチューブ(1)の両端には、シリコンゴム製パッキングを介して、FRPガラスエポキシ製の上部環状フランジ(2a)及び下部環状フランジ(2b)がそれぞれ取り付けられる。上部環状フランジ(2a)上面には、シリコンゴムパッキングを介して、FRP製の上蓋(3)が嵌め込まれる。一方、下部環状フランジ(2b)下面には、バイトンゴム製のパッキングを介し、直径160mmの石英ガラス窓(4)が配置され、下部環状フランジ(2b)は、石英ガラス窓(4)と共に、水冷パイプ(図示省略)を溶接した真鍮フランジ(5)に嵌め込まれる。真鍮フランジ(5)と上部環状フランジ(2a)は、ねじ棒(6)により貫通して螺合され、ねじ棒(6)の上下端からナット(図示省略)螺合して締め付け、密封することにより、チャンバー(C)内部が大気から遮断される。チャンバー(C)の底部には、外径200mm、内径50mm,厚み60mmのトーラス状に成型した耐火煉瓦(7)が取り付けられ、トーラス中央部の穴に、外径50mm、内径40mm,高さ50mmのグラファイト製のるつぼ(8)が差し込まれている。るつぼ(8)の底面と石英ガラス窓(4)が直接触れないように、アルミナ製のスペーサ(9)が介装される。上部環状フランジ(2a)にはその周方向側面に、チャンバー(C)内部のガス雰囲気を制御するためのガス供給管(10)及びガス排気管(11)が設置され、ガスが導かれる。
【0020】
また、高温下での電気的測定用に、上部環状フランジ(2a)の周側面より、例えば白金製のハーメスチックコネクタ(図示省略)を介して0.3mmφの白金リード線(13)が導入される。任意の駆動手段(D)により、チャンバー(C)の上蓋(3)に備え付けられたハーメチックフィールドスルー(テフロン(登録商標)(登録商標)製)(12)を介して、矢印で示されるように、回転、直進などの機械操作を導入する。
【0021】
加熱部(H)において、チャンバー(C)下部の真鍮フランジ(5)下面に、赤外線輻射装置(21)が取り付けられる。赤外線輻射装置(21)は、回転楕円形体に成型したミラー(22)の焦点部に、高出力ハロゲンランプ(23)、市販品でもある、が設置され、対向焦点周辺部を加熱することができる。 加熱時は、真鍮フランジ(5)及び赤外線輻射装置(21)は流水により水冷される。赤外線輻射装置(21)からの赤外線は、チャンバー下面の石英ガラス(4)を透過し、チャンバー底中央に備え付けられたグラファイトるつぼ(8)を加熱する。グラファイトるつぼ(8)が850℃まで加熱され赤熱した際においても、るつぼ(8)全体が耐火煉瓦(7)に埋め込まれ断熱されているため、チャンバー本体のガラスチューブ(1)及び上部環状フランジ(1a)の温度は常時70℃以下に保たれる。
【0022】
(作用)
本発明の対象である雰囲気制御型多目的高温実験装置は、ガラスチューブ(1)と、耐熱性樹脂製の各上下環状フランジ(2a)(2b)及び上蓋(3),真鍮フランジ(5)からなる縦置き型として構成されたチャンバー(C)と、赤外線輻射装置(21)、ハロゲンランプ(23)、ミラー(22)になる加熱部(H)から構成され、この縦置き型チャンバー(C)底面に石英ガラス窓(4)を備え、この石英ガラス窓(4)を通じて、ハロゲンランプ(23)からの赤外線を入射、集光することにより、チャンバー(C)内部に高温部が作り出される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る雰囲気制御型多目的高温実験装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ガラスチューブ
2a 上部環状フランジ
2b 下部環状フランジ
3 上蓋
4 石英ガラス窓
5 真鍮フランジ
6 ねじ棒
7 耐火煉瓦
8 グラファイトるつぼ
9 アルミナ製スペーサー
10 ガス供給管
11 ガス排出管
12 ハーメチックフィールドスルー
21 赤外線輻射装置
22 ミラー
23 ハロゲンランプ
C チャンバー
H 加熱部
D 駆動手段
【出願人】 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
【出願日】 平成20年2月8日(2008.2.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−200672(P2008−200672A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2008−29534(P2008−29534)