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【発明の名称】 重金属用吸着剤およびその製造方法ならびに重金属の除去方法
【発明者】 【氏名】高橋 康史

【要約】 【課題】安価なフェノール樹脂を含む適正な組成を持つ固形物を用いることにより、重金属とりわけカドミウムを土壌中および溶液中から効率的にかつ簡便に除去する重金属用吸着剤およびその製造方法並びに重金属の除去方法を提供することにある。

【構成】本発明の重金属用吸着剤は、フェノール樹脂とアミノ化合物とを含む固形物からなることを特徴とする重金属用吸着剤である。また、本発明の重金属用吸着剤の製造方法はアミノ化合物を含有するフェノール樹脂に高分子凝集剤を添加してフロック体とする工程と、このフロック体を前記フェノール樹脂の融点以上でかつ前記アミノ化合物の分解温度未満の温度で加熱処理する工程を有する
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール樹脂とアミノ化合物とを含む固形物からなることを特徴とする重金属用吸着剤。
【請求項2】
前記アミノ化合物が、結合性を有する脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、ポリアミドアミン、イミダゾール、およびポリアミドからなる群より選択される、1種または2種以上の化合物である請求項1に記載の重金属用吸着剤。
【請求項3】
前記固形物は平均繊維径0.1〜100μm、長さ0.001〜1mmの短繊維を更に含む請求項1もしくは2に記載の重金属用吸着剤。
【請求項4】
前記吸着剤は、カドミウム用吸着剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の重金属用吸着剤。
【請求項5】
アミノ化合物を含有するフェノール樹脂に高分子凝集剤を添加してフロック体とする工程と、このフロック体を前記フェノール樹脂の融点以上でかつ前記アミノ化合物の分解温度未満の温度で加熱処理する工程を有することを特徴とする重金属用吸着剤の製造方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の重金属用吸着剤を用い、溶液中もしくは土壌中に存在する重金属を除去することを特徴とする重金属の除去方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液中および土壌中からの重金属、特にカドミウムを除去するのに好適な重金属用吸着剤、およびその製造方法ならびに重金属の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重金属は、特にカドミウムは、めっき材料として有用な金属であり自動車関連業界で広く使用されてきたが、多くの生物種の生体内で毒性を持ちかつ蓄積性があるため、一度摂取してしまうと長期間その毒性に苛まれる危険性があり、環境汚染の一因になっていた。カドミウムの過剰摂取による症状としては、骨や関節が脆弱となること、肺気腫、腎臓障害、および蛋白尿が知られており、発がん性に関与するという指摘もある。
【0003】
また、カドミウムによって汚染された水田等の農地で生育した農作物は、農地中に存在するカドミウムを吸い上げることにより高濃度のカドミウムを含有している場合があり、このような高濃度のカドミウムを含有する農作物は食用に供することができないので、土壌に何らかの対策をとることによりその土地で産する農作物中のカドミウム濃度を基準値以下にする必要がある。
【0004】
また、土壌から任意に採取したサンプルの各重金属の含有量について環境基準が定められており、前記サンプル中の重金属の含有量がこの基準値以上であれば一般の土地としての利用も禁止される。特に土壌中のカドミウムの移動速度は遅く自然現象としてカドミウムが除去されることはなく、土壌中からカドミウムを除去する適切な方法は未だ確立されていないのが現状である。
【0005】
土壌中から重金属を除去するための従来の手段としては、例えば非特許文献1に記載されているように、1)汚染土壌を除去し、非汚染土壌を客土する土壌入れ替え方法、2)酸溶液、キレート剤(例えば特許文献1)などの化学薬品により土壌を洗浄する方法、もしくは3)重金属用吸収剤として水稲を用い、重金属を意図的に吸収させることで除去するファイトレメディエーション法等がある。
【0006】
前記1)の方法は、汚染面積が広い(6500ha)場合には、土壌回収、輸送、およびその処理に高額の費用を必要とするという問題がある。前記2)の方法は、塩酸のような酸溶液による土壌処理の場合には洗浄・除去能力が不足し処理後の土壌処理が困難であるという問題や、キレート剤が必要で、安価ではなく、加えて土壌処理後にキレート剤を除去するのが困難であるという問題がある。前記3)の方法は、植物による吸収を利用したものであるので除去に時間がかかり効率的ではなく、加えて除去に使用した植物を人間以外の生物が食することによる2次拡散被害の問題もある。
【0007】
また、他の吸着剤としては例えば特許文献2に記載されているようなフェノール樹脂等を使用した吸着剤が挙げられる。フェノール樹脂はフェノールとホルムアルデヒドという比較的安価で入手しやすい原料から得ることができ、耐熱性や強度に優れているため現在幅広く使用されているエンジニアリングプラスチックの1種である。
【0008】
特許文献2に記載の吸着剤は、樹脂中のフェニル基に炭素数1から4の炭化水素基もしくはフェニル基を導入したものであって、有機化合物、特にクロロフルオロカーボン、クロロハイドロカーボンなどのような塩素含有炭化水素化合物の各種ガスの吸着剤として利用されるものであって重金属であるカドミウムの吸着には適さない。
【0009】
こうした状況の中で、重金属、特に毒性の高いカドミウムを土壌中および溶液中から除去するための、効率的にかつ簡便に吸着する安価な吸着剤を開発する必要があった。
【0010】
【非特許文献1】浅見輝男「カドミウムと土とコメ」アグネ技術センター(平17―12―26)p.59−70
【特許文献1】特開2004−294329号公報
【特許文献2】特開平9−302135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、安価なフェノール樹脂を含む適正な組成を持つ固形物を用いることにより、重金属とりわけカドミウムを土壌中および溶液中から効率的にかつ簡便に除去する重金属用吸着剤およびその製造方法並びに重金属の除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
【0013】
(1)フェノール樹脂とアミノ化合物とを含む固形物からなることを特徴とする重金属用吸着剤。
【0014】
(2)前記アミノ化合物が、結合性を有する脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、ポリアミドアミン、イミダゾール、およびポリアミドからなる群より選択される、1種または2種以上の化合物である上記(1)に記載の重金属用吸着剤。
【0015】
(3)前記固形物は平均繊維径0.1〜100μm、長さ0.001〜1 mmの短繊維を更に含む上記(1)もしくは(2)に記載の重金属用吸着剤。
【0016】
(4)前記吸着剤は、カドミウム用吸着剤である上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の重金属用吸着剤。
【0017】
(5)アミノ化合物を含有するフェノール樹脂に高分子凝集剤を添加してフロック体とする工程と、このフロック体を前記フェノール樹脂の融点以上でかつ前記アミノ化合物の分解温度未満の温度で加熱処理する工程を有することを特徴とする重金属用吸着剤の製造方法。
【0018】
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の重金属用吸着剤を用い、溶液中もしくは土壌中に存在する重金属を除去することを特徴とする重金属除去方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、安価なフェノール樹脂を含む適正な組成を持つ固形物を用いることにより、重金属とりわけカドミウムを土壌中および溶液中から効率的にかつ簡便に除去する重金属用吸着剤およびその製造方法並びに重金属の除去方法の提供が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明者は、溶液中および土壌中からの重金属、特にカドミウムを効率的にかつ簡便に除去するための検討を行った。その結果、有機化合物のガスの吸着剤として使用されていた安価なフェノール樹脂とともに、アミノ化合物を更に含む固形物を作製し、この固形物を吸着剤として溶液や土壌中に入れると、溶液や土壌中に存在していた重金属、特にカドミウムが吸着剤に吸着して、効率的に除去されることを見出し、この発明を完成するに至った。本来、アミノ基を持つアミノ化合物は、陰イオン吸着のための官能基であるが、本発明ではメカニズムは定かではないものの、フェノール基を持つフェノール樹脂と、アミノ基を持つアミノ化合物との相互作用によって陽イオンであるカドミウムイオンを効率的に吸着できる新規な吸着剤の開発に成功したものである。すなわち、本発明の重金属用吸着剤はフェノール樹脂とアミノ化合物とを含む固形物からなる。
【0021】
本発明に使用するフェノール樹脂は、例えば、ノボラック型樹脂もしくはレゾール型樹脂の他、エステルガム変性フェノール樹脂もしくはアルキルフェノール樹脂等の変性フェノール樹脂を挙げることができる。これらの樹脂のうち、特にノボラック型樹脂が好ましい。また、耐久性改善を重視する場合には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等との混合が可能であるアルキルフェノール樹脂を用いることが好ましい。フェノール樹脂の分子量は200〜5000程度が好ましい。これは加工性および成形性に優れているとともに生産性が高く、安価な吸着剤を提供する点で適しているからである。
【0022】
現在入手可能な市販のフェノール樹脂として、例えば、スミライトレジン:PR−217、PR−8000、PR−50099、PR50102、PR−50252、PR−50699、PR−50869、PR51326B、PR51541B、PR−51820等(以上、住友ベークライト(株)製)、ショウノール:BRG−558、BRP−5520、BRP−534P、BRP−5417、ARP−089、BRP−511、BRP−5980、BRP−5428等(以上、昭和高分子(株)製)が挙げられる。
【0023】
アミノ化合物は、結合性を有する脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、ポリアミドアミン、イミダゾールおよびポリアミドからなる群より選択される、1種または2種以上の化合物であることが好ましい。
【0024】
アミノ化合物は、より具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられ、これらの中で特にヘキサメチレンテトラミンが好適である。
【0025】
現在入手可能なアミノ化合物としては、例えば、変性脂肪族アミングレード(ジエチレントリアミン(DETA)やトリエチレンテトラミン(TETA)を変性したもの):T、T1、T0184、U、DX148、3012PF、3019、3025PF、3050、3080、3075W、3160S、3549およびXD639、変性脂肪族(3級アミン)硬化促進剤:3010、変性脂環族アミングレード:113、変性脂肪族アミングレード:DX103、イミダゾールグレード(硬化剤または硬化促進剤):EM124(2−エチルー4(5)−メチルイミダゾール)、BM112(1−ベンジルー2−メチルイミダゾール)、IBM112(1−イソブチルー2−メチルイミダゾール)、MI2AZ(2−メチルイミダゾールアジン)、UIZ2、(2−ウンデシルイミダゾール)、HDI2(2−ヘプタデシルイミダゾール)、P200およびP200H50(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、変性脂肪族ポリアミン:2400、HD−325、HD−335、X−778、SK−900F15B、SK−900FCB、X−1066、X−1962およびHD−110TP、変性脂環式ポリアミン:HD−800、HD−801CB、I−912、I−2095およびHD−438、変性芳香族ポリアミン:M−1540およびM−1086、変性ポリアミドアミン:P−1043およびP−4115、3級アミン:HD−Acc43およびD−758(以上、大都産業(株)製)が挙げられる。
【0026】
また、本発明では前記固形物が平均繊維径0.1〜100μm、長さ0.001〜1mmの短繊維を更に含むことが好ましい。前記固形物に前記短繊維を含むことにより、強度を高めるとともに固形物の表面および内部を多孔質体にして、吸着面積である比表面積を有効に増加させることができるからである。
【0027】
短繊維の平均繊維径を0.1〜100μmに限定した理由は、0.1μm未満の場合には繊維強度が十分ではなく、繊維が折れて切断しやすくなるからであり、また100μmを超える場合には繊維の剛性が高すぎて繊維同士が柔軟に絡まりにくいからであり、いずれの場合も固形物として十分な強度が得られない傾向がある。短繊維の長さを0.001〜1mmとしたのは、0.001mm未満であると繊維同士が複数箇所で絡まりにくいため固形物として十分な強度が得られない傾向があり、1mmを超えると逆に絡みにくくなり固形物を粒状形状に成形しにくい傾向がある。
【0028】
短繊維としては例えば、ガラス繊維、ロックウール、カーボン繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、チタン繊維などの無機繊維、および芳香族アラミド繊維、テトラフルオロエチレン繊維、ポリイミド繊維などの有機繊維が挙げられる。また、短繊維の添加量としては、フェノール樹脂100質量部に対し10〜300質量部にすることが好ましい。この範囲を限定した理由は、短繊維の添加量が、フェノール樹脂100質量部に対し10質量部未満であると吸着剤として必要な比表面積を下回る傾向があり、フェノール樹脂100質量部に対し300質量部を超えると必要な強度を得られなくなるおそれがあるからである。短繊維の添加量は、より好適にはフェノール樹脂100質量部に対して50〜200質量部である。
【0029】
本発明に従う重金属用吸着剤は、特にカドミウムを効率よく吸着するのに適している。これまではカドミウムを対象にするような吸着剤はなかったので、特にカドミウムに汚染された土壌の処理のための開発が望まれていた。吸着剤の形状としては粒状(球状、破砕状、顆粒状、および不定形)、シート状、または棒状が挙げられる。また、粒状の吸着剤を各種形状を有する袋に詰めて使用することもできる。例えば、粒状の吸着剤をシートに載せ、このシートを棒状の袋にすることも可能である。シート材質としては、PET、PE、PP、ナイロン、および麻繊維などが使用できる。メッシュサイズとしては吸着剤がこぼれ落ちず水が通ればよく、特に限定はしないが、好適には40〜400メッシュである。
【0030】
次に本発明に従う重金属用吸着剤の製造方法の一例を説明する。まず硬化剤としてのアミノ化合物を含有するフェノール樹脂にカチオン系の高分子凝集剤を添加してフロック体とし、次に過剰な水分を除きつつ融着させるため加熱処理する。フェノール樹脂は通常150℃で加熱処理するが、アミノ化合物は130℃で分解が始まり150℃を超えると激しく分解する一方、60℃未満であるとフェノール樹脂の融着が進まない。そのため、本発明では加熱温度を60℃〜150℃とすることが好ましく、好適には80℃〜130℃、より好適には100〜110℃である。尚、加熱処理時間は、1分〜24時間とすることが好ましく、更に好適には30分〜5時間である。
【0031】
本発明には上記した重金属用吸着剤を用い、溶液中もしくは土壌中に存在する重金属を除去することができる。その除去方法として、例えば以下のa)〜c)が挙げられる。
a)本重金属用吸着剤と汚染土壌を耕運機などで混合した後静置し重金属を除去した後、篩にかけて吸着剤のみ回収する。
b)本重金属吸着剤を棒状に成形し、又は、粒状物にした後、棒状の袋に入れて土壌に突き刺して静置し重金属を吸着除去した後、棒状物を引き抜くことにより吸着剤を回収する。
c)まず土壌を掘り起こし、そこにシート状に形成した本重金属用吸着剤を敷き、その上に掘り起こした土壌を盛り、これを静置することにより重金属を吸着除去した後、吸着剤のシートを回収する。
このように本重金属用吸着剤を使用して汚染土壌からの重金属除去を行うと、重金属で汚染された土壌に対する除去および汚染除去後の吸着剤の回収等、土壌の処理が非常に簡便になる。
【0032】
尚、上述したところは本発明の実施形態の一例を示したにすぎず、特許請求の範囲内において種々の態様を取ることができる。尚、上記では本発明の吸着剤で吸着できる重金属の例としてカドミウムを挙げてきたが、Pb、Pt、Au、Ag、HgおよびCuのような他の重金属についても吸着剤として使用することも可能である。また、フェノール樹脂は無機材料との相性もよく、市場にある無機系吸着剤(例えばセリウムを含む希土類化合物およびシュベルトマナイトを含む鉄系の鉱物など。)を担持させる事によりカドミウム以外の汚染元素の固定化も同様に可能となる。そのため、本発明は複数の汚染物質を汚染水および汚染土壌から同時に除去可能な吸着剤の製造にも応用できる。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
1000質量部のイオン交換水に、ガラス短繊維(平均繊維径4μm、長さ10〜50μmのガラス短繊維(日本無機株式会社製)50質量部と、アミノ化合物である硬化剤を既に含む粉末状のフェノール樹脂50質量部を添加し、十分に攪拌した。次にカチオン系の高分子凝集剤を0.5質量部投入し、フロック体を形成させた。そのフロック体を公知の妙紙機を用いて妙紙し、100℃で3時間熱処理を行った。その結果シート状の固形物が得られた。このシート状の固形物を粉砕機にかけることにより粒径が1〜5mmである破砕形状の粒状吸着剤を得た。
【0034】
(実施例2)
1000質量部のイオン交換水に、ガラス短繊維(平均繊維径4μm、長さ10〜50μmのガラス短繊維(日本無機株式会社製)50質量部と平均繊維径15μmのPP−PE熱融着繊維20重量部(チッソ株式会社製)、アミノ化合物である硬化剤を既に含むフェノール樹脂粉末70質量部を添加し十分に攪拌した。次に、カチオン系高分子凝集剤を0.3質量部投入し、アニオン系の高分子凝集剤を0.1質量部添加しフロック体を形成させた。そのフロック体を公知の妙紙機を用いて妙紙し、縦10cm、横20cm、厚さ1cmのシート状の固形物を得た。その後、乾燥オーブンに投入し、100℃で3時間熱処理を行った。次いで、卓上切断機を用いて1cm×1cm角で長さ20cmの角柱状の吸着剤を得た。
【0035】
(実施例3)
1000質量部のイオン交換水に、ガラス短繊維(平均繊維径4μm、長さ10〜50μmのガラス短繊維(日本無機株式会社製)50質量部と硬化剤を含まないフェノール樹脂45質量部、アミノ化合物である硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを5質量部添加し、十分に攪拌する。次にカチオン系の高分子凝集剤を0.5質量部投入しフロック体を形成した。そのフロック体を公知の妙紙機を用いて妙紙し、シート状の固形物を得た。次に乾燥オーブンに投入し100℃で3時間熱処理を行った。このシート状の吸着剤を粉砕機にかけることにより粒径が1〜5mmである粒状吸着剤を得た。
【0036】
(実施例4)
四角形の成形型に、アミノ化合物である硬化剤を含む粉末状のフェノール樹脂を投入し、200〜500kg/cmの圧力をかけ110℃で3時間維持し、四角形のシート状の固形物を得た。これを粉砕機で粉砕し、粒径が1〜5mmである粒状吸着剤を得た。
【0037】
(比較例)
主成分としてセリウム化合物と珪藻土を含む吸着剤であるアドセラ(粒状)(日本板硝子(株)製)を使用した。
【0038】
(評価方法)
(1)溶液中のカドミウムの除去の評価
1ppmのカドミウム試薬液(カドミウム・硝酸(0.1mol/l)溶液)25mlに対し、実施例に示した吸着剤を1g添加し、30分間揺動処理し、上澄み液中のカドミウム濃度を定量した。カドミウム濃度はプラズマ発光分析法で測定しカドミウムの除去率を評価した。表1にその評価結果を示す。
【0039】
【表1】


【0040】
表1の結果から、実施例1〜4はいずれもカドミウムの除去率が60%以上と比較例に比べて格段に高い。特に、実施例1〜3はカドミウム除去率がいずれも80%以上である。
【0041】
(2)汚染土壌に対するカドミウム除去評価I
土壌汚染対策法施行規則(H14年12月26日、環境省令第29号)の含有量基準試験(1M塩酸抽出法)で143mg/kgのカドミウム濃度を示した汚染土壌1kgに、上述した実施例1、3および4の吸着剤50gとイオン交換水50gとを添加した後に十分に混合し、開放系で1ヶ月静置した。その後、篩にかけて大きな粒径を持つ吸着剤を回収し吸着処理後の土壌に対してカドミウムの含有量を定量した。カドミウム濃度はプラズマ発光分光法で測定しカドミウムの除去率を評価した。表2にその評価結果を示す。
【0042】
【表2】


【0043】
表2の結果から、実施例1、3および4はいずれもカドミウムの除去率が30%以上と高い。また、この吸着処理後、土壌と吸着剤は篩で分別可能であり、作業性にも優れていた。
【0044】
(3)汚染土壌に対するカドミウム除去評価II
土壌汚染対策法施行規則(H14年12月26日、環境省令第29号)の含有量基準試験(1M塩酸抽出法)で143mg/kgのカドミウム濃度を示した汚染土壌を準備した。次に、実施例1で作製した吸着剤を、直径が5cmで、長さ
20cmの円柱状であるPE製の60メッシュのポリエチレン袋縫製品(袋状に縫ったメッシュ袋)に詰めたサンプルAと、1cm×1cm角で、長さ20cmである四角柱の袋(上記と同様のポリエチレン袋縫製品)に詰めたサンプルBとを準備した。植木鉢に土壌を盛りその中央部にサンプルAを差し込み、また別の植木鉢にも同様にサンプルBを差し込み、一ヶ月間静置した。この間、一週間に2回、適度の水で土壌にかけた。一ヶ月静置後、前記サンプルの周囲の土壌および前記吸着剤から10cm離れた土壌をそれぞれ採取しカドミウムの含有量を定量した。カドミウム濃度はプラズマ発光分光法で測定しカドミウムの除去の程度を評価した。その評価結果を表3に示す。
【0045】
【表3】


【0046】
表3に示す結果から、サンプルAおよびBはいずれも吸着剤周囲の土壌についてはカドミウム含有量が低下しており、吸着剤によりカドミウムが吸着除去されていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、安価なフェノール樹脂を含む適当な組成を持つ固形物を用いることにより、重金属とりわけカドミウムを土壌中および溶液中から効率的にかつ簡便に除去する重金属用吸着剤およびその製造方法並びに重金属の除去方法の提供が可能になった。
【出願人】 【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作

【識別番号】100107227
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 史朗

【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志


【公開番号】 特開2008−12447(P2008−12447A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186722(P2006−186722)