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【発明の名称】 炭化水素改質用ハニカム触媒およびその使用方法
【発明者】 【氏名】日数谷 進

【氏名】清水 岳弘

【氏名】荒木 貞夫

【要約】 【課題】装置の小型化にも適用可能な高い性能を有し、かつ、粉末触媒が有する性能を低下させることなくハニカム基材上に担持され、このために、圧力損失およびホットスポットの問題が解消された炭化水素改質用ハニカム触媒およびその使用方法を提供する。

【構成】本発明の炭化水素改質用ハニカム触媒は、Ni、MgおよびAlを含有するハイドロタルサイト型構造の化合物がコージェライトハニカム表面に担持されたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ni、MgおよびAlを含有するハイドロタルサイト型構造の化合物がコージェライトハニカム表面に担持されたことを特徴とする炭化水素改質用ハニカム触媒。
【請求項2】
炭化水素とスチームとを請求項1に記載の触媒と接触させることを特徴とする炭化水素の改質方法。
【請求項3】
炭化水素とスチームと空気または酸素とを請求項1に記載の触媒と接触させることを特徴とする炭化水素の改質方法。
【請求項4】
前記酸素は、酸素分離膜を用いて空気から分離したものである、請求項3に記載の炭化水素の改質方法。
【請求項5】
前記炭化水素が、LNG、LPGまたは都市ガスである、請求項2〜4のいずれか1つに記載の炭化水素の改質方法。
【請求項6】
前記炭化水素が、メタン発酵ガスである、請求項2〜4のいずれか1つに記載の炭化水素の改質方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素を改質して水素を製造するために使用される炭化水素改質用ハニカム触媒およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒により炭化水素を改質して水素を製造する改質反応により燃料電池用の水素を製造する方法が知られている(例えば特許文献1)。このような方法に用いられる触媒として、Niを酸化物に担持させたものが一般的であるが、この種の触媒は反応速度をあまり大きくできないため、空間速度値は通常5000h−1程度に設定されている。しかし、装置の小型化を考えると空間速度は10,000h−1超に設定される必要があり、より良好な性能を有する触媒を用いることが望まれる。
【0003】
より良好な性能を有する触媒として、Niを含有するハイドロタルサイト型構造の化合物が触媒として開発された(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、この触媒は、粒状あるいは粉状のものしか知られておらず、その形態から派生する圧力損失またはホットスポットの発生等の問題がある。
【特許文献1】特開2002−104808号公報
【特許文献2】特開2001−246257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、装置の小型化にも適用可能な高い性能を有し、かつ、粉末触媒が有する性能を低下させることなくハニカム基材上に担持され、このために、圧力損失およびホットスポットの問題が解消された炭化水素改質用ハニカム触媒およびその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の炭化水素改質用ハニカム触媒は、Ni、MgおよびAlを含有するハイドロタルサイト型構造の化合物がコージェライトハニカム表面に担持されたことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の炭化水素の改質方法は、炭化水素とスチームを本発明の触媒と接触させることを特徴とするものである。
【0008】
本発明のもう1つの炭化水素の改質方法は、炭化水素とスチームと酸素または空気を本発明の触媒と接触させることを特徴とするものである。
【0009】
前記酸素は、酸素分離膜を用いて空気から分離したものであってもよい。
【0010】
前記炭化水素は、LNG(liquified natural gas)、LPG(liquified propane gas)または都市ガスであることが好ましい。
【0011】
あるいは、前記炭化水素は、メタン発酵ガスであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の炭化水素改質用ハニカム触媒は、Ni、MgおよびAlを含有するハイドロタルサイト型構造の化合物がコージェライトハニカム表面に担持されたものであり、ハイドロタルサイト型構造の化合物を触媒活性成分としているので、高い炭化水素改質性能を有し、このような優れた触媒活性成分をコージェライトハニカム表面に担持したので、圧力損失およびホットスポットの問題が生じない。さらに、上記触媒活性成分をハニカム表面に担持させても触媒の性能は低下しない。このような効果は、コージェライト以外の材料をハニカム基材として用いた場合には得られないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
(ハニカム触媒の作製)
ハイドロタルサイト構造を有する化合物の粉末(戸田工業株式会社から購入)を、その濃度が、50〜300g/Lになるように水に加え、これに、ハニカム形状を有するコージェライト(日本ガイシ製)を漬浸し、その後、乾燥、必要に応じて焼成を行って、ハニカム触媒を製造する。
【0015】
(水素ガスの製造)
図1は、本発明に関する水素製造方法の一例を説明するフロー図である。
【0016】
原料ガスとしては、当業者に公知のあらゆる種類のものが用いられてよいが、好ましいものとしては、例えば、LNG、LPG、都市ガスが挙げられる。あるいは、メタン発酵ガスが用いられてもよい。
【0017】
原料ガスは、コンプレッサー(1)によって圧縮された後、バルブ(2)の開によって酸素ボンベ(3)から供給される酸素ガスと混合される。混合されたガスは、後述のCOシフト反応器(8)の下流に設置された第2熱交換器(9)を通過した後、これにスチームが混合される。スチームは、水タンク(4)からポンプ(5)の駆動によって供給された水が、後述のCO酸化反応器(10)の下流に設置された第3熱交換器(11)を通過することによって加熱されて、生じたものである。原料ガス、酸素ガスおよびスチームの混合ガスは、第1熱交換器(7)を通過することにより加熱された後、自己熱改質器(6)に導入される。
【0018】
自己熱改質器(6)は、本発明の炭化水素改質用ハニカム触媒を充填しており、この触媒の触媒作用により、供給された原料ガスと酸素ガスとスチームとから水素ガス、一酸化炭素、二酸化炭素を生成させる。
【0019】
本実施形態の自己熱改質器(6)は、本発明のハニカム触媒を充填しているために、目的とする水素ガス製造反応を効率的に進行させることができ、かつ、圧力損失およびホットスポットの発生も抑えることが可能である。
【0020】
自己熱改質器(6)で発生した水素ガス、一酸化炭素、二酸化炭素は、自己熱改質器(6)の下流に設置された第1熱交換器(7)にて、自己熱改質器(6)導入前の混合ガスとの熱交換により降温させられた後、CO変性反応器(8)に導入される。
【0021】
CO変性反応器(8)には、低温用銅・亜鉛系触媒等の触媒が充填されており、下記シフト反応を生じさせることにより、ガス中のCOをHおよびCOにシフトさせる。
【0022】
CO + HO → CO + H
シフト変性反応器(8)から出たガスは、第2熱交換器(9)にて、原料ガスおよび酸素ガスの混合ガスとの熱交換により降温させられる。その後、ここへバルブ(12)の開により酸素ボンベ(3)から酸素が導入され、この酸素混入ガスがCO酸化反応器(10)に導入される。
【0023】
CO酸化反応器(10)には、Ru/Al等の白金系触媒が充填されており、下記選択的CO酸化反応により、ガス中のCO濃度を低減させる。
【0024】
CO +1/2O → CO
CO酸化反応器(10)から出たガスは、第3熱交換器(11)にて、水タンク(4)から供給された水との熱交換により降温させられ、図示しない燃料電池へ供給される。
【0025】
図2は、本発明に関する水素製造方法の他の例を説明するフロー図である。この実施形態では、上記で説明した水素製造方法と概略同一の構成を有するので、同一の構成については同一の参照符号を付すこととし詳しい説明は省略する。
【0026】
本実施形態では、酸素ボンベの代わりに、酸素を供給するための構成として酸素分離膜または酸素PSAを備えたガス分離器(20)を備えている。酸素分離膜は、CaTiO系の酸素イオン透過性および電気伝導性の両方を有する混合導伝体である。
【0027】
また、図1および2に基づいて説明した上記水素製造方法では、いずれも自己熱改質器(6)に酸素を供給しているが、これは、炭化水素とスチームとから一酸化炭素と水素とを生じさせる反応が大きな吸熱反応であるために、大きな発熱反応である炭化水素と酸素とから二酸化炭素と水とを生じさせる反応と組み合わせることにより、水素生成反応の平衡を水素生成側に傾くようにしたものである。したがって、上記方法とは別に外部から別途熱を供給することができれば、酸素を供給することなく、炭化水素およびスチームのみを自己熱改質器(6)に供給するようにしてもよい。
【0028】
(実施例)
次に、本発明の炭化水素改質用ハニカム触媒およびその使用方法について実施例により具体的に説明する。
【0029】
(実施例1)
ニッケル、マグネシウムおよびアルミニウムを含有するハイドロタルサイト構造を有する化合物を触媒活性成分とし、粉状の該触媒活性成分と各種のハニカム基材を粉状にしたものを一定量ずつ混合した後、これをペレット状に成形した。各種のハニカム基材が前記触媒に与える影響を確認するため、各種の成形体および粉状の触媒活性成分を用いて、反応温度800℃、S/C=2.0、圧力0.1MPa、空間速度(SV)=50,000h−1の条件下にメタンの水蒸気改質反応を行った。図3にその結果を示す。
【0030】
図3に示す通り、コージェライトをハニカム基材として用いた場合には、ハニカム基材と混合しない、触媒活性成分のみと同等の性能が得られることが分かった。他のハニカム基材を用いた場合には、いずれも触媒活性成分のみを用いた場合よりも格段に性能が劣る結果となった。
【0031】
(実施例2)
ニッケル、マグネシウムおよびアルミニウムを含有するハイドロタルサイト構造を有する粉末状の化合物を水中に固液濃度200g/Lになるように分散させることによりスラリーとし、得られたスラリーにコージェライトハニカムを漬浸することにより、コージェライトハニカムの表面に粉末触媒を担持させ、その後、乾燥させてハニカム触媒を得た。このハニカム触媒を用いて、実施例1と同一の条件下にメタンの水蒸気改質反応を行った。
【0032】
(比較例1)
ハニカム基材としてファイバーマトリクスを用いた以外は、実施例2と同様にして、メタンの水蒸気改質反応を行った。
【0033】
実施例2および比較例1の結果を表1に示す。
【0034】
【表1】


【0035】
表1に示されるように、ハニカム基材としてコージェライトを用いた場合の方が、格段に優れた性能が得られることが分かった。
【0036】
(実施例3)
実施例2で調製したハニカム触媒を用い、反応温度700〜800℃、S/C=2.0、O/C=0.5、圧力0.1MPa、SV=50,000h−1の条件下にメタン発酵ガス(CH/CO=50/50(モル比))の改質反応を行った。得られた結果を、図4に示す。実測値と計算値とが同等であり、本実施例のハニカム触媒が優れた性能を有していることが分かった。
【0037】
実施例2および3に示されるように、本発明のハニカム触媒では、50,000h−1もの非常に高い空間速度でも炭化水素の改質を行うことができることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に関する水素製造方法の一例を説明するフロー図である。
【図2】本発明に関する水素製造方法の他の例を説明するフロー図である。
【図3】実施例1の結果を示すグラフである。
【図4】実施例3の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0039】
1 コンプレッサー
2 バルブ
3 酸素ボンベ
4 水タンク
5 ポンプ
6 自己熱改質器
7 第1熱交換器
8 COシフト反応器
9 第2熱交換器
10 CO酸化反応器
11 第3熱交換器
12 バルブ
20 ガス分離器

【出願人】 【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100083149
【弁理士】
【氏名又は名称】日比 紀彦

【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助

【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 彰

【識別番号】100069338
【弁理士】
【氏名又は名称】清末 康子


【公開番号】 特開2008−12435(P2008−12435A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186251(P2006−186251)