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【発明の名称】 光触媒材料、光触媒体、光触媒製品、照明器具及び光触媒材料の製造方法
【発明者】 【氏名】松田 良太郎

【氏名】蒲倉 貴耶

【氏名】横倉 清

【氏名】大塚 一成

【氏名】大川 秀樹

【氏名】石崎 有義

【要約】 【課題】本発明は、使用状態での結晶構造を単斜晶系にしてその構造を維持することにより、高い触媒効果を持つ可視光に応答しえる光触媒材料、これを利用した光触媒体、光触媒製品、照明器具及び光触媒材料の製造方法を提供することを課題とする。

【構成】平均粒径が0.5μm以下であり、結晶構造が単斜晶系である三酸化タングステン微粒子を主成分としたことを特徴とする光触媒材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が0.5μm以下であり、結晶構造が単斜晶系である三酸化タングステン微粒子を主成分としたことを特徴とする光触媒材料。
【請求項2】
請求項1記載の光触媒材料が基体表面に塗布されており、この塗布完了後に三酸化タングステン微粒子が単斜晶系の結晶構造を維持している光触媒膜が基体表面に形成されていることを特徴とする光触媒体。
【請求項3】
請求項1記載の光触媒材料が担持され、担持後の三酸化タングステン微粒子が単斜晶系の結晶構造を維持している光触媒フィルターと、この光触媒フィルターに少なくとも青色光を含む光を放射する発光ダイオードとを具備していることを特徴とする光触媒製品。
【請求項4】
光源と、この光源を内包する透光性カバー基体と、このカバー基体の外面又は内面に形成され,平均粒径が0.1μm以下で結晶構造が単斜晶系の三酸化タングステン微粒子からなる光触媒層とを具備することを特徴とする照明器具。
【請求項5】
光源と、この光源に対して光学的に対向配置された反射板基体と、この反射板基体に形成され,平均粒径が0.1μm以下で結晶構造が単斜晶系の三酸化タングステン微粒子からなる光触媒層とを具備することを特徴とする照明器具。
【請求項6】
1〜20質量%のパラタングステン酸アンモニウム水溶液を、高温雰囲気中で噴霧して粒状原料を生成する工程と、この粒状原料を700〜800℃で1〜10分間加熱処理を行なって、結晶構造が単斜晶系の三酸化タングステン光触媒微粒子を形成する工程とを具備することを特徴とする光触媒材料の製造方法。
【請求項7】
パラタングステン酸アンモニウムを水系溶媒に溶解させた後、再結晶化を行う工程と、この結晶を600℃以上、15秒以上の条件で焼成して三酸化タングステン光触媒材料を形成する工程とを具備していることを特徴とする光触媒材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光で励起可能な光触媒材料、この光触媒材料を用いた光触媒体、光触媒製品、照明器具及び光触媒材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、酸化チタンに代表される光触媒材料は防汚、消臭等の効果を得られる材料のため、種々の応用製品で広く使用されている。しかし、主な励起光が紫外線であるため、紫外線が少ない屋内用途では十分な性能が得られないという問題がある。従来、その対策として、いわゆる可視光応答型光触媒が盛んに研究開発されている。具体的には、酸化チタンに窒素をドープしたタイプや酸化チタンに白金を担持したタイプが開発されているが、励起光の波長範囲が400〜410nm以下であるため、屋内の照明光では光触媒性能が不足している。
【0003】
また、酸化チタン系以外の光触媒として、BiVOやペロブスカイト形結晶材料が研究されているが、性能,価格とも使用可能な状況になっていない。更に、その他の可視光応答型光触媒として酸化タングステンや酸化鉄が検討されている。酸化タングステンは、バンドギャップが2.5eVであり、黄色に着色していることから建材等に外光が届かない内装建材等に応用する場合に有利であるとともに、有害性が少なく比較的安価な材料である。また、酸化タングステンは工業材料として比較的入手しやすい。しかし、酸化タングステンは、大きな二次焼結粒子(1〜100μm)として市販されるため、比表面積が少なく、光触媒用途で使用する場合は活性が低い。更に、酸化タングステンは、常温で単斜晶系と三斜晶系の2つの結晶系があり、物理的衝撃で結晶が変化して光触媒活性が不安定になり、塗料化が困難である。酸化タングステンの可視光による光触媒効果は、例えば反応性スパッター法で作成した膜で認められている(特許文献1、あるいは「光触媒」,エヌ,ティー,エス社、2005年5月27日発行、P676)。
【0004】
一方、酸化タングステン粉を使用した可視光応答型光触媒が検討されてきているが、十分な効果が得られていないのが現状である。
【特許文献1】特開2001−152130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酸化タングステンは室温雰囲気では三酸化タングステン(WO)が安定であるが、この三酸化タングステンは結晶構造が複雑で変化しやすい特徴を持つ。通常、パラタングステンアンモニウムやタングステン酸から作成した三酸化タングステンは単斜晶系であるが、粉を処理する(例えば、すり鉢で擦る)際の応力によって容易に結晶構造が変化し、三斜晶系やその他の結晶構造に変化してしまう(J.Solid State Chemistry 143,24 32(1999))。光触媒の触媒効果を向上させるためには、光により励起された電子と正孔が表面に至るまで再結合せずに到達させる必要がある。従って、光触媒の結晶内には再結合センターとなる欠陥をなるべく少なくするとともに、粒子径をできるだけ小さくする必要がある。
【0006】
従来、酸化タングステン粉で十分な光触媒効果が得られなかった理由は、粉の前処理での加工時に部分的に結晶変化が発生して異なる結晶が混在し、この境界が電子と正孔の再結合を起こす欠陥になっているためと考えられる。なお、公知であるスパッター法で作成した膜では三斜晶系の酸化タングステンで触媒効果が得られるとされているが、三斜晶系の酸化タングステン粉では十分な触媒効果が得られなかった。
【0007】
本発明は、こうした問題点を解消するためになされたもので、所定の結晶構造を維持することにより、高い触媒効果を持ち可視光に応答しえる光触媒材料、これを利用した光触媒体及び光触媒製品を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、三酸化タングステン微粒子の着色が目立ちにくく、照明機能への影響が少ない光触媒効果に優れた可視光応答型の光触媒膜を備えた照明器具を提供することを目的とする。
【0009】
更に、本発明は、結晶構造が安定的であり、光触媒効果の高い三酸化タングステン光触媒材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の光触媒粉体は、平均粒径が0.5μm以下であり、結晶構造が単斜晶系である三酸化タングステン微粒子を主成分としたことを特徴とする。ここで、三酸化タングステンの平均粒径の好ましい範囲は0.01〜0.1μm、最適には0.02〜0.05μmである。本発明者が三酸化タングステンの光触媒活性について種々検討を重ねたところ、従来効果が高いと考えられていた三斜晶系の結晶構造を有するよりも単斜晶系の結晶構造を有する特定粒径の三酸化タングステンの方が可視光反応性に優れており、光触媒活性が高いことがわかった。平均粒径は粒径が小さいほど比表面積が大きくなり、電子と正孔とが再結合する割合も低下しやすいので、光触媒活性を向上するのに都合がよいが、安定的に造粒することが可能な平均粒径の下限は0.01μmである。「単斜晶系である三酸化タングステン微粒子を主成分とした」のは、単斜晶系に三斜晶系が混在していてもよいことを意味している。特に、三酸化タングステン微粒子中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上が単斜晶系の結晶構造であると、光触媒効果は十分に得られる。また、三酸化タングステンの化学式はWOである。しかし、微粒子の結晶構造を分析した結果、WOxの酸素の価数xが2.8や2.9の値を示すものであっても、単斜晶系の結晶構造を有していれば、本発明の「三酸化タングステン」の定義に含まれる。
【0011】
請求項2記載の光触媒体は、請求項1記載の光触媒材料が基体表面に塗布されており、この塗布完了後に三酸化タングステン微粒子が単斜晶系の結晶構造を維持している光触媒膜が基体表面に形成されていることを特徴とする。
請求項3記載の光触媒製品は、請求項1記載の光触媒材料が担持され、担持後の三酸化タングステン微粒子が単斜晶系の結晶構造を維持している光触媒フィルターと、この光触媒フィルターに少なくとも青色光を含む光を放射する発光ダイオードとを具備していることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の照明器具は、光源と、この光源を内包する透光性カバー基体と、このカバー基体の外面又は内面に形成され,平均粒径が0.1μm以下で結晶構造が単斜晶系の三酸化タングステン微粒子からなる光触媒層とを具備することを特徴とする。この照明器具において、光触媒層は酸化タングステン微粒子を主成分とし、アクリル変性シリコン、シリコーン系樹脂、SiO、ZrO、Alなどの可視光、紫外光透過率の高いバインダー成分を、酸化タングステン微粒子に対し5〜50質量%、好ましくは10〜20質量%添加して光触媒を得ることができる。このようなバインダー成分が添加された光触媒材料によれば、室温で光触媒層を塗布により形成することができる。従って、高温加熱処理等の特別な施設を配置する必要がない。一方、三酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.1μmを超えると、微粒子が黄色に着色しているように見えるので、照明器具に形成された光触媒層又は放射光が変色しているように見えてしまう。このため、三酸化タングステン微粒子の平均粒径は0.1μm以下とするのが好ましい。なお、この照明器具において、光触媒層は三酸化タングステン微粒子単独で使用してもよい。
【0013】
請求項5記載の照明器具は、光源と、この光源に対して光学的に対向配置された反射板基体と、この反射板基体に形成され,平均粒径が0.1μm以下で結晶構造が単斜晶系の三酸化タングステン微粒子からなる光触媒層とを具備することを特徴とする。この照明器具において、光触媒層は三酸化タングステン微粒子を主成分とするが、この他に酸化チタンもしくは窒素置換型酸化チタンもしくは白金担持型酸化チタン微粒子が所定量混合されていてもよい。そして、アクリル変性シリコン、シリコーン系樹脂、SiO、ZrO、Alなどの可視光、紫外光透過率の高いバインダー成分を、三酸化タングステン微粒子に対し5〜50質量%、好ましくは10〜20質量%添加して光触媒層を形成することができる。この光触媒層は、塗布した光触媒材料を室温〜120℃で形成することができる。
【0014】
請求項6記載の光触媒材料の製造方法は、1〜20質量%のパラタングステン酸アンモニウム水溶液を、高温雰囲気中で噴霧して粒状原料を生成する工程と、この粒状原料を700〜800℃で1〜10分間加熱処理を行なって、結晶構造が単斜晶系の三酸化タングステン光触媒微粒子を形成する工程とを具備することを特徴とする。
なお、加熱処理の温度は700〜800℃が好ましいが、粒状原料の条件次第では600℃以上でもよい。
【0015】
請求項7記載の光触媒材料の製造方法は、パラタングステン酸アンモニウムを水系溶媒に溶解させた後、再結晶化を行う工程と、この結晶を600℃以上、15秒以上の条件で焼成して三酸化タングステン光触媒材料を形成する工程とを具備していることを特徴とする。ここで、パラタングステン酸アンモニウムは、例えば予め市販品のパラタングステン酸アンモニウムを水などから再結晶させることで得られる結晶を用いることができる。焼成は大気中で行うことができる。前記焼成温度や焼成時間は最適条件が800℃、1分という結果から導いた。しかし、焼成温度の上限値は1000℃であり、焼成時間の上限値は15分である。ここで、焼成温度が1000℃を超えると、WOの一次粒子径が大きくなって、活性が少なくなるためである。また、焼成時間が15分を超えると、結晶が成長して結晶の粒径が大きくなるので、好ましくない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、三酸化タングステン微粒子結晶構造を単斜晶系に維持した状態で光触媒活性を生起させることにより、光触媒効果に優れた可視光応答型の光触媒材料を得ることができる。
請求項2の発明によれば、光触媒効果に優れた請求項1記載の可視光応答型の光触媒材料によって形成された光触媒膜を有する光触媒体を提供することができる。
請求項3の発明によれば、光触媒効果に優れた請求項1記載の可視光応答型の光触媒材料を備えた光触媒製品を得ることができる。
【0017】
請求項4又は5の発明によれば、平均粒径が0.1μm以下の単斜晶系の三酸化タングステン微粒子からなる光触媒層を照明器具の透光性カバーまたは反射板の基体表面に形成したので、三酸化タングステン微粒子の着色が目立ちにくく、照明機能への影響が少ない光触媒効果に優れた可視光応答型の光触媒膜を備えた照明器具を提供することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、水溶液を噴霧して発生させた微細な液状コロイドから粒状原料を生成しているので、原料が球状に近くなって、結晶成長が少なく且つ酸素欠陥の少ない三酸化タングステン結晶光触媒微粒子が得られる。
請求項7の発明によれば、再結晶化したパラタングステン酸化アンモニウムを所定の温度で所定時間焼成することによって、光触媒活性に優れた可視光応答型の三酸化タングステン材料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る蛍光ランプの構成を模式的に示す断面図であり、図1(A)は切欠断面を含む断面図、図1(B)は前記蛍光ランプの一構成である光触媒膜の模式的な断面図を示す。
図中の符番10は光触媒製品としての蛍光ランプを示し、蛍光ランプ本体20と、この蛍光ランプ本体20の表面に形成された光触媒膜30とから構成されている。前記蛍光ランプ本体20は、透光性放電容器11と、蛍光体層12と、一対の電極13,13と、図示しない放電媒体と、口金14からなる。
【0020】
前記透光性放電容器11は、細長いガラスバルブ11a及び一対のフレアステム11bによって構成されている。前記ガラスバルブ11aはソーダライムガラスからなる。前記フレアステム11bは、排気管と、フレアと、内部導入線と、外部導入線を備えている。前記排気管は、透光性放電容器11の内外を連通して、透光性放電容器11の内部を排気し、かつ、放電媒体を封入するのに用いられる。そして、排気管は、放電媒体を封入した後に封止される。前記フレアは、ガラスバルブ11aの両端に封着されて透光性放電容器11を形成している。前記内部導入線は、基端がフレアステム11bの内部に気密に埋設され、かつ、外部導入線に接続している。前記外部導入線は、先端がフレアステム11bに埋設され、基端が透光性放電容器11の外部へ導出されている。
【0021】
前記蛍光体層12は、3波長発光形蛍光体からなり、透光性放電容器11の内面に形成されている。3波長発光形蛍光体は、青色発光用がBaMgAl1627:Eu、緑色発光用がLaPO:Ce,Tb、赤色発光用がY:Euである。一対の電極13,13は、透光性放電容器11の両端内部において、離間対向する一対の内部導入線の先端部間に継線されている。また、電極13は、タングステンのコイルフィラメントと、コイルフィラメントに被着された電子放射性物質からなる。
【0022】
前記放電媒体は、水銀及びアルゴンからなり、透光性放電容器11の内部に封入されている。水銀は、その適量が排気管を経由して封入される。アルゴンは、約300Pa封入されている。前記口金14は、口金本体14aと一対の口金ピン14b,14bからなる。口金本体14aは、キャップ状をなしていて、透光性放電容器11の両端部に接着されている。一対の口金ピン14b,14bは、口金本体14aに互いに絶縁関係に支持されているとともに、それぞれ外部導入線に接続している。
【0023】
前記光触媒膜30は、三酸化タングステン微粒子(平均粒径:0.1μm)を主成分とした光触媒塗料からなる膜であり、その膜厚は約0.5〜3μmである。前記三酸化タングステン微粒子は、塗装完了後でも単斜晶系の結晶構造を維持している。前記光触媒膜30は、光触媒微粒子21とアルミナ微粒子、シリカ微粒子またはジルコニア微粒子等の紫外線または可視光の透過特性のよいバインダー22とから形成されている。前記光触媒微粒子21は、三酸化タングステン微粒子21aと、この三酸化タングステン微粒子21aの表面に添着された炭酸カルシウム微粒子21bから構成されている。なお、バインダー22は、三酸化タングステン微粒子21aに対して10〜50質量%の範囲で添加される。また、バインダー22にアクリル変性シリコンやシリコーン系樹脂を用いると、20〜200℃で硬化する光触媒膜にすることができる。また、炭酸カルシウム微粒子21bはNOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)を吸着する物質として機能するものであり、NOxやSOxによる三酸化タングステン微粒子21aの劣化抑制が必要なければ、炭酸カルシウム微粒子21bの添着は必須ではない。
【0024】
図2は本発明に係る脱臭ユニットの構成を模式的に示す説明図であり、図1(A)は前記脱臭ユニットの概略的な斜視図、図1(B)は図1(A)の概略的な側面図を示す。なお、図1(B)では、便宜上、三酸化タングステン微粒子を図示していない。
図中の符番41は光触媒製品としての脱臭ユニットを示し、上下の平坦なメッシュ状の第1・第2のフィルター42a,42bとこれらのフィルター42a,42b間に配置された断面波板状の第3のフィルター43とを備えている。前記各フィルター42a,42b,43には、本発明による三酸化タングステン微粒子(平均粒径:0.1μm)44が担持されている。前記第2のフィルター42bの下側には、複数のGaN青色発光ダイオード45が配置されている。なお、このダイオード45の代わりに青色光で励起される蛍光体を使用した白色発光ダイオードを配置してもよい。こうした構成の脱臭ユニットにおいて、空気が第1・第2のフィルター42a,42間の第3のフィルター43を例えば左側から右側へ通過する際、空気が各フィルターに担持された三酸化微粒子に触れることにより脱臭が行われる。
【0025】
本発明において、三酸化タングステン(WO)微粒子の平均粒径は0.5μm以下であり、好ましくは0.1μm以下とする。ここで、平均粒径が0.5μmを超えると、微粒子の表面で反応が起こる確率が減少し、十分な触媒効果が得られない。また、前記三酸化タングステンの結晶構造は単斜晶系であるが、これは例えばすり鉢で擦っただけで三斜晶系に変りやすいので、単斜晶系を維持することが重要である。図3は、図2の脱臭ユニットで使用した青色発光ダイオード45の分光スペクトルを示す。図3より、青色発光ダイオード45の放射光が約470nm近傍で比エネルギーがピークを持つことが分かる。
【0026】
図4は、三酸化タングステン(WO)の三斜晶系と単斜晶系のX線回折パターンを示すグラフである。X線回折パターンの測定は、X線としてCuKα線(λ=0.15418nm)を用いて入射X線に対して試料をθ回転させると同時に、比例計数管からなる検出部を2θ回転させるゴニオメーターによって回折角度(2θ)毎のX線強度(CPS)を測定した。なお、図4中、上側が三斜晶系WO、下側が単斜晶系WOの場合を示す。
【0027】
図4から明らかなように、三斜晶系及び単斜晶系の三酸化タングステンの夫々の回折パターンを比較すると、大部分が類似しているが、回折角度2θが30〜35°の範囲でパターンが大きく異なっていることが確認できる。特に、2θ=34.155°に単斜晶系特有の高いピーク、三斜晶系特有の小さい複数のピークがあり、その差が明らかである。また、単斜晶系の三酸化タングステンの場合には、2θが30〜35°の範囲でピークが2箇所であるのに対し、三斜晶系の三酸化タングステンの場合には、同範囲でピークが3箇所以上であることが確認できる。さらに、2θが30〜35°の範囲のピーク値に対する2θが30〜35°の範囲に現れるピーク値の比率については、三斜晶系の三酸化タングステンの場合には50〜60%と低いのに対し、単斜晶系の三酸化タングステンの場合には70〜95%であり、ピーク値の差が小さかった。
【0028】
図5は、三酸化タングステンの結晶構造が異なる場合のアセトアルデヒドガス分解効果を比較した特性図である。図5中、曲線aは本発明の単斜晶系WO微粒子(図4のグラフの下側)、曲線bは比較例である三斜晶系WO微粒子(図4のグラフの上側)、曲線cは光触媒を用いることなく光も照射しない場合を示す。図6は、図5の特性図を得るために用いた測定装置の概略図を示す。図中の符番1はデシケーターを示し、この中に光触媒入りシャーレ2が収納されている。このシャーレ2の下部のデシケーター1内にはファン3が配置されている。デシケーター1の上部、側部には、配管4を介してマルチガスモニター5が接続されている。また、デシケーター1の斜め上部には、光触媒に光を照射する青色LED光源6が取り付けられている。
【0029】
なお、上記測定装置の仕様は次の通りである。
・測定BOX容量:3000cc
・使用光源 :青色LED
・測定器 :マルチガスモニター
・導入ガス :アセトアルデヒド10ppm相当
・青色LED :0.88mW/cm(UV−42)
0.001mW/cm(UV−35)
・三酸化タングステン微粒子粉末量:0.1g
図5より、曲線bよりも曲線aの方がガス分解効果が高く、本発明による単斜晶系WO微粒子の方が可視光を照射したときの光触媒効果が大きいことが明らかである。
【0030】
本発明の光触媒塗料としては、前記三酸化タングステン微粒子を使用し、塗装完了後に三酸化タングステン微粒子が単斜晶系の結晶構造を維持した構成のものが挙げられる。光触媒塗料は、光触媒のVOC除去を含め優れた機能をもつので、例えば空気清浄機に使用される脱臭フィルタに使用するのに適している。
本発明の光触媒体としては、前記光触媒塗料を基体表面に塗布して光触媒膜が形成された構成のものが挙げられる。ここで、光触媒体としては、例えば蛍光ランプ等の管球製品、窓ガラス,鏡,タイル等の建材、衛生用品、空調機器や脱臭器のフィルター部品、光学機器等が挙げられるが、適用可能な用途、カテゴリーはこれらに限られるものではない。
【0031】
本発明の光触媒製品としては、前記光触媒塗料と、GaN青色発光ダイオードまたは青色光で励起される蛍光体を使用した白色発光ダイオードを組み合せた構成のもの、あるいは、前記光触媒フィルターと、GaN青色発光ダイオードまたは青色光で励起される蛍光体を使用した白色発光ダイオードを組み合せた構成のものが挙げられる。ここで、光触媒製品とは、具体的には例えば蛍光ランプや照明器具や脱臭ユニットを示す。
【0032】
本発明において、光触媒微粒子は、例えば図7に示す製造装置を用いて製造される。なお、この製造装置は、スプレードライヤー本体Aと、気体液体混合部Bと、加圧空気導入部Cと、溶液導入部Dと、粒体回収部Eとから構成されている。図中の符番51は、上部に分配器52を備えた乾燥チャンバーを示す。ここで、分配器52は、乾燥チャンバー51を200℃に加熱するためのエアー導入口の働きをする。乾燥チャンバー51には、噴霧ノズル53、及び電磁弁54を介装した配管55aが分配器52を貫通するように配置されている。前記配管55aは、水溶液を加圧し、霧化させるだけのエアー導入口の働きをする。前記乾燥チャンバー51の上部には、配管55bにより給気されるようになっている。前記配管55bは、水溶液とエアーを加熱するための熱風給気口の働きをする。前記配管55aは、途中でニードル弁56を介装した配管55cに分岐されている。
【0033】
前記配管55cは、噴霧ノズル53の上部と連結されている。噴霧ノズル53の上部には、試料57をポンプ58により噴霧ノズル53内に供給するチューブ59が接続されている。噴霧ノズル53内に供給される試料57の量は、ポンプ58により適宜調節できるようになっている。前記乾燥チャンバー51の側部には、噴霧ノズル53から霧状に噴霧された生成物を取り出すサイクロン60が連結されている。更に、サイクロン60には、光触媒微粒子を収集する生成物容器61と、排気のためのアスピレータ62が接続されている。
【0034】
前記乾燥チャンバー51の入口側、出口側には図示しない温度センサーが配置され、乾燥チャンバー51へ供給する空気の温度、サイクロン60に送られる光触媒微粒子の雰囲気温度が測定されるようになっている。また、配管55c内に供給される空気は、噴霧ノズル53の上部側でチューブ59内に供給される試料57と混合され、噴霧ノズル53の下部から霧状に噴出される。
【0035】
こうした構成の製造装置を用いて光触媒微粒子を製造する場合は、次のように行う。まず、1〜20重量%のパラタングステン酸アンモニウム水溶液(試料)を、加圧空気とともに噴霧ノズル53内に送り、例えば200℃熱風雰囲気中で噴霧ノズル53の先端からスプレーして粒径1〜10μmに噴霧させ、粒状原料を生成する。この際、配管55aから噴霧ノズル53の先端付近に加圧空気を送り、噴霧ノズル53から噴霧される粒状原料に酸素を供給する。次に、乾燥チャンバー51内で700〜800℃で1〜10分間加熱処理を行ない、三酸化タングステン微粒子を主成分とし、該微粒子の平均粒径が0.1μmで、結晶構造が単斜晶系の光触媒微粒子を形成する。つづいて、アスピレータ62で乾燥チャンバー51内の排気を行いながら、乾燥チャンバー51内の光触媒微粒子をサイクロン60より生成物容器61内に収集する。
【0036】
次に、本発明の具体的な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る光触媒粉体は、次のようにして作成した。
まず、パラタングステンアンモニウム塩(APT)をビーズミルや遊星ミル等で粉砕し、遠心分離により分級した。次に、この微粒子を大気中で400〜600℃で熱処理することにより、平均粒径0.01〜0.5μmで、結晶構造が単斜晶系の結晶構造を持つ三酸化タングステン微粒子からなる光触媒粉体が精製できる。本実施形態では、大気中で約500℃で熱処理することにより、平均粒径約0.1μmの単斜晶系の三酸化タングステン微粒子を得ることができた。この工程における粒度分布データは図8、図9に示すとおりである。ここで、図8は分散後の粒度分布(粒子径と頻度、通過分積算との関係)を示す図、図9はWO分散塗料の粒度分布(粒子径と頻度、通過分積算との関係)を示す図である。図8及び図9より、熱処理によって若干結晶成長して粒度が大きくなることが判明した。
【0037】
第1の実施形態に係る光触媒粉体によれば、平均粒径が0.1μmの三酸化タングステン微粒子を主成分とし、結晶構造が単斜晶系であるので、光触媒性能を大幅に向上しえる可視光応答形の光触媒粉体が得られる。
【0038】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る屋内用光触媒塗料は、次のようにして作成した。
まず、三酸化タングステン微粒子と微量の表面処理剤を有機溶剤(エチルアルコール)に混合し、ビーズミルで数時間分散処理した。つづいて、無機質バインダー(ポリシロキサン)を三酸化タングステン微粒子に対して30質量%と有機溶剤(アルコール)と数%の純水を加えて再度分散処理を行い、光触媒塗料を作成した。この後、得られた光触媒塗料に炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムを三酸化タングステンに対してモル%で0.1〜10%の範囲で数種類の量を加えた後、攪拌してサンプルを作成した。次に、このサンプル塗料をガラス板、アクリル板、蛍光ランプガラス管に塗布した後、120〜180℃で乾燥して、塗膜試料を作成した。
【0039】
これらを初期状態として1mのステンレス製BOX内に入れ、ガラス板、アクリル板はBLBランプで1mW/cmの紫外線を照射し、蛍光ランプはそのままBOX内で点灯し、ホルムアルデヒドの分解効果を測定した。測定後の試料をガラス板、アクリル板は室内に放置し、蛍光ランプは通常の事務所で点灯試験を行い、一週間毎にガス分解性能を測定した。
【0040】
第2の実施形態によれば、酸化タングステン微粒子を含む塗料に三酸化タングステンと比べSOxやNOxを吸着しやすい酸化マグネシウムを適宜添加し、得られた屋内用光触媒塗料からなる光触媒膜を蛍光ランプ本体に形成した構成にすることにより、消毒、防汚等の光触媒特有の効果が得られる他、使用中における光触媒膜の劣化を抑制でき、高寿命の蛍光ランプが得られる。
【0041】
(第3の実施形態)
まず、例えば4質量%のパラタングステン酸アンモニウム水溶液(試料)を、加圧空気とともに図7の噴霧ノズル53内に送り、200℃熱風雰囲気中で噴霧ノズル53の先端からスプレーして粒径1〜10μmに噴霧させ、粒状原料を生成する。この際、配管55aから噴霧ノズル53の先端付近に加圧空気を送り、噴霧ノズル53から噴霧される光触媒微粒子に酸素を供給する。水溶液の濃度が4質量%であれば、40〜400nmのパラタングステン酸アンモニウムの粒状原料が得られる。次に、乾燥チャンバー51内で800℃、1〜10分間の条件で急加熱短時間の熱処理を行なって、前記原料を強制的に乾燥して再結晶化させる。これにより三酸化タングステン微粒子を主成分とし、該微粒子の平均粒径が0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下であり、結晶構造が単斜晶系の三酸化タングステン光触媒微粒子を形成する。つづいて、アスピレータ62で乾燥チャンバー51内の排気を行いながら、乾燥チャンバー51内の光触媒微粒子をサイクロン60より生成物容器61内に収集する。
【0042】
第3の実施形態によれば、配管55aから噴霧ノズル53の先端付近に加圧空気を送って、光触媒微粒子に酸素を供給することにより、酸素欠陥の少ないWO結晶光触媒微粒子を得ることができる。また、乾燥チャンバー51内で800℃、1〜10分間の条件で急加熱短時間の熱処理を行なうことにより、結晶成長の少ないWO結晶光触媒微粒子を得ることができる。
【0043】
図10は、第3の実施形態により得られた粒状原料としてのメタタングステン酸アンモニウムの顕微鏡写真を示す。図11は、第3の実施形態により得られた粒状原料を800℃、1〜10分の急加熱短時間の熱処理によって得られた単斜晶系型WO結晶光触媒微粒子の顕微鏡写真を示す。図10より、若干の差は見られるが、粒径の揃ったメタタングステン酸アンモニウムの粒状原料が得られることが分かる。
【0044】
(第4の実施形態)
本実施形態の微粒子は、市販のパラタングステン酸アンモニウムを水系溶媒に溶解させた後、再結晶化して得られた原料を大気中高温で1分加熱焼成することにより製造された三酸化タングステン微粒子である。
【0045】
図12は、第4の実施形態における焼成温度を600℃、700℃、800℃、900℃と変化させた場合の各三酸化タングステン光触媒微粒子の、アセトアルデヒドガス分解性能を示す特性図である。図13は、焼成温度を800℃、900℃、1000℃と変化させた場合の、同特性図である。
【0046】
図12,図13に示す分解性能評価は以下のような条件で行った。まず、容量200ccの密閉容器に0.1gの三酸化タングステン微粒子をシャーレに入れて容器内に設置し、この光触媒微粒子に図3に示す発光スペクトルを有する光が照射可能なように青色LEDを容器内に配設した。そして、容器内が10ppmの濃度になるようにアセトアルデヒドガスを導入すると同時に青色LEDを点灯させ、経過時間毎のガス濃度の変化を測定した。濃度の測定は、容器内に設置したガスセンサーの出力で行い、この出力値の相対比較で評価した。
【0047】
図12,図13のグラフは、縦軸はアセトアルデヒドガスの濃度に対応するセンサーの出力を示す相対値(%)である。ガスは容器内に導入後、20〜30秒かけて充満し、その後光触媒の分解効果によって徐々に濃度が低下していく様子がわかる。なお、図12,図13では、便宜上センサー出力の最大値を100%として表わしている。
【0048】
図12,図13の結果によれば、原料である市販品のパラタングステン酸アンモニウムを水に溶解させ、再結晶にて細粒子化した結晶を800℃で焼成したときの分解効果が最も高く、好ましい焼成温度は700〜900℃であることが分かる。このように本実施形態の光触媒材料は、単に市販品を焼成して得られた酸化タングステンよりも可視光応答性に優れており、かつ光触媒活性を高めることができる。
【0049】
(第5の実施形態)
本実施形態の微粒子は、まず、市販のパラタングステン酸アンモニウムを水系溶媒に溶解させた後、再結晶にて得られた粒子を大気中800℃で所定時間加熱焼成することにより製造された三酸化タングステン微粒子である。
図14は、焼成時間を30秒(曲線(イ))、1分(曲線(ロ))、5分(曲線(ハ))、10分(曲線(ニ))、15分(曲線(ホ))と変化させた場合の、アセトアルデヒドガス分解性能を示す特性図である。なお、図14の分解性能評価条件およびグラフの表記内容は図12と同じである。
図14の結果によれば、焼成時間を1〜5分とすれば、高いガス分解性能が得られることがわかる。
【0050】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る照明器具は、図16及び図17に示すような構成になっている。ここで、図16は前記照明器具の分解状態の斜視図、図17は図16の要部の拡大断面図である。本実施形態は、内面に紫外線遮断材料を主体とする紫外線カット層が形成された透過性セード(カバー)を使用した照明器具に関する。
【0051】
照明器具71は、天井に備えられた引掛シーリング及びこの引掛シーリングに取り付けられるアダプタを用いて天井部に直付け設置される器具本体72を備えている。この器具本体72は円盤状をなし、その中央部には厚さ寸法の大きい段部73が設けられ、更にこの段部73の中央部にはアダプタが挿入され機械的に接続される円形の開口部74が設けられている。
【0052】
また、器具本体72の周辺部には、2個のランプソケット75及び2個のランプホルダ76が設けられている。そして、ランプソケット75に電気的及び機械的に接続されるとともに、ランプホルダ76に機械的に支持されて、段部73を囲むようにして光源となる円環状の蛍光ランプの発光管77が2本、例えば32Wと40Wとの互いに外径の異なる蛍光ランプの発光管77が同心状に配置されている。また、開口部74の部分には、ソケット78が設けられ、このソケット78にベビー球などのランプ79が取り付けられる。
【0053】
器具本体72及び該器具本体72に取り付けられた部材の下方及び側方を覆うようにして、照明用光学部品としてのセード80が器具本体72に着脱可能に取り付けられる。セード80は、ガラスまたは樹脂など透光性を有し下方に滑らかに膨出する曲面状などに形成された照明用のアクリル製カバー基体81を備えている。この基体81の外面には、平均粒径が0.1μmで結晶構造が単斜晶系の三酸化タングステン微粒子からなる光触媒層82が形成されている。ここで、光触媒層82は次のように形成する。即ち、まず原料である市販品の100μm程度のパラタングステン酸アンモニウム(APT)をビーズミルや遊星ミル等で平均粒子径0.05〜0.1μmに粉砕し、この微粒子を大気中で500℃、8時間加熱することにより三酸化タングステン微粒子を作成する。次に、この三酸化タングステン微粒子とバインダー成分を溶媒で分散混合処理して塗料とし、この塗料をスプレーガンにより基体81に塗布し、乾燥することにより形成する。
【0054】
第6の実施形態によれば、基体81の表面に三酸化タングステン微粒子とバインダー成分とその分散した塗料によって光触媒層82を形成したため、成膜後に高温で加熱処理を行う必要がない。従って、コーティング対象物が有機基材のような基材のものに光触媒機能を付与することができ、アクリルカバー外面に施工した場合でも十分な活性を得ることができる。
【0055】
なお、第6の実施形態では、光触媒層82は、基体81の外面に設けたが、この構成に限らず、例えば基体81を構成する樹脂に光触媒材料を混合して一体的に形成することもできる。
【0056】
図15は、第6の実施形態によるWO光触媒(曲線(イ))を用いた場合、TiO光触媒(曲線(ロ))を用いた場合の波長と反射率との関係を示す図である。なお、図15中の曲線(ハ)はアクリルカバー透過率を示し、曲線(二)は3波長型蛍光ランプから放射される光の分光分布を示す。図15のグラフから明らかのように、本実施形態の三酸化タングステンは、光触媒活性のエネルギーとしてアクリルカバーが透過した400〜500nmの青ないし青緑色の可視光を効果的に吸収していることが分かる。
【0057】
(第7の実施形態)
本実施形態は、照明用のカラー鋼製板反射板基体にWO光触媒層を形成した態様である。光触媒層は次のようにして形成した。即ち、原料である市販品の100μm程度のパラタングステン酸アンモニウム(APT)をビーズミルや遊星ミル等で平均粒子径0.05〜0.1μmに粉砕し、この微粒子を大気中で500℃、8時間加熱することにより三酸化タングステン微粒子を作成する。次に、この三酸化タングステンとバインダー成分を溶媒で分散混合処理して塗料とし、この塗料をスプレーガンによりカラー鋼板反射板基体に塗布し、乾燥することにより形成する。
【0058】
第7の実施形態によれば、第6の実施形態と同様な効果を有する。
図18は、第7の実施形態による照明器具とTiO光触媒付蛍光ランプ(曲線(イ))、TiO光触媒付蛍光ランプ(曲線(ロ))、及びTiO光触媒付照明器具とTiO光触媒付蛍光ランプ(曲線(ハ))による時間とアセトアルデヒド残存率との関係を示す特性図を示す。図18のグラフから明らかのように、照明器具の反射板基体表面に形成された光触媒層が従来のようにTiO微粒子からなるものよりも、単斜晶系三酸化タングステン微粒子を用いた方が光触媒効果の点で優れていることがわかる。
【0059】
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態に係る酸化タングステン光触媒合成装置は、図19に示すような構成になっている。図中の符番83は、金属タングステンワイヤー(以下、ワイヤーと呼ぶ)84を送り出す金属タングステンワイヤーリール(以下、ワイヤーリールと呼ぶ)を示す。ワイヤー83は、ガスバーナー85により加熱、燃焼されて酸化タングステン微粒子のヒューム86となる。このヒューム86は、電気集塵微粒子回収装置(以下、回収装置と呼ぶ)87に設けられたヒューム吸引管88により回収される。ヒューム吸引管88の一部は、電気炉89内に配置されている。前記回収装置87は、図20に示すように、電気集塵法により板状集電電極90a,90b間に線状放電電極91を配置して高電圧を掛け、三酸化タングステン微粒子92のヒューム86を帯電吸着させるものである。
【0060】
まず、線径0.1〜1.0mmのワイヤー84を、ガスバーナー85により酸素雰囲気で600〜1000℃程度に加熱する。これにより、金属タングステンが燃焼することで昇華し、急激に酸化されることによって、三酸化タングステン(WO)微粒子(粒径:0.02〜0.05μm)のヒューム86として大気に放出される。次に、このヒューム86を回収装置87により採取し、三酸化タングステン微粒子を得る。
【0061】
ところで、発生したヒューム86には三斜晶系と単斜晶系の2種類が混在し、三斜晶系リッチの0.03〜0.1μmの超微粒子が含まれている。そこで、WO微粒子の結晶粒子成長を押さえ結晶構造を三斜晶系から単斜晶系へ転移させる600〜1000℃の酸化雰囲気の電気炉89内にヒューム86を導入する。これにより、ヒューム86は加熱され、短時間で熱処理がされて高活性の三酸化タングステン微粒子が合成される。
【0062】
第8の実施形態によれば、電気集塵法を用いた回収装置87により板状電極90a,90b間に高電圧を掛け、三酸化タングステン微粒子92のヒューム86を帯電吸着させるため、目詰まり、不純物混合が防止できる。また、電気集塵法は電極部分を洗浄すれば再利用可能になるので、製造コストを抑えることができる。更に、ヒュームの回収能力を向上させたい場合、電極部分を増設することにより容易に回収能力を向上させることができる。なお、本実施形態の場合、回収装置87の吸引条件、速度、量の調節が容易になり、安定した活性を持つ酸化タングステン光触媒超微粒子を得ることができる。
【0063】
一方、ヘパフィルター等の物理的フィルターを用いた捕集法では、目詰まりを起こして吸引能力の低下を引き起こし、安定した補修ができなくなる。また、微粒子回収時にフィルター成分が混じることで不純物が混じる問題もある。更には、フィルターを使い捨てするため、再利用が困難である。
【0064】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。更に、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更には、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は本発明に係る蛍光ランプの模式的な説明図を示す。
【図2】図2は本発明に係る脱臭ユニットの概略説明図を示す。
【図3】図3は本発明の光触媒粉体の主成分である単斜晶系WOのX線回折データを示す。
【図4】図4は三酸化タングステン(WO)の三斜晶系と単斜晶系のX線回折パターンを示す。
【図5】図5は三酸化タングステンの結晶構造が異なる場合のアセトアルデヒドガス分解効果を比較した特性図を示す。
【図6】図6は図5の特性図を得るために用いた測定装置の概略図を示す。
【図7】図7は本発明に係る光触媒材料を形成するための製造装置の概略図を示す。
【図8】図8は分散後の粒度分布(粒子径と頻度、通過分積算との関係)を示すグラフである。
【図9】図9はWO分散塗料の粒度分布(粒子径と頻度、通過分積算との関係)を示すグラフである。
【図10】図10は、第3の実施形態により得られた粒状原料としてのメタタングステン酸アンモニウムの顕微鏡写真を示す。
【図11】図11は第3の実施形態により得られた粒状原料を800℃、1〜10分の急加熱短時間の熱処理によって得られた単斜晶系型WO結晶光触媒微粒子の顕微鏡写真を示す。
【図12】図12は第4の実施形態における焼成温度を600℃、700℃、800℃、900℃と変化させた場合の各三酸化タングステン光触媒微粒子の、アセトアルデヒドガス分解性能を示す特性図である。
【図13】図13は第4の実施形態における焼成温度を600℃、700℃、800℃、900℃と変化させた場合の各三酸化タングステン光触媒微粒子の、アセトアルデヒドガス分解性能を示す特性図を示す。
【図14】図14は焼成時間を30秒、1分、5分、10分、15分と変化させた場合の、アセトアルデヒドガス分解性能を示す特性図を示す。
【図15】図15は第6の実施形態によるWO光触媒を用いた場合、TiO光触媒を用いた場合の波長と反射率との関係を示す図。
【図16】図16は第6の実施形態に係る照明器具の分解状態の斜視図を示す。
【図17】図17は図16の要部の拡大断面図を示す。
【図18】図18は第7の実施形態による照明器具とTiO光触媒付蛍光ランプ、TiO光触媒付蛍光ランプ、及びTiO光触媒付照明器具とTiO光触媒付蛍光ランプによる時間とアセトアルデヒド残存率との関係を示す。
【図19】図19は第8の実施形態に係る酸化タングステン光触媒合成装置の概略図を示す。
【図20】図20は図19の光触媒合成装置の一構成である電気集塵微粒子回収装置の概略図を示す。
【符号の説明】
【0066】
10…蛍光ランプ、11…透光性放電容器、12…蛍光体層、13…電極、14…口金、20…蛍光ランプ本体、21…光触媒微粒子、21a…三酸化タングステン、21b…炭酸カルシウム微粒子、22…バインダー、30…光触媒膜、41…脱臭ユニット、42a,42b,43…フィルター、44…三酸化タングステン微粒子、45…GaN青色発光ダイオード、82…光触媒層、86…ヒューム、87…電気集塵微粒子回収装置、88…ヒューム回収管、89…電気炉、90a,90b…板状集電電極、92…三酸化タングステン微粒子。
【出願人】 【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
【出願日】 平成19年1月19日(2007.1.19)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−6429(P2008−6429A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2007−10610(P2007−10610)