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二酸化炭素地中貯留の処理方法及びその処理システム - 特開2008−6367 | j-tokkyo
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【発明の名称】 二酸化炭素地中貯留の処理方法及びその処理システム
【発明者】 【氏名】小 出 仁

【氏名】篠 田 淳 二

【要約】 【課題】低コストで効率のよい二酸化炭素の地中貯留を可能とする処理方法及びその処理システムを提供する。

【構成】本発明による二酸化炭素地中貯留の処理方法は、深部帯水層の地下水を揚水井から地上に汲み上げて注入水を作る段階と、プラント施設の排気ガスから分離回収された二酸化炭素を微細気泡化して注入水に混合して気液混合流体を作る段階と、気液混合流体を注入井から深部帯水層に注入する段階とを有する。好ましくは、注入水に陽イオン形成材を溶解する段階と、陽イオン形成材が溶解された注入水を前記深部帯水層の上部でそれまでの注入位置より上方に注入する段階が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深部帯水層の地下水を揚水井から地上に汲み上げて注入水を作る段階と、
プラント施設の排気ガスから分離回収された二酸化炭素を微細気泡化して前記注入水に混合して気液混合流体を作る段階と、
前記気液混合流体を注入井から前記深部帯水層に注入する段階とを含むことを特徴とする二酸化炭素地中貯留の処理方法。
【請求項2】
前記注入水に陽イオン形成材を溶解する段階と、前記陽イオン形成材が溶解された前記注入水を前記深部帯水層の上部でそれまでの注入位置より上方に注入する段階とがさらに設けられることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素地中貯留の処理方法。
【請求項3】
深部帯水層に達する揚水井と、
前記揚水井から地下水を汲み上げる汲上装置と、
前記深部帯水層に達する注入井と、
前記汲み上げた地下水を注入水として前記注入井に送り込む液体注入装置と、
プラント施設の排気ガスから分離回収された二酸化炭素を前記注入井に送り込む気体注入装置と、
前記注入井の内部に前記二酸化炭素を微細気泡化するノズルとが備えられ、
前記二酸化炭素を前記ノズルで微細気泡化し前記注入水に溶け込ませるとともに、前記二酸化炭素の微細気泡と前記注入水との気液混合流体を前記深部帯水層に注入することを特徴とする二酸化炭素地中貯留の処理システム。
【請求項4】
前記注入井には、外管と内管からなる二重管が設けられ、前記外管と前記内管の間に前記注入水が送り込まれ、前記内管に前記二酸化炭素が送り込まれるように構成したことを特徴とする請求項3に記載の二酸化炭素地中貯留の処理システム。
【請求項5】
前記ノズルは、外径が前記外管の内径に等しく、前記内管の先端に取り付けられるとともに、その内部に一端が前記ノズル上部の前記外管と前記内管の間に開口し他端が前記ノズル下部に開口する注入水噴射管と、一端が前記ノズル上部の前記内管に開口し他端が前記注入水噴射管の中間部に連通する二酸化炭素噴射管とが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素地中貯留の処理システム。
【請求項6】
前記内管の昇降装置及び陽イオン形成材溶解装置がさらに備えられ、前記深度帯水層に達するように設置された前記内管及び前記ノズルが前記深度帯水層の上部の位置に引き上げられ、陽イオン形成材が溶解された注入水が、前記気液混合流体のそれまでに注入された位置より上方に注入されることを特徴とする請求項5に記載の二酸化炭素地中貯留の処理システム。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼炉または焼却炉等から発生する排気ガス中の二酸化炭素の地中貯留に係り、より詳しくは、二酸化炭素を超臨界流体にする設備を必要としない二酸化炭素の処理方法及びその処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策として、日本は、2008年〜12年の温室ガスの平均排出量を1990年比で、6%削減することが義務付けられている。しかし、2002年度の国内排出量は7.6%増えており、このままでは目標達成は困難な状況にある。そこで政府は、現行の温暖化対策を大幅に強化した「京都議定書目標達成計画」を決定し、エネルギーを利用することで排出されるCO2を部門別にどれくらい減らせば良いかの目標を掲げている。2010年度は90年度比で、発電所などのエネルギー転換部門は16.1%減、産業部門は8.6%減とする一方、運輸部門は15.1%増、業務・その他部門は15%増、家庭部門は6%増以下としている。しかし、日本は最も二酸化炭素(CO)削減効果の期待できる産業部門で省エネ化が進んでいるので、これ以上の二酸化炭素削減にはかなりのコスト高を伴うという問題を抱えている。
【0003】
温室効果ガスは、二酸化炭素やメタン、代替フロンなど全部で6種類あるが、日本で排出されている温室ガスは、9割以上が二酸化炭素となっている。米国、EUでは温室ガス削減の有力な手法として二酸化炭素の地中貯留に取り組んでいるが、日本では、地中貯留は地質条件、地震問題などから不適と思われている。すなわち、従来の二酸化炭素の地中貯留は、超臨界流体(高温高圧下での液体と気体の区別がつかない状態を指す)の二酸化炭素を堅固なシール層やキャップロック層の下に封じ込めることにあったが、国内では経済性があり貯留に適する場所を見出しにくい状況にある。
【0004】
特許文献1の「製鉄所設備を用いた二酸化炭素分離回収システムの運用方法」には、製鉄所の副生ガスから二酸化炭素を分離回収するシステムが示されている。製鉄所で分離回収された二酸化炭素は、パイプなどの輸送手段で固定化設備へ供給され、固定化設備から地中帯水層への注入、枯渇ガス田への注入、または海洋貯留することによって固定化することが提案されている。特許文献2の「ガス液化沈降装置」には、高圧をかけて液化した二酸化炭素と海水を交互に圧送して、深海に送り込むことが記載されている。
【特許文献1】特開2004−237167号公報
【特許文献2】特開2000−227085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、低コストで効率のよい二酸化炭素の地中貯留を可能とする処理方法及びその処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の本発明による二酸化炭素地中貯留の処理方法は、深部帯水層の地下水を揚水井から地上に汲み上げて注入水を作る段階と、プラント施設の排気ガスから分離回収された二酸化炭素を微細気泡化して前記注入水に混合して気液混合流体を作る段階と、前記気液混合流体を注入井から深部帯水層に注入する段階とを含むことを特徴とする。
【0007】
請求項2は、請求項1記載の発明であって、前記注入水に陽イオン形成材を溶解する段階と、前記陽イオン形成材が溶解された前記注入水を前記深部帯水層の上部でそれまで注入された位置より上方に注入する段階とがさらに設けられることが好ましい。
【0008】
請求項3に記載の本発明による二酸化炭素地中貯留の処理システムは、深部帯水層に達する揚水井と、前記揚水井から地下水を汲み上げる汲上装置と、前記深部帯水層に達する注入井と、前記汲み上げた地下水を注入水として前記注入井に送り込む液体注入装置と、プラント施設の排気ガスから分離回収された二酸化炭素を前記注入井に送り込む気体注入装置と、前記注入井の内部に前記二酸化炭素を微細気泡化するノズルとが備えられ、前記二酸化炭素を前記ノズルで微細気泡化し前記注入水に溶け込ませるとともに、前記二酸化炭素の微細気泡と前記注入水との気液混合流体を前記深部帯水層に注入することを特徴とする。
【0009】
請求項4は、請求項3記載の発明であって、前記注入井には、外管と内管からなる二重管が設けられ、前記外管と前記内管の間に前記注入水が送り込まれ、前記内管に前記二酸化炭素が送り込まれるように構成することが好ましい。
【0010】
請求項5は、請求項4記載の発明であって、前記ノズルは、外径が前記外管の内径に等しく、前記内管の先端に取り付けられるとともに、その内部に一端が前記ノズル上部の前記外管と前記内管の間に開口し他端が前記ノズル下部に開口する注入水噴射管と、一端が前記ノズル上部の前記内管に開口し他端が前記注入水噴射管の中間部に連通する二酸化炭素噴射管とが形成されていることが好ましい。
【0011】
請求項6は、請求項5記載の発明であって、前記内管の昇降装置及び陽イオン形成材溶解装置がさらに備えられ、前記深度帯水層に達するように設置された前記内管及び前記ノズルが前記深度帯水層の上部の位置に引き上げられ、陽イオン形成材が溶解された注入水が、前記気液混合流体のそれまでに注入された位置より上方に注入されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明による二酸化炭素地中貯留の処理方法によれば、深部帯水層から汲み上げた地下水に、二酸化炭素を微細気泡化してあるいは超臨界流体として溶け込ませる場合、深部帯水層の圧力と温度のもとでは、水1m(重さ1000kg)に対して二酸化炭素は50kg程度が溶解するが、微細気泡化された二酸化炭素は、注入後に固まり状態(プリューム)となる超臨界流体に比べて、深部帯水層に広く拡散させることができ、地下水との接触面積が格段に大きいので、二酸化炭素の溶解速度も速めることができる。溶解速度は微細気泡の方が、超臨界流体より、数100〜数1000倍も早い。このような微細気泡は、油田のようなキャップロック層(シール層または不透水層)がない地層でも、土粒子の隙間に入り込んで二酸化炭素が固定されることになる。なお、1気圧、0℃の二酸化炭素の重さは、1.98kg/mであるから、例えば、この二酸化炭素が水1mに50kg溶解することは、約25mの気体が1mの地下水で固定化できる計算になる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、注入水に陽イオン形成材、例えば、石炭灰、消石灰、高炉スラグあるいは水ガラス等を溶解し、帯水層の上部の位置であって気液混合流体を注入した位置の上方に注入するようにしたから、深部帯水層に注入した微細気泡が陽イオンと反応して炭酸塩化合物のバリアが生成され、これにより二酸化炭素の上方への拡散経路を遮断することができる。つまり、人工シール層を形成することができる。
【0014】
請求項3記載の発明による二酸化炭素地中貯留の処理システムによれば、深部帯水層から汲み上げた地下水に、二酸化炭素を微細気泡化して溶け込ませるようにしたから、より多くの二酸化炭素を注入水に溶かすことができる。また、溶けなかった二酸化炭素は注入水との気液混合流体として深部帯水層に送り込める。このような微細気泡は、土粒子の隙間に入り込み、土粒子の鉱物と反応して例えば炭酸塩鉱物に変化するから二酸化炭素が固定されることになる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、注入井に二重管を使用したので、注入水と二酸化炭素を注入井の底部に同時に送り込むことができる。これにより注入井の中で瞬時に気液混合流体を生成することにつなげる。地上に特別の混合装置は必要ない。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、注入水噴射管に二酸化炭素噴射管を連通させたノズルを使用したので、効率よく二酸化炭素の気泡を作ることができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、二重管から内管を昇降させる昇降装置及び陽イオン形成材溶解装置を備えたから、注入した気液混合流体の上方に例えば消石灰の陽イオン層を形成できる。従って、深部帯水層に注入した微細気泡が仮に上昇しても、陽イオンと反応した炭酸塩化合物のバリアが生成されているため、二酸化炭素の上方への拡散経路が遮断される。すなわち人工シール層を形成することができる。なお、外管の中間部に設けられる新しいスリットは、内管及びノズルを引き上げた後、必要とする箇所に穿孔する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明による二酸化炭素の処理方法及びその処理システムを説明する。図7は一般的な地中の層構造を示す図である。深部帯水層50は、細かい砂層などからなり水資源には向かない塩水で飽和された透水層である。ここでは地中1000m程度の深さを想定し深部とした。また、深部帯水層50の上には不透水層51がある。二酸化炭素の深部帯水層への貯留は、つぎのような反応式で表わすことができる。二酸化炭素を水に溶かすと、CO+HO=HCOとなる。これがイオン化して、HCO=H + HCOとなる。これが土粒子と反応して、例えばCaSiO + HCO=CaCO+SiO+HOとなる。CaCOは炭酸塩化合物であるから、二酸化炭素が固定化されたことを示す。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明による二酸化炭素地中貯留の処理システムを示す構成図である。二酸化炭素の処理システム100は、深部帯水層50に達する揚水井20と、揚水井20から地下水53を汲み上げる汲上装置1と、深部帯水層50に達する注入井21と、汲み上げた地下水53を注入水54として注入井21に送り込む液体注入装置2と、外部のプラント施設3の排気ガスから分離回収された二酸化炭素55を注入井21に送り込む気体注入装置4と、注入井21の内部に二酸化炭素55を微細気泡化するノズル5とが備えられる。二酸化炭素55は、ノズル5で微細気泡化し注入水54に溶け込ませるとともに、二酸化炭素55と注入水54との気液混合流体56を深部帯水層50に注入する。プラント施設3は、具体的には火力発電所、ごみ焼却施設などがあげられる。地盤表面58から例えば地下1000mの深部帯水層50に至るまでには多数の層があるが、ここでは略して1層で表示している。
【0020】
揚水井20には内管6aと外管7aからなる二重管8aを備える。汲上装置1は、揚水ポンプ9、ジェット吸引部10、貯水タンク11、送水ポンプ12及び二重管8aなどからなる。地下水53を汲み上げるため、揚水ポンプ9で加圧水57を内管6aに送り込み、ジェット吸引部10で地下水53を汲み上げて、貯水タンク11に蓄える。ジェット吸引部10は、加圧水57の流速を早めて負圧を作り出し、地下水53を吸い込むものである。揚水ポンプ9に投入する水は、貯水タンク11に蓄えられた地下水を循環して利用するようにしてもよい。貯水タンク11には、地下水53に含まれるメタンなどを回収する有用ガス抽出装置29が装備されてもよい。
【0021】
液体注入装置2は、注水タンク13、注入井21に注入水54を送るための注水ポンプ14及び地下水の不純物質を取り除くフィルタ15、陽イオン形成材溶解装置30などで構成される。揚水井20と注入井21の間の距離は、500m〜1km程度とされるので、貯水タンク11と注水タンク13とはパイプラインで結ばれる。陽イオン形成材溶解装置30は、注水タンク13に陽イオン形成材を投入する装置である。陽イオン形成材は、例えば、石炭灰、高炉スラグ、消石灰、水ガラス等が知られる。二酸化炭素は、時間をかけて陽イオン形成材と反応し、炭酸塩化合物となって固形化する。深部帯水層50の上部の不透水層が弱く補強したい場合や、観測井の結果に基づいて緊急に行なうこともできる。すなわち、長期的な二酸化炭素の深部帯水層貯留の安定化を図ることができる。
【0022】
プラント施設3は、燃焼炉または焼却炉16、この燃焼炉または焼却炉16から出た排気ガスに含まれる二酸化炭素を分離回収する装置17、二酸化炭素を冷却する装置18、除湿する装置19、コンプレッサ22a及び二酸化炭素を一時蓄える送り側二酸化炭素貯蔵タンク23などで構成される。大きな火力発電所などでは年間100万トンのCOが排出される。二酸化炭素の地中貯留はこのような大量の二酸化炭素の処理に適する。
【0023】
気体注入装置4は、送り側二酸化炭素貯蔵タンク23から送り出された二酸化炭素を蓄える受け側二酸化炭素貯蔵タンク24及びコンプレッサ22b、22cなどで構成される。
【0024】
液体注入装置2と気体注入装置4には、図1に示すように、流量調整弁25a、25b、圧力調整弁26a、26b、26c、流量計27、圧力計28a、28bが取り付けられる。プラント施設3と注入井21が近い場合は、パイプラインで送り側二酸化炭素貯蔵タンク23と受け側二酸化炭素貯蔵タンク24を結ぶことができる。遠い場合は、タンクローリで輸送してもよい。二酸化炭素を分離回収する装置17において、化学吸収法によれば、二酸化炭素の濃度を90%以上に濃縮することができる。
【0025】
注入井21は、内管6bと外管7bからなる二重管8bを備える。内管6bは、二酸化炭素55が送り込まれ、外管7bと内管6bの間に注入水54が送り込まれるから、二重管8bは液体注入装置2と気体注入装置4で兼用のものである。二重管8bを使用しない構成も可能であるが、二重管8bを使用した場合、深部帯水層50の深部で気液混合流体56を作ることができる。内管6bの先端にはノズル5が設けられ、ここから、二酸化炭素55を気泡にして注入水54に噴射し、気液混合流体56を作る。気液混合流体56は、圧力で外管7bの底部に設けられたスリットから深部帯水層50に拡散される。
【0026】
気液混合流体56は、気体を含まない液体のみの場合と比較して、浸透性を高めることができる。気体が微細気泡である場合、微細気泡は固まりにはなりにくいので、気液混合流体56は、深部帯水層50に良好に拡散できる。その過程で微細気泡は一部消滅するが、他は砂粒子の隙間に入り込んで固定される。二酸化炭素を超臨界流体として注入する場合、固まり(プリューム)が発達するが、このようなこともない。
【0027】
図2は、揚水井の二重管の断面図である。ジェット吸引部10は、内管6aからの加圧水の流速を早めるため逆漏斗型としている。逆漏斗型の内部では負圧となるので地下水53を吸い込むことができる。吸い込まれた地下水53は、内管6aと外管7aの間を上昇する。揚水ポンプ9は、揚水井20の深さが1000mなら、この高さまで揚水できる性能が必要である。
【0028】
図3は、注入井の二重管の断面図である。二重管8bの地上部には、昇降装置31が装着される。昇降装置31は、内管6bの先端に装着された吊下げ金具40、やぐら36の頂部の滑車ブロック、滑車ブロックから伸びる滑車39、地上に据え付けられたウィンチ(巻き上げ機)37、巻き上げ巻き戻しのワイヤロープ38などからなる。これにより内管6b及び内管6bの先端に取り付けられたノズル5を上昇または下降させて、気液混合流体56を注入井の底部に限らず、その上方にも注入することができる。なお、上方での注入に際しては、外管7bに注入用のスリットを新たに設ける必要があるので、内管6b及びノズル5をいったん地上に引き上げ、爆薬を使って外管7bに穿孔することができる。この位置まで、再度、内管6bとノズル5を降ろしてセットした後、注入を行なう手順になる。
【0029】
ノズル5によって注入水54の中に二酸化炭素の気泡を作るには、空気を水中に微細気泡として放出するのと同じ方法が適用できる。これには、インジェクター方式、旋回流方式、キャビテーション方式などがある。ここでは、構造が簡単なインジェクター方式を採用し、二重管に適するようにノズルを構成した。ノズル5は、外径が外管7bの内径に等しく、内管6bの先端に取り付けられる。ノズル5の内部には、一端が外管7bと内管6bの間に開口し、他端が下部に開口する傾斜した注入水噴射管32が設けられる。また、一端が上部の内管6bに開口し、他端が注入水噴射管32の中間部に連通する二酸化炭素噴射管33が設けられる。注入水噴射管32と二酸化炭素噴射管33は複数組が設けられる。ノズル5はかご41を含む。かご41は、側面に貫通孔が設けられ、底に底板が設けられる。底板は、それより下に気液混合流体56が流れないようにするもので、外管7bに新しくあけたスリット35を使用する場合に好適に機能する。
【0030】
注入水噴射管32の流路が狭いので、注入水54の流速が速く、これに連通する二酸化炭素噴射管33と連通する部分が負圧となり、二酸化炭素55が気泡34となって引き込まれる。外管7bの底部の断面積は、その上部の内管6bのある部分より大きいから、注入水54は大幅に減圧される。そのため、キャビテーションによる微細気泡の発生が促進される。ここでの微細気泡の径の大きさは数mmから0.01mm程度である。気泡の径が50μm以下のいわゆるマイクロバブルの発生装置を使用してもよい。
【0031】
注入井21の底部のスリット35までの深さをL0とする。その点での深部帯水層の抵抗圧をP0とすると、気泡がない場合の注入水54はP0+Pαとなる。Pαは最大で1.0MPa程度である。気液混合流体56の場合、気泡34による水圧減少(Pβ)があるから、その分(Pβ)は加圧する必要がある。よって、注入水54の圧力はP0+Pα+Pβとする必要がある。この圧力から注水ポンプ14の吐出圧が決められる。二酸化炭素55は加圧しなくても、ノズル5で注入水噴射管32側に引き込まれる。二酸化炭素55の混入量を増加させたい場合、若干の加圧を行なってもよい。以上のように、本システムによれば、二酸化炭素を超臨界流体にするための高温高圧設備は必要ない。
【0032】
図4は、揚水井と注入井の配置図である。二酸化炭素の注入井21の配置と数量は、貯留しようとする二酸化炭素の総量、注入速度、対象とする深度帯水層の貯留量、浸透性などによってプロジェクト毎に決められる。図4では、2期に渡って二酸化炭素の貯留を行なう場合を示す。第1期の貯留は、注入井21a、21bを使用し、これを囲むように、揚水井20a、20b、20c、20d、20e、20f、20gを使用する。第2期の貯留は地盤浸透の偏りに留意して、注入井21c、21dを使用し、これを囲むように、揚水井20b、20i、20c、20e、20h、20f、20gを使用する。揚水井は、貯留状態のモニタ井戸としても活用する。揚水井20の深部帯水層からの吸出し圧力と、注入井21の深部帯水層への注入圧力をバランスさせることが必要である。
【0033】
図5は、図4のA−A断面図である。地盤表面58の下の非貯留層59は、二酸化炭素の貯留に適さない層を示す。また、深部帯水層が複数あるような場合、まず、深い方の深部帯水層50aに二酸化炭素の貯留を行なう。その後、深部帯水層50aの上部に陽イオン形成材を注入し、その上の深部帯水層50bの二酸化炭素貯留を行ない、深部帯水層50bの上部に陽イオン形成材を注入する。なお、不透水層51aが厚く堅固であるような場合、深部帯水層50aの上部への陽イオン形成材の注入は省略してもよい。揚水井、注水井は、注入全作業が完了後、そのまま残されて、モニタリングの観測井戸として使用される。
【0034】
図6は、二酸化炭素地中貯留の処理手順をフローチャートで表現したものである。符号60〜64は各処理段階を示す。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、二酸化炭素の地中貯留に関するものであるが、他の地球温暖化ガスの地中貯留にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による二酸化炭素地中貯留の処理システムの構成図である。(実施例1)
【図2】揚水井を構成する二重管の断面図である。(実施例1)
【図3】注入井を構成する二重管の断面図である。(実施例1)
【図4】揚水井と注入井の配置図である。(実施例1)
【図5】図4のA−A断面図である。(実施例1)
【図6】本発明による二酸化炭素地中貯留の処理手順を示すフローチャートである。(実施例1)
【図7】一般的な地中の層構造を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 汲上装置
2 液体注入装置
3 プラント施設
4 気体注入装置
5 ノズル
6a、6b 内管
7a、7b 外管
8a、8b 二重管
9 揚水ポンプ
10 ジェット吸引部
11 貯水タンク
12 送水ポンプ
13 注水タンク
14 注水ポンプ
15 フィルタ
16 燃焼炉または焼却炉
17 二酸化炭素の分離回収装置
18 冷却装置
19 除湿装置
20、20a〜20i 揚水井
21、21a〜21d 注入井
22a、22b、22c コンプレッサ
23 送り側二酸化炭素貯蔵タンク
24 受け側二酸化炭素貯蔵タンク
25a、25b 流量調整弁
26a、26b、26c 圧力調整弁
27 流量計
28a、28b 圧力計
29 有用ガス抽出装置
30 陽イオン形成材溶解装置
31 昇降装置
32 注入水噴射管
33 二酸化炭素噴射管
34 気泡
35 スリット
36 やぐら
37 ウィンチ
38 ワイヤロープ
39 滑車
40 吊下げ金具
41 かご
50 深部帯水層
50a、50b 個別の深部帯水層
51 不透水層
51a、51b 個別の不透水層
53 地下水
54 注入水
55 二酸化炭素
56 気液混合流体
57 加圧水
58 地盤表面
59 非貯留層
60〜64 二酸化炭素の処理段階
100 二酸化炭素の処理システム
【出願人】 【識別番号】502152403
【氏名又は名称】小出 仁
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほ情報総研株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−6367(P2008−6367A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178345(P2006−178345)