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【発明の名称】 ジメチルエーテル製造用触媒
【発明者】 【氏名】武石 薫

【要約】 【課題】メタン副生量の少ないジメチルエーテル(DME)製造用触媒を提供する。

【構成】本発明のDME製造用触媒は、以下の金属元素(A)、銅元素およびアルミニウム酸化物を含み、金属元素(A)の含有量(CA)と銅元素の含有量(CCu)との合計が5質量%〜60質量%であり、アルミニウム酸化物の含有量が40質量%〜95質量%であり、金属元素(A)の含有量(CA)と銅元素の含有量(CCu)との質量比(CA/CCu)が1.5を超え通常は7以下であることを特徴とする。活性アルミナ、伝熱性基材などの基材上に担持されて担持触媒としても用いられる。この触媒の存在下に炭素酸化物および水素を反応させてDMEを製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素酸化物および水素を反応させてジメチルエーテルを製造するための触媒であり、以下の金属元素(A)、銅元素およびアルミニウム酸化物を含み、金属元素(A)の含有量(CA)および銅元素の含有量(CCu)の合計が5質量%〜60質量%であり、アルミニウム酸化物の含有量が40質量%〜95質量%であり、金属元素(A)の含有量(CA)と銅元素の含有量(CCu)との質量比(CA/CCu)が1.5を超えることを特徴とするジメチルエーテル製造用触媒。
金属元素(A):亜鉛、マンガンおよび鉄からなる群から選ばれる1以上の金属元素
【請求項2】
請求項1に記載の触媒が基材上に担持されてなるジメチルエーテル製造用担持触媒。
【請求項3】
基材が伝熱性基材である請求項2に記載のジメチルエーテル製造用担持触媒。
【請求項4】
基材が活性アルミナである請求項2に記載のジメチルエーテル製造用担持触媒。
【請求項5】
請求項1に記載のジメチルエーテル製造用触媒の存在下に炭素酸化物および水素を反応させることを特徴とするジメチルエーテルの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ジメチルエーテル製造用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ジメチルエーテル〔CH3−O−CH3〕(以下、DMEと称することがある。)を製造する方法として、特許文献1〔特開2003−334445号公報〕には、亜鉛元素、銅元素およびアルミニウム酸化物を含み、亜鉛元素の含有量(CZn)および銅元素の含有量(CCu)の合計が5質量%〜60質量%であり、亜鉛元素の含有量(CZn)と銅元素の含有量(CCu)との質量比(CZn/CCu)が1.5以下であるDME製造用触媒を単独で用い、その存在下に一酸化炭素〔CO〕および水素を反応させる方法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−334445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる従来の触媒では、式(1)
CO + 2H2 → CH4 + H2O ・・・(1)
で示される副反応により比較的多くのメタン〔CH4〕が副生するという問題があった。
【0005】
そこで本発明者は、メタン副生量の少ないDME製造用触媒を開発するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、炭素酸化物および水素を反応させてジメチルエーテルを製造するための触媒であり、以下の金属元素(A)、銅元素およびアルミニウム酸化物を含み、金属元素(A)の含有量(CA)および銅元素の含有量(CCu)の合計が5質量%〜60質量%であり、アルミニウム酸化物の含有量が40質量%〜95質量%であり、金属元素(A)の含有量(CA)と銅元素の含有量(CCu)との質量比(CA/CCu)が1.5を超えることを特徴とするジメチルエーテル製造用触媒を提供するものである。
【0007】
金属元素(A):亜鉛、マンガンおよび鉄からなる群から選ばれる1以上の金属元素
【発明の効果】
【0008】
本発明のDME製造用触媒によれば、炭素酸化物および水素を反応させて、少ないメタン生成量で、DMEを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のジメチルエーテル製造用触媒は、金属元素(A)、即ち亜鉛、マンガンおよび鉄からなる群から選ばれる1以上の金属元素を含む。これらの金属元素(A)は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記金属元素の組合せとしては、例えば亜鉛とマンガンとの組合せ、亜鉛と鉄との組合せが挙げられる。上記金属元素(A)として好ましくは亜鉛である。
【0010】
本発明の触媒は、金属元素(A)のほかに、銅元素およびアルミニウム酸化物を含む。
【0011】
アルミニウム酸化物としては、ルイス(Lewis)酸点を有しているものが好ましく、かかるアルミニウム酸化物としては、例えばγアルミナが挙げられる。
【0012】
金属元素(A)の含有量(CA)および銅元素の含有量(CCu)の合計は、触媒を基準として5質量%〜60質量%である。5質量%未満であったり、60質量%を超えると、DMEの収率が低くなる。
【0013】
金属元素(A)の含有量(CA)と銅元素の含有量(CCu)との質量比(CA/CCu)は1.5を超え、好ましくは1.6以上である。1.5以下ではメタンの副生量が多い。また、質量比(CA/CCu)は、DMEの生成速度の点で通常は7以下、好ましくは3以下である。
【0014】
かかる本発明のDME製造用触媒は、例えば水性媒体中にアルミニウム加水分解物が分散され、金属元素(A)の塩および銅元素の塩が溶解されたゾルをゲル化させ、得られたゲルを焼成する、いわゆるゾル−ゲル法により製造することができる。
【0015】
水性溶媒として通常は水が用いられ、エチレングリコール、プロパノール、エタノール、メタノールなどのアルコール類、ジメチルフォルムアミドなどの水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
【0016】
金属元素(A)の塩として通常は硝酸亜鉛、硝酸マンガン、硝酸鉄などの硝酸塩、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、炭酸鉄などの炭酸塩などのような無機塩、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸鉄などの酢酸塩などの有機塩、アルコキシド化合物などが用いられる。銅元素の塩として通常は硝酸銅、炭酸銅などの銅無機塩、酢酸銅などの銅有機塩などが用いられる。
【0017】
ゾルは、例えばアルミニウム化合物を含み、金属元素(A)の塩および銅元素の塩が溶解された水性媒体中で、前記アルミニウム化合物を加水分解する方法により得ることができる。
【0018】
アルミニウム化合物としては、例えばアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムブトキシドなどのアルミニウムアルコキシドなどが挙げられる。
【0019】
アルミニウム化合物を加水分解する方法としては、例えば水性媒体に酸を加えて水素イオン濃度を通常pH3以下好ましくはpH2以下、通常は精々pH0とする方法、水性媒体に塩基を加えて水素イオン濃度を通常pH9以上、高々pH14以下とする方法などが挙げられる。酸としては、通常は硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸が用いられる。アルミニウム化合物を加水分解することにより、アルミニウム加水分解物が水性溶媒中に析出したゾルを得ることができる。
【0020】
得られたゾルをゲル化させるには、通常は溶媒留去すればよい。ゲル化させることにより、アルミニウム加水分解物に上記金属元素の塩および銅元素の塩が均一に分散されたゲルを得ることができる。得られたゲルは、通常、乾燥される。
【0021】
その後、得られたゲルを焼成する。焼成することにより、アルミニウム加水分解物がアルミニウム酸化物となって本発明のDME製造用触媒を得ることができる。焼成は通常大気中で行われ、焼成温度は通常300℃〜700℃であり、焼成時間は通常3時間〜7時間である。
【0022】
かくして通常は粉末状で、本発明のDME製造用触媒を得るが、得られた触媒は、粉末状のままで用いてもよいし、顆粒状、球状、円柱状、円筒状などに成形して用いてもよい。
【0023】
本発明のDME製造用触媒は、基材上に担持して、DME製造用担持触媒として用いてもよい。
【0024】
基材としては、一酸化炭素および水素の反応により生ずる発熱を速やかに放散し得る点で、金属銅、ステンレスなどの金属材料、セラミックス材料などのような伝熱性に優れた伝熱性材料が好ましく用いられる。伝熱性基材の形状としては、例えば板状、網状、ハニカム状などが挙げられる。
【0025】
また、基材として、活性アルミナなどのような脱水触媒も好ましく用いられる。脱水触媒としては、例えば球状の活性アルミナ成形体が挙げられる。
【0026】
DME製造用担持触媒は、例えば本発明のDME製造用触媒を上記したゾル−ゲル法により製造する場合には、得られたゾル中に基材を浸漬した後、ゾルをゲル化させて、基材上にゲルを担持させ、次いで焼成する方法により製造することができる。
【0027】
本発明のDME製造用触媒は、DMEを製造するための反応の前に還元処理に付すことが好ましい。還元処理は、例えば水素ガスなどのような還元雰囲気中、250℃〜500℃で通常1時間以上好ましくは3時間以上、通常は高々24時間保持することにより行われる。
【0028】
本発明のDME製造用触媒を用いてDMEを製造するには、例えば炭素酸化物および水素を本発明のDME製造用触媒と接触させればよい。反応温度は通常150℃〜350℃であり、反応圧力は通常0.1MPa〜10MPaである。本発明のDME製造用触媒は、他の触媒と併用することなく、単独で、炭素酸化物および水素からDMEを製造することができる。
【0029】
炭素酸化物としては、一酸化炭素、二酸化炭素〔CO2〕が挙げられる。二酸化炭素は、式(2)
CO2 + H2 → CO + H2O ・・・(2)
に従って水素と反応して一酸化炭素となり、更に水素と反応してDMEに導かれる。
【0030】
原料となる炭素酸化物および水素は通常、ガス状で供給される。炭素酸化物および水素は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスで希釈されていてもよい。
【0031】
反応器としては特に限定されるものではなく、固定床反応器、流動床反応器、移動床反応器などの通常の反応器を用いることができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって限定されるものではない。
【0033】
実施例1
〔DME製造用触媒の製造〕
乳鉢で磨り潰したアルミニウムイソプロポキシド9.869gを70℃の純水100mLに加え、同温度で15分以上撹拌して、分散させたのち、204.53g/Lの硝酸銅3水和物水溶液11.0mL、70.54g/Lの硝酸亜鉛水溶液63.5mLおよびエチレングリコール6.8mLを加え、同温度で更に15分以上撹拌した。その後、希硝酸を加えて水素イオン濃度をpH1〜2として加水分解を行い、ゾルを得た。得られたゾルを、エバポレーターにより移し、油浴により80℃から150℃に徐々に昇温しながら溶媒留去してゲルを得た。得られたゲルを150℃で12時間乾燥し、大気中500℃で5時間焼成してDME製造用触媒3.9gを得た。次いで、得られた触媒を、水素雰囲気中、450℃で10時間保持して還元処理した。得られたDME製造用触媒は、触媒を基準として亜鉛元素含有量(CZn)25質量%、銅元素含有量(CCu)15質量%であった。
【0034】
〔DMEの製造1〕
内径7.5mm、長さ290mmのステンレス製反応管に上記で得た触媒0.5gを充填し、反応温度を220℃に保持しながら、大気圧下、一方端から原料ガスとして一酸化炭素を7.5mL/分、水素を7.5mL/分およびアルゴンを1.5mL/分で混合しながら流通させつつ、通過後の生成ガスを他方端から得、この生成ガスに含まれる一酸化炭素、DMEおよびメタンをガスクロマトグラフ法により定量して、DME生成速度(μモル/g/h)、ターンオーバー数(秒-1)、DME選択率(%)、メタン転化率(%)をそれぞれ求めた。結果を第1表に示す。
【0035】
なお、DME生成速度(μモル/g/h)は、触媒1gあたり1時間あたりのDMEの生成量として求めた。
ターンオーバー数(秒-1)は、DME生成速度(μモル/g/h)を、触媒1gあたりの一酸化炭素吸着量(μモル/g)で除して求めた。
DME選択率(%)は、反応により二酸化炭素以外の化合物に転化された一酸化炭素のうち、DMEに転化されたものの割合として求めた。
メタン選択率(%)は、反応により二酸化炭素以外の化合物に転化された一酸化炭素のうち、メタンに転化されたものの割合として求めた。
【0036】
〔DMEの製造2〕
反応温度を190℃とした以外は上記と同様に操作した。結果を第1表に示す。
【0037】
実施例2
硝酸銅3水和物水溶液の使用量を7.32mLとし、硝酸亜鉛水溶液の使用量を76.2mLとした以外は実施例1と同様に操作して、亜鉛元素含有量(CZn)30質量%、銅元素含有量(CCu)10質量%の触媒を得、反応温度220℃でDMEを製造した。結果を第1表に示す。
【0038】
比較例1
硝酸銅3水和物水溶液の使用量を11.7mLとし、硝酸亜鉛水溶液の使用量を61.0mLとした以外は実施例1と同様に操作して、亜鉛元素含有量(CZn)24質量%、銅元素含有量(CCu)16質量%の触媒を得、反応温度220℃でDMEを製造した。結果を第1表に示す。
【0039】
比較例2
硝酸銅3水和物水溶液の使用量を26.35mLとし、硝酸亜鉛水溶液の使用量を10.16mLとした以外は実施例1と同様に操作して、亜鉛元素含有量(CZn)4質量%、銅元素含有量(CCu)36質量%の触媒を得、反応温度220℃でDMEを製造した。結果を第1表に示す。
【0040】
実施例3
〔担持触媒の製造〕
実施例1と同様に操作してゾルを得、得られたゾルに、市販の球状活性アルミナ〔住友化学社製、「KHO−12S」、粒子径は1mm〜2mm〕7.1gを加え、その後、実施例1と同様に操作して、活性アルミナ成形体上にDME製造用触媒〔CZnは25質量%、CCuは15質量%〕が担持された担持触媒7.74gを得た。
【0041】
〔DMEの製造〕
上記で得た担持触媒1.5gを用いて実施例1と同様にして反応温度190℃でDMEを製造した。結果を第1表に示す。
【0042】
実施例4
〔担持触媒の製造〕
実施例1と同様に操作してゾルを得、得られたゾルに、金属銅製金網〔目開き0.33mm(50mesh)、直径0.18mm、平織り、太陽金網社製〕5.33gを浸漬し、その後、実施例1と同様に操作して、銅製金網上にDME製造用触媒〔CZnは25質量%、CCuは15質量%〕が担持された担持触媒5.68gを得た。
【0043】
〔DMEの製造〕
上記で得た担持触媒1.5gを用いて実施例1と同様にして反応温度220℃でDMEを製造した。結果を第1表に示す。
【0044】
第 1 表
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ZnCuZn/CCu 反応温度 DME ターン DME メタン
生成速度 オーバー数 選択率 選択率
(%) (%) (℃) (μモル/g/h) (秒-1) (%) (%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例
1 25 15 1.67 220 123.4 24 x10-2 96.5 0.9
25 15 1.67 190 50.0 9.7x10-2 95.0 0.0
2 30 10 3.0 220 77.5 17 x10-2 90.1 0.6
比較例
1 24 16 1.5 220 91.8 22 x10-2 95.4 2.9
2 4 36 0.11 220 30.8 6.5x10-2 67.3 30.9
────────────────────────────────────────
実施例
3 25 15 1.67 190 6.0 3.7x10-2 95.0 0.0
4 25 15 1.67 220 40.0 49 x10-2 72.0 0.0
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【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆

【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨

【識別番号】100119471
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 雅之


【公開番号】 特開2008−699(P2008−699A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173685(P2006−173685)