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【発明の名称】 攪拌装置の制御方法
【発明者】 【氏名】梶原 進

【氏名】岩石 真一

【要約】 【課題】攪拌翼を備えた攪拌軸をサーボモータにより駆動して、そのサーボモータの特性を利用して被処理流体の攪拌混合を制御し、合理的に攪拌処理が行える攪拌装置の制御方法を提供する。

【構成】攪拌装置1における攪拌翼3を備えた攪拌軸4をサーボモータ5により回転駆動するに際し、前記攪拌軸4に作用するトルクを電気的に検知して、制御手段10により予め入力設定した攪拌データと比較演算させて、その演算結果による最適値に応じて前記サーボモータ5による前記攪拌軸4の回転速度を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌装置における攪拌翼を備えた攪拌軸をサーボモータにより回転駆動するに際し、前記攪拌軸に作用するトルクを電気的に検知して、予め入力設定した攪拌データと比較演算させて、その演算結果による最適値に応じて前記サーボモータによる前記攪拌軸の回転速度またはトルクを制御することを特徴とする攪拌装置の制御方法。
【請求項2】
前記攪拌データは駆動部で検知される駆動電力値に対応させて予め制御部に記憶させてあるトルクと回転速度との相関データである請求項1に記載の攪拌装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータにより攪拌翼を備えた攪拌軸を回転させ、被処理流体を効率よく攪拌できるようにする攪拌装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、攪拌装置は多くの工業分野において、混合、分散、溶解、反応などいろいろな目的で使用されている。そして、この攪拌操作(混合・分散・溶解・反応など)は単独の工程で実施されるほか、他の処理工程に組み込まれて一連のプロセスとして取扱われる場合が多い。したがって、一般に化学工業や食品工業における混合などの工程が含まれるプロセスでは、合理化を図るためにプロセス全体として計装化され、自動運転されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、反応缶などの混合装置(攪拌装置)において、現状では全くと言ってよいほど計装化されていない。したがって、この攪拌装置としては、どうしても過剰な設計によって製作され、実用に供されている場合が多くなる。このようなことから、設備機器が過剰な構成となるばかりでなく、消費エネルギーの浪費につながり、経済性が損なわれているという問題点がある。
【0004】
また、過剰な動力や攪拌羽根速度の不適正な設定は、ときには反応物質など対象物に損傷を与え、有害となることが多い。そのために、多くの場合、運転に際して適正化を図るには、運転する作業者が運転の状況を判断して攪拌翼の回転速度を変更したりすることが定常的で、変化に対して適正な運転がなされていない傾向にある。したがって、攪拌・混合処理にばらつきが発生しやすいという問題点がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、攪拌翼を備えた攪拌軸をサーボモータにより駆動して、そのサーボモータの特性を利用して被処理流体の攪拌混合を制御し、合理的に攪拌処理が実施できる攪拌装置の制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明による攪拌装置の制御方法は、
攪拌装置における攪拌翼を備えた攪拌軸をサーボモータにより回転駆動するに際し、前記攪拌軸に作用するトルクを電気的に検知して、予め入力設定した攪拌データと比較演算させて、その演算結果による最適値に応じて前記サーボモータによる前記攪拌軸の回転速度またはトルクを制御することを特徴とするものである(第1発明)。
【0007】
前記発明において、前記攪拌データは駆動部で検知される駆動電力値に対応させて予め制御部に記憶させてあるトルクと回転速度との相関データであるのがよい(第2発明)。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、攪拌翼を介して攪拌軸に作用するトルクを検知し、予め設定した被処理物の適正攪拌(混合)状態となるように制御部で設定したデータと攪拌軸の駆動電流値とを比較演算して得られるデータによって駆動部を制御させ、サーボモータの特性を活用してフィードバック制御により攪拌翼を適正速度で回転駆動させ、過剰な運転操作を回避して攪拌(混合)操作時間の短縮を図ることができるという効果を奏する。
【0009】
また、被処理物の攪拌状態を攪拌軸のトルクから検知することにより、攪拌時の情報を知ることが可能になり、その情報(データ)を活用することにより、経済性の高い攪拌装置を得ることが可能になり、また、反応の終点を推測できて攪拌装置の合理化を図ることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明による攪拌装置の制御方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1には本発明に係る攪拌装置の制御方法を実施する攪拌装置の一実施形態を表わす全体概要図が示されている。
【0012】
この実施形態の攪拌装置1は、所要容積の攪拌槽2内に配される攪拌翼3を備える攪拌軸4と、この攪拌軸4を回転駆動するアクチュエータであるサーボモータ5と、このサーボモータ5を支持する支持機構6および前記サーボモータ5の駆動を制御する制御手段10とで構成されている。
【0013】
前記攪拌軸4には、その先端に所要形式の攪拌翼3が、運転時における状態で攪拌槽2内中程の所要深さに位置するようにして付設されている。この攪拌軸4の後端は、攪拌槽2上方で継手7によって着脱可能にサーボモータ5の出力軸5aと接続されている。なお、前記サーボモータ5は、攪拌槽2の上方位置で支持機構6を構成する支持フレーム6aにより、前記攪拌軸4を垂直に維持できるように装着支持されている。
【0014】
前記サーボモータ5の制御手段10は、公知のサーボアンプを主体とし、このサーボアンプにおける電力供給ユニット部11で電流センサ12により攪拌軸4に直結するサーボモータ5の駆動電流値を検知して、制御部13で予め記憶させてあるデータと前記駆動電流値とを比較演算させ、その演算結果に基づいてインバータ部14を制御し、適応する回転速度となるようにサーボモータ5へ出力するようにされている。このように制御するために、制御部13では、攪拌軸4の回転トルクとモータの出力に要する電力との相関関係によるデータを予めメモリーに入力して記憶させておき、前記攪拌軸4からのサーボモータ5の駆動電流値と前記相関関係によるデータとで、この制御部13において比較演算させ、適正値を選んで出力し、サーボモータ5の回転速度を設定する。また、前記サーボアンプにはサーボモータ5の作動に伴う負荷に対応した駆動トルクが表示されるようになっている。したがって、運転中の攪拌軸4(サーボモータ5)に作用するトルクを知ることができる。
【0015】
この制御手段10に付属するコントローラ15には、デ−タを入力するテンキーおよび取扱う被処理流体に対応した操作を選択するための選択ボタン(いずれも図示せず)とが設けられて、前記制御部13に接続されている。運転当初の回転速度などの設定は、コントローラ15に設けられているテンキーによって入力する。また、運転の始動時には取扱流体(被処理流体)の操作を設定するために選択ボタンを押して始動する。
【0016】
このようにされる攪拌装置1は、制御手段10によって、攪拌槽2内で攪拌される被処理流体の攪拌状態の変化に合わせ、回転する攪拌翼3に作用する負荷の変動に応じてサーボモータ5の駆動が制御されるので、被処理流体の挙動に応じて攪拌翼3の回転を変化させ、最適な状態の運転を行わせることができるのである。なお、サーボモータ5の回転速度は、付属するエンコーダにより検知されて制御部13にフィードバックされ、適正回転速度に達するまで制御される。
【0017】
こうして攪拌運転時の被処理流体の変化は、攪拌軸4を介してサーボモータ5に作用するトルクの変化から読み取り、制御手段10によってサーボモータ5による駆動を制御して運転を行う。やがて、予め設定されている条件に到達したことを、例えば攪拌軸4の回転トルクの安定持続時間が所定時間経過したことを検知すると、サーボモータ5の駆動を停止して運転を終了する。こうすることにより、被処理流体の攪拌混合操作を自動的に行うことができるのである。
【0018】
次に、本実施形態の攪拌装置における制御方法の手順を、図2〜図6に示すフローチャートによって説明する。なお、図中符号S,T,U,Vは、いずれもステップを示している。
【0019】
まず、図2によってニュートン流体の場合の攪拌装置における制御について説明する。
S1〜S2:制御手段10のコントローラ15に設けられている攪拌操作の選別ボタンを押して被処理流体の攪拌操作を選択する。すると、サーボモータ5が低速で起動されて、初期回転速度で攪拌翼3が回転するようにして運転が開始される。
S3〜S4:回転開始時の負荷が大きいので、サーボアンプにおける電力供給ユニット部11において、サーボモータ5の運転開始に伴いその攪拌回転速度が適正状態に移行できるか否かの判断が行われる。適正回転速度への移行が困難であると判断される(No)と、ステップS4に移行してサーボモータ5の駆動がリセットされ、ステップS2に戻る。この時点では、サーボモータ5に作用する負荷が規定値より大きいとサーモスタットが作動してリセットされる機能を備えているので、実質的に運転可能な負荷まで低減されないと起動−リセットが繰返される。以後、負荷が低減されて適正回転速度に移行可能と判断されるまで、この操作が繰返される。攪拌翼3には、始動による液体の流動性と温度上昇が進行することにより、液体の粘度が低下し始めるのに追従して作用する負荷が低下し、回転が適正状態に移行できる(Yes)と判断されると、次のステップS5に移行する。
【0020】
S5〜S7:サーボモータ5による駆動で攪拌軸4が起動の低速から所要回転速度になるように回転速度を制御する(ステップS5)。この際、攪拌軸4に作用するトルクは、サーボモータ5の負荷に対応する駆動電流値が電流センサ12によって検知され、その駆動電流値から制御部13にて予め入力されている当該被処理流体の攪拌時におけるデータ(トルクと回転速度との相関データ)と比較演算させて、その演算結果を出力してインバータ部14に指令し、サーボモータ5(攪拌軸4)が所定トルクの回転となるように回転速度を増速させる(ステップS6)。次いで、ステップS7において、攪拌軸4の回転速度が適正速度になって反応が開始されると、回転速度とトルクから適正か否かを判断する。適正が認められる(Yes)とステップS8に移行し、適正でないと判断される(No)とステップS5に戻り、再び所要回転速度となるように制御される。
【0021】
S8〜S9:ステップS8において適正回転速度にて定常運転が継続されるようにする。やがて、所要時間経過するとステップS9において運転を終了するか否かを判断させる。ここでは、定常運転の経過によって回転数(回転速度)とトルクが設定値もしくはそれ以下に達しているか否かを判断して、設定どおりに到達している(Yes)と攪拌運転を停止して作業を終了する。もしも、トルクが設定値もしくはそれ以下に至らない(No)場合は、ステップS8に戻って定常運転を継続し、設定値に達するまで運転を続ける。
【0022】
このように操作することにより、一般流体の攪拌操作に際しては、いわゆる初期設定を作業者が行えば、以後は設定しておいた攪拌速度またはトルクで所要時間運転を行うことにより、途中での制御を自動的に行わせて所望の攪拌混合ができることになり、過剰な負荷を掛けることなく適正な運転ができ、攪拌操作時間を短縮して経済性の向上を図ることができるのである。
【0023】
図3に示されるのは樹脂重合反応装置における攪拌機の制御フローチャートであり、また、図4に一般的な樹脂重合反応装置での攪拌機による運転時の被処理樹脂の攪拌粘度と攪拌トルクおよび攪拌翼回転数との関係を表わすグラフが示されている。次に、この制御フローチャートとグラフにより説明する。
【0024】
T1〜T2:反応缶に所要の被処理材を投入した後に、制御手段10のコントローラ15に設けられている攪拌操作の選別ボタンを押して被処理流体の攪拌操作を選択する(ステップT1)。すると、サーボモータ5が低速起動されて初期回転速度で攪拌翼3が回転するようにして運転が開始される(ステップT2)(図4における符号a)。
【0025】
T3〜T4:回転開始時の負荷が大きいので、サーボアンプにおける電力供給ユニット部11において、サーボモータ5の運転開始に伴いその攪拌回転速度が適正状態に移行できるか否かの判断が行われる(ステップT3)。適正回転速度への移行が困難であると判断される(No)と、ステップT4に移行してサーボモータ5の駆動がリセットされ、ステップT2に戻る。この時点では、サーボモータ5に作用する負荷が規定値より大きいとサーモスタットが作動してリセットされる機能を備えているので、実質的に運転可能な負荷まで低減されないと起動−リセットが繰返される。適正状態に移行できる(Yes)と判断されると、次のステップT5に移行する。以後、適正回転速度に移行可能と判断されるまで、この操作が繰返される(図4におけるa−bの区間。以下、符号のみで示す)。
【0026】
T5〜T7:サーボモータ5による駆動で攪拌軸4が所要トルクになるように回転速度を制御する(ステップT5)。この際、攪拌軸4に作用するトルクは、サーボモータ5の負荷に対応する駆動電流値が電流センサ12によって検知され、その駆動電流値から制御部13にて予め入力されている当該被処理流体の攪拌時におけるデータ(トルクと回転速度との相関データ)と比較演算させて、その演算結果を出力してインバータ部14に指令し、昇温などによって液体の粘度が下がるので、トルク一定になるように、サーボモータ5(攪拌軸4)の回転速度を増速させる(ステップT6)(符号b−c)。所要時間経過して、ステップT7において、攪拌軸4の回転速度とトルクが適正になって駆動を継続できるか否かを判断する。適性と認められるとステップT8に移行し、適正でないと判断されるとステップT5に戻り、再び所要トルクになるように回転速度が制御される。
【0027】
T8〜T12:ステップT8において適正回転速度にて定常運転が継続されるようにする(符号c−d)。やがて、所要時間経過すると液の粘度が上昇するので、トルクを一定に維持させるには、グラフによって示されるように、回転速度(回転数)を低下させる。こうして運転を所要時間続けた後(符号c−eの区間で)、ステップT9において反応缶内の被処理流体に対する反応の終了(停止か否か)の判断を行う。予め設定されている攪拌状態(樹脂反応)と攪拌駆動のトルク(駆動電流値)を検知して、設定値に達していると反応の停止を行うようにされる。未達成(No)であればステップT8に戻り、運転を続ける。こうして所要時間経過すると、ステップT10において回転速度の制御を行い、回転を減速させる(ステップT11)。ステップT12において、運転の終了か継続かを判断させる。ここで、定常運転の経過によってトルクが設定値もしくはそれ以下に達しているか否が判断されて、設定以下に到達している(Yes)と攪拌運転を停止して作業を終了する(符号e)。もしもトルクが設定値もしくはそれ以下に至らない場合(No)は、ステップT10に戻って回転速度を制御して運転を継続し、設定値以下に達するまで攪拌運転が続けられる。
【0028】
この運転の制御では、反応開始時点cで攪拌翼3を最大の回転速度に上げて攪拌し、やがて反応が進んで粘度が上昇すると(c−dの区間)、以後サーボモータ5の出力トルクをほぼ一定に保たせるように回転速度を徐々に低下させ、所要の反応状態まで移行させて終了させる。このように制御することで、サーボモータ5の能力を最大限有効に利用して攪拌効果を高めることができ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0029】
次に、図5に示されるのは、気液反応装置における攪拌機の制御フローチャートであり、この制御フローチャートにより気液反応装置の場合について説明する。この場合の操作は、基本的に前記一般流体の攪拌操作と同様であり、反応が伴うことから通気操作が付加される。
【0030】
U1〜U2:反応缶に所要の被処理材を投入した後に、制御手段10のコントローラ15で操作の選別ボタン(気液反応操作)を押して被処理流体の攪拌操作を選択する(ステップU1)。サーボモータ5が低速起動されて初期回転速度で攪拌翼3が回転され、運転が開始される(ステップU2)。
U3〜U4:回転開始時の負荷が大きいので、サーボアンプにおける電力供給ユニット部11において、サーボモータ5の運転開始に伴いその攪拌回転速度が適正状態に移行できるか否かの判断が行われる(ステップU3)。適正回転速度へ移行が困難であると判断される(No)と、ステップU4に移行してサーボモータ5の駆動がリセットされ、ステップU2に戻る。この時点では、サーボモータ5に作用する負荷が規定値より大きいとサーモスタットが作動してリセットされる機能を備えているので、実質的に運転可能な負荷まで低減されないと、適正状態に達するまで起動−リセットが繰返される。適正状態に移行できると判断される(Yes)と、次のステップU5に移行する。
【0031】
U5〜U8:反応が開始されると、サーボモータ5による駆動で攪拌軸4が所要回転速度になるよう回転速度を制御する(ステップU5)。この際、前記一般流体の場合と同様に、サーボモータ5の負荷に対応する駆動電流値が電流センサ12によって検知され、その駆動電流値から制御部13にて予め入力されている当該被処理流体の攪拌時におけるデータ(トルクと回転速度との相関データ)とで比較演算処理されて、その演算結果を出力してインバータ部14を指令制御し、サーボモータ5が所要トルクになるように回転速度を増速させる(ステップU6)。次いでステップU7において、攪拌軸4の回転速度が適正速度で駆動を継続できるか否かを判断させる。継続が認められる(Yes)とステップU8に移行し定常運転を続ける。継続が認められなければ(No)ステップU5に戻り、再び所要回転速度となるように制御される。
【0032】
U9〜U10:予め準備工程で反応缶に対して所要気体の供給準備がされているので、ステップU9において通気を行うか否かを判断する。通気運転が可能(Yes)と判断されるとステップU10に移行して気体供給用の給気弁(図示せず)が開かれて気体の供給が行われる。給気が好ましくない状態(No)と判断されると、給気弁を開かず、ステップU8に戻って一定時間経過後に再度給気を開始するか否かを判断する。
【0033】
U11〜U13:給気による気液反応で攪拌翼3に作用する混合流体の状態変化により粘度の低下にともない駆動力が下がる。したがって、サーボモータ5の負荷に応じた駆動電流値(トルク)が電流センサ12によって検知されて、制御部13での演算処理にてインバータ部14を指令制御し、サーボモータ5が適正回転速度となるように回転速度を制御し(ステップU11)、攪拌速度を増速させる(ステップU12)。所要時間攪拌運転を継続してサーボモータ5の作動によるトルク値と回転数(回転速度)から反応の終了を判断する(ステップU13)。予め設定してある設定値に到達していると判断される(Yes)と、運転を停止する。未達成であると判断される(No)とステップU11に戻り、再び適正回転速度となるように制御されて、設定値に達するまで運転が続けられる。
【0034】
このような運転操作によれば、前記樹脂反応装置と同様に攪拌・混合操作を自動制御して効率よく運転することができる。
【0035】
図6に示されるのは塑性流体の攪拌操作のフローチャートであり、このフローチャートにより塑性流体の攪拌を行う場合について説明する。この場合は、基本的に前記一般流体の攪拌操作と同様であるが、流体の攪拌に際してせん断効果を高めることから攪拌翼3の反転操作またはインチング操作が付加される。
【0036】
V1〜V2:制御手段10のコントローラ15に設けられている攪拌操作の選別ボタンを押して被処理流体の攪拌操作を選択する(ステップV1)。すると、サーボモータ5が低速起動されて、初期回転速度で攪拌翼3が回転するようにして運転が開始される(ステップV2)。
【0037】
V3〜V6:回転開始時の負荷が大きいので、サーボアンプにおける電力供給ユニット部11において、サーボモータ5の運転開始に伴いその攪拌回転速度が適正状態に移行できるか否かの判断が行われる(ステップV3)。この取扱流体では、一般的に起動時の負荷が大きいため、起動時にサーボモータ5の駆動がオーバーロードになるとリセットされる(ステップV4)ので、攪拌翼3の反転駆動を行わせるように設定されると同時に、この攪拌翼3の反転駆動に際しての位置制御がなされる(ステップV5)。この位置制御指令に基づいて反転する回転角が設定される(ステップ6)。この状態でステップV2に戻り、再び攪拌装置1(サーボモータ5)が再起動される。以後、この起動−停止−反転回動角度変更(制御)−再起動の操作が繰返される。こうして、反復運転を繰返すことにより塑性流体の初期における流動性が引き出される操作を行わせる。やがて、攪拌回転が適正状態に移行できると判断される(Yes)と、次のステップV7に移行する。
【0038】
V7〜V8:サーボモータ5による駆動で攪拌軸4が所要回転(反復)速度となるように回転角が設定(位置制御)される(ステップV7)。この際、攪拌軸4に作用するトルクは、サーボモータ5の負荷に対応する駆動電流値が電流センサ12によって検知され、制御部13にて予め入力されている当該被処理流体の攪拌時におけるデータ(トルクと回転速度との相関データ)と前記駆動電流値とを比較演算させて、その演算結果を出力してインバータ部14に指令し、サーボモータ5が攪拌軸4を適正回転角で反復運転させる(ステップV8)。
【0039】
V9〜V11:反復運転を続けることにより、被処理流体の流動性が良好になり、これに伴って攪拌翼3に作用するトルクが小さくなり、攪拌翼3の反復回転角も180°まで広げることで、流動性が下がってきたと判断する。このように、反復運転の経過によってトルクが設定値どおりに到達している(Yes)と判断すれば、反復運転を停止して(ステップV10)定常運転に移行する(ステップV11)。もしもトルクが設定値もしくはそれ以下に至らない場合(No)は、ステップV7に戻って反復位置制御され、反復運転を継続し、設定値に達するまで運転を続ける。
【0040】
V12〜V14:定常運転(攪拌翼を全回転させる)を継続して所要時間経過すると、駆動トルクの判断によって攪拌状態を確認する(ステップV12)。駆動トルクが適正と判断される(Yes)とステップV13に移行して、目的に応じて一定トルクになるように回転速度を上げ、回転速度を増速させる(ステップV14)。ステップV12において駆動トルクが適正でないと判断される(No)と、ステップV11に戻り、駆動トルクの判断が適正となるまで定常攪拌が続けられる。
【0041】
V15〜V17:回転速度を増速して後、駆動トルクが予定通りであるか否かの判断を行う(ステップV15)。駆動トルクが定常であると判断される(Yes)と、そのまま定常運転を続ける(ステップV16)。もしも駆動トルクが予定通りでなければ(No)、ステップV13に戻り回転速度の制御を行い駆動トルクが定常となるように制御される。こうして、定常運転を所要時間継続した後ステップV17で運転終了か否かの判断を行う。ここで、定常運転の経過によってトルクが設定値もしくはそれ以下に達しているか否が判断されて、設定以下に到達している(Yes)と攪拌運転を停止して作業を終了する。未到達である(No)と、ステップV16に戻って終了可能と判断されるまで運転を継続する。
【0042】
このように塑性流体を取扱って攪拌・混合操作を行う場合には、サーボモータ5の反復起動に対する耐久性(例えば、通常の起動トルクの3倍程度)を備えるという特性を利用して、起動時に反復運転を繰返し行わせることにより、被処理流体の流動性を引き出すことができ、起動操作を容易にして攪拌・混合操作を実施することができるのである。
【0043】
上述のように、本発明においては、サーボモータ5を攪拌翼3(攪拌軸4)の駆動源として、そのサーボモータ5が所有する特性を活用し、かつ予め得られた攪拌のデータを元にして、攪拌軸4の駆動トルクからサーボモータ5の駆動時における電流値を検知し、両者の相関データにより制御部でサーボモータ5を適正運転できるように制御することにより、攪拌・混合操作を自動的に制御して運転できるようにしたのである。
【0044】
本発明によれば、従来、人の判断にて概略的に実施されていた攪拌操作の最適化を図ることが可能になり、設備費ならびに運転コストが低減できて経済的効果を高めることができるのである。
【0045】
また、取扱う流体の性状に応じて攪拌操作要領を選択できる構成としておけば、一つの攪拌装置によって最適な攪拌・混合操作が選択して実施できるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る攪拌装置の制御方法を実施する攪拌装置の一実施形態を表わす全体概要図
【図2】ニュートン流体の場合の攪拌装置における制御フローチャート
【図3】樹脂反応装置における攪拌機の制御フローチャート
【図4】一般的な樹脂重合反応装置での攪拌機による運転時の被処理樹脂の攪拌粘度と攪拌トルクおよび攪拌翼回転数との関係を表わすグラフ
【図5】気液反応装置における攪拌機の制御フローチャート
【図6】塑性流体の攪拌操作のフローチャート
【符号の説明】
【0047】
1 攪拌装置
2 攪拌槽
3 攪拌翼
4 攪拌軸
5 サーボモータ
6 支持機構
10 制御手段
11 電力供給ユニット部
12 電流センサ
13 制御部
14 インバータ部
15 コントローラ
【出願人】 【識別番号】000230582
【氏名又は名称】日本化学機械製造株式会社
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】 【識別番号】100097755
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 勉


【公開番号】 特開2008−36594(P2008−36594A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−217763(P2006−217763)