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【発明の名称】 気体溶解装置、基板洗浄ユニット、気体溶解方法および基板洗浄方法
【発明者】 【氏名】広 城 幸 吉

【氏名】上 川 裕 二

【氏名】新 藤 尚 樹

【氏名】渡 辺 司

【氏名】戸 島 孝 之

【要約】 【課題】液体に気体を溶解させるにあたり、シンプルかつ安価な部材により微小径の気泡を有する液体を生成することができ、また、気泡の粒径を微小とする条件下において液体に対する気体の溶存濃度を高くすることができる気体溶解装置および気体溶解方法、ならびにこのような気泡を含む液体を用いた基板洗浄ユニットおよび基板洗浄方法を提供する。

【構成】気体溶解装置は、液体に気体を混合させる混合機構18と、この混合機構18の下流側に設けられた流路22を備えている。流路22は、気体が混合させられた液体が送られるようになっており、絞り部を2つ以上有している。この絞り部は、液体の流れ方向に直交する流路断面の面積がこの液体の流れ方向に沿って小さくなるよう構成されている。基板洗浄ユニットは、上述の気体溶解装置と、被処理基板Wの洗浄を行う基板洗浄装置35とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に気体を混合させる混合機構と、
前記混合機構の下流側に設けられた、気体が混合させられた液体が送られる流路であって、前記液体の流れ方向に直交する流路断面の面積が当該液体の流れ方向に沿って小さくなるような絞り部を2つ以上有する流路と、
を備えたことを特徴とする気体溶解装置。
【請求項2】
前記混合機構において、液体中に気体を過飽和状態となるよう混合させることを特徴とする請求項1記載の気体溶解装置。
【請求項3】
第1の流路形成部材および第2の流路形成部材を更に備え、前記流路はこれらの第1の流路形成部材および第2の流路形成部材の間に形成されており、
第1の流路形成部材と第2の流路形成部材との間の距離が調整可能となっていることを特徴とする請求項1または2記載の気体溶解装置。
【請求項4】
前記第1の流路形成部材および第2の流路形成部材は、前記流路を形成するような互いに対向する部分においてそれぞれ階段形状となっていることを特徴とする請求項3記載の気体溶解装置。
【請求項5】
前記第1の流路形成部材と第2の流路形成部材との間の距離は、スペーサーにより調整可能となっていることを特徴とする請求項3または4記載の気体溶解装置。
【請求項6】
前記流路の下流側に、液体に含まれる気泡のうち一定径以上の気泡を除去するフィルターを更に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の気体溶解装置。
【請求項7】
前記混合機構と前記流路との間に、前記液体が衝突してこの液体に含まれる気泡が粉砕されるような壁部材を更に設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の気体溶解装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の気体溶解装置と、
気体が溶解している液体が前記気体溶解装置から送られ、当該液体に被処理基板を浸すことによりこの被処理基板の洗浄を行う基板洗浄装置と、
を備えたことを特徴とする基板洗浄ユニット。
【請求項9】
前記基板洗浄装置に設けられ、当該基板洗浄装置において前記被処理基板が浸された前記液体に超音波を照射する超音波照射装置を更に備えたことを特徴とする請求項8記載の基板洗浄ユニット。
【請求項10】
液体に気体を混合させる工程と、
気体が混合させられた液体を、当該液体の流れ方向に直交する流路断面の面積が小さくなるような絞り部を2つ以上有する流路に送る工程と、
を備えたことを特徴とする気体溶解方法。
【請求項11】
液体に気体を混合させる際に、液体中に気体を過飽和状態となるよう混合させることを特徴とする請求項10記載の気体溶解方法。
【請求項12】
前記流路に液体を通過させた後において、液体に含まれる気泡のうち一定径以上の気泡をフィルターにより除去する工程を更に備えたことを特徴とする請求項10または11記載の気体溶解方法。
【請求項13】
液体に気体を混合させた後であって前記流路に当該液体を送る前において、前記液体を壁部材に衝突させてこの液体に含まれる気泡を粉砕する工程を更に備えたことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の気体溶解方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか一項に記載の気体溶解方法により生成された、気体が溶解している液体に被処理基板を浸すことによりこの被処理基板の洗浄を行うことを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項15】
前記液体に前記被処理基板を浸す際に、この液体に超音波を照射することを特徴とする請求項14記載の基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に気体を溶解させるための気体溶解装置およびこの気体溶解装置を備えた基板洗浄ユニット、ならびに液体に気体を溶解させるための気体溶解方法およびこの気体溶解方法により生成された、気体が溶解している液体を用いて基板の洗浄を行う基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウエハ(以下、ウエハともいう)等の被処理基板の洗浄を行うにあたり、Nガスやオゾンガス等のガスを含有する純水や薬液(以下、洗浄液として純水を用いた場合について説明する。)にウエハを浸し、さらに超音波をこの純水に照射するような方法が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
ここで、Nガスやオゾンガス等のガスを含有する純水を生成するにあたり、様々な気体溶解装置が用いられている。その一例を特許文献2、3等に示す。
【0004】
【特許文献1】特開平9−10712号公報
【特許文献2】特開2004−160290号公報
【特許文献3】特開平7−308556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガス等を含む純水にウエハを浸し、さらに超音波をこの純水に照射するような方法を用いるにあたり、ガスが過飽和状態となっていることが好ましい。なぜならば、純水に対するガスの溶存濃度が大きくなればなるほど、超音波を照射した際におけるウエハへのダメージが小さくなるからである。この際に、ガスが過飽和状態となると、飽和しきれなかったガスは気泡となって純水の中に存在することとなる。
【0006】
ここで、例えば超音波照射装置に与える出力を大きくしたりすることにより、ウエハに付着したパーティクル等の除去率を向上させることができる。しかしながら、この場合は、純水中の気泡により、ウエハのパターンに対するダメージが増加するおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、液体に気体を溶解させるにあたり、シンプルかつ安価な部材により微小径の気泡を有する液体を生成することができ、また、気泡の粒径を微小とする条件下において液体に対する気体の溶存濃度を高くすることができる気体溶解装置および気体溶解方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、上述の気体溶解装置を備えていることにより、または上述の気体溶解方法により生成された液体を用いて被処理基板の洗浄を行うことにより、この被処理基板の洗浄を良好に行うことができる基板洗浄ユニットおよび基板洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液体に気体を混合させる混合機構と、前記混合機構の下流側に設けられた、気体が混合させられた液体が送られる流路であって、前記液体の流れ方向に直交する流路断面の面積が当該液体の流れ方向に沿って小さくなるような絞り部を2つ以上有する流路と、を備えたことを特徴とする気体溶解装置である。
【0010】
また、本発明は、液体に気体を混合させる工程と、気体が混合させられた液体を、当該液体の流れ方向に直交する流路断面の面積が小さくなるような絞り部を2つ以上有する流路に送る工程と、を備えたことを特徴とする気体溶解方法である。
【0011】
このような気体溶解装置および気体溶解方法によれば、気体が液体に混合させられた後、気泡を含む液体が複数の絞り部を有する流路を通過することにより、気泡が微小化する。なぜならば、液体が絞り部を通過することによりこの液体にかかる圧力(水圧)が大きくなるからである。ここで、流路において液体が絞り部を複数回通過するので、この液体の圧縮・膨張が繰り返し行われる。気泡を含む液体の圧縮・膨張が繰り返し行われることにより、この気泡は段階的にその径が小さくなることとなり、最終的には液体に含まれる気泡は微小化されることとなる。なお、絞り部は流路に複数設けられており、気泡は段階的にその径が小さくなるので、絞り部が一つしかなく液体に急激に圧力が加えられるような構造のものと比較して、この流路における圧力損失を小さなものとすることができる。このようにして、液体に気体を溶解させるにあたり、シンプルかつ安価な部材により微小径の気泡を有する液体を生成することができ、また、気泡の粒径を微小とする条件下において液体に対する気体の溶存濃度を高くすることができる。
【0012】
本発明の気体溶解装置においては、前記混合機構において、液体中に気体を過飽和状態となるよう混合させることが好ましい。あるいは、本発明の気体溶解方法においては、液体に気体を混合させる際に、液体中に気体を過飽和状態となるよう混合させることが好ましい。このことにより、被処理基板を良好に洗浄することができるような、気泡を含有する液体を生成することができる。
【0013】
本発明の気体溶解装置においては、第1の流路形成部材および第2の流路形成部材を更に備え、前記流路はこれらの第1の流路形成部材および第2の流路形成部材の間に形成されており、第1の流路形成部材と第2の流路形成部材との間の距離が調整可能となっていることが好ましい。このことにより、第1の流路形成部材と第2の流路形成部材との間に形成される流路の断面積(純水の流れ方向に直交する流路断面の面積)を変更することができる。このため、この流路を通過した液体に含まれる気泡がより微小なものとなるよう、第1の流路形成部材と第2の流路形成部材との間の距離を調整することができる。
なお、この際に、前記第1の流路形成部材および第2の流路形成部材は、前記流路を形成するような互いに対向する部分においてそれぞれ階段形状となっていることがより好ましく、また、前記第1の流路形成部材と第2の流路形成部材との間の距離は、スペーサーにより調整可能となっていることがより好ましい。
【0014】
本発明の気体溶解装置においては、前記流路の下流側に、液体に含まれる気泡のうち一定径以上の気泡を除去するフィルターを更に設けたことが好ましい。あるいは、本発明の気体溶解方法においては、前記流路に液体を通過させた後において、液体に含まれる気泡のうち一定径以上の気泡をフィルターにより除去する工程を更に備えたことが好ましい。このことにより、このフィルターで径の比較的大きな気泡を除去することができ、最終的に生成される液体について、この液体に含まれる気泡をその径が微小なもののみとすることができる。
【0015】
本発明の気体溶解装置においては、前記混合機構と前記流路との間に、前記液体が衝突してこの液体に含まれる気泡が粉砕されるような壁部材を更に設けたことが好ましい。あるいは、本発明の気体溶解方法においては、液体に気体を混合させた後であって前記流路に当該液体を送る前において、前記液体を壁部材に衝突させてこの液体に含まれる気泡を粉砕する工程を更に備えたことが好ましい。このことにより、壁部材に液体が衝突したときに発生する衝突エネルギーによりこの液体に含まれる気泡が粉砕されてその径が小さくなるので、流路に送られる液体に含まれる気泡を、予めその径が小さなものとすることができる。
【0016】
本発明は、上述の気体溶解装置と、気体が溶解している液体が前記気体溶解装置から送られ、当該液体に被処理基板を浸すことによりこの被処理基板の洗浄を行う基板洗浄装置と、を備えたことを特徴とする基板洗浄ユニットである。また、本発明は、上述の気体溶解方法により生成された、気体が溶解している液体に被処理基板を浸すことによりこの被処理基板の洗浄を行うことを特徴とする基板洗浄方法である。このような基板洗浄ユニットおよび基板洗浄方法によれば、微小径の気泡を有する水を用いて基板の洗浄を行うことにより、被処理基板の洗浄を良好に行うことができる。
【0017】
本発明の基板洗浄ユニットにおいては、前記基板洗浄装置に設けられ、当該基板洗浄装置において前記被処理基板が浸された前記液体に超音波を照射する超音波照射装置を更に備えたことが好ましい。あるいは、本発明の基板洗浄方法においては、前記液体に前記被処理基板を浸す際に、この液体に超音波を照射することが好ましい。このような基板洗浄ユニットおよび基板洗浄方法によれば、被処理基板が浸された水に超音波を照射することにより、被処理基板の洗浄をより良好に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の気体溶解装置および気体溶解方法によれば、液体に気体を溶解させるにあたり、シンプルかつ安価な部材により微小径の気泡を有する液体を生成することができ、また、気泡の粒径を微小とする条件下において液体に対する気体の溶存濃度を高くすることができる。
【0019】
また、本発明の基板洗浄ユニットおよび基板洗浄方法によれば、上述の気体溶解装置を備えていることにより、または上述の気体溶解方法により生成された、微小径の気泡を有する液体を用いて被処理基板の洗浄を行うことにより、この被処理基板の洗浄を良好に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図6は、本発明による気体溶解装置およびこの気体溶解装置を備えた基板洗浄ユニットの一の実施の形態を示す図である。
このうち、図1は、本実施の形態における気体溶解装置の構成の概略を示すブロック図であり、図2は、図1の気体溶解装置における気泡発生器の縦断面図である。また、図3は、図2の気体溶解装置のA−A矢視断面図であり、図4は、図2の気体溶解装置において符号Bで示される領域の拡大図であり、図5は、図2の気体溶解装置において符号Cで示される領域の拡大図である。また、図6は、図1に示す気体溶解装置を備えた基板洗浄ユニットの構成の概略を示す構成図である。
【0021】
まず、気体溶解装置の構成について図1乃至図5を用いて説明する。
図1に示すように、気体溶解装置は、気泡発生器10と、この気泡発生器10の下流側に設けられたフィルター30とを備えている。気泡発生器10には、流量計12を介して純水が送られ、また流量調整バルブ14を介してNガスが送られるようになっており、当該気泡発生器10において純水にNガスが溶解させられるようになっている。この気泡発生器10は、図2に示すように、略円筒形状のケーシング16と、ケーシング16内において純水にNガスを混合させるガス導入管18と、ケーシング16内においてガス導入管18の下流側に設けられ、当該ケーシング16内で流れる純水が衝突するような壁部材20と、ケーシング16内において壁部材20の下流側に設けられ、ガス導入管18によりNガスが溶解させられた純水が送られる流路22と、を備えている。なお、図1乃至図5において、純水にNガスを溶解させる気体溶解装置について説明しているが、純水の代わりに薬液等の他の洗浄用の液体を用いてもよく、また、Nガスの代わりにOガス、Oガス、COガス等の他の気体を用いてもよい。
【0022】
以下、上述した気体溶解装置の各構成要素について、以下に詳述する。
【0023】
ケーシング16は、前述のように略円筒形状となっており、図2に示すようにその中空部分の一端から純水が供給されるようになっている。この純水は、図1に示すように流量計12を介して外部の純水供給部から送られるものである。当該ケーシング16は例えば熱硬化性プラスチック、具体的には例えばPEEK(商標登録、ポリエーテルエーテルケトン)から形成されている。なお、このケーシング16として、耐薬品性を有し、かつ、金属を溶出しない材料、例えばフッ素樹脂(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体))、石英(天然石英、合成石英)等を用いてもよい。また、ケーシング16の全体がこのような材料から構成される必要はなく、少なくとも純水(薬液)が接する部分においてこのような材料が用いられていればよい。また、このケーシング16内の中空部分には、当該ケーシング16と同軸である略円柱形状の芯棒部材17が設置されている。
【0024】
ガス導入管18は、図2に示すようにケーシング16の外方から当該ケーシング16内の中空部分までこのケーシング16を貫通するよう配設されている。図1および図2に示すように、このガス導入管18は流路に対して垂直方向に配設されている。ガス導入管18の一端は流量調整バルブ14を介してNガス供給部に接続されており、このNガス供給部からNガスがガス導入管18に供給されるようになっている。また、ガス導入管18の他端におけるケーシング16内の部分には当該ガス導入管18の長手方向に沿って所定の間隔で非常に小さな貫通孔18aが多数形成されており、この貫通孔18aを介してガス導入管18の内部からNガスが当該ガス導入管18の外方へ気泡として放出され、このNガスの気泡はケーシング16内の純水と混合させられるようになっている。この際に、ガス導入管18が流路に対して垂直方向に配設され、当該ガス導入管18の長手方向に沿って所定の間隔で非常に小さな貫通孔18aが多数形成されているので、純水にNガスを均一に混合させることができる。また、ガス導入管18からは、ケーシング16内の純水に対してNガスが過飽和状態となるよう、Nガスが供給されるようになっている。
【0025】
壁部材20は、ケーシング16内においてガス導入管18の下流側に設けられている。この壁部材20は、図2および図3に示すように芯棒部材17の周囲に取り付けられており、ケーシング16内の中空部分を塞ぐような略円盤形状のものとなっている。図3に示すように、壁部材20には複数の貫通孔20aが同心円状に形成されており、この貫通孔20aを通過してケーシング16内の純水が図2の右方に流れるようになっている。ここで、ケーシング16内の純水が壁部材20の貫通孔20aを通過する際に、この純水は壁部材20の表面20bに衝突し、この衝突エネルギーにより純水に含まれるNガスの気泡が粉砕されて当該気泡の径が小さくなるようになっている。図3に示すように、壁部材20に貫通孔20aが同心円状に形成されていることにより、Nガスの気泡を各貫通孔20aに均等に分配することができる。
【0026】
ケーシング16内において壁部材20の下流側には流路22が形成されている。この流路22は、ケーシング16の一部である第1の流路形成部材16aと、芯棒部材17の外周に取り付けられた第2の流路形成部材17aとの間に形成されている。ここで、第1の流路形成部材16aおよび第2の流路形成部材17aは以下のような形状となっている。すなわち、第1の流路形成部材16aと第2の流路形成部材17aの間に形成される流路22について、純水の流れ方向に直交する流路22の断面の面積がこの純水の流れに沿って徐々に小さくなるような絞り部が2つ以上設けられるよう、第1の流路形成部材16aおよび第2の流路形成部材17aの形状が定められている。
【0027】
第1の流路形成部材16aと第2の流路形成部材17aの間に形成される流路22について、図4および図5を用いて更に詳細に説明する。
壁部材20の下流側における流路22は、それぞれがいわゆる段差方式となっている2つの気泡粉砕部B、C(図2参照)を有している。ここで、気泡粉砕部Bの詳細について図4を用いて説明する。図4に示すように、流路22を形成する部分における第1の流路形成部材16aおよび第2の流路形成部材17aはそれぞれ階段形状となっており、純水はケーシング16の長手方向(図4の左右方向)に対して斜め方向(図4の左上方向)に流れるようになっている。具体的には、この階段形状部分を通過する純水は、図4の二点鎖線に示す方向に流れるようになっている。
この際に、気泡粉砕部Bにおいて流路22を通過する純水の流れ方向に直交する流路断面は、図4の矢印A、B、C、D、E等で示される。すなわち、気泡粉砕部Bにおいて流路22を通過する純水は、まず図4において矢印Aで示される流路断面を直交するよう通過し、次に矢印Bで示される流路断面を直交するよう通過し、その後順次矢印C、D、E等で示される流路断面を直交するよう通過する。
【0028】
ここで、第1の流路形成部材16aおよび第2の流路形成部材17aがそれぞれ階段形状となっているので、図4に示すように矢印Bで示す流路断面は矢印Aで示す流路断面よりも小さくなっており、また矢印Dで示す流路断面は矢印Cで示す流路断面よりも小さくなっている。このため、純水が矢印Aで示す流路断面から矢印Bで示す流路断面まで流れる際に、この純水は圧縮されることとなる。ここで、矢印Aで示す流路断面から矢印Bで示す流路断面までの間の流路を、「絞り部」という。同様に、矢印Cで示す流路断面から矢印Dで示す流路断面までの間の流路にも絞り部が形成されている。図4に示すように、気泡粉砕部Bには合計で3つの絞り部が設けられている。
【0029】
同様に、気泡粉砕部C(図2参照)の詳細について図5を用いて説明すると、流路22を形成する部分における第1の流路形成部材16aおよび第2の流路形成部材17aはそれぞれ階段形状となっており、純水はケーシング16の長手方向(図5の左右方向)に対して斜め方向(図5の右下方向)に流れるようになっている。具体的には、この階段形状部分を通過する純水は、図5の二点鎖線に示す方向に流れるようになっている。
この際に、気泡粉砕部Cにおいて流路22を通過する純水の流れ方向に直交する流路断面は、図5の矢印E、F、G、H、I等で示される。
【0030】
ここで、第1の流路形成部材16aおよび第2の流路形成部材17aがそれぞれ階段形状となっているので、図5に示すように矢印Fで示す流路断面は矢印Eで示す流路断面よりも小さくなっており、また矢印Hで示す流路断面は矢印Gで示す流路断面よりも小さくなっている。このため、純水が矢印Eで示す流路断面から矢印Fで示す流路断面まで流れる際に、この純水は圧縮されることとなる。すなわち、矢印Eで示す流路断面から矢印Fで示す流路断面までの間の流路に絞り部が形成されている。同様に、矢印Gで示す流路断面から矢印Hで示す流路断面までの間の流路にも絞り部が形成されている。図5に示すように、気泡粉砕部Cにも合計で3つの絞り部が設けられている。
【0031】
ケーシング16内において流路22を通過した、Nガスが溶解された純水は、図2に示すようにこのケーシング16の他端から外部へ送られ、具体的には図1に示すようにこの純水はフィルター30に送られるようになっている。フィルター30は例えば1ミクロンのメッシュ状のものからなり、純水の中に含まれるNガスの気泡のうち一定径、例えば1ミクロン以上の気泡を除去するようになっている。
【0032】
次に、このような気体溶解装置を備えた基板洗浄ユニットについて図6を用いて説明する。この基板洗浄ユニットは、図1乃至図5に示すような気体溶解装置と、半導体ウエハ(以下、ウエハともいう)W等の被処理基板の洗浄を行うための基板洗浄装置35とを備えている。
【0033】
基板洗浄装置35は、図6に示すように、ウエハWが収容される洗浄槽40と、洗浄槽40内に設けられウエハWを保持する保持具42と、純水供給管46を介して気体溶解装置のフィルター30に接続され、洗浄槽40内にこのフィルター30から送られた純水を供給する各々左右一対の上方供給部44a、中央供給部44bおよび下方供給部44cとを備えている。上方供給部44a、中央供給部44bおよび下方供給部44cの切り換えは、各供給部に対応するよう純水供給管46に設けられた各バルブ48a、48b、48cにより行われるようになっている。また、洗浄槽40の周囲にはオーバーフロー槽50が設置されており、洗浄槽40からオーバーフロー槽50に流出した純水は、ドレン槽52に送られるようになっている。
【0034】
さらに、基板洗浄装置35の洗浄槽40の下方には、この洗浄槽40内の純水に超音波を照射する超音波照射装置60が取り付けられている。この超音波照射装置60は、洗浄槽40内の純水に向かって図6の上方に超音波を照射するようになっている。
【0035】
次に、このような構成からなる気体溶解装置および基板洗浄ユニットの動作について説明する。
【0036】
まず、図2に示すような気泡発生器10に対して、純水およびNガスが供給される。具体的には、気泡発生器10の円筒形のケーシング16内の中空部分に純水が送られ、この純水は図2において右方に流れる。一方、Nガスはガス導入管18によりケーシング16内の純水に混入させられる。更に具体的には、Nガスはガス導入管18に形成された多数の非常に小さな貫通孔18aを介してケーシング16内の純水に送られ、この貫通孔18aを通過する際に気泡となる。なお、ガス導入管18からは、ケーシング16内の純水に対してNガスが過飽和状態となるよう、Nガスが供給される。このため、この純水の中には飽和しきれなかった気泡が残ることとなる。この際に、ガス導入管18が流路に対して垂直方向に配設され、当該ガス導入管18の長手方向に沿って所定の間隔で非常に小さな貫通孔18aが多数形成されているので、純水にNガスを均一に混合させることができる。
【0037】
次に、気泡を含む純水は壁部材20の表面20bに衝突する。この衝突により発生する衝突エネルギーにより、Nガスの気泡が粉砕されて当該気泡の径が小さくなる。具体的には、気泡は例えば1ミリメートル以下の大きさとなるよう粉砕される。ここで、図3に示すように、壁部材20に貫通孔20aが同心円状に形成されていることにより、Nガスの気泡を各貫通孔20aに均等に分配することができる。
【0038】
その後、気泡を含む純水は流路22に送られる。ここで、流路22には絞り部が複数設けられている。なお、絞り部とは、前述のように純水の流れ方向に直交する流路断面の面積がこの純水の流れ方向に沿って小さくなるような部分のことをいい、具体的には、例えば図4における矢印Aで示す流路断面から矢印Bで示す流路断面までの間の流路や、矢印Cで示す流路断面から矢印Dで示す流路断面までの間の流路のことを指す。気泡を含む純水が複数の絞り部を有する流路22を通過することにより、気泡が更に微小化する。なぜならば、純水が絞り部を通過することによりこの純水にかかる圧力(水圧)が大きくなるからである。図2に示すような気体溶解装置においては、第1の流路形成部材16aおよび第2の流路形成部材17aが階段形状となっており、流路22において純水が絞り部を複数回通過するので、この純水の圧縮・膨張が繰り返し行われる。気泡を含む純水の圧縮・膨張が繰り返し行われることにより、この気泡は段階的にその径が小さくなることとなり、最終的には純水に含まれる気泡は微小化されることとなる。
【0039】
なお、流路22に設けられる絞り部について、この流路22内における上流側ではその断面面積が大きく、下流側に進むに従って絞り部の断面面積が徐々に小さくなることが好ましい。具体的には、気泡粉砕部Bにおける矢印Aで示す流路断面から矢印Bで示す流路断面までの間の絞り部が最も大きく、下流側に進むに従って絞り部が徐々に小さくなり、気泡粉砕部Cにおける矢印Gで示す流路断面から矢印Hで示す流路断面までの間の絞り部が最も小さくなっていることが好ましい。このことにより、純水に含まれる気泡をより微小化させることができるようになる。
【0040】
流路22を通過した純水はフィルター30に送られる。このフィルター30において、純水の中に含まれるNガスの気泡のうち一定径、例えば1ミクロン以上の気泡が除去される。一方、微小径の気泡は純水の中に溶存したままの状態となる。
【0041】
このようにして気体溶解装置において形成された気泡を含む純水は、図6に示すように純水供給管46を介して各供給部44a、44b、44cから洗浄槽40内に供給される。ここで、洗浄されるべきウエハWの位置により、バルブ48a、48b、48cの切り換えが行われ、対応する所望の供給部44a、44b、44cから洗浄槽40内に気泡を含む純水が供給されることとなる。洗浄槽40内に気泡を含む純水が満たされた状態で、ウエハWがこの洗浄槽40内に浸けられて保持具42により保持される。更に、超音波照射装置60により洗浄槽40内の純水に超音波が照射され、この超音波によってウエハWが振動させられることにより当該ウエハW上のパーティクルが除去される。ここで、純水の中に微小径の気泡が含まれるので、ウエハ上の微細なパターンへ大きなダメージを与えることなくこのパーティクルの除去性能を向上させることができる。
【0042】
より具体的に説明すると、洗浄槽40に送られる純水に含まれる気泡の粒径を、超音波の半波長(λ/2=V/2f)以下、好ましくは半波長の10分の1(V/20f)以下とすると超音波の伝播が阻害されにくくなるため、超音波照射装置の出力を過度に大きくする必要がなくなり、パターンへのダメージが低減される。なお、上記式において、λ(V/f)は超音波の波長であり、fは周波数であり、Vは水中における音速(約1500m/sec)である。具体例を用いて説明すると、周波数が例えば1MHzの場合、気泡の粒径は0.75mm以下であることが好ましく、0.075mm(75ミクロン)以下であることがより好ましい。この場合、フィルター30のメッシュの大きさも例えば0.75mm以下であることが好ましく、0.075mm以下であることがより好ましい。
【0043】
以上のように本実施の形態の気体溶解装置および気体溶解方法によれば、ガス導入管18により純水にNガスを混合させた後、絞り部を2つ以上有するような流路22に対してNガスが混合させられた純水を送るようになっており、この絞り部は純水の流れ方向に直交する流路断面の面積がこの純水の流れ方向に沿って小さくなるよう構成されている。このように、Nガスが純水に混合させられた後、このNガスの気泡を含む純水が複数の絞り部を有する流路22を通過することにより、気泡が微小化する。なぜならば、純水が絞り部を通過することによりこの純水にかかる圧力(水圧)が大きくなるからである。ここで、流路22において純水が絞り部を複数回通過するので、この純水の圧縮・膨張が繰り返し行われる。気泡を含む純水の圧縮・膨張が繰り返し行われることにより、この気泡は段階的にその径が小さくなることとなり、最終的には純水に含まれる気泡は微小化されることとなる。なお、絞り部は流路22に複数設けられており、気泡は段階的にその径が小さくなるので、絞り部が一つしかなく純水に急激に圧力が加えられるような構造のものと比較して、この流路22における圧力損失を小さなものとすることができる。このようにして、純水にNガスを溶解させるにあたり、シンプルかつ安価な部材により微小径の気泡を有する純水を生成することができ、また、気泡の粒径を微小とする条件下において純水に対するNガスの溶存濃度を高くすることができる。
【0044】
また、流路22の下流側に、純水に含まれる気泡のうち一定径以上の気泡を除去するフィルター30を更に設けたことにより、このフィルター30で径の比較的大きな気泡を除去することができ、最終的に生成される純水について、この純水に含まれる気泡をその径が微小なもののみとすることができる。
【0045】
また、ガス導入管18と流路22との間に、純水が衝突してこの純水に含まれる気泡が粉砕されるような壁部材20を更に設けたことにより、この壁部材20に純水が衝突したときに発生する衝突エネルギーによりこの純水に含まれる気泡が粉砕されてその径が小さくなるので、流路22に送られる純水に含まれる気泡を、予めその径が小さなものとすることができる。
【0046】
また、本実施の形態の基板洗浄ユニットは、上述の気体溶解装置と、Nガスが溶解している純水がこの気体溶解装置から送られ、当該純水にウエハWを浸すことによりこのウエハWの洗浄を行う基板洗浄装置35とを備えている。また、本実施の形態の基板洗浄方法は、上述の気体溶解方法により生成された、Nガスが溶解している純水にウエハWを浸すことによりこのウエハWの洗浄を行う。このため、ウエハWの洗浄に使用される純水に含まれる気泡を、その径が微小なもののみとすることができ、ウエハWの洗浄を確実に行うことができる。
【0047】
なお、本実施の形態による気体溶解装置および気体溶解方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、図7(a)(b)に示すように、略円柱形状の芯棒部材17に対する第2の流路形成部材17aの取り付け位置を、スペーサー17sにより自在に変更することができるようになっていてもよい。具体的には、略円柱形状の芯棒部材17に対する第2の流路形成部材17aの取り付け位置を調整するためのスペーサー17sは、図7(a)(b)に示すように薄い輪状のものからなり、芯棒部材17に嵌めることができるような大きさとなっている。このスペーサー17sは複数枚(図7では例えば6枚)設けられており、第2の流路形成部材17aに対する上流側(図7の左側)および下流側(図7の右側)のスペーサー17sの設置枚数を変更することにより、芯棒部材17に対する第2の流路形成部材17aの取り付け位置を変更することができる。
【0048】
具体的には、図7(a)においては第2の流路形成部材17aの上流側(図7の左側)にスペーサー17sが6枚設置されており、第1の流路形成部材16aと第2の流路形成部材17aとの間の距離は比較的大きくなっている。一方、図7(b)に示すように、第2の流路形成部材17aの上流側にスペーサー17sを2枚、下流側にスペーサー17sを4枚設置するようスペーサー17sの配置を変更すると、第1の流路形成部材16aと第2の流路形成部材17aとの間の距離を小さくすることができる。
【0049】
而して、このようなスペーサー17sを用いることにより、第1の流路形成部材16aと第2の流路形成部材17aとの間の距離が調整可能となっているので、これらの間に形成される流路22の断面積(純水の流れ方向に直交する流路断面の面積)を変更することができる。このため、この流路22を通過した後の純水に含まれる気泡がより微小なものとなるよう、第1の流路形成部材16aと第2の流路形成部材17aとの間の距離を調整することができる。
【0050】
また、本実施の形態の他の変形例について図8を用いて説明する。図2に示すような気体溶解装置の気泡発生器10においては、流路22を形成する部分における第1の流路形成部材16aおよび第2の流路形成部材17aがそれぞれ階段形状となっており、これらの間に形成される流路22は2つの多段式の気泡粉砕部B、Cを有するようになっているが、気体溶解装置に設けられる流路はこのような態様に限定されることはない。
【0051】
すなわち、例えば図8に示すように、第1の流路形成部材16bおよび第2の流路形成部材17bについて、これらの間に形成される流路22aが2つのみの絞り部を有するような形状となっていてもよい。具体的には、図8に示す気泡発生器10aには流路22aが形成されており、この流路22aを通過する純水の流れ方向に直交する流路断面は、図8の矢印A、B、C、D、E等で示される。ここで、図8に示すように矢印Bで示す流路断面は矢印Aで示す流路断面よりも小さくなっており、また矢印Dで示す流路断面は矢印Cで示す流路断面よりも小さくなっている。このため、流路22aは、矢印Aで示す流路断面から矢印Bで示す流路断面までの間の第1の絞り部と、矢印Cで示す流路断面から矢印Dで示す流路断面までの間の第2の絞り部とを有することとなる。
【0052】
このことにより、純水が流路22aを通過する際に、第1の絞り部および第2の絞り部でそれぞれこの純水は圧縮されることとなる。このように、流路22aが2つの絞り部を有していることにより、図8に示すような気泡発生器10aを備えた気体溶解装置は、図2に示すような気泡発生器10を備えた気体溶解装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
上述のように、本発明において、気体溶解装置について流路が2つ以上の絞り部を有するものであれば、その流路の形状は図2に示すようなものに限定されることはなく、様々の変更を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態における気体溶解装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図2】図1の気体溶解装置の縦断面図である。
【図3】図2の気体溶解装置のA−A矢視断面図である。
【図4】図2の気体溶解装置において符号Bで示される領域の拡大図である。
【図5】図2の気体溶解装置において符号Cで示される領域の拡大図である。
【図6】図1に示す気体溶解装置を備えた基板洗浄ユニットの構成の概略を示す構成図である。
【図7】(a)(b)は、本実施の形態における気体溶解装置の他の構成を示す部分縦断面図である。
【図8】本実施の形態における気体溶解装置の更に他の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10、10a 気泡発生器
12 流量計
14 流量調整バルブ
16 ケーシング
16a、16b 第1の流路形成部材
17 芯棒部材
17a、17b 第2の流路形成部材
17s スペーサー
18 ガス導入管
18a 貫通孔
20 壁部材
20a 貫通孔
20b 表面
22、22a 流路
30 フィルター
35 基板洗浄装置
40 洗浄槽
42 保持具
44a 上方供給部
44b 中央供給部
44c 下方供給部
46 純水供給管
48a、48b、48c バルブ
50 オーバーフロー槽
52 ドレン槽
60 超音波照射装置
【出願人】 【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
【出願日】 平成18年8月8日(2006.8.8)
【代理人】 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次

【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之

【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平

【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁

【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基


【公開番号】 特開2008−36557(P2008−36557A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−215719(P2006−215719)