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【発明の名称】 微細気泡の生成方法及び微細気泡生成装置
【発明者】 【氏名】城田 農

【氏名】真田 俊之

【氏名】渡部 正夫

【要約】 【課題】微細な微細気泡を精度よく生成可能とした微細気泡の生成方法及び微細気泡生成装置を提供する。

【構成】液体を貯留した容器と、気体を案内して、所定位置に設けた放出口から気体を放出する導管と、この導管内の気体を加圧して放出口から気体を放出させる加圧手段とを備え、放出口を容器内の液体中に浸漬させて、微少量の気体を液体中に放出させて微細気泡を生成する微細気泡生成装置及び微細気泡の生成方法において、加圧手段では、導管内の気体を加圧した後に減圧することにより放出口から放出中の気体に付加質量力を作用させて、この付加質量力で放出口からの離脱を促して微細気泡を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を案内する導管に設けた放出口を液体中に浸漬させ、前記導管内の気体を加圧手段で加圧することにより前記放出口から前記液体中に放出させて、前記放出口から離脱させることにより微細気泡を生成する生成方法において、
前記導管内の気体を減圧することにより前記放出口から放出中の気体に付加質量力を作用させ、この付加質量力によって前記放出口から前記微細気泡を離脱させていることを特徴とする微細気泡の生成方法。
【請求項2】
前記加圧手段は、振動させることによって前記導管内の前記気体を所定周期で加圧する振動体と、この振動体の振動状態を制御する振動制御部とで構成し、前記振動体で前記導管内の前記気体を減圧して前記付加質量力を生じさせていることを特徴とする請求項1記載の微細気泡の生成方法。
【請求項3】
液体を貯留した容器と、
気体を案内して、所定位置に設けた放出口から前記気体を放出する導管と、
この導管内の前記気体を加圧して前記放出口から前記気体を放出させる加圧手段と
を備え、前記放出口を前記容器内の前記液体中に浸漬させて、前記放出口から前記気体を前記液体中に放出させて、前記放出口から離脱させることにより微細気泡を生成する微細気泡生成装置において、
前記加圧手段では、前記導管内の前記気体を加圧した後に減圧することにより前記放出口から放出中の気体に付加質量力を作用させて、この付加質量力で前記放出口から前記微細気泡を離脱させていることを特徴とする微細気泡生成装置。
【請求項4】
前記加圧手段は、振動させることによって前記導管内の前記気体を所定周期で加圧する振動体と、この振動体の振動状態を制御する振動制御部とで構成し、
前記振動制御器は、前記振動体を振動させることにより前記導管内の前記気体を加圧した後に減圧していることを特徴とする請求項3記載の微細気泡生成装置。
【請求項5】
前記振動体はスピーカのコーンとし、前記振動制御部は、所定波形の信号を生成する信号発生器と、この信号発生器で生成された信号に基づいて前記スピーカを駆動させる駆動振動を生成するアンプとしたことを特徴とする請求項4記載の微細気泡生成装置。
【請求項6】
前記信号発生器では、前記導管内の前記気体を加圧する加圧領域と、この加圧領域の後に前記導管内の前記気体を減圧する減圧領域と、この減圧領域の後に前記導管内の前記気体を再度減圧する再減圧領域を有する波形の信号を生成していることを特徴とする請求項5記載の微細気泡生成装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、直径が1mmよりも小さいサイズの気泡である微細気泡を液体中に生成する微細気泡の生成方法及び微細気泡生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、船舶、医療、食品、農業、化学工業などの多岐にわたる分野において、微細気泡の利用が検討され、一部では実用化されている。
【0003】
微細気泡とは、現在のところ一般的な定義はないが、通常は直径が数mmよりも小さいサイズの気泡であって、直径が小さければ小さいほど望ましいと考えられている。なお、微細気泡はマイクロバブルと呼ばれることもある。
【0004】
このような微細気泡の生成方法としては様々な方法が提案されている。例えば、液体を移送する移送管と、この移送管内の液体に加圧気体を送り込んで気泡を生成する加圧気体供給手段と、この加圧気体供給手段で生成された気泡混じりの液体に超音波を印加する超音波印加手段を設けて、超音波によって気泡を微細化して微細気泡を生成する微細気泡の生成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このような微細気泡の生成方法では、微細な気泡を大量に生成することはできるが、少量の微細気泡の生成や、均一な大きさとなった微細気泡の生成を制御することは極めて困難であった。
【0006】
特に、微細気泡の振る舞いや特性などを理解するためには、所定の大きさの微細気泡を高い均一性をもって生成することが必要であった。
【0007】
そこで、所望の大きさの微細気泡を精度良く生成する方法として、スピーカのコーンの振動で生成した空気の圧力変動を利用して微細気泡を生成する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0008】
すなわち、この微細気泡の生成方法では、空気を案内する導管の一方の端部をスピーカのコーンの前方に配置して、コーンの振動で生成した空気の圧力変動を導管で導くとともに、導管の他方の端部近傍に設けた微小径の開口で構成した放出口から空気を圧力変動にともなって押し出させている。つまり、この微細気泡の生成方法では、空気を圧送するピストンとしてスピーカのコーンを用いているものである。なお、放出口が設けられた導管の端部は、放出口以外から空気が漏出しないように閉塞している。
【0009】
そして、導管は、放出口の部分を水などの液体中に浸漬させることにより、放出口から放出されて離脱した空気から単一の微細気泡を生成している。生成された微細気泡は、微細気泡自体の浮力によって水中を浮上する。
【0010】
ここで、スピーカには前側面に平板状の板体を装着して、スピーカの前側面部分に閉塞空間を形成しており、スピーカ側の導管の端部はこの板体に装着して、コーンで生成した圧力変動のエネルギーの散逸を抑制しながら導管内に効率よく導いている。このとき、閉塞空間には空気を適宜供給して、導管の放出口から放出された分の空気を閉塞空間内に供給している。
【0011】
このように、スピーカで生成した圧力変動を利用して導管から空気を押し出すことにより放出し、離脱させて微細気泡を形成することにより、コーンの振動制御が容易なことから、単一の微細気泡を発生させることができる。
【特許文献1】特開平08−230763号公報
【非特許文献1】仮屋崎 侃、逢坂 昭治,「発生気泡の制御(付加された気流速度の変動が気泡発生に与える影響)」,日本機械学会論文集,社団法人日本機械学会,2002年10月,68巻,674号,B編,p.2712−2718
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、スピーカで生成した圧力変動を利用した微細気泡の生成方法では、微細気泡の小径化が困難であるという問題があった。
【0013】
すなわち、微細気泡を小径化するためには、放出口の開口面積を小さくすればよいが、放出口の開口面積を小さくした場合には、放出口から空気を送り出させるために空気に加える圧力が高くなり、高圧力で空気を押し出すと気体圧力の高い気泡が生成されるため、生成した気泡に爆発的な膨脹が生じて微細な気泡を生成できないという不具合があった。
【0014】
したがって、放出口の開口面積と、放出口から気体を押し出す気体圧力とから、生成可能な微細気泡の大きさが規制されることとなり、直径が1mm程度までの微細気泡しか生成できなかった。
【0015】
本発明者らはこのような現状に鑑み、より微細な微細気泡を精度良く生成可能とするために研究開発を行い、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の微細気泡の生成方法では、気体を案内する導管に設けた放出口を液体中に浸漬させ、導管内の気体を加圧手段で加圧することにより放出口から液体中に放出させて、放出口から離脱させることにより微細気泡を生成する生成方法において、導管内の気体を減圧することにより放出口から放出中の気体に付加質量力を作用させ、この付加質量力によって放出口から微細気泡を離脱させることとした。
【0017】
さらに、加圧手段は、振動させることによって導管内の気体を所定周期で加圧する振動体と、この振動体の振動状態を制御する振動制御部とで構成し、振動体で導管内の気体を減圧して付加質量力を生じさせていることにも特徴を有するものである。
【0018】
また、本発明の微細気泡生成装置では、液体を貯留した容器と、気体を案内して、所定位置に設けた放出口から気体を放出する導管と、この導管内の気体を加圧して放出口から気体を放出させる加圧手段とを備え、放出口を容器内の液体中に浸漬させて、放出口から気体を液体中に放出させて、放出口から離脱させることにより微細気泡を生成する微細気泡生成装置において、加圧手段では、導管内の気体を加圧した後に減圧することにより放出口から放出中の気体に付加質量力を作用させて、この付加質量力で放出口から微細気泡を離脱させていることとした。
【0019】
さらに、以下の点にも特徴を有するものである。すなわち、
(1)加圧手段は、振動させることによって導管内の気体を所定周期で加圧する振動体と、この振動体の振動状態を制御する振動制御部とで構成し、振動制御器は、振動体を振動させることにより導管内の気体を加圧した後に減圧していること。
(2)振動体はスピーカのコーンとし、振動制御部は、所定波形の信号を生成する信号発生器と、この信号発生器で生成された信号に基づいてスピーカを駆動させる駆動振動を生成するアンプとしたこと。
(3)信号発生器では、導管内の気体を加圧する加圧領域と、この加圧領域の後に導管内の気体を減圧する減圧領域と、この減圧領域の後に導管内の気体を再度減圧する再減圧領域を有する波形の信号を生成していること。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、気体を案内する導管に設けた放出口を液体中に浸漬させ、導管内の気体を加圧手段で加圧することにより放出口から液体中に放出させて、放出口から離脱させることにより微細気泡を生成する生成方法において、導管内の気体を減圧することにより放出口から放出中の気体に付加質量力を作用させ、この付加質量力によって放出口から微細気泡を離脱させていることによって、放出口から微細気泡を強制的に離脱させることができ、より微細な微細気泡を生成できる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の微細気泡の生成方法において、加圧手段は、振動させることによって導管内の気体を所定周期で加圧する振動体と、この振動体の振動状態を制御する振動制御部とで構成し、振動体で導管内の気体を減圧して放出中の気体に付加質量力を作用させていることによって、極めて容易に付加質量力を生じさせることができるとともに、付加質量力の大きさ及び発生のタイミングを振動体の振動制御によって容易に調整できる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、液体を貯留した容器と、気体を案内して、所定位置に設けた放出口から気体を放出する導管と、この導管内の気体を加圧して放出口から気体を放出させる加圧手段とを備え、放出口を容器内の液体中に浸漬させて、放出口から気体を液体中に放出させて、放出口から離脱させることにより微細気泡を生成する微細気泡生成装置において、加圧手段では、導管内の気体を加圧した後に減圧することにより放出口から放出中の気体に付加質量力を作用させて、この付加質量力で放出口から微細気泡を離脱させていることによって、放出口から微細気泡を強制的に離脱させることができるので、より微細な微細気泡を生成可能とした微細気泡生成装置を提供できる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の微細気泡生成装置において、加圧手段は、振動させることによって導管内の気体を所定周期で加圧する振動体と、この振動体の振動状態を制御する振動制御部とで構成し、振動制御器は、振動体を振動させることにより導管内の気体を加圧した後に減圧していることによって、放出中の気体に作用させる付加質量力の大きさ及び発生のタイミングを振動制御器による振動体の振動制御に基づいて容易に調整可能とした微細気泡生成装置を提供できる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の微細気泡生成装置において、振動体はスピーカのコーンとし、振動制御部は、所定波形の信号を生成する信号発生器と、この信号発生器で生成された信号に基づいてスピーカを駆動させる駆動振動を生成するアンプとしたことによって、導管内の気体の加圧または減圧の制御を極めて容易に精度よく行うことができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の微細気泡生成装置において、信号発生器では、導管内の気体を加圧する加圧領域と、この加圧領域の後に導管内の気体を減圧する減圧領域と、この減圧領域の後に導管内の気体を再度減圧する再減圧領域を有する波形の信号を生成していることによって、加圧領域に基づく導管内の気体の加圧によって放出口から1つの微細気泡だけを確実に放出させることができ、微細気泡の確実な生成制御が可能な微細気泡生成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の微細気泡の生成方法及び微細気泡生成装置では、空気を導く導管を液体中に浸漬させて、液体中の導管の所定位置に設けた放出口から液体中に気体を放出させて微細気泡を生成しているものであり、特に、導管内の気体を加圧手段で加圧することにより放出口から気体を放出させるとともに、所定のタイミングで導管内の気体を減圧することにより放出中の気体に付加質量力を作用させて、放出口からの強制的な離脱を生じさせることによってより微細な微細気泡を生成可能としているものである。
【0027】
このように付加質量力によって放出口からの強制的な離脱を生じさせて微細気泡を生成することにより、微細気泡の大きさを制御しやすくすることができ、微細気泡のさらなる微細化を可能とすることができる。
【0028】
付加質量力は導管内の気体を減圧することによって容易に生成でき、導管内の気体の減圧は、導管内の気体を加圧する加圧手段を、振動することによって導管内の気体を所定周期で加圧する振動体と、この振動体の振動状態を制御する振動制御部とで構成して、振動体の振動に基づいて生じさせている。
【0029】
特に、振動体はスピーカのコーンで構成し、振動制御部はスピーカを駆動させる駆動振動を生成するための信号発生器とアンプとで構成することによって、コーンを所望のタイミングで、導管内の気体が所望の減圧状態となるように振動させることができるので、付加質量力の大きさ及び発生のタイミングを極めて容易に調整できる。
【0030】
以下において、図面に基づいて本発明の実施形態を詳説する。図1は、本実施形態の微細気泡生成装置の概略模式図である。
【0031】
微細気泡生成装置は、液体を貯留した容器10と、この容器10内の液体中で微細気泡を生成するために気体を案内する導管20と、この導管20内の気体を加圧するための加圧手段としてのスピーカ31を備えている。本実施形態では、容器10内の液体は純水であり、微細気泡となる気体は空気である。
【0032】
スピーカ31は、一般的なオーディオスピーカであって、本実施形態ではフォスター電機株式会社製のFF125Kを用いている。
【0033】
スピーカ31は、矩形体状とした貯気室32の一つの側壁の内側面に先端縁を当接させて装着し、スピーカ31のコーンと側壁とで包囲された円錐状の圧力変動空間を形成している。
【0034】
貯気室32内は、精密圧力コントローラ33から供給された空気によって所定気圧としている。スピーカ31のコーンは空気を透過可能としており、貯気室32内の気圧と圧力変動空間内の気圧とはほぼ等しくなっている。精密圧力コントローラ33としては、GE Druck社製のDPI520を用いている。貯気室32内の気圧は、気泡の発生に必要となる臨界圧力より0.5kPa程度低い圧力としている。
【0035】
スピーカ31には、所定波形の信号を生成する信号発生器34と、この信号発生器34で生成した信号を増幅して出力するアンプ35とで生成した駆動信号を入力しており、駆動信号に基づいてスピーカ31のコーンを振動させて圧力変動空間の空気に所望の圧力変動を生じさせている。本実施形態では、信号発生器34は株式会社エヌエフ回路設計ブロック製のWF1946−A、アンプは株式会社ケンウッド製のKAF−3030Rを用いている。
【0036】
導管20は、本実施形態では、外径6mm、内径4mmのナイロン製チューブとしており、先端を閉塞するとともに、先端近傍の壁面にドリル加工によって直径約0.1mmの開口を設けて放出口21としている。なお、導管20及び放出口21は、この形態に限定されるものではなく、所望の微細気泡の大きさ及び生成量などに応じて適宜の導管20を用いてもよく、特に放出口21は1つだけでなく複数設けてもよい。
【0037】
また、放出口21は、導管20を容器10内に配設した際に必ずしも上方に向けて配設する必要はなく、下方に向けて配置してもよいし、側方に向けて配置してもよい。本実施形態では、導管20は、放出口21を上方に向けて容器10内に配設している。
【0038】
導管20の基端は、スピーカ31に面した貯気室32の側壁に、この側壁を貫通させて装着し、圧力変動空間と導管20内とを連通させて、圧力変動空間における空気の圧力変動にともなって導管20内の空気にも圧力変動を生じさせている。なお、導管20の基端は必ずしも貯気室32の側壁を貫通させる必要はなく、例えば貯気室32の側壁の所定位置に導管20の基端を装着可能としたコネクタ(図示せず)を配設しておき、コネクタを介して導管20を圧力変動空間に連通させてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、放出口21における気体圧力変動を計測するために、スピーカ31に面した貯気室32の側壁には導管20と同じナイロン製チューブで構成した圧力計測用導管40の一端を装着し、圧力計測用導管40の他端に精密圧力トランスデューサ41を装着している。精密圧力トランスデューサ41はGE Druck社製のPDCR4000を用い、この精密圧力トランスデューサ41の出力信号を直流アンプで増幅して波形記録装置(図示せず)に入力して、放出口21における気体圧力変動を計測している。波形記録装置は、日置電気株式会社製の8835−01を用い、サンプリング速度を1μsとしている。
【0040】
本実施形態の微細気泡生成装置では、スピーカ31から放出口21までの導管40は音響管となるので、圧力計測用導管40は導管40と同じ長さとすることにより放出口21における気体圧力変動を正確に計測可能としている。
【0041】
また、導管40が音響管となることによって、導管40では離散的なスピーカ駆動周波数の音波が卓越することとなって、余剰な圧力変化が生じるので、本実施形態では、安定性を考慮してそのような共振周波数を避けてスピーカ31を駆動させている。なお、余剰な圧力変化を利用する場合や、余剰な圧力変化の影響を受けないならば、共振周波数あるいはその近傍の周波数を用いてもよい。
【0042】
ちなみに、本実施形態のような一端開口端の共振周波数fは、空気音速をc、導管40の長さをL、開口端補正長さをLeとすると、次の式によって与えられる。
【0043】
【数1】


【0044】
本実施形態では、後述するようにスピーカ31を駆動させる信号を生成しているが、それらは、正弦波1波換算の周波数で、500Hz、及び333Hzとしている。
【0045】
微細気泡生成装置では、図示しない高速度カメラで放出口21での空気の押し出し状態を記録しており、放出口21の圧力変動と微細気泡の生成状態との相関性を確認可能としている。特に、高速度カメラには、信号発生器34から同期信号を入力して、スピーカ31の駆動信号に同期させて撮影を行っている。本実施形態では、高速度カメラは株式会社ノビテック製のPhantomV4.2を用い、気泡発生の全過程を対象とした撮影では7,813fpsで、気泡の離脱の瞬間を対象とした撮影では22,000psで撮影を行っている。露光時間はいずれの場合も20μsとしている。
【0046】
このように構成した微細気泡生成装置において、図2(a)に示すように、長さ0.5ms、振幅15.4V、位相0で1/4正弦波形の波形形状とした加圧パルスP1を有する第1駆動信号をスピーカ31に入力してコーンを前進移動させることにより、圧力変動空間の空気及び導管20の空気を加圧している。これにより、図2(b)に示す放出口21における圧力変動曲線が得られ、図3(a)に示すように放出口21から1つの微細気泡Bが放出された。
【0047】
図2(b)中、gは高速度カメラでの撮影結果に基づく放出口21からの空気の押し出しによる気泡の成長の開始タイミングを示しており、sは高速度カメラでの撮影結果に基づく放出口21からの微細気泡の離脱タイミングを示している。
【0048】
図2(b)に示すように、スピーカ31から放出口21までの圧力波形の伝播時間は約5msであって、気泡の成長開始時刻は約5.4msで、このときの放出口21の気体圧力変動の大きさは1kPa程度であった。生成された微細気泡Bの半径は0.8mm程度であった。
【0049】
次に、図4(a)に示すように、第1駆動信号における加圧パルスP1の後に、長さ1.5ms、振幅22.5V、位相πで1/2正弦波形の波形形状とした減圧パルスP2を有する第2駆動信号をスピーカ31に入力することにより、加圧パルスP1に基づいてコーンを前進移動させて圧力変動空間の空気及び導管20の空気を加圧した後、減圧パルスP2に基づいてコーンを後退移動させて圧力変動空間の空気及び導管20の空気を減圧ししている。これにより、図4(b)に示す放出口21における圧力変動曲線が得られ、図3(b)に示すように放出口21から2つの微細気泡が放出された。
【0050】
減圧パルスP2は、加圧パルスP1と所定の時間間隔Tdの隔たりを設けている。本実施形態では、時間間隔Tdを2msとしている。
【0051】
図4(b)に示すように、1つめの微細気泡は、放出口21における圧力が減圧状態となることにより放出口21から強制的に離脱されている。1つめの微細気泡の離脱時における放出口21の圧力の振幅は2.5kPaであった。
【0052】
このように、導管20内の空気を減圧パルスP2に基づいて減圧状態とすることにより、放出口21から膨出状に放出されている放出中の気体に付加質量力を作用させることができる。以下において、説明の便宜上、放出口21から膨出状に放出されている放出中の気体を「未離脱気泡」と呼ぶことにする。
【0053】
未離脱気泡に付加質量力が作用すると、未離脱気泡と放出口21との間に毛管架橋が生じ、未離脱気泡の放出口21からの離脱を促進させているものと考えられる。
【0054】
このように、未離脱気泡に付加質量力を作用させることによって未離脱気泡の放出口21からの離脱を促すことができることから、導管20内の空気を減圧するタイミングを調整することによって、このタイミングで未離脱気泡に付加質量力を作用させて放出口21からの強制的な離脱を生じさせ、放出口21から離脱させた微小気泡を生成することができる。
【0055】
なお、第2駆動信号でスピーカ31を駆動させた場合には、図4(b)及び図3(b)に示すように、2つの微細気泡が生成されている。
【0056】
これは、第2駆動信号中の減圧パルスP2が、導管20端部による固定端反射、及びスピーカ31による自由端反射することによって導管20内に加圧パルスを生じさせているためであり、この加圧パルスに基づいて2つめの微細気泡の放出が行われているものである。
【0057】
そこで、図5(a)に示すように、第2駆動信号における減圧パルスP2の後に、長さ1.5ms、振幅16.5V、位相πで1/2正弦波形の波形形状とした再減圧パルスP3を有する第3駆動信号をスピーカ31に入力して、減圧パルスP2の反射によって生成された加圧パルスを再減圧パルスP3で打ち消すことにより、図5(b)に示す放出口21における圧力変動曲線となって、図3(c)に示すように放出口21から1つの微細気泡のみを放出することができる。
【0058】
このように、スピーカ31を駆動信号で駆動させる場合に、駆動信号には、気泡の成長を促す加圧パルスP1の領域と、放出口21から気泡を離脱させる付加質量力を生じさせる減圧パルスP2の領域と、この減圧パルスP2の反射波として生じる加圧パルスを打ち消す再減圧パルスP3の領域とを設けることにより、単一の微細気泡を確実に生成することができる。
【0059】
さらに、第3駆動信号を連続的にスピーカ31に入力してコーンを適宜振動させることにより、単一の微細気泡を連続的に生成することができる。
【0060】
特に、未離脱気泡を減圧パルスP2によって強制的に放出口21から離脱させて微細気泡とすることにより、微細気泡の大きさの制御を行いやすくすることができ、しかも、微細気泡の大きさの制御は、加圧パルスP1後の減圧パルスP2との時間間隔Tdで調整することができる。
【0061】
第3駆動信号を用いて、それぞれの時間間隔Tdで微細気泡を生成した際の微細気泡の半径の平均値と標準偏差を下表に示す。
【0062】
【表1】


【0063】
ここで、各時間間隔Tdでは、それぞれ10個の微細気泡を生成して、気泡の写真撮影を行い、半径をそれぞれ測定し平均値を求めるとともに標準偏差を求めたものである。時間間隔Tdによらず、微細気泡の半径の標準偏差は約1μmであって、極めて均一な微細気泡が生成できていることがわかる。
【0064】
図6は、表1の結果をプロットしたグラフであって、図6の破線は、第1駆動信号での気泡半径の時間発展を示している。ただし、破線に示される気泡成長の開始時間は、Td=0と合わせるために、加圧パルスP1の幅分(0.5ms)だけずらしている。この破線と表1の結果のプロットとが概ね一致することから、微細気泡の半径は気泡半径の時間発展から予測可能であることが分かり、所望の半径の微細気泡を容易に得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態に係る微細気泡生成装置の概略模式図である。
【図2】(a)第1駆動信号の波形曲線を示すグラフ、(b)第1駆動信号に基づく放出口の圧力変動曲線を示すグラフである。
【図3】生成された微細気泡の写真である。
【図4】(a)第2駆動信号の波形曲線を示すグラフ、(b)第2駆動信号に基づく放出口の圧力変動曲線を示すグラフである。
【図5】(a)第3駆動信号の波形曲線を示すグラフ、(b)第3駆動信号に基づく放出口の圧力変動曲線を示すグラフである。
【図6】加圧パルスの終了後から減圧パルスの開始までの時間間隔と、得られた発生気泡の半径との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0066】
10 容器
20 導管
21 放出口
31 スピーカ
32 貯気室
33 精密圧力コントローラ
34 信号発生器
35 アンプ
40 圧力計測用導管
41 精密圧力トランスデューサ
【出願人】 【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎


【公開番号】 特開2008−36502(P2008−36502A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−212624(P2006−212624)