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【発明の名称】 超微細気泡発生方法
【発明者】 【氏名】石井 恒雄

【氏名】河二 吉秀

【氏名】山口 英輝

【氏名】小出 実

【要約】 【課題】簡単な構造で超微細気泡を処理されるべき流体で発生させることができる超微細気泡発生方法及び発生装置並びに該発生装置を用いた処理装置を提供する。

【構成】超微細気泡発生方法は、処理される原流体に高圧流体を噴射して超微細気泡を発生させるが、前記高圧流体の噴射により形成される複数の噴射線が、前記原流体の所定の小領域内を通過するように、それぞれの噴射線の方向を異ならせることを特徴とする。例えば、噴射により形成される複数の噴射線が所定小領域内で交差するようにすることができる。この方法は、水系流体だけでなく、有機系流体に対しても適用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理される原流体に高圧流体を噴射して超微細気泡を発生させる超微細気泡発生方法であって、
前記高圧流体の噴射により形成される複数の噴射線が、前記原流体の所定の小領域内を通過するように、それぞれの噴射線の方向を異ならせることを特徴とする超微細気泡発生方法。
【請求項2】
前記所定の小領域は、前記噴射線の太さの2倍以下を典型的な長さとする略球であることを特徴とする請求項1に記載の超微細気泡発生方法。
【請求項3】
前記複数の噴射線は、異なる方向の3以上の噴射線を含み、いずれか2つの噴射線が前記所定の小領域内で所定の交差点で交差するときに、それ以外の噴射線のいずれも該交差点を通過しないことを特徴とする請求項1又は2記載の超微細気泡発生方法。
【請求項4】
更に、前記所定の小領域外であって第2の所定の小領域内に、前記所定の小領域内を通過する前記複数の噴射線とは異なる、第2の複数の噴射線が通過するように前記高圧流体を噴射することを特徴とする請求項1から3いずれか記載の超微細気泡発生方法。
【請求項5】
前記複数の噴射線は、共通する噴射方向成分を有し、これらの噴射方向成分により、前記源流体に流れを生じさせることを特徴とする請求項1から4いずれか記載の超微細気泡発生方法。
【請求項6】
前記高圧流体について、噴射前にイオン化処理を施すことを特徴とする請求項1から5いずれか記載の超微細気泡発生方法。
【請求項7】
前記原流体の所定の小領域近傍に、イオン化処理された気体を供給することを特徴とする請求項1から6いずれか記載の超微細気泡発生方法。
【請求項8】
前記イオン化処理された気体は、酸素を含むことを特徴とする請求項1から7いずれか記載の超微細気泡発生方法。
【請求項9】
前記原流体が、炭化水素を含むことを特徴とする請求項1から8いずれか記載の超微細気泡発生方法。
【請求項10】
請求項1から9いずれか記載の超微細気泡発生方法を用いた処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、超微細気泡発生方法及び発生装置に関し、より詳細には、高圧流体の噴射による超微細気泡発生方法及び発生装置で、更にはイオン化処理をも組み合わせた超微細気泡発生方法及び発生装置及び該発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、その高い内部圧力や表面の活性度の高さが、汚濁水の浄化、生体への適用、あるいは化学反応に有効利用できるものとして、超微細気泡(以下、「ナノバブル」ともいう。)が注目され、例えば、特許文献1及び2に当該ナノバブルの発生方法及び発生装置さらにはナノバブルの利用方法及び装置が提案されている。
【0003】
特許文献1、2に提案されるナノバブル発生方法は、電気分解装置と超音波発生装置を組み合わせたものであり、より具体的には、電気分解装置により発生する酸素やオゾンの気泡を電気分解装置の底部に設けられた超音波発生装置からの超音波振動で圧壊し、微細化し、ナノバブルを発生させるものである。
【特許文献1】特開2003−334548号公報
【特許文献2】特開2004−121962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のナノバブル発生装置でナノバブルを大量に発生させるためには、電気分解装置や超音波発生装置を大型化しなければならないが、それにより装置全体が複雑になるとともに、消費する電力量も増大し、結果として、ナノバブル発生コストが非常に高いものとなる。又、これらの装置では、廃水等の水系の流体の処理についてのみ記載があり、他の種類の流体への適用は全く考えられていない。
【0005】
近年、汚水や廃水の浄化処理が注目されているが、時間あたりの処理量が十分とは言い難い。更に、他の種類の流体において、種々の効能を付与することが望まれている。
【0006】
上記課題に鑑み、簡単な構造で超微細気泡を処理されるべき流体で発生させることができる超微細気泡発生方法及び発生装置並びに該発生装置を用いた処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の超微細気泡発生方法は、処理される原流体に高圧流体を噴射して超微細気泡を発生させるが、前記高圧流体の噴射により形成される複数の噴射線が、前記原流体の所定の小領域内を通過するように、それぞれの噴射線の方向を異ならせることを特徴とする。
【0008】
より具体的には、以下のものを提供する。
【0009】
(1)処理される原流体に高圧流体を噴射して超微細気泡を発生させる超微細気泡発生方法であって、前記高圧流体の噴射により形成される複数の噴射線が、前記原流体の所定の小領域内を通過するように、それぞれの噴射線の方向を異ならせることを特徴とする超微細気泡発生方法を提供することができる。
【0010】
ここで、流体とは廃水、汚水、その他の水系液体若しくは流体を含んでよく、ガソリン、軽油、重油等の炭化水素系の液体若しくは流体を含んでよく、その他の液体を含んでよい。また、高圧流体とは、圧力が5MPa以上、より好ましくは、10MPa以上、更に好ましくは、15MPa以上の流体を意味してよい。しかしながら、工業的な生産性等を考慮すれば、圧力が10MPa以下、より好ましくは、5MPa以下、更に好ましくは、1MPa以下の流体が望まれる。ここで、高圧流体は、原流体を圧縮して用いることができ、単にポンプ等により加圧してもよく、更に、別の処理を加えてもよい。特に、超微細気泡発生に好ましい、イオン化処理を施すことができる。
【0011】
噴射線とは、高圧流体の噴射によって形成される噴射された流体の噴射軌跡を描くものを意味してよい。ノズル等からの噴射による噴射線は、原流体内に形成される場合は、噴射線の回りの原流体との干渉により、噴射線は噴射直後からその境界が不明確になり易い。しかしながら、噴射直後の噴射線の方向にまっすぐに延びる線が、噴射線ということもできる。また、噴射線の太さとしては、高圧流体が噴射される噴射孔(例えば、ノズル)の直径(円若しくは略円形断面積の場合)を基準としてよい。噴射孔の形状が矩形、楕円形、その他の形状である場合は、一般に流体で用いられる特徴的な寸法をその太さとすることができる。
【0012】
噴射線の方向は、実質的に、高圧流体が噴射されるときの噴射方向に等しい。この噴射は、光等で用いられる用語に準じてコヒーレント(coherent)の比較的高いものが好ましい。従って、噴霧器のようにノズルを出た瞬間に半球状に広がる噴射はあまり好ましくない。異なる方向の噴射線が、所定の小領域内(これはある程度小さい領域であるが)を通過するため、噴射線同士が交差することがあってもよく、少なくとも2つの噴射線が交差することがより好ましい。このような複数の噴射線としては、立体的に等価な複数の位置から1点に向って噴射する場合を含むことができる。また、所定の平面内を2以上の噴射線が通過し、ある交差点で交差するように噴射する場合も含むことができる。例えば、所定の平面内に置かれた対向するノズルから、高圧流体を噴射させ、噴射線がぶつかり合う場合を含むことができる。
【0013】
(2)前記所定の小領域は、前記噴射線の太さの2倍以下を典型的な長さとする略球であることを特徴とする上記(1)に記載の超微細気泡発生方法を提供することができる。
【0014】
ここで、所定の小領域とは、原流体に仮想される領域であり、その形状は問わないが、球形、細長い球形(例えば、ラグビーボールのような形状、球を押しつぶされた扁平な形状、赤血球のような形状)であることが好ましい。典型的な長さは、一般に流体で用いられる特徴的な寸法を意味することができる。例えば、球の直径等である。
【0015】
(3)前記複数の噴射線は、異なる方向の3以上の噴射線を含み、いずれか2つの噴射線が前記所定の小領域内で所定の交差点で交差するときに、それ以外の噴射線のいずれも該交差点を通過しないことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の超微細気泡発生方法を提供できる。
【0016】
このような噴射線の例としては、ある仮想の平面内で、2つの噴射線が交差し、この第1の交差点とは異なる位置で、3つ目の噴射線がそれぞれ2つの噴射線と第2及び3の交差点で交差する場合であって、これらの3つの交差点が、所定の小領域内(この場合は、該仮想の平面内の平面状の領域内)にある場合がある。このとき、3つの交差点で囲まれた領域内が3つの噴射線の噴射方向により、渦を巻くように噴射することがより好ましい。原流体に渦を生じさせるきっかけとなり、これにより、原流体が十分に攪拌される効果があるからである。
【0017】
(4)更に、前記所定の小領域外であって第2の所定の小領域内に、前記所定の小領域内を通過する前記複数の噴射線とは異なる、第2の複数の噴射線が通過するように前記高圧流体を噴射することを特徴とする上記(1)から(3)いずれか記載の超微細気泡発生方法を提供できる。
【0018】
このように、所定の小領域(第1の小領域)以外に、第2の小領域が複数の噴射線の通過領域として設けられると、それぞれの小領域で、超微細気泡を発生させることができ、超微細気泡の発生量を多くすることができる。
【0019】
(5)前記複数の噴射線は、共通する噴射方向成分を有し、これらの噴射方向成分により、前記源流体に流れを生じさせることを特徴とする上記(1)から(4)いずれか記載の超微細気泡発生方法を提供できる。
【0020】
ここで、共通する噴射方向成分とは、各噴射線の噴射方向を分解した場合に、共通する方向成分のことを意味することができる。より具体的には、2つの噴射線が同一の噴射方向を有する場合、それぞれの噴射方向全てが共通する噴射方向成分となり、2つの噴射線が対向する方向に噴射される場合は、共通する噴射方向成分は無いことになる。このような共通する噴射方向成分により、原流体に影響を与え、一定の方向に原流体を流すようにすることができる。
【0021】
(6)前記高圧流体について、噴射前にイオン化処理を施すことを特徴とする上記(1)から(5)いずれか記載の超微細気泡発生方法を提供できる。
【0022】
ここで、イオン化処理は、原流体が水系の流体である場合に、高圧にした流体を、酸化アルミニウム及びチタン酸バリウムが分散されたセラミックス成形体が充填された反応容器内を通過させることにより、行うことができる。このようなセラミック成形体は、例えば、炭酸バリウム、酸化チタン及び酸化アルミニウムからなる混合物を、粘土をバインダーとして約1000℃〜約1500℃の範囲の温度で焼成されるものを例示することができる。
【0023】
(7)前記原流体の所定の小領域近傍に、イオン化処理された気体を供給することを特徴とする上記(1)から(6)いずれか記載の超微細気泡発生方法を提供できる。
【0024】
ここで、イオン化処理とは、安定イオン化方法を適用した処理を意味してよい。この安定イオン化方法は、例えば、マイナスイオンを多く含む空気を発生させる方法を含んでよい。マイナスイオンを多く含む空気を所定の小領域近傍に供給することを例示することができる。例えば、上記の共通する噴射方向成分の方向に沿って、かつ、上記の所定の小領域の近傍であって、その方向の向きに従って供給される空気が該所定の小領域内に流れていくように供給することができる。
【0025】
(8)前記イオン化処理された気体は、酸素を含むことを特徴とする上記(1)から(7)いずれか記載の超微細気泡発生方法を提供できる。
【0026】
(9)前記原流体が、例えば炭化水素を含むことを特徴とする上記(1)から(8)いずれか記載の超微細気泡発生方法を提供できる。
【0027】
(10)上記(1)から(9)いずれか記載の超微細気泡発生方法を用いた処理装置を提供できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る超微細気泡発生方法は、超微細イオン化気泡発生方法を含み、上記構成を備えることで、超微細気泡を連続的に且つ大量に原流体中に直接発生させることができる。
【0029】
また、該超微細気泡発生方法を用いる超微細気泡発生装置は、超微細気泡若しくは超微細イオン化気泡を連続的に且つ大量に処理される原流体中に直接発生させることができるが、その構造はシンプルであり、耐用年数を長くすることが可能であり、初期コスト及びランニングコストも低く抑えることが可能となる。
【0030】
また、本発明に係る処理装置は、上記超微細気泡発生装置に安定イオン化方法を用いたイオン化処理装置を組み合わせることで、超微細気泡の活性化をさらに促すことが可能となる。
【0031】
本発明に係る処理装置は、イオン化処理を行うイオン化処理装置とさらに組み合わせることで、処理効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本発明の実施例について、図面に基づいてより詳しく説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0033】
図1は、本発明の超微細気泡発生方法を適用した超微細気泡発生装置10の全体ブロック図を示す図である。図2は、図1の超微細気泡発生装置の噴射手段を具現化した高圧インジェクタ28を示す断面図である。図3は、図1の超微細気泡発生装置(制御手段を省略)11を模式的に示した概略図である。図4は、図1の超微細気泡発生装置のイオン化手段14を2つの種類のイオン化処理に具現化したときの概略断面図である。超微細気泡発生装置10は、高圧ポンプ12、イオン化手段14、噴射手段16がこの順にパイプ24により、バルブ20を間に挟みつつ、接続されている。また、安定イオン化手段50が、イオン化手段14と類似する機能を有する構成要素として、パイプ52を介して噴射手段16に接続されている。これらの構成要素は、制御手段18により、有線/無線を問わず通信回線18a、18b、18c、18d、18e、18f、18g、18hを介して制御されている。各構成要素については、より詳しく後述する。
【0034】
高圧ポンプ12は、処理すべき原流体の貯留部100に吸入口が入れられたパイプ22aにより同流体を吸い上げ、また、高圧ポンプ12内でオーバーフローした同流体を原流体の貯留部100に戻すパイプ22bが接続されている。高圧ポンプ12で加圧された流体は、パイプ24を介して、イオン化手段14に導入され、更に、パイプ24を介して、原流体の貯留部100に入れられた噴射手段16である高圧インジェクタ28から高圧で噴射される。またこれは、必ずしも原水を循環せず、たとえば海水を吸い上げて、高圧ポンプ12で加圧された流体により原流水を浄化する構成とする場合にも適用可能となっている。
【0035】
この高圧インジェクタ28は、原流体が吸入及び排出される比較的太いパイプであるメインパイプ30と、そのメインパイプ30の周りをほぼ同心円状に囲む外管であるジャケットパイプ32と、該ジャケットパイプ32の内側とメインパイプ30の外側の間の空間である室25内に高圧流体を送り込むパイプ24と、送り込まれた高圧流体をメインパイプ30の内側に導入される原流体中に噴射する複数の噴射ノズル34、36と、から構成される。該複数の噴射ノズル34、36は、メインパイプ30の中心軸線に向ってほぼ対向するように備えられているが、図2の図中やや下向き(図3の模式図において水平なメインパイプ30の軸線において出口方向である左向き)に傾いて固定されている。原流体は、この貯留部100において大気圧下で貯留されており、メインパイプ30の内側でもほぼ同じ条件である。この原流体中に、噴射孔の径が約0.2から約2mmから適宜選択される大きさを持ち、長さが、約20から約50mmの噴射ノズル34、36から、高圧流体が噴射され、ナノバブルが発生する。
【0036】
噴射ノズル34、36から噴射される高圧流体の噴射線は、反対方向に真っ向から対向するものではなく、少し傾いており、それぞれ、図2(a)において下向きである。従って、原流体の流れ方向に共通する方向成分を有している(図2(d)参照)。従って、メインパイプ30内にその入り口30aから導入された原流体が、図2(a)において下向き(図3において左向き)に流れ、出口30bから流出するようになる。このため、ナノバブル密度の高い原流体が、メインパイプ30内を順次流れていき、滞留しないので、好ましい。
【0037】
共通の方向成分について、図2(d)を参照しつつ詳細に説明する。図2(d)は、噴射ノズル34の噴射孔34aから噴射された高圧流体が、噴射線34bを形成するようすを示している。この噴射線34bの太さは、噴射孔34aの出口からあまり変化しておらず、ほぼ噴射孔34aの直径と同じ太さを有している。この噴射は、図中、矢印34cで示すベクトルの噴射速度や運動量を有している。図2(a)の噴射ノズル36から噴射される噴射線も同様なベクトルの噴射速度や運動量を有しているが、それぞれ、メインパイプ30の軸線に沿った共通の方向成分(噴射ノズル34では、ベクトル34e)を有している。この噴射の共通の方向成分34e等により、メインパイプ30内の原流体が軸線に沿って図中下へと押し流されるのである。このときの共通の方向成分の割合を、全体のベクトル34cに対して考える。法線方向の成分34dと軸線方向の成分34eを合成したものが、34cになるので、その比は、34e対34d(若しくは、34e/(34e+34d))とすることができる。このような共通する方向成分の比あるいは、34cと34dとのなす角度θは、経験から求めることができるが、ある条件では、約60°以下が好ましく、更に好ましくは、約45°以下である。また、約0°以上が好ましく、より好ましくは、約15°以上である。
【0038】
噴射ノズル34、36は、メインパイプ30の内面から突出しており、それぞれの噴射孔34a、36aが近接している。このため、それぞれ噴射された高圧流体の噴射線は、それほど長く延びなくても相互に交差することができる。言い換えれば、これらの噴射線が、所定の小さな小領域200内を通過するように設計され、例えば、噴射ノズル34、36の噴射孔34a、36aがこの所定の小さな小領域200よりも大きな領域210内に集まっていることが好ましい。図2(b)及び(c)に、このような小領域200、及び領域210の正面図及び側面図を示す。正面図においては、小領域200及び領域210の正面図は、共にほぼ円形をしており、その直径はd及びDである。図2(c)は、これらの領域の側面図を図2(c)に示す。小領域200及び領域210の側面図は共につぶされており、側面視でラグビーボール状態であるが、立体的には、扁平な赤血球形状(若しくは円板形状)を呈している。この時の圧縮された幅は、それぞれ、w及びWであり、D/W及びd/wを扁平変形比として定義することができる。また、(d−w)/d及び(D−W)/Dを扁平率と定義することができる。例えば、原流体が存在する領域内であって、望ましくは、ほぼ球形状をしており、又は、球形状を平たくした(若しくは、つぶした)扁平球形状又は円板形状をしている。これらの形状を特徴づける長さは、例えば、球形状であれば、直径であり、扁平な球形状であれば、その厚み及び/又は元の球の直径を例示することができる。このような小領域200としては、例えば、球形状についてのべれば、直径が、約20mm以下、より望ましくは、約15mm以下、更に望ましくは、約10mm以下である。また、領域210について、同様に述べれば、直径が、約30mm以下、より望ましくは、約25mm以下、更に望ましくは、約20mm以下である。この球形状は、例えば、メインパイプ30の軸方向に約1/2に押しつぶされた場合についても当てはめることができる。
【0039】
このように複数の噴射線が所定の小領域内を通過するようにすることは、実質的に噴射線が交差することを意味することができる。後述するが、3以上の複数の噴射線については、それが実質的に1点で交差することは却って好ましくないと考えられる。発生したナノバブルの拡散がより難しくなると考えられるからである。
【0040】
また、噴射ノズル34、36は、メインパイプ30の内側面から突出しているが、このような構造をとることは、より好ましいと考えられる。例えば、メインパイプ30の内径を小さくし、上記所定の領域210とほぼ同じ大きさにした場合、噴射される高圧の流体が、噴射線を描きつつ延びることができず、メインパイプ30の内側の圧力が、異常に高くなる結果になるおそれがあるからである。
【0041】
図4は、イオン化手段の一例であるイオン化処理装置15を模式的に示す断面図である。図4(a)は、同装置に用いられるセラミックス40がボール形状をしており、保持器41中に保持されている状態を示している。イオン化処理装置15には、図中左側の開口24aから高圧流体(例えば水)が導入され、扇状に広がる空間39aに流れ込むので、流速が低下し、セラミックス・ボール40の表面と接触する時間が増大する。さらに、流体が出て行く出口開口24b近傍では、逆扇状に空間39bが狭くなるので、セラミックス・ボール40の表面と接触する時間が増大する。このセラミックス・ボール40は、特開平8ー217421号公報等に記載されているような、炭酸バリウム、酸化チタン及び酸化アルミニウムからなる混合物を、粘土をバインダーとして、約1000℃から約1500℃の範囲で焼成されるセラミックス成形体である。
【0042】
図4(b)は、別の実施形態であるイオン化処理装置15を模式的に同様に断面において示している。セラミックス・リング42を収納する内部空間構造は、高圧流体導入孔24a、拡大空間39a、縮小空間39b、及び出口24bにおいて、ほぼ上述と同様であるのでここでは説明を省略する。イオン化処理装置15の内部収納空間に収納されたセラミックス・リング42は、中央の開口部を通過する軸43に対して、図中左右にずれないように固定されている。この軸43は、イオン化処理装置15の内面にこていされているので、高圧流体が流れてもセラミックス・リング42が流れ方向にずれることはないようになっている。
【0043】
図5は、別の実施例である超微細気泡発生装置(制御手段を省略)60を模式的に示す図である。多くの構成要素は、図2は、図3と共通するので、重複する説明は省略する。この実施例では、図3の構成に加え、更に、安定イオン化処理装置50が追加されている。この安定イオン化処理装置50の詳細が、模式的に図6において示されている。また、図9(a)及び(b)には、この安定イオン化処理装置50から供給される気体を高圧インジェクタ228のノズル位置(即ち、大きい方の所定の領域)まで供給する場合の各種部材の位置関係が模式的に示されている。尚、図9の基本構成は、図2とほぼ同じであるので、重複する説明は省略する。
【0044】
安定イオン化処理装置50は、大気中に開放している開口から管51を通して空気が導入され、セラミックス53とヒータ54を通過し、電極板55、56を通過してマイナスイオンを多く含む空気を出口から排出し管52を通して送られ、更に内管ノズル70を介して、対向する噴射ノズル34、36の背面であって、領域210内に供給される。
【0045】
図6に示すように、安定イオン化処理装置50は、セラミックスとヒータの温度調整により、マイナスイオンを発生させて、それからマイナスイオンの金属管体50aへの付着による消滅を避けるために電圧発生装置59により微弱電圧(例えば、−2.0〜+2.0V)をかけ、抵抗測定と温度調整によりマイナスイオンを安定的に発生させることを特徴としたマイナスイオンを高めた空気を流す装置である。この抵抗測定は、抵抗測定装置57により行われ、その結果が、温度調整装置58により反映され、ヒータ54の温度調整が行われる。このとき導入される空気は、上述する領域210内に供給できるように、ある程度の圧力が加えられている。
【0046】
図7は、別の実施形態である高圧インジェクタ128を断面図で示している。この基本構造は、図2のものとほぼ同じであるので、重複する説明は省略する。この実施形態において、更に2つの噴射ノズル35、37が、メインパイプ30の軸線方向であって、原流体の流れの上流に同様に配置されている。この噴射ノズル35、37の噴射孔35a、37aは、同様に領域210’内に配置されており、それぞれ噴射される噴射線は、より小さな小領域200’内をそれぞれ通過し、実質的に、該小領域200’内で交差する(若しくは、ぶつかる)。
【0047】
図8(a)は、別の実施形態である高圧インジェクタ28’を正面図で示している。基本的な構成は、図2、7、9のものと同じであるので重複する説明は省略する。この図において、噴射ノズル134、135、136は、これらの噴射孔134a、135a、136aが配置される領域230は、メインパイプ30の軸線に対して垂直な比較的フラットな円板形状をしている。この円板形状において、噴射ノズル134、135、136は、実質的に等価な位置に配置されている。具体的に言えば、噴射ノズル134、135、136は、それぞれ、120度ずつ回転した向きに、メインパイプ30の内面に固定されているのである。このようにすると、領域230よりも小さな小領域220内において、それぞれ噴射孔134a、135a、136aから噴射される噴射線134b、135b、136bが、小領域220内を通過する。このとき、それぞれの噴射線が一点で交差するよりも、図8(b)に模式的に示すようにあるエリアを囲むように噴射線が配置されることが好ましい。このようにすれば、噴射により発生したナノバブルが効率よく拡散されると考えられるからである。また、噴射線同士の交差により、相手側の噴射線の勢いを止めることが比較的少なく、噴射線が十分伸びていくことができるからである。
【0048】
図10は、図1、3、8において示す超微細気泡発生装置により、処理した水道水の結果をまとめている。ここで用いた高圧ポンプは、三相交流電源200V、3.7kw/50Hzで機能するもので、吐出量が10L/min、であった。メインパイプ30の内径はφ30mmで、高圧インジェクタの噴出ノズルは、120度ずつメインパイプ30の軸線の回りに回した位置にそれぞれ内側に向くように配置された。また、各噴射ノズル134、135、136の内面からの突出長さは、約10mmであり、噴射孔134a、135a、136aが入る領域230は、直径が約10mmの球形状であった。また各噴射線は、直径が約1mmのほぼ球形の小領域内を通過するように配置されていた。各噴射孔の径は0.3mmであった。
【0049】
図3に示す原流体の貯留部100である水槽内に、水道水を入れて貯留し、高圧インジェクタ28’をその中に入れ、高圧ポンプにより、5.0MPaの圧力をかけた。このような状態で、イオン化手段14を用いずに水道水を処理したところ、図10の下方表の下段部のような結果となった。即ち、原水温度が、30分経過することにより、22.3℃から29.7℃に上昇し、水素イオン濃度が、7.00から7.09へと増加した。
【0050】
また、イオン化手段14を用いたものでは、原水温度が、30分経過することにより、23.6℃から31.0℃に上昇し、水素イオン濃度が、7.01から7.38へと増加した。
【0051】
水素イオン濃度の結果をグラフにまとめ、図11に示す。水素イオン濃度がいずれのケースも経過時間と共に上昇しており、イオン化及びキャビテーション効果があると判断できる。
【0052】
同様な装置を用いて、流体の処理を同様に行った。このとき、装置に組み込まれた噴射ノズルは、6本であり、それぞれ円対称な位置で等価な位置に配置された。このときイオン化処理は行っているが、主な流体は、軽油であり、必ずしも水系の流体と同じ効果があるとは限らないことはいうまでもない。尚、イオン化手段であるイオン化処理装置によりイオン化処理は行っているが、その明確なメカニズムは必ずしも明確になっていない。尚、特開平8−217421では、水溶性の液体について記載してあり、軽油での作用効果は明示されていない。また、軽油の処理結果の評価は、水素イオン濃度では行えないので、燃焼性の評価によって結果を評価した。図12にその評価方法を解説する。
【0053】
燃料として用いられる軽油の燃焼性評価には、燃焼時間を用いた。この擬似燃焼性試験の定容燃焼器にはFUELTECH社製FIA−100(Fuel Ignition Analyzer)を用いた。指標となる燃焼時間は燃料が噴射されてから95%燃焼が終わるまでの時間(ROHRにおける100%燃焼終わり位置が不明瞭であるため)で評価することができる(図8(a))。この時間は、全燃焼期間Matと定義されている。もう一つの燃焼性は、MD’から95%燃焼が終わるまでの時間を指標にすることができる(図8(b))。この時間を測定し、これを主燃焼時間Mat−MD’と定義する。これらの時間で燃焼性を評価することができる。即ち、これらの時間が短いほど燃焼性がよいとされるのである。つまり、燃焼時間の長い燃料は燃焼性が悪いことになる。
【0054】
図13に、軽油を同装置で1時間及び2時間処理したものの、評価結果を示す。全燃焼期間Matは、処理前に17.45msであったが、1時間処理後では17.25ms、2時間処理後では15.90msとなり、燃焼性が向上することがわかる。また、主燃焼時間Mat−MD’は、それぞれ、7.76ms、7.94ms、6.95msとなり、処理の効果が現れている。また後燃え期間は、6.6ms、6.15ms、5.3msと短縮の効果が現れている。
【0055】
以上のように、本発明の処理方法は、廃水、汚水等の水系の流体(又は液体)だけでなく、軽油、ガソリン、その他の炭化水素、或いは他の有機物からなる流体(又は液体)に対して適用することができる。また、処理後の流体は、それぞれに好ましい評価を得ている。そのメカニズムは、必ずしも明確ではないが、ナノバブルの発生により、流体内に、酸素等の気体成分がより多く保有されるために生じると考えられる。従って、過酸化水素発生装置等のイオン化処理装置や安定イオン化処理装置により、より多くの気体成分を含ませるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の超微細気泡発生方法を適用した超微細気泡発生装置の全体ブロック図である。
【図2】図1の超微細気泡発生装置の噴射手段を具現化した高圧インジェクタを示す断面図である。
【図3】超微細気泡発生装置を模式的に示した概略図である。
【図4】イオン化処理装置の概略断面図である。
【図5】別の種類の超微細気泡発生装置を模式的に示した概略図である。
【図6】安定イオン化処理装置の概略断面図である。
【図7】別の種類の高圧インジェクタを示す断面図である。
【図8】別の種類の高圧インジェクタを示す正面図である。
【図9】別の種類の高圧インジェクタを示す(a)背面図及び(b)側断面図である。
【図10】図8の高圧インジェクタを用いた図1の超微細気泡発生装置で処理した水道水の処理結果をまとめた図である。
【図11】図10の処理結果をグラフにプロットしたものである。
【図12】燃料の燃焼性評価結果を解説する図である。
【図13】図8の高圧インジェクタを用いた図1の超微細気泡発生装置で処理した軽油の処理結果をまとめた図である。
【符号の説明】
【0057】
10 超微細気泡発生装置
11、60 超微細気泡発生装置(制御手段を省略)
12 高圧ポンプ
14 イオン化手段
15 イオン化処理装置
16 噴射手段
18 制御手段
20 バルブ
28、28’、128、228 高圧インジェクタ
30 メインパイプ
34、35、36、37、134、135、136 噴射ノズル
34b、35b、36b、37b、134b、135b、136b 噴射線
40 セラミックス・ボール
42 セラミックス・リング
50 安定イオン化装置
100 貯留部
134b、135b、136b 噴射線
200、200’、220 所定の小領域
210、210’、230 所定の領域
【出願人】 【識別番号】505350651
【氏名又は名称】株式会社オプトクリエーション
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100111707
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 俊彦


【公開番号】 特開2008−30002(P2008−30002A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−209041(P2006−209041)