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【発明の名称】 分散剤、その製造方法、及び該分散剤を含む顔料分散体
【発明者】 【氏名】有吉 泰

【氏名】三上 譲司

【氏名】立花 友子

【氏名】高畠 美子

【氏名】廣嶋 努

【要約】 【課題】低使用量で分散性、流動性、及び保存安定性に優れる分散体を製造することのできる分散剤、並びに該分散剤を含む顔料分散体の提供。

【構成】片末端に水酸基を有する重合体(POH)を製造するか、若しくは片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH)を製造する第一の工程と、該重合体(POH)若しくは重合体(PNH)とテトラカルボン酸二無水物とを反応させる第二の工程とを含む、分散剤の製造方法、及び該製造方法により得ることができる分散剤、並びに該分散剤を含む顔料分散体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される分散剤:
一般式(1):
【化1】



一般式(1)中、A〜Aは、
2つが、相互に同じか若しくは異なる分子量200〜5000の一価の重合体部分(P)であり、他の2つが、相互に同じか若しくは異なる−C(=O)OH又は−CHC(=O)OHである組合せであるか、
1つが分子量200〜5000の一価の重合体部分(P)であり、他の3つが、相互に同じか若しくは異なる−C(=O)OH又は−CHC(=O)OHである組合せであるか、又は、
1つが分子量200〜5000の一価の重合体部分(P)であり、他の2つが、相互に同じか若しくは異なる−C(=O)OH又は−CHC(=O)OHであり、他のもう1つが−C(=O)−X−R(但し、Xは、−O−、又は−N(Ra2)−であり、Rは、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基及び炭素原子数6〜18のアリール基からなる群から選択される基であり、Ra2は、水素原子又は炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基及び炭素原子数6〜18のアリール基からなる群から選択される基である)である組合せであって、
は、下記一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で示される四価の基である:一般式(2):
【化2】



〔一般式(2)中、kは1又は2を示す。〕;
一般式(3):
【化3】



〔一般式(3)中、Rは、直接結合、−CH−、−O−、−C(=O)−、−C(=O)OCHCHOC(=O)−、−C(=O)OCH(OC(=O)CH)CHOC(=O)−、−SO−、−C(CF−、式:
【化4】



で表される基、又は式:
【化5】



で表される基である。〕;
一般式(4):
【化6】



〔一般式(4)で示される基Xが有する合計炭素原子数は4〜20であって
一般式(4)中、Rは、直接結合、−O−、又は炭素原子数1〜8の二価又は三価の炭化水素基であり、
、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子、若しくは炭素原子数1〜8の炭化水素基であるか、又は、RとRと及び/又はRとRとで直接結合して不飽和二重結合を形成してもよく、
及びRはそれぞれ独立に水素原子、若しくは炭素原子数1〜8の炭化水素基であるか、又はRとRとで直接結合又は炭素原子数1〜8の二価炭化水素基を形成して環状基Xを形成してもよく、あるいはRとRと又はRとRとで炭素原子数1〜8の三価炭化水素基を形成して環状基Xを形成してもよく、あるいはRとRとRとで炭素原子数1〜8の四価炭化水素基を形成して多環状基Xを形成してもよい。〕
【請求項2】
一価の重合体部分(P)が、ポリエーテル鎖基、ポリエステル鎖基、及びビニル共重合体鎖基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の分散剤。
【請求項3】
一価の重合体部分(P)が、下記一般式(5)で示される一価のポリエーテル鎖基及び/又はポリエステル鎖基からなる重合体部分(Pe)であることを特徴とする、請求項1に記載の分散剤:
一般式(5):
【化7】



〔一般式(5)中、
は、炭素原子数1〜20、酸素原子数0〜12、及び窒素原子数0〜3を含む1価の末端基、
は、−O−、−S−、又は−N(R)−(但し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)であり、
は、−OC(=O)−、−OC(=O)CH−、−N(R)C(=O)−、又は
−N(R)C(=O)CH−(但し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)であり、
は、−R11O−で示される繰り返し単位であり、
は、−C(=O)R12O−で示される繰り返し単位であり、
は、−C(=O)R13C(=O)−OR14O−で示される繰り返し単位であり、R11は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、
12は炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、
13は炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基、又は炭素原子数6〜20アリーレン基であり、
14は、−CH(R15)−CH(R16)−で示され、
15とR16は、どちらか一方が水素原子であり、もう一方が炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜20のアリール基、アルキル部分の炭素原子数1〜20のアルキルオキシメチレン基、アルケニル部分の炭素原子数2〜20のアルケニルオキシメチレン基、アリール部分の炭素原子数6〜20でアリール部分が場合によりハロゲン原子で置換されていることのあるアリールオキシメチレン基、N−メチレン−フタルイミド基であって、
17は、前記R11、前記−C(=O)R12−、又は−C(=O)R13C(=O)−OR14−であり、
m1は0〜100の整数であり、m2は0〜60の整数であり、m3は0〜30の整数であり、但しm1+m2+m3は1以上100以下であり、
一般式(5)における前記繰り返し単位G〜Gの配置は、その順序を限定するものではなく、一般式(5)で表される重合体部分(P)において、基Xと基R17との間に繰り返し単位G〜Gが任意の順序で含まれていることを示し、更に、それらの繰り返し単位G〜Gは、それぞれランダム型又はブロック型のどちらでもよい。〕
【請求項4】
が炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることを特徴とする、請求項3に記載の分散剤。
【請求項5】
がエチレン性不飽和二重結合を有することを特徴とする、請求項3に記載の分散剤。
【請求項6】
m2が3〜15の整数であることを特徴とする、請求項3〜5いずれか一項に記載の分散剤。
【請求項7】
25℃でロウ状固体であることを特徴とする、請求項1〜6いずれか一項に記載の分散剤。
【請求項8】
25℃で液状であることを特徴とする、請求項1〜6いずれか一項に記載の分散剤。
【請求項9】
一価の重合体部分(P)が、下記一般式(6)で示される一価のビニル共重合体(Pv)であることを特徴とする、請求項1に記載の分散剤:
一般式(6):
【化8】



〔一般式(6)中、Yは、ビニル重合体の重合停止基であり、
21及びR22は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、
23及びR24は、いずれか一方が水素原子、他の一方が芳香族基、又は−C(=O)−X−R25(但し、Xは、−O−若しくは−N(R26)−であり、R25及びR26は水素原子又は置換基として芳香族基を有していてもよい炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、
は、−O−R27−又は−S−R27−であり、
27は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、
は、−OC(=O)−、−OC(=O)CH−、−N(R)C(=O)−、又は−N(R)C(=O)CH−(但し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)であり、
nは2〜50である。〕
【請求項10】
顔料と請求項1〜9いずれか一項に記載の分散剤とを含む顔料分散体。
【請求項11】
片末端に水酸基を有する重合体(POH)を製造するか、若しくは片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH)を製造する第一の工程と、該重合体(POH)若しくは重合体(PNH)とテトラカルボン酸二無水物とを反応させる第二の工程とを含む、分散剤の製造方法。
【請求項12】
第一の工程が、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールからなる群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せからなる群から選択される環状化合物を開環重合して片末端に水酸基を有するポリエーテル及び/又はポリエステルからなる重合体(PeOH)を製造することを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
第一の工程が、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールからなる群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイドを開環重合して片末端に水酸基を有する重合体を得た後、該水酸基を還元アミノ化して片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)を製造することを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
第一の工程が、分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用して、エチレン性不飽和単量体を重合して、片末端に水酸基を有するビニル共重合体(PvOH)を製造するか、若しくは分子内に1級アミノ基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用して、エチレン性不飽和単量体を重合して、片末端に水酸基を有するビニル共重合体(PvNH)を製造することを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、分散性、流動性、及び保存安定性に優れた分散体を製造することのできる分散剤、その製造方法、該分散剤を含む顔料分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インク等を製造する場合、顔料を安定に高濃度で分散することが難しく、製造工程や製品そのものに対して種々の問題を引き起こすことが知られている。
【0003】
例えば、微細な粒子からなる顔料を含む分散体は往々にして高粘度を示し、製品の分散機からの取り出しや輸送が困難となるばかりでなく、分散性が悪い場合は保存中にゲル化を起こし、使用困難となることさえある。更に展色物の表面に関しては光沢の低下、レベリング不良等の状態不良を生じる。また、異種の顔料を混合して使用する場合、凝集による色別れや、沈降などの現象により展色物に色むらや著しい着色力の低下が現れることがある。
【0004】
そこで一般的には分散状態を良好に保つために分散剤が利用されている。分散剤は顔料に吸着する部位と、分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの部位のバランスで分散剤の性能は決まる。分散剤は被分散物である顔料の表面状態に合わせ種々のものが使用されているが、塩基性に偏った表面を有する顔料には酸性の分散剤が使用されるのが一般的である。この場合、酸性官能基が顔料の吸着部位となる。このように、酸性の官能基としてカルボン酸を有する分散剤は、種々提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4など)。
【0005】
しかし、これらの公知の分散剤は、ある程度の分散能力は持ち合わせるが、低粘度で安定な分散体をつくるには使用量を多くする必要があった。しかし、使用量を多くすることは、インク、塗料等への展開を考える上で、塗膜の耐性が落ちる場合があるなど好ましいものではなかった。
【0006】
一方で、特許文献5にはリン酸基を有する分散剤を含む顔料組成物の例示がある。リン酸基を有する分散剤は、ある程度の顔料分散能力を有するが、保存安定性が悪い場合や、リン酸基由来の欠点、例えば耐熱性の低さ、耐薬品性の低さ、相溶性の悪さなどで問題を生じる場合があった。これは、スルホン酸基を有する分散剤も同様である。このようなリン酸基や、スルホン酸基を有する分散剤は、応用するインクや塗料などへの展開性に乏しく、顔料分散能力の高いカルボン酸を有する分散剤が望まれていた。
【特許文献1】特開昭61−61623号公報
【特許文献2】特開平1−141968号公報
【特許文献3】特開平2−219866号公報
【特許文献4】特開平11−439842号公報
【特許文献5】特開昭63−248864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低使用量で分散性、流動性、及び保存安定性に優れる分散体を製造することのできる分散剤、及び該分散剤を含む顔料分散体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題は、本発明による下記一般式(1)で示される分散剤によって解決すること
ができる。すなわち、一般式(1):
【0009】
【化1】


【0010】
一般式(1)中、A〜Aは、
2つが、相互に同じか若しくは異なる分子量200〜5000の一価の重合体部分(P)であり、他の2つが、相互に同じか若しくは異なる−C(=O)OH又は−CHC(=O)OHである組合せであるか、
1つが分子量200〜5000の一価の重合体部分(P)であり、他の3つが、相互に同じか若しくは異なる−C(=O)OH又は−CHC(=O)OHである組合せであるか、又は、
1つが分子量200〜5000の一価の重合体部分(P)であり、他の2つが、相互に同じか若しくは異なる−C(=O)OH又は−CHC(=O)OHであり、他のもう1つが−C(=O)−X−R(但し、Xは、−O−、又は−N(Ra2)−であり、Rは、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基及び炭素原子数6〜18のアリール基からなる群から選択される基であり、Ra2は、水素原子又は炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基及び炭素原子数6〜18のアリール基からなる群から選択される基である)である組合せであって、
は、下記一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で示される四価の基である:一般式(2):
【0011】
【化2】


【0012】
〔一般式(2)中、kは1又は2を示す。〕;
一般式(3):
【0013】
【化3】


【0014】
〔一般式(3)中、Rは、直接結合、−CH−、−O−、−C(=O)−、−C(=O)OCHCHOC(=O)−、−C(=O)OCH(OC(=O)CH)CHOC(=O)−、−SO−、−C(CF−、式:
【0015】
【化4】


【0016】
で表される基、又は式:
【0017】
【化5】


【0018】
で表される基である。〕;
一般式(4):
【0019】
【化6】


【0020】
〔一般式(4)で示される基Xが有する合計炭素原子数は4〜20であって
一般式(4)中、Rは、直接結合、−O−、又は炭素原子数1〜8の二価又は三価の炭化水素基であり、
、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子、若しくは炭素原子数1〜8の炭化水素基であるか、又は、RとRと及び/又はRとRとで直接結合して不飽和二重結合を形成してもよく、
及びRはそれぞれ独立に水素原子、若しくは炭素原子数1〜8の炭化水素基であるか、又はRとRとで直接結合又は炭素原子数1〜8の二価炭化水素基を形成して環状基Xを形成してもよく、あるいはRとRと又はRとRとで炭素原子数1〜8の三価炭化水素基を形成して環状基Xを形成してもよく、あるいはRとRとRとで炭素原子数1〜8の四価炭化水素基を形成して多環状基Xを形成してもよい。〕
で示される分散剤によって解決することができる。
【0021】
本発明による分散剤の好ましい態様においては、一価の重合体部分(P)が、ポリエーテル鎖基、ポリエステル鎖基、及びビニル共重合体鎖基からなる群から選択される。
【0022】
本発明による分散剤の別の好ましい態様においては、一価の重合体部分(P)が、下記一般式(5)で示される一価のポリエーテル鎖基及び/又はポリエステル鎖基からなる重合体部分(Pe)である:
一般式(5):
【0023】
【化7】


【0024】
〔一般式(5)中、
は、炭素原子数1〜20、酸素原子数0〜12、及び窒素原子数0〜3を含む1価の末端基、
は、−O−、−S−、又は−N(R)−(但し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)であり、
は、−OC(=O)−、−OC(=O)CH−、−N(R)C(=O)−、又は−N(R)C(=O)CH−(但し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)であり、
は、−R11O−で示される繰り返し単位であり、
は、−C(=O)R12O−で示される繰り返し単位であり、
は、−C(=O)R13C(=O)−OR14O−で示される繰り返し単位であり、R11は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、
12は炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、
13は炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基、又は炭素原子数6〜20アリーレン基であり、
14は、−CH(R15)−CH(R16)−で示され、
15とR16は、どちらか一方が水素原子であり、もう一方が炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜20のアリール基、アルキル部分の炭素原子数1〜20のアルキルオキシメチレン基、アルケニル部分の炭素原子数2〜20のアルケニルオキシメチレン基、アリール部分の炭素原子数6〜20でアリール部分が場合によりハロゲン原子で置換されていることのあるアリールオキシメチレン基、N−メチレン−フタルイミド基であって、
17は、前記R11、前記−C(=O)R12−、又は−C(=O)R13C(=O)−OR14−であり、
m1は0〜100の整数であり、m2は0〜60の整数であり、m3は0〜30の整数であり、但しm1+m2+m3は1以上100以下であり、
一般式(5)における前記繰り返し単位G〜Gの配置は、その順序を限定するものではなく、一般式(5)で表される重合体部分(P)において、基Xと基R17との間に繰り返し単位G〜Gが任意の順序で含まれていることを示し、更に、それらの繰り返し単位G〜Gは、それぞれランダム型又はブロック型のどちらでもよい。〕
前記一般式(5)において、Yは炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であるか、Yはエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。また、前記一般式(5)において、m2が3〜15の整数であることが好ましい。
【0025】
本発明による更に別の好ましい態様においては、前記分散剤が、25℃でロウ状固体であるか、あるいは25℃で液状であることができる。
【0026】
本発明による分散剤の更に別の好ましい態様においては、一価の重合体部分(P)が、下記一般式(6)で示される一価のビニル共重合体(Pv)である:
一般式(6):
【0027】
【化8】


【0028】
〔一般式(6)中、Yは、ビニル重合体の重合停止基であり、
21及びR22は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、
23及びR24は、いずれか一方が水素原子、他の一方が芳香族基、又は−C(=O)−X−R25(但し、Xは、−O−若しくは−N(R26)−であり、R25及びR26は水素原子又は置換基として芳香族基を有していてもよい炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、
は、−O−R27−又は−S−R27−であり、
27は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、
は、−OC(=O)−、−OC(=O)CH−、−N(R)C(=O)−、又は−N(R)C(=O)CH−(但し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)であり、
nは2〜50である。〕
本発明は、顔料と前記一般式(1)で表される分散剤とを含む顔料分散体にも関する。
【0029】
本発明は、片末端に水酸基を有する重合体(POH)を製造するか、若しくは片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH)を製造する第一の工程と、該重合体(POH)若しくは重合体(PNH)とテトラカルボン酸二無水物とを反応させる第二の工程とを含む、分散剤の製造方法にも関する。
【0030】
本発明による製造方法の好ましい態様においては、第一の工程で、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールからなる群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せからなる群から選択される環状化合物を開環重合して片末端に水酸基を有するポリエーテル及び/又はポリエステルからなる重合体(PeOH)を製造する。
【0031】
本発明による製造方法の別の好ましい態様においては、第一の工程で、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールからなる群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイドを開環重合して片末端に水酸基を有する重合体を得た後、該水酸基を還元アミノ化して片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)を製造する。
【0032】
本発明による製造方法の更に別の好ましい態様においては、第一の工程で、分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用して、エチレン性不飽和単量体を重合して、片末端に水酸基を有するビニル共重合体(PvOH)を製造するか、若しくは分子内に1級アミノ基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用して、エチレン性不飽和単量体を重合して、片末端に水酸基を有するビニル共重合体(PvNH)を製造する。
【発明の効果】
【0033】
本発明の分散剤を用いることにより、低使用量で、分散性、流動性、及び保存安定性に優れる顔料分散体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
一般に、分散剤(dispersant; dispersing agent)は粒状物質に吸着する部位と、分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせているため、この2つの部位のバランスで分散剤の性能が決まる。つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の顔料(pigment)に吸着する性能と分散媒である溶剤への親和性がともに非常に重要である。
前記一般式(1)で表される化合物は、カルボキシル基を2個又は3個を有する特定の構造を有している。この複数のカルボキシル基を含む特定の構造が顔料の吸着部位となり分散剤として好適である。しかしながら、前記一般式(1)に似た化合物で、例えばA〜Aのうちカルボキシル基が1個のみ有する場合(本発明の範囲外)では、高い分散性、流動性、及び保存安定性を発現せず好ましくない。
【0035】
前記一般式(1)で表される本発明による分散剤は、構造式で表されている通り、四価の基Xと、その4つの置換基としての基A〜Aとを有する。四価の基Xは、前記一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される。
【0036】
前記一般式(4)で示される四価の基Xの好ましい態様としては、例えば、以下の基を挙げることができる。
【0037】
【化9】


【0038】
【化10】


【0039】
【化11】


【0040】
【化12】


【0041】
【化13】


【0042】
【化14】


【0043】
【化15】


【0044】
〔一般式(4)において、RとRとRとで四価炭化水素基〔>CH−CH−CH<〕を形成して多環状基Xを形成した場合である。〕
【0045】
【化16】


【0046】
【化17】


【0047】
〔一般式(4)において、Rが三価炭化水素基〔>CH−CH−〕であり、Rが二価炭化水素基〔−CH=C(CH)−〕である場合である。〕
【0048】
【化18】


【0049】
〔一般式(4)において、RとRとRとで四価炭化水素基〔>CH−CH−CH−CH<〕を形成して多環状基Xを形成した場合である。〕
【0050】
【化19】


【0051】
〔一般式(4)において、RとRとRとで四価炭化水素基〔>CH−CH=CH−CH<〕を形成して多環状基Xを形成した場合である。〕
【0052】
【化20】


【0053】
【化21】


【0054】
〔一般式(4)において、RとRとRとで四価炭化水素基〔(−CH−)CH−CH(−CH−)〕を形成して多環状基Xを形成した場合である。〕

前記一般式(1)中で、顔料分散体又はインクの低粘度化及び保存安定性の観点から、四価の基Xが芳香環を含むのが好ましく、前記一般式(2)又は一般式(3)で示される基Xが好ましい。更に、前記一般式(2)においては、kが1の場合が好ましく、前記一般式(3)においては、Rが直接結合、−C(=O)−、−C(=O)OCHCHOC(=O)−、−SO−、又は式:
【0055】
【化22】


【0056】
で表される基である場合が好ましい。
【0057】
前記一般式(1)で表される本発明による分散剤は、構造式で表されている通り、四価の基Xの4つの置換基として基A〜Aとを有し、基A〜Aとして、カルボキシル基〔−C(=O)OH又は−CHC(=O)OH〕を2個又は3個を有する。
【0058】
基A〜Aの組合せとしては、2つが分子量200〜5000の一価の重合体部分(
P)であり、他の2つが−C(=O)OH又は−CHC(=O)OHの組合せであることが好ましい。最も好ましくは、基A〜Aは、2つが分子量200〜5000の一価の重合体部分(P)であり、他の2つが−C(=O)OHの組合せである場合である。
【0059】
また、前記一般式(1)において、基A〜Aとして含まれている1つ又は2つの一価の重合体部分(P)〔polymer moiety (P)〕は、分子量が200〜5000であり、この部位が分散媒である溶剤への親和性部分となり、顔料の凝集を立体反発によって抑制することができる。前記一価の重合体部分(P)の分子量は、更に好ましくは500〜4000であり、最も好ましくは800〜3500である。ここで、重合体部分(P)に分子量分布が存在する場合、本発明でいう重合体部分(P)の分子量はGPCでのポリスチレン換算数平均分子量を意味する。重合体部分(P)の分子量が200未満の場合、溶媒親和部による立体反発の効果が少なくなるため、顔料の凝集を防ぐことが困難となり、分散安定性が不十分となる。分散安定性の不十分な分散体は時間と共に顔料が沈降したり、また分散体の粘度が上昇したりするため好ましくない。また、分子量が5000を超える場合、溶媒親和部の絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下したり、分散体の粘度が高くなったりするため好ましくない。
【0060】
ここで、重合体部分(P)はポリエーテル、ポリエステル、及びビニル共重合体からなる群から選択されることが好ましい。これらは、分子量を前記範囲に調整することが容易であり、かつ、溶剤への親和性も良好である。更に好ましくは、重合体部分(P)は水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、及びチオール基を実質的に含まないものである。
【0061】
これら一価の重合体部分(P)の好ましい1つの構造として、前記一般式(5)で示される一価のポリエーテル及び/又はポリエステルからなる重合体部分(Pe)を挙げることができる。前記一般式(5)の中で、Yが炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることが、顔料分散体及び各種インクの低粘度化及び保存安定性の観点から好ましい。
【0062】
また別の形態として、前記一般式(5)の中でYがエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。この場合、本発明の分散剤に活性エネルギー線硬化性を付与することができる。
【0063】
また、前記一般式(5)の中で、m2が3〜15の整数であることが、顔料分散体及び各種インクの低粘度化及び保存安定性の観点から好ましい。
【0064】
また、前記一般式(5)の中で、m2=0、m3=0の場合、Yは炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であるか、もしくはエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。
【0065】
本発明の分散剤は、25℃でロウ状固体であることが、高濃度顔料分散体及び各種インクの保存安定性の観点から好ましい。また、25℃で液状のものは扱いやすさの点で好ましい。ここで、ロウ状固体とは、常温では不透明の固体であるが、加熱(例えば、40℃〜100℃程度への加熱)により透明な液体に変化するものを意味する。
【0066】
前記の一価の重合体部分(P)の好ましい別の1つの構造として、前記一般式(6)で示される一価のビニル共重合体部分(Pv)を挙げることもできる。
【0067】
前記一般式(6)で示される重合体部分(Pv)の繰り返し単位の部分、すなわち、{−〔C(R21)(R23)−C(R21)(R23)〕−}は、相互に同一ものからなる(ホモポリマー)であっても、異なるものからなる(コポリマー)でもよい。一般式
(6)で示される重合体部分(Pv)の好ましい形態は、R21及びR22が、いずれか一方が水素原子、他の一方がメチル基であり、R23及びR24は、いずれか一方が水素原子、他の一方が−C(=O)−O−(CHCH及び/又は−C(=O)−O−CH−Ar(Arは芳香族基)であり、Xが−S−CHCH−であり、Xが−OC(=O)−又は−NHC(=O)−の場合である。
【0068】
一般式(6)中のY、すなわち、ビニル重合体の重合停止基は、通常のエチレン性不飽和単量体の重合を通常の方法で実施した場合に導入される任意の公知重合停止基であり、当業者には自明である。具体的には、例えば、重合開始剤由来の基、連鎖移動剤由来の基、溶剤由来の基、又はエチレン性不飽和単量体由来の基であることができる。Yがこれらのいずれの化学構造を有していても、本発明の分散剤は、重合停止基Yの影響を受けずに、その効果を発揮することができる。
【0069】
次に、本発明による分散剤製造方法を説明する。本発明の製造方法によって、本発明の前記分散剤を製造することができる。
【0070】
本発明の製造方法は、前記の通り、「片末端に水酸基を有する重合体(POH)」を製造するか、若しくは「片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH)」を製造する第一の工程と、該重合体(POH)若しくは重合体(PNH)とテトラカルボン酸二無水物とを反応させる第二の工程とを含む。ここで、「片末端に水酸基を有する重合体(POH)」若しくは「片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH)」からそれぞれ水酸基の水素原子、又は1級アミノ基の水素原子を1つ取り除いた部位が、前記一般式(1)で表される分散剤において、A〜A中の1つ又は2つである一価の重合体部分(P)を構成し、テトラカルボン酸二無水物は、前記一般式(1)におけるXを構成する。
【0071】
まず、「片末端に水酸基を有する重合体(POH)」を製造する第一の工程について説明する。本発明の製造方法において、第一の工程で得られる重合体(POH)としては、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、ジカルボン酸無水物、及びエポキシドの群から選択される環状化合物を開環重合して得られる「片末端に水酸基を有するポリエーテル及び/又はポリエステルからなる重合体(PeOH)」であるか、又は、分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用し、エチレン性不飽和単量体を重合して得られる「片末端に水酸基を有するビニル共重合体(PvOH)」であることがより好ましい。
【0072】
前記のポリエーテル及び/又はポリエステルからなる重合体(PeOH)は、公知の方法で製造することができ、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、ジカルボン酸無水物、及びエポキシドの群から選択される環状化合物を開環重合することで容易に得ることができる。
【0073】
モノアルコールとしては、水酸基を一つ有する化合物であればいかなる化合物でも構わない。例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、イソノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ミリスチルアルコール、セチルアルコール、1−ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族モノアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエチルアルコール、パラクミルフェノキシエチルアルコールなどの芳香環含有モノアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0074】
更に、本発明の製造方法において、モノアルコールとしてエチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールを使用してもよい。この場合、生成される分散剤に、活性エネルギー線硬化性能を付与することができる。
【0075】
前記のエチレン性不飽和二重結合を有する基の例としては、ビニル基、又は(メタ)アクリロイル基(なお、「(メタ)アクリロイル基」と表記する場合には、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を示すものとする。以下同じ。)が挙げられるが、好ましいのは(メタ)アクリロイル基である。これら二重結合を有する基の種類は、一種類でもよいし、複数種類でもよい。
【0076】
エチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールとしては、エチレン性不飽和二重結合を1個、2個、及び3個以上含む化合物を用いることができる。エチレン性不飽和二重結合の数が1個のモノアルコールとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(なお、「(メタ)アクリレート」と表記する場合には、アクリレート及び/又はメタクリレートを示すものとする。以下同じ。)、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。エチレン性不飽和二重結合の数が2個のモノアルコールとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。エチレン性不飽和二重結合の数が3個のモノアルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレン性不飽和二重結合の数が5個のモノアルコールとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられる。
【0077】
このうち、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートは、それぞれ、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物として得られるので、生成される分散剤の分子量を制御するためにはHPLC(高速液体クロマトグラフィ)法や水酸基価の測定によりモノアルコール体の比率を決定する必要がある。モノアルコール体の数とG1〜G3を形成する原料の比率により、分散剤の分子量が決まるからである。
【0078】
前記のモノアルコールのうち、エチレン性不飽和二重結合の数が2個以上のものは、活性エネルギー線硬化型インクに用いる場合に好ましい。硬化性に優れるからである。
【0079】
1級モノアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、1−プロピルアミン、イソプロピルアミン、1−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、1−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、3−ペンチルアミン、1−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、4−メチル−2−ペンチルアミン、1−ヘプチルアミン、1
−オクチルアミン、イソオクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1−ノニルアミン、イソノニルアミン、1−デシルアミン、1−ドデシルアミン、1−ミリスチルアミン、セチルアミン、1−ステアリルアミン、イソステアリルアミン、2−オクチルデシルアミン、2−オクチルドデシルアミン、2−ヘキシルデシルアミン、ベヘニルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族1級モノアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン、3−イソブチロキシプロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、3−ミリスチロキシプロピルアミンなどのアルコキシアルキル1級モノアミン、ベンジルアミンなどの芳香族1級モノアミンが挙げられる。2級モノアミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−1−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−1−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−1−ペンチルアミン、ジイソペンチルアミン、ジ−1−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−(4−メチル−2−ペンチル)アミン、ジ−1−ヘプチルアミン、ジ−1−オクチルアミン、イソオクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−1−ノニルアミン、ジイソノニルアミン、ジ−1−デシルアミン、ジ−1−ドデシルアミン、ジ−1−ミリスチルアミン、ジセチルアミン、ジ−1−ステアリルアミン、ジイソステアリルアミン、ジ−(2−オクチルデシル)アミン、ジ−(2−オクチルドデシル)アミン、ジ−(2−ヘキシルデシル)アミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルイソブチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ピペラジン、アルキル置換ピペラジンなどの脂肪族2級モノアミンが挙げられる。
【0080】
モノチオールとしては、例えば、メチルチオール、エチルチオール、1−プロピルチオール、イソプロピルチオール、1−ブチルチオール、イソブチルチオール、tert−ブチルチオール、1−ペンチルチオール、イソペンチルチオール、3−ペンチルチオール、1−ヘキシルチオール、シクロヘキシルチオール、4−メチル−2−ペンチルチオール、1−ヘプチルチオール、1−オクチルチオール、イソオクチルチオール、2−エチルヘキシルチオール、1−ノニルチオール、イソノニルチオール、1−デシルチオール、1−ドデシルチオール、1−ミリスチルチオール、セチルチオール、1−ステアリルチオール、イソステアリルチオール、2−オクチルデシルチオール、2−オクチルドデシルチオール、2−ヘキシルデシルチオール、ベヘニルチオール、オレイルチオールなどの脂肪族モノチオール、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチルなどのチオグリコール酸アルキルエステル、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸トリデシルなどのメルカプトプロピオン酸アルキルエステルが挙げられる。
【0081】
本発明の製造方法で用いるモノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物は、前記例示に限定されることなく、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はチオール基を一つ有する化合物であればいかなる化合物も用いることができ、また単独で用いても、2種類以上を併用して用いても構わない。このうち、好ましくはモノアルコールが用いられ、更には脂肪族モノアルコールを用いる場合が好ましい。
【0082】
ここで、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物のそれぞれ水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はチオール基以外の部分が、一般式(5)中のYを構成する。
【0083】
前記例示したモノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せからなる群から選択される環状化合物を開環重合して、「片末端に水酸基を有するポリエーテル及び/又はポリエステルからなる重合体(PeOH)」を製造することができる。但し、ジカルボン酸無水物とエポキシドとは必ず同時に用いられ、交互に重合させる。
【0084】
ここで、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せからなる群から選択される環状化合物の反応順序は、どのようなものでもよく、例えば、一段階目として前記開始剤にアルキレンオキサイドを重合した後、二段階目にラクトンを重合し、更に三段階目にジカルボン酸無水物とエポキシドとを交互に重合することもできる。この例では、二段階目にラクトンを重合するときの開始剤は、一段階目に重合されている片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体となる。また、三段階目にジカルボン酸無水物とエポキシドとを交互に重合するときの開始剤は、二段階目までに重合されている片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体とラクトン重合体のブロック共重合体となる。本発明の製造方法では、以降に説明する重合体(PeOH)を製造する場合の開始剤として、このような片末端に水酸基を有する重合体も含む。また、同様に後述する重合体(PeNH)、重合体(PvOH)、及び重合体(PvNH)も開始剤となりうる。
【0085】
前記の環状化合物の反応順序は、一段階目のアルキレンオキサイド、二段階目のラクトン、三段階目のジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せに限定されず、アルキレンオキサイド、ラクトン(及び/又はラクチド)、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの
組合せを任意の順序で、それぞれ1ないし複数回に亘って実施することができる。あるいは、アルキレンオキサイド、ラクトン(及び/又はラクチド)、及びジカルボン酸無水物
とエポキシドとの組合せについて、全ての開環重合を実施せずに、それらの内から、任意の環状化合物を選択して、開環重合を実施することもできる。
【0086】
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。開始剤1モルに対するアルキレンオキサ
イドの重合モル数は、0〜100が好ましい。
【0087】
アルキレンオキサイドの重合は、公知方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で、加圧状態で行うことができる。モノアルコールの水酸基にアルキレンオキサイドを重合して得られる重合体(PeOH)は市販されており、例えば、日本油脂社製ユニオックスシリーズ、日本油脂社製ブレンマーシリーズなどがあり、本発明の製造方法において、重合体(PeOH)として使用することができる。市販品を具体的に例示すると、ユニオックスM−400、M−550、M−2000、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、AE−90、AE−200、AE−400、PP−1000、PP−500、PP−800、AP−150、AP−400、AP−550、AP−800、50PEP−300、70PEP−350B、AEPシリーズ、55PET−400、30PET−800、55PET−800、AETシリーズ、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、APTシリーズ、10PPB−500B、10APB−500Bなどがある。これらの市販品を用いて第一の工程を省略してもよい。
【0088】
ここで、アルキレンオキサイドのアルキレン基が、前記一般式(5)における繰り返し単位G中のR11を構成する。
【0089】
ラクトンとしては、具体的にはβ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、アルキル置換されたε−カプロラクトン、が挙げられ、このうちδ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、アルキル置換されたε−カプロラクトンを使用するのが開環重合性の点で好ましい。
【0090】
本発明の製造方法において、ラクトンは、前記例示に限定されることなく用いることができ、また単独で用いても、2種類以上を併用して用いても構わない。2種類以上を併用して用いることで結晶性が低下し室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
【0091】
ラクチドとしては、下記一般式(7)で示されるものが好ましい(グリコリドを含む)。
一般式(7):
【0092】
【化23】


【0093】
〔一般式(7)中、
31及びR32は、それぞれ独立して、水素原子、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭素原子数1〜20のアルキル基であり、
33及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、並びに飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭素原子数1〜9の低級アルキル基である。〕
本発明の製造方法において、特に好適なラクチドはラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)及びグリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)である。前記ラクトン又はラクチドのうち、ラクトンが用いられるのが好ましい。
【0094】
ラクトン及び/又はラクチドの開環重合は、公知方法、例えば、脱水管、コンデンサーを接続した反応器に、開始剤、ラクトン及び/又はラクチド、及び重合触媒を仕込み、窒素気流下で行うことができる。低沸点のモノアルコールを用いる場合には、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることができる。また、モノアルコールにエチレン性不飽和二重結合を有するものを使用する場合は、重合禁止剤を添加し、乾燥空気流下で反応を行うことが好ましい。
【0095】
開始剤1モルに対するラクトン及び/又はラクチドの重合モル数は、1〜60モルの範囲が好ましく、更には2〜20モルが好ましく、最も好ましくは3〜15モルである。
【0096】
重合触媒としては、公知のものを制限なく使用することができるが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨードなどの四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホ
ニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨードなどの四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルフォスフィンなどのリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウムなどの有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラートなどのアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合物、及び塩化亜鉛などの亜鉛化合物等が挙げられる。触媒の使用量は0.1ppm〜3000ppm、好ましくは1ppm〜1000ppmである。触媒量が3000ppmを超えると、樹脂の着色が激しくなる場合がある。逆に、触媒の使用量が0.1ppm未満ではラクトン及び/又はラクチドの開環重合速度が極めて遅くなるので好ましくない。
【0097】
ラクトン及び/又はラクチドの重合温度は100℃〜220℃、好ましくは、110℃〜210℃の範囲で行う。反応温度が100℃未満では反応速度がきわめて遅く、220℃を超えるとラクトン及び/又はラクチドの付加反応以外の副反応、たとえばラクトン付加体のラクトンモノマーへの解重合、環状のラクトンダイマーやトリマーの生成等が起こりやすい。
【0098】
ここで、ラクトン又はラクチドのエステル基以外の部分が、前記一般式(5)における繰り返し単位G中のR12を構成する。
【0099】
ジカルボン酸無水物としては、例えば、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、イタコン酸無水物、グルタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、及びクロレンデック酸無水物などが挙げられる。
【0100】
エポキシドとしては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、2,4−ジブロモフェニルグリシジルエーテル、3−メチル−ジブロモフェニルグリシジルエーテル(ただし、ブロモの置換位置は任意である)、アリルグリシジルエーテル、エトキシフェニルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルフタルイミド、及びスチレンオキシドなどが挙げられる。
【0101】
本発明の製造方法においては、ジカルボン酸無水物とエポキシドとは開始剤に対して同時に使用され、交互に反応する。このとき、開始剤の水酸基、一級アミノ基、二級アミノ基、又はチオール基に対して、まずジカルボン酸無水物の酸無水物基が反応してカルボキシル基を生じ、次いでこのカルボキシル基にエポキシドのエポキシ基が反応して水酸基を生じる。更に、この水酸基にジカルボン酸無水物の酸無水物基が反応するというように、以下、順次、前記と同様の反応を進行させることができる。開始剤1モルに対するジカルボン酸無水物及びエポキシドの重合モル数はそれぞれ0〜30モルが好ましい。また、ジカルボン酸無水物とエポキシドとの反応比率([D]/[E])は、
0.8≦[D]/[E]≦1.0
([D]はジカルボン酸無水物のモル数であり、[E]はエポキシドのモル数である)
であることが好ましい。0.8未満であるとエポキシドが残り好ましくなく、1.0を超えると、「片末端に水酸基を有する所望のポリエーテル及び/又はポリエステルからなる重合体(PeOH)」が得られず、片末端にカルボキシル基を有する重合体ができるので好ましくない。
【0102】
ジカルボン酸無水物とエポキシドとの交互重合は、好ましくは50℃〜180℃、より好ましくは、60℃〜150℃の範囲で行う。反応温度が50℃未満となる場合や180
℃を超える場合では反応速度がきわめて遅い。
【0103】
ここで、ジカルボン酸無水物のジカルボン酸無水物基以外の部分が前記一般式(5)における繰り返し単位G中のR13を構成し、エポキシドの環状エーテルを形成する酸素原子以外の部分が前記一般式(5)における繰り返し単位G中のR14を構成する。
【0104】
本発明の製造方法において、「ポリエーテル及び/又はポリエステルからなる重合体(PeOH)」を製造するときに、エチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコール、ジカルボン酸無水物、又はエポキシドを使用する場合は、重合禁止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、フェノチアジン等が好ましく、これらを単独若しくは併用で0.01%〜6%、好ましくは、0.05%〜1.0%の範囲で用いる。
【0105】
次に、「片末端に水酸基を有するビニル共重合体(PvOH)」の製造方法について説明する。ビニル共重合体(PvOH)は、分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用し、エチレン性不飽和単量体を重合することで得ることができる。
【0106】
分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物としては、例えば、メルカプトメタノール、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、1−メルカプト−2−ブタノール、2−メルカプト−3−ブタノールなどが挙げられる。
【0107】
水酸基とチオール基とを有する化合物とエチレン性不飽和単量体とを混合して加熱することでビニル共重合体(PvOH)を得ることができる。好ましくは、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、1〜30重量部の水酸基とチオール基とを有する化合物を用い、塊状重合又は溶液重合を行う。反応温度は好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜110℃、反応時間は好ましくは3〜30時間、より好ましくは5〜20時間である。
【0108】
チオール基はエチレン性不飽和単量体を重合するためのラジカル発生基となるため、該重合には必ずしも別の重合開始剤は必要ではないが、使用することもできる。該重合開始剤を使用する場合は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましい。重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロ
パーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0109】
エチレン性不飽和単量体としては、アクリル単量体とアクリル単量体以外の単量体とが
挙げられる。アクリル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド(なお、「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを示すものとする。以下同じ。)、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、およびアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0110】
また、前記アクリル単量体以外の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。アクリル単量体以外の前記単量体を、前記アクリル単量体と併用することもできる。
【0111】
また、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を単独で用いるか、もしくは前記単量体と併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ε−カプラロラクトン付加アクリル酸、ε−カプラロラクトン付加メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などから1種又は2種以上を選択することができる。
【0112】
続いて、「片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH)」を製造する第一の工程について説明する。本発明の製造方法において、重合体(PNH)は、モノアルコールを開始剤としてアルキレンオキサイドを開環重合して、片末端に水酸基を有するポリエーテルを生成し、その水酸基を還元アミノ化することによって得られる、「片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)」であるか、又は、分子内に1級アミノ基とチオール基とを有する化合物若しくは分子内に1級アミノ基と水酸基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用し、エチレン性不飽和単量体を重合してなる、「片末端に1級アミノ基を有するビニル共重合体(PvNH)」であることが好ましい。
【0113】
「片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)」の製造について説明する。
【0114】
「片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)」の前駆体としての、「片末端に水酸基を有するポリエーテル(PeOH)」は、既に、前記重合体(PeOH)の製造方法に関して説明したとおりであり、この条件や原料についても前記の説明のとおりである。この「片末端に水酸基を有するポリエーテル(PeOH)」を用い、例えば、アンモニア、水素及び触媒の存在下に、圧力5〜30MPa、170〜250℃の高温条件で、0.15〜2時間反応することで得られる。このように、水酸基を還元アミノ化する
ことで、「片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)」が得られる。還元アミノ化する触媒としては、ラネーニッケル/アルミニウム触媒が好ましい。
【0115】
「片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)」は、市販されており、例え
ば、三井化学ファイン社又はハンツマンコーポレーションより、ジェファーミン、又はサーフォナミンの商品名で市販されている。本発明の製造方法においては、片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)として、前記市販品を使用し、第一の工程を省略することができる。市販品を具体的に例示すると、ジェファーミンXTJ−475、XTJ−436、XTJ−505、XTJ−506、XTJ−507、M−2070、サーフォナミンB−60、L−100、B−200、L−207、L−300、B−30、B−100などがある。
【0116】
「片末端に1級アミノ基を有するビニル共重合体(PvNH)」の製造について説明する。「片末端に1級アミノ基を有するビニル共重合体(PvNH)」は、1級アミノ基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として、目的とする分子量にあわせてエチレン性不飽和単量体と重合開始剤とを混合して加熱することで得ることができる。好ましくは、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、1〜30重量部の1級アミノ基とチオール基とを有する化合物を用い、塊状重合又は溶液重合を行う。使用可能なエチレン性不飽和単量体、重合開始剤及び溶剤の種類、使用量、また重合条件は前記「片末端に水酸基を有する前記ビニル共重合体(PvOH)」で説明したものと同じである。
【0117】
分子内に1級アミノ基とチオール基とを有する化合物としては、例えば、2−アミノエタンチオール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3−メルカプト−4H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3−メルカプト−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−2−メルカプトピリミジン、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−チアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。このうち、好ましくは2−アミノエタンチオールを使用する場合である。
【0118】
分子内に1級アミノ基と水酸基とを有する化合物としては、例えば、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、又は4−アミノブタノールなどが挙げられる。
【0119】
前記のうち、分子内に1級アミノ基とチオール基とを有する化合物は、分子内に1級アミノ基と水酸基とを有する化合物よりも好ましい。連鎖移動定数が高く重合体製造後に未反応物として残りにくいからである。
【0120】
本発明の製造方法では、場合によって、一般式(1)におけるA〜A中の1つ以内の範囲で、3つのカルボキシル基〔−C(=O)OH又は−CHC(=O)OH〕の内の1つに、重合体(POH)又は重合体(PNH)以外のモノアルコール由来の残基をエステル基の形で、あるいは、1級モノアミン若しくは2級モノアミン由来の残基をアミド基の形で導入することができる。重合体(POH)以外のモノアルコールとしては、前記したモノアルコールのうち、水酸基とアルキル基とからなり、かつ、アルキル基部分の炭素原子数が1〜18であるモノアルコールが好ましい。重合体(PNH)以外の1級モノアミン、2級モノアミンとしては、前記した1級モノアミン、2級モノアミンのうち、1級又は2級のアミノ基とアルキル基とからなり、かつ、アルキル基部分の炭素原子数が1〜18であるモノアミンが好ましい。
【0121】
本発明の製造方法において、重合体(POH)又は重合体(PNH)を製造する第一の工程では、無溶剤又は場合によって溶剤を使用することができる。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま、分散剤の製品の
一部として使用することもできる。
【0122】
次に、「片末端に水酸基を有する重合体(POH)又は重合体(PNH)」とテトラカルボン酸二無水物とを反応させる第二の工程について説明する。
【0123】
本発明の製造方法においては、第一の工程で得られた「片末端に水酸基を有する重合体(POH)」の水酸基、又は「片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH)」の1級アミノ基と、テトラカルボン酸二無水物の無水物基とを反応させる。この第二の工程によって、例えば、本発明による前記一般式(1)で表される分散剤を得ることができる。
【0124】
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は多環式テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0125】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、2,3,5,6−テトラカルボキシシクロヘキサン二無水物、2,3,5,6−テトラカルボキシノルボルナン二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
【0126】
芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、M−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン無水物などを挙げることができる。
【0127】
多環式テトラカルボン酸無水物としては、例えば、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物などを挙げることができる。
【0128】
本発明の製造方法で使用されるテトラカルボン酸二無水物は、前記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を二つ持てば、どのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。本発明に好ましく使用されるものは、顔料分散体又は各種インクの低粘度化の観点から芳香族テトラカルボン酸二無水物である。更には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0129】
第二の工程での反応比率は、重合体(POH)の水酸基又は重合体(PNH)の1級アミノ基のモル数を<H>、テトラカルボン酸二無水物のカルボン酸無水物基のモル数を<
N>としたとき、0.5<<H>/<N><1.2が好ましく、更に好ましくは0.7<<H>
/<N><1.1、最も好ましくは<H>/<N>=1の場合である。<H>/<N><1で反応させる場合は、残存する酸無水物を必要量の水で加水分解して使用してもよい。
【0130】
第二の工程には触媒を用いてもかまわない。触媒としては、例えば、3級アミン系化合物が使用でき、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
【0131】
第二の工程は無溶剤で行ってもよいし、適当な脱水有機溶媒を使用してもよい。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま分散剤の製品の一部として使用することもできる。
【0132】
第二の工程の反応温度は、「片末端に水酸基を有する重合体(POH)」を使用する場合は好ましくは80℃〜180℃、より好ましくは90℃〜160℃の範囲で行う。反応温度が80℃未満では反応速度が遅く、180℃を超えると反応して開環した酸無水物が、再度環状無水物を生成し、反応が終了しにくくなる場合がある。また、「片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH)」を使用する場合は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10℃〜100℃の範囲で行う。0℃未満では反応が進まない場合があり、150℃を超えるとイミド化する場合があり好ましくない。
【0133】
ここで、テトラカルボン酸二無水物の2つのジカルボン酸無水物基を除いた部分が、一般式(1)のXを構成する。
【0134】
本発明の分散剤によって、例えば、顔料を良好に分散することができる。本発明の分散剤によって分散できる顔料は、インク等に使用される種々のものが挙げられる。有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアンスラキノニル顔料、アンスラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ピランスロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等があり、更に具体的な例をカラーインデックスのジェネリックネームで示すと、ピグメントブラック7、ピグメントブルー15,15:1,15:3,15:4,15:6,60、ピグメントグリーン7,36、ピグメントレッド9,48,49,52,53,57,97,122,144,146,149,166,168,177,178,179,185,206,207,209,220,221,238,242,254,255、ピグメントバイオレット19,23,29,30,37,40,50、
ピグメントイエロー12,13,14,17,20,24,74,83,86,93,94,95,109,110,117,120,125,128,137,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168,180,185、ピグメントオレンジ13,36,37,38,43,51,55,59,61,64,71,74等が挙げられる。
【0135】
また、本発明の分散剤は、二酸化チタン、酸化鉄、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、シリカなどの金属酸化物、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、カーボンブラックなどの無機顔料の分散にも使用することができる。
【0136】
更に、本発明の分散剤は、顔料以外の微粒子、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、コバルト、ニッケル、チタン及び/又はこれらの合金などの金属微粒子を含む固体微粒子の分散に使用することができる。
【0137】
本発明の分散剤は、前記例示した顔料に限らず、微粉末状のものであればどのようなものに適応しても構わない。但し、本発明の分散剤はカルボキシル基を有しており、表面が中性〜塩基性を示す固体微粒子(特に顔料)との相互作用が強いため、そのような固体微粒子(特に顔料)の分散に用いるのが好ましい。特に有機顔料の場合は、表面が塩基性に偏った顔料が好ましい。ここで、表面が塩基性に偏った顔料とは、計算式:
〔P〕=〔As〕−〔Bs〕
(〔As〕は、「顔料の表面塩基量」であり、〔Bs〕は「顔料の表面酸量」である)
によって計算される〔P〕値が30μmol/g以上である顔料を意味する。顔料の表面塩基量と表面酸量は例えば文献(色材、61[12]、692−698,1988)に記載の方法で求めることができる。
【0138】
本発明の顔料分散体とは、本発明の分散剤により顔料を分散して得ることができるペースト状またはチップ状のものをいう。本発明の分散剤及び顔料のみによって顔料分散体を得ることができる。また、本発明の分散剤を用い、顔料を分散剤以外の顔料担体(樹脂、その前駆体、またはそれらの混合物)、溶媒、またはワニスなどに対して分散することにより顔料分散体を得ることもできる。
【0139】
また、本発明の顔料分散体には、その他添加剤として、光重合開始剤、連鎖移動剤、可塑剤、表面調整剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、消泡剤、粘度調整剤、ワックス、界面活性剤、レベリング剤等を加えることができる。
【0140】
本発明の顔料分散体の製造に用いる機械としては、顔料の分散、攪拌、混合及び粉砕を行うことができるものであれば、制限なく利用できる。例えば、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター、ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミル、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、 ロールミル、石臼式ミル、及び超音波分散機などである。
【0141】
また、ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミル等の練肉混合機によって固形分散を行えば、チップ状の顔料分散体を得ることもできる。なお、固体分散とは、溶媒を用いない顔料分散をいう。
【0142】
それぞれの顔料分散用の機械において、顔料分散に適切な粘度領域がある場合には、各種顔料担体と顔料との比率を変えて粘度を調整することができる。
【実施例】
【0143】
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表し、「%」は「重量%」を表す。また、以下の実施例において、数平均分子量、重量平均分子量は東ソー株式会社製ゲルパーミエイションクロマトグラフィー「HLC−8120GPC」において、分離カラムを4本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK−GEL SUPER H5000」、「H4000」、「H3000」、および「H2000」を用い、移動相にテトラヒドロフランを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。また、酸価、水酸基価およびアミン価は以下の方法により測定した値である。
[酸価]
酸価を測定する目的物を約1g秤量し、ピリジン30g、水1gを加え10分攪拌した後、0.1N水酸化カリウムエタノール溶液にて電位差滴定を行った。また同様の方法で空試験をおこなった。得られた滴定値から分散剤1gに含まれるカルボキシル基と当量の水酸化カリウムのmg数を求めた。
[水酸基価]
水酸基価を測定する目的物を約5g秤量し、アセチル化試薬(無水酢酸/ピリジン=2/7)を5mL加えた後、100℃で30分間攪拌し、その後冷却し蒸留水50mLを加え、0.5Nの水酸化カリウム水溶液を用いて電位差滴定により逆滴定を行った。また同様の方法で空試験をおこなった。得られた滴定値から分散剤1gに含まれる水酸基と当量の水酸化カリウムのmg数を求めた。
[アミン価]
アミン価を測定する目的物を約1g秤量し、トルエン/イソプロピルアルコール=8/2の溶媒50gを加え10分攪拌した後、0.1N塩酸エタノール溶液にて電位差滴定を行った。また同様の方法で空試験をおこなった。得られた滴定値から分散剤1gに含まれるアミノ基と当量の水酸化カリウムのmg数を求めた。
【0144】
[実施例1]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、および触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認し第一の工程(以下の各表に記載の「製造工程1」)を終了した。この反応生成物の数平均分子量は1350、重量平均分子量は1890であった。
【0145】
上記反応生成物にピロメリット酸二無水物36.6部を追加し100℃で5時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し第二の工程(以下の各表に記載の「製造工程2」)を終了した。得られた分散剤は25℃でロウ状固体であり、数平均分子量2430、重量平均分子量3590、酸価49mgKOH/gであった。ここで、ロウ状固体とは、常温では不透明の固体であるが加熱により透明な液体に変化するものを意味し、この実施例1で得られた分散剤は約50℃で透明な液状になるものであった。
【0146】
実施例1で得られた分散剤の赤外線吸収スペクトルを図1に、13C−NMRスペクトルを図2に示す。
【0147】
[実施例2〜15]
実施例1と同様の装置、触媒、および反応操作を用いるが、出発材料として表1または表2に記載の化合物を表1または表2に記載の使用量で用いて各分散剤を得た。ただし、実施例4、5、9、12、13および15においては、反応容器内を窒素ガスで置換する代わりに、乾燥空気で置換した。また、表1および表2の実施例7および実施例13に記載の「水」は、テトラカルボン酸二無水物と片末端に水酸基を有するポリエステルの水酸基との反応終了を酸価で確認した後に添加して、残存する酸無水物を加水分解するために
用いた水である。
【0148】
【表1】


【0149】
【表2】


【0150】
※:水酸基価65.8mgKOH/g(ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物)
表1・表2中の略称:
メトキシPEG400・・・片末端メトキシ化ポリエチレングリコール(数平均分子量395、水酸基価:142mgKOH/g)
ブレンマーPP−500・・・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂株式会社製:商品名ブレンマーPP−500、数平均分子量590、水酸基価:95.1mgKOH/g)
PMA・・・ピロメリット酸二無水物
BTDA・・・3,3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
DSDA・・・3,3,4,4−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
TMEG・・・エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル(新日本理化株式会社製:商品名リカシッドTMEG−100)
BPAF・・・9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物
BTA・・・1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物
BPDA・・・3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
NPDA・・・2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
DBU・・・1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン
DMBA・・・N,N−ジメチルベンジルアミン
【0151】
[実施例16]
実施例1と同様の反応容器に、片末端メトキシ化ポリエチレングリコール(数平均分子量960、水酸基価:58.4mgKOH/g)350.0部、およびピロメリット酸二無水物39.7部を加えて100℃で5時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。得られた分散剤は25℃でロウ状固体であり、数平均分子量2040、重量平均分子量3060、酸価54mgKOH/gであった。
[実施例17〜19]
実施例16と同様の反応容器を用いるが、出発材料として表3に記載の化合物を表3に示す使用量で用いて各分散剤を得た。ただし、反応温度と反応時間について、実施例17は100℃で5時間、実施例18および19については50℃3時間で行った。
【0152】
【表3】


【0153】
表3中の略称:
メトキシPEG1000・・・片末端メトキシ化ポリエチレングリコール(数平均分子量960、水酸基価:58mgKOH/g)
ブレンマー10PPB−500B・・・プロピレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂株式会社製:商品名ブレンマー10PPB−500B、数平均分子量550、水酸基価:102mgKOH/g)
ジェファーミンXTJ−506・・・片末端メトキシ化ポリオキシエチレンポリオキシプレピレンアミン(三井化学ファイン株式会社製:商品名ジェファーミンXTJ−506、
数平均分子量1000、アミン価56mgKOH/g)
サーフォナミンL−207・・・片末端メトキシ化ポリオキシエチレンポリオキシプレピレンアミン(三井化学ファイン株式会社製:商品名サーフォナミンL−207、数平均分子量2000、アミン価28mgKOH/g))
PMA・・・ピロメリット酸二無水物
TMEG・・・エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル(新日本理化株式会社製:商品名リカシッドTMEG−100)
【0154】
[実施例20]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、および触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した。この後、無水コハク酸33.6部、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル62.5部、およびN,N−ジメチルベンジルアミン2.0部を加え80℃で8時間反応させた。この反応生成物の数平均分子量は1700、重量平均分子量は2260であった。
【0155】
上記反応生成物にピロメリット酸二無水物28.8部を追加し100℃で5時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。得られた分散剤は25℃でロウ状固体であり、数平均分子量3640、重量平均分子量5460、酸価40mgKOH/gであった。
【0156】
上記のうち実施例2、9、12,14,15、17、18および19で得られた分散剤は25℃で溶剤を含まなくても液状であるため取扱いに優れていた。
【0157】
〔実施例21〕
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルメタクリレート200部および2−メルカプトエタノール10部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。得られた反応生成物(重合体)の数平均分子量は2460、重量平均分子量4530であった。
【0158】
上記反応生成物にピロメリット酸二無水物14.0部、シクロヘキサノン95.9部、および触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、130℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し、シクロヘキサノン127.6部を加え反応を終了した。反応生成物は数平均分子量3620、重量平均分子量6190、酸価29mgKOH/gであった。
【0159】
〔実施例22〜26〕
実施例21と同様の装置および反応操作を用い、表4に記載のエチレン性不飽和単量体、連鎖移動剤、重合開始剤、およびテトラカルボン酸二無水物を、表4に記載の使用量で反応させて各分散剤を得た。
【0160】
【表4】


【0161】
表4中の略称:
PMA・・・ピロメリット酸二無水物
DBU・・・1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン
【0162】
(参考例1)
ガス導入管、温度計、攪拌機、およびジーンスタークトラップを付けたコンデンサーを備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアルコール39.0部、ピロメリット酸無水物21.8部、およびメトキシプロピルアセテート50部の混合物を窒素気流中5時間、沸点で反応させた。発生した水分はジーンスタークトラップで分離した。反応終了後、メトキシプロピルアセテートで不揮発分を50%に調整して比較分散剤を得た。反応生成物の不揮発分あたりの酸価は96mgKOH/gであった。
(参考例2)
ガス導入管、温度計、攪拌機、およびコンデンサーを備えた反応容器に、ネオペンチルグリコール17.8部、ピロメリット酸無水物31.9部、およびメトキシプロピルアセテート75.0部を仕込み、150〜160℃に昇温し、窒素気流中5時間反応させた。酸価が334mgKOH/g以下になった時点で50℃まで冷却し、ε−カプロラクトン249.7部、およびテトラブチルチタネート0.6部を加え、150℃で5時間反応させた。不揮発分が76%以上になった時点で冷却し、メトキシプロピルアセテートを追加して不揮発分を50%に調整して比較分散剤を得た。反応生成物の不揮発分あたりの酸価は55mgKOH/gであった。
(参考例3)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、ブレンマー55PET−800(日本油脂株式会社製:ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート;数平均分子量:840、水酸基価:67mgKOH/g)49.5部、ε−カプロラクトン50.5部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.04部および重合禁止剤としてメチルハイドロキノンを仕込み、120℃で5時間乾燥空気を導入しながら反応させた。固形分測定により98%が反応したことを確認したのち、70℃に温度を下げ無水コハク酸5.9部を添加した。そのまま70℃で4時間反応させ比較分散剤を得た。反応生成物の不揮発分あたりの酸価は63mgKOH/gであった。
(参考例4)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、ブレンマー55PET−800(日本油脂株式会社製:ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート;数平均分子量:840、水酸基価:67mgKOH/g)49.5部、ε−カプロラクトン50.5部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.04部および重合禁止剤としてメチルハイドロキノンを仕込み、120℃で5時間乾燥空気を導入しながら反応させた。固形分測定により98%が反応したことを確認したのち、70℃に温度を下げ無水フタル酸8.7部を添加した。そのまま70℃で4時間反応させ比較分散剤を得た。反応生成物の不揮発分あたりの酸価は61mgKOH/gであった。
(参考例5)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、ジエチレングリコールモノメチルエーテル100.0部、ピロメリット酸二無水物64.9部、メチルエチルケトン144.5部、および1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.20部を加えて80℃で20時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。得られた比較分散剤は25℃で半透明の液体であり、数平均分子量550、重量平均分子量700、酸価205mgKOH/gであった。
(参考例6)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアルコール8.7部、ε−カプロラクトン341.3部、および触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、130℃で5時間反応させた。固形分測定により98%が反応したことを確認し第一の工程を終了した。この反応生成物の数平均分子量は5570、重量平均分子量は8520であった。
【0163】
上記反応生成物にピロメリット酸二無水物7.2部を追加し100℃で5時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し第二の工程を終了した。得られた比較分散剤は25℃でロウ状固体であり、数平均分子量10860、重量平均分子量17700、酸価11mgKOH/gであった。
【0164】
〔実施例27〕
顔料として二酸化チタン24g、実施例1で得られた分散剤4g、メトキシプロピルアセテート32g、およびガラスビーズ(直径0.8mm)60gを140mLのマヨネーズ瓶に仕込み、F&FM社製スキャンデックスSO400(以下スキャンデックスと呼ぶ)に設置して3時間分散した。この分散液からガラスビーズを取り除き分散体を得た。この分散体を24時間25℃で放置後、直径60mm、角度0度59分のコーンプレートを用いたコーンプレート型粘度計で、10rad/秒の回転速度で25℃での粘度(これを初期粘度と呼ぶ)を測定したところ50mPa・sであった。また、この分散体を40℃のオーブンで1週間保存したものを上記と同様の方法で粘度(これを経時粘度と呼ぶ)を測定したところ53mPa・sであり、粘度の変化率(経時粘度÷初期粘度)は106%であった。
〔実施例28〜41〕
実施例27と同様の方法で、上記実施例で得られた分散剤を用いて得た分散体の初期粘度、経時粘度および粘度の変化率を測定した。ただし、実施例37〜41については使用する溶剤を実施例27におけるメトキシプロピルアセテートからn−オクタノールに変更して分散体を作製した。結果を表5〜7に示す。
【0165】
【表5】


【0166】
【表6】


【0167】
【表7】


【0168】
〔実施例42〜47〕
実施例27(分散体の製造実施例)に記載の操作において、実施例1で得られた分散剤4gの代わりに、それぞれ実施例21〜26で得られた分散剤(不揮発分50重量%)8gを用い、メトキシプロピルアセテート32gの代わりにシクロヘキサノン28gを用いること以外は、全て実施例22に記載の操作及び評価方法によって、分散体を製造し、評価した。結果を表8に示す。
【0169】
【表8】


【0170】
(比較例1〜4)
実施例27(分散体の製造実施例)に記載の操作において、参考例1、2、5および6で得られた分散剤を用いて製造した分散体の初期粘度、経時粘度および粘度の変化率を測定した。ただし、比較例3については、使用する溶剤を実施例27で用いたメトキシプロピルアセテートの代わりにn−オクタノールに変更して分散体を作成した。結果を表9に示す。
【0171】
【表9】


【0172】
〔実施例48〕
以下の計算式:
F=B−A
(式中、Fは、顔料の表面余剰官能性量(μmol/g)であり、Bは顔料の表面塩基量(μmol/g)であり、Aは、顔料の表面酸量(μmol/g)である)
から計算されるF値(顔料の表面余剰官能性量)が、+140μmol/gである塩基性表面を有する銅フタロシアニン顔料9g、実施例1で得られた分散剤3g、メトキシプロピルアセテート48g、およびガラスビーズ(直径0.8mm)60gを140mLのマヨネーズ瓶に仕込み、スキャンデックスに設置して3時間分散した。この分散液からガラスビーズを取り除き分散体を得た。この分散体を24時間25℃で放置後、直径60mm、角度0度59分のコーンプレートを用いたコーンプレート型粘度計で、10rad/秒の回転速度で25℃での粘度(これを初期粘度と呼ぶ)を測定したところ3.5mPa・sであった。また、この分散体を40℃のオーブンで1週間保存したものを上記と同様の方法で粘度(これを経時粘度と呼ぶ)を測定したところ3.5mPa・sであり、粘度の変化率(経時粘度÷初期粘度)は100%であった。
〔実施例49〜52〕
実施例48と同じ方法で、実施例3、9、18および22で得られた分散剤を用いて得た分散体の初期粘度、経時粘度および粘度の変化率を測定した。なお、実施例52においては、実施例48に記載の操作を繰り返す際に、「実施例1で得られた分散剤3g」に代えて「実施例22で得られた分散剤(不揮発分50%)6g」を用い、「メトキシプロピルアセテート48g」に代えて「メトキシプロピルアセテート45g」を用いて分散体を得た。結果を表10に示す。
【0173】
【表10】


【0174】
(比較例5〜8)
参考例1〜4で得られた分散剤を用いること以外は、実施例22と同様の方法で得た分散体について、それらの初期粘度、経時粘度および粘度の変化率を測定した。結果を表11に示す。
【0175】
【表11】


【0176】
本発明の分散剤を用いることにより、顔料を低粘度で分散することが可能になり、保存安定性も良好な分散体が得られた。
【0177】
一方、特許文献1の実施例5に記載の方法により得られる比較分散剤を用いた比較例1および5では、分散剤に重合体部(P)が存在しないため分散能が著しく低く、分散操作中または40℃保存中にゲル化した。
【0178】
特許文献2の実施例1に記載の方法により得られる比較分散剤を用いたに比較例2および6では、テトラカルボン酸二無水物部分が一分子中に二個以上含まれている化合物ができていることから、初期粘度が高くなり、経時保存安定性が悪かった。
【0179】
また、重合体部(P)の分子量が168であり、本発明の範囲200よりも低い分散剤を用いた比較例3、または重合体部(P)の分子量が5570であり、本発明の範囲5000よりも高い分散剤を用いた比較例4では、いずれも分散体の粘度が高かった。
【0180】
さらに、基Xの置換基としてカルボキシル基を2つ以上含まない分散体を用いた比較例7および8では粘度が高く、また保存安定性が悪かった。以上のように、比較用分散剤では欠点が存在した。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】実施例1で得られた本発明による分散剤の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】実施例1で得られた本発明による分散剤の13C−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中)である。
【出願人】 【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキ製造株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−29901(P2008−29901A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−185611(P2006−185611)