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【発明の名称】 微細気泡発生器
【発明者】 【氏名】吉田 陽

【氏名】石井 頼成

【氏名】▲高▼橋 理

【要約】 【課題】配管系の中に設けて使用することが可能であり、かつ、液体の流れを形成するポンプの消費エネルギー量を低減することができる微細気泡発生器を提供する。

【構成】微細気泡発生器100は、相対的に大きな径の円柱状の大径流路1aを形成する大管径部1を備えている。大管径部1は、小管径部2に接続されている。小管径部2は、大径流路1aに連通しておりかつ相対的に小さな径の円柱状の小径流路2aを形成している。小管径部2は、円錐状管径部7に接続されている。円錐状管径部7は、小径流路2aに連通しておりかつ小径流路2aから徐々に径が大きくなる円錐状流路7aを形成している。小管径部2の端面2bと小管径部2の内周面2cとは、微細気泡発生器100の縦断面において、角部3を構成する。また、小管径部2の端面2bが大径流路1aに接触している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に大きな径の円柱状の大径流路を形成する大管径部と、
前記大径流路に連通しておりかつ相対的に小さな径の円柱状の小径流路を形成する小管径部と、
前記小径流路に連通しておりかつ前記小径流路から徐々に径が大きくなる円錐状流路を形成する円錐状管径部とを備えた微細気泡発生器であって、
前記小管径部の端面と前記小管径部の内周面とが当該微細気泡発生器の縦断面において角部を構成し、前記小管径部の端面が前記大径流路に接触している、微細気泡発生器。
【請求項2】
前記円錐状流路は、中心軸と母線とがなす角度が1.5°〜9°である円錐状の空間である、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項3】
前記円錐状流路は、中心軸と母線とがなす角度が3°〜8°である円錐状の空間である、請求項2に記載の微細気泡発生器。
【請求項4】
前記円錐状流路の長さが、15mm以上かつ200mm以下である、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項5】
前記小径流路の長さが、1mm以上かつ15mm以下である、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項6】
前記大径流路の内径が前記小径流路の内径よりも2mm以上大きい、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項7】
前記小径流路の内径が、前記小径流路における流体の平均速度が11m/s以上になるように設定されている、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項8】
前記小径流路の内径が1mm以上である、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項9】
前記小径流路を構成する円柱状の空間が前記大径流路を構成する円柱状の空間に入り込むように、前記角部が、前記大径流路を構成する円柱状の空間内において延びており、
当該微細気泡発生器の縦断面において、前記角部の外周面と液体が流れる方向とがなす角度は10°以上である、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項10】
前記小管径部は、前記小径流路へ気体を導くように、前記小径流路と外部空間とを連通させる気体導入孔を有している、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項11】
前記気体導入孔は、前記小管径部の端面と該小管径部の端面から下流に向かって2mmの距離を隔てた位置との間の位置に接続された、請求項10に記載の微細気泡発生器。
【請求項12】
前記気体導入孔の径が、前記小管径部から外部空間に向かって段階的に大きくなっている、請求項11に記載の微細気泡発生器。
【請求項13】
前記気体導入孔の内径が、前記小管径部から外部空間に向かって徐々に大きくなっている、請求項11に記載の微細気泡発生器。
【請求項14】
前記気体導入孔には、気体吸入用の配管が接続されており、
前記配管には、気体を通過させる開状態および気体を通過させない閉状態のいずれかに変化し得る開閉弁が設けられている、請求項12または13に記載の微細気泡発生器。
【請求項15】
前記気体導入孔には、気体吸入用の配管が接続されており、
前記配管には、通過する気体の量を制御することが可能な流量調整弁が設けられている、請求項12または13に記載の微細気泡発生器。
【請求項16】
前記小径流路以外に前記大径流路と前記円錐状流路とを連通させる連通管をさらに備えた、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項17】
前記連通管の内径は、0.1mm〜2mmである、請求項16に記載の微細気泡発生器。
【請求項18】
前記連通管とは異なる1または2以上の他の連通管をさらに備えた、請求項16に記載の微細気泡発生器。
【請求項19】
前記連通管と該連通管とは異なる1または2以上の他の連通管とが前記小管径部が介在する状態で対向するように設けられた、請求項16に記載の微細気泡発生器。
【請求項20】
前記連通管に弁が設けられた、請求項16に記載の微細気泡発生器。
【請求項21】
前記他の連通管に弁が設けられた、請求項18に記載の微細気泡発生器。
【請求項22】
前記円錐状管径部から所定の距離をおいた位置に設けられた遮蔽部材をさらに備えた、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項23】
貫通孔を有し、前記円錐状管径部の下流に設けられた遮蔽部材をさらに備えた、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項24】
前記小管径部は、その内周面に突起を有する、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項25】
前記大管径部、前記小管径部、および前記円錐状管径部のうちの少なくともいずれか1つの部分が他の部分から分離され得る、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項26】
前記大管径部、前記小管径部、および前記円錐状管径部のうちの少なくともいずれか1つの部分の材料が、他の部分の材料とは異なっている、請求項1に記載の微細気泡発生器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を通過する液体のキャビテーションを利用して微細気泡を発生させる微細気泡発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な微細気泡発生器は、大別して、次のような2種のものに分類される。
その一つは特開2003−117368号公報等に代表されるような旋回流型の微細気泡発生器である。旋回流型の微細気泡発生器においては、液体が接線方向に沿って旋回部へ導入される。それにより、旋回部の中心部が負圧部になる。また、気体は、底面の中心部に設けた気体導入孔から旋回部へ導入される。その結果、気泡を含む液体が旋回部の吐出口から吐き出される。旋回流型の微細気泡発生器は、主に、静止している液体中に設置され、静止している液体中の溶存ガスの濃度を増加させるために利用される。
【0003】
他の一つは特開2004−223441号公報、特開2005−87985号公報、および特開2006−81982号公報に示されるようなベンチュリー型の微細気泡発生器である。ベンチュリー型の微細気泡発生器においては、管径が徐々に変化する円錐状管径部が、小管径部の入口部および出口部の双方に接続させている。この構成によれば、ベルヌーイの定理から分かるように、小管径部内の液体に関しては、その流速が増加し、その静圧が減少する。その結果、液体の静圧が負圧になる。それにより、キャビテーションを利用して、液中に溶存している気体の圧力が低減される。その結果、気体の沸騰によって、微細気泡が発生する。
【特許文献1】特開2003−117368号公報
【特許文献2】特開2004−223441号公報
【特許文献3】特開2005−87985号公報
【特許文献4】特開2006−81982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の旋回流型の微細気泡発生器が配管に接続される場合には、旋回部の径が配管の内径の2倍以上大きいことが必要である。また、旋回流型の微細気泡発生器の小型化のためには、配管の内径を小さくすることが必要である。そのため、配管の内径を小さくすると、配管内を流れる液体の圧力損失が増加してしまう。したがって、配管系の中に旋回流型の微細気泡発生器を設けて使用することは困難である。
【0005】
また、ベンチュリー型の微細気泡発生器においては、液体が第1円錐状管径部から小管径部を介して第2円錐状管径部へ流れるときに、境界層が第1円錐状管径部から小管径部を通じて第2円錐状管径部へ連続的に延びるように形成される。そのため、液体の流れに剥離が生じ難い。したがって、液体の流速をかなり大きくしなければ、負圧部が形成され難い。その結果、液体の流れを形成するためのポンプの消費エネルギー量が大きくなってしまうという問題が発生する。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配管系の中に設けて使用することが可能であり、かつ、液体の流れを形成するポンプの消費エネルギー量を低減することができる微細気泡発生器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の微細気泡発生器は、相対的に大きな径の円柱状の大径流路を形成する大管径部と、大径流路に連通しておりかつ相対的に小さな径の円柱状の小径流路を形成する小管径部と、小径流路に連通しておりかつ小径流路から徐々に径が大きくなる円錐状流路を形成する円錐状管径部とを備えている。小管径部の端面と小管径部の内周面とが微細気泡発生器の縦断面において角部を構成する。小管径部の端面が大径流路に接触している。
【0008】
上記の構成によれば、微細気泡発生器が配管系の中に設けられて使用されても、液体の流れを形成するポンプの消費エネルギー量を低減することができる。
【0009】
また、円錐状流路は、中心軸と母線とがなす角度が1.5°〜9°である円錐状の空間であることが望ましい。これによれば、極めて小さい流量で負圧部を発生させることができる。
【0010】
また、円錐状流路は、中心軸と母線とがなす角度が3°〜8°である円錐状の空間であることが望ましい。これによれば、円錐状流路の長さが微細気泡発生器の小型化を図ることができる15mm以上60mm以下という範囲内のうちのいずれの値であっても、極めて小さい流量で負圧部を発生させることができる。
【0011】
また、円錐状流路の長さが、15mm以上かつ200mm以下であることが望ましい。
また、小径流路の長さが、1mm以上かつ15mm以下であることが望ましい。これによれば、極めて小さい流量で負圧部を発生させることができる。
【0012】
また、大径流路の内径が小径流路の内径よりも2mm以上大きいことが望ましい。これによれば、角部の近傍における流れの剥離を促進することができる。その結果、極めて小さい流量で負圧部を発生させることができる。
【0013】
また、小径流路の内径が小径流路における流体の平均速度が11m/s以上になるように設定されていることが望ましい。これによれば、キャビテーションを確実に発生させることができる。
【0014】
また、小径流路の内径が1mm以上であることが望ましい。なぜならば、小径流路の内径が1mmよりも小さければ、流体の流動抵抗が極端に増加したり、異物によって流路が閉塞されてしまったりしてしまうためである。
【0015】
また、小径流路を構成する円柱状の空間が大径流路を構成する円柱状の空間に入り込むように、角部が、大径流路を構成する円柱状の空間内において延びており、微細気泡発生器の縦断面において、角部の外周面と液体が流れる方向とがなす角度は10°以上であることが望ましい。
【0016】
前述のように、微細気泡発生器は角部を有するために、キャビテーションを容易に発生させることができる。しかしながら、この角部の角度が10°以下である場合には、角部の長さに対する角部の根元の厚さの比が1/5以下であるため、角部の強度が極めて小さくなる。したがって、角部の角度は10°以上であることが望ましい。
【0017】
また、小管径部は、小径流路へ気体を導くように、小径流路と外部空間とを連通させる気体導入孔を有していることが望ましい。これによれば、従来技術の微細気泡発生器に比較して、小さいエネルギーで微細気泡発生器の機能を発揮させることができる。その結果、エネルギー消費量を低減することができる。
【0018】
また、気体導入孔が小管径部の端面と小管径部の端面から下流に向かって2mmの距離を隔てた位置との間の位置に接続されていることが望ましい。これによれば、より小さい流量で気体を小径流路へ導くことができるため、エネルギー消費量を低減させることができる。
【0019】
また、気体導入孔の径が小管径部から外部空間に向かって段階的に大きくなっていることが望ましい。これによれば、比較的大きな外径を有する配管を気体導入孔に接続することが可能であるため、配管の流路抵抗を低減しながら、気体導入孔と配管との接合強度を増加させることができる。
【0020】
また、気体導入孔の内径が小管径部から外部空間に向かって徐々に大きくなっていることが望ましい。この構成によっても、前述の構成と同様に、配管抵抗の低減および接合強度の増加という効果を得ることができる。
【0021】
また、気体導入孔には、気体吸入用の配管が接続されており、配管には、気体を通過させる開状態および気体を通過させない閉状態のいずれかに変化し得る開閉弁が設けられていることが望ましい。これによれば、小径流路において生じるキャビテーションを利用して微細気泡を発生させる方法および外部空間から小径流路へ気体を導く方法のいずれを用いるのかを、開閉弁の開閉動作によって選択することができる。
【0022】
また、気体導入孔には、気体吸入用の配管が接続されており、配管には、通過する気体の量を制御することが可能な流量調整弁が設けられていてもよい。これによれば、前述の開閉弁によって得られる効果に加えて、外部空間から小径流路へ導かれる気体の量を調節することができる。
【0023】
また、微細気泡発生器は、小径流路以外に大径流路と円錐状流路とを連通させる連通管をさらに備えていることが望ましい。これによれば、ポンプによって与えられた圧力エネルギーを有する液体が、大径流路から円錐状流路へ直接的に流れるため、連通管を有しない場合に比較して、円錐状流路の圧力が増加する。その結果、より微細な気泡を多量に発生させることができる。
【0024】
また、連通管の内径が0.1mm〜2mmであれば、多量の液体は連通管内を流れないが、大径流路における液体の圧力よりも低い圧力が円錐状流路における液体に作用する。その結果、小径流路における液体の流れが停止してしまうことが防止される。
【0025】
また、微細気泡発生器は、連通管とは異なる他の1または2以上の連通管をさらに備えていることが望ましい。これによれば、微細気泡発生器の液体の流れ方向に垂直な横断面における液体の圧力分布の偏りを低減することができるため、多量の微細気泡の径の均一化を図ることができる。
【0026】
また、連通管とその連通管とは異なる1または2以上の他の連通管とが小管径部が介在する状態で対向するように設けられていることが望ましい。これによれば、前述の圧力分布の偏りの低減効果を向上させることができる。その結果、多量の微細気泡の径をより一層均一にすることができる。
【0027】
また、連通管に弁が設けられていれば、弁の開度を調整することによって、連通管の配管抵抗を調整することができる。その結果、微細気泡発生器内の液体の圧力勾配を調整することができる。したがって、微細気泡の直径を制御することができる。
【0028】
また、他の連通管に弁が設けられていても、前述のように、微細気泡の直径を制御することができる。
【0029】
また、微細気泡発生器が、円錐状管径部から所定の距離をおいた位置に設けられた遮蔽部材をさらに備えていれば、円錐状流路の最下流の位置の流体の圧力を増加させることができる。そのため、円錐状流路における圧力勾配を急峻にすることができる。その結果、微細気泡をより微細化することができる。
【0030】
また、微細気泡発生器が、貫通孔を有し、円錐状管径部の下流に設けられた遮蔽部材をさらに備えていれば、円錐状流路の最下流の位置の流体の圧力を増加させることができるとともに、貫通孔を通じて流体の流れ方向に沿って微細気泡を吐出することができる。
【0031】
また、小管径部がその内周面に突起を有していれば、小径流路において突起に沿った流れが生じる。その結果、突起の周辺での流体の流れの剥離が促進される。したがって、キャビテーションの発生のために必要な液体の流量をさらに低減することができる。
【0032】
また、大管径部、小管径部、および円錐状管径部のうちの少なくともいずれか1つの部分が他の部分から分離され得ることが望ましい。これによれば、仮に、壊食の発生等によって、大管径部、小管径部、および円錐状管径部のいずれかが損傷されてしまっても、破壊された部分のみを同一の構造を有する新たな部分に交換しさえすれば、再び微細気泡発生器を形成することができる。
【0033】
また、大管径部、小管径部、および円錐状管径部のうちの少なくともいずれか1つの部分の材料が、他の部分の材料とは異なっていてもよい。たとえば、壊食によって削られ易い部分である円錐状管径部が、壊食に対して強い樹脂または金属(ステンレス材等)で形成されていれば、壊食による微細気泡発生器の変形を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態の微細気泡発生器が説明される。
図1は、本発明の実施の形態の気体導入孔が設けられていない微細気泡発生器の一例を示している。
【0035】
図1に示される微細気泡発生器100は、ホース等の配管系に接続されている。図1において、矢印6は、微細気泡発生器100に流入する液体の流れを示し、矢印16は、微細気泡発生器100から流出する液体の流れを示している。液体は、図示されていないポンプ等の加圧機器によって加圧されて、矢印6および16で示すように流れる。
【0036】
本実施の形態の微細気泡発生器100は、図1に示されるように、相対的に大きな径の円柱状の大径流路1aを形成する大管径部1を備えている。大管径部1は、小管径部2に接続されている。小管径部2は、大径流路1aに連通しておりかつ相対的に小さな径の円柱状の小径流路2aを形成している。小管径部2は、円錐状管径部7に接続されている。円錐状管径部7は、小径流路2aに連通しておりかつ小径流路2aから徐々に径が大きくなる円錐状流路7aを形成している。
【0037】
また、大径流路1a、小径流路2a、および円錐状流路7aは、共通の中心軸Xを有しており、大管径部1の外周面、小管径部2の外周面、および円錐状管径部7の外周面は、中心軸Xとする1つの円柱の周面内に含まれている。
【0038】
小管径部2の端面2bと小管径部2の内周面2cとは、図1に示されるように、微細気泡発生器100の縦断面において、角部3を構成する。また、小管径部2の端面2bが大径流路1aに接触している。
【0039】
矢印6で示されるように、配管から大径流路1aへ導入された液体は、小径流路2aへ到る。大径流路1aから小径流路2aへかけて、流路断面積が急激に小さくなる。それにより、液体の流速が急激に上昇する。
【0040】
また、大管径部1の内径がD1であり、小管径部2の内径がD2であり、小径流路2aの長さがL2であり、円錐状流路7aの長さがL3であり、中心軸Xと母線7bとがなす角度がθであり、角部3がなす角度、すなわち、縦断面において小径流路2aの内周面と小管径部2の端面2bとのなす角度がαであるものとする。
【0041】
本実施の形態においては、小管径部2は、角度αが90°である角部3を有している。そのため、大径流路1aを流れる液体は、小管径部2の端面2bに衝突する。その結果、液体の圧力は、角部3の近傍の小径流路2a内の位置4で最も低くなる。それは、角部3の近傍の位置4で生じる液体の流れの剥離に起因して渦が発生するためである。すなわち、位置4での液体の圧力は、局所的に発生する渦によって、他の位置での液体の圧力よりも低くなっている。
【0042】
したがって、位置4での液体の圧力が飽和蒸気圧以下になると、液中に溶け込んでいた気体および水蒸気が、沸騰現象によって、気泡として出現する。出現した気泡は、小管径部2内で膨張し、円錐状管径部7に至る。
【0043】
小径流路2aでは、液体の流速が上昇することに起因して、静圧が低下する。したがって、小さい動力でキャビテーションを発生させることができる。円錐状流路7aでは、急激に圧力が上昇する。そのため、膨張した気体は、円錐状流路7aで生じている乱流と前述の急激な圧力上昇とによって粉砕され、微細な気泡へ変化し、矢印16で示されるように、円錐状管径部7から円錐状管径部7に接続された配管内へ排出される。
【0044】
また、円錐状流路7aの断面積は、小径流路2aから下流に向かって徐々に大きくなる。そのため、本実施の形態の微細気泡発生器によれば、小径流路2aから円錐状流路7aに向かって断面積が急激に大きくなる微細気泡発生器に比較して、液体の圧力損失が小さい。
【0045】
一般に、液体が高速で流れると、その静圧が低下する。それにより、液体の一部の圧力が飽和蒸気圧以下の圧力になる。このとき、液体は、その内部に含まれている微少な気泡およびごみを核として沸騰する。それにより、その液体と同一組成の気体からなる気泡が液体中に発生する。これが、キャビテーションである。また、液体は、流路の横断面の面積が最も小さい部分を流れるときに、静圧が最も小さくなる。前述の作用を利用して、従来の微細気泡発生器100は、気泡を発生させている。
【0046】
一方、前述の本発明の微細気泡発生器100においては、図1に示されるように、小管径部2の端面2bと小管径部2の内周面2cとが縦断面において角部3を構成している。また、小管径部2の端面2bが大径流路1aに接触している。そのため、角部3の近傍の小径流路2aにおいて、境界層流れの剥離が生じ易くなっている。矢印6および16で示されるように、液体の流れの中で剥離が生じると、その下流において渦が発生する。この渦の中心部は、小径流路を流れる液体のうちの他の部分よりも圧力が小さい、すなわち負圧部である。したがって、渦の中心部は、キャビテーションが発生し易い部分である。その結果、微細気泡が発生し易い。この微細気泡は、成長し、その体積が大きくなる。その結果、所望の大きさを有する気泡が得られる。つまり、本実施の形態の微細気泡発生器100は、小径流路2a内でキャビテーションが発生し易い構造を有している。
【0047】
なお、次のような理由により、前述の角部3の角度αは、微細気泡発生器100の縦断面において90°以下であることが望ましい。
【0048】
角部3の角度αが鈍角であれば、小管径部2の内周面2cに沿って速度境界層が形成されてしまう。角部3の角度αが鈍角である場合には、小管径部2の端面2bから小管径部2の内周面2cへ向かって連続的に生じるため、この速度境界層は安定している。そのため、角部3の下流における境界層の剥離が生じ難くなる。
【0049】
ただし、角部3の角度αは必ずしも90°以下である必要はない。角部3の角度αが100°程度であっても、角部3の角度αが90°以下である場合と同様に、境界層は、大径流路1aにおける液体の流れから分離された状態で、角部3から下流へ向かって延びる。したがって、角部3の角度αは100°以下であればよい。
【0050】
また、本実施の形態の微細気泡発生器100は、小径流路2aの終端から除々に断面積が大きくなる円錐状流路7aを有している。そのため、小径流路2aの終端の近傍において生じる圧力損失を低減することができる。圧力損失が小さいということは、液体が流れ易いということであり、液体の流速が従来の微細気泡発生器に比較して大きいことを意味する。つまり、ベルヌーイの定理を考慮すると、本実施の形態の微細気泡発生器100は、液体の静圧が下がり易い構造を有している。
【0051】
以上のことをまとめると、次のようになる。
本実施の形態の微細気泡発生器100においては、角部3が小管径部2の端面2bと小管径部2の内周面2cとによって構成されている。そのため、小管径部2における液体の流れに剥離が生じ易い。また、小径流路2aの終端から除々に断面積が大きくなる円錐状流路7aが設けられている。そのため、微細気泡発生器100内で発生する圧力損失が小さい。したがって、小径流路2aにおける液体の流速が大きいので、液体の静圧が低下し易い。この2つの構造的な特徴によって、キャビテーションが発生し易くなっている。
【0052】
そのため、本実施の形態の微細気泡発生器100によれば、従来技術のような高圧かつ大流量の液体を吐出するポンプを用いなくても、キャビテーションを発生させることができる。その結果、ポンプ等の加圧機器の消費電力量が低下する。したがって、エネルギー消費量を低減させることができる。
【0053】
つまり、本実施の形態の微細気泡発生器100は、配管系の中に設けられた状態で使用されても、液体の流れを形成するポンプの消費エネルギー量を低減することができる。
【0054】
図2は、本願の発明者らが行なったシミュレーション結果であって、中心軸Xと母線7bとがなす角度θと角部3の近傍の小径流路2aの位置4における圧力との関係を示す。なお、本シミュレーションにおいては、D1=10mm、D2=4mm、L2=5mm、L3=60mmである。
【0055】
図2から、本実施の形態の微細気泡発生装置によれば、1.5°≦θ≦9°という広い範囲で、位置4における液体の圧力を負圧にすることができ、キャビテーションを発生させることが可能であることが分かる。なお、前述の角度αが30°程度であっても、負圧部が位置4において形成され得る。
【0056】
ここで、図2の圧力は絶対圧で表記されている。絶対圧が負の値になっているのは、熱流体解析シミュレーションにおいて、気液混相モデルではなく、単相モデルが使用されているためである。そのことが以下に説明される。
【0057】
実際の液体、たとえば水においては、剥離が発生した位置における液体の圧力がベルヌーイの法則に従って低下する。このとき、実際には、水が蒸発するため、飽和蒸気圧が3.53×103Pa以下の値まで低下することはない。しかしながら、単相モデルのシミュレーションにおいては、水の蒸発が考慮されていないため、流速が増加するにつれて、すなわちキャビテーションが発生し易くなるにつれて、剥離が生じている位置の圧力が飽和蒸気圧以下の値まで低下してしまう。液体の速度が大きく、流れの剥離の程度が大きく、そのために、キャビテーションがより発生し易い状態においては、真空領域の負圧部が形成される。この場合、絶対圧が負の値になる。
【0058】
本願の発明者らが行なった検討によれば、実際にキャビテーションが発生する位置と数値計算で絶対圧力が負になる位置とは一致することが確認された。したがって、本願の発明者らは、単相モデルで絶対圧が負の値になる場合にキャビテーションが発生し易いという仮定の上で、本実施の形態の微細気泡発生装置の設計を行なった。
【0059】
さらに、図3は、本願の発明者らが行なったシミュレーション結果であって、円錐状流路7aの長さL3を変更した場合の角度θと位置4における圧力との関係を示す。本シミュレーションでにおいては、D1=10mm、D2=4mm、L2=5mmである。図3に示される結果から、円錐状流路7aの長さL3が大きくなるにつれて、負圧部が形成される角度θの範囲が小さくなることが分かる。また、図3から、円錐状流路7aの長さL3の範囲である15mm≦L3≦200mmのすべてにおいて負圧部が形成されることが分かる。いくつかの角度θといくつかの円錐状管径部7の長さL3との組み合わせのそれぞれのキャビテーションの発生の有無が表1に示されている。
【0060】
【表1】


【0061】
表1においては、キャビテーションが発生した角度θと円錐状管径部7の長さL3との組み合わせには○が付され、キャビテーションが発生しなかった角度θと円錐状管径部7の長さL3との組み合わせには×が付されている。表1から、角度θおよび円錐状管径部7の長さL3の望ましい組み合わせは、次の3つの組み合わせであることが分かる。
【0062】
(1)2°≦θ≦9°、かつ、30mm≦L3≦60mm
(2)3°≦θ≦8°、かつ、15mm≦L3≦150mm
(3)4°≦θ≦7°、かつ、15mm≦L3≦200mm
つまり、表1から、上記の3つの組み合わせ(1)〜(3)によれば、位置4において負圧部が形成されることが分かる。また、表1から、角度θが3°〜8°であれば、微細気泡発生器の小型化を図ることができる円錐状管径部7の長さL3の範囲である15mm≦L3≦60mmのすべてにおいて負圧部が形成されることが分かる。
【0063】
また、図4は、本願の発明者らが行なったシミュレーション結果の一例であって、小径流路2aの長さL2と位置4における圧力との関係を示す。
【0064】
本シミュレーションでは、D1=20mm、D2=4mm、L3=40mm、θ=4°である。図4から、小径流路2aの長さL2が1mm≦L2≦15mmである場合に、負圧部が形成されることが分かる。
【0065】
また、角度θと円錐状流路7aの長さL3との組み合わせが3°≦θ≦8°かつ15mm≦L3≦60mmである場合においても、小径流路2aの長さL2が1mm≦L2≦15mmであれば、負圧部が形成されることが確認された。
【0066】
また、表2は、本願の発明者らが行なった実験の結果である。
【0067】
【表2】


【0068】
本実験においては、L2=5mm、θ=4°、L3=40mmであり、日本電産シバウラ製ポンプ(型番FPMP−A005WREZ、吐出圧力0.05MPa)が用いられ、微細気泡発生器に液体が送り込まれた。
【0069】
表2は、大管径部1の内径D1が4mm〜20mmであり、大管径部1の内径D2が4mm〜6mmであるときの内径D1および内径D2の組み合わせのそれぞれのキャビテーションの発生の有無を示している。表2においては、キャビテーションが発生したD1およびD2の組み合わせには○が付され、キャビテーションが発生しなかった内径D1および内径D2の組み合わせには×が付されている。
【0070】
表2から、大管径部1は、D1≧D2+2mmという関係が成立するものであることが望ましいことが分かる。これは、大管径部1と小管径部2との間の段差の影響によって液体の流れに剥離が生じる効果が顕著になり、キャビテーションが発生し易くなるためである。したがって、大管径部1がD1≧D2+2mmという条件を満足させるものであれば、キャビテーションの発生のために必要なポンプ動力を低減することができる。
【0071】
そのため、大管径部1の内径D1の下限値および小管径部2の内径D2の上限値は、D1≧D2+2mmという関係が成立するように設定されている。
【0072】
また、角度θと円錐状流路7aの長さL3との組み合わせが3°≦θ≦8°および15mm≦L3≦60mmである場合においても、大管径部1がD1≧D2+2mmという条件を満足させる形状であれば、キャビテーションが発生し易くなることが確認された。
【0073】
また、ポンプの吐出圧が一定であるという条件の下では、小径流路2aの内径D2が小さいほど、小径流路2a内の流体の平均速度が大きくなり、キャビテーションが発生し易くなる。小径流路2aの内径D2を大きくすると、大径流路1aと小径流路2aとの界面に位置する角部3の近傍の流体抵抗および小径流路2aでの流体抵抗が低下する。そのため、流路全体の液体の流速が上昇する。しかしながら、小径流路2aの断面積が大きくなることにより、小径流路2a内の液体の流速は低下する。
【0074】
また、D1=10mm、L2=5mm、L3=40mm、θ=4°という条件の下で、民生機器へ搭載可能な性能のポンプである前述の日本電産シバウラ製ポンプが用いられ、大管径部1の内径D2の上限値が実験によって求められた。その結果が、表3に示されている。
【0075】
【表3】


【0076】
表3は、小径流路2aにおける流体の平均速度vとキャビテーションの発生との関係を示している。キャビテーションが発生する液体の平均速度vには○が付され、キャビテーションが発生しない液体の平均速度vには×が付されている。
【0077】
表3から、液体の平均速度が11m/s以上であれば、キャビテーションが発生することが分かる。したがって、大管径部1の内径D1の上限値は、小径流路2aにおける液体の平均速度が11m/s以上になるように設定されていることが望ましい。これにより、キャビテーション発生を促進することができる。
【0078】
また、角度θと円錐状流路7aの長さL3との組み合わせが3°≦θ≦8°かつ15mm≦L3≦60mmである場合にも、大管径部1の内径D1の上限値は、小径流路2aにおける液体の平均速度が11m/s以上になるように設定されていれば、キャビテーションは発生し易いことが確認された。
【0079】
また、小管径部2の内径D2が1mm以上であることが望ましい。なぜならば、小径流路2aの径があまり小さいと、流体抵抗の増加に起因して流体の速度が低下してしまうために、キャビテーションが発生しなくなったり、異物が流路に詰まったりするためである。
【0080】
また、角度θと円錐状流路7aの長さL3との組み合わせが3°≦θ≦8°かつ15mm≦L3≦60mmである場合においても、小管径部2の内径D2が1mm以上であれば、キャビテーションが発生しなくなったり、異物が小管径部2に詰まったりすることを防止することができることが確認された。
【0081】
また、図5に示されるように、小径流路2aを構成する円柱状の空間が大径流路1aを構成する円柱状の空間に入り込むように、角部3が、大径流路1aを構成する円柱状の空間内において延びており、微細気泡発生器100の縦断面において、角部3の外周面と液体が流れる方向とがなす角度は10°以上であってもよい。
【0082】
前述のように、微細気泡発生器100は角部3を有するために、キャビテーションを容易に発生させることができる。しかしながら、この角部3の角度αが10°以下である場合には、角部3の長さlに対する角部3の根元の厚さtの比が1/5以下であるため、角部3の強度が極めて小さくなる。したがって、角部3の角度αは10°〜90°であることが望ましい。
【0083】
また、図6に示されるように、小管径部2は、小径流路2aへ気体を導くように、小径流路2aと外部空間とを連通させる気体導入孔35を有していることが望ましい。
【0084】
前述のように、気泡は、キャビテーションに起因して発生し、その下流において、膨張して、その体積が増加する。つまり、小径流路2aにおける液体は、負圧状態になっている。そのため、気体導入孔35によって外部空間と小径流路2aとを連通させれば、小径流路2aにおける液体の圧力は、算術平均において従来技術の微細気泡発生器100内の圧力よりも小さくなるため、外部空間から小径流路2aへ気体を容易に導くことができる。したがって、小径流路2aを流れる液体の流量が小さくても、液体中に気体を導くことができる。その結果、従来技術の微細気泡発生器100に比較して、小さいエネルギーで微細気泡発生器100の機能を発揮させることができる。
【0085】
また、図7〜図10、および図12に示されるように、気体導入孔45および55のいずれもが、小管径部2の端面2bと小管径部2の端面2bから下流に向かって2mmの距離を隔てた位置との間に位置に接続されている。角部3の近傍の角部3の下流においては、負圧部が形成されている。そのため、前述の構成によれば、より小さい流量で気体を小径流路2aへ導くことができる。したがって、エネルギー消費量を低減させることができる。
【0086】
また、気体導入孔55の径が大き過ぎると、必要以上に多量の気体が小径流路2aへ導かれてしまうため、液体中において、微細気泡が発生せずに、大気泡が発生してしまう。そのため、気体導入孔55の径は、ある程度小さいことが必要である。しかしながら、数m以上離れた位置から配管56を通じて気体が気体導入孔55に導かれる場合には、気体導入孔55の径が小さければ、配管56の内径も小さいために配管56の流路抵抗が大きくなり、その結果、十分な気体が小径流路2a内へ導かれない。そのため、図8に示されるように、気体導入孔55の径が、小管径部2から外部空間に向かって段階的に大きくなっていることが望ましい。つまり、気体導入孔55は、相対的に小さい径を有し小径流路2aに連通する部分と、相対的の大きな径を有し外部空間に連通し得る部分とを有していることが望ましい。この場合、外部空間に連通し得る部分に比較的大きな径を有する配管56が挿入される。その結果、気体導入孔55の径が0.1mm〜3mm程度で軸方向に沿って同一径であっても、配管56内の流路抵抗が小さくなるため、十分な量の気体が小径流路2aへ導かれる。
【0087】
また、図8に示される構造において、肉厚1mmの配管56が気体導入孔55を延長するために用いられることが考えられる。この場合、微細気泡発生器100と配管56との接合部70の面積が小さい。そのため、配管56が数mもの長さを有する場合には、接合部70が損傷してしまうという問題が生じる。また、この配管56においては、内径のみならず、外径も小さい。そのため、配管56の曲げモーメントに対する強度は小さい。したがって、配管56が折れ曲がってしまうという問題が生じてしまう。
【0088】
そこで、図9に示されるように、気体導入孔55の径が外部空間へ向かうにしたがって徐々に大きくなっていてもよい。この場合、気体導入孔55は、外部空間に近い位置では、比較的大きな径を有する。そのため、外部空間に向かって徐々に大きくなる外径を有する配管56が小径流路2aに到達する程度にまで気体導入孔55内に挿入される。これによれば、配管56の外径が大きくなるため、配管56の曲げモーメントに対する強度が大きくなるとともに、接合部70の長さおよび面積が大きくなるため、接合部70の強度が大きくなる。
【0089】
なお、気体導入孔55に配管56を挿入する場合には、フレア継手等を用いれば、気体導入孔55と配管56とを接続することが容易になる。また、配管56は、小管径部2に設けられた孔に挿入され、接着剤等によって小管径部2に固定されていてもよい。
【0090】
また、図8または図9に示されるように、配管56には、気体を通過させる開状態および気体を通過させない閉状態のいずれかに変化し得る開閉弁57が設けられていることが望ましい。
【0091】
上記の構成によれば、小径流路2aにおいて生じるキャビテーションを利用して微細気泡を発生させる方法および外部空間から小径流路2aへ気体を導く方法のいずれを用いるのかを、開閉弁57の開閉動作によって選択することができる。すなわち、開閉弁57が閉じられているときには、小径流路2aにおいて生じるキャビテーションを利用して気泡を発生させることができ、一方、開閉弁57が開かれているときには、それぞれ、外部空間から小径流路2aへ導かれる気体を利用して気泡を発生させることができる。
【0092】
また、開閉弁57は、通過する気体の量を制御することが可能な流量調整弁として機能してもよい。これによれば、前述の開閉弁57の開閉動作によって得られる効果に加えて、外部空間から小径流路2aへ導かれる気体の量を調節することができる。
【0093】
また、図10および図11に示されるように、微細気泡発生器100は、小径流路2a以外の流路を形成する配管であって、大径流路1aと円錐状流路7aとを連通させる連通管10a,10b,10c,10dをさらに備えていることが望ましい。
【0094】
微細気泡発生器100においては、円錐状流路7aにおける液体の圧力勾配が大きくなるにつれて、気泡を粉砕する破壊エネルギーが大きくなるため、多量の微細気泡が発生し易くなる。
【0095】
したがって、液体は、ポンプによって圧力エネルギーが与えられ、大径流路1aから円錐状流路7aへ直接的に流れるため、連通管10a,10b,10c,10dを有しない場合に比較して、円錐状流路7aの圧力が増加する。その結果、多量の微細気泡を発生させることができる。
【0096】
また、連通管10a,10b,10c,10dのそれぞれの内径は、0.1mm〜2mmであることが望ましい。円錐状流路7aと大径流路1aとが、内径が大きな連通管10a,10b,10c,10dを通じて連通されると、大径流路1aを流れる液体の圧力が円錐状流路7aを流れる液体へ伝達され易くなる。そのため、大径流路1aにおける液体の圧力が直接的に円錐状流路7aにおける液体に加えられる。その結果、大径流路1aにおける液体の圧力と円錐状流路7aにおける液体の圧力とが、同一、すなわち平衡状態になる。その結果、液体が小径流路2aを通過することができないという問題が発生する。そこで、本実施の形態の微細気泡発生器100においては、連通管10a,10b,10c,10dとして、たとえば、内径が0.1mm〜2mmであるいわゆるキャピラリーチューブ等が用いられる。キャピラリーチューブの内径は小さいため、その圧力損失が大きい。したがって、多量の液体は流れないが、大径流路1aにおける液体の圧力よりも低い圧力が円錐状流路7aにおける液体に作用する。その結果、小径流路2aにおける液体の
流れが停止してしまうことが防止される。
【0097】
また、微細気泡発生器100は、複数の連通管10a,10b,10c,10dを備えていれば、微細気泡発生器100の液体の流れ方向に垂直な横断面における液体の圧力分布の偏りを低減することができる。その結果、多量の微細気泡の径の均一化を図ることができる。
【0098】
ただし、連通管10a,10b,10c,10dが配管系の圧力損失の少ない配管で構成されている場合には、円錐状流路7aを流れる液体の圧力と大管径部1を流れる液体の圧力とが等しくなり、小管径部2を液体が通過しなくなってしまうという問題が生じる。
【0099】
この問題を解決するために、本実施の形態においては、連通管10a,10b,10c,10dの内径がφ0.1mm〜φ2mmという極めて小さい値に設定されている。これによれば、連通管10a,10b,10c,10d内の液体の圧力損失が小管径部2内の液体の圧力より大きくなる。そのため、ほとんどの液体が小管径部2を通過する。つまり、連通管10a,10b,10c,10dは、小径流路2aを通過する液体の流れを阻害せずに、単に圧力を伝達するためだけの役割を果たす。その結果、多量の小径の気泡が生成される。図10〜図12には、複数の連通管を有する微細気泡発生器100が示されているが、1本の連通管のみを有する微細気泡発生器によっても、前述の効果と同様の効果を得ることができる。ただし、図10〜図12に示されるように、複数の連通管を有する微細気泡発生器によれば、横断面における圧力分布の偏りを抑制することができる。
【0100】
また、図10〜図12に示されるように、連通管10aと連通管10cとが、および、連通管10bと連通管10dとが、それぞれ、大管径部1、小管径部2、および円錐状管径部7が介在する状態で、対向するように設けられていることが望ましい。より具体的には、連通管10aと連通管10bとが鏡面対称に設けられており、連通管10cと連通管10dとが鏡面対称に設けられていることが望ましい。これによれば、前述の圧力分布の偏りの低減効果を向上させることができる。その結果、多量の微細気泡の径をより一層均一にすることができる。
【0101】
また、図12に示されているように、開閉弁100aおよび100bがそれぞれ連通管10aおよび10bに設けられていれば、開閉弁100aおよび100bの開度を調整することによって、連通管10aおよび10bの配管抵抗を調整することができる。その結果、微細気泡発生器100内の液体の圧力勾配を調整することができる。したがって、微細気泡の直径を制御することができる。
【0102】
また、開閉弁100aおよび100bは、その開度が調節され得るものであれば、連通管10aおよび10bを通過する液体の圧力損失を調整することができる。そのため、微細気泡の径を制御することができる。
【0103】
また、図13に示されているように、円錐状管径部7から所定の距離をおいて遮蔽部材80が設けられていてもよい。この遮蔽部材80は、円錐状流路7aから吐き出される液体が衝突する位置に設けられた円盤状部材である。したがって、流体の流れが遮蔽部材80によって妨げられる。この構成によれば、円盤状の遮蔽部材80が設けられていない場合に比較して、円錐状流路7aの最下流の位置の液体の圧力が高くなる。その結果、小径流路2aから円錐状流路7aの終端までの圧力勾配が急峻になる。したがって、気泡を粉砕する破壊エネルギーが大きくなる。故に、気泡が多数の微細気泡へ細分化される。これによれば、微細気泡の径を小さくすることができる。なお、発生した微細気泡は、矢印16で示されるように、円錐状管径部7と遮蔽部材80との間の隙間から円錐状流路7aの径方向に吐出される。
【0104】
また、図14に示されるように、円錐状管径部7の端面には、複数の支柱82が接続されていていてもよい。複数の支柱82は、液体の流れの方向に沿って延びている。この場合、複数の支柱82のそれぞれの端面には、貫通孔81を有する円盤状の遮蔽部材80が取り付けられている。これによれば、遮蔽部材80は円錐状流路7aから所定の距離を隔てて設けられている。そのため、図13に示される構造と同様に、流体の流れが遮蔽部材80によって妨げられる。その結果、遮蔽部材80が設けられていない場合に比較して、円錐状流路7aの最下流部分の圧力が高くなる。それにより、小径流路2aから円錐状流路7aの終端までの圧力勾配が急峻になる。したがって、気泡を粉砕する破壊エネルギーが大きくなる。故に、気泡が多数の微細気泡へ細分化される。これによれば、微細気泡の径を小さくすることができる。
【0105】
なお、発生した微細気泡は複数の支柱82同士の間の隙間および貫通孔81を通じて外部空間へ吐出される。また、前述の構成によれば、支柱82同士の間の隙間の大きさを変更することにより、流体の圧力の勾配を調節することができる。その結果、微細気泡の径を制御することができる。さらに、遮蔽部材80は貫通孔81を有しているため、発生した微細気泡を微細気泡発生器内の液体の流れに沿って吐出することができる。なお、貫通孔81が形成されている場合には、上記の支柱82同士の間の隙間を設けなくても、貫通孔81から流体を外部へ吐出することが可能である。貫通孔81の径を調節することにより、円錐状流路7aにおける液体の圧力勾配を調節することができる。これにより、微細気泡の径を制御することができる。
【0106】
また、図15に示されているように、小管径部2の内周面2cに突起83が設けられていてもよい。これにより、小径流路2aにおいて突起83の表面に沿った流れが生じる。これによっても、突起83の近傍で液体の流れの剥離が促進される。その結果、キャビテーションの発生のために必要な流体の流量を低減することができる。
【0107】
また、本実施の形態の微細気泡発生器によれば、小径流路2aにおいて発生した気泡が円錐状流路7aにおいて微細気泡に粉砕される。このとき、気泡粉砕による壊食が発生し、大管径部1の内周面、小管径部2の内周面、および円錐状管径部7の内周面が壊食によって削られ変形する。それにより、微細気泡発生器100に孔が開いてしまう。その結果、漏水が生じてしまう。そのため、微細気泡発生器100内でキャビテーションが生じなくなるという問題が発生することが懸念される。
【0108】
しかしながら、上記の構成によれば、仮に、壊食の発生等によって、大管径部1、小管径部2、および円錐状管径部7のいずれかが損傷してしまっても、破壊された部分のみを同一の構造を有する新たな部分に交換しさえすれば、再び微細気泡発生器100を形成することができる。
【0109】
そのため、図1および図5〜図15に示されるように、微細気泡発生器100は、大管径部1、小管径部2、および円錐状管径部7のうちの少なくともいずれか1つの部分が他の部分から分離され得るように構成されている。つまり、微細気泡発生器100は、大管径部1、小管径部2、および円錐状管径部7の3つの部分からなっていれば、仮に、侵食の発生等によって、それらの形状が変化しても、侵食が発生した部分のみ、たとえば円錐状管径部7のみを交換すれば、微細気泡発生器100全体の機能を回復させることができる。したがって、低コストで、効率的な部材交換を行なうことができる。
【0110】
また、大管径部1、小管径部2、および円錐状管径部7のうちの少なくともいずれか1つの部分の材料が、他の部分の材料とは異なっていてもよい。たとえば、壊食によって削られ易い部分である円錐状管径部7が、壊食に対して強い樹脂または金属(ステンレス材
等)で形成されていれば、壊食による微細気泡発生器100の変形を抑制することができ
る。
【0111】
たとえば、円錐状管径部7が、壊食が発生するポンプのインペラー部に用いられている樹脂材等によって形成されていれば、その侵食を抑制することができるため、微細気泡発生器100の寿命を延ばすことができる。
【0112】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれていることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】実施の形態1の微細気泡発生器を示す図である。
【図2】角部の流体の圧力と角度θとの関係を示すグラフである。
【図3】角度θと円錐状流路の長さL3と角部の近傍の流体の圧力との関係を示すグラフである。
【図4】角度θと円錐状流路の長さL2と角部の近傍の流体の圧力との関係を示すグラフである。
【図5】実施の形態2の微細気泡発生器を示す図である。
【図6】実施の形態3の微細気泡発生器を示す図である。
【図7】実施の形態4の微細気泡発生器を示す図である。
【図8】実施の形態5の微細気泡発生器を示す図である。
【図9】実施の形態6の微細気泡発生器を示す図である。
【図10】実施の形態7の微細気泡発生器を示す図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】実施の形態8の微細気泡発生器を示す図である。
【図13】実施の形態9の微細気泡発生器を示す図である。
【図14】実施の形態10の微細気泡発生器を示す図である。
【図15】実施の形態11の微細気泡発生器を示す図である。
【符号の説明】
【0114】
1a 大径流路、1 大管径部、2c 内周面、2a 小径流路、2 小管径部、2b
端面、3 角部、4 位置、7a 円錐状流路、7 円錐状管径部、7b 母線、10a,10b,10c,10d 連通管、35,45,55 気体導入孔、56 配管、57 開閉弁、70 接合部、100 微細気泡発生器、100a,100b 開閉弁、X
中心軸、α,θ 角度、D1,D2 内径、L2 小管径流路の長さ、L3 円錐状流路の長さ、80 遮蔽部材、81 貫通孔、82 支柱、83 突起。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成18年9月14日(2006.9.14)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄

【識別番号】100083703
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 義平

【識別番号】100096781
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 豊

【識別番号】100098316
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 久登

【識別番号】100109162
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 將行


【公開番号】 特開2008−23515(P2008−23515A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−249498(P2006−249498)