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【発明の名称】 混合液の製造方法および製造装置
【発明者】 【氏名】藤池 滋

【要約】 【課題】混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液のロスの低減を図り、種々の生産規模に対応可能で、迅速かつ安定した品質の混合液の製造方法および製造装置を提供すること。

【構成】2つ以上の原材料を少なくとも1つの第1混合部5に導入し、複数のバッチ処理を行う混合液を作製する工程であって、同一成分の混合液あるいは類似する成分の混合液を1バッチ作製した後、次のバッチの混合液の作製工程において、(1)作製初期段階における初流液を、所定量サブタンク8に貯留し、(2)続く第2段階で、第1混合部5において作製された混合液の一部または全量を第2混合部10に導入するとともに、前記サブタンク8内の初流液を所定量第2混合部10に導入し、攪拌・混合して新たな混合液を作製することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の原材料を少なくとも1つの第1混合部に導入し、複数のバッチ処理を行う混合液を作製する工程であって、同一成分の混合液あるいは類似する成分の混合液を1バッチ作製した後、次のバッチの混合液の作製工程において、
(1)作製初期段階における初流液を、所定量サブタンクに貯留し、
(2)続く第2段階で、第1混合部において作製された混合液の一部または全量を第2混合部に導入するとともに、前記サブタンク内の初流液を所定量第2混合部に導入し、攪拌・混合して新たな混合液を作製する、
ことを特徴とする混合液の製造方法。
【請求項2】
前記第1混合部から導出される第1混合液の流量を基に、サブタンクに導入・貯留する初流液の液量、および第2混合部に導入・混合する初流液と第1混合液の流量を制御・調整することを特徴とする請求項1記載の混合液の製造方法。
【請求項3】
前記混合液の作製工程における混合液の流路が、循環流路を有さずワンウエイで形成されることを特徴とする請求項1または2記載の混合液の製造方法。
【請求項4】
2つ以上の原材料を各々貯蔵するメインタンクと、該メインタンクから原材料を供給するポンプと、該原材料の供給量を管理する流量計と、各原材料を混合する少なくとも1つの第1混合部と、第1混合部の導出流路に第1混合液の取出口を有する混合液の製造装置であって、
該第1混合部の導出流路に少なくとも2つの分岐が設けられ、1つの分岐に繋がるバイパス流路に初流液用のサブタンクと流量計および流量調節部が配設され、他の1つの分岐に繋がるバイパス流路に第1混合液用の流量計および流量調節部が配設されるとともに、両バイパス流路が接続する流路に第2混合部が接続され、第2混合部の導出流路に第2混合液の取出口を有することを特徴とする混合液の製造装置。
【請求項5】
前記サブタンクに攪拌手段を配設し、前記第1混合部において、ブレンドミキサーとして振動型ミキサーを用いることを特徴とする請求項4記載の混合液の製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、混合液の製造方法および製造装置に関し、具体的には、ポリウレタンフォームを製造するためのウレタン原液などの混合液の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ポリウレタンフォームを製造するためのウレタン原液などの混合液の製造工程においては、2以上の同種の原材料(例えば異なるポリオール化合物の組合せや異なる成分のポリオール化合物の組合せ)を混合して混合液を作製する場合や、2以上の異種の原材料(例えばポリオール化合物と整泡剤、触媒あるいは難燃剤などとの組合せ)を混合して混合液を作製する場合があり、最終製品であるポリウレタンフォームの品質の安定等の要請から、十分にブレンドした混合液を製造することが求められている。従前の混合液の製造方法においては、通常、混合手段として大型の合成タンクなどを使用し、原料液や混合液の一部あるいは全量に対して循環流路を形成して混合液の安定を図る製造方法あるいは製造装置が用いられていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従前のこうした混合液の製造方法および製造装置には、以下のような課題があった。
(1)大型の合成タンクを用いたシステムにあっては、循環ライン及び出荷のためのラインに材料が残りロスとなっていた。
(2)一方、生産性及び工程管理の観点からはワンウエイ方式が好ましく、十分なブレンドが可能なワンウエイ方式が検討されていた。
(3)また、ワンウエイシステムにすることで、ミキシング装置までのコンタミネーション対策は実施できたが、バッチごとに、ミキシング装置内およびドラム缶等への出荷のための配管に、前回生産の材料が残ることがある。
(4)通常、コンタミネーションの許容量としては、同一系統処方であることを条件として、1%以内とされることが多いが、さらに高精度に管理された製品の要求がある。
【0004】
本発明の目的は、こうした課題を解決し、混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液のロスの低減を図り、種々の生産規模に対応可能で、迅速かつ安定した品質の混合液の製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す混合液の製造方法および製造装置によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0006】
つまり、本発明は、混合液の製造方法であって、2つ以上の原材料を少なくとも1つの第1混合部に導入し、複数のバッチ処理を行う混合液を作製する工程であって、同一成分の混合液あるいは類似する成分の混合液を1バッチ作製した後、次のバッチの混合液の作製工程において、
(1)作製初期段階における初流液を、所定量サブタンクに貯留し、
(2)続く第2段階で、第1混合部において作製された混合液の一部または全量を第2混合部に導入するとともに、前記サブタンク内の初流液を所定量第2混合部に導入し、攪拌・混合して新たな混合液を作製する、ことを特徴とする。
【0007】
ポリウレタンフォームなどのように種々の用途に用いられる素材は、効率的な生産の観点から、バッチ生産が好ましい一方、バッチ生産の切換え時における初流液の発生が無視できない場合がある。本発明は、ウレタン原液のような混合液の作製工程において、初流液をサブタンクに貯留してロスの低減を図り、かつその生産バッチ内において製品の安定した品質を確保しつつ処理することができる方法を提案するものである。つまり、前回の生産が同一成分の混合液あるいは類似する成分の混合液であることを条件として、サブタンク内の初流液を所定量第2混合部に導入し、攪拌・混合して新たな混合液を作製することによって、混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液のロスの低減を図り、種々の生産規模に対応可能な混合液の製造方法を提供することが可能となった。
【0008】
なお、ここでいう「同一成分の混合液あるいは類似する成分の混合液」とは、(1)前回生産された製品とこれから生産される製品の材料的な系統が同じであること、および(2)新たに生産する製品の品質に影響を及ぼさないこと、という条件を確保しうる混合液をいう。また、「初流液」とは、新規のバッチにおいてメインタンクから導入され、第1混合部において攪拌・混合された第1混合液のみならず、それ以前のバッチにおいて作製され、第1混合部以降の流路に存在する混合液を含む液をいう。
【0009】
本発明は、上記混合液の製造方法であって、前記第1混合部から導出される第1混合液の流量を基に、サブタンクに導入・貯留する初流液の液量、および第2混合部に導入・混合する初流液と第1混合液の流量を制御・調整することを特徴とする。
【0010】
上記のように、本発明は、(2)新たに生産する製品の品質に影響を及ぼさないことを条件として、サブタンク内の初流液を所定量第2混合部に導入し、攪拌・混合して新たな混合液を作製することを特徴の1つとする。具体的にこうした条件を確保するためには、予め定められた総量として最終製品として取り出す混合液の液量のうち、初流液と混合して最終製品として取り出す第2混合液の液量を設定することが好ましい。つまり、第1混合部から導出される第1混合液の流量を基準とし、(a)初流液として処理する必要のある液量(予定初流液量)に裕度を考慮した貯留初流液量(サブタンクに導入・貯留する液量に相当)を設定し、(b)これと混合する第1混合液の液量を設定するとともに、(c)第2混合部に導入・混合する初流液と第1混合液の流量を設定し、第2混合液の液量を制御・調整することが好ましい。このような制御によって、製品の品質を一定に保持しつつ、生産バッチの切換え時における混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液のロスの低減を図ることができる。
【0011】
本発明は、混合液の製造方法であって、前記混合液の作製工程における混合液の流路が、循環流路を有さずワンウエイで形成されることを特徴とする。
【0012】
上記のように、混合液の作製工程においては生産性等の観点からワンウエイ方式が好ましい一方、こうした生産工程においては、循環方式では無視できる初流液の発生が無視できない場合があった。本発明に係る混合液の作製工程においては、サブタンク内の初流液を所定量第2混合部に導入し攪拌・混合して新たな混合液を作製することによって、初流液の発生に伴う混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液分のロスの低減を図ることが可能となった。かかる意味において、ワンウエイ方式に本発明に係る混合液の作製工程を適用することが好適であるといえる。
【0013】
本発明は、混合液の製造装置であって、2つ以上の原材料を各々貯蔵するメインタンクと、該メインタンクから原材料を供給するポンプと、該原材料の供給量を管理する流量計と、各原材料を混合する少なくとも1つの第1混合部と、第1混合部の導出流路に第1混合液の取出口を有する混合液の製造装置であって、
該第1混合部の導出流路に少なくとも2つの分岐が設けられ、1つの分岐に繋がるバイパス流路に初流液用のサブタンクと流量計および流量調節部が配設され、他の1つの分岐に繋がるバイパス流路に第1混合液用の流量計および流量調節部が配設されるとともに、両バイパス流路が接続する流路に第2混合部が接続され、第2混合部の導出流路に第2混合液の取出口を有することを特徴とする。
【0014】
生産バッチの切換え工程を含む混合液の製造装置において、製品の品質安定化のためには、初流液の低減あるいは処理が重要な役割を果たす。本発明に係る混合液の製造装置においては、第1混合液の導出流路の上流側に設けられたバイパス流路をサブタンクに接続して初流液の貯留を可能とし、その下流側に設けられたバイパス流路によって第1混合液の一部を導入可能とし、両バイパス流路が接続する流路に設けられた第2混合部において初流液と第1混合液を攪拌・混合可能とすることによって、混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液のロスの低減を図り、種々の生産規模に対応可能で高い品質の混合液の製造装置を提供することが可能となった。
【0015】
本発明は、上記混合液の製造装置であって、前記サブタンクに攪拌手段を配設し、前記第1混合部において、ブレンドミキサーとして振動型ミキサーを用いることを特徴とする。
【0016】
第1混合部においては、1の原材料に比較的高温条件で添加材料あるいは/および他の原材料を混合することから、高品質の製品原液を得るためには混合の均一性を確保することが重要となる。そこで、原材料が供給された第1混合部においてブレンドミキサーによって混合し、ブレンドミキサーとして振動型ミキサーを用いて混合機能をより高めることによって、第1混合液について高い混合の均一性を確保することが可能となる。また、微量の初流液が混合して作製される第2混合液の均一性についても、主たる混合原液である第1混合液の均一性に依存する一方、初流液の最初と最後での組成の変化が大きい場合には無視できない影響を及ぼすことがある。このとき、第2混合部の攪拌・混合効率を上げるために所定容量の攪拌槽を設ければ、第2混合部での「初流液」に相当する混合液の存在を無視することができない。本発明に係る混合液の製造装置においては、サブタンクに攪拌手段を配設し、初流液の均一性を確保しつつ小容量の第2混合部を介することによって、迅速な生産バッチの切換えを可能とし、残液の低減および初流液のロスの低減を図ることが可能となった。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明は、初流液および第1混合液を第2混合部に導入し、攪拌・混合して新たな混合液を作製することによって、混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液のロスの低減を図り、種々の生産規模に対応可能な混合液の製造方法および製造装置を提供することが可能となった。特に、ワンウエイ方式に適用することによって、生産性等に優れた混合液の製造方法および製造装置を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る混合液の製造装置(以下「本装置」という。)の好適な実施形態について、図面を用いて説明する。本装置は、2つ以上の原材料を各々貯蔵するメインタンクと、メインタンクから原材料を供給するポンプと、原材料の供給量を管理する流量計と、各原材料を混合する少なくとも1つの第1混合部と、第1混合部の導出流路に第1混合液の取出口を有する混合液の製造装置であって、第1混合部の導出流路に少なくとも2つの分岐が設けられ、1つの分岐に繋がるバイパス流路に初流液用のサブタンクと流量計および流量調節部が配設され、他の1つの分岐に繋がるバイパス流路に第1混合液用の流量計および流量調節部が配設されるとともに、両バイパス流路が接続する流路に第2混合部が接続され、第2混合部の導出流路に第2混合液の取出口を有することを特徴とする。
【0019】
<本装置の構成例>
図1は、本装置の構成例の1つとして、ポリウレタンフォームの製造に用いられるウレタン原液などの混合液の製造装置を示す。ウレタン原液を構成する原材料Aとして、主成分であるポリオール化合物Aが、原材料供給部11から原液供給口12を介してメインタンク1Aに供給されると同時に、メインタンク1Aに設けられた攪拌羽根13によって攪拌・混合され、均一な状態で貯留される。同様に、他のポリオール化合物B、整泡剤C、触媒Dおよび難燃剤Eについても、メインタンク1B,1C,1D,1E(「1B〜1E」と略す。)に均一な状態で貯留される(図1において、1B〜1Eは省略)。貯留されたポリオール化合物Aは、ウレタン原液作製時に、その所定量がポンプ2Aによって圧送され、流量計3Aによって供給流量を管理され取合部4Aを介して第1混合部5に導入される。同様に、他のポリオール化合物B、整泡剤C、触媒Dおよび難燃剤Eについても各所定量がポンプ2B〜2Eによって圧送され、流量計3B〜3Eによって供給流量を管理され取合部4B〜4Eを介して第1混合部5に導入される。第1混合部5において各原材料A〜Eが攪拌・混合処理された第1混合液は、取合部5aを介して導出流路L1に導出され、切換弁6、流路L2、流路L3、取出口7aを介して取出缶7bに導入され搬出される。
【0020】
導出流路L1には切換弁6を介して流路L4が接続され、その他端に取合部8aを介してサブタンク8が接続され、サブタンク8の下部には流路L5と接続された取合部8bが設けられ、流路L5に設けられた流量調節部9a、流量計3fを介して第2混合部10に接続される。一方、流路L2には流路L3と分岐するように流路L6が接続され、流路L6に設けられた流量調節部9b、流量計3gを介して第2混合部10に接続される。第2混合部10には導出流路L7が接続され、導出流路L7に設けられた取出口7bを介して取出缶7dに接続される。混合液の作製初期段階において初流液が発生した場合、切換弁6を切換え、導出流路L1からの初流液を流路L4に導入しサブタンク8に貯留する。混合液の作製第2段階においては、サブタンク8に貯留された初流液の所定量が流量調節部9a、流量計3fを介して第2混合部10に導入されると同時に、導出流路L1からの第1混合液の内の所定量が流路L6に導入され、流量調節部9b、流量計3gを介して第2混合部10に導入される。第2混合部10において両者が攪拌・混合して第2混合液が作製され、導出流路L7から取出口7cを介して取出缶7dに導入され搬出される。
【0021】
導出流路L1および導出流路L7には、各々第1混合液および第2混合液の一部を測定試料として採取する採取口20aおよび20bが設けられ、測定手段20によって組成や性状を検査することが好ましい。第1混合部5および第2混合部10での攪拌状態や各流路での残留液による影響の有無を、第1混合液および第2混合液の組成によって分析し、特に第2混合部10に導入する初流液の流量を制御・調整することによって、取出液の一定品質を確保することが可能となる。なお、第1混合液および第2混合液の組成や性状の安定性が確保できる場合には、取出缶7dに導入された後の工程において測定することもできる。
【0022】
次に、図1の構成図を基に、本装置の詳細について説明する。ここで、混合液の流路が、循環流路を有さずワンウエイで形成されることが好ましい。つまり、本装置において、原材料の1つであるポリオール化合物Aを例に採ると、原材料供給部11から供給され、メインタンク1A→ポンプ2A→流量計3A→第1混合器5→流路L1→流路L2→流路L3→取出口7a→取出缶7bまでワンウエイで移送されることによって、作業効率がよく高い生産性を確保することが可能となる。
【0023】
メインタンク1A〜1Eは、各原材料A〜Eが貯留され、ポリウレタンフォームの作製に伴う減量分は原液供給口12から補充される(原材料B〜Eについても同様)。メインタンク1A〜1Eには、各原材料A〜Eを撹拌するための撹拌羽根13が設けられており、撹拌羽根13は駆動装置により回転駆動される。メインタンク1A〜1E内の各原材料A〜Eは液状であり、常温において粘度の高い原材料については、加温することによって所望の粘度に調整され、温度分布の均一性を図っている。メインタンク1A〜1E内部の状態を管理するために、各原材料の液面を検出するレベル計や内部圧力を検出するタンク圧力計を設けることが好ましい。さらに、安全性を確保すべく安全弁を設け、メインタンク1A〜1E内気層部のパージやウレタン原液の圧送のためのバック圧エアまたは窒素ガスの供給も好適である。
【0024】
ポンプ2A〜2Eとしては、圧力や流量の安定性が高く、定量性を確保することができて外部から制御しやすいシリンダリニアポンプやギアポンプなどが好ましい。ポンプ2A〜2E内での残留液の発生が少ない点においても好適である。これによって、第1混合液の組成の安定性および定流量性を確保することができる。特に、後段に設けられる流量計3A〜3Eと合せたシステムとして流量制御することによって、その機能を活かすことができる。このとき、通常の流量計3A〜3Eに代え、マスフローコントローラのような流量制御機能を有する質量流量計を用いることが可能である。また、ポンプ2A〜2Eを定量ポンプとすることで流量計3A〜3Eを省略することも可能である。これによって、流路の内容積を低減し、さらに残留液の発生を低減することが可能である。さらに、ポンプ2A〜2Eから第1混合部5までの配管は、短ければ短いほど流路の内容積を低減することが可能であり、より好ましい。
【0025】
第1混合部5においては、ブレンドミキサーとして振動型ミキサーを用いることが好ましい。振動型ミキサーが有する高い混合機能を利用することによって、第1混合液について高い混合の均一性を確保することが可能となるとともに、混合液が殆んど残留しない構造から初流液を最小限にし、バッチごとの処方切換えのタイミングが明確にすることができる。
【0026】
具体的には、図2に例示するようなバイブロミキサー(冷化工業社製)5を挙げることができる。図2において、バイブロミキサー5中央の主軸部51に配設された螺旋体52は、複数の孔部53を有しており、主軸部51が矢印のように上下方向に移動する。ここで、下部導入口4A〜4Eから導入された各材料A〜Eの主流が、その圧送と主軸部51の螺旋体52に沿って比較的長い時間をかけて上部へ移動する。と同時に、主軸部51の上下方向の移動によって生じる複数の孔部53からの液流によって、大きな攪拌力を発生して混合機能をより高めることができる。つまり、導入口4A〜4Eを介して導入された各材料A〜Eが、バイブロミキサー5の強い攪拌力によって、高い均一性を有する第1混合液となって取合部5aを介して導出することが可能となる。また、バイブロミキサー5は、図2のように、バッチの処方切換え時に各材料A〜Eの供給を停止すると内部の混合液を殆んど導出可能な構造を有していることから、残留液を最小限にすることができる。
【0027】
サブタンク8は、バッチ処方切換え時の初流液が所定量(以下「貯留初流液量」という)Vs貯留される。サブタンク8には、初流液を撹拌するための撹拌羽根(「攪拌手段」に相当)8cが設けられており、撹拌羽根8cは駆動装置により回転駆動される。初流液の最初には前回バッチの残留液が多く含まれ、初流液の最後には殆ど新規のバッチの第1混合液となることから、サブタンク8に撹拌羽根8cを配設し、これらを含めた初流液全体としての組成の均一化を図ることが好ましい。また、常温において粘度の高い初流液が予定される場合には、加温することによって所望の粘度に調整され、温度分布の均一性を図っている。サブタンク8内部の状態を管理するために、初流液の液面を検出するレベル計や内部圧力を検出するタンク圧力計を設けることが好ましい。さらに、安全性を確保すべく安全弁を設け、メインタンク1A〜1E内気層部のパージやウレタン原液の圧送のためのバック圧エアの供給も好適である。
【0028】
第2混合部10においては、ブレンドミキサーとして無駆動型ミキサーを用いることが好ましい。ほぼ同性状の主成分である第1混合液と少量の初流液を攪拌・混合することから、混合機能と合せて静的な混合機能によって、気泡等の発生の少ない状態で取出缶7dに導入し搬出することができる。具体的には、モータ駆動のインラインミキサー又はスタティックミキサーに代表される無駆動ミキサーを挙げることができる。
【0029】
測定手段20としては、ウレタン原液である第1混合液および第2混合液の組成や性状を検査することができる分析計であれば、特に制限はないが、第1混合液については各原材料A〜Eの供給量を制御し、第2混合液については第1混合液と初流液の各流量を制御するために連続測定が可能な分析計が好ましい。具体的には、組成分析手段としてガスクロマトグラフ(GC)や赤外分光光度計(IR)あるいは紫外分光光度計(UV)などを挙げることができ、性状分析手段として、粘度計や比重計などを挙げることができる。または、イソシアネートを正規に混合し、反応性やフリー発泡密度など現実の生成物での確認を行うことが最も好ましい。
【0030】
本装置においては、第1混合部5および第2混合部10を温度制御の対象としていないが、両者あるいはいずれか一方を、熱媒体循環式やジャケット式などの温度調節手段を使用する構成とすることが可能である。また、季節や本装置の設置条件の変化に対応し、各原材料A〜Eおよび各混合液の温度を安定化させるために熱交換器(図示せず)を設けることも可能である。
【0031】
ここで、本装置は、ウレタン原液のような混合液の作製工程において、前回の生産が同一成分の混合液あるいは類似する成分の混合液であることが好ましい。具体的には、(1)前回生産された製品とこれから生産される製品の材料的な系統が同じ場合であって、かつ(2)新たに生産する製品の品質に影響を及ぼさない場合において、混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液のロスの低減を図ることができる。
【0032】
上記構成によって混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液のロスの低減を図るとともに、本装置においては、さらに初流液の発生量を最小とすべく、以下の機能を有することが好ましい。
【0033】
(1)メインタンク1A〜1Eまたはポンプ2A〜2Eの後段の流路が、上流を高所とする自然落下流が形成されることが好ましい。自然落下流のように溶液の混合が少なくピストン式に押し出されることによって、混合液作製の最終段階において、配管系の以降の各原材料を有効に取り出することができ、残留液(つまり、次のバッチの初流液)を最小量とすることができる。
【0034】
(2)流路L1〜L7を混合液の流量に適応した最小径の配管とし、最短の配管長とすることによって、新規のバッチへの切換え時においても残留液を最小量とすることができる。例えば、10〜50L/minの流量の場合には、内径φ25〜50mmの管を用い、溜りのない配管系を形成することが好ましい。
【0035】
<本装置の制御機能と操作方法>
本装置における混合液の作製は、第1混合部5における混合状態を適切に制御すると同時に、第2混合部10における混合状態を適切に制御することが重要となる。図3に例示するように、前者については、メインタンク1A〜1Eからの流路に設けられた各原材料用の流量計3A〜3Eの出力を指標としてポンプ2A〜2Eを制御し、採取口20aを介して測定手段20によって組成や性状を検査し、所望の成分が配合された第1混合液を作製することができる。後者については、サブタンク8に貯留された初流液の流量Rsを流量計3fの出力を指標として流量調節部9aを制御するとともに、流路L6に導入した第1混合液の流量Rdを流量計3gの出力を指標として流量調節部9bを制御し、採取口20bを介して測定手段20によって組成や性状を検査し、所望の成分が配合された第2混合液を作製することができる。本装置の制御機能は、図3の1点鎖線に示すように、制御部30を設け、流量計3A〜3E、3fおよび3gの出力、測定手段20の出力を取り入れ、ポンプ2A〜2Eおよび流量調節部9aと9bの制御・調整を行う。
【0036】
このとき、本装置が、適切に稼動するためには、(a)サブタンク8に導入・貯留する初流液の液量(貯留初流液量Vs)の設定と、(b)第2混合部10に導入される第1混合液の液量Vdの設定と、(c)第2混合部10に導入・混合する初流液の流量Rsと第1混合液の流量Rdの制御・調整、を行うことが好ましく、特に、これらを第1混合部5から導出され導出流路L1を流れる第1混合液の流量Rtを基準に行うことが好ましい。
【0037】
第1混合部5から導出され導出流路L1を流れる第1混合液の流量Rtは、1バッチの生産量Vtおよびバッチ処理時間Tから設定され、これに合せて各原材料用の流量が設定され、制御目標値となる。第1混合液の流量Rtを一定条件で制御するとすれば、Rt=Vt/Tとなるが、実際の生産工程においては、第1混合液の流量Rtを変化させることがあることから、下式1のようになる。
Rt(平均値)=Vt/T(平均値) ・・・(式1)
【0038】
(a)サブタンク8に導入・貯留する貯留初流液量Vsの設定
(a−1)混合系の残留液量の置換を考慮した場合、初流液の総量である貯留初流液量Vsは、1つには、初流液として処理する必要のある液量(予定初流液量)に裕度を考慮した液量として設定されることが好ましい。具体的には、第1混合器5以降の流路の内容積Vaを基準とし、新規のバッチへの切換え時において第1混合部5の内壁等に残留する液が第1混合液に含まれる可能性がある液量Vb、およびそのときの第1混合部5へ導入される各原材料の流量の差に伴い第1混合部5において生じる混合液の組成が安定するまで液量Vcを予め検証あるいは推量し、これらを加算し、さらに安全率αを掛けた貯留初流液量Vsが設定される(式2参照)。
Vs=(Va+Vb+Vc)×α ・・・(式2)
【0039】
(a−2)また、貯留初流液量Vsは、上記(a−1)による設定方法に加え、第2混合部10の容量S(以下「容量S」という)を考慮して算出する方法を採用することが好ましい。本装置は、混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液のロスの低減を図るとともに、ワンウエイ方式を用いたバッチ生産によって、種々の生産規模に迅速に対応できる混合液の作製が求められている。このとき、混合液の生産効率の向上を図るには容量Sを小さくすることが好ましい一方、初流液の十分な処理を行うための容量を必要とする。つまり、容量Sを大きくすると初流液の処理量を大きくすることができる半面、これと混合させる第1混合液の流量を多くする必要があり、容量Sを小さくすると初流液の処理量が制限される。具体的に、容量Sを一定としたときの貯留初流液量Vsと処理時間との関係、および貯留初流液量Vsを一定としたときの容量Sと処理時間の関係を例示すると、図4のようになる。そこで、容量Sを考慮した初流液の液量について、検証した結果、容量Sを350mLで一定とし、処理時間の交点から貯留初流液量Vsを算出すると、約3500mLつまり容量Sの約10倍量の初流液の処理が好ましいことが判った。他の条件での検証においても略同様の結果が得られ、貯留初流液量Vsの設定においては、容量Sの5〜15倍量の初流液の処理が好ましく、さらには容量Sの8〜12倍量の初流液の処理が好ましい。
【0040】
(a−3)従って、貯留初流液量Vsの設定においては、本条件と(a1)に示した条件とが重複するように設定することによって、迅速かつ精度の高い混合液の作製が可能となる。
【0041】
(b)第2混合部10に導入される第1混合液の液量Vdの設定
高い精度が要求される本装置におけるコンタミネーションの許容量は、0.5〜1%以内とすることが好ましい。つまり、第2混合部10に導入される第1混合液の液量Vdは貯留初流液量Vsの200〜100倍量必要となる。ただし、上記(a)のように、貯留初流液量Vsの設定自体がコンタミネーションに対して2〜数倍の裕度を有することから、第1混合液の液量Vdは実質的には貯留初流液量Vsの100〜20倍量で十分である。本装置においては、貯留初流液量Vsの100倍量として設定し、混合液の生産予定総量のうち、当量を第2混合部10に導入するように制御する。上記の例によれば、容量Sを350mLとした場合、貯留初流液量Vsが約3500mLとなり、第1混合液の液量Vdは約350Lが好ましい。
【0042】
(c)第2混合部10に導入される初流液の流量Rsと第1混合液の流量Rdの制御
以上のように、本装置における適切な貯留初流液量Vsおよび第1混合液の液量Vdを設定することができたことから、導出流路L1を流れる第1混合液の流量Rtを基準に、第2混合部10に導入・混合する初流液の流量Rsと第1混合液の流量Rdを設定することができる。具体的には、以下のように設定することができる。ここで、Vd/Vs=αとすると、Rd/Rs=αとなる。
【0043】
(c−1)1バッチの製造工程における総バッチ処理時間Ttは、〔混合液の作製初期段階における初流液のサブタンク8への貯留時間Ts〕と〔混合液の作製第2段階における初流液の第2混合部10へのバッチ処理時間Ta〕、および〔混合液の作製第3段階における第1混合液のみを取り出すためのバッチ処理時間Tb〕を加算した時間となる。
【0044】
(c−2)このとき、Vs=Rt×Ts=Rs×Taとなる。つまり、初流液の流量Rsと第1混合液の流量Rdは、下式3および4により、流量Rtを基準に時間Taを設定することによって設定することができる。ここで、時間Taは、第2混合部10の容量あるいは全体の処理時間Ttによって設定することができる。
Rs=Rt×(Ts/Ta) ・・・(式3)
Rd=Rt×α×(Ts/Ta) ・・・(式4)
【0045】
本装置は、以上の機能を有効に活かし、次の手順に沿って操作することが好ましい。なお、ここでは、基本操作を示すために、第1混合液が一定流量Rtで第1混合部5から導出される場合を設定したが、各手順ごとに流量を変更することも可能である。
【0046】
(1)混合液の作製第1段階
最初に、切換弁6を作動させて導出流路L1と流路L4を接続し、流量調整部9aは作動させない状態を形成する。次に、この状態で、各原材料を、それぞれ所定の流量を第1混合部5に供給すると、第1混合部5において混合され均一化された第1混合液が作成されて流量Rtで導出流路L1から導出される。第1混合液は切換弁6および流路4を介してサブタンク8に導入され、時間Tsの間導入することによって、初流液が貯留初流液量Vs、サブタンク8に貯留される。
【0047】
このとき、採取口20aを介して測定手段20によって組成や性状を検査し、所望の成分が配合された第1混合液が作製されていること、および時間Ts内においてその組成や性状が安定していることを確認することが好ましい。また、サブタンク8内においては撹拌羽根8cを駆動し、初流液の均質化を測ることが好ましい。
【0048】
(2)混合液の作製第2段階
時間Ts経過後、切換弁6を元に戻して導出流路L1と流路L2を接続する。これによって、流路L3を介して取出口7aから性状が安定した第1混合液を流量Raで取り出すことができる。と同時に、流量調節部9bを制御して第1混合液を流量Rdで第2混合部10に導入するとともに、流量調節部9aを制御してサブタンク8に貯留された初流液を流量Rsで第2混合部10に導入する。これによって、均一に混合された第2混合液が第2混合部10から導出され、導出流路L7を介して取出口7bから性状が安定した第2混合液を流量〔Rd+Rs〕分取り出すことができる。ただし、Rd≫Rsであることから〔Rd+Rs〕≒Rdとなる。
【0049】
この状態を時間Ta継続することによって、サブタンク8に貯留された初流液の全量が第2混合液の一部を形成して取出口7bから取り出すことが可能となる。ここで、時間Taは、下式5の関係を示す。
Ta=Vs/Rs=Ts×(Rt/Rs) ・・・(式5)
【0050】
このとき、採取口20bを介して測定手段20によって組成や性状を検査し、所望の成分が配合された第2混合液が作製されていること、および時間Ts内においてその組成や性状が安定していることを確認することが好ましい。
【0051】
(3)混合液の作製第3段階
Ta経過後、流量調節部9aおよび9bを制御して取出口7bからの第2混合液の取り出しを終了することができる。このとき、取出口7aから第1混合液のみを流量Rtで取り出すことができることから、その後、この状態をバッチ処理時間Tbの間維持することによって、予定の1バッチの生産量Vtの残量を確保することができる。
【0052】
なお、Tb経過後、本バッチの残留液を最小とするために流路内壁等の自然落下流を取り出す処理時間を設けることも、混合処理系でのコンタミネーションや残液の低減および初流液のロスの低減を図るために有効である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上の実施形態では、ポリウレタンフォームを製造するためのウレタン原液などの混合液の製造方法および製造装置について例示したが、本発明は、広く他のポリマー原液の混合液の製造方法あるいは製造装置について適用することが可能である。具体的には、フェノール樹脂フォームなど種々のフォームについて適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本装置の基本的構成を例示する説明図
【図2】本装置に用いる振動型ミキサーを例示する説明図
【図3】本装置に係る制御機能を例示する説明図
【図4】本装置に係る第2混合部の容量Sまたは貯留初流液量Vsと処理時間との関係を例示する説明図
【符号の説明】
【0055】
1A メインタンク
2A,2B,2C,2D,2E ポンプ
3A,3B,3C,3D,3E,3f,3g 流量計
4A,4B,4C,4D,4E,5a,8a,8b 取合部
5 第1混合部
6 切換弁
7a,7c 取出口
7b,7d 取出缶
8 サブタンク
8c,13 撹拌羽根
9a,9b 流量調節部
10 第2混合部
11 原材料供給部
12 原液供給口
20 測定手段
20a,20b 採取口
L1,L7 導出流路
L2〜L6 流路
【出願人】 【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
【出願日】 平成18年7月21日(2006.7.21)
【代理人】 【識別番号】100104422
【弁理士】
【氏名又は名称】梶崎 弘一

【識別番号】100105717
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 雄三

【識別番号】100104101
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 俊彦


【公開番号】 特開2008−23463(P2008−23463A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−199492(P2006−199492)