トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般

【発明の名称】 混合装置
【発明者】 【氏名】藤山 優一郎

【氏名】奥原 俊彰

【要約】 【課題】処理量を増加させつつ原料油と触媒との迅速且つ均一な混合を効果的に行うことが可能な混合装置を提供すること。

【構成】混合装置1においては、移動層の単位面積当たりの質量流量をQ[kg/ms]、移動層の外径と内径との差をW[m]、反応管の内径をD[m]、内部原料油供給部から供給される原料油の内部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu1[m/s]、外部原料油供給部から供給される原料油の部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu2[m/s]としたときに、8.0≧Q×(W/D)/(u1+u2)、Q=300〜2000[kg/ms]、W/D=0.2〜0.5、u1=5〜300[m/s]、及び、u2=5〜300[m/s]の関係を満たしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料油と粒状の触媒とを混合する混合装置であって、
前記触媒を環状に分布させつつ上方から下方へ連続的に落下させて、円筒状の移動層を形成する移動層形成器と、
前記移動層形成器によって形成された前記移動層を取り囲む反応管と、
前記移動層形成器によって形成された前記移動層の内側面の周方向全域に亘って前記原料油を供給する内部原料油噴射ノズルを有する内部原料油供給部と、
前記移動層形成器によって形成された前記移動層の外側面の周方向全域に亘って前記原料油を供給する外部原料油噴射ノズルを有する外部原料油供給部と、を備え、
前記移動層の単位面積当たりの質量流量をQ[kg/m2s]、前記移動層の外径と内径との差をW[m]、前記反応管の内径をD[m]、前記内部原料油供給部から供給される原料油の前記内部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu1[m/s]、前記外部原料油供給部から供給される原料油の前記外部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu2としたときに、
8.0≧Q×(W/D)/(u1+u2)、
Q=300〜2000[kg/m2s]、
W/D=0.2〜0.5、
u1=5〜300[m/s]、及び、
u1=5〜300[m/s]を満たす混合装置。
【請求項2】
前記内部原料油噴射ノズル及び前記外部原料油噴射ノズルは、それぞれ水平面に対して15°〜75°下方に向けて原料油を噴射する請求項1に記載された混合装置。
【請求項3】
前記触媒の温度は300℃以上であり、
前記内部原料油供給部及び前記外部原料油供給部には、前記触媒からの熱を断熱する断熱手段がそれぞれ設けられている請求項1又は2に記載された混合装置。
【請求項4】
上方から下方に連続的に落下する触媒の向きを変えつつ触媒を水平方向に均一に分散させる複数の邪魔板が前記移動層形成器の内部に設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載された混合装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、原料油と粒状の触媒とを混合させる混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粒状の触媒を円環状に分布させつつ上方から下方へ連続的に落下させて、円筒状の移動層を形成する移動層形成器と、移動層形成器によって形成された移動層の内周面にその周方向全域に亘って原料油を供給する内部原料油供給部と、移動層形成器によって形成された移動層の外周面にその周方向全域に亘って原料油を供給する外部原料油供給部とを備える混合装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この混合装置では、移動層形成器によって触媒が円筒状の移動層となるように形成されるようになるので、原料油と触媒との接触面積が大きくなり、原料油と触媒とを迅速且つ均一に混合することが可能となる。
【特許文献1】特開平10−249178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、混合装置における処理量を増加させるために混合装置の規模を大きくした場合、移動層形成器によって形成される円筒状の移動層の内径と外形との差(肉厚)が大きくなる。従って、混合装置における処理量を増加させつつ原料油と触媒との混合を迅速且つ均一に行うためには、移動層の肉厚に応じて原料油と触媒とを混合する必要がある。
【0004】
そこで、本発明は、処理量を増加させつつ原料油と触媒との迅速且つ均一な混合を効果的に行うことが可能な混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る混合装置は、原料油と粒状の触媒とを混合する混合装置であって、触媒を環状に分布させつつ上方から下方へ連続的に落下させて、円筒状の移動層を形成する移動層形成器と、移動層形成器によって形成された前記移動層を取り囲む反応管と、移動層形成器によって形成された移動層の内側面の周方向全域に亘って原料油を供給する内部原料油噴射ノズルを有する内部原料油供給部と、移動層形成器によって形成された移動層の外側面の周方向全域に亘って原料油を供給する外部原料油噴射ノズルを有する外部原料油供給部とを備え、移動層の単位面積当たりの質量流量をQ[kg/m2s]、移動層の外径と内径との差をW[m]、反応管の内径をD[m]、内部原料油供給部から供給される原料油の前記内部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu1[m/s]、前記外部原料油供給部から供給される原料油の前記外部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu2としたときに、
8.0≧Q×(W/D)/(u1+u2)、
Q=300〜2000[kg/m2s]、
W/D=0.2〜0.5、
u1=5〜300[m/s]、および、
u2=5〜300[m/s]を満たす。
【0006】
本発明に係る混合装置では、移動層の単位面積当たりの移動層の単位面積当たりの質量流量をQ[kg/m2s]、移動層の外径と内径との差をW[m]、反応管の内径をD[m]、内部原料油供給部から供給される原料油の前記内部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu1[m/s]、外部原料油供給部から供給される原料油の前記外部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu2としたときに、上述の全関係式を満たすように設定された状態で、内部原料油噴射ノズル及び外部原料油噴射ノズルから移動層に対して原料油をそれぞれ噴射される。そのため、混合装置における処理量を増加させつつ原料油と触媒との迅速且つ均一な混合を効果的に行うことが可能となる。
【0007】
また、内部原料油噴射ノズル及び外部原料油噴射ノズルは、それぞれ水平面に対して15°〜75°下方に向けて原料油を噴射することが好ましい。このようにすると、内部原料油噴射ノズル及び外部原料油噴射ノズルからそれぞれ噴射された原料油が移動層に衝突したときに、そのときの衝撃により原料油をより微細化することができる。そのため、原料油と触媒とをより効果的に混合することが可能となる。
【0008】
また、触媒の温度は300℃以上であり、内部原料油供給部及び外部原料油供給部には、触媒からの熱を断熱する断熱手段がそれぞれ設けられていることが好ましい。このようにすると、触媒からの熱伝導による原料油のコーキングを防止することが可能となる。
【0009】
また、上方から下方に連続的に落下する触媒の向きを変えつつ触媒を水平方向に均一に分散させる複数の邪魔板が移動層形成器の内部に設けられていることが好ましい。このようにすると、触媒が邪魔板によってその流れの向きを変えながら水平方向に均一に分散するようになるので、移動層形成器によって形成される移動層の密度が均一化される。そのため、原料油と触媒とを更に効果的に混合することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、処理量を増加させつつ原料油と触媒との迅速且つ均一な混合を効果的に行うことが可能な混合装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、第1実施形態に係る混合装置1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る混合装置の概略を示す縦断面図である。図2は、内部原料油供給部及び外部原料油供給部を示す図1の部分拡大図である。図3は、図2のIII−III線断面図である。
【0013】
混合装置1は、重質油等の原料油と粒状の触媒とを混合するためのものである。混合装置1は、図1に示されるように、移動層形成器10及び反応管12を備えている。なお、混合装置1で用いられる触媒としては、例えば、固体粒子径が1μm〜500μmの300℃以上(好ましくは450℃〜700℃)に加熱されたシリカアルミナ触媒の粒子が挙げられる。
【0014】
移動層形成器10は、円筒状を呈する本体14を有している。本体14の上端部は、上方に向かうにつれて縮径されており、本体14の上端には、触媒を移動層形成器10内に投入するための投入管16が設けられている。そのため、投入管16に投入された触媒は、移動層形成器10の上方から下方に連続的に落下することとなる。本体14の下端部は、下方に向かうにつれて縮径されており、本体14の下端には、触媒を反応管12へと排出するための排出管18が設けられている。本体14の内部には、受皿20と、内部原料油供給部22と、邪魔板24,26とが設けられている。
【0015】
受皿20は、本体14内部の上方における投入管16と向かい合う位置に配設されており、投入管16から投入された触媒を受けるようになっている。
【0016】
内部原料油供給部22は、原料油移送管28と、スチーム移送管30とを有しており、2重管構造となっている。内部原料油供給部22は、排出管18と同軸となるように配設されており、その先端部が排出管18の下端よりやや下方に位置し、受皿20の近傍まで鉛直方向に沿って延在すると共にそこからさらに直角に曲がって水平方向に側壁を貫通して延在している。そのため、触媒が内部原料油供給部22と排出管18との間を上方から下方へと連続的に落下すると、図2及び図3に示されるように、円筒状の移動層32が形成されることとなる。
【0017】
原料油移送管28は、図1及び図2に示されるように、その先端が下方に向かうにつれて縮径された円錐状を呈している。原料油移送管28の円錐面には、移動層32の内側面に臨む内部原料油噴射ノズル34が設けられている。この内部原料油噴射ノズル34からは、原料油移送管28の基端に接続されたポンプ等の原料油供給装置(図示せず)から原料油移送管28を通って供給された原料油が移動層32の内側面の周方向全域に亘って噴射される。内部原料油噴射ノズル34の噴射角度は、第1実施形態において水平面に対して45°下方に向くように設定されているが、噴射された原料油が移動層32と衝突したときにその衝撃力により原料油を微細化することができるような角度であればよく、15°〜75°であると好ましい。なお、内部原料油噴射ノズル34の数は、移動層30の内側面の周方向全域に亘って原料油を噴射することができれば任意の数に設定することができる。
【0018】
スチーム移送管30は、原料油移送管28を覆い原料油移送管28と同軸となるように配設されている。原料油移送管28とスチーム移送管30との間に形成された間隙36には、触媒からの熱伝導による原料油のコーキングを防止するため、スチーム移送管30の基端側から導入されたスチームが移送されるようになっている。
【0019】
邪魔板24及び邪魔板26は、それぞれ円環状を呈している。邪魔板24は、その外周部が本体14の内壁に設けられ、外周部から内周部に向かうにつれて下降するように傾斜している。邪魔板24の内周部は内部原料油供給部22(スチーム移送管30)と離間され、邪魔板24の内周部と内部原料油供給部22(スチーム移送管30)との間は開口とされている。邪魔板26は、その内周部が内部原料油供給部22(スチーム移送管30)の外壁に固定され、内周部から外周部に向かうにつれて下降するように傾斜している。邪魔板26の外周部は本体14と離間され、邪魔板26の外周部と本体18との間は開口とされている。従って、邪魔板24及び邪魔板26は、触媒を蛇行させつつ落下させる蛇行通路38を構成している。
【0020】
反応管12は、鉛直方向に伸びる円管であり、その上端部に設けられた外部原料油供給部40を介して移動層形成器10と接続されている。反応管12の内部では、触媒と接触した原料油の改質反応が行われる。
【0021】
外部原料油供給部40は、排出管18の下端部に接続されており、この排出管18を取り囲むように原料油供給室42、上部スチーム室44及び下部スチーム室46が配設されている。外部原料油供給室42、上部スチーム室44及び下部スチーム室46は、それぞれ環状を呈している。
【0022】
外部原料油供給室42は、移動層32の外側面に臨む傾斜面を有している。外部原料油供給室42の傾斜面には、同じく移動層32の外側面に臨む外部原料油噴射ノズル48が設けられている。この外部原料油噴射ノズル48からは、外部原料油供給室42から供給された原料油が移動層32の外側面の周方向全域に亘って噴射される。外部原料油噴射ノズル48では、第1実施形態において、外部原料油噴射ノズル48のノズル線速を大きくすることで得られる噴霧効果を利用したいわゆる油圧噴霧方式により原料油の噴射を行っており、噴霧用媒体であるアイトマイジングスチームを用いていない。外部原料油噴射ノズル48の噴射角度は、第1実施形態において水平面に対して45°下方に向くように設定されているが、噴射された原料油が移動層32と衝突したときにその衝撃力により原料油を微細化することができるような角度であればよく、15°〜75°であると好ましい。なお、外部原料油噴射ノズル48の数は、移動層32の外側面の周方向全域に亘って原料油を噴射することができれば任意の数に設定することができるが、外部原料油噴射ノズル48と上述の内部原料油噴射ノズル34とからそれぞれ噴射される原料油の噴射割合が1:1〜3:1となるように設定すると好ましい。
【0023】
上部スチーム室44は、外部原料油供給室42の上部に配設されている。また、上部スチーム室44は、外部原料油供給室42と排出管18との間に形成された間隙50を介して反応管12と連通している。従って、スチームが上部スチーム室44から間隙50を通って反応管12へと流れて、外部原料油供給室42と排出管18とが断熱され、触媒からの熱伝導による原料油のコーキングが防止される。一方、下部スチーム室46は、外部原料油供給室42の下部に配設されている。また、下部スチーム室46は、外部原料油供給室42の下部に設けられた間隙52を介して反応管12と連通している。従って、スチームが下部スチーム室46から間隙50を通って反応管12へと流れて、外部原料油供給室42の下部が断熱される。
【0024】
以上のような構成を有する混合装置1では、触媒が投入管16から投入されると徐々に受皿20に溜まっていき、受皿20から溢流(オーバーフロー)するようになる。受皿20から溢流した触媒は、邪魔板24上に落下して邪魔板24の外周部から内周部に向かって移動し、邪魔板24の内周部と内部原料油供給部22(スチーム移送管30)との間の開口から邪魔板26上に落下した後に邪魔板26の内周部から外周部に向かって移動して、邪魔板26の外周部と本体14の内壁との間の開口から排出管18へと落下する。こうして、邪魔板24,26によって構成される蛇行通路38を通過した触媒は、その流れの向きを変えつつ本体14の周方向に均一に分散され、周方向の密度が均一化されることとなる。そして、排出管18へと落下した触媒は、排出管18と内部原料油供給部22との間を通過する際に円筒状の移動層32となり、排出管18から反応管12へと排出される。その後、移動層32の内周面及び外周面には、内部原料油噴射ノズル34及び外部原料油噴射ノズル48からそれぞれ原料油が噴射され、触媒と原料油との混合が行われる。
【0025】
ここで、混合装置1においては、触媒と原料油との混合の際に、移動層の単位面積当たりの質量流量をQ[kg/m2s]、前記移動層の外径と内径との差をW[m]、反応管の内径をD[m]、内部原料油供給部から供給される原料油の前記内部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu1[m/s]、外部原料油供給部から供給される原料油の前記外部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu2としたときに、
8.0≧Q×(W/D)/(u1+u2)、
Q=300〜2000[kg/m2s]、
W/D=0.2〜0.5、
u1=5〜300[m/s]、かつ、
u2=5〜300[m/s]の関係を満たすように設定されている。上記の関係、特に上記の不等式を満たさない場合には、原料油の噴霧速度が小さく、移動層に対する貫通力が十分に大きくないため、触媒と原料油との迅速且つ均一な混合が十分に行われない。そのため触媒が有効に使われず、反応の転化率の低下や、熱分解による副反応の増加、さらには高沸点成分の気化が不十分となりコーク収率の増加などの現象を引き起こす。なお、Q×(W/D)/(u1+u2)は8.0以下である必要があるが、好ましくは5.0以下さらに好ましくは3.0以下であることが好ましい。
【0026】
以上のように、第1実施形態においては、移動層の単位面積当たりの質量流量をQ[kg/m2s]、前記移動層の外径と内径との差をW[m]、反応管の内径をD[m]、内部原料油供給部から供給される原料油の内部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu1[m/s]、外部原料油供給部から供給される原料油の外部原料油噴射ノズルの噴射口における水平成分の線速度をu2としたときに、上述の関係を全て満たすように設定し、内部原料油噴射ノズル34及び外部原料油噴射ノズル48から移動層32に対して原料油をそれぞれ噴射している。そのため、混合装置1における処理量を増加させつつ原料油と触媒との迅速且つ均一な混合を効果的に行うことが可能となっている。
【0027】
また、第1実施形態においては、内部原料油噴射ノズル34及び外部原料油噴射ノズル48の噴射角度をそれぞれ水平面に対して15°〜75°下方に向くように設定している。そのため、内部原料油噴射ノズル34及び外部原料油噴射ノズル48からそれぞれ噴射された原料油が移動層32に衝突したときに、そのときの衝撃により原料油をより微細化することができる。その結果、原料油と触媒とをより効果的に混合することが可能となっている。
【0028】
また、第1実施形態においては、触媒の温度を300℃以上に設定しており、内部原料油供給部22及び外部原料油供給部40に、スチームにより触媒からの熱を断熱する間隙36,50,52がそれぞれ設けられているので、触媒からの熱伝導による原料油のコーキングを防止することが可能となっている。
【0029】
また、第1実施形態においては、邪魔板24,26が移動層形成器10の内部に設けられているので、触媒が邪魔板24,26によってその流れの向きを変えながら水平方向に均一に分散するようになり、移動層形成器10によって形成される移動層32の密度が均一化される。そのため、原料油と触媒とを更に効果的に混合することが可能となっている。
【0030】
(第2実施形態)
続いて、図4及び図5を参照して、第2実施形態に係る混合装置2の構成について説明する。図4は、第2実施形態に係る混合装置の概略を示す縦断面図である。図5は、内部原料油供給部及び外部原料油供給部を示す図2の部分拡大図である。第2実施形態に係る混合装置2は、内部原料油供給部222及び外部原料油供給部240の点で、第1実施形態に係る混合装置1と相違する。
【0031】
内部原料油供給部222は、原料油の噴射を噴霧媒体(例えば、気体、アトマイジングスチーム)で行うものであり、図5に示されるように、その中心に原料油が流れ、原料油の流れの外側にアトマイジングスチームが流れる、いわゆる内部混合方式となっている。そのため、内部原料油供給部222は、図4及び図5に示されるように、その先端部に混合室260を有している。混合室260は、その先端が下方に向かうにつれて縮径された円錐状を呈しており、その円錐面には、移動層32の内側面に臨む内部原料油噴射ノズル234が設けられている。また、混合室260には、噴霧効果の向上のためにアトマイザー262が設けられている。なお、内部原料油供給部222では、触媒からの熱伝導による原料油のコーキングを防止するために、アトマイジングスチームの一部を混合室260の外周に設けられた間隙264を通じて先端まで流している。
【0032】
外部原料油供給部240は、原料油を独立して供給する外部原料油噴射ノズル248を複数有している。外部原料油噴射ノズル248は、反応管12上部の周方向に所定の間隔をおいて複数配設されている。外部原料油噴射ノズル248は、原料油の噴射を噴霧媒体(例えば、気体、アトマイジングスチーム)で行うものであり、図5に示されるように、その中心に原料油が流れ、原料油の流れの外側にアトマイジングスチームが流れる、いわゆる内部混合方式となっている。
【0033】
以上のような第2実施形態に係る混合装置2においても、第1実施形態に係る混合装置1と同様の作用効果を奏する。
【0034】
(第3実施形態)
続いて、図6を参照して、第3実施形態に係る混合装置3の構成について説明する。図6は、第3実施形態に係る混合装置の概略を示す縦断面図である。第3実施形態に係る混合装置3は、外部原料油供給部340の点で、第1実施形態に係る混合装置1と相違する。
【0035】
外部原料油供給部340は、移動層形成器10の本体14とほぼ同じ径の円筒状を呈している。外部原料油供給部340の外周には、図示しない外部原料油噴射ノズルが設けられており、その外部原料油噴射ノズルの噴射角度は、水平方向と平行となるように設定されている。
【0036】
以上のような第3実施形態に係る混合装置3においても、第1実施形態に係る混合装置1と同様の作用効果を奏する。
【0037】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、邪魔板24,26でなく、流動層炉を用いて触媒の流動層を形成し、触媒の密度を均一化するようにしてもよい。
【0038】
また、移動層形成器10の本体14の形状としては、円筒状の他に四角筒状や六角筒状等の多角筒状としてもよい。
【0039】
また、排出管18の径は、触媒の供給量に応じて任意に設計することができる。例えば、反応管12の径よりも小さくしてもよく、触媒の供給量が非常に多い場合にも対応できるように反応管12の径よりも大きくしてもよい。
【0040】
また、投入管16から触媒と共に気体を供給するようにしてもよい。これは、気体を供給せずに重力の作用だけで触媒を排出管22に落下させようとすると、触媒の投入量が少ない場合には触媒が排出管18をスムーズに通過するが、触媒の投入量が多い場合には排出管18に圧力損失が生じ、本体14内が触媒で充満することがあり、本体14における圧力損失に打ち勝つだけの圧力を気体の供給により補うようにするためである。このように、気体を本体14へと供給することで、触媒の密度の均一化がより促進される。
【0041】
また、邪魔板24,26の数は、触媒を均一に分散させることができれば、任意の数に設定することができる。
【0042】
また、邪魔板24,26は、触媒の流れの向きを変えて、本体14の周方向に均一に分散させるものであれば、その形状を問わない。
【0043】
また、第1〜第3実施形態では触媒からの熱伝導による原料油のコーキングを防止するためにスチームを用いたが、空気等の流体や断熱材を用いてもよい。
【実施例1】
【0044】
以下、実施例1及び比較例1に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
図1に示される混合装置1を用いて、触媒と原料油との混合を行った。条件を表1に示す。
【表1】


【0046】
触媒としては、重質油からガソリンを製造する流動接触分解装置に使用されている触媒を用いた。この触媒の平均粒径は63μm、カサ比重は0.85g/cmであった。また、触媒の供給量を71.0kg/min、排出管18における移動層32の単位面積当たりの質量流量Qを228kg/m・sec、移動層32の外径と内径との差Wを0.047mとなるように設定した。さらに、内部原料油供給部22における原料油の供給量を60kg/h、外部原料油供給部40における原料油の供給量を4本の合計で120kg/h、内部原料油噴射ノズル34の噴射口における原料油の水平成分の速度u1を5.87m/sec、外部原料油噴射ノズル48の噴射口における原料油の水平成分の速度u2を5.87m/secとなるように設定した。Q×(W/D)/(u1+u2)=7.9となる。このときの反応成績を表2に示した。
【0047】
(比較例1)
内部原料油噴射ノズル34及び外部原料油噴射ノズル48の噴射角度を30°とした以外は、実施例1と同様にして触媒と原料油との混合を行った。これにより内部原料油噴射ノズル34の噴射口における原料油の水平成分の速度u1は4.15m/sec、外部原料油噴射ノズル48の噴射口における原料油の水平成分の速度u2を4.15m/secへと変化し、Q×(W/D)/(u1+u2)=11.2となる。このときの反応成績を表2に示した。
【0048】
(評価結果)
実施例1では、触媒と原料油との迅速且つ均一な混合が行われた結果、複製ガス(H2-C2)やコーク収率の著しい増加を抑制しながら、高分解率を達成している。
【0049】
一方、比較例1においては、迅速且つ均一な混合が行われにくいため、触媒が有効に使用されず、分解率が低下し、反対に熱分解が促進され複製ガスが増加している。また原料油中の高沸点化合物の気化が促進されなかったためコーク収率も増加している。
【表2】


【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1実施形態に係る混合装置の概略を示す縦断面図である。
【図2】内部原料油供給部及び外部原料油供給部を示す図1の部分拡大図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】第2実施形態に係る混合装置の概略を示す縦断面図である。
【図5】内部原料油供給部及び外部原料油供給部を示す図2の部分拡大図である。
【図6】第3実施形態に係る混合装置の概略を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1,2,3…混合装置、10…移動層形成器、12…反応器、14…本体、22,222…内部原料油供給部、24,26…邪魔板、28…原料油移送管、30…スチーム移送管、32…移動層、34,234…内部原料油噴射ノズル、36,50,52,264…間隙(断熱手段)、38…蛇行通路、40,240,340…外部原料油供給部、42…原料油供給室、44…上部スチーム室、46…下部スチーム室、48,248…外部原料油噴射ノズル。
【出願人】 【識別番号】301041531
【氏名又は名称】財団法人 国際石油交流センター
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】新日本石油株式会社
【出願日】 平成18年7月12日(2006.7.12)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹

【識別番号】100092657
【弁理士】
【氏名又は名称】寺崎 史朗


【公開番号】 特開2008−18335(P2008−18335A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−192142(P2006−192142)