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【発明の名称】 攪拌造粒装置
【発明者】 【氏名】岩田 章

【氏名】酒巻 良行

【要約】 【課題】従来の攪拌造粒装置に比べて、製造時間、掃除などの手間、製造コストなどを低減して混合分散工程及び/又は造粒工程を行える装置を提供する。

【構成】処理槽4の底部中央部に設けられ、処理槽4内で上方向に突出するチョッパ用回転軸33に取付けられたチョッパ羽根10と、処理槽4の上部から下方向に処理槽4内に突入された攪拌用回転軸9に取付けられた攪拌羽根7とを備え、攪拌羽根7は処理槽4内で上下方向に立体的に延びて処理槽4の下部域まで達する羽根であり、攪拌羽根7の形状は回転時にチョッパ羽根10と干渉しないような形状とし、処理槽4内でチョッパ羽根10の回転と攪拌羽根7の回転によって攪拌又は造粒を行うことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽(4)の底部中央部に設けられ、前記処理槽(4)内で上方向に突出するチョッパ用回転軸(33)に取付けられたチョッパ羽根(10)と、前記処理槽(4)の上部から下方向に前記処理槽(4)内に突入された攪拌用回転軸(9)に取付けられた攪拌羽根(7)とを備え、前記攪拌羽根(7)は前記処理槽(4)内で上下方向に立体的に延びて前記処理槽(4)の下部域まで達する羽根であり、前記攪拌羽根(7)の形状は回転時に前記チョッパ羽根(10)と干渉しないような形状とし、
前記処理槽(4)内で前記チョッパ羽根(10)の回転と前記攪拌羽根(7)の回転によって攪拌又は造粒を行うことを特徴とする、攪拌造粒装置。
【請求項2】
請求項1に記載の攪拌造粒装置において、前記攪拌羽根(7)を前記攪拌用回転軸(9)に対して傾斜している螺旋形羽根(6)で構成した、攪拌造粒装置。
【請求項3】
請求項1に記載の攪拌造粒装置において、前記攪拌羽根(7)を前記攪拌用回転軸(9)に対して傾斜している傾斜楕円体(38)で構成した、攪拌造粒装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の攪拌造粒装置において、前記攪拌羽根(7)は前記処理槽(4)の内周壁(4a)に対応する外側端面(13)を有している、攪拌造粒装置。
【請求項5】
請求項1に記載の攪拌造粒装置において、前記攪拌羽根(7)は前記処理槽(4)の内周壁(4a)に対応して下方に延びる跳上げ翼部(51)を備えており、前記跳上げ翼部(51)は回転したときに内周壁(4a)周辺の原材料を前記処理槽(4)の中央部域に向けて跳ね上げるように傾斜角度(θ)を持って構成してある、攪拌造粒装置。
【請求項6】
請求項5に記載の攪拌造粒装置において、前記跳上げ翼部(51)の先端部(57)を前記処理槽(4)の内周壁(4a)に当接させた、攪拌造粒装置。
【請求項7】
請求項5から請求項6のいずれか一項に記載の攪拌造粒装置において、前記跳上げ翼部(51)を下方に延びる基材(52)と、その基材(52)に対して径方向にその位置を調整移動可能な当接部材(53)で構成した、攪拌造粒装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の攪拌造粒装置において、前記処理槽(4)の内周壁(4a)に水平な回転軸(54)を有するチョッパ(55)を設け、そのチョッパ羽根(56)を避けるように前記内周壁(4a)近くを回転する攪拌羽根(7)の形状を形成した、攪拌造粒装置。
【請求項9】
請求項8に記載の攪拌造粒装置において、前記水平な回転軸(54)を有するチョッパ(55)を処理槽(4)から着脱自在に構成した、攪拌造粒装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の攪拌造粒装置において、前記処理槽(4)を本体槽(3)と上蓋(2)で構成し、前記攪拌用回転軸(9)を前記上蓋(2)に貫通して、前記本体槽(3)内に突入させるように構成し、前記上蓋(2)と前記攪拌用回転軸(9)を前記本体槽(3)に対して相対的に上下に移動させる昇降装置(27)を設けた、攪拌造粒装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の攪拌造粒装置において、前記攪拌用回転軸(9)内に設けられ、製造時に供給する液体を圧送する送液通路(15)と、前記攪拌用回転軸(9)と一緒に回転し、前記送液通路(15)からの液体を放出するノズル(16)とを設けた、攪拌造粒装置。
【請求項12】
請求項11に記載の攪拌造粒装置において、前記送液通路(15)と前記ノズル(16)の組を複数組設けた、攪拌造粒装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の攪拌造粒装置において、前記チョッパ用回転軸(33)と前記処理槽(4)の密閉構造として、凹部と凸部を有した同心形遊嵌部(41)の組み合わせを複数組設け、前記チョッパ用回転軸(33)の基台(17)側から空気を前記同心形遊嵌部(41)へ圧力をかけて送り込むように構成した、攪拌造粒装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の攪拌造粒装置において、前記チョッパ羽根(10,56)は、その周囲に突起物(36)を有している、攪拌造粒装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌処理と造粒処理の少なくとも一方を行う攪拌造粒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、攪拌造粒装置と呼ばれる装置が公知である。例えば、下記特許文献1には略円筒状の処理槽内に、垂直方向の回転軸を有する攪拌羽根と、水平方向の回転軸を有するチョッパと、上蓋に固定されたノズルとを有した攪拌造粒装置が開示してある。前記攪拌羽根は、基部に回転方向を下り傾斜とする翼部材を放射状に装着することにより構成され、各翼部材の先端部は、回転方向に先行するよう屈曲成形されている。
【0003】
前記攪拌羽根を回転させると、処理槽に収容された原料粉体が、回転しながら遠心力によって径方向に移動するとともに、各翼部材に跳ね上げられて上昇運動を開始する。このようにして旋回・上昇する粒子は、ノズルから滴下あるいはスプレーされたバインダー液によって適度に凝集する一方、チョッパによって適当に剪断され、徐々に所望の粒径に造粒される。
【0004】
ファンデーションのような微細な粒子を製造する場合には、微粉砕されたタルク、色素、液体香料及び油脂分等を上記のような攪拌造粒装置を用いて混合分散する。この場合、1回程度の混合分散処理では色ムラ等が発生するため、攪拌造粒装置による混合分散処理と粉砕装置による粉砕処理を2回〜3回程度、繰り返すことが行われている。
【特許文献1】特開平7−8782「攪拌造粒装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術であれば下記のような課題がある。
混合分散処理と粉砕処理を繰り返すので、製造ラインコストが高くなるとともに製造に時間がかかる課題がある。例えば、7色のファンデーションを考え、薄い色から濃い色まで1色当たり7種のバリエーションを製造する場合には、その組み合わせだけでも49色が必要になる。同色系列の色に対してそれぞれ攪拌造粒装置、粉砕装置の組を用意するとしても7系列のラインが必要になる。
【0006】
また、攪拌造粒装置と粉砕装置の掃除が大変である。特に特許文献1に示すような攪拌造粒装置では、処理槽内で上蓋に固定されたノズルによって染料による色付けを行う方法であるため、染料が処理槽の内周壁に付着してしまい、掃除作業に多くの時間がかかってしまうのである。さらに、粉砕装置のスクリーンの掃除や攪拌造粒装置から粉砕装置への粉体の移動にも手間がかかる。
【0007】
また、上記攪拌造粒装置のような遠心造粒においては、攪拌羽根の回転による遠心力によって粒体は径方向に押し出され、螺旋状に回転しながら造粒されるため比重が大きい球形粒子となり、一般に溶けにくい粒子となる。また、打錠の際も比重が1.0程度で大きいため、割れやすい錠剤となる。したがって、従来の打錠用粒子は、攪拌造粒後に整粒機の処理を経て打錠する必要があるため、製造コストが高くなる問題があった。また、流動層造粒においては粒子の比重は0.4〜0.5程度となり、打錠用粒子として好ましい0.6〜0.7の比重を実現することは難しかった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は上記課題を解決できる攪拌造粒装置を提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)従来の攪拌造粒装置に比べて、製造時間、掃除などの手間、製造コストなどを低減して混合分散工程及び/又は造粒工程を行える装置を提供する。
(b)打錠用に好適な比重の粒子を簡単に造粒できるようにする。
(c)打錠時のように粉体に圧力をかけて整形物にする場合に粉体同士の結合状態を改善できる攪拌造粒装置を提供する。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると次のように構成したものである。なお、下記各発明において、各符号は後述する実施形態との対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明の各構成要素は、実施形態に記載した符号に係る構成に限定されないことは言うまでもない。
【0010】
第1発明の攪拌造粒装置は、処理槽4の底部中央部に設けられ、前記処理槽4内で上方向に突出するチョッパ用回転軸33に取付けられたチョッパ羽根10と、前記処理槽4の上部から下方向に前記処理槽4内に突入された攪拌用回転軸9に取付けられた攪拌羽根7とを備え、前記攪拌羽根7は前記処理槽4内で上下方向に立体的に延びて前記処理槽4の下部域まで達する羽根であり、前記攪拌羽根7の形状は回転時に前記チョッパ羽根10と干渉しないような形状とし、
前記処理槽4内で前記チョッパ羽根10の回転と前記攪拌羽根7の回転によって攪拌又は造粒を行うことを特徴とする。
【0011】
本明細書において、「攪拌造粒装置」とは原材料の攪拌処理と造粒処理の少なくとも一つの処理を行える装置を言う。つまり、攪拌装置(混合分散装置とも言える)や造粒装置などを含む概念として用いている。
「攪拌羽根」の断面形状としては薄い板形のもの、円形のもの、楕円形のもの、又は三角形状のものなどが例示できる。立体的な攪拌羽根が回転することによって処理槽内の原材料は上下方向に攪拌される。
攪拌羽根とチョッパ羽根とが干渉しないようにする一方法として、上方から見たときに、前記チョッパ羽根がある処理槽の底部域においてチョッパ羽根の回りを攪拌羽根が取り囲むように配置する構成がある。
攪拌羽根の下端は処理槽の底壁まで達するように延びていることが好ましい。
【0012】
攪拌羽根の外側端面と処理槽の内周壁との隙間は1.0mm〜6.0mmの範囲に設定することが好ましい。造粒時の回転に関しては、チョッパ羽根の回転方向と攪拌羽根の回転方向は逆方向にすることが好ましい。チョッパ羽根と攪拌羽根を至近距離で逆方向にそれぞれ回転させることによって両者の相対速度を極めて大きくできる。本装置であれば、混合分散だけでなく、粉砕処理も行え、微細で均一な粒子を製造することができる。なお、チョッパ用回転軸と攪拌羽根用回転軸はそれらの軸心がほぼ一致するように配置することが好ましく、さらに好ましくは一致するように配置する。チョッパ用回転軸と攪拌羽根用回転軸はそれぞれ鉛直に配置することが一般的である。
【0013】
第1発明であれば、処理槽の内周壁近くを回転する攪拌羽根によって上下に原材料を攪拌し、処理槽の中心部で回転するチョッパ羽根によって原材料を切断して攪拌又は造粒を行うので、従来の攪拌造粒装置のように処理槽の片側に水平方向の回転軸によって駆動されるチョッパ羽根を用いる構成に比べて攪拌性能又は造粒性能を向上させることができる。
【0014】
第2発明は、第1発明において、前記攪拌羽根7を前記攪拌用回転軸9に対して傾斜している螺旋形羽根6で構成したことを特徴とする。
螺旋形羽根は全体が帯形で立体的に構成される。
第2発明であれば、攪拌羽根を螺旋形羽根で構成したことによって原材料を上下方向に良好に攪拌することができる。
【0015】
第3発明は、第1発明において、前記攪拌羽根7を前記攪拌用回転軸9に対して傾斜している傾斜楕円体38で構成したことを特徴とする。
攪拌羽根は交差する平面に含まれる2個の傾斜楕円体で構成することが好ましい。なお、1個の傾斜楕円体だけで攪拌羽根を構成することも可能である。また、3個以上の傾斜楕円体を設ける場合も考えられる。
第3発明であれば、攪拌羽根を傾斜楕円体で構成したことによって原材料を上下方向に良好に攪拌することができる。
【0016】
第4発明は、第1発明から第3発明のいずれか一つに記載の発明において、前記攪拌羽根7は前記処理槽4の内周壁4aに対応する外側端面13を有していることを特徴とする。
第4発明であれば、処理槽の内周壁近くに存在する原材料を効率よく攪拌することができる。
【0017】
第5発明は、第1発明において、前記攪拌羽根7は前記処理槽4の内周壁4aに対応して下方に延びる跳上げ翼部51を備えており、前記跳上げ翼部51は回転したときに内周壁4a周辺の原材料を前記処理槽4の中央部域に向けて跳ね上げるように傾斜角度θを持って構成してあることを特徴とする。
前記跳上げ翼部は少なくとも一つ設けられるが、攪拌用回転軸に2個〜6個ぐらい取付けることも可能である。
第5発明であれば、跳上げ翼部の存在によって内周壁近くに存在する原材料を前記処理槽の中央部域に向けて跳ね上げて原材料の攪拌を向上させることができる。
【0018】
第6発明は、第5発明において、前記跳上げ翼部51の先端部57を前記処理槽4の内周壁4aに当接させたことを特徴とする。
前記先端部はテフロン(登録商標)で製造することが好ましい。処理槽の内周壁に当接しても内周壁を痛めることなく円滑に当接することができるからである。
第6発明であれば、跳上げ翼部の先端部を処理槽の内周壁に当接させることによって内周壁近くに存在する原材料を削るように跳ね上げて原材料の攪拌を向上させることができる。
【0019】
第7発明は、第5発明から第6発明のいずれか一つに記載の発明において、前記跳上げ翼部51を下方に延びる基材52と、その基材52に対して径方向にその位置を調整移動可能な当接部材53で構成したことを特徴とする。
第7発明であれば、当接部材を処理槽の内周壁に当接させる場合に当接部材が処理槽の径方向に移動できるので、当接圧力の調整を簡単に行うことができる。
【0020】
第8発明は、第1発明から第7発明のいずれか一つに記載の発明において、前記処理槽4の内周壁4aに水平な回転軸54を有するチョッパ55を設け、そのチョッパ羽根56を避けるように前記内周壁4a近くを回転する攪拌羽根7の形状を形成したことを特徴とする。
【0021】
「チョッパ羽根を避けるように前記内周壁近くを回転する攪拌羽根の形状を形成する」形態としてはチョッパ羽根と干渉する攪拌羽根の部分をなくしたり、間隔をおいたりする方法がある。チョッパ羽根と干渉する部分を避けるために、攪拌羽根の所定部分を内側に湾曲した構造とすることもできる。これらの形態は、螺旋形羽根、傾斜楕円体、又は跳上げ翼部を有したいずれの攪拌羽根でも採用できる。
第8発明であれば、垂直方向に回転軸を有するチョッパと水平方向に回転軸を有するチョッパによって原材料は強力に切断され、攪拌又は造粒の性能を高めることができる。
【0022】
第9発明は、第8発明において、前記水平な回転軸54を有するチョッパ55を処理槽4から着脱自在に構成したことを特徴とする。
第9発明であれば、原材料、使用する用途又は製造しようとする粉体物によって水平な回転軸を有するチョッパを使用するか否かを選択することができ、攪拌又は造粒の融通性、多様性を確保することができる。
【0023】
第10発明は、第1発明から第9発明のいずれか一つに記載の発明において、前記処理槽4を本体槽3と上蓋2で構成し、前記攪拌用回転軸9を前記上蓋2に貫通して、前記本体槽3内に突入させるように構成し、前記上蓋2と前記攪拌用回転軸9を前記本体槽3に対して相対的に上下に移動させる昇降装置27を設けたことを特徴とする。
【0024】
相対的に上下に移動させる場合は、本体槽側を固定し、上蓋と攪拌用回転軸側を移動させることが好ましい。
第10発明であれば、清掃時やメンテナンス時に昇降装置を駆動させて、攪拌羽根を本体槽から上方に退避させることができるので、処理槽の内側、攪拌羽根、チョッパの各部材において、清掃やメンテナンスが行いやすい。
【0025】
第11発明は、第1発明から第10発明のいずれか一つに記載の発明において、前記攪拌用回転軸9内に設けられ、製造時に供給する液体を圧送する送液通路15と、前記攪拌用回転軸9と一緒に回転し、前記送液通路15からの液体を放出するノズル16とを設けたことを特徴とする。
ノズルは攪拌羽根用回転軸の中心から外にずれた位置に取付けられることが好ましい。その場合、攪拌羽根をその回転軸に取付ける支材にノズルを設けることが好ましい。
【0026】
第11発明であれば、ノズルは回転軸と一緒に回転しながら、チョッパ羽根と攪拌羽根によって激しく運動している原材料の内側から液体を放出するので、材料との分散性、混合性を高めることができる。
また、激しく運動している材料の内側から液体を放出することによって放出された液体が処理槽の内周壁に付着することを抑制又は防止することができ、処理槽内周壁を汚すことを低減して、清掃作業を簡単化できる。
【0027】
第12発明は、第11発明に記載の発明において、前記送液通路15と前記ノズル16の組を複数組設けたことを特徴とする。
第12発明であれば、送液通路とノズルの組を複数組設けたことによって、同じ造粒時間帯に造粒に必要な複数種類の液体を原材料に供給することができ、造粒処理の多様性を高めることができる。
【0028】
第13発明は、第1発明から第12発明のいずれか一つに記載の発明において、前記チョッパ用回転軸33と前記処理槽4の密閉構造として、凹部と凸部を有した同心形遊嵌部41の組み合わせを複数組設け、前記チョッパ用回転軸33の基台17側から空気を前記同心形遊嵌部41へ圧力をかけて送り込むように構成したことを特徴とする。
前記同心形遊嵌部は円形にすることが好ましく、さらにその同心形嵌合部は少なくとも2組形成されていることが好ましい。
第13発明であれば、簡単な構成でエアパッキン部を形成することができる。
【0029】
第14発明は、第1発明から第13発明のいずれか一つに記載の発明において、前記チョッパ羽根10,56は、その周囲に突起物36を有していることを特徴とする。
第14発明であれば、チョッパ羽根はその周囲に突起物を有しているので、チョッパ羽根が回転する際に、造粒される粒の表面が凹凸状になって、打錠時などのように粉体に圧力をかけて整形物にする場合に粉体同士の結合状態を改善して、整形物の欠け、ひび割れなどの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示す攪拌造粒装置の要部縦断面図、図2は本体槽を上蓋で閉じた状態を示す要部縦断面図、図3は本体槽から上蓋を上方に引き上げた状態の要部縦断面図、図4は図2のIV−IV線横断面図であり、螺旋形羽根とチョッパを上方から見た図である。
【0031】
この攪拌造粒装置1は、上蓋2と本体槽3から構成された処理槽4と、本体槽3の底部中央部に設けられたチョッパ5と、処理槽4内の上下方向の大部分をカバーして回転する螺旋形羽根6とを含んで構成してある。螺旋形羽根6は前記攪拌羽根7の一例である。処理槽4は全体が略円筒形に形成してある。
【0032】
チョッパ5は本体槽3の下部に設けられたチョッパ駆動モータ32のチョッパ用回転軸33を本体槽3内に向けて突出させ、そのチョッパ用回転軸9にチョッパ羽根10を取付けた構成になっている。本実施形態に示す構成では、チョッパ羽根10は水平方向に延び、先端が上向いた羽根板で構成してある。チョッパ羽根10は10,000rpmが可能な馬力の大きな駆動モータが使用される。また、10,000rpm程度を実現するために、機械的なパッキンではなく、エアパッキン部11が設けてある。このエアパッキン部11の構造については後述する。
【0033】
図1に示すように、螺旋形羽根6は上蓋2を上下方向に貫通する攪拌用回転軸9に一対の支材12・12によって固定してある。螺旋形羽根6は処理槽4の上下方向に剛性の高い細長い平板を螺旋形の帯状に配設して構成してある。また、螺旋形羽根6の外側端面13を処理槽4の内周壁4aに0.5mm〜6mmに近接させてある。螺旋形羽根6の下端6aはチョッパ羽根10の配設位置よりも下になるように底壁に向かって延びており、螺旋形羽根6の上端6bは上蓋2と本体槽3の接合面42よりも上になるように上蓋2の上内壁に向かって延びている。
【0034】
図4に示すように、前記外側端面13は上方から見ると処理槽4の内周壁4aの円と近接した同心円形になっており、対応した形状になっている。螺旋形羽根6の内側端面14も上方から見ると内周壁4aの円と同心円形になっており、その同心円内にチョッパ5が設けられた構成にしてある。上方から見ると、チョッパ羽根10は螺旋形羽根6の円形の内側端面14に干渉せず、かつ近接するようにチョッパ羽根10の先端が延びている状態である。
【0035】
図1に示すように、攪拌用回転軸9と支材12には、送液通路15が形成してあり、支材12に設けられたノズル16によって、造粒中の材料に油などの所定の液体を放出できるように構成してある。図1に示す構成では、2個の支材12・12のうち、下側の支材12の下部に一対のノズル16・16が取付けた例が示してある。下側の支材12の位置は、高速で回転するチョッパ羽根10にも近く、重力によって落下しつつある原材料が螺旋形羽根6によって上方に攪拌される空間なので、ノズル16・16から噴射された液体が材料中に均等に混合させやすい。
【0036】
次に、エアパッキン部11について説明する。
図5はチョッパ周辺の拡大縦断面図である。
本体槽3の下側には基台17が設けられ、その基台17中にチョッパ駆動モータのチョッパ用回転軸33が軸受18によって軸支されている。チョッパ用回転軸33の収容空間19には外部から加圧された空気を導入する空気通路20が連通してある。
【0037】
基台17の上部壁21にはチョッパ用回転軸33が貫通する挿通孔22が設けてある。上部壁21の上面は本体槽3の底壁として使用され、挿通孔22の周囲に円形凸部23が2組同心円状に形成してある。
【0038】
一方、チョッパ5はチョッパ用回転軸33に固定されるとともに、基部24と押え部材25によってチョッパ羽根10を挟み込んで固定する構成になっている。また、前記基部24の下壁には円形凹部26が2組同心円状に形成してあり、前記円形凸部23と遊嵌しつつ、チョッパ5の基部24は回転できるように構成してある。上記構成によって、空気通路20から収容空間19に入れられた圧力空気は、挿通孔22とチョッパ用回転軸33の隙間、円形凸部23と円形凹部26の隙間を経て、本体槽3内に吹き出すことになる。なお、円形凸部23と円形凹部26で前記同心形遊嵌部41を構成する。
【0039】
また、収容空間19内で空気通路20より下方のチョッパ用回転軸33には、チョッパ用回転軸33に接触しない形で、チョッパ用回転軸33よりも直径が0.25mm程度大きいよりもオイルシール(図示せず)が複数個設けられ、チョッパ駆動モータ側(下方側)に圧入空気が漏れないように構成してある。
なお、基部24側に円形凸部を設け、上部壁21側に円形凹部を設ける構成も採用できる。
【0040】
また、図2及び図3に示すように、本体槽3に付設して設けられた昇降装置27の可動部28には、上記上蓋2、攪拌用回転軸9及び螺旋形羽根6の他に攪拌羽根駆動モータ8、減速機29、ホッパー30などが設けられ、その可動部28を本体槽3に対して上下移動させることによって、図2に示す状態と図3に示す状態を取り得るように構成してある。
【0041】
上記構成の攪拌造粒装置の作用についてファンデーション製造工程を例にとって説明する。
まず、図3に示すように、上蓋2を本体槽3から離した状態で処理槽4の内部、チョッパ5、螺旋形羽根6などの清掃を行った後、図2に示すような造粒可能状態にする。
ホッパー30からのファンデーション材料として微粉砕されたタルク、色素、液体香料などの各材料を処理槽4内に投入する。そして、螺旋形羽根6をチョッパ羽根10よりも低速で回転させながら、チョッパ羽根10を螺旋形羽根6の回転方向とは逆方向に600rpm〜10,000rpmで回転させることにより、各材料の混合、分散、粉砕を行う。
【0042】
また、ファンデーション製造の終わりには、送液通路15(図1参照)を介して、ファンデーションを固めるための油脂分などをノズル16・16(図1参照)から噴射する。このように、一台でファンデーションの製造ができる。
なお、チョッパ羽根10の回転を10,000rpm程度まで上げてもエアパッキン部11によって処理槽4内の密閉状態が維持されているので、機械的なパッキンを用いた場合のように摩擦熱でパッキンが破損してしまうことがない。
【0043】
また、チョッパ羽根10の回転によって図5において符号35で示す下方に押し付ける空気流が発生して円形凸部23と円形凹部26の圧力が高まるととともに、空気通路20を経て導入された加圧空気が円形凸部23と円形凹部26の僅かな隙間を経て噴出するので、上記空気流35による圧力と隙間から噴出する加圧空気の流れに打ち勝って処理槽4内の粉体が収容空間19側へ漏れ出ることはなくなる。
【0044】
さらに本攪拌造粒装置であれば、下記のような効果がある。
螺旋形羽根6とチョッパ羽根5が近接して逆方向で回転するので、相対速度が大きくなり、従来の遠心式の攪拌造粒装置では十分に混合、分散しづらい材料の組み合わせであっても良好に混合、分散処理を行うことができる。
【0045】
また、螺旋形羽根6とチョッパ羽根10によって粉砕処理も行えるので、サブミクロンの造粒であっても良好な造粒を行うことができる。
螺旋形羽根6の低速回転とチョッパ羽根10の高速回転によって原材料の粉の投入から、混合、分散、粉砕等の各工程が処理槽4の中で連続的に行うことができる。したがって、製造工程が簡素化できコストを下げることができる。
【0046】
また、攪拌用回転軸9内に設けられた送液通路15から螺旋形羽根6の回転に連動するノズル16から液を噴射することができるので、激しく動く粉体の中で液が噴射されることになって均一性を高めることができる。さらに粉の中で液が噴射されるので、液が処理槽4の内周壁4aに付着しにくく、掃除が行いやすくなる。
【0047】
さらに本体槽3に対して、上蓋2と螺旋形羽根6が一体的に上方に移動することによって、本体槽3から螺旋形羽根6を退避させることができるので、螺旋形羽根6と処理槽4の内周壁4aを掃除しやすいとともに、チョッパ羽根10の掃除・メンテナンス等も行いやすくなる。
また、従来の上蓋に固定されたノズルから噴射する従来方式の処理槽に比べて、同じ容量の処理槽であれば、一回で処理できる原材料の量を大幅に増やすことができる。
【0048】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態は、医薬品や食品などの打錠顆粒として、8メッシュ〜150メッシュの顆粒を混合分散工程から造粒工程を経て製造する場合の例である。
図6(A)は打錠に適した粉体を製造するのに好適なチョッパ羽根を示す平面図、図6(B)はその模式的な側面図である。
【0049】
このチョッパ羽根10は、羽根10の全周囲に上下方向に互い違いに突起物36を形成したことを特徴としている。図6に示すチョッパ羽根10は、前記突起物36が略三角形の突片37となっており、鋸羽根となっているものが示してある。
【0050】
原材料として、ラクトアース60重量%、コンスターチ20重量%を主剤として、アビセル重量5%、試薬15重量%とバインダーHPCL(水溶液に溶剤したもの)を用意した。
上記原材料を本装置に投入して混合分散し、上記バインダーを1分〜2分間、ノズルによって粉体の中で噴霧した。粉体は湿潤粉体の塊となり、この塊を中心部下部にあるチョッパによって切断し、回転数を変化させて造粒・整粒を行う。600rpm〜2500rpm程度に回転数を遅くすると顆粒状になり、2000rpm〜5000rpm程度に回転数を速くすると細粒状になる。
この場合、チョッパ羽根が処理槽内で360゜左右対称位置となる回転の中心位置に配置されていることによって、バランスの取れたシャープな造粒が得られる。
【0051】
また、螺旋形羽根がチョッパに比べてゆっくりと回転するため、遠心造粒とは異なって上下に攪拌し、チョッパの回転数によって破砕造粒するため、造粒後の比重が遠心造粒装置に比べて小さくなる。具体的には遠心造粒装置の比重を1とすると、本造粒装置は0.6〜0.7程度の比重になり軽くなる。流動層造粒の比重が0.4〜0.5程度であることを考えると、本造粒装置によって製造される顆粒又は細粒は、打錠用粒子として最適の造粒ができることになる。
【0052】
また、図6に示すように、羽根の周囲に上下方向に互い違いに突起物を形成したチョッパ羽根を用いることによって、前記湿潤粉体の塊をチョッパ羽根で細かく切断していくときに、塊の表面が凹凸状になって、打錠時に粉体同士の結合を強固にすることができる。
【0053】
(第3実施形態)
図7、図8はそれぞれ本発明の第3実施形態を説明するための攪拌羽根の斜視図である。
図7は、攪拌羽根7を平行ではなく、交差する方向の平面(図示せず)に含まれる2個の傾斜楕円体38・38によって構成した例を示す図である。傾斜楕円体38・38の外側端面13・13は処理槽の内周面に対応した円形に形成されている。
上側の傾斜楕円体38と下側の傾斜楕円体38の間には隙間39が形成されているが、2つの傾斜楕円体38を接触させて構成してもよい。なお、傾斜楕円体38を粉体が上に乗りにくいように湾曲させてもよい。
【0054】
図8に示す攪拌羽根9は、攪拌羽根7が上下方向に複数に分割されている構成の一例を示す図である。攪拌羽根7は螺旋形やその他の立体的に傾斜した曲面であってもよい。この場合も、その外側端面13が処理槽の内周面に対応した円形に形成されていることは同じである。
【0055】
(第4実施形態)
図9は本発明の第4実施形態を説明するための攪拌造粒装置の説明図であり、処理槽の要部縦断面図である。
この攪拌造粒装置は、処理槽4に水平な回転軸54を有する第2チョッパ55を設け、そのチョッパ羽根56を避けるように内周壁4a近くを回転する攪拌羽根7の形状を形成してある。第2チョッパ55は本体槽3の内周壁4aに設けられ、第2チョッパ55が設けられた攪拌羽根7の位置はチョッパ羽根56が回転できるような空間が設けてある。
また、第2チョッパ55は処理槽4から着脱自在に構成してあり、適宜、必要な時に第2チョッパ55を取付けることができるように構成してある。
【0056】
(第5実施形態)
図10、図11はそれぞれ本発明の第5実施形態に係る攪拌造粒装置の説明図であり、図10は処理槽の模式的な要部縦断面図、図11は模式的な平面図である。
この攪拌造粒装置においては、攪拌羽根7は処理槽4の内周壁4aに対応して下方に略L字形に延びる跳上げ翼部51を備えている。
【0057】
攪拌用回転軸9には、径方向に延びる支材12が取付けられ、その支材12に一対の跳上げ翼部51が固定してある。跳上げ翼部51は、支材12の両端部から略L字形に延びる基材52と、当接部材53とで構成してある。当接部材53は、基材52に対して処理槽4の径方向にその位置を調整移動可能なように構成してある。
本実施形態に示す構成では、当接部材53に長孔58(図10参照)を設け、基材52に対する固定位置を長孔58と固定具60によって調整することによって当接部材53の突出量を変化できるように構成してある。
【0058】
当接部材53の先端部57はテフロン(登録商標)で構成してあり、処理槽4の内周面4aに当接するように配置される。
また、図11に示すように、跳上げ翼部51が回転したときに内周壁4a周辺の原材料を矢印59・59に示すように処理槽4の中央部域に向けて跳ね上げるように、当接部材53の先端部57は、内周壁4aに対して傾斜角度θを持って構成してある。
攪拌用回転軸9の下端位置には所定の液を噴出するノズル16が設けてある。
【0059】
本実施形態の構成であれば、図11に示すように、跳上げ翼部51の先端部57は回転方向61に先行するように傾斜角度θを持つように構成してあるので、内周壁4a近くの原材料は矢印59・59に示すように処理槽4の中央部域側に跳ね上げられるように移動する。このような構成であれば、処理槽4の周辺部と中央部の原材料の移動が促進されるので、攪拌又は造粒の能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は本発明の第1実施形態を示す攪拌造粒装置の要部縦断面図である。
【図2】図2は本体槽を上蓋で閉じた状態を示す要部縦断面図である。
【図3】図3は本体槽から上蓋を上方に引き上げた状態の要部縦断面図である。
【図4】図4は図2のIV−IV線横断面図であり、螺旋形羽根とチョッパを上方から見た図 である。
【図5】図5はチョッパ周辺の拡大縦断面図である。
【図6】図6(A)は打錠に適した粉体を製造するために使用されるチョッパ羽根を示す平面図、図6(B)はその模式的な側面図である。
【図7】図7は本発明の第3実施形態を説明するための攪拌羽根の斜視図である。
【図8】図8は本発明の第3実施形態を説明するための攪拌羽根の斜視図である。
【図9】図9は第4実施形態を説明するための攪拌造粒装置の説明図であり、処理槽の要部縦断面図である。
【図10】図10は第5実施形態を説明するための処理槽の模式的な要部縦断面図である。
【図11】図11は第5実施形態を説明するための処理槽の模式的な平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1…攪拌造粒装置、2…上蓋、3…本体槽、4…処理槽、4a…内周壁、6…螺旋形羽根、7…攪拌羽根、9…攪拌用回転軸、10…チョッパ羽根、13…外側端面、15…送液通路、16…ノズル、17…基台、27…昇降装置、33…チョッパ用回転軸、36…突起物、38…傾斜楕円体、41…同心形遊嵌部、51…跳上げ翼部、52…基材、53…当接部材、54…水平な回転軸、55…第2チョッパ、56…チョッパ羽根、57…先端部、θ…傾斜角度。
【出願人】 【識別番号】506172230
【氏名又は名称】アキラ機工株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100099092
【弁理士】
【氏名又は名称】野間 明


【公開番号】 特開2008−12449(P2008−12449A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186948(P2006−186948)