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特定ガス溶解水の製造方法、製造装置及び特定ガス溶解水の循環方法 - 特開2008−6332 | j-tokkyo
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【発明の名称】 特定ガス溶解水の製造方法、製造装置及び特定ガス溶解水の循環方法
【発明者】 【氏名】床嶋 裕人

【氏名】森田 博志

【要約】 【課題】特定ガス溶解水から脱気処理により特定ガスを分離回収し、回収した特定ガス及び脱気処理水を有効に利用することができる特定ガス溶解水の製造方法、製造装置及び循環方法を提供する。

【構成】特定ガス溶解水を脱気処理して、脱気処理水と排出ガスとに分離し、排出ガスから特定ガスを回収し、回収した特定ガスを脱気処理水に溶解して、特定ガス溶解水を得る特定ガス溶解水の製造方法、特定ガス溶解水を脱気処理水と排出ガスとに分離する脱気処理装置、排出ガスから特定ガスを回収する特定ガス回収装置、回収した特定ガスを脱気処理水に溶解して特定ガス溶解水を得る特定ガス溶解装置を有する特定ガス溶解水の製造装置、及び、ユースポイントから特定ガス溶解水を貯留槽に返送する際に、脱気処理水と排出ガスとに分離して特定ガスを回収し、回収した特定ガスを脱気処理水に溶解して、特定ガス溶解水を得る特定ガス溶解水の循環方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定ガスを溶解した特定ガス溶解水を脱気処理して、脱気処理水と特定ガス及び他のガスからなる排出ガスとに分離し、該排出ガスから特定ガスを回収し、回収した特定ガスを前記脱気処理水に溶解して、特定ガス溶解水を得ることを特徴とする特定ガス溶解水の製造方法。
【請求項2】
特定ガスを溶解した特定ガス溶解水が、未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水である請求項1記載の特定ガス溶解水の製造方法。
【請求項3】
回収した特定ガスを脱気処理水に溶解する際に、所定量の特定ガスを補給する請求項1又は請求項2記載の特定ガス溶解水の製造方法。
【請求項4】
特定ガス溶解水または脱気処理水に、水を補給する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の特定ガス溶解水の製造方法。
【請求項5】
特定ガスが、水素ガスである請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の特定ガス溶解水の製造方法。
【請求項6】
特定ガスを溶解した特定ガス溶解水を脱気して脱気処理水と排出ガスとに分離する脱気処理装置、該排出ガスから特定ガスを回収する特定ガス回収装置、回収した特定ガスを前記脱気処理水に溶解して特定ガス溶解水を得る特定ガス溶解装置を有することを特徴とする特定ガス溶解水の製造装置。
【請求項7】
特定ガスを溶解した特定ガス溶解水が、未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水である請求項6記載の特定ガス溶解水の製造装置。
【請求項8】
特定ガス溶解装置が、特定ガスを補給する特定ガス補給配管を有する請求項6又は請求項7記載の特定ガス溶解水の製造装置。
【請求項9】
特定ガス溶解水または脱気処理水に、水を補給する水補給配管を有する請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の特定ガス溶解水の製造装置。
【請求項10】
特定ガスが、水素ガスである請求項6ないし請求項9記載の特定ガス溶解水の製造装置。
【請求項11】
貯留槽の水を特定ガス溶解装置に送り、特定ガス溶解装置で特定ガスを溶解して特定ガス溶解水としてユースポイントに送り、ユースポイントで使用されなかった未使用の特定ガス溶解水及び/又はユースポイントで使用された使用済みの特定ガス溶解水を貯留槽に返送する際に、ユースポイントから貯留槽を経て特定ガス溶解装置までの間で特定ガス溶解水を脱気処理して、脱気処理水と排出ガスとに分離し、排出ガスから特定ガスを回収し、回収した特定ガスを特定ガス溶解装置で前記脱気処理水に溶解して、特定ガス溶解水を得ることを特徴とする特定ガス溶解水の循環方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、特定ガス溶解水の製造方法、製造装置及び特定ガス溶解水の循環方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、電子材料などのウェット洗浄工程で使用される特定ガスを溶解して洗浄効果を高めた、いわゆる特定ガス溶解機能性洗浄水について、未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水から脱気処理により特定ガスを分離回収し、回収した特定ガス及び脱気処理水を特定ガス溶解水の製造に有効に利用することができる特定ガス溶解水の製造方法、製造装置及び特定ガス溶解水の循環方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、電子部品となる基板の洗浄は、RCA洗浄と呼ばれるウェット洗浄が主流であった。RCA洗浄は、硫酸と過酸化水素水の混合液(SPM)を120〜150℃に加熱して用いたり、アンモニアと過酸化水素水の混合液(APM)を60〜80℃に加温して用いたり、あるいは、塩酸と過酸化水素水の混合液(HPM)を60〜80℃に加温して用いたりする洗浄方法である。この洗浄方法を採用した場合の高濃度の薬液や洗浄剤の多大なコスト、それを濯ぐおびただしい量の純水、超純水のコスト、薬品蒸気を排気し、新たに清浄な空気を調製する空調コストなどを低減し、さらに水の大量使用、薬品の大量廃棄、排ガスの放出などの環境への負荷を低減するために、さまざまな簡略化の取り組みがなされ、成果を挙げてきた。その代表例が、水素ガスなどの特定ガスを溶解した洗浄水による超音波洗浄技術である。
【0003】
従来の特定ガス溶解水を供給するシステムは、溶存ガス濃度を維持するために一過式で供給することがほとんどで、ユースポイントで特定ガス溶解水を使用していなくても、一定量を通水してブローさせておかなければならず、水使用量削減の観点から更なる節水の要求が多くあった。
【0004】
このようなニーズに対して、本発明者らは、電子材料などのウェット洗浄工程で使用される特定ガスを溶解して洗浄効果を高めたガス溶解水供給装置において、洗浄機で使用されなかったガス溶解水を水槽へ戻し、ガス溶解水に溶存する特定ガスの濃度を一定値以上に維持し、かつ、ガス溶解水を貯留する水槽の上部空間の特定ガスの濃度を低く保つことができる循環式ガス溶解水供給装置として、特定ガス溶解水を製造する溶解装置A、特定ガス溶解水を貯留する水槽B、溶解装置Aと水槽Bをつなぐ接続配管C、水槽Bの貯留水を洗浄機に送り出すポンプD、水槽BよりポンプDと洗浄機への分岐点を経て水槽Bに戻る循環配管E、水槽Bの上部空間にガスを供給するガス配管Fを有するガス溶解水供給装置であって、接続配管Cの下端と循環配管Eの下端が水槽B内の水面下に没している循環式ガス溶解水供給装置を提案した(特許文献1)。この装置を用いれば、一定濃度以上のガス溶解水を循環供給することが可能となり、節水に寄与するのみならず、特定ガスが水素ガスの場合、水槽の気相の水素ガス濃度を低く抑えることができ、安全に連続運転することができる。この装置の有用性が認知され、節水型ガス溶解水製造装置として広く普及してきた。しかし、この装置は特定ガスの濃度制御に対する自由度が低く、より高濃度を得ようとすれば排水量を多くする必要があることが問題であった。また、更なる節水のために、洗浄排水を循環利用することが求められてきた。
【0005】
本発明者らは、さらに、真空ポンプなどの減圧機構を使用することなく、安全に所望のガス濃度のガス溶解洗浄水を製造することができ、使用済みのガス溶解洗浄水の水と特定ガスを再利用することができ、半導体用のシリコンウェハ、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板などの高度な清浄度を必要とする電子部品などの洗浄に好適に使用することができるガス溶解洗浄水の製造方法について研究を重ね、原水に特定ガスを大気圧を超える加圧下に溶解させて、原水に含まれていた特定ガス以外のガスが共存する過飽和溶解水を調製し、次いでガス溶解水を減圧して過飽和分を除去することにより、特定ガスの濃度が高く、かつ過飽和でないガス溶解洗浄水を真空ポンプなどの減圧機構を用いることなく製造し得ることを見いだした。しかし、この方法では、特定ガスの使用量が多くなるという問題があった。
【0006】
いずれのシステムであっても、特定ガスを高濃度化するためには、水中から溶存ガス成分を脱気処理で除去し、再度、特定ガスを溶解することが有効である。特に、洗浄効果の高い水素ガス溶解水の場合、脱気するには真空ポンプなどの減圧機構を経由して相当量の水素ガスを排出する必要があり、安全確保上でも経済的にも問題となっていた。
【特許文献1】特開2005−262031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電子材料などのウェット洗浄工程で使用される特定ガスを溶解して洗浄効果を高めた、いわゆる特定ガス溶解機能性洗浄水について、未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水から脱気処理により特定ガスを分離回収し、回収した特定ガス及び脱気処理水を特定ガス溶解水の製造に有効に利用することができる特定ガス溶解水の製造方法、製造装置及び特定ガス溶解水の循環方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定ガス溶解水をガス透過膜を備えたモジュールに導入し、その気室を減圧機構を用いて減圧することにより脱気し、水中から引き抜かれた排出ガスを特定ガス回収装置に導入し、排出ガスより分離回収した特定ガスを再びガス溶解部から脱気処理水に溶解させ、さらに大気中に揮散した特定ガスなどの不足分の特定ガスを補給して溶解させることにより、高濃度の特定ガス溶解水を安全かつ経済的に製造し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)特定ガスを溶解した特定ガス溶解水を脱気処理して、脱気処理水と特定ガス及び他のガスからなる排出ガスとに分離し、該排出ガスから特定ガスを回収し、回収した特定ガスを前記脱気処理水に溶解して、特定ガス溶解水を得ることを特徴とする特定ガス溶解水の製造方法、
(2)特定ガスを溶解した特定ガス溶解水が、未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水である(1)記載の特定ガス溶解水の製造方法、
(3)回収した特定ガスを脱気処理水に溶解する際に、所定量の特定ガスを補給する(1)又は(2)記載の特定ガス溶解水の製造方法、
(4)特定ガス溶解水または脱気処理水に、水を補給する(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の特定ガス溶解水の製造方法、
(5)特定ガスが、水素ガスである(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の特定ガス溶解水の製造方法、
(6)特定ガスを溶解した特定ガス溶解水を脱気して脱気処理水と排出ガスとに分離する脱気処理装置、該排出ガスから特定ガスを回収する特定ガス回収装置、回収した特定ガスを前記脱気処理水に溶解して特定ガス溶解水を得る特定ガス溶解装置を有することを特徴とする特定ガス溶解水の製造装置、
(7)特定ガスを溶解した特定ガス溶解水が、未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水である(6)記載の特定ガス溶解水の製造装置、
(8)特定ガス溶解装置が、特定ガスを補給する特定ガス補給配管を有する(6)又は(7)記載の特定ガス溶解水の製造装置、
(9)特定ガス溶解水または脱気処理水に、水を補給する水補給配管を有する(6)ないし(8)のいずれか1項に記載の特定ガス溶解水の製造装置、
(10)特定ガスが、水素ガスである(6)ないし(9)記載の特定ガス溶解水の製造装置、及び、
(11)貯留槽の水を特定ガス溶解装置に送り、特定ガス溶解装置で特定ガスを溶解して特定ガス溶解水としてユースポイントに送り、ユースポイントで使用されなかった未使用の特定ガス溶解水及び/又はユースポイントで使用された使用済みの特定ガス溶解水を貯留槽に返送する際に、ユースポイントから貯留槽を経て特定ガス溶解装置までの間で特定ガス溶解水を脱気処理して、脱気処理水と排出ガスとに分離し、排出ガスから特定ガスを回収し、回収した特定ガスを特定ガス溶解装置で前記脱気処理水に溶解して、特定ガス溶解水を得ることを特徴とする特定ガス溶解水の循環方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の特定ガス溶解水の製造方法、製造装置及び特定ガス溶解水の循環方法を用いることにより、未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水から脱気処理により特定ガスを分離回収し、回収した特定ガス及び脱気処理水を特定ガス溶解水の製造に有効に利用することが可能となる。本発明によれば、特定ガス溶解水に特定ガス以外のガスが溶解するような循環系において、特定ガス溶解水からすべての溶存ガスを脱気し、脱気により得られる排出ガスから特定ガスのみを分離回収し、脱気処理水に再び溶解させることができる。
そして、本発明では、特定ガス溶解水から特定ガスとともに溶解している他のガスも脱気して同時に除去するから、特定ガスを所望濃度に溶解することができる。他のガスが溶解している水に特定ガスを溶解させようとしても、他のガスの溶解量が特定ガスの溶解を制限し、特定ガスを所望濃度に溶解させることを困難にするが、本発明ではそのようなことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の特定ガス溶解水の製造方法は、特定ガスを溶解した特定ガス溶解水を脱気処理して、脱気処理水と特定ガス及び他のガスからなる排出ガスとに分離し、該排出ガスから特定ガスを回収し、回収した特定ガスを前記脱気処理水に溶解して、特定ガス溶解水を得る方法である。
【0012】
本発明方法においては、特定ガスを溶解した特定ガス溶解水として、ユースポイントにおいて使用されなかった未使用の特定ガス溶解水及び/又はユースポイントにおいて洗浄などに使用された使用済みの特定ガス溶解水を用いることができる。未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水を循環して使用することにより、特定ガス溶解水中に含まれる特定ガス及び特定ガス溶解水を構成する水を、無駄なく繰り返して利用することができる。使用済みの特定ガス溶解水の汚染が激しい場合は、循環使用することなく排棄することもできる。
未使用の特定ガス溶解水及び/又は使用済みの特定ガス溶解水は、特定ガスを溶解しているほか、貯留槽でパージガス、例えば窒素ガスと接して、ユースポイントにおける洗浄機で大気と接して、特定ガス以外の他のガスをも溶解している。本発明方法においては、このような特定ガスと他のガスとが溶存している特定ガス溶解水を脱気処理し、脱気処理水と特定ガスとを回収し、回収した脱気処理水と回収した特定ガスとを用いて特定ガス溶解水を再生することができる。
【0013】
本発明方法においては、回収した特定ガスを脱気処理水に溶解する際に、所定量の特定ガスを補給することが好ましい。調製した特定ガス溶解水を循環使用すると、ユースポイントにおいて、特定ガス溶解水から特定ガスが大気中に揮散し、貯留槽において、特定ガス溶解水から特定ガスが貯留槽内の気相に移行して失われる。回収した特定ガスを脱気処理水に溶解する際に、所定量の特定ガスを補給することにより、特定ガスの不足分を補って一定濃度の特定ガス溶解水を調製することができる。
【0014】
本発明方法においては、回収した特定ガス溶解水に、または脱気処理水に、水を補給することが好ましい。本発明方法において、特定ガス溶解水を循環して使用するときに、洗浄機などのユースポイントにおいて被洗物から洗浄された微粒子を除去するために微粒子除去装置を用いると、微粒子とともに水の一部を濃縮水として系外に排出する。このために、系外に排出される水量に相当する水を補給することにより、安定した状態で特定ガス溶解水を循環して使用することができる。本発明方法において、水の補給箇所に特に制限はなく、例えば、貯留槽において補給することができ、あるいは、微粒子除去装置の二次側の配管において補給することもでき、さらに、脱気処理の脱気水に補給することができる。補給する水は通常、超純水を用いるが、脱気水に補給するときは脱気した超純水を用いるのが望ましい。
【0015】
本発明方法に用いる特定ガスに特に制限はなく、例えば、水素ガス、窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、希ガス、又は、これらの混合ガスなどを挙げることができる。本発明方法は、これらの中で、水素ガスに特に好適に適用することができる。水素ガス溶解水は、電子部品などに付着した微粒子の除去に優れた効果を発揮する。また、水素ガスを含有する混合ガスから水素ガスを分離する優れた分離膜が開発されている。
【0016】
本発明の特定ガス溶解水の製造装置は、特定ガスを溶解した特定ガス溶解水を脱気して脱気処理水と排出ガスとに分離する脱気処理装置、該排出ガスから特定ガスを回収する特定ガス回収装置、回収した特定ガスを前記脱気処理水に溶解して特定ガス溶解水を得る特定ガス溶解装置を有する。
【0017】
本発明装置においては、特定ガスを溶解した特定ガス溶解水が、ユースポイントにおいて使用されなかった未使用の特定ガス溶解水及び/又はユースポイントにおいて洗浄などに使用された使用済みの特定ガス溶解水であることが好ましい。本発明装置においては、特定ガス溶解装置が、特定ガスを補給する特定ガス補給配管を有することが好ましい。本発明装置においては、回収した特定ガス溶解水または脱気処理水に、水を補給する水補給配管を有することが好ましい。水補給配管の設置箇所に特に制限はなく、例えば、貯留槽、微粒子除去装置の二次側の配管、脱気処理装置の二次側の脱気処理水配管などを挙げることができる。
【0018】
本発明装置に適用する特定ガスに特に制限はなく、例えば、水素ガス、窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、希ガス、又は、これらの混合ガスなどを挙げることができる。本発明装置は、これらの中で、水素ガスに特に好適に適用することができる。水素ガス溶解水は、電子部品などに付着した微粒子の除去に優れた効果を発揮する。また、水素ガスを含有する混合ガスから水素ガスを分離する優れた分離膜が開発されている。
【0019】
図1は、本発明の特定ガス溶解水の製造装置の一態様の工程系統図である。
図に示す態様の装置において、符号1は貯留槽、3は圧送ポンプ、7は脱気処理装置、11は特定ガス溶解装置、14は洗浄機である。貯留槽1の水は、圧送ポンプ3、各種機器、配管を介して脱気処理装置7、特定ガス溶解装置11を経て、特定ガス溶解水としてユースポイントの洗浄機14に送られ、ユースポイントで使用された使用済みの特定ガス溶解水、ユースポイントで使用されなかった未使用の特定ガス溶解水はそれぞれ貯留槽1に返送されるように、貯留槽と、特定ガス溶解装置と、ユースポイントとの間で循環系が形成されている。本態様の装置は、特定ガス溶解水を脱気処理水と排出ガスとに分離する2基の脱気処理装置7と16、及び、該排出ガスから特定ガスを回収する2基の特定ガス回収装置9と18を有する。
【0020】
図1に示す態様の装置において、特定ガスを溶解した特定ガス溶解水は、貯留槽1に貯留される。貯留槽には、特定ガス溶解水の循環系から、ユースポイントにおいて使用されなかった未使用の特定ガス溶解水と、ユースポイント(洗浄機14)において使用された使用済みの特定ガス溶解水が返送されるとともに、微粒子除去装置において濃縮水として排出する水量に相当する超純水が水補給配管30より供給される。特定ガスが水素ガスなどの可燃性ガスである場合は、貯留槽内の水面上の気相は、窒素ガスなどの不活性ガスにより置換される。貯留槽には、水面上の気相を陽圧に保つための圧力調整器2が設けられている。
【0021】
貯留槽内の特定ガス溶解水は、圧送ポンプ3により送り出され、熱交換器4を通過することにより温度調節される。水を循環する場合、圧送ポンプの発熱により水温が上昇することがあるので、熱交換器4で、25℃程度の常温に調節することが望ましい。また、特定ガス溶解水の温度が高いと洗浄効果が向上する場合は、熱交換器4で所望温度に加温することもできる。
【0022】
熱交換器4により温度調節された特定ガス溶解水は、微粒子除去装置5に導かれる。ユースポイントにおいて被洗物に付着した微粒子を除去するための洗浄に使用された使用済みの特定ガス溶解水には、異物としての微粒子が含まれる。また、圧送ポンプ3の発塵による微粒子が含まれる可能性もある。圧送ポンプの二次側に微粒子除去装置5を設けることにより、被洗物に由来する微粒子とともに、圧送ポンプにおいて発生した微粒子も除去することができる。被洗物を洗浄する目的が微粒子除去のみである場合は、使用済みの特定ガス溶解水に含まれる実質的に問題となる異物は微粒子なので、これ以上の純化機構は必要ではない。微粒子除去装置に用いるろ材に特に制限はないが、微粒子除去の精度、清浄度、扱いやすさなどに優れる限外ろ過膜(UF)、精密ろ過膜(MF)などを好適に用いることができる。微粒子除去装置においては、分離された微粒子を一部の水とともに濃縮水として排出することができる。排出した濃縮水の量に相当する清浄な水又は特定ガス溶解水を、循環系に補給することが好ましい。
【0023】
微粒子除去装置を通過した特定ガス溶解水は、流量計6において流量を計測したのち、脱気処理装置7に送られ、脱気により脱気処理水と排出ガスとに分離される。脱気処理装置に送られる特定ガス溶解水は、特定ガス以外に、ユースポイントにおいて大気中から溶解した酸素ガス、窒素ガス、貯留槽において溶解した不活性ガスなどを含み、飽和度1の状態となっている。飽和度1の状態とは、一定温度、一定圧力でガス雰囲気と接し、雰囲気を構成するガスが平衡して水に溶解している状態である。例えば、25℃で空気と接している水には、酸素ガス8.1mg/Lと窒素ガス13.8mg/Lが溶解して飽和度1の状態となっている。水を完全に脱気して飽和度0としたのち、窒素ガス雰囲気、酸素ガス雰囲気又は水素ガス雰囲気と接触させて平衡状態に達せしめると、それぞれ窒素ガス17.6mg/L、酸素ガス40.4mg/L又は水素ガス1.6mg/Lが溶解して、飽和度1の状態となる。
【0024】
図1に示す態様においては、微粒子が除去された特定ガス溶解水が、脱気処理装置7に送られる。本発明に用いる脱気処理装置に特に制限はないが、ガス透過膜により水室と気室に分離された膜脱気装置を好適に用いることができる。脱気処理装置においては、減圧機構8により気室が減圧され、特定ガス溶解水に溶解している特定ガス及び他のガスを含む排出ガスが水室から気室に移行し、排出ガスと脱気処理水に分離される。脱気処理装置7において得られる脱気処理水の飽和度は、飽和度0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。脱気処理水の飽和度を小さくすることにより、特定ガス溶解装置において特定ガスを効率的に溶解することができる。
【0025】
本発明において、脱気処理装置の気室を減圧する減圧機構8に特に制限はなく、例えば、往復式ポンプ、液封式ポンプ、油回転式ポンプなどの機械的ポンプ、水流アスピレーター、気流アスピレーターなどの噴射ポンプなどを挙げることができる。これらの中で、噴射ポンプは、可動部がなく、保守が容易であり、特定ガスが水素ガスなどの可燃性ガスである場合には、静電スパークによる引火のおそれがないので、好適に用いることができる。噴射ポンプの駆動流体は、液体又は気体のいずれをも用いることができる。噴射ポンプの駆動流体が液体の場合は、アスピレーターの後段に気液分離槽を設けることにより、脱気された排出ガスを吸引した駆動流体が、気液分離槽で駆動流体と脱気された排出ガスとに分離される。噴射ポンプの駆動流体が気体の場合は、駆動流体の流量を調節することにより、排出ガス中の特定ガスの濃度を制御することができる。
【0026】
本発明において、脱気処理装置7において分離された特定ガス及び他のガスを含む排出ガスは、さらに特定ガス回収装置9において特定ガスと他のガスに分離され、特定ガスが回収される。特定ガスと他のガスを分離する方法に特に制限はなく、例えば、圧力スイング吸着法(PSA、Pressure Swing Adsorption)、圧力温度スイング吸着法(PTSA、Pressure and Temperature Swing Adsorption)などの吸着式ガス分離法、膜式ガス分離法などを挙げることができる。吸着式ガス分離法においては、分子篩の作用などにより特定ガスを選択的に吸着する吸着剤を充填した吸着塔に排出ガスを導入し、特定ガスのみを吸着させ、その後吸着剤から特定ガスを脱着させることにより特定ガスを他のガスカら分離する。ガスの吸着、脱着は、圧力、温度などを変化させて行わせることができる。膜式ガス分離法においては、特定ガスを選択的に透過させるガス透過膜を有する膜分離装置の一方の室に排出ガスを供給し、特定ガスのみをガス透過膜を介して他方の室に選択的に透過させる。
【0027】
特定ガスが水素ガスである場合、膜式ガス分離法を好適に用いることができる。図1に示す態様においては、特定ガスと他のガスを分離する装置として、ガス分離膜を備えた特定ガス回収装置9が用いられている。水素ガスの分離に用いるガス分離膜としては、例えば、ポリイミド、ポリスルホンなどの高分子膜、パラジウム、バナジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニッケル、白金、ルテニウム、ニオブ、タンタル、マグネシウム、カルシウム、ランタン、又は、それらの合金からなる金属膜などを挙げることができる。
【0028】
特定ガス回収装置9において、特定ガスが分離回収された残余のガスは、排気として排出される。特定ガスが水素ガスである場合、分離後の排出ガスを安全に排気するために、排出ガス中の水素ガス濃度が4体積%以下であることが好ましい。減圧機構としてアスピレーターを用いる場合は、駆動流体の流量を調整して排出ガス中の水素ガスの濃度を4体積%以下とすることが好ましい。駆動流体として、窒素ガスなどの酸素ガスを含まないガスを用いることにより、安全性を一層向上することができる。
【0029】
特定ガス回収装置9において回収された特定ガスは、流量計10において流量が計測されたのち、特定ガス溶解装置11において、脱気処理水に溶解されて特定ガス溶解水が調製される。特定ガス溶解装置として、ガス透過性の膜を内蔵したモジュールを好適に用いることができる。該モジュールの気室に、脱気処理水の流量に応じて、特定ガスを所定量導入し溶解させることができる。未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水から特定ガスが分離回収されている場合、その特定ガスも特定ガス溶解装置11に供給することができる。特定ガス溶解水に溶解している特定ガスは、ユースポイント(洗浄機14)や貯留槽内で気相に揮散するために、分離回収した量だけでは特定ガスが不足する。また、補給水が特定ガス溶解水でない場合には、溶解させる特定ガス量を補給水の分量に応じて補う必要がある。
【0030】
図1に示す態様においては、特定ガス溶解装置11に、流量調節弁12と流量計13を備えた特定ガス補給配管31を経由して、必要量の特定ガスが補給される。特定ガスの補給量は、流量計6で計測される循環する特定ガス溶解水の量と、流量計10と19で計測される分離回収された特定ガスの量とから算出することができる。
【0031】
特定ガス溶解装置11において、所定の特定ガス濃度に調製された特定ガス溶解水は、特定ガス溶解水配管32を経由して、洗浄機14が設けられたユースポイントに送られる。特定ガス溶解水配管32には、ユースポイントにおける水圧を一定に保つために、背圧調整弁などの圧力調整機構15が設けられる。ユースポイントにおいて使用されなかった未使用の特定ガス溶解水と、ユースポイントにおいて被洗物の洗浄に使用された使用済みの特定ガス溶解水は、直接貯留槽1に返送してもよいが、この実施態様ではガス透過膜により気室と水室に分離された脱気処理装置16に送られる。脱気処理装置16においては、減圧機構17により気室が減圧され、特定ガス溶解水に溶解している特定ガス及び他のガスを含む排出ガスが水室から気室に移行し、排出ガスとして分離される。特定ガス及び他のガスが除去された脱気処理水は、貯留槽1に送られる。
【0032】
特定ガス及び他のガスを含む排出ガスは、特定ガスと他のガスを分離する装置として、ガス分離膜を備えた特定ガス回収装置18に送られる。特定ガス回収装置において、特定ガスが分離回収された残余のガスは、排気として排出される。特定ガス回収装置において回収された特定ガスは、流量計19において流量が計測されたのち、特定ガス溶解装置11において、脱気処理水に溶解されて特定ガス溶解水が調製される。
脱気処理装置16、特定ガス回収装置18は、前述した脱気処理装置7、特定ガス回収装置9と同様な装置を用いることができる。
【0033】
本発明装置において、脱気処理装置7は、貯留槽1で溶解するガス例えば、窒素ガスを除去するために、特定ガス溶解装置11の直前に設置することが好ましい。また、貯留槽1の安全確保を兼ねて、貯留槽の一次側に脱気処理装置16を設置することもできる。この場合、貯留槽1内の清浄度を維持するために、貯留槽内の気相を窒素ガスで30mmHg程度に微加圧することは必要であるが、貯留槽内の気相に水素ガスが揮散することがないために、水素ガスの希釈又は置換のために窒素ガスを通気する必要はない。さらに、この場合は、特定ガス溶解装置11の直前の脱気処理装置7の減圧機構に特に制限はなく、特定ガス回収装置を設ける必要もない。
図1の実施態様においては、脱気処理装置を2基設けているが、脱気処理装置を1基のみとし、前述のように特定ガス溶解装置11の直前のみとするか、貯留槽1の一次側(上流側)のみに設けるようにしてもよい。
脱気処理装置を特定ガス溶解装置の直前と、貯留槽1の一次側の2ヶ所に設ける場合は、図1のように、特定ガス回収装置をそれぞれの脱気装置に付設してもよいが、特定ガスが脱気される貯留槽一次側の脱気処理装置にのみ付設して設けるようにしてもよいし、また、特定ガス回収装置を1基独立して設け、2ヶ所の脱気処理装置の排出ガスを特定ガス回収装置に供給するようにしてもよい。
【0034】
本発明の特定ガス溶解水の循環方法においては、貯留槽の水に、特定ガス溶解装置で特定ガスを溶解して特定ガス溶解水としてユースポイントに送り、ユースポイントで使用されなかった未使用の特定ガス溶解水及び/又はユースポイントで使用された使用済みの特定ガス溶解水を貯留槽に返送する際に、ユースポイントから貯留槽を経て特定ガス溶解装置までの間で特定ガス溶解水を脱気処理して、脱気処理水と排出ガスとに分離し、排出ガスから特定ガスを回収し、回収した特定ガスを特定ガス溶解装置で前記脱気処理水に溶解して、特定ガス溶解水を得る。
【0035】
図1に示す態様においては、脱気処理装置7を使用せず、貯留槽1の水を、特定ガス溶解装置11に送りそこで特定ガスが溶解されて特定ガス溶解水となり、洗浄機14が備えられたユースポイントに送られる。ユースポイントで使用されなかった未使用の特定ガス溶解水及び/又はユースポイントで洗浄に使用された使用済みの特定ガス溶解水を貯留槽1に返送する際に、未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水が脱気処理装置16に送られ、脱気処理により脱気処理水と排出ガスとに分離される。特定ガス及び他のガスを含む排出ガスは、特定ガス回収装置18において特定ガスが分離回収され、回収された特定ガスは、特定ガス溶解装置11において、脱気処理水に溶解され、特定ガス溶解水が調製される。
【0036】
図1に示す態様において、脱気処理装置16を使用せず、未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水を貯留槽1に直接返送した場合には、貯留槽から圧送ポンプ3により送り出された特定ガス溶解水は、脱気処理装置7において脱気処理により脱気処理水と排出ガスとに分離される。特定ガス及び他のガスを含む排出ガスは、特定ガス回収装置9において特定ガスが分離回収され、回収された特定ガスは、特定ガス溶解装置11において、脱気処理水に溶解され、特定ガス溶解水が調製される。
【実施例】
【0037】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
特定ガス溶解水として、水素ガス溶解水を用い、図2に示す工程により水素ガス溶解水を製造し、循環した。
洗浄機20へ溶存水索ガス濃度1.5mg/Lの水素ガス溶解水を送水し、洗浄機で使用されなかった未使用の水素ガス溶解水と、洗浄機で使用された使用済みの水素ガス溶解水を、溶存ガスの脱気分離を行うことなく、容量1m3の繊維強化プラスチック(FRP)製の貯留槽21に受けた。貯留槽内の空間は、窒素ガスで置換した。
貯留槽の水を、圧送ポンプ22により110L/分、0.2MPaで送水し、熱交換器23を通したのち、UF(限外ろ過膜)モジュール24に通水して、水中の微粒子を除去した。UFモジュールで濃縮水を10L/分排出させ、ユースポイントへの送水量を100L/分とした。排水分の10L/分は、貯留槽に超純水を補給することにより補った。
微粒子を除去した特定ガス溶解水は、流量計25を通過させ、脱気処理装置26に導いた。脱気処理装置の手前では、水中の溶存水素ガス濃度は0.8mg/Lであった。
脱気処理装置の減圧機構として、窒素ガスを駆動流体とする気流アスピレーター27を用い、減圧度−90kPaに保った。水中の溶存ガス成分を含んだ気流アスピレーターの排気ガスから、パラジウム合金膜を備えた水素ガス回収装置28用いて水素ガスのみを分離した。分離膜二次側の水素ガス流量は、890mL(標準状態)/分であった。
要求される溶存水素ガス濃度は1.5mg/Lであり、水量が100L/分なので、必要な水素ガス流量は1,680mL(標準状態)/分となる。このために、不足分の水素ガス790mL(標準状態)/分を水素発生器を用いて補い、分離した水素ガス890mL(標準状態)/分と合わせて水素ガス溶解装置29へ導入した。水素ガス溶解装置としては、ガス透過性の膜を内蔵したモジュールを用いた。
ガス溶解後の水を採水して溶存水素ガス濃度を測定したところ、約1.5mg/Lとなっており、所定の水素ガス濃度が確保されていた。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の特定ガス溶解水の製造方法、製造装置及び特定ガス溶解水の循環方法を用いることにより、未使用及び/又は使用済みの特定ガス溶解水から脱気処理により特定ガスを分離回収し、回収した特定ガス及び脱気処理水を特定ガス溶解水の製造に有効に利用することが可能となる。本発明によれば、特定ガス溶解水に特定ガス以外のガスが溶解するような循環系において、特定ガス溶解水からすべての溶存ガスを脱気し、脱気により得られる排出ガスから特定ガスのみを分離回収し、脱気処理水に再び溶解させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の特定ガス溶解水の製造装置の一態様の工程系統図である。
【図2】実施例において用いた装置の工程系統図である。
【符号の説明】
【0040】
1 貯留槽
2 圧力調整器
3 圧送ポンプ
4 熱交換器
5 微粒子除去装置
6 流量計
7 脱気処理装置
8 減圧機構
9 特定ガス回収装置
10 流量計
11 特定ガス溶解装置
12 流量調節弁
13 流量計
14 洗浄機
15 圧力調整機構
16 脱気処理装置
17 減圧機構
18 特定ガス回収装置
19 流量計
20 洗浄機
21 貯留槽
22 圧送ポンプ
23 熱交換器
24 UFモジュール
25 流量計
26 脱気処理装置
27 気流アスピレーター
28 水素ガス回収装置
29 水素ガス溶解装置
30 水補給配管
31 特定ガス補給配管
32 特定ガス溶解水配管
【出願人】 【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100075351
【弁理士】
【氏名又は名称】内山 充


【公開番号】 特開2008−6332(P2008−6332A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176785(P2006−176785)