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【発明の名称】 水処理用凝集剤
【発明者】 【氏名】長谷川 孝雄

【氏名】増田 靖

【氏名】東 義洋

【氏名】伊本 洋平

【要約】 【課題】鉄含有原料とシリカ含有原料と鉱酸とを用いて製造される水処理用凝集剤であって、凝集剤中の鉄濃度とシリカ濃度との比率が一定であるとき、その比率に応じて鉱酸の濃度を調節し、それにより最良の凝集性能と最良の保存安定性を有する凝集剤を提供すること。

【構成】凝集剤中における鉱酸濃度[%]が、凝集剤中における鉄濃度%とシリカ濃度%の比率A(シリカ濃度%/鉄濃度%)を基準として、「鉱酸濃度=4×[シリカ濃度%]/[鉄濃度%]×(0.4±0.1)[%]」の範囲内、特に、鉱酸濃度[%]が、数値〔4×A〕の約0.4倍ないし0.5倍となる凝集剤とすること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄化合物原料、シリカ原料及び鉱酸原料を用いて製造される水処理用凝集剤であって、凝集剤中における鉱酸濃度[%]が、鉄濃度に対するシリカ濃度の比率(A)を基準として、数値〔4×A〕の約0.4倍ないし0.5倍であることを特徴とする、水処理用凝集剤。
【請求項2】
鉄化合物原料、シリカ原料及び鉱酸原料を用いて製造される水処理用凝集剤であって、凝集剤中における鉱酸濃度が、鉄濃度に対するシリカ濃度の比率を基準として、次式で表わされる範囲内にあることを特徴とする、水処理用凝集剤。
[鉱酸濃度%]=4×[シリカ濃度%]/[鉄濃度%]×(0.4±0.1)[%]
【請求項3】
鉄化合物原料が塩化第二鉄であり、シリカ原料がケイ酸ナトリウムであり、鉱酸原料が硫酸であることを特徴とする、請求項1又は2記載の水処理用凝集剤。
【請求項4】
鉄化合物原料がボーメ比重40°の塩化第二鉄であり、シリカ原料が水ガラス3号品(SiO2濃度28.9%、Na2O濃度9.9%)であり、鉱酸が硫酸であることを特徴とする、請求項1、2又は3記載の水処理用凝集剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に存在する不純物を凝集化して排除する、水の浄化処理を行うための凝集剤、特に重合ケイ酸及び金属塩を含有する水処理用凝集剤に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平1−284314
【特許文献2】特開平11−90111
【特許文献3】特開平11−310412
【特許文献4】特開平11−349322
【特許文献5】特開2000−93704
【特許文献6】特開2000−154013
【特許文献7】特開2000−279708
【特許文献8】特開2000−308803
【特許文献9】特開2001−70708
【特許文献10】特開2003−38908
【0003】
重合ケイ酸と金属塩を主体とする水処理用凝集剤は、通常、水中で加水分解して多価カチオンを形成する金属の可水溶性塩(例えば塩化第二鉄)と、鉱酸(例えば硫酸)と、アルカリ金属ケイ酸塩(例えばケイ酸ナトリウム)とを原料として製造される。
【0004】
上記凝集剤の製造方法としては、(a)ケイ酸ナトリウムのようなアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液と鉱酸を混合した、酸性ケイ酸溶液を重合させ、その重合液に、シリカと金属のモル比が所定の比率となるように金属塩を加える方法(例えば、特許文献1及び9記載の製造方法)と、(b)必要に応じて鉱酸を加えた金属塩水溶液に、ケイ酸水溶液を徐々に添加して調製する方法(例えば、特許文献2記載の製造方法)、(c)酸性溶液としては上記の多価カチオン形成金属の水溶液のみを使用し、鉱酸は使用しない方法(例えば、上記の特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8記載の製造方法)等が知られている。
これらの製造方法では、強アルカリ性溶液であるケイ酸ナトリウムと強酸性溶液である鉱酸或いは金属塩水溶液の混合工程が、工業的には重要なポイントであり、その混合処理を誤ると、ケイ酸が瞬時にゲル化して、凝集剤の製造が不可能となる。
【0005】
また、上記凝集剤の製造に際しては、製造された製品の金属濃度が高く(金属濃度として3%以上)、且つ保存安定性が高いことと、同一性能の製品を安定して効率良く大量に製造できることが望まれる。さらに、金属塩濃度を高くして保存安定性を高く保つために、製品のシリカ濃度をあまり低くしすぎると凝集性能が低下するため、製品のシリカ濃度は1〜5%程度であることが望まれている。
【0006】
ちなみに、代表的な従来の製造方法によって製造された凝集剤中における金属濃度とシリカ濃度について述べれば、次のとおりである。
上記特許文献1記載の凝集剤にはpH4.0で重合させたケイ酸溶液に塩化第二鉄を加えて、鉄濃度1%、シリカ濃度2.1%、pH1.5とした凝集剤が示されており、このゲル化時間は5000時間以上であるとしているが、鉄濃度が低く実用性に乏しいものである。また、上記特許文献9記載の製造方法は、反応槽に鉱酸を入れ、強力に攪拌しつつ濃度調整したケイ酸ソーダを滴下し混合して酸性ケイ酸を作り、50〜80℃の温度に加熱した状態で90分間保持して重合ケイ酸とした後に金属塩を加えて凝集剤を製造する方法である。この方法で製造された凝集剤は、鉄濃度1.9%、シリカ濃度6.2%で、良好な凝集性能を有することが記されている。
しかし、この方法で製造された凝集剤は、実施例に従って試作した凝集剤のゲル化までの時間は約10日程度にとどまるという問題があった。また、反応槽で酸性ケイ酸を調製する際、ゲル化を防ぐため鉱酸に希釈したケイ酸ソーダ溶液を少量ずつ滴下し、その後、60℃程度に加熱して90分間保持するので、凝集剤の生産効率も低いという問題もあった。
【0007】
上記特許文献2記載の製造方法は、反応槽に貯留した、必要に応じて微量の鉱酸を加えた金属塩水溶液に濃度調整したケイ酸ソーダを徐々に添加して製造する方法である。この方法で製造された凝集剤として、鉄濃度は3.54%で、シリカ濃度が1〜6%のものが記載され、凝集性能の高いシリカ濃度3〜5.5%のもののゲル化時間は11〜22日間であることが記されている。また、シリカ濃度が1%のものは、凝集性能は劣るものの、ゲル化時間は87日であると記載されている。
この方法で製造された凝集剤は、前記の方式に較べると鉄濃度は向上し、ゲル化時間は最長で87日間にはなるが、一方において凝集性能が劣る欠点があった。更に、反応槽に貯留した金属塩水溶液に徐々にケイ酸ソーダ溶液を添加するため、製造に長時間を要して生産効率も低く大量生産には向かないと言う致命的欠陥もあった。
【0008】
特許文献10記載の製造方法は、従来の方法における、ケイ酸ソーダ溶液を鉱酸溶液或いは金属塩水溶液に徐々に添加するのに要する時間を短縮するため、流体の衝突混合を利用した方法である。この方法は、濃度調整したケイ酸ソーダと鉱酸を、それぞれの流速を10m/s以上で衝突・混合させて酸性ケイ酸を作り、これを設定温度で20分〜4時間保持して重合させた後、金属塩を所定量添加して凝集剤を製造する方法である。この方法で製造された凝集剤として、鉄濃度0.7%、シリカ濃度2.2%のものが示されており、所定のシリカ濃度で120〜180分間熟成したシリカゾルを用いた凝集剤が良好な凝集性能を有していることを示している。
この方法で製造された凝集剤は、凝集性能は高いものの鉄濃度が低く、また、この方法に従って試作した凝集剤のゲル化するまでの日数は、室温保存で20〜40日であった。また、この方法では、酸性のケイ酸ゾルは短時間で多量に製造できるものの、操作条件がシビアで条件が変化すると即座にゲル化してしまい、その後の熟成に長時間(120〜180分間)を要する等の、生産効率や安定製造観点からの問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、水処理用凝集剤の製造に際しては、製造された凝集剤中の鉄濃度やシリカ濃度に応じて、その凝集性能や保存可能日数が様々となるが、凝集剤の生産者にとっても使用者にとっても、特定の使用目的に即して許容しうる鉄濃度とシリカ濃度の範囲内で、可能な限り、凝集性能と保存安定性とが両立しうる水処理用凝集剤とすることが望まれている。本発明は、上記のような従来技術の状況に鑑み、重合ケイ酸濃度と金属濃度の双方が適切で、それによって凝集性能が高いと共に保存安定性の良い水処理用凝集剤の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般に、凝集剤の凝集性能は、金属に対するシリカ濃度の比率で決定される。シリカの比率が高くなれば大きな凝集フロックが形成できるが、シリカ濃度が高くなった分だけ保存安定性は低下する。また、汚水処理における凝集剤の必要量は金属濃度が高いほど少なくてすむ。このため、金属濃度が高く、しかも適正なシリカ濃度を維持しつつ保存安定性が高い凝集剤が必要となる。
本発明の発明者等は、様々な研究を行った結果、次に述べるように、高い保存安定性を有する高い金属濃度と適正なシリカ濃度の凝集剤の製造には、凝集剤中における金属濃度とシリカ濃度の程度に応じた最適な鉱酸の必要量が存在することを見出した。
【0011】
一例として、鉄原料としてボーメ比重40°の塩化第二鉄、シリカ原料として水ガラス3号品(SiO2濃度28.9%、Na2O濃度9.9%)、鉱酸として硫酸を用い、かつ、鉄濃度が4%でシリカ濃度が1.1%である凝集剤を対象に、その凝集剤中の硫酸濃度を0.70%から0.10%に変化させた場合の、保存安定性を検討するために行った30℃の恒温槽での加速試験結果を表−1に示す。

表−1



この表が示すように、同じ鉄濃度とシリカ濃度の凝集剤であっても、硫酸の濃度により保存安定性は大きく異なり、保存日数を最大としうる硫酸濃度(この表においては0.42%)が存在することが分かる。
【0012】
次に、鉄濃度を変化させながら、各鉄濃度に対するシリカ濃度の比率を同一とした凝集剤について、硫酸濃度の変化による保存日数の変化を表−2に示す。

表−2



上記のように、鉄濃度が変化した場合も、鉄とシリカの比率が一定であれば、最も保存性の高い凝集剤の硫酸濃度はほぼ一定で、表−1の結果と同様に概ね0.4±0.1%、特に0.4〜0.5%であることが分かる。
【0013】
次に、鉄濃度に対するシリカ濃度の比率を「約2倍」としつつ、鉄濃度を3〜5%に1%毎に変化させた場合の、硫酸濃度の変化による保存日数の変化を表−3に示す。





表−3



表−3から明らかなように、鉄濃度に対するシリカ濃度の比率を約2倍にした場合、この比率がほぼ一定であれば、鉄の濃度を変化させても、最も保存性の高い凝集剤とするための硫酸濃度はほぼ一定であり、高い保存安定性を示す硫酸濃度は0.8±0.2%、特に0.8〜1.0%であることが分かる。
【0014】
さらに、鉄の濃度を4%で一定とし、シリカ濃度を1〜4%まで変化させた場合の、硫酸濃度の変化による保存日数の変化を表−4に示す。

表−4



表−4から明らかなように、鉄濃度が一定であってもシリカ濃度が異なる場合、最大の保存期間を与える硫酸濃度は異なり、シリカ濃度が1%の場合の硫酸濃度は概ね0.4±0.1%(特に0.4〜0.5%)、2%の場合は0.8±0.2%(特に0.8〜1.0%)、3%の場合は1.2±0.3%(特に1.2〜1.5%)、4%の場合は1.6±0.4%(特に1.6〜2.0%)であることが分かる。
【0015】
以上を要約すると、鉱酸濃度が最大の保存日数を与える濃度よりも低いとゲル化はしないが鉄が加水分解し、それよりも濃度が高いとゲル化して使用不能となり、鉄濃度とシリカ濃度の比率が一定であれば、鉄濃度が変化しても最大保存日数を与える硫酸濃度はほぼ一定であって、鉄濃度とシリカ濃度の比率により最大保存日数を与える硫酸濃度は異なり、その濃度は鉄濃度とシリカ濃度の比率に比例することが分かった。
また、これらのことから、鉄濃度に対するシリカ濃度の比率を基準とした場合、その凝集剤について最大の保存日数を与えるための硫酸濃度は、次式で与えられることが分かった。すなわち、[硫酸濃度%]=4×[シリカ濃度%]/[鉄濃度%]×(0.4±0.1)[%](特に0.4〜0.5[%])とすることによって最大の保存日数が得られることが判明した。換言すれば、鉄化合物原料、シリカ原料及び鉱酸原料を混合して製造される凝集剤において、凝集剤中の鉄濃度%に対するシリカ濃度%の比が「A」であるとき、当該凝集剤の保存日数を最長にするためには、当該凝集剤中の鉱酸濃度[%]が、数値「4×A」の約0.4〜0.5倍となるように鉱酸使用量を調節すればよいことが、判明した。
【発明の効果】
【0016】
上記のとおり、本発明によれば、水処理用凝集剤について、当該凝集剤中における鉄濃度とシリカ濃度の一定の比率に応じた所定濃度の硫酸を存在せしめることにより、当該一定の濃度比率を有する凝集剤としては、最高の凝集性能と最長の保存可能日数を併有する水処理用凝集剤の製造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の最良の実施形態を実施例によって示せば、次のとおりである。
なお、次の各実施例は、いずれも、第1の原料液である塩化第二鉄溶液中に第2の原料液であるケイ酸ナトリウム溶液及び第3の原料液である硫酸溶液が順次注入される製造方法による実施例であるが、本発明の凝集剤製造に際しての各原料液の添加順序は、上記の順序に限られるものではなく、例えば、第2の原料液が鉱酸であって第3の原料液をケイ酸ナトリウム水溶液とする方法、第1の原料液が鉱酸であって第2の原料液がケイ酸ナトリウム水溶液であり、第3の原料液を金属塩水溶液とする方法或いは、第1の原料液が鉱酸であって第2の原料液が金属塩水溶液であり、第3の原料液をケイ酸ナトリウム水溶液とする方法、等の様々な原料配置順序による製造方法を用いることができる。
【実施例1】
【0018】
市販水ガラス3号品(SiO2濃度28.9%、Na2O濃度9.9%)17.3g、34.6g、51.9g、69.2gのそれぞれを内容積300mLのビーカーに取り、それぞれに水を加えて200gとして濃度が均一になるように良く攪拌して濃度の異なる4種類のケイ酸ナトリウム溶液を調整し、これをケイ酸ナトリウム溶液1〜4とした。ボーメ比重40°の塩化第二鉄(FeCl3濃度37%)157gを内容積500mLの4個のビーカーに取り、それぞれに水を加えて200gとして濃度が均一になるように良く攪拌して、同一濃度の塩化第二鉄溶液1〜4を調整した。濃度75%の硫酸2.7g、5.3g、8.0g、10.7gのそれぞれを内容積200mLのビーカーに取り、それぞれに水を加えて100gとして濃度が均一になるように良く攪拌して濃度の異なる4種類の硫酸溶液を調整し、これを硫酸溶液1〜4とした。
【0019】
次いで、塩化第二鉄溶液1の入ったビーカーをマグネチックスターラーで攪拌している中に、ケイ酸ナトリウム溶液1及び硫酸溶液1をそれぞれが1mL/秒程度の割合で注入し、ケイ酸ナトリウム溶液が注入し終わった段階でマグネチックスターラーによる攪拌を停止して500gの試料1を得た。
同様に、塩化第二鉄溶液2とケイ酸ナトリウム溶液2及び硫酸溶液2から試料2を、塩化第二鉄溶液3とケイ酸ナトリウム溶液3及び硫酸溶液3から試料3を、塩化第二鉄溶液4とケイ酸ナトリウム溶液4及び硫酸溶液4から試料4をそれぞれ調製した。
【0020】
試料1〜4の各成分の組成と30℃における保存性及び凝集性能を測定した結果を表−5に示す。保存性は、試料を30℃の恒温槽中に保存し、経日変化を外観で、また、凝集効果は、1Lビーカーに処理対象水(水温20℃、濁度20度)1Lを取り、ここに試料を0.1g添加してジャーテスト(攪拌条件:急速攪拌150rpm3分、緩速攪拌30rpm10分)により測定した。

表−5



表−5から明らかなように、いずれの試料も良好な凝集効果を示すが、シリカ濃度が高いほど凝集効果は高い。また、保存性はシリカ濃度が高いほど保存性は低下しているが、最も保存性が低い試料4であっても製造して直ちに使用する場合は支障ない保存性を示している。
【実施例2】
【0021】
市販水ガラス3号品(SiO2濃度28.9%、Na2O濃度9.9%)26.0g、43.3g、26.0g、34.6gのそれぞれを内容積200mLのビーカーに取り、それぞれに水を加えて100gとして濃度が均一になるように良く攪拌してケイ酸ナトリウム溶液を調整し、これをケイ酸ナトリウム溶液5〜8とした。ボーメ比重40°の塩化第二鉄(FeCl3濃度37%)117.8g、196.4g、235.7g、314.3gのそれぞれを内容積500mLのビーカーに取り、それぞれに水を加えて350gとして濃度が均一になるように良く攪拌して塩化第二鉄溶液5〜8を調整した。濃度75%の硫酸5.3g、5.3g、2.7g、2.7gのそれぞれを内容積100mLのビーカーに取り、それぞれに水を加えて50gとして濃度が均一になるように良く攪拌して濃度の異なる4種類の硫酸溶液を調整し、これを硫酸溶液5〜8とした。
次いで、塩化第二鉄溶液4の入ったビーカーをマグネチックスターラーで攪拌している中に、ケイ酸ナトリウム溶液4及び硫酸溶液4をそれぞれが1mL/秒程度の割合で注入し、ケイ酸ナトリウム溶液が注入し終わった段階でマグネチックスターラーによる攪拌を停止して500gの試料5を得た。
同様に、塩化第二鉄溶液6とケイ酸ナトリウム溶液6及び硫酸溶液6から試料6を、塩化第二鉄溶液7とケイ酸ナトリウム溶液7及び硫酸溶液7から試料7を、塩化第二鉄溶液8とケイ酸ナトリウム溶液8及び硫酸溶液8から試料8をそれぞれ調製した。
【0022】
試料5〜8の各成分の組成と30℃における保存性及び凝集性能を測定した結果を表−6に示す。保存性は、試料を30℃の恒温槽中に保存し、経日変化を外観で、また、凝集効果は、1Lビーカーに処理対象水(水温20℃、濁度20度)1Lを取り、ここに試料を所定量添加してジャーテスト(攪拌条件:急速攪拌150rpm3分、緩速攪拌30rpm10分)により測定した。





表−6



表−6から明らかなように、いずれの試料も良好な凝集効果を示すが、鉄濃度に対するシリカ濃度の比率が高いほど凝集効果は高い。また、保存性はシリカ濃度が高いほど保存性は低下しているが、最も保存性が低い試料8であっても、製造して間もなく使用する場合には支障のない保存性を示している。
【0023】
(参考例1)
市販水ガラス3号品(SiO2濃度28.9%、Na2O濃度9.9%)17.3g、17.3g、34.6g、34.6gのそれぞれを内容積300mLのビーカーに取り、それぞれに水を加えて200gとして濃度が均一になるように良く攪拌して濃度の異なる4種類のケイ酸ナトリウム溶液を調整し、これをケイ酸ナトリウム溶液9〜12とした。ボーメ比重40°の塩化第二鉄(FeCl3濃度37%)157gを内容積500mLの4個のビーカーに取り、それぞれに水を加えて200gとして濃度が均一になるように良く攪拌して、同一濃度の塩化第二鉄溶液9〜12を調整した。濃度75%の硫酸0.7g、5.3g、2.7g、8.0gのそれぞれを内容積200mLのビーカーに取り、それぞれに水を加えて100gとして濃度が均一になるように良く攪拌して濃度の異なる4種類の硫酸溶液を調整し、これを硫酸溶液9〜12とした。
次いで、塩化第二鉄溶液1の入ったビーカーをマグネチックスターラーで攪拌している中に、ケイ酸ナトリウム溶液1及び硫酸溶液1をそれぞれが1mL/秒程度の割合で注入し、ケイ酸ナトリウム溶液が注入し終わった段階でマグネチックスターラーによる攪拌を停止して500gの試料9を得た。
同様に、塩化第二鉄溶液2とケイ酸ナトリウム溶液10及び硫酸溶液10から試料10を、塩化第二鉄溶液11とケイ酸ナトリウム溶液11及び硫酸溶液11から試料11を、塩化第二鉄溶液12とケイ酸ナトリウム溶液12及び硫酸溶液12から試料12をそれぞれ調製した。
【0024】
試料9〜12の各成分の組成と30℃における保存性及び凝集性能を測定した結果を表−7に示す。保存性は、試料を30℃の恒温槽中に保存し、経日変化を外観で、また、凝集効果は、1Lビーカーに処理対象水(水温20℃、濁度20度)1Lを取り、ここに試料を0.1g添加してジャーテスト(攪拌条件:急速攪拌150rpm3分、緩速攪拌30rpm10分)により測定した。









表−7


【0025】
表−7から明らかなように、試料9及び10は、鉄とシリカの比率が等しい試料1、7及び8と同様の凝集効果を示すが、鉄とシリカの比率に対する最適な硫酸濃度の範囲を外れると保存期間は大幅に低下し、例えば鉄とシリカ濃度が同一である試料1に比べて保存性は1/30〜1/9にまで低下する。また、鉄及びシリカ濃度が1.5倍になり、本来であれば試料9及び10よりも保存性が低下する試料7もこの両者より高い保存安定性を示し、硫酸濃度を調整することによる保存安定性向上の効果は顕著である。
同様に、試料11及び12は、鉄とシリカの比率が等しい試料2、5及び6と同様の凝集効果を示すが、鉄とシリカの比率に対する最適な硫酸濃度の範囲を外れると保存期間は大幅に低下し、例えば鉄とシリカ濃度が同一である試料2に比べて保存性は1/15〜1/2.5にまで低下する。
【出願人】 【識別番号】000193508
【氏名又は名称】水道機工株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100072028
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀雄


【公開番号】 特開2008−12417(P2008−12417A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185144(P2006−185144)