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高分子凝集剤 - 特開2008−6408 | j-tokkyo
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【発明の名称】 高分子凝集剤
【発明者】 【氏名】佐伯 和昭

【氏名】伊藤 博

【要約】 【課題】従来の粉末系高分子凝集剤の固液分離の性能を向上させ、強固で大きなフロックを形成し、かつ脱水した固形分の含水量を低減することができる新規な高分子凝集剤を提供する。

【構成】不飽和二重結合を含有する疎水性高分子微粒子の存在下において第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を含有する単量体および必要に応じ前記単量体と共重合可能な単量体を水媒体中で重合してなるカチオン性又は、カチオン性およびアニオン性の基の双方を含む両性高分子凝集剤粉末とその製造法であり廃水処理工程の濃縮、脱水等において優れた性能を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和二重結合を含有する疎水性高分子微粒子(A)の存在下において、第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を含有する不飽和単量体(b−1)を水媒体中で重合することを特徴とするカチオン性または両性高分子凝集剤粉末の製造法。
【請求項2】
さらに前記単量体(b−1)と共重合可能な不飽和単量体(b−2)を重合することを特徴とする請求項1の凝集剤粉末の製造法。
【請求項3】
前記載の疎水性高分子微粒子(A)の含有量が0.5重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項1又は2の凝集剤粉末の製造法。
【請求項4】
疎水性高分子微粒子(A)がジエン類の単独若しくは他の共重合可能な単量体との共重合体、側鎖に不飽和二重結合を有する疎水性ビニル共重合体、不飽和ポリエステル樹脂、多価不飽和アクリル樹脂及び不飽和ウレタン樹脂の一種以上からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の凝集剤粉末の製造法。
【請求項5】
疎水性高分子微粒子(A)の平均粒径が0.01μ〜10μである請求項1〜3のいずれか1項に記載の凝集剤粉末の製造法。
【請求項6】
第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を含有する不飽和単量体(b−1)を、重合に供する全単量体の少なくとも10モル%以上含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の凝集剤粉末の製造法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項の製造法により得られるカチオン性または両性高分子凝集剤粉末。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性高分子微粒子を必須成分とする高分子凝集剤粉末の製造法およびその製造法によって得られた共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カチオン性および両性の水溶性高分子は、活性汚泥処理で生じる有機性汚泥の脱水などに高分子凝集剤として使用される。カチオンおよび両性高分子凝集剤の製品形状は、粉末品のほか低濃度水溶液品、逆相エマルションタイプ、懸濁液品などがある。粉末品は、有効成分濃度が高く製造コストおよび輸送コストが安い点や、製品の経時安定性に優れるなどの特徴がある。一方で、汚泥発生量の増加および汚泥性状の悪化により、従来の粉末タイプのカチオンおよび両性高分子凝集剤での処理には限界があり、乾燥ケーキ含水率、SS回収率、ケーキのろ布からの剥離性などの点で処理状態は必ずしも満足できるものではなく、改善が求められている。
【0003】
これら従来の高分子凝集剤の欠点を改良するために、メチレンビスアクリルアミド等の架橋剤を用いて架橋された有機高分子組成物が種々の固液分離に有効であると提案されている。例えば、メチレンビスアクリルアミド等の架橋剤を用いた汚泥脱水剤が示されており、乾燥ケーキ含水率の低下など優れた性能を発現する(特許文献1および特許文献2)。しかし、これらはいずれも炭化水素系溶媒を媒体として逆相乳化重合で合成されており、良好な凝集性能を発揮する架橋剤の添加量も狭い範囲である。さらに、輸送コストに関して液状品より有利な粉末状品を得るために、逆相乳化重合で合成後、噴霧乾燥して粉末状架橋品を得る方法が提案されているが、製造時の操作が煩雑で製造コストがかかるといった問題点がある。又、これらの架橋剤を水媒体中での重合による製造法に適用した場合には、その重合体の粉末は、水に再溶解することができず、実用に供することができない。
【0004】
一方、合成ラテックスの存在下でアクリルアミド等を重合して共重合体エマルションとして不織布用バインダーとして使用する例(特許文献3)、或いは合成ラテックスを種として、その表面に特定のカチオン基を有する単量体を添加重合して更にノニオン型界面活性剤を添加して重合体エマルションとする例(特許文献4)が知られているが、いずれもエマルション等の液体であり、また用途目的が明らかに異なり、高分子凝集剤としての有用性も開示されていない。
【特許文献1】特開昭64−85199号公報
【特許文献2】特開平2−219887号公報
【特許文献3】特開平7−26461公報
【特許文献4】特開平10−130327公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は広範な種類の汚泥の凝集に有効に作用する高分子凝集剤粉末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、不飽和二重結合を含有する疎水性高分子微粒子(A)の存在下においてカチオン性モノマー等を重合することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は以下のとおりである。
1.不飽和二重結合を含有する疎水性高分子微粒子(A)の存在下において、第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を含有する不飽和単量体(b−1)を水媒体中で重合することを特徴とするカチオン性または両性高分子凝集剤粉末の製造法。
2.さらに前記単量体(b−1)と共重合可能な不飽和単量体(b−2)を重合することを特徴とする前記1の製造法。
3.前記載の疎水性高分子微粒子(A)の含有量が0.5重量%〜30重量%であることを特徴とする前記1又は2の凝集剤粉末の製造法。
4.疎水性高分子微粒子(A)がジエン類の単独若しくは他の共重合可能な単量体との共重合体、側鎖に不飽和二重結合を有する疎水性ビニル共重合体、不飽和ポリエステル樹脂、多価不飽和アクリル樹脂及び不飽和ウレタン樹脂の一種以上からなる前記1〜3のいずれか1項に記載の凝集剤粉末の製造法。
5.疎水性高分子微粒子(A)の平均粒径が0.01μ〜10μである前記1〜3のいずれか1項に記載の凝集剤粉末の製造法。
6.第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を含有する不飽和単量体(b−1)を、重合に供する全単量体の少なくとも10モル%以上含む前記1〜5のいずれか1項に記載の凝集剤粉末の製造法。
7.前記1〜6のいずれかの製造法により得られるカチオン性または両性高分子凝集剤粉末。
【発明の効果】
【0007】
本発明の高分子凝集剤粉末は、実用に際して水に再溶解可能であり、広範な種類の汚泥に対して強度の高いフロックを形成し、脱水したフロックの含水率を低くすることが可能である。また、一般的に廃水中の懸濁物が、微生物菌体を主体とする場合には、形成したフロックが柔らかく壊れやすい傾向があり、又更に腐敗等が進行するとその傾向は、顕著となる。この場合、高分子凝集剤の添加量を増し、大きなフロックの形成を促進させるが、従来の高分子凝集剤においては添加量を増すとフロックが粘調になり脱水が困難になるという問題を生じる。しかしながら、本発明の高分子凝集剤を用いた場合、強固なフロックを形成し、かつ脱水後のスラッジの含水率を低減することが出来、排水処理条件の質的変動および季節的変動に対しても従来の製品と比較して安定した処理を行うことが出来る。
また、疎水性高分子微粒子と複合されているので、従来の凝集剤に比べて、疎水的であり吸湿性が小さく、取り扱いやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いられる不飽和二重結合を含有する疎水性高分子微粒子(A)は、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類の単独又は他の共重合可能な単量体との共重合体、側鎖に不飽和二重結合を有する疎水性ビニル共重合体、不飽和ポリエステル樹脂、多価不飽和アクリル樹脂又は不飽和ウレタン樹脂の一種以上からなる微粒子である。最も一般的には、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類の単独又は他の共重合可能な単量体との共重合体であり、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリルブタジェンゴム(NBR)、メタクリル酸エステルブタジェンゴム(MBR)、スチレンブタジェンゴム(SBR)、クロロプレンゴム等の高分子微粒子があげられる。これらの高分子微粒子は、通常界面活性剤あるいは少量の親水性を有する共重合単量体を併用して乳化重合法によって水分散体として製造されるか、これら高分子を界面活性剤の存在下で水中に機械的に分散、乳化させることによって製造される。このジエン類の重合体が工業的には、最も簡便に製造できる。
【0009】
側鎖に不飽和二重結合を有する疎水性ビニル共重合体微粒子としては、例えばジエン類を含まない単量体を使用しても製造できる。具体的には、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリルモノマー、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレン等の各種の非水溶性単量体の一種以上と側鎖にカルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、メチロールアミド基、イソシアナート基等の反応性を有する基を有するビニル重合可能な単量体を共重合した後、これらの側鎖の基に反応可能な基を有する不飽和化合物を反応させることにより、側鎖に不飽和二重結合を有する疎水性ビニル共重合体を製造でき、以下の方法により微粒子化できる。上記単量体の重合を水を分散媒とする乳化重合により行い、重合体を微粒子化して得る方法或いは上記重合を有機媒体中で行い、重合後その溶液を水中で分散し微粒子化する方法等がある。
【0010】
不飽和ポリエステル樹脂、多価不飽和アクリル樹脂、或いは不飽和ポリウレタン樹脂の微粒子は、分子内に二重結合を有する不飽和ポリエステル樹脂、多価不飽和アクリル樹脂、或いは不飽和ポリウレタン樹脂を界面活性剤の存在下で水分散して、疎水性粒子とすることにより得ることができる。
疎水性高分子微粒子(A)の粒子サイズは、上記の水分散体において、通常平均粒子径で0.01μ〜10μで、好ましくは0.05μ〜5μである。
【0011】
本発明における第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を含有する単量体(b−1)としては、側鎖に第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を含有する単量体及びジアリルジアルキルアンモニウム塩が挙げられる。前者では、例えばアクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等の第3級アミノ基を含有する単量体およびこれらの第3級アミノ基を含有する単量体にメチルクロライド、ベンジルクロライド等の有機ハライドやジメチル硫酸等を反応させて得られる第4級アンモニウム塩とした各種第4級アンモニウム塩基を含有する単量体が用いられる。後者では、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。上記の中で特にアクリル酸ジメチルアミノエチルおよびメタクリル酸ジメチルアミノエチルとメチルクロライドの反応物であるアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドが工業的にも有用である。
【0012】
共重合可能な不飽和単量体(b−2)としては、前記第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を含有する不飽和単量体(b−1)と共重合可能で且つ得られる高分子凝集剤の水溶性を阻害しないものであれば特に限定はない。このような単量体としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N、N-ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体、アクリロニトリル、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸類があげられ、アクリルアミドが最も一般的である。これらは、単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。上記の不飽和カルボン酸類を共重合することによって前記単量体(b−1)に由来するカチオン基とこれら不飽和カルボン酸に由来するアニオン性基との両方を有する両性の高分子凝集剤を得ることが出来、対象となる廃水の性質によって両性であることがより好ましい性能を付与しうることがある。又、不飽和カルボン酸を上記(b−2)として用いる場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、第3級アミン等によって中和して共重合に供してもよい
【0013】
前記疎水性高分子微粒子(A)の含量((A)×100/((A)+(b−1)十(b−2))%)は、好ましくは0.5〜30重量%、更に好ましくは2〜20重量%である。
また、前記の単量体(b−1)と共重合可能な単量体(b−2)との比率((b−1):(b−2))は、モル換算で100:0〜10:90であり、(b−1)のモル%が10%未満では、強いフロックの生成や含水率の低減は困難であり、廃水の性質に応じ選択されるが、特に20モル%以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の高分子凝集剤粉末は、例えば以下のようにして製造できる。
前記の疎水性高分子微粒子(A)は、通常は乳化液等の水分散体の形で不飽和単量体(b−1)および(b−2)、更には必用に応じ適量の水と混合され、水媒体中での共重合に供せられる。これらの混合時にしばしば上記の高分子微粒子が凝集を起こすことがあり、凝集を防止する為に界面活性剤等の安定剤を混合使用することや、又、混合時の泡立ちを低減するために消泡剤を併用しても差し支えない。上記の混合液に窒素等の不活性ガスを通し重合を阻害する酸素を除いた後、重合を開始する。重合温度は、通常は、−10〜100℃であり、重合開始温度は、10℃以下が好ましい。重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等のアゾ化合物;過硫酸塩;過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物と、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、ブドウ糖等との還元剤との組み合わせによるレドックス開始剤;ベンゾフェノン等の光重合開始剤、更にはこれらアゾ系開始剤、レドックス開始剤、光重合開始剤等を組み合わせた重合開始系が用いられる。重合開始剤の使用量は、通常、単量体重量の0.0001〜0.4重量%程度である。また、重合時に必要により前述の成分に加えて分子量を調節するための連鎖移動剤、キレート剤、緩衝剤等を添加することができる。連鎖移動剤としては、アルコール、メルカプタン等が挙げられるが、アルコールが好ましく、メタノール、イソプロピルアルコール等が使用される。
【0015】
上記のラジカル重合開始剤およびレドックス開始剤を加え断熱重合(自らの重合熱で温度が上昇し重合が進行)、あるいは外部からの加温を行い、通常2〜10時間反応を行って重合を完結させ、ゲル状の重合物を得ることができる。上記のようにして得られたゲル状の重合物は、通常有孔板の表面に切断刃を備えたスクリュー式押出式粉砕機や回転刃式粉砕機を用いて外形1〜5mm程度に細粒化し乾燥機に供給され、含水率が10%程度以下まで乾燥した後、0.1〜1mm程度に粉砕し本発明の高分子凝集剤粉末を得る。
【0016】
前記した本発明の高分子凝集剤粉末は、水に再溶解し使用されるため、水に可溶であると共に、十分大きい分子量、例えば100万〜数1000万を有することが望ましい。高分子凝集剤の分子量は、極めて高分子量であり、又、本発明においては疎水性高分子が微粒子状で分散しているため、測定が困難であるが、分子量と溶液粘度との間には比例関係があり、また、実用に際し廃水は無機塩を含んでいることから、高分子凝集剤を0.1重量%に溶解した塩水溶液粘度を分子量の目安とすることが一般的である。本発明の高分子凝集剤においては、0.1重量%塩水溶液の粘度が1mPa・s以上、更には2mPa・s以上であることが好ましく、前記した重合開始剤、連鎖移動剤、重合温度等の条件を選択することによって容易に調整することが出来る。
高分子化合物の分子量は、溶液粘度と概略、比例関係にあることが公知であり、又、高分子凝集剤としての凝集機能は一般に高分子量であるほうが優れている。
【0017】
本発明の高分子凝集剤は、例えば0.1〜1.0重量%の濃度に水で溶解希釈した後、高分子凝集剤の固形分換算で懸濁物の浮遊する廃水等に対して10〜1000mg/kg(汚泥)となるような量の上記水溶液を添加する。この際、懸濁物の種類によって、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸鉄、硫酸アルミニウム等の無機塩類を併用しても良い。廃水中の懸濁物は、会合しフロックを形成し、水から分離しやすい形となり、遠心分離、フィルタープレス、ベルトプレス等によって水が絞られ、水とスラッジが分離される。
【実施例】
【0018】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。本実施例で得られた共重合体の物性評価は次の方法によって行った。
<固形分>
重合体粉末を、105℃で90分加熱し、乾燥残量より固形成分量を求めた。
<0.1%塩粘度>
粉末状の重合体サンプルを蒸留水に0.1重量%の濃度で溶解した水溶液を調整し、その溶解液100gに対して塩化ナトリウムを5.84g加える。25℃において、B型粘度計でBLアダプターを用いて、回転数は60rpmで測定した。
<不溶解分>
重合体サンプルの0.1重量%水溶液を調整し、3時間撹拌溶解し、150メッシュ金属製濾布で濾過後、金属製濾布を約200gのイオン交換水で洗浄する。その後、残った水性ゲルを105℃で16時間以上乾燥し、残渣重量を測定し次式を用いて不溶解分量(wt%)を求めた。
不溶解分(wt%)=100×残渣重量(g)/(重合体サンプル重量(g)×固形分(%))
【0019】
実施例1
〔カチオン性アクリルアミド系共重合体組成物の重合〕
2リットルジュワー瓶にアクリルアミド(以下「AAM」と呼ぶ)50重量%水溶液340.8g、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(以下「DAC」と呼ぶ)79重量%水溶液391.9g、分子量調整のための連鎖移動剤としてイソプロピルアルコール(以下「IPA」と呼ぶ)0.6gを加え、各単量体がモル比でAAM/DAC=60/40で、単量体含有量が43.5重量%となるようにイオン交換水加えて、スチレンブタジエン系ラテックス溶液(日本エイアンドエル株式会社製品:SR−130、平均粒径=0.15μ、固形分=50重量%)96g(疎水性高分子微粒子含有量:9重量%に相当)を加えた。硫酸を用いてpHを5に調製した。消泡剤としてジメチルポリシロキサンを水溶液総量に対し200ppmを添加後、窒素ガスで置換し、0℃に調温した。重合開始剤として2,2’―アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドを水溶液総量に対して100ppm、硫酸第一鉄アンモニウムを水溶液総量に対して10ppm、過硫酸アンモニウムを水溶液総量に対して15ppmを加えて断熱重合を3時間行った。
得られたゲルをミートチョッパーにてペレット状に解砕した。解砕したゲルを75℃で約5時間乾燥し、乾燥したゲルを粉砕機にて粉砕して粉末状の共重合体を得た。
粉末状の共重合体を0.1重量%に溶解して上記の不溶解分測定を行った。また、濾液を使用して、0.1%塩粘度を測定した。それらの結果を表1に記載した。
実施例2〜9および比較例1〜3
ラテックスの添加量、イソプロピルアルコールの添加量を表1に記載した割合とした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を併せて表1に記載した。
【0020】
【表1】


【0021】
[凝集剤としての性能評価]
粉末状の共重合体をイオン交換水で0.2重量%に溶解し、溶解液11.25gと製紙会社の活性汚泥処理で生じる有機性汚泥150gを混合(共重合体固形分換算の添加量:150mg/kg(汚泥))し、フロックサイズ(フロックサイズ1)を目視で判定した。その後、フロック中に金属性の三枚羽根を入れ、スリーワンモーターを用いて250rpmで20秒間撹拌後、再度フロックサイズ(フロック強度の確認:フロックサイズ2)を確認した。フロックを形成した汚泥を60メッシュの篩を用いて濾過し10秒後の濾液量を測定し、汚泥と加えた共重合体溶解液の総量に対する体積%(Vol.%)を求めた。60メッシュ篩で濾過した汚泥を2kg/mの条件下で1分間脱水した汚泥について、105℃で24時間乾燥させケーキ含水率を測定した。それらの結果を表2に記載した。
表2に示すように疎水性分散体(スチレンブタジエン系ラテックス)を添加して重合した共重合物で評価を行った時のフロックサイズが大きくなり濾水性が向上し、またケーキ含水率が低下した。
【0022】
【表2】


【0023】
実施例10
〔両性アクリルアミド系共重合体組成物〕
不飽和二重結合を含有する疎水性高分子微粒子を以下の方法で合成した。
乳化剤として4gのポリオキシエチレンラウレート及び重合開始剤として2gの過硫酸アンモニウムを600gの蒸留水中に溶解し、攪拌機付きオートクレーブに入れ、60℃に昇温した後、ブタジエン20モル%、メタクリル酸メチル40モル%、アクリロニトリル38モル%及びメタクリル酸ヒドロキシエチル2モル%からなる単量体混合物400gを3時間にわたって滴下した。その間、反応器内の温度を60℃に保ち、更に2時間重合を行って、疎水性高分子微粒子の水分散液を得た。分散液の固形分は、40重量%であった。又、分散した微粒子の平均粒径は0.21μであった。
次に2Lのジュワー瓶に上記の疎水性高分子微粒子の水分散液115.3g(固形分46.1g)とDACの79重量%水溶液134.7g、AAMの50重量%水溶液56.8g、80重量%アクリル酸(以下「AA」と呼ぶ)4.5gの単量体混合物(疎水性高分子微粒子含有量:25重量%)及び蒸留水241gを加えて混合し、更にpHを5に調整し消泡剤としてジメチルポリシロキサンを水溶液総量に対し200ppmを添加後、窒素ガスで置換し0℃に調温した。重合開始剤として、水溶液総量に対し2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドを400ppm、過硫酸アンモニウムを15ppm、硫酸第一鉄アンモニウムを10ppm加えて重合を開始し断熱重合を3時間行い、更に実施例1と同様に粉砕、乾燥して、疎水性高分子微粒子を25重量%含むカチオン性およびアニオン性基の両方を含む両性高分子凝集剤粉末を得た。上記の高分子凝集剤の性状については、実施例1と同様な方法で分析し、その結果については表3に記載した。
【0024】
実施例11〜13
疎水性高分子微粒子水分散液の添加量を表3記載の量にした以外は、実施例10と全く同様の単量体混合物の組成及び添加量で重合し、両性高分子凝集剤粉末を得た。それらの性状は、実施例10と同様に表3に記載した。
【0025】
実施例14、15
実施例10〜13に記載した疎水性高分子微粒子の代わりに以下の方法で調整した不飽和二重結合を含有するアクリル系疎水性高分子微粒子の水分散液(アクリル系エマルション)を用いた。
メタクリル酸メチル45g、スチレン40g、メタクリル酸15gの単量体混合物をポリオキシエチレンラウレート2g、過硫酸アンモニウム0.2gを含む蒸留水185gの入った攪拌機付き反応器に4時間に亘って滴下し、その間65℃に内温を保った。滴下終了後90℃に昇温し、更に4時間混合撹拌を続け重合を完結した。次に、上記の乳化液にメタクリル酸グリシジル22.3g、トリエチルアミン0.1g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05gを加え、90℃で4時間加熱撹拌を続け、平均粒径0.24μの疎水性高分子微粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分は、40重量%でメタクリル酸グリシジルが殆ど全てメタクリル酸に由来するカルボキシル基と反応していることを確認できた。
実施例14は、このようにして得られた疎水性高分子微粒子を実施例10で用いた疎水性高分子微粒子の代わりに用いた以外は、実施例10と全く同様な方法でDACを含む単量体混合物を重合させ、疎水性高分子微粒子25重量%を含む両性高分子凝集剤粉末を得た。
実施例15は、IPA添加量を単量体混合物に対し0.1重量%加えた以外は、実施例14と同様の方法で両性高分子凝集剤粉末を得た。これらの両性高分子凝集剤粉末の性状については、実施例10〜13と同様に表3に記載した。
【0026】
比較例4、5
実施例10における疎水性高分子微粒子を用いずに、実施例10に記載の単量体混合物のみを実施例10と全く同様な方法で重合、粉砕、乾燥して、本発明の比較例として両性の高分子凝集剤粉末を得た。比較例4および比較例5においては蒸留水の添加量は、重合完了時の理論固形分が50重量%となるように調整し、又分子量調整剤としてイソプロピルアルコールを単量体混合物に対し、比較例4は、0.1重量%、比較例5は0.30重量%添加した。これらの比較例の高分子凝集剤の性状については、実施例10〜17と同様に表3に記載した。
【0027】
【表3】


【0028】
実施例10〜15および比較例4、5における評価は、下水処理場の生物処理で生じる有機性汚泥を用いたことと、有機性汚泥に150gに対して、共重合体を0.2重量%に調整した溶解液3.75g(共重合体固形分換算で50mg/kg(汚泥))添加したこと以外は実施例1と同様にして行って、凝集性能を判定した。結果を表4に示した。
表4に示すようにラテックス等(アクリル系エマルション、逆相エマルション)疎水性微粒子分散液を添加して重合した共重合体のフロックサイズが大きくなり、濾水性が向上し、ケーキ含水率が低下することが確認された。
【0029】
【表4】


【0030】
実施例16
無水マレイン酸5モル、無水フタル酸5モルおよびプロピレングリコール11モルを縮合してなる分子末端がヒドロキシル基である不飽和ポリエステル樹脂189gを250gのメチルエチルケトンに溶解し、トリレンジイソシアネート35gおよびメタクリル酸ヒドロキシエチル26gを加えて、75℃に加温しながら6時間混合撹拌した。イソシアネート基が赤外線吸収スペクトルによって消失したことによって反応を終了とした。次に乳化剤として5gのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドを加えた後、激しく撹拌しながら375gの蒸留水を加え、加熱してメチルエチルケトンを留出除去し、乳白色の不飽和ポリエステルウレタン樹脂である疎水性高分子微粒子の水分散液を得た。水分散液の固形分は40重量%であり平均粒径は、0.30μであった。
次にジュワー瓶に上記の疎水性高分子微粒子の水分散液90.5g(固形分36.2g)とアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドの79%水溶液49gおよびメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(以下「DMC」と呼ぶ)の78%水溶液213gの単量体混合物(有効単量体成分205g)(各単量体のモル換算での配合割合は、DAC/DMC=20/80)および蒸留水113g、消泡剤としてジメチルポリシロキサンを水溶液総量に対し200ppmを加えて混合し、更にpHを5に調整した後、窒素ガスで置換し、0℃に調温した。重合開始剤として水溶液総量に対し2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドを400ppm、過硫酸アンモニウムを15ppm、硫酸第一鉄アンモニウムを10ppm加えて重合を開始し、断熱重合を3時間行った。更に実施例1と同様に粉砕、乾燥して本発明の疎水性高分子微粒子15重量%を含むカチオン性高分子凝集剤粉末を得た。この高分子凝集剤の性状については、実施例1と同様な方法で分析し、その結果については、表5に記載した。
【0031】
比較例6
実施例16において、疎水性高分子微粒子の水分散液を用いず、実施例16記載の単量体混合物のみを用い、蒸留水の添加量のみが重合完了時の理論固形分が50重量%となるように調整し、実施例16と同様な方法で重合、粉砕、乾燥して比較例としてのカチオン高分子凝集剤粉末を得た。
実施例16および比較例5における評価方法は、実施例10〜14および比較例4,5と全く同様な方法で公共下水処理場の有機性汚泥を用い凝集性能を判定した。結果を表6に示した。
【0032】
【表5】


【0033】
【表6】


【0034】
実施例17
〔両性アクリルアミド系共重合体組成物の重合〕
2リットルジュワー瓶に50重量%AAM水溶液379.2g、80重量%AAを40.1g仕込み、48重量%水酸化ナトリウム水溶液9.3g加え中和した。次に79重量%DAC水溶液327.0gを加え、各単量体がモル比でDAC/AA/AAM=30/10/60で、単量体含有量が45重量%となるようにイオン交換水、ラテックス溶液(
日本エイアンドエル株式会社製品:SR−130)192g(疎水性高分子微粒子含有量:16.5重量%に相当)を加えた。更に消泡剤としてジメチルポリシロキサンを水溶液総量に対して300ppm加えた。その後、水溶液のpHを4.2に調製して窒素ガスで置換し、0℃に調温した。重合開始剤として2,2’―アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドを水溶液総量に対して400ppm、硫酸第一鉄アンモニウムを水溶液総量に対して10ppm、過硫酸アンモニウムを水溶液総量に対して15ppmを加えて断熱重合を3時間行った。
【0035】
実施例18〜19
IPAを表7に記載した添加量割合とした以外は、実施例17と同様に行った。その性状については、実施例17と同様に表7に記載した。
比較例7〜9
実施例17において疎水性微粒子を用いず、実施例17に記載の単量体混合物のみを実施例17と全く同様な方法で重合、粉砕、乾燥して比較例として両性の高分子凝集剤を得た。比較例7においての蒸留水の添加量は、重合完了時の理論固形分が40重量%となるように調整した。比較例8および比較例9は、IPA添加量を表7に記載した以外は、比較例7と全く同様な方法で重合した。比較例7〜9の性状は、実施例17〜実施例19と同様に表7に記載した。
【0036】
【表7】


【0037】
実施例17〜19および比較例7〜9における評価方法を次に示す。下水処理場の生物処理で生じる有機性汚泥を用いたことと、有機性汚泥に150gに対して、共重合体を0.2重量%に調整した溶解液6g(共重合体固形分換算で80mg/kg(汚泥))添加したこと以外については、表1と同様の操作を行って凝集性能を判定した。
表8に示すようにスチレンブタジエン系ラテックスを添加して重合した共重合体のフロックサイズが大きくなり凝集性能が優れていることが確認された。
【0038】
【表8】


【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の疎水性高分子微粒子を含有するカチオン性およびカチオン・アニオンの両性高分子凝集剤は、廃水、汚泥の固液分離において広く利用することができ、特に生物処理によって生じる有機質汚泥の濃縮・脱水等に有効であり、強固で大きなフロックを形成し、脱水を容易にし、廃棄物の減量に役立つと共に製紙用歩留り向上剤、濾水性向上剤等にも適用可能である。
【出願人】 【識別番号】305013356
【氏名又は名称】三井化学アクアポリマー株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100098556
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々 紘造


【公開番号】 特開2008−6408(P2008−6408A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181684(P2006−181684)