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【発明の名称】 水を使用する間接加熱装置
【発明者】 【氏名】和田 亘康

【氏名】堂元 雅洋

【要約】 【課題】比較的簡便な設備でエネルギー変換の効率を高め、更には、引火や油の焼き付け、分解などの問題が生じない水を使用する間接加熱装置を提供する。

【構成】加熱器14には内部に電熱ヒータ16が設けられていると共に、熱交換器15と加熱器14とは、一端が加熱器14の上部に接続される行き側流路19と一端が加熱器14の下部に接続される返り側流路20によって密閉状態で連結されて、しかも、加熱器14には電熱ヒータ16を完全に漬ける量の水が充填され、かつ熱交換器15、加熱器14、行き側流路19及び返り側流路20内の空気は脱気されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象物を収納する容器に設けられた熱交換器と、該熱交換器に連結される加熱器とを有する加熱装置であって、
前記加熱器には内部に電熱ヒータが設けられていると共に、前記熱交換器と前記加熱器とは、一端が前記加熱器の上部に接続される行き側流路と一端が前記加熱器の下部に接続される返り側流路によって密閉状態で連結されて、
しかも、前記加熱器には前記電熱ヒータを完全に漬ける量の水が充填され、かつ前記熱交換器、前記加熱器、前記行き側流路及び前記返り側流路内の空気は脱気されていることを特徴とする水を使用する間接加熱装置。
【請求項2】
請求項1記載の水を使用する間接加熱装置において、前記加熱器が前記熱交換器の位置より下位置にあって、前記水は前記加熱器を充満し、発生した蒸気によって前記熱交換器に熱を供給していることを特徴とする水を使用する間接加熱装置。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の水を使用する間接加熱装置において、前記加熱器によって発生する蒸気は100〜165℃の範囲であることを特徴とする水を使用する間接加熱装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の水を使用する間接加熱装置において、前記容器は真空蒸留釜であることを特徴とする水を使用する間接加熱装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の水を使用する間接加熱装置において、前記容器は加熱タンク又は加熱乾燥タンクであることを特徴とする水を使用する間接加熱装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば引火性の強い炭化水素等を加熱する場合に、最適に用いられる水を使用する間接加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可燃性のある炭化水素(例えば、灯油、ガソリン)等を加熱する場合には、電気ヒータによって直接加熱される高沸点油を熱媒として使用しポンプで循環することが行なわれている(以下、従来技術1という)。
また、通常熱交換器の加熱には、例えば、特許文献1、非特許文献1に記載のように水を加熱して蒸気とするボイラーが使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−56802号公報
【非特許文献1】「世界大百科事典15」,初版,平凡社,1972年4月25日発行,p.78−84
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術1においては、高沸点油(耐熱油)とは言いながら炭素量の多い炭化水素にすぎず、電気ヒータの表面では300℃以上にもなるので、炭化水素が分解してスラッジを発生したり、また、高沸点油を直接電熱ヒータで加熱することが引火、火災の原因となっている。更には、発生したスラッジの処理や劣化したオイルの廃棄に多大の労力と費用がかかるいう問題があった。
一方、特許文献1や非特許文献1の技術では、水をボイラーで加熱して高温の蒸気を発生させるが、使用後は復水器で水に戻し、再度ボイラーで加熱するので、腹水器が必要になると共に、復水器によって熱エネルギーを廃棄することになり、結局はエネルギーの使用効率が低いという問題があった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、比較的簡便な設備でエネルギー変換の効率を高め、更には、引火や油の焼き付け、分解などの問題が生じない水を使用する間接加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る水を使用する間接加熱装置は、加熱対象物を収納する容器に設けられた熱交換器と、該熱交換器に連結される加熱器とを有する加熱装置であって、
前記加熱器には内部に電熱ヒータが設けられていると共に、前記熱交換器と前記加熱器とは、一端が前記加熱器の上部に接続される行き側流路と一端が前記加熱器の下部に接続される返り側流路によって密閉状態で連結されて、
しかも、前記加熱器には前記電熱ヒータを完全に漬ける量の水が充填され、かつ前記熱交換器、前記加熱器、前記行き側流路及び前記返り側流路内の空気は脱気されている。
【0007】
ここで、本発明に係る水を使用する間接加熱装置において、前記加熱器が前記熱交換器の位置より下位置にあって、前記水は前記加熱器を充満し、発生した蒸気によって前記熱交換器に熱を供給しているのがよく、熱交換器の内部は蒸気で充満させるのがよい。
【0008】
また、本発明に係る水を使用する間接加熱装置において、前記加熱器によって発生する蒸気は100〜165℃の範囲であるのがよく、当然のことながら、加熱器はこの圧力に耐える材料、板厚を有する。
【0009】
そして、本発明に係る水を使用する間接加熱装置において、前記容器は真空蒸留釜である場合、又は加熱タンク又は加熱乾燥タンクである場合に最適に使用できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る水を使用する間接加熱装置は、水を電熱ヒータで直接加熱し、内部は脱気しているので、水蒸気と水のみとなり安全性に優れ、油への引火又は油の焦げつきが発生する心配がない。また、容器内で漏れた場合であっても、成分は水であるので極めて安全性が高い。
特に、熱媒等の炭化水素化合物の加熱や真空蒸留釜の加熱に用いた場合には、安全に加熱処理が行えるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
続いて添付した図面を参照しつつ本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る水を使用する間接加熱装置を用いた減圧式蒸留装置の概略構成図、図2は本発明の他の実施の形態に係る水を使用する間接加熱装置を用いた加熱設備の概略構成図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る水を使用する間接加熱装置13を利用した減圧式蒸留装置10は、例えば使用済の洗浄液(灯油等)を入れる蒸留釜11と、この蒸留釜11から蒸気を冷却して液化するコンデンサー12と、蒸留釜11の加熱源となる水を使用する間接加熱装置13を構成する加熱器14とを有している。以下、これらについて詳しく説明する。
【0013】
水を使用する間接加熱装置13は、この実施の形態では、加熱対象物(使用済洗浄液)を収納する容器の一例である蒸留釜(真空蒸留釜)11に設けられてヒータとして作用する熱交換器15と、熱交換器15に密閉状態で連結される前記した加熱器14とを有している。加熱器14は蒸留釜11より下位置に配置され、十分強度を有する材料であるステレス製のパイプ14a(50A〜65A程度のパイプ材使用)を有し、傾斜配置されたパイプ14aの上端にはフランジ取付けの電熱ヒータ(シーズヒータ)16が取付けられている。この電熱ヒータ16には温度センサーの一例であるサーモスタット17を有し一定の温度(例えば、100〜165℃)に内部の水18を加熱している。そして、このパイプ14aの上部には行き側流路19の一端部が、パイプ14aの下部には返り側流路20の一端部が接続されている。
【0014】
熱交換器15の底部は空間部21を有し、温度を測定する熱電対22が設けられ、更には、配管23を通じて安全弁24、圧力計25及び圧力スイッチ26が設けられている。
一方、蒸留釜11には加熱対象となる洗浄液の供給口27を有し、再生液引込み配管28に設けられているストレーナ29、エアアクチュエータバルブ30、カートリッジフィルタ31、液面調整タンク32を介して再生液(即ち、使用済洗浄液)が蒸留釜11内に供給される。なお、27aは接続口である。
【0015】
一方、蒸留釜11の頂部には、気化された洗浄液の排出口33を有し、ベーパー配管34を介してコンデンサータンク12に供給され、水冷されて液化し、再生された洗浄液は逆止弁35を通ってエジェクター36、エジェクタータンク37、再生液吐出配管38を介して外部に供給されている。なお、39は洗浄液を送るポンプである。また、蒸留釜11は掃除ができるように、下部にフランジ40を有し、分解できるようになっている。
【0016】
加熱器14には電熱ヒータ16を完全に漬ける量の水(蒸留水)が充填されている。なお、この実施の形態では水位は熱交換器15の下部に形成されている空間部21の半分の位置まで水が充填され、その上側は空間部となって、加熱された水が水蒸気となって充満するようになっている。熱交換器15、加熱器14、行き側流路19及び返り側流路20は全て連通し、内部の空気は真空ポンプで略完全に除去されている。
【0017】
この状態で、使用済洗浄液を供給口27から蒸留釜11内に入れ、電熱ヒータ16のスイッチを入れてサーモスタット17を例えば160℃に設定すると、水の温度が160℃まで加熱される。水の一部は蒸気になって、行き側流路19から熱交換器15に供給される。蒸気によって、熱が供給された熱交換器15では、使用済洗浄液が加熱されて蒸気化し、これに伴い水蒸気の温度が下がって水となり、下部の空間部21に落ちて、返り側流路20を通じて、加熱器14を構成するパイプ14a内に入る。このようにして、水は電熱ヒータ16によって加熱されて水蒸気になり、熱交換器15に供給され、液化して加熱器14に戻される閉回路を構成している。
【0018】
蒸留釜11からの蒸留ガスはコンデンサータンク12で液化され、エジェクター36及びエジェクタータンク37を介して外部に供給される。
加熱器14及び熱交換器15内の圧力は、水の加熱温度が例えば160℃の場合には約0.6MPaになるので、全体はこれに耐える設計がなされている。
これによって、洗浄液は水蒸気の温度より高い温度に曝されることもない。また、電熱ヒータ16は水(冷媒)を加熱しているので、冷媒の焦げつきや分解等は発生しない。
【0019】
続いて、図2を参照しながら、本発明の他の実施の形態に係る水を使用する間接加熱装置を用いて、例えば、可燃性物質等を乾燥又は加熱する加熱設備43について説明する。
加熱対象物を収納する容器の一例である加熱タンク(又は加熱乾燥タンク)44の周囲には、ヒータとして作用する複数のパイプ材45aを有する熱交換器45を有し、この熱交換器45には加熱器46からの水蒸気が供給されるようになっている。加熱器46は、熱交換器45の下位置になって斜め配置されたステンレス製のパイプ47を有し、このパイプ47の上端からフランジ接合で電熱ヒータ48が設けられている。この加熱器46にはサーモスタット(温度調節器)49が設けられ、電熱ヒータ48によって加熱する水の温度を一定に制御している。
【0020】
加熱器46と熱交換器45は行き側流路50と返り側流路51とによって連結されている。行き側流路50の一端部(下端部)は加熱器46の上側に、返り側流路51の一端部(下端部)は加熱器46の下側に接続されている。行き側流路50には、安全弁52、圧力計53、及び圧力スイッチ54が設けられた配管55が接続されている。
加熱器46の内部には水(蒸留水)が充満され、その水位は熱交換器45を構成する各パイプ45aの下部に接続される返り側流路51の上部位置、即ち、パイプ45aの下端部までとなっている。なお、内部の水は略完全に脱気されている。
【0021】
従って、この実施の形態においては、加熱器46の電熱ヒータ48を通電すると、内部の水が加熱され、水蒸気となって行き側流路50を通り、熱交換器45側に移動し、加熱タンク44を加熱する。加熱によって熱が奪われるので、水蒸気は液化し、パイプ45a内を下側に下がり、返り側流路51を通じて加熱器46に戻り、結果として加熱器46から熱を熱交換器45に供給するサイクルを繰り返し、加熱タンク44内に入っている対象物を加熱する。
【0022】
前記実施の形態においては、水蒸気の流れは故障の少ない自然対流によって行ったが、必要によって強制対流であってもよい。
また、前記実施の形態においては、水を使用する間接加熱装置を、洗浄液の再生、加熱対象物の加熱に適用した例を示したが、その他の連続式の加熱設備に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態に係る水を使用する間接加熱装置を用いた減圧式蒸留装置の概略構成図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る水を使用する間接加熱装置を用いた加熱設備の概略構成図である。
【符号の説明】
【0024】
10:減圧式蒸留装置、11:蒸留釜、12:コンデンサータンク、13:間接加熱装置、14:加熱器、14a:パイプ、15:熱交換器、16:電熱ヒータ、17:サーモスタット、18:水、19:行き側流路、20:返り側流路、21:空間部、22:熱電対、23:配管、24:安全弁、25:圧力計、26:圧力スイッチ、27:供給口、27a:接続口、28:再生液引込み配管、29:ストレーナ、30:エアアクチュエータバルブ、31:カートリッジフィルタ、32:液面調整タンク、33:排出口、34:ベーパー配管、35:逆止弁、36:エジェクター、37:エジェクタータンク、38:再生液吐出配管、39:ポンプ、40:フランジ、43:加熱設備、44:加熱タンク、45:熱交換器、45a:パイプ材、46:加熱器、47:パイプ、48:電熱ヒータ、49:サーモスタット、50:行き側流路、51:返り側流路、52:安全弁、53:圧力計、54:圧力スイッチ、55:配管
【出願人】 【識別番号】595039519
【氏名又は名称】株式会社アクアテック
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男

【識別番号】100139262
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 和昭


【公開番号】 特開2008−6368(P2008−6368A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178363(P2006−178363)