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【発明の名称】 フッ素化合物含有ガスの処理方法及び処理装置
【発明者】 【氏名】佐々木 崇

【氏名】菅野 周一

【氏名】玉田 慎

【要約】 【課題】PFC含有ガス中に水及び又は他のガスと反応して固形物を生成する気体化合物が含まれても、触媒層の目詰まり、或いは湿式除去装置及び排水ラインの閉塞が起こらないようにする。

【構成】PFC含有ガスに含まれる水及び/又は他のガスと反応し固形物を形成する気体化合物を湿式除去装置の下流側から供給し、湿式除去装置内で固形物を形成することを防ぐ。湿式除去装置内で固形物が生成することを防ぐことで、除去されなかった固形物による触媒層の目詰まり、或いは生成固形物による湿式除去装置内及び排水ラインの閉塞を防ぐことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素化合物を分解するフッ素化合物含有ガスの処理方法であって、
前記フッ素化合物含有ガスは、フッ素化合物と、水または他の被処理ガス成分の少なくともいずれかと反応して固形物を生成する気体化合物とを含み、
少なくとも前記フッ素化合物含有ガスの固形物を除去する湿式除去工程と、
前記湿式除去された前記フッ素化合物含有ガスを分解するフッ素化合物分解工程と、を有し、
前記気体化合物と反応する被処理ガス成分を、前記フッ素化合物分解工程に、または湿式除去工程の下流側であって、前記フッ素化合物分解工程の上流側に供給する被処理ガス供給工程を有することを特徴とするフッ素化合物含有ガスの処理方法。
【請求項2】
請求項1において、前記フッ素化合物としてパーフルオロコンパウンド(PFC)を含むことを特徴とするフッ素化合物含有ガスの処理方法。
【請求項3】
請求項1において、前記気体化合物はSOxを含み、前記被処理ガスはアンモニアを含むことを特徴とするフッ素化合物含有ガスの処理方法。
【請求項4】
請求項1において、前記フッ素化合物分解工程は触媒を用いてフッ素化合物を分解する工程であることを特徴とするフッ素化合物含有ガスの処理方法。
【請求項5】
少なくとも、フッ素化合物と、水または他の被処理ガス成分の少なくともいずれかと反応して固形物を生成する気体化合物とを含むフッ素化合物含有ガスの供給口と、
前記フッ素化合物含有ガス中の固形物を除去する湿式除去装置と、
前記フッ素化合物を分解する反応器とを備えたガス分解処理装置であって、
前記ガス分解処理装置は、前記気体化合物と反応して固形物を生成する被処理ガスの導入口を有し、前記導入口は前記反応器に、または前記湿式除去装置の下流側であって前記反応器の上流側に設けられていることを特徴とするガス分解処理装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記反応器の後段に、排ガス洗浄装置を備えたことを特徴とするガス分解処理装置。
【請求項7】
請求項5において、前記反応器は前記フッ素化合物を分解する触媒が内蔵されていることを特徴とするフッ素化合物含有ガスの処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理方法と処理装置に関し、特に、半導体,液晶製造工場から排出されるフッ素化合物を含むガスを処理するための処理方法と処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体或いは液晶の製造プロセスでは、エッチング或いはクリーニングを行うにあたり、通常、フッ素化合物ガス、特にパーフルオロコンパウンド(Perfluorocoupound 、以下PFCという)を用いる。PFCの一例を示すと、CF4,C26,C38,CHF3
48,SF6、及びNF3 等がある。PFCは二酸化炭素(CO2)の数千倍から数万倍の赤外線吸収度を持つ地球温暖化ガスであり、2005年2月に発行された京都議定書で全世界的に排出が制限された。エッチング或いはクリーニング工程では、導入したPFCの一部しか使用されず、大部分は排ガスとして排出される。このように大気に排出されるPFCは除去或いは分解してから排気されることが必要になる。
【0003】
PFCの処理方法としては、触媒法,燃焼法,プラズマ法,薬剤法等が知られている。現在は簡便なメンテナンス,低ランニングコスト,高PFC分解率の面から、触媒法を用いたPFC分解方法の普及が広まっている。
【0004】
触媒による分解方法では、多くの場合、前処理として固形物の除去処理が施される。前処理には湿式、及び乾式方法があるが、酸性ガスを同時に除去できるという利点から水スプレー塔のような湿式方法が多く用いられる(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−137659号公報(段落番号0008)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、エッチング方法の多様化により、エッチング排ガス中にSiF4,SiCl4
SiBr4,S2Cl2,F2,Cl2,Br2,HF,HCl,HBr,SO2,SO3等の酸性ガスやNH3 、及びCOなどのガスが含まれる。また、装置の設置スペース削減策として、様々なエッチング工程から排出されたガスを集約し、一括処理する場合がある。
【0007】
しかし、一括処理するガスに水や他のガスと反応して固形物を形成するガスが含まれると触媒層や湿式除去装置の閉塞を引き起こす。半導体,液晶製造工場から排出されるPFC含有ガス中にはPFCの他に固形物や相互反応により二次的に固形化する気体化合物が多く含まれる。PFC含有ガスに固形化する気体化合物が含まれると、例えば湿式除去装置内で固形化し、これがPFC含有ガスに同伴して触媒層まで流れ、触媒層の目詰まりの原因になる。
【0008】
固形物を形成するものの一例として、NH3とSO3の共存ガスが挙げられる。NH3,SO3は式(1)の反応で固形物(NH4)2SO4を生成する。
2NH3+SO3+H2O → (NH4)2SO4 (1)
また、エッチング排ガス中にNH3が存在し、湿式除去装置での供給水としてH2SO4を含む循環水を使用している場合は式(2)の反応が進行する。
2NH3+H2SO4 → (NH4)2SO4 (2)
(NH42SO4は固形物であり、(NH42SO4の生成により湿式除去装置,排水ラインの閉塞、或いは触媒層の目詰まりを引き起こす可能性がある。
【0009】
湿式除去装置内に気液接触効率の向上を目的として、例えばラシヒリングのような充填物を設置している場合、充填物に固形物が析出し、湿式除去装置内でも閉塞が起きる。更に、湿式除去装置内で多量の固形物が生成すると、排水ラインが閉塞する可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、PFC含有ガスにNH3,SO3共存ガスのように反応して固形化する気体化合物が含まれていても、触媒層の目詰まり、或いは湿式除去装置、及び排水ラインの閉塞等を起こさないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本願発明の特徴は、上式(1)及び(2)の反応が起こらないように、ガス供給ラインを分離したことにある。本発明は、PFCを含む排ガスと別工程で使用され排出される気体化合物であって、水またはその他のガスと反応して固形物を生成する気体化合物について、PFCガスの湿式除去工程の下流部であってPFC分解工程の上流部に供給することにある。このようにすることにより、PFCと前記の気体化合物とはPFC分解触媒に接触し、分解する。
【0012】
具体的には、PFCを含むガス中の固形成分を水を用いて除去する湿式除去工程と、湿式除去されたガスに含まれるPFCを分解するPFC分解工程と、前記ガスに含まれる酸性成分を除去する酸性ガス除去工程とを有し、PFCガス中の固形成分またはガスに含まれる成分と反応する物質を前記湿式除去され分解工程に導入する処理ガスまたは、PFC分解工程に追加する工程を有することを特徴とする排ガス浄化方法にある。
【0013】
PFCガス中と共に処理装置に供給され、水またはその他の成分と反応する成分の例としては、SO3,HF,SiF4,HCl,S2Cl2,SCl2,CO,CO2等がある。これらの成分及び水と反応する物質で、半導体製造工程等で使用されるガス成分の例としては、例えばNH3,WF6,BCl3等がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、PFC含有ガスに含まれている水及び/又は他のガスとの相互反応により固形物を生成する気体化合物が触媒式PFC分解装置に供給されても、新たな固形物の生成を抑制することができ、触媒層の目詰まり、及び湿式除去装置等の閉塞を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、少なくともPFC,SO3、およびNH3を処理するための本発明の処理システムの一例を示したシステムフローである。本システムは湿式除去工程,PFC分解工程,排ガス冷却工程,酸性ガス除去工程から構成される。PFC,SO3、およびNH3は半導体或いは液晶の製造プロセス等から排出されるため、このシステムは半導体、液晶の製造工程の周辺に配置される。
【0016】
PFCとSO3を含むガスは湿式除去工程に送られ、ガス中の固形物及びSO3が除去される。固形物及びSO3 が除去されたガスはPFC分解工程に送られるが、湿式除去工程とPFC分解工程の間にエッチング等で使用されたNH3 含有排ガスが新たに供給される。供給されたNH3 含有ガスとPFCはPFC分解工程で処理される。PFC分解後の排ガスは排ガス冷却工程で冷却される。最後に、PFC,NH3 分解によって生成した酸性ガスは酸性ガス除去工程で除去され、無害化された後、大気に排出される。
【0017】
NH3 を含有する排ガス、例えばエッチング工程の排ガスを予め一括処理するラインから分離しておくことが好ましい。予め分離しておくことで、混合ガスからのガス精製等を行うことなく別々に供給することができる。混合ガスよりNH3 を分離する工程は、圧力変化を利用したガス分離方法(PSA)や分子篩いなど、一般的なガス分離方法が考えられる。
【0018】
湿式除去工程の下流部から供給する気体化合物としては、腐食性が低く且つ後段の触媒層で分解可能なガスが好ましい。従って、腐食性が高いガスや、後段の触媒層で分解できないガスはPFC分解工程の前段で別途分解・除去する工程を追加することが好ましい。
【0019】
NH3とSO3の場合はNH3を湿式除去工程の下流部に直接供給できる。NH3は金属腐食性も低く、後段のPFC分解工程で分解されるためである。SO3 を湿式除去工程に導入すると、H2O と反応し、H2SO4となって水に溶解し、ガス中から除去される。したがって、湿式除去工程から排出されたガス中にはSO3は含まれず、上式(1),(2)により固形物が生成することはない。
【0020】
湿式除去工程の下流部または触媒層に導入するガス流路には、固形物除去フィルタを設置することが望ましい。例えば、NH3 含有エッチング排ガス供給ライン中に固形物除去フィルタを設置する。NH3 含有ガスは直接触媒層に流入する。したがってガス中に固形物が存在すると、触媒層上に蓄積し、目詰まりを引き起こす可能性があるためである。フィルタ設置方法以外でも例えば充填材を設置する方法等があるが、固形物を除去できる方法であれば何でもよい。但し、PFC分解反応槽に触媒が充填されていない場合は、必ずしも設置する必要はない。
【0021】
湿式除去工程の下流部または触媒層に導入するガスは、空気または不活性ガスで希釈して供給することが好ましい。例えば、NH3 含有エッチング排ガスを供給する際に空気で希釈して供給する。湿式除去工程を通過したガス中に除去しきれなかった硫酸ミストが含まれている場合、NH3 供給により固形物が形成される(式1)。しかし、空気で希釈することで、NH3 と硫酸ミストの分子衝突を少なくし、固形物の生成を抑制する。空気はPFC分解の反応助剤として供給不可欠なガスである。NH3 の希釈が必要無い場合は
PFC分解工程の前段であればどこから供給してもよい。
【0022】
また、NH3 含有エッチングガスを供給する場所は湿式除去工程とPFC分解工程の間、又はPFC分解工程の中等、どこでも良い。特に、湿式除去工程からの排出ガス中に硫酸ミストが多く含まれる場合はPFC分解工程の中に供給することが望ましい。PFC供給工程内は高温状態であり、NH3 が硫酸ミストと接触して固形物(NH4)2SO4 を形成する前に分解される為である。
【実施例1】
【0023】
以下、実施例により詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、広くフッ素化合物含有ガスの処理に適用できる。
【0024】
図2は、本発明の処理方法の一例を示したシステム構成図である。本システムは湿式除去装置(充填塔型除去装置100),触媒式反応槽110,ガス冷却装置120,酸性ガス除去装置130から構成される。本システムの上流側のエッチング工程から排出されたガスにはPFC,SO3の他、SO3 と反応して固形物(NH4)2SO4 を生成するNH3 が含まれる。NH3含有エッチング排ガスライン以外のPFC,SO3含有ガスライン10は、湿式除去装置に送られ、固形物及びSO3が除去される。また、NH3含有エッチング排ガス11は湿式除去装置の下流部から供給する。その際、空気12によって希釈させて供給する。ガスを分離供給することで湿式除去装置内での固形物生成が抑制される。
【0025】
湿式除去装置で固形物を除去したPFC含有ガスと湿式除去装置下流から供給された
NH3 含有エッチング排ガスは触媒式反応槽110で分解される。その際、反応助剤として反応水21を供給する。PFC、及びNH3を分解すると、酸性ガスのHF,SOx及びNOxが生成する。これらのガスはガス冷却装置120で冷却された後、酸性ガスが酸性ガス除去装置130で除去され、無害化された後排出される。
【0026】
本実施例では湿式除去装置として充填塔型除去装置100を例示しているが、充填塔型以外の湿式処理装置として、スプレー型,棚段型気液接触装置,スクラバなどがある。いずれも気液の接触が十分であることが望ましい。また、装置の内径が小さいと、装置内のガス線速度が大きくなり、ガスに同伴するミスト量も多くなる。したがって、装置内のガス流速が10m/min以上18m/min以下となるように設計することが望ましい。また、湿式処理装置への流入水として、水道水或いは装置内の循環水を使用することができるが、循環水のみを使用すると、循環水に溶解した固形物や酸性成分がミストとして多く排出される可能性がある。したがって、充填塔やスプレー塔に設置する場合、最上段のノズルからは水道水を流入し、棚段,スクラバからの流入水には水道水も流入させ、流入水中の酸性成分、及び固形物の濃度を低くすることが望ましい。また、流入水としては、水道水,循環水以外に、アルカリ水溶液等を用いてもよい。
【0027】
湿式除去装置後段にミスト除去材を設置することが望ましい。SOxやHFは湿式除去装置で水と接触し、ミストとなって排出されるケースが多い。ミスト状のH2SO4が排出されると、その後に供給したNH3 と反応して固形物を形成してしまう。したがって、ミストの排出を極力抑制するためにミスト除去材を設置する。ミスト除去材としてはラシヒリング等の充填物やフィルタ状のものが使用できる。ミスト除去材を湿式除去装置上段に入れても良いが、より径を小さくした容器に入れ、ガスラインの途中に設置した方が効果的である。径を小さくすることで管内線速度を上げ、ミスト除去材とミストとの慣性衝突を促進させ、ミスト除去効率を上げることができる。
【0028】
PFCは触媒上で加水分解される。下記に代表的なPFCの分解反応を示す。
CF4+2H2O → CO2+4HF (3)
26+3H2O → CO+CO2+6HF (4)
48+4H2O → 4CO+8HF (5)
CHF3+H2O → CO+3HF (6)
SF6+3H2O → SO3+6HF (7)
2NF3+3H2O → NO+NO2+6HF (8)
式(4),(5),(6)の反応ではCOが生成するが、反応助剤として空気を供給することでCO2となる。
【0029】
また、NH3 は下記式により酸化分解される。
【0030】
2NH3+3O2 → NO+NO2+3H2O (9)
PFCの分解に使用される触媒は、加水分解用あるいは酸化分解用の触媒であり、例えばAlとZn,Ni,Ti,Fe,Sn,Co,Zr,Ce,Si,W,Pt,Pdから選ばれた少なくとも1種を含む触媒である。触媒成分は酸化物、金属、複合酸化物などの形で含まれる。特にAlとNi,Zn,Ti,Wから選ばれた少なくとも1種との触媒が高いPFC分解性能を持つので好ましい。
【0031】
PFCの加水分解に際して反応塔に添加される水蒸気の量は、加水分解に必要とされる理論水蒸気量の2〜50倍、通常は3〜30倍が好ましい。
【0032】
PFCの加水分解温度は500〜850℃が好ましい。PFC濃度が高い場合には反応温度を高めにし、PFC濃度が1%以下の場合には反応温度を低めにするのがよい。反応温度が850℃よりも高くなると触媒が劣化しやすくなり、反応塔材料も腐食しやすくなる。反対に反応温度が500℃よりも低くなるとPFCの分解率が低下する。
【0033】
実施例1では触媒式反応槽110の下流にガス冷却装置120を設置している。ガス冷却装置120ではノズル121により例えば水を噴霧してガス温度を所定温度に下げる。この方法の他、水冷方式あるいはガス冷却方式の一般的な熱交換器を使用してもよい。また、ガス中に圧縮空気などを導入して所定温度に制御してもよい。
【0034】
酸性ガス除去装置としては一般的な湿式及び乾式除去装置を使用することができる。湿式の例としてはスプレー塔のほか、充填塔,スクラバ,棚段型気液接触装置がある。また、乾式の例として、酸性ガス除去剤による固定層,移動層,流動層型乾式除去装置がある。また、バグフィルタ方式もよい。酸性ガス除去剤としては、アルカリ金属,アルカリ土類金属の塩基性塩、例えば水酸化カルシウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化マグネシウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カルシウム,酸化カルシウムが使用できる。
【実施例2】
【0035】
本実施例ではNH3とSO3を分離供給することで湿式除去装置内に固形物が生成するかどうかを確認した。試験装置の構成を図3に示す。ポールリングを充填した充填塔4の上部にスプレーノズル5を2つ設置し、充填塔4の上部にミスト除去フィルタ6を設置した。また、充填塔4の下部には排水タンク7を設けた。ミスト除去フィルタを通過したガスはPFC分解装置に送られるようにした。本実施例ではまず、PFC,SO3及びN2の混合ガス1を充填塔4の入口から流入し、NH3 を空気で希釈したガス2を充填塔4の出口から供給し、充填塔内,ミスト除去フィルタ,排水タンク内、及び充填塔出口配管内に固形物が生成するかどうかを調べた。その結果、いずれの場所にも固形物の生成は確認されなかった。
【0036】
〔比較例1〕
実施例2との比較として、NH3とSO3を一緒に充填塔4に供給した場合の固形物の生成状態を確認した。試験装置は図3と同様とした。実施例2と同様に充填塔内,ミスト除去フィルタ,排水タンク内、及び充填塔出口配管を観察した。その結果、排水タンク内には固形物の生成は確認されなかったがその他の部分では固形物の付着が確認された。
【実施例3】
【0037】
本実施例ではNH3とPFCの一種であるC48をPFC分解触媒に流通させ、NH3とC48の分解率を測定した。試験装置の構成を図4に示す。
【0038】
2,Air,C48,NH3をマスフローコントローラー40で調節して反応管50に供給した。供給量は、N2バランスとして、NH3を約1.00vol%、C48を約0.72
vol%とし、AirはO2 濃度が約2.97vol%となるようにした。また、H2Oを反応管50の上部へマイクロチューブポンプ80を用いて供給し、ガス化させた。尚、この条件での水蒸気量はC48加水分解反応当量比の15倍であった。この反応ガスをPFC分解触媒54と空間速度1230毎時で接触させた。反応管50は電気炉51によりPFC分解触媒24が700〜800℃となるように加熱した。反応管50は内径32mmのインコネル製である。PFC分解触媒によって分解されたガス中にはフッ化水素が含まれるため、水800mlを入れた排ガス洗浄槽(酸性ガス吸収槽60)によってフッ化水素を除去したのち、ミストトラップ70を通過させてミスト分を除去した。ミストトラップ70の後段にガス採取口90を設け、排ガスの一部を採取し、排ガス中のC48,NH3 量を測定した。C48,NH3の分解率はTCDガスクロマトグラフにより次式で求めた。
48分解率(%)=1−(出口のC48/供給したC48))×100 (3)
NH3分解率(%)=1−(出口のNH3/供給したNH3))×100 (4)
試験結果を表1に示す。NH3 は700℃以上の反応温度で99%以上の分解率が得られた。また、C48は700℃では分解率が約98%であるが、750℃まで上げることで分解率が99%以上となった。したがって、NH3 ,C48を触媒反応器に流入させることでいずれも分解することが分かった。
【0039】
【表1】


【実施例4】
【0040】
本実施例では、触媒反応器内でのNH3 ,PFCの同時分解反応における供給O2 量の依存性を測定した。PFCとしてC48を用い、試験装置の構成及びN2 ,NH3,H2O流入量は図2と同様とした。NH3が酸化分解されるために必要なO2量は式(9)によりモル比でNH3の1.5倍である。また、C48は式(5)により分解され、COが発生するが、O2をモル比でC48の2倍供給することでCOが全てCO2となる。NH3,C48分解反応においてO2供給量が理論量より少ない場合と多い場合におけるNH3及びC48の出口検出量を測定した。反応温度は750℃とした。結果を表2に示す。
【0041】
48はO2供給量に関係なく、出口検出量は1.0ppm以下であった。しかし、NH3はO2供給量比が理論量よりも小さい0.9だと出口検出量は29ppm であったのに対し、理論量の2倍供給すると出口検出量が0.3ppmまで低減した。CO酸化反応の方がNH3 酸化反応よりも進行しやすいことが示唆された。したがって、CO,NH3 が共存する反応系では、O2 供給量を理論量の2倍以上とすることが好ましい。
【0042】
【表2】


【実施例5】
【0043】
図5は、本発明の別の処理方法の一例を示したシステム構成図である。本システムは湿式除去装置としてスプレー塔200、PFC分解装置として酸化分解式反応槽220、冷却装置として圧縮空気供給装置230、酸性ガス除去装置として乾式バグフィルタ250を用いた例である。PFC,SO3 含有ガス10はスプレー塔に送られ、固形物及び酸性ガスが除去される。また、NH3 含有エッチング排ガス11は、固形物除去フィルタ210に通された後、酸化分解式反応槽220の内部に供給される。スプレー塔で固形物が除去されたPFC含有ガスは酸化分解式反応槽220に送られ、分解される。仮にスプレー塔から排出されたガス中に硫酸ミストが含まれていても、NH3 を反応槽内に供給することでNH3は直ちに酸化分解される。NH3,PFCの分解ガスは圧縮空気供給装置内で冷却される。また、NH3 ,PFCの分解により生成した酸性ガスはバグフィルタ250で吸収除去され、無害化された後、大気に排出される。
【0044】
本実施例では分解方式として酸化分解方式を例としたが、本発明は触媒式,酸化分解式の他、燃焼式,薬剤吸収式、及びプラズマ式いずれの方法でも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明により、半導体や液晶工場で使用されたPFCガスを、PFC分解触媒を用いて、触媒層の目詰まり、或いは湿式除去装置、及び排水ラインの閉塞を起こすことなく分解できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の処理方法の一例を示すシステムフロー図である。
【図2】本発明の処理方法の一例を示すシステム構成図である。
【図3】実験に使用した装置の概略図である。
【図4】実験に使用した装置の概略図である。
【図5】本発明の処理方法の一例を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0047】
40…マスフローコントローラー、60…酸性ガス吸収槽、70…ミストトラップ、
80…マイクロチューブポンプ、100…充填塔、101…スプレーノズル、111…電気炉、113…PFC分解触媒、140…エゼクタ、210…固形物除去フィルタ、220…酸化分解装置、240…酸性ガス除去剤供給サイロ、251…濾布。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学


【公開番号】 特開2008−6352(P2008−6352A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177483(P2006−177483)