トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般

【発明の名称】 脱臭装置及び脱臭方法
【発明者】 【氏名】足利 伸行

【氏名】仕入 英武

【氏名】林 幸司

【氏名】君島 和彦

【要約】 【課題】アンモニアを含む臭い成分を汚泥炭化物により吸着して効率的に脱臭でき、吸着後の汚泥炭化物は肥料や水分調整剤としても利用できる脱臭装置及び脱臭方法を提供する。

【構成】被処理物から生じる、アンモニアを含む臭い成分ガスをファン2により収集して送風する。このファン2により送風される臭い成分ガスの流量及びガス濃度を測定手段10,11で測定する。脱臭器3は、ファン2により送風されたガスの臭い成分を汚泥炭化物4により吸着する。そして、測定手段10,11により測定された流量及びガス濃度の値により、脱臭器3における汚泥炭化物4の交換時期が管理される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物から生じる、アンモニアを含む臭い成分ガスを収集して送風するファンと、
このファンにより送風される臭い成分ガスの流量及びガス濃度を測定する測定手段と、
前記ファンにより送風されたガスの臭い成分を汚泥炭化物により吸着する脱臭器とを備え、
前記測定手段により測定された流量及びガス濃度の値により前記脱臭器における汚泥炭化物の交換時期が管理されることを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
被処理物から生じる、アンモニアを含む臭い成分ガスを収集して送風するファンと、
このファンにより送風される臭い成分ガスの流量及びガス濃度を測定する測定手段と、
前記ファンにより送風されたガスの臭い成分を汚泥炭化物により吸着する脱臭器と、
前記測定手段により測定された流量及びガス濃度の値が設定値を越えると前記脱臭器に新たな汚泥炭化物を搬入し、かつ、この脱臭器から吸着後の汚泥炭化物を搬出する汚泥炭化物の搬入搬出装置と、
を備えたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項3】
被処理物が堆肥化設備で処理される堆肥原料であり、吸着後の汚泥炭化物は堆肥化設備に対し水分調整剤として投入されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脱臭装置。
【請求項4】
被処理物が堆肥化設備で処理される堆肥原料であり、脱臭器は複数段直列に連結され、前段の脱臭器による吸着後の汚泥炭化物は前記堆肥化設備の下流側に、後段の脱臭器による吸着後の汚泥炭化物は前記堆肥化設備の上流側に、それぞれ水分調整剤として投入されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脱臭装置。
【請求項5】
被処理物から生じる、アンモニアを含む臭い成分ガスをファンにより収集して脱臭器に送風する工程と、
このファンにより送風される臭い成分ガスの流量及びガス濃度を測定手段により測定する工程と、
前記ファンにより送風されたガスの臭い成分を脱臭器に設けられた汚泥炭化物により吸着する工程と、
前記測定手段により測定された流量及びガス濃度の値が設定値を越えると、前記脱臭器から汚泥炭化物を取り出し新たな汚泥炭化物を脱臭器に供給する工程と
を有することを特徴とする脱臭方法。
【請求項6】
測定手段により測定された流量及びガス濃度の値が設定値を越えると、脱臭器から汚泥炭化物を、土壌改良剤或いは肥料として取り出すことを特徴とする請求項5に記載の脱臭方法。
【請求項7】
測定手段により測定された流量及びガス濃度の値が設定値を越えると、脱臭器から汚泥炭化物を、被処理物に対する水分調整剤として取り出すことを特徴とする請求項5に記載の脱臭方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、堆肥化設備などから生じるアンモニアを含む臭い成分を汚泥炭化物により脱臭する脱臭装置及び脱臭方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ごみや建築廃材、廃プラスチック等の廃棄物をリサイクルして有効利用する試みがなされており、ごみなどを固形燃料として利用することが行われている。また、下水処理場や食品工業等から生じる有機性汚泥を炭化して、吸着材や土壌改良材等に使用することも考えられている。このような炭化物を製造する方法及び装置に関して、汚泥をそのままの状態で炭化する方法が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、乾燥処理を行なった後に炭化する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、汚泥におが屑や粘土等を混合して成形した後、炭化する方法も提案されている(例えば、特許文献3又は4参照)。
【0003】
また、農業集落で生じる排水の処理汚泥は、重金属物質があまり含まれていないので、遠心脱水機で濃縮し、脱水した後、遠心薄膜乾燥機等により乾燥して、農地施肥や、コンポスト堆肥として農地還元等に利用されている。しかし、農地施肥やコンポスト堆肥は使用時期が偏っている為に、貯蔵中に汚泥の変質が生じ、臭気が発生する等の問題が発生する。
【0004】
そこで、農業集落排水処理汚泥については、その乾燥汚泥の新たな利用法として、乾燥汚泥を炭化して汚泥炭化物を生成することが考えられた。
【特許文献1】特開2001−232397号公報
【特許文献2】特開2001−47097号公報
【特許文献3】特開平6−63538号公報
【特許文献4】特開平8−71596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにして作られた汚泥炭化物は、活性炭のような脱臭・吸着材として使用できることがわかった。
【0006】
本発明の目的は、アンモニアを含む臭い成分を汚泥炭化物により吸着して効率的に脱臭でき、吸着後の汚泥炭化物は肥料や水分調整剤としても利用できる脱臭装置及び脱臭方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の脱臭装置は、被処理物から生じる、アンモニアを含む臭い成分ガスを収集して送風するファンと、このファンにより送風される臭い成分ガスの流量及びガス濃度を測定する測定手段と、前記ファンにより送風されたガスの臭い成分を汚泥炭化物により吸着する脱臭器とを備え、前記測定手段により測定された流量及びガス濃度の値により前記脱臭器における汚泥炭化物の交換時期が管理されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の脱臭装置は、被処理物から生じる、アンモニアを含む臭い成分ガスを収集して送風するファンと、このファンにより送風される臭い成分ガスの流量及びガス濃度を測定する測定手段と、前記ファンにより送風されたガスの臭い成分を汚泥炭化物により吸着する脱臭器と、前記測定手段により測定された流量及びガス濃度の値が設定値を越えると前記脱臭器に新たな汚泥炭化物を搬入し、かつ、この脱臭器から吸着後の汚泥炭化物を搬出する汚泥炭化物の搬入搬出装置とを備えた構成でもよい。
【0009】
本発明の脱臭装置では、被処理物が堆肥化設備で処理される堆肥原料であり、吸着後の汚泥炭化物は堆肥化設備に対し水分調整剤として投入されるように構成してもよい。
【0010】
また、本発明の脱臭装置では、被処理物が堆肥化設備で処理される堆肥原料であり、脱臭器は複数段直列に連結され、前段の脱臭器による吸着後の汚泥炭化物は前記堆肥化設備の下流側に、後段の脱臭器による吸着後の汚泥炭化物は前記堆肥化設備の上流側に、それぞれ水分調整剤として投入されるように構成してもよい。
【0011】
本発明の脱臭方法は、被処理物から生じる、アンモニアを含む臭い成分ガスをファンにより収集して脱臭器に送風する工程と、このファンにより送風される臭い成分ガスの流量及びガス濃度を測定手段により測定する工程と、前記ファンにより送風されたガスの臭い成分を脱臭器に設けられた汚泥炭化物により吸着する工程と、前記測定手段により測定された流量及びガス濃度の値が設定値を越えると、前記脱臭器から汚泥炭化物を取り出し新たな汚泥炭化物を脱臭器に供給する工程とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の脱臭方法では、測定手段により測定された流量及びガス濃度の値が設定値を越えると、脱臭器から汚泥炭化物を、土壌改良剤或いは肥料として取り出すようにしてもよい。
【0013】
さらに、本発明の脱臭方法では、測定手段により測定された流量及びガス濃度の値が設定値を越えると、脱臭器から汚泥炭化物を、被処理物に対する水分調整剤として取り出すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンモニアを含む臭い成分を汚泥炭化物により吸着すると共に、臭い成分ガスの濃度および流量を測定することにより汚泥炭化物の交換時期を的確に把握でき、効率的な脱臭が可能となる。また、吸着後の汚泥炭化物は肥料や水分調整剤としても利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明による脱臭装置及び脱臭方法の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1において、1は臭気を発する処理設備で、ここでは堆肥化設備を例示している。2はファンで、堆肥化設備1における被処理物(例えば、豚の糞尿などの堆肥原料)から生じる、アンモニアを含む臭い成分ガスを収集して、後述する脱臭器3に送風する。10は風量計、11はガス濃度計で、ファン2により脱臭器3に送風される臭い成分ガスの流量及びガス濃度を測定する測定手段として機能する。脱臭器3は、ファン2により送り込まれるガス中の臭い成分を吸着して脱臭するもので、臭い成分の吸着剤として汚泥炭化物4を用いている。この脱臭器3の排気側にもガス濃度計11が設けられており、脱臭器3から排気されるガスの濃度を監視している。
【0017】
このように構成された本実施の形態において、堆肥化設備1より発生するアンモニアを主とした臭気ガスは、脱臭ファン2にて収集され、脱臭器3に送られ、その内部に充填された汚泥炭化物4により臭気成分が除去される。汚泥炭化物4は臭気成分を吸着し、破過した後に系外に排出される。
【0018】
この実施の形態では、汚泥炭化物4を内包した脱臭器3へ送られる臭気ガスの流量を測定する風量計10と、少なくとも臭気成分濃度を測定するガス濃度計11を設けたので、汚泥炭化物4への吸着量をオンラインで把握することができる。このように、測定手段10,11により測定された流量及びガス濃度の値により、脱臭器3における汚泥炭化物4の吸着状態を把握できるので、その交換時期を適切に管理することができる。
【0019】
ここで、汚泥炭化物4には上述した脱臭工程にて多量の窒素成分が含有される。また、汚泥炭化物4には、アンモニアの吸着能力を向上させるためにリン酸を添着させている。これらの結果、脱臭器3で使用され、使用後に系外へ排出された汚泥炭化物には、窒素、リンなどの肥効成分が多量に含まれる。すなわち、系外に排出された汚泥炭化物4には、その製造段階にてリン酸が添着されており、また脱臭剤として使用される工程にて、アンモニアなどの窒素成分が吸着される。したがって、そのまま土壌改良剤、あるいは肥料として再利用される。
【0020】
ここで、汚泥炭化物4に含まれている肥効成分である窒素、リンは、汚泥炭化物4に化学的に吸着されているため、土壌に散布された際に急激に溶出することはなく、徐々に土壌に放出される。このため、肥料として再利用することが可能となる。また、本実施の形態によれば、脱臭器3に流入する臭気成分濃度と風量が測定手段10,11に測定されているため、汚泥炭化物4が吸着した窒素量を計算できる。したがって、土壌改良剤、あるいは肥料として必要な窒素量が吸着されたことを確認した後に、系外に排出することができる。このように、土壌改良剤、あるいは肥料として必要な窒素成分が含有していることを確認できるため、肥効成分濃度の安定した肥料として供給可能となる。
【0021】
また、系外に排出された汚泥炭化物4は、より高濃度の臭気ガスが発生する設備の脱臭剤として使用してもよい。すなわち、脱臭器3において、平衡吸着により臭気成分は汚泥炭化物4に吸着されているため、より高濃度の臭気ガスを吸着除去することが可能である。このため、より高濃度の臭気ガス発生場所の吸着剤として再利用できる。このように、より高濃度の臭気ガスの吸着剤として再利用した場合も、汚泥炭化物4には、製造段階にて添着されたリン酸と、脱臭工程にて吸着された多量のアンモニアなどの窒素成分が保持されている。そして、これら肥効成分である窒素、リンは、前述のように、汚泥炭化物4に化学的に吸着されているため、土壌に散布された際に急激に溶出せず、徐々に土壌に放出される。このため、肥料として再利用することが可能となる。
【0022】
さらに、脱臭器3から系外に排出された吸着後の汚泥炭化物4は、堆肥化設備1に対する水分調整剤として用いることができる。すなわち、脱臭器3内で臭気成分を吸着した汚泥炭化物4を堆肥化設備1に水分調整剤として投入する。汚泥炭化物4は、炭化により、含水率が0%となり、その後の吸着作用により含水率は多少上昇するが、このような低含水率の汚泥炭化物4を堆肥化装置1に投入することにより、堆肥化装置1の水分を任意に調整することができる。したがって、水分調整剤の添加量を削減することが可能となる。
【0023】
また、吸着後の汚泥炭化物4を投入することは、発酵の過程で堆肥化設備1から排出された、肥効成分である窒素を回収することを意味する。さらに、炭化工程で添着されたリンを堆肥に混合できるため、より肥効成分濃度の高い堆肥を供給することが可能となる。
【0024】
次に、図2で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、脱臭器3に対して、汚泥炭化物4の搬入搬出装置12を設けている。この搬出入装置12は、前記測定手段10,11により測定された流量及びガス濃度の値が設定値を越えると、新たな汚泥炭化物4を脱臭器3に搬入し、かつ、吸着後の汚泥炭化物4をこの脱臭器3から搬出するものである。
【0025】
このように、脱臭器3に対して、汚泥炭化物4の連続的な投入及び引抜を行う炭化物搬入搬出装置12を備えたので、連続的に窒素成分を吸着した汚泥炭化物を得ることが可能となる。このため、脱臭器3を停止しての吸着剤の交換が不要となり、交換時における臭気の漏洩を防止することができる。また、堆肥化設備1の水分調整材として投入する場合も、必要な量の汚泥炭化物4を連続的に堆肥化設備1に投入することが可能となり、堆肥化装置の運転を安定させることができる。もちろん、引き抜かれた吸着済の汚泥炭化物4は、水分調整剤としてだけではなく、肥料や土壌改良剤としても再利用可能である。
【0026】
次に、図3で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、脱臭器3を、複数段(図の例では3段)直列に連結している。このように複数段直列に連結すると、最前段の脱臭器3の吸着量が最も多く、後段になるにしたがって吸着量は低下する。したがって、最前段の脱臭器3の汚泥炭化物4は、吸着後における保水量も多い。これに対し、後段になるにしたがって吸着量は低下するので、吸着時の吸水量も少なく、吸着後における保水量も少ない。すなわち、堆肥化設備1から発生する臭気ガスには発酵の過程で発生する水分が多量に含まれている。このため、多段に設置された脱臭器3の1段目では、汚泥炭化物4中に多量の水分が吸着される。これに対し、後段の脱臭器3に内包される汚泥炭化物4には水分が含まれない状態となる。
【0027】
一方、堆肥化設備1では、堆肥原料が投入される上流部分(図示左方)の水分量がもっとも多く、発酵が進むにしたがって(図示右方に進むにしたがって)水分量が低下する。すなわち、堆肥化設備1内では、堆肥原料投入部付近では、堆肥原料に由来する水分が多量に含まれている。このため従来は、おが屑など乾燥した水分調整剤を投入していた。これに対し、発酵が進行した中段部以降では、発酵による発熱により堆肥中の水分が蒸発し、発酵を進行させるために水分の補給が必要となる。このため、従来の堆肥化設備1では、中間部にシャワー設備を設けて水分を補給していた。
【0028】
そこで、前段の脱臭器3より排出される、水分を多量に含んだ汚泥炭化物を堆肥化設備1の下流側に投入し、後段の脱臭器3から排出される水分を含まない汚泥炭化物4は肥化設備1の上流側に投入することとした。これらの結果、堆肥化設備1の全体的な水分調整を行うことが可能となり、安定した堆肥を作ることが可能となる。
【0029】
このように、この実施形態では、吸着量が多く、従って保水量も多い前段側の脱臭器3から引き抜かれた吸着後の汚泥炭化物4は、堆肥化設備1の水分量が低い下流側に投入し、後段側の脱臭器3から引き抜かれた保水量が比較的少ない吸着後の汚泥炭化物4は、堆肥化設備1の上流側に投入するので、堆肥化設備1内の水分量を均一化することができ、良好な堆肥を得ることができる。
【0030】
このように、アンモニアを含む臭い成分を汚泥炭化物4により吸着すると共に、臭い成分ガスの濃度および流量を測定することにより汚泥炭化物4の交換時期を的確に把握でき、効率的な脱臭が可能となる。また、吸着後の汚泥炭化物は、これまで産業廃棄物として処分されていたが、肥料や水分調整剤としても再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による脱臭装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】本発明による脱臭装置の他の実施の形態を示す構成図である。
【図3】本発明による脱臭装置の更に他の実施の形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0032】
1 堆肥化設備
2 ファン
3 脱臭設備
4 汚泥炭化物
10,11 測定手段である風量計及び濃度計
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−6335(P2008−6335A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177006(P2006−177006)