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【発明の名称】 過弗化物の処理方法及び処理装置
【発明者】 【氏名】入江 一芳

【氏名】玉田 慎

【氏名】武者 修二

【要約】 【課題】過弗化物の分解装置の前段で粉体や粉体を生成する物質の除去効率を上げることで、処理性能を向上させる。

【構成】粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを、粉体除去装置1のミキシング部14に供給する。ミキシング部には粉体又は粉体を生成物質と過弗化物を含むガスを供給する配管15と、循環ポンプ12からミキシング部に水を供給する配管13が設けられており、ミキシング部に供給した水の流れを利用し、粉体又は粉体を生成物質と過弗化物を含むガスを吸引し、水と混合する。ミキシング部では、ガスを微細な気泡にすることで水との接触効率を上げ、粉体又は粉体を生成する物質の除去を行う。粉体又は粉体を生成する物質を除いた後の過弗化物を含むガスは、過弗化物分解装置に供給し、過弗化物を分解処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを水流中で水と混合し、水と接触させることで粉体又は粉体を生成する物質を除去する前処理工程と、前記前処理工程で粉体又は粉体を生成する物質を除去した後、過弗化物を含むガスを過弗化物分解装置に供給し、過弗化物を分解する過弗化物分解工程を含むことを特徴とする過弗化物の処理方法。
【請求項2】
前記過弗化物分解工程では、(1)過弗化物を含むガスを加熱し、触媒に供給して過弗化物を分解し、その後、分解ガスを冷却する触媒分解処理、(2)過弗化物を含むガスを薬剤に供給し、薬剤で過弗化物を分解吸着し、その後、分解ガスを冷却する薬剤処理、及び(3)過弗化物を含むガスを燃焼器に供給し、燃焼火炎で過弗化物を分解し、その後、分解ガスを冷却する燃焼処理、のいずれかの処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の過弗化物の処理方法。
【請求項3】
前記(1)、(2)、(3)のいずれかの処理を行って過弗化物を分解し、分解ガスを冷却した後、分解ガスに含まれる酸性ガスを除去することを特徴とする請求項2に記載の過弗化物の処理方法。
【請求項4】
前記前処理工程では、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを水流中で混合し、気泡を発生させた後、干渉物に衝突させて気泡を微細化することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の過弗化物の処理方法。
【請求項5】
前記前処理工程では、ポンプから水をミキシング部に供給し、ミキシング部内で水を旋回させることで、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスと、水とを混合させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の過弗化物の処理方法。
【請求項6】
前記前処理工程では、ポンプから水をミキシング部に供給し、ミキシング部内で高速の水を噴出させることで、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスと、水とを混合させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の過弗化物の処理方法。
【請求項7】
前記前処理工程で粉体又は粉体を生成する物質を除去するのに用いた水を、前記過弗化物分解工程で分解ガスを冷却するための水に使用することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の過弗化物の処理方法。
【請求項8】
前記触媒分解処理では、過弗化物を含むガスを加熱された条件下で触媒を用いて、過弗化物と水を反応させて分解することを特徴とする請求項2に記載の過弗化物の処理方法。
【請求項9】
粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを水流中で微細気泡にし、粉体又は粉体を生成する物質を除去する前処理装置と、前記前処理装置で粉体又は粉体を生成する物質を除去した後の過弗化物を含むガスを供給し過弗化物を分解処理する過弗化物分解装置を備えたことを特徴とする過弗化物の処理装置。
【請求項10】
前記過弗化物分解装置に、過弗化物を含むガスを加熱する加熱装置と、加熱したガスに含まれる過弗化物を分解する触媒を充填した反応装置と、過弗化物を分解した後の分解ガスを冷却する冷却装置を備えたことを特徴とする請求項9に記載の過弗化物の処理装置。
【請求項11】
前記過弗化物分解装置に、過弗化物を分解吸着する薬剤を充填した反応装置と、過弗化物を分解した後の分解ガスを冷却する冷却装置を備えたことを特徴とする請求項9に記載の過弗化物の処理装置。
【請求項12】
前記過弗化物分解装置に、過弗化物を燃焼分解する燃焼装置と、過弗化物を分解した後の分解ガスを冷却する冷却装置を備えたことを特徴とする請求項9に記載の過弗化物の処理装置。
【請求項13】
前記過弗化物分解装置における前記冷却装置の後に、酸性ガスを除去する酸性ガス除去装置を設けたことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の過弗化物の処理装置。
【請求項14】
前記前処理装置に旋回羽根を有するミキシング部とポンプを備え、前記ミキシング部に前記ポンプから水を供給し、前記旋回羽根で水を旋回させることで、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスと水とを水流中で混合し、粉体又は粉体を生成する物質を除去することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の過弗化物の処理装置。
【請求項15】
前記前処理装置に噴射ノズルを有するミキシング部とポンプを備え、前記ミキシング部にポンプから水を供給し、前記噴射ノズルにより水を高速で噴射させることで、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを水流中で水と混合し、粉体又は粉体を生成する物質を除去することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の過弗化物の処理装置。
【請求項16】
前記前処理装置にミキシング部とポンプを備え、前記ミキシング部に水を噴射するノズルと水を旋回させる内管を設け、前記ポンプから前記ミキシング部に水を供給し、前記ミキシング部で水を旋回させることで、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを水流中で水と混合し、粉体又は粉体を生成する物質を除去することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の過弗化物の処理装置。
【請求項17】
前記加熱装置に水又は蒸気の一方を供給する供給装置を有する請求項10に記載の過弗化物の処理装置。
【請求項18】
前記ミキシング部に粉体又は粉体を生成する物質と水とを混合し気泡が生成した後の混合物を衝突させる干渉物を備えたことを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の過弗化物の処理装置。
【請求項19】
前記干渉物が多孔板からなることを特徴とする請求項18に記載の過弗化物の処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、過弗化物の処理方法及び処理装置に係り、特に半導体製造装置または液晶製造装置、太陽電池製造装置等から排出された過弗化物を分解するのに好適な過弗化物の処理方法及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過弗化物(perfluorocompound)は、CF、CHF、C、CH、C、C、SF、NFなどの、炭素とフッ素、炭素と水素とフッ素、硫黄とフッ素、及び窒素とフッ素の化合物の総称である。過弗化物(PFCという)は、半導体製造プロセス、液晶製造プロセス、太陽電池製造プロセスにおいて、エッチング用ガス、クリーニング用ガス、アッシング用ガスに使用されている。過弗化物は、大気中で長期間安定に存在し、二酸化炭素の数千倍の赤外線を吸収する性質を有しているため、地球温暖化の原因物質の1つとされている。地球温暖化防止のための京都議定書でも規制対象ガスとして、大気への放出量削減が求められている。
【0003】
過弗化物の大気放出抑制策に関しては、種々の方法が検討されており、触媒を用いた触媒法、薬剤を用いた薬剤法、プラズマを用いたプラズマ法、高温の燃焼ガス中で燃焼させる燃焼法がある。
【0004】
この中で触媒法では、触媒に過弗化物を供給する前に、水又はアルカリをスプレーすることでケイ素化合物や酸性ガスを除去する方法があり、例えば特許文献1に記載されている。
【0005】
しかし、半導体製造装置や液晶製造装置、太陽電池製造装置から排出されるガスには、微粉体の状態で排出される粉体や粉体を生成する物質が多く含まれている。
【0006】
触媒法では、粉体が触媒に流入すると、触媒層内部が閉塞し、ガスの流れを止めてしまう。触媒層内部が閉塞すると、過弗化物を触媒に供給できず、分解処理ができなくなるとともに、内部の圧力(差圧)が上昇し、過弗化物分解処理装置の運転ができなくなる。
【0007】
触媒層内部が、閉塞に至らない場合でも、触媒表面に粉体が付着すると、触媒と過弗化物が接する部分の表面積が減少し、触媒の分解性能が低下する問題や、触媒層内に粉体が堆積することによる圧力損失増加の問題がある。
【0008】
一方、薬剤法でも触媒法と同様に、粉体や粉体を生成する物質が薬剤内部に流入すると、粉体が薬剤内部に堆積し、薬剤の圧力損失が増加して、ついには薬剤内部が閉塞し、ガスの流れを止めてしまう。薬剤内部が閉塞すると、過弗化物を薬剤に供給できず、分解処理ができなくなるとともに、内部の圧力(差圧)が上昇し、過弗化物分解処理装置の運転ができなくなる。
【0009】
また、燃焼法では、粉体や粉体を生成する物質が燃焼器に流入すると、粉体が燃焼バーナ部分や燃焼器側面に付着し、燃焼効率が低下して、燃焼温度のばらつき等によって分解性能を低下させるとともに、保守点検頻度を増加させる問題がある。
【0010】
半導体製造プロセス、液晶製造プロセス、太陽電池製造では、24時間連続で稼動を行っており、過弗化物分解装置が停止した場合、製造プロセスから排出された排ガス中の未使用分の過弗化物は大気に排出されてしまう。この場合、大気への排出を抑制するためには、製造プロセスの半導体製造装置、液晶製造装置、太陽電池製造装置を停止させる必要がある。
【0011】
このため、半導体製造装置、液晶製造装置、太陽電池製造装置から排出される過弗化物を処理する装置に対しては、製造装置と同様に高い信頼性を求められている。
【0012】
また、粉体による影響は、触媒交換、薬剤交換、燃焼器内部の清掃点検等の過弗化物を処理する装置に関する保守点検頻度を増やすことになる。このため、過弗化物の処理装置には、運転期間が長く、保守点検頻度の少ないものが求められている。
【0013】
以上のような背景から、過弗化物を分解処理する前に粉体等の固形分を除去することが行なわれている(例えば、特許文献2,3参照)。特許文献2には、前処理部として水スプレー塔、ファンスクラバー、通気攪拌槽、ゼオライト・活性炭等の吸着剤を充填した吸着槽を設置することが記載されている。また、特許文献3には、固形分分離装置としてサイクロン式、ミストコットレル式、トラップ式、フィルタ式等の装置を設置することが記載されている。
【0014】
【特許文献1】特許第3237651号公報
【特許文献2】特開2006−75832号公報
【特許文献3】特開2000−354733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
半導体、液晶、太陽電池等の製造工程において、エッチングにより、SiO等の膜や金属配線等であるW、Ti、Al等の金属を削るエッチングでは、過弗化物以外に、塩素ガスや塩化水素ガスが用いられる。これらのエッチング工程からは、金属の弗化物、塩化物、硫化物等が生成され、排気される。また、過弗化物がエッチング工程で使用されると、弗化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物等の酸性ガスも一緒に排気される。尚、これらの排ガス中の弗化物、塩化物、硫化物等は、生成時に固体状の粉末のものと、気体状のものがある。
【0016】
このうち、HFやHClなどの酸性ガスは、水又はアルカリ溶液をスプレーすることで容易に除去することができる。一方、排ガス中の金属の弗化物、塩化物、硫化物等の生成時に固体状の粉末のものと、気体状のものは、水又はアルカリ溶液をスプレーすることで、スプレー後の排ガス中に微粉体が多量に発生する。この場合、スプレー後の排ガスには、SiOや酸化タンタル、酸化チタンなどの金属酸化物の微粉末やB、WO等のヒュームを生成する物質が含まれる。
【0017】
それらの微粉体は、後段の過弗化物を分解する装置へ流れ込むことで、分解を行う触媒や、薬剤、燃焼ノズル等を短期間の間に閉塞や性能低下を発生させる。
【0018】
通常のアルカリ溶液を噴霧するスクラバーでは、BClを1000ppm含むガスを流したときにスクラバー出口で10mg/m程度のB等のヒューム(微細粉末)が発生し、目視でも白煙が生じていることが確認できるほど、粉体が発生する。
【0019】
本発明の目的は、過弗化物の分解処理の前段で被処理ガスに水を接触させるとともに、水とガスとの接触効率を向上させて、粉体または粉体を生成する物質の除去性能を高めるようにした過弗化物の処理方法及び処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを水流中で水と混合し、水と接触させることで粉体又は粉体を生成する物質を除去する前処理工程と、前記前処理工程で粉体又は粉体を生成する物質を除去した後、過弗化物を含むガスを過弗化物分解装置に供給し、過弗化物を分解する過弗化物分解工程を含むことを特徴とする過弗化物の処理方法にある。
【0021】
本発明は、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを水流中で微細気泡にし、粉体又は粉体を生成する物質を除去する前処理装置と、前記前処理装置で粉体又は粉体を生成する物質を除去した後の過弗化物を含むガスを供給し過弗化物を分解処理する過弗化物分解装置を備えたことを特徴とする過弗化物の処理装置にある。
【0022】
本発明の特徴は、水中で気泡を発生させ、気泡の結合及び分割を強制的に行うことにより、気泡内部のガスと粉体とが、気泡外表面の接液界面と接する機会を増やすことにある。その為に、配管内の高速水流中にガスを供給し、好ましくは干渉物が存在する乱流条件化で、気泡と水を混合させることにより、気泡の結合、分割を強制的に生じさせる。高速水流が干渉物に接し、水流中にキャビテーションや渦が発生することで、内部の圧力分布が大きくなり、気泡は微細化するとともに、結合、分割を短時間の間隔で繰り返す。これによって粉体又は粉体を生成する物質を除去し、さらに粉体又は粉体を生成する物質を除去した後の過弗化物を含むガスを過弗化物分解装置に供給し、過弗化物を分解処理することにある。
【0023】
水流中でガスを微細気泡化し、気泡の結合及び分割を生じさせて、液とガスの接触効率を上げる方法としては、ポンプから水をミキシング部に供給し、ミキシング部内で水を旋回することで、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを吸引し、水と混合されたガスを高速で干渉物を通過させることで微細気泡化し、粉体を除去する方法がある。高速の水流を発生させる方法としては、旋回羽根を持つスタティックミキサ方式を用いてもよく、また、液とガスの混合を良くするために、複数の旋回羽根を直列に接続し、旋回流を多段で発生させる構造にしてもよい。
【0024】
水流を旋回させる以外の高速水流を発生する方法としては、ミキシング部にノズルを備え、水をノズルから高速で噴出させてガスを吸引するエゼクタ方式でもよい。高速で噴出させた水は、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを吸引し、微細気泡を作ることでガスと水との接触効率が上がり、粉体を除去することができる。
【0025】
ミキシング部で水とガスを混合した後、ガスと水との接触効率を上げるための干渉物は、液とガスを混合させた水流を衝突させる突起物や、邪魔板等をミキシング部内部に設けることで水流中にキャビテーションや渦を発生することができる。
【0026】
排ガス量が多い場合には、ミキシング部を並列に複数台を設け、排ガス量を分配することで粉体又は粉体を生成する物質を除去してもよい。
【0027】
本発明によれば、粉体または、粉体を生成する物質を粉体除去装置内で除去できるとともに、過弗化物分解装置への粉体流入を防止又は抑制することができる。また、過弗化物分解装置の信頼性が向上するとともに、過弗化物分解装置内での閉塞がなくなり、保守点検頻度を少なくすることができる。更に、運転期間が長くなることで、運転コストを下げることも可能である。
【0028】
尚、過弗化物の分解処理装置は、前段で粉体又は粉体を生成する物質を除去することで、触媒式や、薬剤式、燃焼式を用いることができる。
【発明の効果】
【0029】
過弗化物の分解装置の前段で粉体及び粉体を生成する物質の除去効率を上げることで、過弗化物の分解処理性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を用いて、本発明の実施例を説明するが、以下の実施形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
本発明の好適な一実施例である過弗化物分解処理システムを図1に示し、触媒を用いた場合の過弗化物分解システムを図5に示す。また粉体除去装置の構成を図2に示す。
【0032】
エッチング装置又はアッシング装置、CVD装置(図示せず)から排出された粉体又は、粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスは、三方弁90を経由して、配管91から粉体除去装置1に供給される。
【0033】
三方弁90は、過弗化物処理装置4が停止した場合に排ガスの流れを別な過弗化物分解装置(図示せず)や、別の酸性ガス除去装置(図示せず)へ切換えるために使用する。
【0034】
粉体除去装置1は、循環タンク10と循環ポンプ12とミキシング部14で構成される。循環タンク10の水は、配管11と循環ポンプ12及び配管13を経由してミキシング部14に供給される。ミキシング部内では、旋回羽根16によって水の流れが変わり、高速の旋回流が発生する。旋回羽根16で発生した高速旋回流は、被処理ガスを供給する配管15の出口を負圧にする為、粉体又は、粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを吸引する。
【0035】
吸引された粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスは、旋回流の水と混合することで、ガスは気泡になる。ミキシング部14の出口には、微細な気泡になるのを促進させる突起物等の干渉物74が設けられている。本実施例では、干渉物74は多孔板になっている。高速の水流が干渉物74を通過しキャビテーションや渦を発生させることで、内部の圧力分布が大きくなり、気泡は微細化するとともに、結合、分割を短時間の間隔で繰り返す。これにより、ガスに含まれる粉体又は粉体を生成する物質の除去効率を上げることができる。
【0036】
粉体又は、粉体を生成する物質を取り除いた後、過弗化物を含むガスは、循環タンク10から排出され、配管2を経由して、過弗化物分解装置3における加熱装置31に供給される。
【0037】
加熱装置31には、配管60を経由して触媒での過弗化物の分解反応に必要な水及び配管70を経由して過弗化物の分解時に発生する一酸化炭素を二酸化炭素に変える酸化剤として空気が供給される。
【0038】
加熱装置31の内部には、加熱装置の熱を利用して、分解反応に必要な水を蒸気にかえる蒸発管65が設置されている。
【0039】
加熱装置31では、過弗化物を含む排ガスと空気、水又は蒸気を600〜800℃に加熱し、反応装置80に充填されている触媒32に供給する。触媒32では、過弗化物の分解を行う。
【0040】
触媒32は、触媒交換作業が容易に行えるように、取り外し可能な容器内に充填し、その容器ごと取り出せる構造にしても良い。
【0041】
過弗化物の分解反応式の一例を下記に示す。
【0042】
CF+2HO→CO+4HF
CHF+1/2O+HO→CO+3HF
+3HO+1/2O→2CO+6HF
触媒32の分解反応で生成した高温の分解ガスは、冷却装置33において、配管52を経由した水をスプレーノズル41によりスプレーすることで60℃以下に冷却する。このとき分解ガスに含まれるHF等の酸性ガスの一部は、水に吸収される。残った酸性ガスを含む排ガスは、配管34を経由して酸性ガス除去装置36に供給される。酸性ガス除去装置36は、充填物が充填された充填塔になっており、スプレーノズル42から水をスプレーし、充填物によって水を分散させることで酸性ガスの除去効率を上げている。酸性ガス除去装置36で酸性ガスを除去した排ガスは、吸引装置(図示せず)及び配管37を経由して半導体製造工場や液晶製造工場、或いは太陽電池製造工場の排ガス処理設備へ排出される。
【0043】
粉体除去装置1の循環タンク10への水供給は、配管61及び配管63を経由して行う。水を供給する箇所は、粉体除去装置1から排出される排ガスの温度を下げて、同伴する飽和蒸気量を少なくするために、排ガスの出口が望ましい。
【0044】
粉体などを吸収した循環タンク10内の水は、循環ポンプ12を出たあと、配管19を経由し水の一部を排水タンク35に排出する。
【0045】
尚、排水タンク35に水を戻さずに、このまま、半導体製造工場又は液晶製造工場の排水処理装置へ排出してもよいが、消費される水の量を低減させるためには、排水タンク35へ供給し、冷却装置33での冷却水に再使用することが望ましい。
【0046】
排水タンク35には、冷却装置33でスプレーした水と酸性ガス除去装置36で酸性ガスを吸収した水と粉体除去装置から排出された水が集められる。排水タンク35の水は配管51を経由し排水ポンプ50によって、一部が配管52を経由して冷却装置33のスプレー水として再利用され、残りの一部の水は排水として配管53を経由して半導体製造工場や液晶製造工場、あるいは太陽電池製造工場の排水処理装置へ排出される。
【実施例2】
【0047】
図3に、粉体除去装置におけるミキシング部の構造を噴射ノズル方式にした実施例を示す。
【0048】
循環タンク10内の水は、循環ポンプ12を経由し、ミキシング部14に供給する。ミキシング部14には水を噴射させる噴射ノズル18と、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスが流れる配管15が設置されている。ミキシング部14では、噴射ノズル18から高速の水を噴出させ、配管15の外側を周回させることで、高速の旋回流を発生させる。
【0049】
配管15の外側で発生した旋回流は、配管15のガス噴出し口で、圧力を負圧にし、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを吸引する。吸引された粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスは、旋回流の水と混合することで、ガスは気泡になる。ミキシング部14の出口には、微細な気泡になるのを促進させる突起物等の干渉物74が設けられている。高速の水流が干渉物74を通過しキャビテーションや渦を発生させることで、内部の圧力分布が大きくなり、気泡は微細化するとともに、結合、分割を短時間の間隔で繰り返す。これにより、ガスに含まれる粉体又は粉体を生成する物質の除去効率を上げることができる。
【実施例3】
【0050】
図4に、粉体除去装置におけるミキシング部の構造をエゼクタ方式の噴射ノズルにした場合の実施例を示す。
【0051】
循環タンク10内の水は、循環ポンプ12を経由し、ミキシング部14に供給する。ミキシング部14には水を噴射させる噴射ノズル18が設置されている。ミキシング部14では、噴射ノズル18から高速の水を噴出させることで、配管15内が負圧になり、粉体又は、粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを吸引する。
【0052】
吸引された粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスは、旋回流の水と混合することで、ガスは気泡になる。ミキシング部14の出口には、微細な気泡になるのを促進させる突起物等の干渉物74が設けられている。高速の水流が干渉物74を通過しキャビテーションや渦を発生させることで、内部の圧力分布が大きくなり、気泡は微細化するとともに、結合、分割を短時間の間隔で繰り返す。これにより、ガスに含まれる粉体又は粉体を生成する物質の除去効率を上げることができる。
【0053】
このようにエゼクタ方式にした場合にも、水を旋回流にした場合と同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0054】
図6、図7に半導体製造工場又は、液晶製造工場全体の過弗化物の処理を一括して行う大規模処理の過弗化物分解処理システムを示す。
【0055】
水と接触すると粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスは、三方弁90を経由して、配管91から粉体除去装置1に供給される。粉体除去装置1は、図2〜4のいずれかの構成を有する。
【0056】
粉体除去装置1では、循環タンク10の水をミキシング部14に供給し、ミキシング部14では、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを水中で微細な気泡にし、粉体又は粉体を生成する物質を除去する。
【0057】
粉体又は粉体を生成する物質を除去した後、過弗化物を含む排ガスは、配管2を経由して、加熱装置31a、加熱装置31bに供給される。加熱装置31aでは過弗化物を含むガスを400〜600℃に加熱する。図6では、加熱装置31aに配管60によって反応用の水を直接供給しており、図7では、蒸発器71によって水を一旦水蒸気に代えて配管64を経由して供給している。加熱装置31aの途中で水又は蒸気を添加することで、加熱装置31a内部での水の凝縮をなくし、腐食等の発生を防止することができる。
【0058】
400〜600℃に加熱された過弗化物を含む排ガスは、配管95を経由して加熱装置31bに供給される。加熱装置31bでは、過弗化物を含む排ガスを600〜800℃に加熱し、触媒32に供給する。
【0059】
触媒32では、過弗化物を分解し、分解で発生した酸性ガスを含む高温ガスは、配管38を経由して冷却装置33aへ供給する。冷却装置33aは、冷却機能と排水タンク機能を一体化したものである。冷却機能と排水タンク機能を一体化することで、機器数や設置スペースを少なくすることができる。
【0060】
冷却装置33aでは、スプレーノズル41によって水をスプレーすることで分解ガスを60℃以下に冷却し、分解ガスに含まれる酸性ガスの一部の除去を行う。冷却装置33aから排出された排ガスは、配管39を経由し、酸性ガス除去装置36に供給される。酸性ガス除去装置36では、スプレーノズル42によって水スプレーすることで酸性ガスの除去を行う。酸性ガスを除去した排ガスは、吸引装置(図示せず)を経由して半導体製造工場又は、液晶製造工場、太陽電池製造工場の排ガス処理設備へ排出される。
【0061】
粉体除去装置1の循環タンクへの水の供給は、配管63を経由して行う。粉体を含む循環タンク10内の水は、循環ポンプ12を出たあと、水の一部は配管19を経由して、冷却機能と排水タンク機能を一体化した冷却装置33aに排出する。
【0062】
冷却装置33aには、冷却装置33a内でスプレーした水および酸性ガス除去装置36で酸性ガスを吸収した水が集められる。集められた水は、排水ポンプ50によって一部が配管52を経由して冷却装置33aに送られ、冷却用のスプレー水として再利用され、一部は、排水として配管53を経由して半導体製造工場又は液晶製造工場、太陽電池製造工場の排水処理装置へ排出される。
【実施例5】
【0063】
図8には、1台のポンプのみで構成した過弗化物分解処理システムを示す。
【0064】
冷却装置33aの内部の水は、ポンプ12によって粉体除去装置1のミキシング部14へ供給するとともに、一部は配管52を経由して冷却装置33aに供給し、分解後の高温ガスを冷却するスプレー水に再使用する。更にポンプ12からの水の一部は、排水として配管53を経由して半導体製造工場又は液晶製造工場の排水処理装置へ排出される。
【0065】
粉体除去装置1の循環タンク10では、水の一部を循環タンク内でオバーフローさせ、オバーフローした水は、配管19を経由して、冷却装置33aに戻される。
【0066】
これによって、粉体除去装置1での粉体又は粉体を生成するガスの除去と冷却装置33aでの分解後の高温ガスの冷却が、1台のポンプ12で行うことができ、構成する機器の台数を大幅に少なくすることができる。
【実施例6】
【0067】
図9に過弗化物の処理に薬剤を用いた場合の過弗化物処理システムを示す。
【0068】
粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスは、三方弁90を経由して、配管91から粉体除去装置1に供給される。粉体除去装置1は図2〜4のいずれかの構成を有する。
【0069】
粉体除去装置1では、循環タンク10の水をミキシング部14に供給し、ミキシング部14では、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを水中で微細な気泡にし、粉体を除去する。
【0070】
粉体又は粉体を生成する物質を除去した後、過弗化物を含む排ガスは、配管2を経由して、反応容器45に供給される。反応容器45には、過弗化物を分解し、分解生成物の酸性ガスを吸着する薬剤93が充填されている。
【0071】
反応容器45には、配管70を経由して、酸化剤として空気を供給してもよく、また、反応を促進するために薬剤93を加熱してもよい。
【0072】
分解後のガスは、配管92を経由して冷却装置33に供給され、チラー等からの冷却水による水冷又は、空冷によって冷却を行う。冷却後のガスは、配管37から吸引装置(図示せず)を経由して半導体製造工場又は、液晶製造工場、太陽電池製造装置の排ガス設備へ排出される。尚、薬剤93を加熱しない場合には、冷却装置33を省略することができる。
【実施例7】
【0073】
図10に燃焼方式を用いた場合の過弗化物処理システムを示す。
【0074】
粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスは、三方弁90を経由して、配管91から粉体除去装置1に供給される。
【0075】
図2〜4のいずれかの構成を有する粉体除去装置1では、循環タンク10の水をミキシング部14に供給し、ミキシング部14では、粉体又は粉体を生成する物質と過弗化物を含むガスを水中で微細な気泡にし、粉体を除去する。
【0076】
粉体又は粉体を生成する物質を除去した過弗化物を含む排ガスは、配管2を経由して、燃焼装置47に供給される。燃焼装置47には燃焼バーナ48があり、燃焼バーナ48には配管72を経由して酸化剤として酸素を供給し、また配管73を経由して燃焼剤としてプロパンを供給する。酸化剤は、酸素以外に空気でもよく、燃焼剤としては、水素やLPGでもよい。
【0077】
燃焼バーナ48では、酸素とプロパンを燃焼させ、高温の燃焼火炎中に過弗化物を含むガスを供給することで、過弗化物の分解を行う。
【0078】
分解後のガスは触媒法と同じく、冷却装置33で排ガスを冷却し、酸性ガス除去装置36で酸性ガスの除去を行い、吸引装置(図示せず)を経由して半導体製造工場又は、液晶製造工場、太陽電池製造装置の排ガス設備へ排出する。
【実施例8】
【0079】
半導体及び液晶、太陽電池製造工場では、工場全体の過弗化物を含む排ガスを一括で処理する場合、過弗化物処理装置の信頼性を上げる必要がある。複数台の過弗化物処理装置が連携して稼動される場合のシステム構成例を図11及び図12に示す。
【0080】
図11のシステムでは、半導体及び液晶、太陽電池製造工場のクリーンルーム100に設置されている複数の製造装置から排出された過弗化物を含むガスは、アルカリスクラバ95を経由して、複数台の過弗化物処理装置4a、4b、4c、4dに供給される。
【0081】
ここで、各過弗化物処理装置4a、4b、4c、4dでは、流量計82a、82b、82c、82d及び圧力計81a、81b、81c、81dでガス流量及びガスの圧力を計測し、各ガス流量計及び各圧力計からの信号をもとに吸引装置5a、5b、5c、5dの吸引量を制御して、排ガス量を定格値以下にする。
【0082】
吸引装置5a、5b、5c、5dは、排風機でも、エゼクタでもよい。排風機の場合には、インバータで回転数を制御することで吸引量を可変にすることができる。また、エゼクタの場合には、駆動用の圧縮空気圧力を制御することで吸引量を可変にすることができる。
【0083】
過弗化物処理装置4a、4b、4c、4dに供給されている各ガス流量及び過弗化物処理装置の運転状態は、制御盤97で監視をしている。もし、過弗化物処理装置4aが異常で停止した場合には、バルブ91aを閉じ、制御盤97で流量計82b、82c、82dの流量を元に、全体の過弗化物を含むガス量を算出し、処理可能な流量の場合には残りの過弗化物処理装置4b、4c、4dで処理を行う。もし処理可能な流量を超えている場合には、制御盤97から信号を送り、バルブ91b、91c、91dを閉じ、バルブ91を開いて、過弗化物を含む排ガスをバイパス排気し、アルカリスクラバ96へ供給する。
【0084】
これによって、複数台の過弗化物処理装置を効率よく運転できると共に、信頼性を上げることができる。尚、過弗化物処理装置の台数は、4台に限定するものではなく、2台以上であれば本システムを実現することは可能である。
【0085】
図12のシステムでは、停止する過弗化物処理装置の台数が多くなり、稼動している過弗化物処理装置で過弗化物を含む排ガスを処理できない場合に、バルブ91eを開いて吸引装置5eを稼動する。吸引装置5eでは、流量計81e、圧力計82eの流量及び圧力、制御盤97からの信号をもとに、稼動している過弗化物処理装置の処理量が定格値以下になるまで、排ガスの吸引を行う。これによって、稼動している過弗化物処理装置で過弗化物の一部を処理することができる。また、停止した過弗化物処理装置が稼動した場合又はガス流量が減少した場合には、制御盤97で全体の排ガス量を算出し、稼動している過弗化物処理装置のみで処理が可能と判断すれば、バルブ91eを閉じて吸引装置5eを停止し、稼動した過弗化物処理装置に対応するバルブ91a〜91dを開く。これによって、未処理で排出される過弗化物を最小限の量に抑えることが可能になり、更に信頼性を上げたシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明による過弗化物分解処理システムの構成図。
【図2】旋回羽根を用いた粉体除去装置の構成図。
【図3】旋回ノズルを用いた粉体除去装置の構成図。
【図4】エゼクタ方式を用いた粉体除去装置の構成図。
【図5】触媒を用いた過弗化物分解処理装置の構成図。
【図6】加熱装置を2つ備えた過弗化物分解処理装置の構成図。
【図7】水の蒸発器を備えた過弗化物分解処理装置の構成図。
【図8】1台のポンプで構成した過弗化物分解処理装置の構成図。
【図9】薬剤を用いた過弗化物分解処理装置の構成図。
【図10】燃焼方式を用いた過弗化物分解処理装置の構成図。
【図11】工場全体の過弗化物分解処理システムを示すシステム構成図。
【図12】工場全体の過弗化物分解処理システムの他の例を示すシステム構成図。
【符号の説明】
【0087】
1…粉体除去装置、3…過弗化物分解装置、4…過弗化物処理装置、10…循環タンク、14…ミキシング部、16…旋回羽根、18…噴射ノズル、31…加熱装置、32…触媒、33…冷却装置、36…酸性ガス除去装置、45…反応容器、47…燃焼装置、48…燃焼バーナ、74…干渉物、80…反応装置。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人


【公開番号】 特開2008−728(P2008−728A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175035(P2006−175035)