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排出水素ガス処理装置及び方法 - 特開2008−675 | j-tokkyo
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【発明の名称】 排出水素ガス処理装置及び方法
【発明者】 【氏名】刑部 友敬

【氏名】守富 寛

【要約】 【課題】排出水素ガスを、より効率的に且つ安全に触媒燃焼して処理し得る技術を提供する。

【構成】排出水素ガスが、ガス導入口28からガス排出口24に向かって内部を流通せしめられると共に、少なくとも一部分が触媒からなる反応粒子23の多数が収容された反応室22を設ける一方、かかる反応室22とは別個に設けられた流動層形成手段56,58にて、反応室22内に、ガス導入口28を通じて排出水素ガスと空気とを吹き込むことにより、反応室22内に、反応粒子23の流動層を形成し、そして、この流動層内で、排出水素ガスと反応粒子23とを接触させて、空気の存在下で、排出水素ガスを触媒燃焼せしめるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の装置や機構から排出される水素ガスを、空気の存在下で触媒に接触させることにより、触媒燃焼せしめて処理する排出水素ガス処理装置にして、
ガス導入口とガス排出口とを有し、前記排出水素ガスと前記空気とが、該ガス導入口から導入されて、該ガス排出口に向かって内部を流通せしめられ得るように構成された反応室と、
該反応室の内部に収容された、少なくとも一部分が前記触媒からなる反応粒子の多数と、
前記反応室の内部に、前記ガス導入口を通じて、前記排出水素ガスと前記空気とを吹き込んで、該反応室内の前記多数の反応粒子を流動化させることにより、該反応室内に、該反応粒子の流動層を形成する流動層形成手段と、
を含み、前記反応室内に形成された前記反応粒子の流動層内で、前記排出水素ガスを触媒燃焼せしめるように構成したことを特徴とする排出水素ガス処理装置。
【請求項2】
前記触媒が、該触媒とは異なる材料からなる粒状担体に担持されて、前記反応粒子が構成されている請求項1に記載の排出水素ガス処理装置。
【請求項3】
前記粒状担体が、外部に連通する連通孔を多数備えた粒状多孔質体からなり、前記触媒が、該粒状多孔質体の外面と該連通孔の内面とに、それぞれ担持されている請求項2に記載の排出水素ガス処理装置。
【請求項4】
前記触媒とは別の材料からなる、高い熱伝導率を備えた伝熱粒子が、前記反応室の内部に、前記反応粒子と共に多数収容されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の排出水素ガス処理装置。
【請求項5】
前記伝熱粒子が、外部に連通する連通孔を多数備えた粒状多孔質体にて構成されている請求項4に記載の排出水素ガス処理装置。
【請求項6】
前記排出水素ガスと前記空気とを、前記ガス導入口から前記反応室の内部に導入される前に合流させる合流手段と、該合流手段により合流せしめられて、該ガス導入口から該反応室内に導入される該排出水素ガスと該空気との合流ガスを、分散せしめられた状態で、該反応室内を流通せしめられるように為す分散手段とが、更に設けられている請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項に記載の排出水素ガス処理装置。
【請求項7】
前記反応室が、前記多数の反応粒子を内部から取り出すための取出口を有し、且つ前記流動層の形成状態下における該反応粒子の該取出口からの離脱が阻止されるように構成されている請求項1乃至請求項6に記載の排出水素ガス処理装置。
【請求項8】
所定の冷却媒体が内部を流通せしめられる伝熱管が、前記反応室の内部に配置されて、前記排出水素ガスの触媒燃焼により加熱された前記反応粒子と該伝熱管内の冷却媒体との間や、かかる触媒燃焼により生ずる燃焼排ガスと該伝熱管内の冷却媒体との間で熱交換が行われることにより、該触媒燃焼時に発生する熱が回収されるようになっている請求項1乃至請求項7に記載の排出水素ガス処理装置。
【請求項9】
前記反応室の内部の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出値に基づいて、前記伝熱管内を流通せしめられる前記冷却媒体の流量を制御する制御手段とが、更に設けられて、該反応室内の温度の上昇により、該温度検出手段による検出値が予め設定された第一の設定値となったときに、該制御手段によって、前記伝熱管内における前記冷却媒体の流量が、予め設定された基準量とされる一方、該冷却媒体が該伝熱管内を該基準量で流通している状態下で、該反応室内の温度が下降せしめられて、該温度検出手段による検出温度が、予め設定された、該第一の設定値よりも低い第二の設定値となったときには、前記制御手段によって、該伝熱管内における該冷却媒体の流量が、前記基準流量から減少せしめられるか又はゼロとされるようになっている請求項8に記載の排出水素ガス処理装置。
【請求項10】
前記排出水素ガスが、燃料電池のアノード電極側から排出される水素オフガスである請求項1乃至請求項9のうちの何れか1項に記載の排出水素ガス処理装置。
【請求項11】
各種の装置や機構から排出される水素ガスを、空気の存在下で触媒に接触させることにより、触媒燃焼せしめて処理する排出水素ガス処理方法であって、
少なくとも一部分が前記触媒からなる反応粒子の多数が収容された反応室内に、前記排出水素ガスと前記空気とを吹き込んで、該反応室内の前記多数の反応粒子を流動化させることにより、該反応室内に、該反応粒子の流動層を形成すると共に、かかる流動層内で該排出水素ガスを触媒燃焼せしめるようにしたことを特徴とする排出水素ガス処理方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、排出水素ガス処理装置及び方法に係り、特に、水素ガスを含む排出水素ガスを触媒燃焼せしめて処理する装置とかかる処理を有利に行う方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、様々な装置や機構の中には、水素ガスが、単体で、或いは他のガスと混ざり合った状態で排出されるものがある。例えば、燃料電池システムや吸収式冷凍機、或いは水素元素を含む物質の電解処理装置等が、それである。これら各種の装置や機構から排出される、水素ガス、或いはそれを含む混合ガスからなる、所謂排出水素ガスは可燃性であり、そのまま大気中に排出されると極めて危険である。そのため、排出水素ガスを生ずる装置や機構には、一般に、排出水素ガスを、安全上、問題のないように処理する排出水素ガス処理装置が、設置されている。そして、近年では、特に、燃料電池システムの実用化に向けた動きに併せて、排出水素ガス処理装置の開発も活発となっており、この排出水素ガス処理装置の新規な構造が、種々、提案されている。
【0003】
例えば、燃料電池システムに設置される排出水素ガス処理装置の構造として、(ア)燃料電池のアノード電極側から排出される水素オフガスを、カソード電極側から排出される空気にて希釈して、大気中に排出するようにした構造(例えば、下記特許文献1参照)や、(イ)水素オフガスを、カソード電極側からの排出空気の存在下で触媒に接触させて、触媒燃焼せしめるようにした構造等(例えば、下記特許文献2参照)が、提案されている。そして、特に、(イ)の構造を有する排出水素ガス処理装置においては、排出水素ガスを燃焼させて、消費するものであるため、単に、排出水素ガスを希釈するだけの(ア)の構造を備えた装置に比して、排出ガス中の水素ガスの濃度を、より確実に低減せしめることが出来、しかも、排出水素ガスの燃焼が、比較的に燃焼温度が低い触媒燃焼によるものであることで、NOxの生成を有利に抑えつつ、安全に実施され得るとされているのである。
【0004】
ところが、本発明者等が、そのような触媒燃焼を利用した従来の排出水素ガス処理装置について、様々な角度から検証を行ったところ、かかる従来装置が、その構造からして、以下に示す如き問題を内在するものであることが、明らかとなった。
【0005】
すなわち、従来の排出水素ガス処理装置は、筒状容器からなり、かかる容器外から導入された排出水素ガスが軸方向において流動せしめられる反応室を有している。そして、この反応室内には、排出水素ガスの流動方向と平行な多数の通路を備えたハニカム構造の担体に、触媒が、各通路の内面において担持されてなる触媒体が、収容配置されている。
【0006】
このような構造を有する従来装置にあっては、触媒体の内部での排出水素ガスの濃度が、各通路の入口付近で不可避的に高くなってしまう。そのため、反応室内に導入された排出水素ガスと触媒との燃焼反応が、触媒体における各通路の入口付近において、そこに存在する一部の触媒のみを利用して、局所的に惹起されることが避けられず、それ故に、触媒体が有する全ての触媒を利用して、触媒体の全体において、排出水素ガスの処理を均一に且つ効率的に実施することが、極めて困難であった。しかも、排出水素ガスが、反応室内に、大量に且つ連続的に導入されるようになると、排出水素ガスと触媒との燃焼反応が、各通路の入口付近において更に急速に進められて、各通路の入口付近の温度が急上昇せしめられる。その結果、排出水素ガスの爆発の危険性が増大するといった深刻な問題が惹起される恐れがあったのである。
【0007】
【特許文献1】特開2004−127666号公報
【特許文献2】特開2003−142131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、排出水素ガスを触媒に接触させることにより、触媒燃焼させて処理する排出水素ガス処理装置において、処理されるべき排出水素ガスの量の大小に拘わらず、かかる排出水素ガスと触媒との燃焼反応が、全ての触媒を利用しつつ、低い燃焼温度で進められ、以て、排出水素ガスが、より効率的に且つ安全に燃焼処理され得るように改良された構造と、そのような排出水素ガスの燃焼処理を有利に行う方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、その要旨とするところは、各種の装置や機構から排出される水素ガスを、空気の存在下で触媒に接触させることにより、触媒燃焼せしめて処理する排出水素ガス処理装置において、(a)ガス導入口とガス排出口とを有し、前記排出水素ガスと前記空気とが、該ガス導入口から導入されて、該ガス排出口に向かって内部を流通せしめられ得るように構成された反応室と、(b)該反応室の内部に多数収容された、少なくとも一部が前記触媒からなる反応粒子と、(c)前記反応室の内部に、前記ガス導入口を通じて、前記排出水素ガスと前記空気とを吹き込んで、該反応室内の前記多数の反応粒子を流動化させることにより、該反応室内に、該反応粒子の流動層を形成する流動層形成手段とを含み、前記反応室内に形成された前記反応粒子の流動層内で、前記排出水素ガスを触媒燃焼せしめるように構成したことを特徴とする排出水素ガス処理装置にある。
【発明の効果】
【0010】
すなわち、本発明に従う排出水素ガス処理装置にあっては、反応室内に吹き込まれた排出水素ガスと空気とにて、少なくとも一部が触媒からなる反応粒子の流動層が形成されるため、全ての反応粒子(触媒)と排出水素ガスとを、極めて効率的に接触せしめることが出来、それによって、排出水素ガスと反応粒子との燃焼反応を、反応室内の略全体で、全ての反応粒子を利用して、均一に且つ効率的に惹起させることが可能となる。
【0011】
また、かかる本発明装置では、上記のように、排出水素ガスと反応粒子との燃焼反応を、反応室内の略全体で、全ての反応粒子を利用して、均一に且つ効率的に惹起させることが出来るところから、排出水素ガスが、反応室内に、大量に且つ連続的に導入される場合にあっても、従来装置とは異なって、排出水素ガスと触媒との燃焼反応が反応室内の一部で急速に進められて、かかる反応室内の一部分の温度が急上昇せしめられることが、有利に阻止され得る。しかも、反応室内に、反応粒子の流動層が形成されることで、排出水素ガスと触媒との燃焼反応により生ずる燃焼熱が、反応室内の全体に、均一に且つ確実に伝達され得る。
【0012】
従って、かくの如き本発明に従う排出水素ガス処理装置にあっては、処理されるべき排出水素ガスの反応室内への導入量の大小に拘わらず、かかる排出水素ガスと触媒との燃焼反応が、反応室内において、全ての触媒を利用しつつ、十分に低い燃焼温度で均一に進められ、以て、排出水素ガスが、より効率的且つ迅速に、しかも安全に燃焼処理され得ることとなる。そして、その結果として、排出水素ガスを発生する装置や機構への設置により、それらの装置や機構の排出ガスを、よりクリーンで且つ安全な状態で、大気中に排出させることが可能となるのである。
【発明の態様】
【0013】
ところで、本発明は、少なくとも、以下に列挙する如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。
【0014】
<1> 各種の装置や機構から排出される水素ガスを、空気の存在下で触媒に接触させることにより、触媒燃焼せしめて処理する排出水素ガス処理装置において、(a)ガス導入口とガス排出口とを有し、前記排出水素ガスと前記空気とが、該ガス導入口から導入されて、該ガス排出口に向かって内部を流通せしめられ得るように構成された反応室と、(b)該反応室の内部に収容された、少なくとも一部分が前記触媒からなる反応粒子の多数と、(c)前記反応室の内部に、前記ガス導入口を通じて、前記排出水素ガスと前記空気とを吹き込んで、該反応室内の前記多数の反応粒子を流動化させることにより、該反応室内に、該反応粒子の流動層を形成する流動層形成手段とを含み、前記反応室内に形成された前記反応粒子の流動層内で、前記排出水素ガスを触媒燃焼せしめるように構成したことを特徴とする排出水素ガス処理装置。
【0015】
<2> 上記態様<1>において、前記触媒が、該触媒とは異なる材料からなる粒状担体に担持されて、前記反応粒子が構成されていること。この本態様によれば、一つの反応粒子が有する触媒の表面積、つまり、かかる触媒の排出水素ガスとの接触面積を有利に増大させることが出来、それによって、排出水素ガスを、より効率的且つ迅速に燃焼処理することが可能となる。
【0016】
<3> 上記せる態様<2>において、前記粒状担体が、外部に連通する連通孔を多数備えた粒状多孔質体からなり、前記触媒が、該粒状多孔質体の外面と該連通孔の内面とに、それぞれ担持されていること。かかる本態様によれば、一つの反応粒子が有する触媒の総数を有利に増大させることが出来、これによっても、排出水素ガスの燃焼処理の更なる効率化と迅速化とを、効果的に実現することが可能となる。
【0017】
<4> 上記の態様<1>乃至態様<3>のうちの何れか一つにおいて、前記触媒とは別の材料からなる、高い熱伝導率を備えた伝熱粒子が、前記反応室の内部に、前記反応粒子と共に多数収容されていること。このような本態様によれば、反応室内に形成される流動層において、例えば、反応室内での良好な熱伝達性を確保するのに十分な流動性を確保するために、反応粒子、つまり触媒を、排出水素ガスとの燃焼反応に要される量を超えて、余分に使用する必要が解消され得る。そして、伝熱粒子の材料として、触媒よりも安価な材料を用いれば、排出水素ガス処理装置の製造コストやランニングコストの低下が、有利に達成され得ることとなる。
【0018】
<5> 上記の態様<4>において、前記伝熱粒子が、外部に連通する連通孔を多数備えた粒状多孔質体にて構成されていること。この本態様によれば、伝熱粒子が有利に軽量化されると共に、表面積の増大が図られ、それにより、流動層において、より良好な流動性と優れた伝熱性が確保され得ることとなる。
【0019】
<6> 上記せる態様<1>乃至態様<5>のうちの何れか一つにおいて、前記排出水素ガスと前記空気とを、前記ガス導入口から前記反応室の内部に導入される前に合流させる合流手段と、該合流手段により合流せしめられて、該ガス導入口から該反応室内に導入される該排出水素ガスと該空気との合流ガスを、分散せしめられた状態で、該反応室内を流通せしめられるように為す分散手段とが、更に設けられていること。かかる本態様によれば、反応室内の全体に、排出水素ガスと空気とが混合せしめられた状態で均一に分散せしめられ、それによって、かかる反応室内に形成される流動層内での排出水素ガスと反応粒子との燃焼反応、つまり、排出水素ガスの燃焼処理が、より効率的に且つ迅速に進められ得ることとなる。
【0020】
<7> 上記の態様<1>乃至態様<6>のうちの何れか一つにおいて、前記反応室が、前記多数の反応粒子を内部から取り出すための取出口を有し、且つ前記流動層の形成状態下における該反応粒子の該取出口からの離脱が阻止されるように構成されていること。このような本態様によれば、例えば、装置の長期使用等により、反応室内に収容された反応粒子の触媒性能が低下したときに、そのような反応粒子を反応室内から取り出して、十分な触媒性能を有する新たな反応粒子に交換することが、容易に行われ得る。それによって、反応粒子を交換するだけの可及的に低いコストで、排出水素ガスの良好な処理性能を安定的に維持することが出来る。
【0021】
<8> 上記せる態様<1>乃至態様<7>のうちの何れか一つにおいて、所定の冷却媒体が内部を流通せしめられる伝熱管が、前記反応室の内部に配置されて、前記排出水素ガスの触媒燃焼により加熱された前記反応粒子と該伝熱管内の冷却媒体との間や、かかる触媒燃焼により生ずる燃焼排ガスと該伝熱管内の冷却媒体との間で熱交換が行われることにより、該触媒燃焼時に発生する熱が回収されるようになっていること。この本態様によれば、排出水素ガスの燃焼時における反応室内の温度上昇を効果的に抑制することが出来、それによって、排出水素ガスの触媒燃焼による処理を更に安全に実施することが可能となる。
【0022】
<9> 上記の態様<8>において、前記反応室の内部の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段による検出値に基づいて、前記伝熱管内を流通せしめられる前記冷却媒体の流量を制御する制御手段とが、更に設けられて、該反応室内の温度の上昇により、該温度検出手段による検出値が予め設定された第一の設定値となったときに、該制御手段によって、前記伝熱管内における前記冷却媒体の流量が、予め設定された基準量とされる一方、該冷却媒体が該伝熱管内を該基準量で流通している状態下で、該反応室内の温度が下降せしめられて、該温度検出手段による検出温度が、予め設定された、該第一の設定値よりも低い第二の設定値となったときには、前記制御手段によって、該伝熱管内における該冷却媒体の流量が、前記基準流量から減少せしめられるか又はゼロとされるようになっていること。この本態様によれば、排出水素ガスの燃焼時における反応室内の温度を、予め設定された第一の設定値と第二の設定値との間の範囲内の温度にコントロールすることが出来、それによって、排出水素ガスの触媒燃焼による処理を更に安全に実施し得るだけでなく、排出水素ガスの燃焼中の反応室内の温度を、ある程度の温度以上に維持せしめることで、反応室内に新たに導入される排出水素ガスの燃焼反応を促進させることが出来、以て、排出水素ガスの処理の効率化を、更に有利に実現することが可能となる。
【0023】
<10> 上記せる態様<1>乃至態様<9>のうちの何れか一つにおいて、前記排出水素ガスが、燃料電池のアノード電極側から排出される水素オフガスであること。かかる本態様によれば、燃料電池のアノード電極側から排出される水素オフガスを、より効率的且つ迅速に、しかも安全に燃焼処理することが出来る。
【0024】
<11> 各種の装置や機構から排出される水素ガスを、空気の存在下で触媒に接触させることにより、触媒燃焼せしめて処理する排出水素ガス処理方法であって、少なくとも一部分が前記触媒からなる反応粒子の多数が収容された反応室内に、前記排出水素ガスと前記空気とを吹き込んで、該反応室内の前記多数の反応粒子を流動化させることにより、該反応室内に、該反応粒子の流動層を形成すると共に、かかる流動層内で該排出水素ガスを触媒燃焼せしめるようにしたことを特徴とする排出水素ガス処理方法。
【0025】
このような本態様においては、反応室内に形成される流動層内で、全ての反応粒子と排出水素ガスとが効率的に接触せしめられて、反応室内の全体において、排出水素ガスと反応粒子との燃焼反応が均一に且つ効率的に惹起され得る。また、それによって、排出水素ガスが、反応室内に大量に且つ連続的に導入されるときにも、反応室内での排出水素ガスと反応粒子との燃焼反応の不均一な進行に起因して、反応室内の温度が局所的に上昇せしめられるようなことが、有利に阻止され得る。
【0026】
従って、かくの如き本態様によれば、排出水素ガスを、反応室内への導入量に拘わらず、より効率的且つ迅速に、しかも十分に低い温度で安全に燃焼処理することが出来、以て、よりクリーンで且つ安全な状態で、大気中に排出させることが可能となるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0028】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する排出水素ガス処理装置の一実施形態としての水素オフガス処理装置が、燃料電池システムに組み付けられた状態での縦断面形態において、概略的に示されている。かかる図1において、10は、装置本体であって、筒状収容体12と蓋体14とを有して、構成されている。
【0029】
より具体的には、装置本体10を構成する筒状収容体12は、下側底部16と上方に向かって開口する上側開口部18とを備えた、片側有底の円筒形状を呈する金属製筒体からなっている。また、蓋体14は、筒状収容体12の上側開口部18よりも一周り大きな径を有する金属製円板からなっている。
【0030】
そして、かかる蓋体14が、その下面の外周部において、筒状収容体12の上端側外周面に一体形成された円環板状の外フランジ部20に重ね合わされることで、筒状収容体12の上側開口部18を覆蓋せしめるように位置せしめられており、また、そのような配置状態下で、蓋体14と筒状収容体12とが、互いの重合せ部位同士において溶接等されることによって、一体的に且つ流体密に接合されている。
【0031】
かくして、ここでは、装置本体10が、筒状収容体12と蓋体14との一体接合品からなる両側有底の円筒体にて構成されており、また、そのような装置本体10の内部空間が、後述する如く、燃料電池のアノード電極側から排出される水素オフガス(排出水素ガス)の触媒燃焼(燃焼反応)が惹起される反応室22とされている。
【0032】
そして、本実施形態の処理装置においては、かかる反応室22内に、水素オフガスと接触反応せしめられる微細な反応粒子23が、多数収容されている。この反応粒子23は、図2に模式的に示されるように、微粒子形態を呈する粒状触媒27の多数が、それよりも十分に大きな粒径を有する粒状担体29に担持されて、構成されている。
【0033】
すなわち、ここでは、粒状担体29が、外部に連通する連通孔31を多数備えた粒状多孔質体からなっている。そして、この粒状多孔質体からなる粒状担体29の表面や連通孔31の内面等に対して、粒状触媒27が、付着される等して、より多くの量において担持されて、反応粒子23が、形成されているのである。これによって、後述する流動層を形成するのに適切な粒径を備えた反応粒子23の1個のものが、1個の粒状触媒27にて形成される場合に比して、かかる1個の反応粒子23が有する粒状触媒27の全表面積が、より大きく為され得るようになっている。なお、このような構造を有する反応粒子23は、例えば、多数の粒状触媒27が分散せしめられた分散液中に、粒状担体29を浸漬した後、これを取り出して、乾燥するといった操作を行う従来より公知の手法によって、容易に形成され得る。
【0034】
また、そこにおいて、粒状触媒27は、空気の存在下で、水素ガスとの接触により、それを触媒燃焼させ得る公知の触媒を用いて、形成されている。この粒状触媒27を構成する触媒の種類は、特に限定されるものではなく、公知のものの中から適宜に選択される。即ち、例えば、白金、パラジウム等の貴金属触媒や酸化コバルト等の非金属触媒等の中から選択された1種のものが、単独で、或いは複数種類のものが、種々組み合わされて、粒状触媒27の形成材料として、使用されるのである。
【0035】
粒状担体29も、その材質が、特に限定されるものではなく、上記に例示される如き種類の触媒からなる粒状触媒27を担持し得るものであれば、如何なる材質のものも、用いられ得る。そして、ここでは、かかる粒状担体29の形成材料として、優れた成形性や高い熱伝導率を備え、しかも十分な強度を有する点から、アルミナ等からなるセラミックス粒子が、好適に用いられている。
【0036】
かくして、反応粒子23にあっては、後述する如く、図示しない燃料電池のアノード電極側から排出された水素オフガスが、カソード電極側からの排出空気と共に、反応室22内に吹き込まれることで、反応室22内において容易に流動化せしめられると共に、そのような流動状態で、反応粒子23の粒状触媒27が、十分に大きな面積を有する表面の全体において、水素オフガスと接触して、この水素オフガスを触媒燃焼させ得るようになっている。
【0037】
なお、このような反応粒子23の大きさは、何等限定されるものではなく、反応室22内に吹き込まれる水素オフガスや空気によって容易に流動化され得る大きさとされておれば良い。即ち、その点からして、反応粒子23の平均粒径は、反応室22内に吹き込まれる水素オフガスや空気の流速等に応じて、適宜に決定されるところではあるものの、一般的には、100〜200μm程度とされる。また、粒状触媒27の大きさも、特定されるものではなく、粒状担体29に対して、より多くの量において確実に担持され、しかも表面積の総合計がより大きくなるように、十分に小さくされていることが、望ましい。なお、図1においては、反応粒子23、更には後述する伝熱粒子25が、それらの流動状態を明確に示すために、それら反応粒子23と伝熱粒子25とが、実際よりも極端に大きく、誇張されて示されていることが理解されるべきである。
【0038】
また、図1から明らかなように、装置本体10の反応室22内には、多数の反応粒子23と共に、伝熱粒子25が、多数収容されている。この伝熱粒子25も、図示されてはいないものの、反応粒子23の粒状担体29と同様に、外部に連通する連通孔を多数備えた粒状多孔質体にて構成されて、表面積が有利に大きくされている。そして、ここでは、かかる伝熱粒子25の形成材料として、アルミナ等のセラミックス材料が用いられており、それによって、伝熱粒子25において、高い熱伝導率が具備せしめられていると共に、十分な強度と良好な成形性とが確保されている。
【0039】
かくして、かかる伝熱粒子25の多数のものにあっても、水素オフガスと空気の反応室22内への吹込みより、反応室22内で、多数の反応粒子23と共に、容易に流動化せしめられるようになっている。そして、そのような流動状態において、反応室22内に吹き込まれた水素オフガスが、反応粒子23との接触により触媒燃焼せしめられたときに、その燃焼熱によって加熱された反応粒子23や、かかる触媒燃焼よって生ずる燃焼排ガスと接触せしめられることで、それらの反応粒子23や燃焼排ガスから熱を受け取り、また、そのような熱を、例えば、装置本体10の筒状収容体12に伝達する等して、反応粒子23や燃焼排ガスの放熱を有利に促進させ得るようになっているのである。
【0040】
なお、この伝熱粒子25の形成材料は、高い熱伝導率を有するものであれば、何等限定されるものではないものの、そのような材料の中でも、例示のセラミックス材料の他、珪砂やシラスバルーン等が、優れた強度や軽量性を発揮し得る点等から、好適に使用される。また、かかる伝熱粒子25の大きさも、上記せる反応粒子23と同様に、特に限定されるものではなく、流動化が容易となるように、反応室22内に吹き込まれる水素オフガスや空気の流速等に応じて、適宜に決定されるところではあるものの、一般には、100〜200μm程度とされる。
【0041】
そして、図1に示されるように、本実施形態の処理装置にあっては、多数の反応粒子23と伝熱粒子25とが収容された装置本体10における蓋体14の中心部に、それを板厚方向に貫通する円形のガス排出口24が、穿設されている。また、蓋体14の上面には、ガス排出口24の径と同一の内径を有する円筒状の排出管接続筒部26が、ガス排出口24と同軸的に位置する状態で、ガス排出口24の開口周縁部から上方に所定高さをもって突出するように、一体形成されている。これによって、装置本体10内の反応室22が、その上部側において、ガス排出口24と排出管接続筒部26の内孔とを通じて、外部に連通せしめられている。また、ここでは、かかる排出管接続筒部26に対して、排出管21が接続されている。この排出管21は、排出管接続筒部26への接続側とは反対側の先端部において、大気中に開口せしめられている。
【0042】
なお、本実施形態装置においては、このガス排出口24を通じて、反応粒子23と伝熱粒子25とが出入れされ得るようになっている。即ち、ここでは、ガス排出口24にて、取出口が構成されている。また、そのようなガス排出口24が、装置本体10の上端部に形成された蓋体14に設けられているため、後述するように、反応粒子23と伝熱粒子25とが、反応室22内への水素オフガスと空気の吹込みにより流動化せしめられても、それらの粒子23,25が、ガス排出口24を通じて外部に飛び出して、反応室22内から離脱せしめられるようなことはない。
【0043】
一方、装置本体10における筒状収容体12の下側底部16の中心部には、それを板厚方向に貫通するガス導入口28が、穿設されている。このガス導入口28は、前記ガス排出口24よりも十分に大きな径で、且つ下側底部16よりも一周り小さな径を有する円形状を呈している。
【0044】
そして、ここでは、かかるガス導入口28に対して、筒状ジョイント30が、接続されている。この筒状ジョイント30は、ガス導入口28内に挿入可能な比較的に大きな外径と低い高さとを有する円筒部32と、この円筒部32の下側開口部を閉塞する底部34とを一体的に備えた片側有底円筒状の全体形状を呈している。
【0045】
また、かかる筒状ジョイント30の円筒部32にあっては、その内部空間が合流空間36とされており、更に、この合流空間36の上部部位には、分散手段としての分散板38が、固設されている。この分散板38は、流動層を形成する流動層装置等において一般的に使用されるものと同様な構造を有している。例えば、セラミックス材料や金属材料等の耐熱性材料からなる平板の全体に、板厚方向に貫通する微細な通孔が多数設けられて、一方の面に向かって吹き付けられたガスが、それら多数の通孔を通じて、他方の面の前面から均一に吹き出され得るようにされた構造を、有している。そして、このような分散板38が、筒状ジョイント30における円筒部32の内部に、下面を合流空間36内に露呈させた状態で、円筒部32の上側開口部を覆蓋するようにして、位置固定に配設されているのである。
【0046】
一方、筒状ジョイント30の底部34には、それを板厚方向に貫通する小径の水素オフガス導入口40と大径の空気導入口42とが、径方向に並んで位置するようにして、穿設されている。そして、底部34の下面には、水素オフガス導入口40の径と同一の内径を有する小径円筒状のアノード配管接続筒部44が、水素オフガス導入口40と同軸的に位置する状態で、また、空気導入口42の径と同一の内径を有する大径円筒状のカソード配管接続筒部46が、空気導入口42と同軸的に位置する状態で、それぞれ、水素オフガス導入口40や空気導入口42の各開口周縁部から下方に所定高さをもって突出するように、一体形成されている。
【0047】
そして、かかる筒状ジョイント30が、円筒部32の上端部において、装置本体10のガス導入口28内に挿入されて、それら円筒部32の上端部の外周面と装置本体10のガス導入口28の内周面との間が、溶接等により、一体的に且つ流体密に接合されているのである。これにより、装置本体10内の反応室22と筒状ジョイント30の内部空間とが互いに連通せしめられて、かかる反応室22が、その下部側において、筒状ジョイント30における合流空間36と、水素オフガス導入口40及びアノード配管接続筒部44の内孔と、空気導入口42及びカソード配管接続筒部46の内孔とを通じて、外部に連通せしめられている。
【0048】
また、そのようにして装置本体10に接続された筒状ジョイント30のアノード配管接続筒部44には、図示しない燃料電池のアノード電極側から延出せしめられて、かかるアノード電極側から排出される水素オフガスが内部を流通せしめられるアノード配管48が、その先端部において接続されている。更に、筒状ジョイント30のカソード配管接続筒部46には、燃料電池のカソード電極側から延出せしめられて、かかるカソード電極側から排出される空気が内部を流通せしめられるカソード配管50が、その先端部において接続されている。
【0049】
かくして、本実施形態の水素オフガス処理装置にあっては、カソード電極側に空気を送り込む、図示しないコンプレッサ等の作動時に、カソード電極側から常時排出されて、カソード配管50内を流通せしめられる空気が、筒状ジョイント30の空気導入口42から合流空間36内に、常に流入せしめられる一方、図示しない原料水素ガスの循環パイプからの分岐パイプに設けられた開閉弁の定期的な開作動等によるパージ操作によって、アノード電極側から排出されて、アノード配管48内を流通せしめられる水素オフガスが、筒状ジョイント30の水素オフガス導入口40から合流空間36内に、間欠的に流入せしめられるようになっている。
【0050】
また、筒状ジョイント30の合流空間36内に流入せしめられた水素オフガスと空気は、そこで合流、混合せしめられて、混合(合流)ガスとされ、更に、この混合ガスが、分散板38の多数の通孔を通じて、装置本体10のガス導入口28から、均一に分散せしめられた状態で、反応室22内に吹き込まれて、ガス排出口24に向かって流動せしめられるようになっている。
【0051】
そして、反応室22内に吹き込まれて、反応室22内をガス排出口24に向かって流れる混合ガスによって、反応室22内に収容された反応粒子23の多数と伝熱粒子25の多数とが、図1に白抜きの矢印で示される如き対流状態となるように流動化せしめられ、以て、それら多数の反応粒子23と伝熱粒子25との流動層が、反応室22内に形成されるようになっている。これらのことから明らかなように、本実施形態では、原料水素ガスの循環パイプからの分岐パイプに設けられた開閉弁(図示せず)やアノード配管48、更にはカソード電極側に空気を送り込むコンプレッサ(図示せず)やカソード配管50にて、流動層形成手段が、構成されている。
【0052】
なお、ここでは、アノード配管48とカソード配管50のそれぞれの途中に、各配管48,50内を流通する水素オフガスと空気のそれぞれの流速を検出するセンサ52,54と、それら水素オフガスと空気のそれぞれの流速を増大させるための送出ポンプ56,58とが、前者を燃料電池側に、後者を水素オフガス処理装置側に、それぞれ位置せしめた状態で、設置されている。また、それらのセンサ52,54や送出ポンプ56,58は、ポンプ用コントローラ60に対して、それぞれ、電気的に接続されている。そして、各センサ52,54の検出値に基づいて、各送出ポンプ56,58の駆動/停止が、ポンプ用コントローラ60にて制御されて、アノード配管48内での水素オフガスの流速と、カソード配管50内での空気の流速とが、所望の大きさに調節されることで、それらの混合ガスの反応室22内に吹き込まれる混合ガスの流速もコントロールされ、以て、反応室22内で、反応粒子23と伝熱粒子25との流動層が、良好な状態で、安定的に形成され得るようになっている。つまり、本実施形態においては、送出ポンプ56,58が、流動層形成手段の一部として、或いはその補助装置として、設けられているのである。
【0053】
そして、そのようにして形成された流動層内で、反応粒子23の粒状触媒27と水素オフガスとが、空気の存在下で接触せしめられて、水素オフガスが触媒燃焼せしめられるようになっている。また、そのような水素オフガスの触媒燃焼によって生ずる水蒸気や残余の高温の空気とが混合せしめられた燃焼排ガスが、ガス排出口24から排出管21内に流入せしめられ、更に、この排出管21の先端開口部を通じて、大気中に排出せしめられるようになっているのである。
【0054】
このように、本実施形態の水素オフガス処理装置では、装置本体10の反応室22内に、反応粒子23と伝熱粒子25の流動層が形成されるようになっているところから、かかる流動層内で、反応粒子23の粒状触媒27と水素オフガスとが、極めて効率的に接触せしめられて、水素オフガスの触媒燃焼(水素オフガスと粒状触媒27との燃焼反応)が、反応室22内の略全体で、全ての反応粒子23を利用しつつ、均一に且つ効率的に惹起され得るようになる。
【0055】
また、それ故に、水素オフガスが、空気と共に、反応室22内に大量に吹き込まれることがあっても、水素オフガスの触媒燃焼が反応室22内の一部で急速に進められて、反応室22内の温度が局所的に急上昇せしめられることが、有利に阻止され得る。しかも、反応室22内に形成される流動層によって、更には反応粒子23と共に流動層を形成する多数の伝熱粒子25の存在によって、水素オフガスの触媒燃焼に伴って生ずる燃焼熱が、反応室22内の全体に、均一に且つ確実に伝達され得る。
【0056】
従って、かくの如き本実施形態に係る水素オフガス処理装置にあっては、装置本体10の反応室22内への水素オフガスの吹込み量の大小に拘わらず、かかる水素オフガスの反応粒子23との接触による触媒燃焼が、反応室22内において、全ての反応粒子23を有効に利用しつつ、十分に低い燃焼温度で均一に進められ、以て、水素オフガスが、より効率的且つ迅速に、しかも安全に燃焼処理され得ることとなる。そして、その結果として、装置本体10のガス排出口24に接続された排出管21から排出される燃焼排ガス中の水素ガスの濃度が、極めて有利に且つ確実に低減せしめられて、かかる燃焼排ガスを、よりクリーンで且つ安全な状態で、大気中に排出させることが可能となるのである。
【0057】
また、かかる水素オフガス処理装置においては、多数の微細な粒状触媒27が、多数の連通孔31を備えた粒状多孔質体からなる粒状担体29の表面や各連通孔31の内面に担持されて、反応粒子23が構成されていることで、1個の反応粒子23が有する粒状触媒27の全表面積が十分に大きく為され、それによって、装置本体10の反応室22内での水素オフガスと空気との混合ガスに対する粒状触媒27の接触面積が、より効果的に大ならしめられ得る。その結果、水素オフガスの燃焼処理が、更に一層効率的且つ迅速に実施され得ることとなる。
【0058】
さらに、本実施形態では、装置本体10の反応室22内において、多数の反応粒子23と共に、多数の伝熱粒子25が流動化せしめられて、それらの反応粒子23と伝熱粒子25の流動層が形成されるようになっている。それ故、粒状触媒27の使用量を、例えば、装置本体10の反応室22内に導入される水素オフガスを確実に燃焼するのに必要最低限の量に抑えた上で、良好な流動性を有する流動層を、確実に且つ容易に形成することが出来る。そして、その結果として、水素オフガスの燃焼処理に要される材料コストが、可及的に低く抑えられ得る。
【0059】
また、勿論、高い熱伝導率を備えた粒状多孔質体からなる伝熱粒子25の使用によって、水素オフガスの燃焼処理によって加熱乃至は発生せしめられた反応粒子23や燃焼排ガスの熱を効果的に放熱させ得ることで、かかる水素オフガスの燃焼処理時における反応室22内の過剰な温度上昇が有利に解消されて、水素オフガスの燃焼処理が、より安全に実施され得るといった利点も得られる。
【0060】
さらに、本実施形態の水素オフガス処理装置にあっては、水素オフガスと空気とが、筒状ジョイント30における合流空間36内で、合流、混合せしめられた上で、分散板38を通じて、装置本体10の反応室22内に吹き込まれ得るようになっている。これによって、反応室22内の全体に、水素オフガスと空気との混合ガスが、均一に分散せしめられ、それによって、反応室22内に形成される流動層内での水素オフガスと反応粒子23(粒状触媒27)とが、より効率的且つ確実に接触せしめられ得る。そして、その結果として、水素オフガスの燃焼処理が、更に一層効率的且つ迅速に進められ得ることとなる。
【0061】
更にまた、かかる本実施形態においては、アノード配管48とカソード配管50のそれぞれの途中に、送出ポンプ56,58が設置されて、それら各送出ポンプ56,58のポンプ用コントローラ60による作動制御により、各配管48,50内での水素オフガスと空気の流速が所望の大きさに調節されることで、装置本体10の反応室22内において、反応粒子23と伝熱粒子25との流動層が、良好な状態で、安定的に形成され得るようになっている。これによっても、流動層内での水素オフガスと反応粒子23(粒状触媒27)との効率的な接触が確保され、以て、水素オフガスの燃焼処理が、より一層効率的且つ迅速に実施され得ることとなる。
【0062】
また、本実施形態の水素オフガス処理装置では、装置本体10の反応室22内に収容された反応粒子23と伝熱粒子25とが、非流動化状態において、ガス排出口24から容易に取り出され得るようになっているところから、例えば、装置の長期使用等により、反応粒子23における粒状触媒27の触媒性能が低下したときに、そのような反応粒子23を十分な触媒性能を有する新たな反応粒子23と、容易に交換することが出来る。従って、反応粒子23を交換するだけの簡単な作業で、しかも可及的に低いコストで、水素オフガスの良好な処理性能が安定的に維持され得る。
【0063】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0064】
例えば、反応粒子23の構造は、例示のものに、何等限定されるものではなく、少なくとも一部分が、水素オフガス(排出水素ガス)を触媒燃焼させ得る触媒にて構成されておれば良い。従って、かかる触媒の粒状体のみにて、反応粒子23を形成することも、勿論可能である。
【0065】
また、前記実施形態では、装置本体10の反応室22内に、多数の伝熱粒子25が、多数の反応粒子23と共に収容されて、それらの伝熱粒子25と反応粒子23とにて、流動層が形成されるようになっていたが、伝熱粒子25を省略し、反応粒子23のみにて、流動層を反応室22内で形成するようにしても、何等差し支えない。
【0066】
さらに、それら伝熱粒子25と反応粒子23とを流動化させて、或いは伝熱粒子25が省略される場合には反応粒子23のみを流動化させて、流動層を形成する流動層形成手段も、その構造が、特に限定されるものではない。例えば、例示された燃料電池システムにおいて、原料水素ガスの循環パイプからの分岐パイプに設けられた開閉弁の開作動のみや、カソード電極側に空気を送り込むコンプレッサの駆動のみによって、アノード配管48内での水素オフガスの流速やカソード配管50内での空気の流速が、反応室22内で流動層を形成させるのに十分な大きさとされる場合にあっては、それら水素オフガスや空気の流速を増大させるための送出ポンプ56,58が、省略され得る。また、排出水素ガス処理装置が、後述する如く、燃料電池システム以外の装置や機構に組み込まれる場合には、それに応じて、流動層形成手段の構造も、適宜に変更されることとなる。
【0067】
更にまた、前記実施形態では、水素オフガスの触媒燃焼時における反応室22内の温度上昇が、多数の伝熱粒子25の存在と流動層特有の優れた伝熱性とに基づいて抑えられるようになっていたが、かかる反応室22内の温度上昇を抑制するための機構や装置を、特別に設置することも出来る。なお、そのような機構や装置は、例えば、図3に示される如き構造を備えた水素オフガス処理装置において実現される。
【0068】
即ち、かかる処理装置にあっては、装置本体10における筒状収容体12に対して、例えば冷却水やシリコンオイル等の所定の冷却媒体が流通せしめられる伝熱管62が、その一部を反応室22内に挿通配置せしめた状態で、組み付けられている。
【0069】
より具体的には、伝熱管62は、長さ方向の中間部分が、蛇行して延びる熱交換部64とされる一方、長さ方向一方の端部側部分が、冷却媒体の導入口を備えた冷却媒体導入部66とされ、更に、長さ方向他方の端部側部分が、冷却媒体の排出口を備えた冷却媒体排出部68とされている。そして、かかる熱交換部64が、装置本体10の筒状収容体12の内部に収納される一方、冷却媒体導入部66と冷却媒体排出部68とが、導入口と排出口とを、それぞれ、外部に位置せしめるように、装置本体10における筒状収容体12の筒壁部を貫通した状態で、伝熱管62が、筒状収容体12に組み付けられている。
【0070】
また、そのような筒状収容体12への伝熱管62の組付状態下で、冷却媒体導入部66が、その導入口において、冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置70に接続されている。更に、かかる冷却媒体供給装置70は、制御手段としての供給装置用コントローラ72に対して電気的に接続されており、また、この供給装置用コントローラ72には、筒状収容体12の筒壁部に取り付けられて、反応室22内の温度を常時検出する、公知の構造を備えた温度センサ74が、電気的に接続されている。
【0071】
かくして、かくの如き構造を有する水素オフガス処理装置にあっては、反応室22内での水素オフガスの触媒燃焼により反応室22内の温度が上昇せしめられて、温度センサ74による検出値が、予め設定された第一の設定値たる基準上限値以上となったときに、供給装置用コントローラ72によって、冷却媒体供給装置70が作動せしめられて、伝熱管62内に、冷却媒体が、予め設定された基準量において供給されるようになっている。そして、それにより、水素オフガスの燃焼熱にて加熱された反応粒子23と伝熱管62内の冷却媒体との間や、燃焼排ガスと伝熱管62内の冷却媒体との間で熱交換が行われて、水素オフガスの触媒燃焼時に発生する熱が回収され、以て、反応室22内の温度上昇が抑制されるように構成されている。
【0072】
また、そのような熱交換による反応室22内の温度上昇の抑制作用や、水素オフガスの触媒燃焼の終了に伴う反応室22内の温度の低下等によって、温度センサ74による検出値が、予め設定された第二の設定値たる基準下限値以下となったときには、冷却媒体供給装置70の作動が、供給装置用コントローラ72によって抑制乃至は停止されて、伝熱管62内への冷却媒体の供給量が減少乃至はゼロとされるようになっている。
【0073】
このように、本実施形態の処理装置によれば、伝熱管62内への冷却媒体の供給によって、水素オフガスの燃焼時における反応室22内の温度上昇を効果的に抑制することが出来る。従って、水素オフガスの触媒燃焼による処理を更に安全に実施することが可能となる。しかも、水素オフガスの燃焼時における反応室22内の温度を、予め設定された基準上限値と基準下限値との間の範囲内の温度に、可及的に維持することが出来、それによって、反応室22内に次々と導入される水素オフガスの燃焼反応を促進させることが可能となり、その結果として、水素オフガスの処理の効率化を、更に有利に実現し得ることとなる。
【0074】
加えて、本発明は、燃料電池システムの燃料電池から排出される水素オフガスの他、各種の装置や機構から排出される水素ガス、或いは水素ガスを含む混合ガスからなる排出水素ガスを触媒燃焼させて処理する排出水素ガス処理装置と方法の何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0075】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に従う排出水素ガス処理装置の一実施形態を示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示された排出水素ガス処理装置の反応室内に収容される反応粒子を模式的に示す断面拡大説明図である。
【図3】本発明に従う排出水素ガス処理装置の別の実施形態を示す図1に対応する図である。
【符号の説明】
【0077】
10 装置本体 22 反応室
23 反応粒子 24 ガス排出口
25 伝熱粒子 27 粒状触媒
28 ガス導入口 29 粒状担体
36 合流空間 38 分散板
56,58 送出ポンプ 62 伝熱管
70 供給装置用コントローラ


【出願人】 【識別番号】000185617
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄

【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博


【公開番号】 特開2008−675(P2008−675A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172214(P2006−172214)